JP2917756B2 - 後輪操舵方法 - Google Patents

後輪操舵方法

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JP2917756B2
JP2917756B2 JP16791493A JP16791493A JP2917756B2 JP 2917756 B2 JP2917756 B2 JP 2917756B2 JP 16791493 A JP16791493 A JP 16791493A JP 16791493 A JP16791493 A JP 16791493A JP 2917756 B2 JP2917756 B2 JP 2917756B2
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信夫 百瀬
喜一 山田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、操舵に対して車両が非
線形に応答するような限界状態における過大な操舵に起
因してパニック状態が発生したときに車両の急激な挙動
変化を抑制できる後輪操舵方法に関する。
【0002】
【従来の技術】運転者が意図した車両旋回を可能とする
一方で、横風、路面凹凸などの外乱を受けた場合にも車
両走行進路の変動を防止可能とするため、車両の操縦性
および安定性の向上が図られる。このため、タイヤおよ
びサスペンションの性能向上が図られている。又、ハン
ドル操作に応じて前輪および後輪の双方を操舵する四輪
操舵を行うことも知られている。
【0003】典型的な四輪操舵では、中高速域での車両
旋回中に後輪が前輪と同相側に操舵される。そして、操
縦安定性を更に向上するため、操舵初期から定常旋回に
至るまでの過渡状態での、操舵に対する車体の追従遅れ
を低減すべく、前輪操舵に対する後輪操舵動作のタイミ
ングを遅らせる一次遅れ制御や、旋回初期に後輪を一瞬
逆相に操舵する位相反転制御や、車両旋回時に車両に発
生するヨーレイトに応じて後輪を操舵するヨーレイト比
例制御が提案されている。この種の四輪操舵制御は、通
常の車両走行状態、すなわち運転者によるハンドル操作
に対して車両の挙動が線形に変化するような非限界状態
では有用である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、何らか
の理由で、ハンドル操作に対して車両が非線形応答する
ような限界状態に至ることがある。この限界状態では、
ハンドル操作に即応して車両が旋回せず、このため、運
転者がハンドルを過剰に操作することになる。結果とし
て、車両挙動を収束不能になるおそれのあるパニック状
態に突入する。そして、このパニック状態が継続する
と、車両挙動が発散的になって、車両挙動をハンドル操
作によっては制御できなくなる。
【0005】例えば、レーンチェンジ中に、発散的な車
両挙動が生じることがある。図1は、当初は非限界状態
にあった車両がレーンチェンジ中に限界状態になって、
車両挙動を収束不能になる場合を示す。この図示例で
は、レーンチェンジを開始すべくt0時点で運転者がハ
ンドルを切り始めている。この時点では車両は非限界状
態にあり、従って、その後のハンドル操作に応じて車両
が旋回する。即ち、ハンドル角の変化方向と同一の方向
に車両のヨーレイトが変化する(図2及び図3参照)。
【0006】しかし、レーンチェンジを完了すべくt1
時点で運転者がハンドルを切り戻したときには車両が既
に限界状態にあり、ハンドルが切り戻されていても、し
ばらくはヨーレイトが漸増する。即ち、車両の向きは余
り変化しない。換言すれば、限界状態に突入すると、車
両の向き(ヨーレイト)はハンドル操作に対して大幅な
位相遅れを生じる。この様に、ハンドルを切り戻しても
車両の向きが変わらないと、運転者は、ハンドルを更に
切り戻すことになる。
【0007】そして、t2時点近傍でタイヤのグリップ
力が回復し始めると、車両の向きがハンドル切り戻し方
向に変化し始め、その後、それまでに行われた過剰なハ
ンドル切り戻し操作に対応して車両の向きが急激に変化
する(ヨーレイトの大きさが急増する)。この様に、車
両の向きが急変すると、運転者は車両挙動変化に追従で
きず、時点t4に至ってから逆方向へのハンドル操作を
開始する。すなわち、ハンドル操作は、車両挙動変化に
対して大幅な位相遅れを生じる。
【0008】その後、ハンドル操作に対する大幅な車両
の応答遅れと、これに起因する過剰なハンドル操作と、
車両挙動の急変と、車両挙動変化に対する大幅なハンド
ル操作遅れおよび過剰なハンドル操作とが、循環的に生
じることになる。この様にハンドル操作に対する車両の
応答遅れと車両挙動に対する運転者の応答遅れとが生じ
る限界状態にあっては、運転者が車両挙動を収束しよう
として過剰なハンドル操作を行うことになり、この結
果、車両挙動を収束不能になるおそれのあるパニック状
