JP2920120B2 - 窒素酸化物センサーの製造方法、窒素酸化物センサー及び材料製造方法 - Google Patents

窒素酸化物センサーの製造方法、窒素酸化物センサー及び材料製造方法

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JP2920120B2
JP2920120B2 JP3608597A JP3608597A JP2920120B2 JP 2920120 B2 JP2920120 B2 JP 2920120B2 JP 3608597 A JP3608597 A JP 3608597A JP 3608597 A JP3608597 A JP 3608597A JP 2920120 B2 JP2920120 B2 JP 2920120B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒素酸化物の低減
技術、窒素酸化物分解技術等の分野に使用される、窒素
酸化物を検出するセンサーの製造方法及びこのようなセ
ンサーに関するとともに、このようなセンサーに好適に
使用できる材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジン、ボイラー等の燃焼排ガス中の
窒素酸化物は、大気汚染の原因であり、その排出を削減
する必要がある。そこで、排ガス中の窒素酸化物の濃度
を精度良く測定することのできるセンサーの開発が急が
れている。かかるセンサーとして、従来から化学発光方
式、赤外線吸収方式、紫外線吸収方式、定電位電解方
式、定電位電流方式等が知られていたが、これらの欠点
を改良するセンサーとして、近年、超伝導材料をセンサ
ー部材として使用するセンサーも提案されている。この
ようなセンサーの例として、本願の発明者である工藤ら
は、
【0003】
【化4】 Bi2 Sr2 (Ca1-X X )Cu2 8+y (xは0以上1未満、yは0以上1以下)
【0004】にて表される材料について、2212結晶
構造を有するものを採用することを提案している。この
ような構成の窒素酸化物センサーは、窒素酸化物に対す
る感応特性に優れており、さらに、センサーの機能とし
て欠かすことが出来ない応答回復性に優れている。(日
本国特願平5−160985)
【0005】さて、従来、これらの複合酸化物を焼成す
る場合にあっては、本焼成段階において、その融点近辺
で焼成が行われていた。従来、このような複合酸化物の
融点は、Yの増加に伴って材料の融点が上昇する(Supe
rconductor Science&Technology,7[6](1994)(米)p367-
371.参照)と認識されていた。即ち、化4に示す複合酸
化物において、x=0のものにあっては、その融点は8
80℃程度と考えられ、x=1のものにあっては、その
融点が950℃程度と考えられていた。従って、Caに
対してYの当量比を増やしたい場合(代表的にはx=1
とする場合)、この焼成温度として、最も高い温度(最
高温度である930℃近辺)(Japanese Journal of Ap
plied Physics,27[8]1988-8.(日)p1432-1434 )参照、
この文献を文献2と称する)が採用されていた。この文
献においては、x=0のものにあっては、その焼成温度
として855℃を採用し、これ以外のY置換をおこなう
ものに関しては、920℃を採用している。即ち、x=
1のものは、920℃で焼成している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一般に、センサーとし
て実用的に使用できるためには、以下の3つの特性を有
することが好ましい。 特定のガス成分に対する感度に優れていること。 検出すべきガス成分の濃度が0になったときには、速
やかに零点、即ち原点に復帰する原点回復性に優れてい
ること。 耐久性に優れていること。 ここで、感度特性に関しては、後にも説明するように、
一般式
【0007】
【化5】Bi2Sr2YCu28+y (yは0以上1以下)
【0008】にて表され、かつ2212相からなる結晶
構造を有する複合酸化物が、最も好ましい。しかしなが
ら、この組成で、この結晶構造の割合が多いものを得る
ことが、従来、難しかった(実質上得にくかった)(Jo
urnal of the American Ceramic Society,76[3]1993
