JP2919435B2 - 非プロトン性極性溶媒とエーテルと水とをベースにした剥離用組成物 - Google Patents

非プロトン性極性溶媒とエーテルと水とをベースにした剥離用組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は基材を被覆したペイ
ント、ワニスまたはラッカーを剥離するための組成物に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】ペイント、ワニスまたはラッカー用剥離
剤は2通りの使用方法がある。すなわち塗布 (depot)
か、浸漬で用われる。塗布用剥離剤は一般にブラシを用
いて塗布されるか、噴霧によって塗布される。この剥離
剤は大抵の場合増粘剤を含み、室温(20℃)で使用さ
れ、小さい品物や浸漬が不可能な物の剥離に使用され
る。このカテゴリーに入るのは個人向け剥離剤、建設で
のプロ用剥離剤および航空機用剥離等である。浸漬型の
剥離剤は、低温浴(大抵は塩化メチレンをベースにした
もの)または高温浴(大抵は苛性ソーダをベースにした
もの)で用いられ、特に小さい製品を大量に剥離処理す
るのに用いられる(工業的剥離)。
【0003】欧州特許第 490,726号には1〜20容積%の
非プロトン性極性溶媒、例えばジメチルスルホキシド
(DMSO)またはN-メチルピロリジノン(NMP)
と、99〜80容積%のエーテル、例えばテトラヒドロフラ
ンとを含む剥離用組成物が記載れれている。欧州特許第
573,339号にはDMSOやNMPのような非プロトン性
極性溶媒1〜20容積%と、引火点が0℃以上でモル容積
が160 以下で、分子中に1つまたは複数のメトキシ基を
有するエーテル99〜80体積%とを含む剥離用組成物が開
示されている。このエーテルはアニソールにすることが
できる。上記2種類の剥離用組成物は剥離作用に関して
は非常に効果的であるが、コストが高いという欠点があ
る。
【0004】国際特許第WO 93/07227 号にはペイント剥
離に効果な溶媒または溶媒混合物に水を添加する方法が
開示されている。この特許に記載の組成物は、 (1)酢酸
エチル、メチルエチルケトンおよびトルエンから選択さ
れる少なくとも一種の有機溶媒と、 (2)水と、(3) 少な
くとも一種の増粘剤と、(4) 少なくとも一種の表面活性
剤とを含んでいる。しかし、この組成物の効果は使用す
る有機溶媒の量に単純に比例し、いずれにせよ効果は純
粋溶媒の比べて低い。従って、コストが低く、少なくと
も従来の組成物と同様な効果を有する別の剥離用組成物
に対する強い要求がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本出願人は、水/溶媒
型の水性組成物は水なしで用いた場合のアニソールより
も高いペイント剥離効果を示すということを見出した。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の対象は、少なく
とも下記3成分を含むことを特徴とするペイント、ワニ
スまたはラッカーの剥離用組成物にある: (1) 非プロトン性極性溶媒 (2) アニソールおよびテトラヒドロフラン(THF)か
ら選択されるエーテル (3) 水
【0007】
【発明の実施の形態】例えば、非プロトン性極性溶媒が
DMSOの場合、上記3成分を組み合わせたものは3つ
の中の2成分を組み合わせた組成物:DMSO/エーテ
ル、DMSO/水および水/エーテルよりはるかに効果
が高い。上記3成分のいくつかの組成物では、剥離時間
が短いという点で驚くべき結果が得られている。水はD
MSOおよびエーテルの他の成分として作用する。本発
明は下記のような種々の塗料剥離分野で使用することが
できる: (a) 個人用途の剥離 (b) 建設業でのプロ用剥離 (c) 工業的剥離 (d) 航空機関連の剥離
【0008】非プロトン性極性溶媒はジメチルスルホキ
シド(DMSO)にするのが有利である。また、非プロ
トン性極性溶媒をN-メチルピロリジノン(NMP)にす
るのも有利である。各成分は下記比率で用いるのが有利
である: (1) 1〜75重量部の非プロトン性極性溶媒 (2) 10〜90重量部のエーテル (3) 1〜90重量部の水 好ましい各成分の比率は下記の通り: (1) 25〜65重量部の非プロトン性極性溶媒 (2) 10〜40重量部のエーテル (3) 10〜40重量部の水