態に突入する。
【0009】そこで、本発明の目的は、限界状態におけ
る過大な操舵に起因して車両がパニック状態へ突入した
後に生じる急激な車両挙動変化を抑制するためのパニッ
ク対応制御機能を備えて、発散的な車両挙動を未然に防
止できる後輪操舵方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の後輪操舵方法
は、操舵に対して車両が非線形応答するような限界状態
において過大な操舵が行われたときに、車両の挙動変化
を抑制する方向に後輪を操舵するものであって、車両挙
動パラメータと制御ゲインとの積として求められる角度
だけ所定時間にわたって車両挙動パラメータと同一方向
に後輪を操舵することにより、挙動変化抑制方向への後
輪操舵を行う。ここで、制御ゲインを、第2所定時間に
わたって一定値に設定し、第2所定時間が経過した後は
時間経過につれて一定値から漸減する値に設定する。
ましくは、車両挙動パラメータは車両のヨー角加速度で
ある。
【0011】好ましくは、第2車両挙動パラメータが操
舵パラメータの変化方向と異なる方向に変化していると
きに車両が限界状態にあると判別する。又、車両が限界
状態にある間に限界状態への突入時点からの操舵パラメ
ータの変化量が閾値を上回ったときに、過大な操舵が行
われたと判別する。より好ましくは、操舵パラメータと
してハンドル角を用いると共に、第2車両挙動パラメー
タとして車両のヨーレイトを用いる。
【0012】好ましくは、車速が所定車速を上回ってい
るときにのみ、限界状態についての判別を行う。
【0013】
【作用】先ず、車両が限界状態にあるか否かが判定され
る。このため、例えば、第2車両挙動パラメータの変化
方向を表す車両のヨーレイト変化率の符号と、操舵パラ
メータの変化方向を表すハンドル角変化率(ハンドル操
舵速度)の符号とが検出され、互いに比較される。
【0014】操舵に対して車両挙動が線形に応答する非
限界状態にあっては、多少の応答遅れはあるものの、車
両挙動の変化方向が操舵の変化方向と相違することはな
い。一方、操舵に対して車両挙動が非線形に応答する限
界状態では、ハンドル角に対するヨーレイトの大幅な位
相遅れを伴うことに起因してハンドルを切り戻してもし
ばらくの間はヨーレイトがハンドル切り戻し前と同一方
向に漸増し続ける(操舵方向が既に反転しているにもか
かわらず車両の向きが変化しない)という現象が現れ
る。換言すれば、限界状態では、車両挙動の変化方向が
操舵の変化方向と相違するに至る。
【0015】そこで、第2車両挙動パラメータの変化方
向が操舵パラメータの変化方向と異なるときに、車両が
限界状態に突入したと判別する。即ち、ステアリングハ
ンドルがプラス方向からマイナス方向に切り戻される場
合(図4)には図4の第1象限中に斜線を施して示す円
形領域内へt1時点で突入したときに、又、ハンドルが
マイナス方向からプラス方向に切り戻される場合(図示
略)には上記円形領域と同様の、図4において第3象限
中に存する円形領域(図示略)内へ突入したときに、限
界状態への突入が判別される。
【0016】車両が限界状態にあっても、車両挙動を収
束不能になるパニック状態に直ちに移行するものではな
いが、限界状態では操舵に対する車両応答が大幅に遅れ
ることから運転者による過剰な操舵が行われ易く、この
場合、パニック状態に至る。そこで、車両がパニック状
態にあるか否かを判定すべく、限界状態において過大な
操舵が行われたか否かが判別される。このため、車両が
限界状態にある間に限界状態への突入時点からの操舵パ
ラメータ(例えばハンドル角)の変化量と閾値とが比較
される。そして、操舵パラメータ変化量が閾値を上回っ
たときに(図4の場合は、円形領域内への突入時点から
当該円形領域内でハンドル角変化量が閾値以上に増大又
は減少したときに)、パニック状態に突入したと判別す
る。
【0017】この様にパニック状態への突入が判別され
ると、車両の挙動変化を抑制する方向に後輪が操舵され
る。詳しくは、後輪が車両挙動パラメータ(例えばヨー
角加速度)と同一方向にかつ車両挙動パラメータの大き
さに応じた角度だけ所定時間にわたって操舵される。こ
の後輪操舵角度は、第2所定時間にわたって一定値をと
ると共に第2所定時間が経過した後は時間経過につれて
一定値から漸減する値をとる制御ゲインと、車両挙動パ
ラメータとの積として求められる。この結果、パニック
状態への突入直後での車両挙動変化が抑制される。この
様に車両挙動変化が抑制されると、運転者は、車両の挙
動変化に対して、より適正なハンドル操作を行うことが
可能となる。
【0018】結果として、ハンドル操作に対する大幅な
車両の応答遅れ→これに起因する過剰なハンドル操作→
車両挙動の急変→車両挙動変化に対する大幅なハンドル
操作遅れおよび過剰なハンドル操作という、発散的な車
両挙動を誘発する連鎖が断ち切られる。従って、運転者