(米)p635-640 参照、この文献においては、Caサイト
に於けるY置換固溶限界を80%位としており、Fig
1では、固溶限界を超えるとC軸長の変化が飽和するこ
とが示されている)。また2212相に対して他の相が
混ざっているものは、後にも示すように、センサーとし
ての原点回復性及び耐久性において優れず、長時間の使
用にあって感度低下を誘起する場合もある。従って、本
発明の目的は、窒素酸化物に対する感度、原点回復性の
点で優れるとともに、センサーとして重要な特性である
耐久性(経時的に感度性能が変化し難い)の点で優れた
窒素酸化物センサーの製造方法を得、このような特性の
窒素酸化物センサーを得ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
〔構成〕上記の目的を達成する本願の窒素酸化物センサ
ーの製造方法の特徴手段は、気体中の窒素酸化物に感応
して電気的特性が変化する感応材料からなるガス検出部
と、前記ガス検出部に電気的に接続された電極とを備え
た窒素酸化物センサーを製造する場合に、以下の手法を
採用することにある。即ち、その製造にあたり感応材料
を構成する構成元素を所定の等量比で含む原料粉末より
前駆体を得る第1工程と、第1工程で作製された前駆体
の仮焼き及び予備焼成を行って予備焼成物を得る第2工
程と、この第2工程で得られた予備焼成物を、温度81
5℃〜848℃(T1)にて、少なくとも2回、本焼成
を行い、一般式、
【0010】
【化6】Bi2Sr2YCu28+y (yは0以上1以下)
【0011】にて表され、かつ2212相からなる結晶
構造を有する複合酸化物を主成分とするガス検出部を得
る第3工程を経てガス検出部を得て、窒素酸化物センサ
ーを製造するのである。 〔作用・効果〕この製造方法においては、ガス検出部を
構成する感応材料を得る場合に、第1〜第3の工程を経
て、これが行われる。ここで、第1、第2工程は一般的
な工程であるが、本焼成工程である第3工程に本願の特
徴がある。即ち、本願にあっては、本焼成をおこなう場
合に、その焼成温度が、従来行われてきた温度(例えば
920〜930℃近辺)より低い温度である815℃〜
848℃(T1)に選択される。ここで、焼成雰囲気
は、酸素を含む貴ガスもしくは窒素ガス雰囲気とされ
る。この温度範囲は、従来、融点近辺とされてきた温度
範囲より、80〜100℃近く低い温度範囲であり、こ
のような温度範囲の効果は判明していなかった。さら
に、本焼成は、間に焼成物の粉砕過程を経て少なくとも
2回行われる。このように粉砕工程を経て焼成を多数回
おこなうことにより、より均質なものを得ることができ
る。結果、化6に示す組成を有し、その結晶構造が22
12相主体の複合酸化物を、容易、確実に得ることがで
きる。このような複合酸化物の窒素酸化物に対する感応
特性を、図1に示した。同図は、一般式
【0012】
【化7】Bi2Sr2Ca1-xxCu28+y (0≦x≦1、yは0以上1以下)
【0013】で示される複合酸化物の窒素酸化物に対す
る感度特性(R/R0)を示したものである。但し横軸
はYとCaの比(Y/Ca)を示しており、X=0がC
aのみのもの、X=1がYのみのものに対応している。
縦軸は、基準ガスとしての空気に対する抵抗値(R0
と、空気中に2500ppmNOを含むガスに対する抵
抗値(R)の比を示している。同図からも判明するよう
に、本願のセンサー(Y/Ca)=(1/0)のもの
は、この構造のもののうちで、最も感度が高く、窒素酸
化物に対して、これを抵抗変化の状態で確実に捕らえる
ことができることが判る。さらに、図2に、化7の横軸
に示される原料組成の前駆体から、順次、本願と同等な
手法で複合酸化物を得た場合における結晶格子のC軸長
さの変化状況を示した。同図からも判明するように、Y
の割合の増加に伴ってC軸長さが単調に減少しており、
確かに化6に示す組成で、2212相のものが形成され
ているものと考えることができる。従来は、C軸長が単
調に減少していない(Japanese Journalof Applied Phy
sics,28[5]1989-5.(日)p784-786 のFig 3及び上記の文
献2のFig 2参照)。従って、本願の手法が、実質上、
目的のものを好適に得ることができる方法であり、これ
は、発明者らが見出した新知見である。さて、次に、本
焼成に於ける焼成温度と、得られる結晶の相状態との関