【0009】特に好ましい組み合わせは下記の通り: (1) 10重量部のDMSO (2) 25重量部のアニソール (3) 62重量部の水。 別の好ましい組み合わせは下記の通り: (1) 50重量部のDMSO(非プロトン性極性溶媒) (2) 25重量部のアニソール (3) 25重量部の水 別の好ましい組み合わせは下記の通り: (1) 70重量部のDMSO (2) 15重量部のTHF (3) 15重量部の水 別の好ましい組み合わせは下記の通り: (1) 50重量部のDMSO (2) 25重量部のTHF (3) 25重量部の水 さらに別の好ましい組み合わせは下記の通り: (1) 50重量部のNMP (2) 25重量部のアニソール (3) 25重量部の水
【0010】本発明組成物は、活性化剤、増粘剤および
腐蝕防止剤の中から選択される1つまたは複数の他の成
分を含むのが好ましい。活性化剤は、例えばモノエタノ
ールアミン、30%アンモニア水溶液および蟻酸から選択
することができる。増粘剤は、例えばセルロースベース
の化合物またはポリアクリル系化合物である。腐蝕防止
剤は、例えば安息香酸ナトリウムにすることができる。
本発明は以下の実施例からより明確に理解できよう。下
記実施例では、組成物の各成分の含有率は全て組成物総
重量に対する重量%を表している。
【0011】
【実施例】実施例1 DMSO/アニソール/水の3成分系 工業的組成物(40℃の加熱浸漬用)を用いるために、自
動車産業用のペイントを使用した。このペイントはエタ
ロン社(Etalon company, France)から市販のポリエステ
ルラッカー(Herberts Glacier White 389)である。被
膜の厚さは35〜45μmとした。使用した金属パネルはリ
ン酸塩被覆鋼から成り、表面に90×190mmの長方形被覆
部分を有する。このパネルでの性能の比較は、ポリエス
テルペイントよりも剥離し易い他のペイント、すなわち
フタル酸グリセリンペイント、アルキドペイントおよび
アクリルペイントに対して一般化することができる。D
MSO/アニソール/水の3成分系の相乗効果は〔表
1〕に示す結果から明らかである。
【0012】
【表1】 (注)1 温度20℃で脱脂綿に染み込ませて測定 2 エマルションを使用前に均質化した 4時間後、純粋なDMSOでは全く剥離しない。純粋な
純アニソールの剥離時間は410 秒であった。
【0013】実施例2 DMSO/アニソール/水の3成分工業的剥離剤 (ポリエステルペイント用) パネル、ペイントおよび塗
布条件は実施例1と同じにした。試験は工業的剥離条件
を模倣した40℃の攪拌浴に浸漬して実施した。DMSO
/アニソール/水の3成分系の相乗効果は〔表2〕に示
す結果から明らかである。
【0014】
【表2】 (注)1 40℃の攪拌浴を用いた DMSO/アニソール/水の3成分系は不安定なエマル
ションの形をしているので、浴を攪拌する必要があっ
た。
【0015】実施例3 DMSO/アニソール/水の3成分系工業的剥離剤 (エポキシペイント用) 被試験ペイントはエタロン社か
ら市販のエポキシ樹脂(Herberts AC 27 静電スプレー
用)にした。3成分をDMSO/ベンジルエーテル(B
E)2成分系と比較した。この混合物の利点は剥離しに
くいペイントを処理する時に、温度を40℃以上に上げる
ことができる点にある。ベンジルエーテルの引火点が相
対的に高いので(100 ℃以上)、40℃以上の温度を用い
ることができる。DMSO/ベンジルエーテル(BE)
系は工業的剥離に有利な対照である。DMSO/アニソ
ール/水3成分系の効果は〔表3〕に示す結果から明ら
かである。
【0016】
【表3】 (注)1 モノエタノールアミン(1%)で活性化 2 40℃の浴、攪拌
【0017】実施例4 フタル酸グリセリンペイントでのDMSO/アニソール
/水3成分系 木材に塗布した厚さ25μmの6層のフタル酸グリセリン
ペイントを30分後にDMSO/アニソール/水3成分系
で剥離した。効果はDMSO/アニソール/水=50/25/
25の比率を用いて得られた。同じ性能がDMSO/アニ
ソール(30/70) 系を用いて得られた。
【0018】実施例5 DMSO/THF/水3成分系 DMSO/THF/水3成分系で実施例1と同じ条件、
同じペイントで効果を調べた。THFは周知の塗料膨潤
剤である(スイス国特許第CH-670832 号にも記載)が、
この溶媒は引火性が高いので使用が困難である。〔表
4〕から分かるように純粋なTHFと比較した場合、D