によるハンドル操作により車両挙動を収束可能となり、
発散的な車両挙動が未然に防止される。
【0019】車両の低速走行中は、一般には、運転者の
ハンドル操作により車両挙動を収束させることができ
る。そこで、本発明の特定の態様では、限界状態につい
ての判別、ひいてはパニック対応制御としての後輪操舵
を、車速が所定車速を上回っているときにのみを行う。
【0020】
【実施例】図5を参照すると、自動車の左右の前輪1
L,1Rは、タイロッド3を介して前輪パワーステアリン
グ装置2に連結されている。この装置2は、後述の各種
要素と協働して、本発明の一実施例による後輪操舵制御
方法が適用される四輪操舵装置を成すもので、ステアリ
ングハンドル4によって作動されるラック・ピニオン機
構(図示略)と、これに連結され油圧シリンダからなる
前輪操舵アクチュエータ(図示略)とから構成されてい
る。
【0021】前輪操舵アクチュエータは、ステアリング
ハンドル4によって作動される前輪操舵バルブ5を介し
て、ポンプユニット6の一方の油圧ポンプ7に接続され
ている。ポンプユニット6は、エンジン8によって駆動
される2連ポンプからなり、他方の油圧ポンプ9は、後
輪操舵バルブ10を介して後輪操舵アクチュエータ11
に接続されている。
【0022】後輪操舵アクチュエータ11も油圧シリン
ダからなり、該アクチュエータ11のピストンロッド
は、タイロッド12を介して左右の後輪13L,13Rに
連結されている。図5中、参照符号14はリザーバタン
クを示す。前輪操舵アクチュエータは、ステアリングハ
ンドル4の操舵時の、前輪操舵バルブ5を介する油圧ポ
ンプ7からの作動油供給により、操舵方向に応じて作動
するようになっている。これに対して、後輪操舵アクチ
ュエータ11の作動は、コントローラ15によって制御
される。即ち、コントローラ15は、ステアリングハン
ドル4が操舵されたとき、後輪操舵バルブ10に車両走
行状態に適した作動制御信号を供給し、これにより、油
圧ポンプ9からバルブ10を介して後輪操舵アクチュエ
ータ11に供給される作動油圧を制御するようにしてい
る。
【0023】上述の前後輪操舵アクチュエータ作動制御
に関連して、コントローラ15は、各種のセンサやメー
タ類に対して電気的に接続されている。即ち、コントロ
ーラ15には、車速センサ26およびメータ類からの車
速Vや各種機器の作動状態を示すセンサ信号と、ハンド
ル角センサ16からのハンドル角θHを示すセンサ信号
と、後輪操舵角センサ17からの実後輪操舵角δRaを示
すセンサ信号とが供給され、更に、パワステ圧(パワー
ステアリング装置2ひいては前輪操舵アクチュエータの
作動圧)を示すセンサ信号が供給されるようになってい
る。本実施例では、一対の圧力センサ18,19により
夫々検出される前輪操舵アクチュエータの左右の圧力室
(図示しない)の圧力PL,PRの差を、パワステ圧とし
て求めるようにしている。更に、コントローラ15に
は、車両の実際のヨーレイト(車体重心まわりの自転運
動の速さ)を検出するためのヨーレイトセンサ60が接
続され、該センサ60からの実際ヨーレイトYを示す信
号がコントローラ15に供給されるようになっている。
【0024】図6に示すように、コントローラ15は、
機能的には、ハンドル角センサ16,後輪操舵角センサ
17,車速センサ26,ヨーレイトセンサ60及びメー
タからのデータを受け取る入力部30と、圧力センサ1
8,19からの信号を受け取るA/D変換部31と、入
力部30からのデータに基づき、車両の走行モードを判
定するモード判定部32と、入力部30及びA/D変換
部31からのデータに基づいて路面摩擦係数(路面μ)
を演算する路面μ検出部33とを備えている。更に、コ
ントローラ15は、入力部30、モード判定部32及び
路面μ検出部33からのデータに基づき、後輪操舵バル
ブ10の作動制御信号SRを算出する操舵バルブ作動制
御部34と、該制御部34で算出した作動制御信号SR
を後輪操舵バルブ10に向けて出力する出力部35とを
備えている。
【0025】モード判定部32は、ハンドル角θH、車
速V及びメータから入力部30に供給されるデータに基
づき、後輪の操舵操舵モード(例えば、その制御の中
止、後輪の大舵角制御、後輪の位相制御)を選択する機
能を有している。又、路面μ検出部33は、ハンドル角
θH、車速V、圧力PL,PRから路面μを検出する機能
を有している。
【0026】図7に示すように、路面μ検出部33は、
圧力センサ18,19からの圧力PL,PRの差をパワス
テ圧ΔPとして算出する減算部22を備えている。そし
て、減算部22からのパワステ圧ΔPは、ノイズを除去
すると共にステアリングハンドル4の操舵過渡期でのハ
ンドル角θHに対するパワステ圧ΔPの位相進みを補償
すべく、位相補償フィルタ21を経て、路面μ演算部2
0に供給される。該演算部20には、ハンドル角センサ