係について、図3、図4に基づいて説明する。これらの
図は、対となる図であり、横軸は焼成温度(℃)を示し
ている。縦軸は、Cu−Kα線を用いたX線回折分析に
おいて、回折角5〜65度の特定の結晶相に関する回折
ピーク強度の総和を830℃焼成のものの値で規格化し
たものである。図3は、本願が問題とする2212相に
関するものの総和を、図4は、逆に、2212相以外の
相の総和を示している。従って、図3にあっては、値が
大きい程、2212相が多分に得られており、図4にあ
っては、その逆となる。図3からも判るように、221
2相の出現は、焼成温度の上昇とともに増加し、一定の
温度以上(850℃程度以上)で飽和する。一方、図4
からも判るように、焼成温度の上昇に伴って、2212
相の出現割合は増加するが、830℃を変曲点として、
その後、減少傾向を辿り、所定の分相状態が維持される
構造となる。ここで、分相状態とは、Y2Cu25、S
rBi24、Sr3Bi26 の分相であることを、別
途、確認した。従って、図4より、本願が目的とする2
212相を安定して得ようとすれば、815〜848℃
(T1)の温度域で本焼成温度を設定して行うことが好
適である。焼成温度が815℃よりも低いと2201相
が出現しやすく、848℃より高いと分相が発生しやす
い。これは、848℃より高温になるに従って、221
2相の結晶構造中へのYの取り込みが難しくなり、化6
で示す組成の2212相が生成しにくくなるため、固溶
されなかった(結晶構造中に取り込まれなかった)Y
が、他の化合物となり、分相となるためである。分相が
好ましくない理由は、窒素酸化物のこれら分相結晶への
吸着が化学反応を伴うものであり、分相結晶が増加する
と2212相が構成する電気回路に直列的に分相結晶が
入り込む確率が必然的に増加し、その結果、2212相
のみで構成された回路に比べてセンサーの特性として重
要な、原点回復性能、耐久性に於いて優れないガス検出
部となるからである。
【0014】〔構成・作用〕さらに、本焼成をおこなう
場合に、温度820〜845℃(T2)で、30時間以
上の焼成を、少なくとも2回おこなうことが好ましい。
焼成温度を820〜845℃(T2)の範囲に選択する
と、図4からも判明するように、2212相の割合を非
常に高くできる。ほとんど2212相単独といっても、
問題はない程度となる。最も、好ましいのは、830℃
である。また、30時間以上かけることによって、焼成
物も均質化する。さらに、この焼成温度範囲として、8
28〜835℃の範囲内に選択すると、2212相以外
の他の相の出現を、830℃で処理したものに対して、
その1.5倍未満に抑えることができる。
【0015】以上、説明してきたように、上記のような
手法を採用すると、分相を起こさず2212相が主体の
化6に示すものを得ることができるが、このような材料
の、耐久性に関して、図5に基づいて、以下説明する。
図5は、模擬排ガス中での、100時間経過後のNO3
00ppmに対する感度変化率(100時間経過後の感
度/初期の感度)を示したものである。同図において、
単一相と示すものは、焼成温度830℃で本焼成をおこ
なったものであり、分相と示すものは、焼成温度930
℃で本焼成を行ったものである。即ち、従来物と見なせ
るものである。この耐久性の確認にあたっては、耐久試
験用模擬排ガスを使用して行った。耐久試験用模擬排ガ
スには、NOの他、O2 、CO2 、CO、 H2 、CH
4、C26 、C38 、i−C410、H2O、SO2
所定の割合で含むものとして、N2 でバランスをとっ
た。
【0016】図5に示すように、2212相を多分に有
するものは、100時間経過後にあっても、その感度が
劣化することなく、良好な特性を維持している。一方、
分相物は、耐久性に優れない。即ち、この点からも、本
願の手法に於ける本焼成温度範囲が、好ましいことが判
る。即ち、単一相のものにおいては、スパンドリフト
(感度の経時変化)が、ほとんど無い。一方、ゼロ点ド
リフト(ベース抵抗値の経時変化)については、単一相
では無いが、分相では発生しやすい。ゼロ点ドリフト
(ベース抵抗値の経時変化)を整理して表にして示すと
以下のようになる。ここで、抵抗値変化率とは、NOを
含まないベースガスに対する初期抵抗値と所定時間経過
後(1000時間経過後)の抵抗値との比である。
【0017】
【表1】 単一相のもの 分相のもの 抵抗値変化率 1.0(ドリフト無し) 1.6(ドリフト有り)