MSOと水を添加することで剥離時間を明らかに向上す
る。
【0019】
【表4】 (注)1 温度20℃で脱脂綿に染み込ませて測定
【0020】実施例6 増粘したDMSO/アニソール/水3成分系 3成分のある組成範囲を選択して、セルロースベースの
増粘剤で容易に増粘することができる。DMSO (10
%)/アニソール (25%)/水 (62%)/Methocell(3%) の
配合物を最適化した。この増粘した配合物の効果を複数
のペイント:アクリル形、フタル酸グリセリン形および
ポリエステル形で調べた。上記配合物をNMP (10%)
(N-メチルピロリジノン) 、DBE (40%)(二塩基のエ
ステル) 、水(48.7%)および Methocell(1.3 %)を
含む公知の増粘剥離剤と比較した。1時間後、アクリル
形を引掻いた。DMSOベースの配合物は基材に達する
ことができた。グリセロールペイントではDMSOベー
スの配合物が25μmの3つの被覆層を、各層を30分で攻
撃した。また、ポリエステルではDMSOベースの配合
物の剥離時間は約40分であった。NMPベースの公知の
配合物の場合では、アクリル形の攻撃は1時間後、一部
のみであり(基材に達しない)、フタル酸グリセリンペ
イントでは1時間後で全く効果は得られず、ポリエステ
ルの剥離時間は4時間以上であった。これらの結果から
本発明配合物が公知配合物より勝れていることは明らか
である。
【0021】実施例7 NMP/アニソール/水3成分系 実施例1と同じ条件で試験した。〔表5〕の結果はNM
P/アニソール系での水の効果を示している。
【0022】
【表5】 (注)1 温度20℃で脱脂綿に染み込ませて測定

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも下記3成分を含むことを特徴
    とするペイント、ワニスまたはラッカーの剥離用組成
    物: (1) 非プロトン性極性溶媒、 (2) アニソールおよびテトラヒドロフラン(THF)
    から選択されるエーテル、 (3) 水。
  2. 【請求項2】 非プロトン性極性溶媒がジメチルスルホ
    キシド(DMSO)である請求項1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】 非プロトン性極性溶媒がN-メチルピロリ
    ジノン(NMP)である請求項1に記載の組成物。
  4. 【請求項4】 各成分を下記比率で含む請求項1〜3の
    いずれか一項に記載の組成物: (1) 非プロトン性極性溶媒 1〜75重量部 (2) エーテル 10〜90重量部 (3) 水 1〜90重量部
  5. 【請求項5】 各成分を下記比率で含む請求項4に記載
    の組成物: (1) 非プロトン性極性溶媒 25〜65重量部 (2) エーテル 10〜40重量部 (3) 水 10〜40重量部
  6. 【請求項6】 下記成分を含む請求項5に記載の組成
    物: (1) DMS 50重量部 (2) アニソー 25重量部 (3) 水 25重量部
  7. 【請求項7】 下記成分を含む請求項4に記載の組成
    物: (1) DMS 10重量部 (2) アニソー 25重量部 (3) 水 62重量部
  8. 【請求項8】 下記成分を含む請求項4に記載の組成
    物: (1) DMS 70重量部 (2) アニソー 15重量部 (3) 水 15重量部
  9. 【請求項9】 下記成分を含む請求項5に記載の組成
    物: (1) DMS 50重量部 (2) THF 25重量部 (3) 水 25重量部
  10. 【請求項10】 下記成分が含む請求項5に記載の組成
    物: (1) NM 50重量部 (2) アニソー 25重量部 (3) 水 25重量部
  11. 【請求項11】 モルエタノールアミン、増粘剤および
    腐蝕防止剤の中から選択される少なくとも1つの成分を
    さらに含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成
    物。
JP9159240A 1996-05-31 1997-06-02 非プロトン性極性溶媒とエーテルと水とをベースにした剥離用組成物 Expired - Lifetime JP2919435B2 (ja)

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