16および車速センサ26によって検出したハンドル角
θH及び車速Vが供給される。そして、路面μ演算部2
0は、次式に従って、パワステ圧ΔP、ハンドル角θH
および車速Vから、路面μを算出する。
【0027】 ΔP/θH=μ・C1・V2/(μ+C2・V2) ここで、C1,C2は定数を表す。詳細な説明を省略する
が、上式は、コーナリングフォースに略比例するパワス
テ圧ΔPが横滑り角と路面μとの積に比例すると共に、
横滑り角が車速V、ハンドル角θHおよび路面μの関数
として表されることから導出される。
【0028】路面μ演算部20にて算出された路面μ
は、その変化率が所定範囲内にあるときに、μ変動制限
部23から安定化フィルタ24に送出され、該フィルタ
24により路面μの値が安定化される。以下、路面μ検
出部33としてのコントローラ15の作動を簡単に説明
する。先ず、圧力センサ18,19、ハンドル角センサ
16及び車速センサ26(メータ)により検出された圧
力PL,PR、ハンドル角θH及び車速Vが、コントロー
ラ15により読み込まれる。次に、パワステ圧ΔP(=
PR−PL)が算出され、これにフィルタ処理が施され、
これによりステアリングハンドル4の操舵過渡期におけ
るパワステ圧ΔPの位相進みが除去される。そして、ハ
ンドル角θHの大きさ及びその変化動向に基づいて、ス
テアリングハンドル4が切り込まれているか、又は、保
舵されているかが判別される。ハンドル4が切り込まれ
ていれば、ハンドル角θHの絶対値が所定値θ1(例え
ば10°)以上か否かが更に判別される。ハンドル4が
保舵されているか、或は、ハンドル角θHが所定値θ1
に達していなければ、センサ出力の読み込み以降の手順
が繰り返される。ハンドル角θHが所定値θ1以上であっ
てパワステ圧ΔPが実質的に立ち上がっていれば、パワ
ステ圧ΔPとハンドル角θHとの比(ΔP/θH)が求め
られる。
【0029】次に、前輪の慣性などの影響を除去して路
面μを正確に算出するために、パワステ圧ΔPの向きと
ハンドル角θHの向きとが同じか否かを判別すべく、Δ
P/θHの符号が正か否かが判別される。この判別結果
が否の場合には、フィルタ処理に起因してパワステ圧Δ
Pとハンドル角θHとの間に位相の反転が生じていると
判断し、センサ出力の読み込み以降の手順が繰り返され
る。これに対して、ΔP/θHの符号が正であれば、次
式で表される係数Kμが、路面μ演算部20のメモリ
(図示略)に格納されたマップから読み出される。
【0030】Kμ=1+C2・V2/(C1・V2) 次に、係数Kμと値ΔP/θHとを乗算することによ
り、路面μが算出される。更に、算出された路面μの変
化率(微分値)dμ/dtが所定値Δμ(例えば、0.
2μ/sec)以内にあるか否かが判別される。この判別
結果が否の場合には、センサ出力の読み込み以降の手順
を実行し、一方、判別結果が正の場合には、路面μの値
を安定化させるためのフィルタ処理を施して路面μの急
変を防止した後に、路面μが、操舵バルブ作動制御部3
4に供給される。
【0031】操舵バルブ作動制御部34は、モード判定
部32及び路面μ検出部33からの出力データに基づい
て後輪操舵バルブ作動制御信号SRを算出するもので、
モード判定部32により後輪位相制御が選択された場合
には、路面μ、ハンドル角θH、車速Vに基づいて後輪
操舵角δRを演算する。制御部34は、その後輪操舵角
演算機能に関連して、図8に示すように構成されてい
る。
【0032】即ち、操舵バルブ作動制御部34におい
て、車速センサ26からの車速信号Vは、フィルタ部4
1を介して、車速補正部42及び逆相係数演算部45に
供給され、又、路面μ検出部33からの路面μ信号は、
同相係数演算部43及び逆相係数補正部46に供給され
る。車速補正部42では、例えば次式に基づいて補正車
速V’が算出される。次式から明らかなように、補正車
速V’は、路面μの低下に応じて実車速Vよりも大きな
値をとることになる。
【0033】V’=V+(1−μ)・Kv ここで、Kvは補正係数で、例えば20km/hに設定され
ている。次の同相係数演算部43では、同相係数K1が
補正車速V’に基づいて演算される。高μ路にあって
は、同相係数K1は、例えば60km/h以上の中速域
において車速が増加するにつれて増加し、車速が高速域
に達すると一定値に収束する。又、低μ路にあっては、
同相係数K1は、路面μの低下分に応じて増加するよう
に補正される。
【0034】次の同相操舵角演算部44には、ハンドル
角センサ16からのハンドル角信号θHと同相係数演算
部43からの同相係数K1が供給され、該演算部44で
は、同相係数K1をステアリングギヤ比ρで除して得た
値(K1/ρ)がハンドル角θHに乗じられて、後輪の同
相操舵角δ1が算出される。逆相係数演算部45では、
図示しないマップに従って、車速Vから高μ路に適した
逆相係数K2が求められる。逆相係数K2は、車速が30