【0018】上記のような焼成温度域を採用することに
より得られる複合酸化物の耐久性は、分相を起こしてい
るものより良好な特徴を有した。さらに、このような焼
成で得られる化6に示す組成を有し、2212相を主成
分とするものにあって、そのウイルソン法(Wilso
n法)により測定される結晶子の大きさが、100Å以
上あるものは、上記検討時間より、さらに長時間の耐久
性試験において非常に優れた結果を示した。このように
非常に優れた結果を得られるものとしては、結晶子の大
きさが100Å以上あれば好ましいと考えられるが、1
00Å以上650Å以下の範囲内で実験的に確認でき
た。ウイルソン法による有意な値が求められるのは、結
晶子の大きさが1000Å程度以下の場合であるので、
この範囲で確認した。
【0019】窒素酸化物に対する感度、応答回復性の点
で優れるとともに、センサーとして重要な特性である耐
久性(経時的に検出性能が変化し難い)の点で優れた窒
素酸化物センサーを得るという本願の目的に則した窒素
酸化物センサーの構成は、以下のとおりである。 〔構成〕気体中の窒素酸化物に感応して電気的特性が変
化する感応材料からなるガス検出部と、前記ガス検出部
に電気的に接続された電極とを備えた窒素酸化物センサ
ーを、以下の特徴構成を備えたものとするのである。即
ち、ガス検出部が、一般式、
【0020】
【化8】Bi2Sr2YCu28+y (yは0以上1以下)
【0021】にて表され、かつ2212相からなる結晶
構造を有する複合酸化物を主成分とする感応材料からな
ることにある。この感応材料を得る場合には、先に説明
した手法を採ることとなる。 〔作用〕複合酸化物の組成及びその好ましい結晶構造と
しての2212相の役割については、これまで説明した
とおりであり、窒素酸化物に対する感度特性、回復性、
耐久性に関して、従来のものよりも良好な特性のものを
得ることができる。 〔構成・作用〕さらに、ガス検出部に、窒素酸化物と化
学的に反応しない不活性金属酸化物を含むことが好まし
い。このようにしておくと、ガス検出部の強度を向上せ
しめることが可能になる。これら、「不活性金属酸化
物」とは、窒素酸化物と何ら不可逆的な相互作用、特に
化学反応をしない金属酸化物をいい、例えばSiTiO
3、MgO、Al23を挙げることができる。
【0022】〔構成・作用〕さらに、ガス検出部の少な
くとも表面側に白金属元素を担持した酸化触媒層が設け
られていることが好ましい。このようにしておくと、窒
素酸化物に対する選択性を向上させることができる。
【0023】さて、以上説明してきた例にあっては、窒
素酸化物センサーを対象として説明を進めたが、本願の
窒素酸化物センサーにおいて、感応材料として採用され
る材料は、NOxが関わる化学反応に対して触媒能を有
するものと考えられ、本願で説明している手法により、
この材料を製造することが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、セ
ンサー構造、センサーの製法、センサーの特性の順に図
面に基づいて説明する。 (1)センサーの構造 本発明の窒素酸化物検出センサーの構造を図6に示す。
センサー1はセラミックヒーター板から構成される加熱
基板2の上部側に、本発明にて特定する複合酸化物から
構成されるガス検出部3を備えており、このガス検出部
3に対して、1対の白金電流加流電極4と、これらの白
金電流加流電極4に対する白金電圧検出電極5が備えら
れている。ガス検出部3は、塊状である。前記ガス検出
部の組成は、前記化6にて表されるものである。このガ
ス検出部に採用される複合酸化物は、窒素酸化物が可逆
的に吸着可能であり、吸着した状態と吸着していない状
態で複合酸化物の抵抗値が変化する。そして、その変化
量は窒素酸化物の吸着量、即ちガス中の窒素酸化物の濃
度に対応するものであるので、前記複合酸化物を検出部
としたセンサーが形成されるのである。
【0025】(2)センサーの製法 ガス検出部3の製法 ガス検出部3を構成する複合酸化物の製法は以下のとお
りである。 第1工程 ガス検出部3の材料である感応材料を構成する構成元素
を所定の等量比で含む原料粉末より前駆体を得る。この
場合、複合酸化物が上記の組成であるため、金属成分
(Bi:Sr:Y:Cu)が実質、所定の当量比(2:
2:1:2)になるように混合して、前駆体を得る。夫
々の金属成分を含む材料は、Bi:Sr:Y:Cu、夫