km/h近傍である低速域内にあるときに最大値をと
り、車速が30km/h近傍から離れるに従って小さく
なる。
【0035】次の逆相係数補正部46では、高μ路に適
合した逆相係数K2は、路面μに応じて次式により補正
される。次式から明らかなように、路面μが低下する
と、補正後の逆相係数K2は路面μの低下分だけ増加す
る。 K2=K2(a−b・μ) ここで、a,bは定数である。
【0036】ハンドル角信号θHは、微分演算部47に
おいて微分され、これによりハンドル角速度(ハンドル
操舵速度)ΔθHが算出される。そして、次の逆相操舵
角演算部48では、逆相係数補正部46からの補正済み
逆相係数K2をステアリングギヤ比ρで除して得た値が
ハンドル角速度ΔθHに乗じられ、これにより逆相操舵
角δ2が求められる。次の制限部49は、入力した逆相
操舵角δ2の絶対値が所定値(例えば、0.03°)以
上であるときに入力値を、又、所定値よりも小さいとき
には0°を逆相操舵角δ2として出力する。
【0037】操舵バルブ作動制御部34は、ヨーレイト
センサ60からのヨーレイト信号Yを入力してこれを微
分する微分演算部50と、図9に示すマップに従ってフ
ィードバックゲインK3を演算するフィードバックゲイ
ン演算部51とを更に備える。次の乗算部52では、微
分演算部50からのヨーレイトの微分値(ヨーレイト角
加速度)ΔYに演算部51からのフィードバックゲイン
K3が乗じられて、パニック対応制御のための操舵角δ3
が求められる。
【0038】そして、加減算部53では、同相操舵角δ
1と操舵角δ3との和から逆相操舵角δ2が減算されて、
後輪操舵角δRが算出される。操舵バルブ作動制御部3
4は、斯く算出された後輪操舵角δRと後輪操舵角セン
サ17からの実後輪操舵角δRaとの偏差に応じた作動制
御信号SRを、出力部35を介して、後輪操舵バルブ1
0に向けて出力し、これにより、後輪操舵アクチュエー
タ11は、後輪13L,13Rの実操舵角を後輪操舵角δ
Rに一致させるべく作動する。
【0039】以下、図10及び図11を参照して、コン
トローラ15により実行される限界状態及びパニック状
態判定処理を説明する。車両走行中、コントローラ15
は、図10及び図11の判定処理を、たとえば5ミリ秒
の所定周期で繰り返し実行する。判定処理の各サイクル
において、コントローラ15は、パニックフラグから所
定値たとえば「2」を減算し(ステップS1)、次に、
パニックフラグが負であるか否かを更に判別する(ステ
ップS2)。このパニックフラグは、例えば、コントロ
ーラ15に内蔵の図示しないレジスタに格納され、その
初期値は、図示しない初期化処理において「0」に設定
される。
【0040】パニックフラグが負であるとステップS2
で判別すると、コントローラ15は、パニックフラグを
「0」に再設定してパニックフラグが常に「0」以上の
値をとるようにし、また、フラグFを、図12のパニッ
ク対応制御用操舵角演算処理(後述)を実行中ではない
ことを表す値「0」にリセットする(ステップS3)。
【0041】次に、コントローラ15は、フラグFがパ
ニック対応制御用操舵角演算処理の実行中を表す値
「1」であるか否かを判別する(ステップS3A)。こ
の判別結果が肯定であれば、今回サイクルでの判定処理
を終了する。フラグFは、後述のようにしてパニック状
態への突入が判別されたときに「1」にセットされるも
のであるので、通常は、ステップS3Aでの判別結果は
否定となる。
【0042】フラグFが「1」でないとステップS3A
で判別すると、コントローラ15は、車速センサ26に
より検出された車速Vが車速閾値たとえば30km/h
を上回っているか否かを判別する(ステップS4)。な
お、パニックフラグが負でないとステップS2で判別さ
れた場合は、本プログラムはステップS2からステップ
S3Aに移行する。
【0043】車速Vが閾値を上回っておらず、従って、
車両が低速域で走行しているとステップS4で判別する
と、コントローラ15は、低速域での限界状態及びパニ
ック状態判定は不要であると判断する。この場合、コン
トローラ15は、これに内蔵した待ちカウンタの値に
「1」を加算し(図11のステップS5)、次に、待ち
カウンタ値が待ちカウンタ閾値たとえば「30」よりも
大きいか否かを判別する(ステップS6)。なお、待ち
カウンタには、初期化処理において、待ちカウンタ閾値
が待ちカウンタ初期値として設定される。
【0044】待ちカウンタ値が待ちカウンタ閾値よりも
大きいとステップS6で判別すると、コントローラ15
は、車両が限界状態に突入した時点から現時点までのプ
ラス方向およびマイナス方向(例えば左旋回および右旋
回に夫々対応)への操舵量を夫々表すプラス操舵量およ
びマイナス操舵量を「0」に夫々設定すると共に、待ち
カウンタに待ちカウンタ閾値を設定し(ステップS
7)、これにより今回サイクルでの判定処理を終了す