々について、Bi23、SrCO3、Y23、CuO等
である。 第2工程 得られた前駆体の仮焼き及び予備焼成を行って予備焼成
物を得る。このような予備焼成段階にあっては、前駆体
を本焼成の温度より低い温度(780〜800℃程度)
で24時間以上、好ましくは48時間程度仮焼きを行
う。予備焼成物は、粉砕され、粒子径1〜20μm程度
に調整される。 第3工程 得られた予備焼成物を、20%以上の酸素を含む貴ガス
もしくは窒素ガス雰囲気中で、温度815℃〜848℃
(T1)にて少なくとも2回、本焼成を行い、一般式、
【0026】
【化9】Bi2Sr2YCu28+y (yは0以上1以下)
【0027】にて表され、かつ2212相からなる結晶
構造を有する複合酸化物を主成分とするガス検出部3を
得る。ここで、本焼成の間で、粉砕処理をおこない、そ
の場合の粒子径は1〜20μm程度に調整する。さら
に、貴ガスとしては、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒
素ガス等が使用され、上記の温度域で、24時間以上の
本焼成を少なくとも2回行う。この場合に、20%以上
の酸素を含むアルゴンガス雰囲気中で、温度820〜8
45℃(T2)で、30時間以上の焼成を、少なくとも
2回おこなうことが好ましい。焼成温度範囲としては、
828〜835℃が更に好ましい。 センサーの製造 上記のようにして得られたガス検出部3に電極4、5を
設け、ガス検出部3の下に加熱基板2を設け、電極、加
熱基板と計測装置、制御装置(図外)がそれぞれ接続さ
れてセンサーが構成される。さらに、必要な場合は、図
6に示すように、ガス検出部3の表面側に、白金元素を
担持した酸化触媒層6を設ける。 (3)センサーの特性の測定 上記のようにして製造した窒素酸化物センサーの感応特
性の測定にあたっては、以下のようにおこなう。加熱基
板2に一定電圧を負荷し、ガス検出部を250℃に加熱
し、電流電極4に所定の電流を流しつつ空気中に所定濃
度の窒素酸化物成分を含むガスを接触させ、電圧検出電
極5により電圧を測定し、ガス検出部に生じた電気抵抗
値の変化を求める。
【0028】
【実施例】以下、さらに具体的に、本発明の実施例を説
明する。 ガス検出部の作製 ガス検出部を構成する複合酸化物の作製を以下の手順で
おこなった。Bi23、SrCO3、Y23,CuOの
粉末を金属成分が所定の当量比(2:2:1:2)とな
るように混合し前駆体を得た。さらに、この前駆体を、
本焼成の温度より低い790℃にて48時間仮焼きを行
い予備焼成物を得た。その後、得た予備焼成物を、所定
の温度(830℃)で、30時間の本焼成を2回行っ
た。この焼成にあって、前駆体に、SiTiO3を混合
しておく。この化合物が結晶粒子間におけるバインダー
としての働きを果たす。得られた複合酸化物の結晶は、
2212構造が主成分であることをX線回折法によって
確認した。その結晶格子のC軸長さを、比較例として実
験したY/Ca=0.0/1.0、0.8/0.2、
0.9/0.1組成の複合酸化物のデータとともに、先
に説明した図2に示している。この結果より、本発明に
おけるYの当量比が0.8〜1.0の組成範囲におい
て、結晶格子のC軸長さが、およそ30.30から3
0.02Åとなり単調減少している。従って、化6に示
す組成のものが確実に得られていると考えられる。この
C軸長さはX線回折結果から算出した。 (3)センサーの特性 上記のようにして製造した窒素酸化物センサーの感応特
性を上述の手法に従って、測定した。加熱基板2に一定
電圧を付加し、ガス検出部を250℃に加熱し、電極4
に10mAの電流を流しつつ空気中に所定濃度の窒素酸
化物成分を含むガスを接触させ、電極5により電圧を測
定し、ガス検出部3に生じた電気抵抗値の変化を求め
た。ここで、検出対象としたガスは、窒素酸化物として
NOを2500ppm含有する空気を使用した。結果
を、図1に示した。同図には、比較のため、Y/Ca=
0.0/1.0、0.2/0.8、0.4/0.6、
0.6/0.4、0.8/0.2、0.9/0.1の各
組成の複合酸化物に於ける結果も示している。この結果
より、本発明のY/Ca=1.0/0.0組成を有する
複合酸化物をガス検出部としたセンサーの感度が優れて
いることが明らかである。
【0029】さらに、このようにして得たセンサーにあ
って、他のガス(水素ガス、一酸化炭素ガス、メタンガ
ス)との選択性のデータを図7に示した。他の妨害ガス