る。一方、待ちカウンタ値が待ちカウンタ閾値よりも大
きくないと判別されると、ステップS7をスキップして
今回サイクルの判定処理を終了する。
【0045】その後、ステップS1〜S6又はステップ
S1〜S7を繰り返し実行している間に、車速Vが車速
閾値を上回ると、ステップS4での判別結果が肯定にな
る。この場合、コントローラ15は、ステップS8にお
いて、ハンドル角センサ16からのハンドル角データθ
Hn及びヨーレイトセンサ60からのヨーレイトデータY
nを読み込むと共に、前回サイクルでコントローラ15
のメモリ(図示略)に格納したハンドル角データθHn-1
およびヨーレイトデータYn-1をメモリから読み出す。
次に、コントローラ15は、今回ハンドル角θnと前回
ハンドル角θn-1との偏差(θn−θn-1)を今回ハンド
ル操舵速度Δθnとして算出し、又、今回ヨーレイトYn
と前回ヨーレイトYn-1との偏差(Yn−Yn-1)を今回
ヨーレイト変化率ΔYnとして算出する。そして、コン
トローラは、ハンドル操舵速度Δθnの符号(操舵パラ
メータとしてのハンドル角θHの変化方向)が正でかつ
ヨーレイト変化率ΔYnの符号(車両挙動パラメータと
してのヨーレイトYの変化方向)が負であるか否かを判
別する。
【0046】車両が非限界状態にあればハンドル操舵速
度Δθnとヨーレイト変化率ΔYnは互いに同一符号であ
るので、ステップS8での判別結果は否定となる。この
場合、コントローラ15は、ハンドル操舵速度Δθnの
符号が負でかつヨーレイト変化率ΔYnの符号が正であ
るか否かを判別する(ステップS9)。車両が非限界状
態にあれば上述の理由でステップS9での判別結果は否
定になる。この場合、本プログラムは、上記ステップS
5へ移行する。
【0047】上述の説明から明かなように、非限界状態
において低速域又はそれ以外の中高速域での車両走行が
継続している場合には、ステップS1,S2及びS4〜
S7、或は、ステップS1,S2,S4,S8,S8及
びS4〜S7が繰り返し実行される。その後、車両が限
界状態にあるときに、運転者がステアリングハンドル4
をマイナス方向からプラス方向に切り戻したとする。こ
の場合、ハンドル操舵速度ΔθHの符号は正になる。一
方、車両が限界状態にあっては操舵に対する車両の大幅
な応答遅れが生じるので、ハンドル切り戻し時点からし
ばらくの間、ヨーレイト変化率ΔYはハンドル切り戻し
前と同一符号である負の符号をとる。従って、ステップ
S8の判別結果は肯定になり、コントローラ15は、車
両が限界状態に突入したと判別する。
【0048】そして、限界状態への突入の判別後、コン
トローラ15は、車両が限界状態からパニック状態へ移
行したか否かを監視し続ける。ここでは、プラス方向へ
のハンドル操作により限界状態への突入が顕在化したの
で、限界状態突入時点以降のプラス方向へのハンドル操
作量を監視する。このため、コントローラ15は、ステ
ップS10において、今回サイクルのステップS8で算
出したハンドル操舵速度ΔθHをプラス操舵量に加算
し、この加算結果を新たなプラス操舵量としてメモリに
格納する。一方、マイナス操舵量および待ちカウンタは
夫々「0」にリセットされる。次に、コントローラ15
は、更新済みのプラス操舵量が操舵角閾値(たとえば2
5度)よりも大きいか否かを判別する(ステップS1
1)。限界状態突入時点ではプラス操舵量は通常は
「0」であり、従って、これにハンドル操舵速度ΔθH
を加算して得た新たなプラス操舵量が操舵角閾値を直ち
に上回ることは通常はない。この場合、ステップS11
の判別結果は否定になり、今回サイクルでの判定処理を
終了する。
【0049】次回およびそれ以降の判定サイクルにおい
て、ステップS8での判別結果が肯定になるような限界
状態が継続していれば、判定サイクルが実行される度に
ステップS10においてプラス操舵量にハンドル操舵速
度ΔθHが加算される。この様に累積加算されるハンド
ル操舵速度ΔθHすなわちプラス操舵量は、プラス方向
への操舵によって生じた限界状態への突入時点以降にお
けるプラス方向への操舵量を表す。又、ハンドル角θH
よりも位相が進んでいるハンドル操舵速度ΔθHに基づ
いてプラス操舵量を算出するので、斯く算出されるプラ
ス操舵量は、実際操舵量よりも位相が進んだ、操舵量の
予測値を表す。
【0050】そして、プラス操舵量が操舵角閾値を上回
っていなければ、車両が未だパニック状態へ突入してい
ないと判断され、今回サイクルでの判定処理を終了す
る。その後の判定サイクルのステップS11でプラス操
舵量が操舵角閾値を上回ったと判別すると、コントロー
ラ15は、限界状態への突入時点以降において過剰な操
舵が行われ、従って、車両がパニック状態へ突入し或は
パニック状態への突入のおそれがあると判別する。この
場合、コントローラ15は、パニックフラグを、パニッ