に対して充分なガス選択性を有してNOを検出している
ことが判る。各ガスの種別は、図上の記号でおこなって
いる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Bi−Sr−Ca−Y−Cu−O系の窒素酸化
物感応特性を示す図
【図2】複合酸化物中のYの添加量と結晶格子のC軸長
さの関係を示す図
【図3】焼成温度と焼成物内に於ける2212相の量と
の関係を示す図
【図4】焼成温度と焼成物の分相状態の関係を示す図
【図5】分相状態と焼結体に於ける経時的な感度変化の
状態との関係を示す図
【図6】窒素酸化物センサーの構造を示す図
【図7】センサーの感度特性を示す図
【符号の説明】
3 ガス検出部 4 電極 5 電極 6 酸化触媒層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−27730(JP,A) 特開 平5−332969(JP,A) 特開 平8−21814(JP,A) 特開 平5−332972(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 27/12

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気体中の窒素酸化物に感応して電気的特
    性が変化する感応材料からなるガス検出部(3)と、前
    記ガス検出部(3)に電気的に接続された電極(4)
    (5)とを備えた窒素酸化物センサーの製造方法であっ
    て、 前記感応材料を構成する構成元素を所定の等量比で含む
    原料粉末より前駆体を得る第1工程と、前記前駆体の予
    備焼成を行って予備焼成物を得る第2工程と、 前記第2工程で得られた前記予備焼成物に対して、温度
    815℃〜848℃(T1)にて、少なくとも2回、本
    焼成を行い、一般式、 【化1】Bi2Sr2YCu28+y (yは0以上1以下) にて表され、かつ2212相からなる結晶構造を有する
    複合酸化物を主成分とする前記ガス検出部(3)を得る
    第3工程を備えた窒素酸化物センサーの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第3工程において前記本焼成をおこ
    なう場合に、温度820〜845℃(T2)で、30時
    間以上の前記本焼成を、少なくとも2回おこなう請求項
    1記載の窒素酸化物センサーの製造方法。
  3. 【請求項3】 気体中の窒素酸化物に感応して電気的特
    性が変化する感応材料からなるガス検出部(3)と、前
    記ガス検出部(3)に電気的に接続された電極(4)
    (5)とを備えた窒素酸化物センサーであって、 前記感応材料を構成する構成元素を所定の等量比で含む
    原料粉末より前駆体を得る第1工程と、前記前駆体の予
    備焼成を行って予備焼成物を得る第2工程と、 前記第2工程で得られた前記予備焼成物を、温度815
    ℃〜848℃(T1)にて、少なくとも2回、本焼成を
    行い、一般式、 【化2】Bi2Sr2YCu28+y (yは0以上1以下) にて表され、かつ2212相からなる結晶構造を有する
    複合酸化物を主成分とする前記ガス検出部(3)を得る
    第3工程を経て製造される窒素酸化物センサー。
  4. 【請求項4】 前記ガス検出部(3)が、窒素酸化物と
    化学的に反応しない不活性金属酸化物を含む請求項3記
    載の窒素酸化物センサー。
  5. 【請求項5】 前記ガス検出部(3)の少なくとも表面
    側に白金属元素を担持した酸化触媒層(6)が設けられ
    ている請求項3または4記載の窒素酸化物センサー。
  6. 【請求項6】 構成元素を所定の等量比で含む原料粉末
    より前駆体を得る第1工程と、前記前駆体の予備焼成を
    行って予備焼成物を得る第2工程と、前記第2工程で得
    られた前記予備焼成物に対して、温度815℃〜848
    ℃(T1)にて、少なくとも2回、本焼成を行い、一般
    式、 【化3】Bi2Sr2YCu28+y (yは0以上1以下) にて表され、かつ2212相からなる結晶構造を有する
    複合酸化物を主成分とする材料を得る材料製造方法。
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