ク状態への突入を表す所定値たとえば「1000」に設
定し(ステップS12)、後述の、パニック対応制御に
用いる操舵角δ3を演算するための図12の処理を実行
可能とすべく、フラグFを「1」にセットする(ステッ
プS12A)。
【0051】また、限界状態においてステアリングハン
ドル4がプラス方向からマイナス方向へ切り戻されたと
きは、ハンドル操舵速度ΔθHの符号は負になり、その
一方で、ヨーレイト変化率ΔYは依然としてハンドル切
り戻し前と同一符号である正の符号をとる。この場合、
ステップS8の判別結果は否定になるが、ステップS9
の判別結果が肯定になり、従って、コントローラ15
は、車両が限界状態に突入したと判別する。
【0052】ここでは、マイナス方向へのハンドル操作
により限界状態への突入が顕在化したので、限界状態突
入時点以降のマイナス方向へのハンドル操作量を監視す
べく、コントローラ15は、ステップS10に対応する
ステップS13において、今回のハンドル操舵速度Δθ
Hをマイナス操舵量に加算して、マイナス操舵量を更新
する。一方、プラス操舵量および待ちカウンタは夫々
「0」にリセットされる。次に、コントローラ15は、
更新済みのマイナス操舵量が操舵角閾値と「−1」との
積よりも小さいか否かを判別する(ステップS14)。
限界状態突入時点ではマイナス操舵量は通常は「0」で
あり、従って、通常は、ステップS14の判別結果は否
定になり、今回サイクルでの判定処理を終了する。
【0053】次回およびそれ以降の判定サイクルにおい
て、ステップS9での判別結果が肯定になるような限界
状態が継続していれば、判定サイクルが実行される度に
ステップS13においてマイナス操舵量にハンドル操舵
速度ΔθHが加算される。そして、マイナス操舵量が操
舵角閾値と「−1」との積を下回っていなければ、車両
が未だパニック状態へ突入していないと判断され、今回
サイクルでの判定処理は終了する。
【0054】その後の判定サイクルのステップS14で
マイナス操舵量が操舵角閾値と「−1」との積を下回っ
たと判別すると、コントローラ15は、限界状態への突
入時点以降において過剰な操舵が行われ、従って、車両
がパニック状態へ突入し或はパニック状態への突入のお
それがある判別し、パニックフラグを「1000」に設
定し(ステップS12)、次に、フラグFを「1」にセ
ットする(ステップS12A)。
【0055】パニック状態への突入が判別された判定サ
イクルに続く判定サイクルのステップS1では、パニッ
クフラグから「2」が減算される。次に、パニックフラ
グが負ではないとステップS2で判別され、ステップS
3AでフラグFが「1」であると判別されて、当該サイ
クルでの判定処理を終了する。以下、図12を参照し
て、コントローラ15により実行されるパニック対応制
御用の操舵角(δ3)演算処理について説明する。
【0056】図12に示す操舵角演算処理は、図10及
び図11の限界状態及びパニック状態判定処理に続いて
かつ例えば5ミリ秒の所定周期で繰り返し実行される。
パニック対応制御用操舵角演算処理の各々の処理サイク
ルにおいて、コントローラ15は、フラグFが「1」で
あるか否かを判別する(ステップS20)。通常は、フ
ラグFは「0」にリセットされたままであるので、ステ
ップS20での判別結果は否定になり、今回サイクルで
の演算処理を直ちに終了し、図10及び図11の判定処
理に移行する。一方、図10及び図11の判定処理にお
いてパニック状態への突入が判別されてフラグFが
「1」にセットされると、図12の演算処理の実質的な
部分が開始される。
【0057】即ち、フラグFが「1」であるとステップ
S20で判別すると、コントローラ15は、パニックフ
ラグを所定値たとえば「30000」で除してフィード
バックゲインK3を求め(ステップS21)、次に、こ
のフィードバックゲインK3が「0.02」よりも大き
いか否かを判別する(ステップS22)。上述のよう
に、本実施例では、パニックフラグはパニック状態判別
時点で最大値「1000」をとり、従って、パニック状
態判別直後はフィードバックゲインK3が「0.02」
よりも大きい値をとり、ステップS22での判別結果は
肯定になる。この場合、ステップS21での算出値に代
えて「0.02」がフィードバックゲインK3として設
定される(ステップS23)。これにより、フィードバ
ックゲインK3は、パニック状態判別時点から所定時間
(本実施例では1秒間)にわたって「0.02」に維持
される(図9参照)。
【0058】次に、コントローラ15は、ヨーレイトセ
ンサ60からのヨーレイト信号Ynを読み込むと共に、
前回サイクルで読み取られメモリに格納されたヨーレイ
ト信号Yn-1をメモリから読みだし、両者の偏差(Yn−
Yn-1)を今回サイクルでのヨー角加速度ΔYとして求
める。更に、コントローラ15は、ステップS23で再
設定したフィードバックゲインK3(ゲインK3が「0.
02」よりも大きくないとステップS22で判別された
場合には、ステップS21で算出したゲインK3)を、
車両挙動パラメータとしてのヨー角加速度ΔYに乗じ
て、パニック対応制御のための操舵角δ3を求める(ス
テップS24)。
【0059】斯く算出された操舵角δ3は、図6及び図
8の操舵バルブ作動制御部34して機能するコントロー
ラ15によって実行される上述の後輪操舵角δR算出に
用いられる。ステップS24で操舵角δ3を算出した
後、コントローラ15は、上記後輪操舵角δR算出を含
む各種処理を実行し、次に、図10及び図11の判定処
理を再開する。この様に、コントローラは、たとえば5
ミリ秒の制御周期で、一連の制御処理を繰り返し実行す
る。
【0060】この結果、次回およびそれ以降のサイクル
の操舵角δ3演算処理では、制御周期毎に「2」だけデ
クリメントされるパニックフラグに基づいてフィードバ
ックゲインK3が算出される(ステップS21)。パニ
ック状態への突入時点から所定時間たとえば1秒間が経
過するまではステップS21で算出されるフィードバッ
クゲインK3は「0.02」よりも大きく、従って、算
出ゲインK3はステップS23で「0.02」にクリッ
プされ、ステップS24での操舵角δ3の算出には
「0.02」のゲインK3が用いられる。一方、パニッ
ク状態への突入時点から所定時間たとえば1秒間が経過
した後は、操舵角δ3の算出には、時間経過につれて漸
減するステップS21での算出ゲインK3がそのまま用
いられる。
【0061】以上の様に、パニック状態へ突入した後
は、時間経過につれて図9に示すように変化するフィー
ドバックゲインK3と車両挙動を表すヨー角加速度ΔY
との積に等しい操舵角δ3だけ、後輪が操舵される。す
なわち、パニック状態へ突入した直後から車両挙動変化
を抑制するように、後輪が操舵される。つまり、パニッ
ク対応制御が行われる。
【0062】本発明方法が適用されない場合、パニック
状態に一旦突入すると、図3のt3時点付近で車両挙動
が急変することになり、図3のt4時点以降における運
転者による過剰なハンドル操作を招来し、この結果、発
散的な車両挙動が助長される。これに対して、上述のよ
うにパニック状態での車両挙動変化が抑制されると、車
両挙動変化に対して適正なハンドル操作が行われ、これ
により車両挙動が収束されることになる。
【0063】パニック対応制御の終了後において、中高
速域から低速域へ移行してステップS4の判別結果が否
定になるか、或は、限界状態が解消されてステップS8
及びS9の判別結果が否定になると、図10及び図11
の判定サイクルが実行される度に待ちカウンタの値が
「1」だけインクリメントされる(ステップS5)。従
って、低速域あるいは非限界状態での車両走行が一定時
間継続すると、待ちカウンタ値が待ちカウンタ閾値を上
回って(ステップS6)、次のパニック判定に用いられ
るプラス操舵量およびマイナス操舵量の夫々の初期値が
「0」にリセットされる(ステップS7)。
【0064】本発明は、上記実施例に限定されず、種々
に変形可能である。例えば、実施例では、パニック状態
判定に関連して、限界状態への突入時点以降での操舵量
をハンドル操舵速度に基づいて算出し、これにより、予
測操舵量を求めるようにしたが、限界状態突入時点での
ハンドル角と現時点でのハンドル角とに基づいて操舵量
を求めても良い。
【0065】また、実施例では、車体挙動パラメータと
してのヨーレイト変化率をヨーレイトセンサ出力に基づ
いて算出したが、2つの横加速度センサ(図示略)から
の出力の差分に基づいてヨーレイト変化率を算出しても
良い。
【0066】
【発明の効果】上述のように、本発明の後輪操舵方法
は、操舵に対して車両が非線形応答するような限界状態
において過大な操舵が行われたときに、車両の挙動変化
を抑制する方向に後輪を操舵するようにしたので、限界
状態における過大な操舵に起因して車両がパニック状態
へ突入した後に生じる急激な車両挙動変化を抑制でき
る。即ち、適正なパニック対応制御が可能となり、これ
により、発散的な車両挙動を未然に防止できる。しか
も、パニック対応制御のための後輪操舵と通常の後輪操
舵とを良好に両立可能である。
【0067】また、本発明では、パニック状態への突入
後、車両挙動パラメータたとえばヨー角加速度に応じた
角度だけ所定時間にわたって後輪を操舵するので、パニ
ック状態での車両挙動変化を確実に抑制できる。また、
本発明では、パニック状態への突入直後は一定値をとり
その後は時間経過につれて漸減する値をとる制御ゲイン
と車両挙動パラメータとの積に等しい角度だけ後輪を操
舵してパニック対応制御を行うので、パニック対応制御
を適正時間だけ行うことができ、又、パニック対応制御
から通常制御へ円滑に移行できる。
【0068】また、本発明の特定の態様によれば、第2
車両挙動パラメータが操舵パラメータの変化方向と異な
る方向に変化しているときに車両が限界状態にあると判
別すると共に、車両が限界状態にある間に限界状態への
突入時点からの操舵パラメータの変化量が閾値を上回っ
たときに、過大な操舵が行われたと判別する。このた
め、パニック状態への突入を適切に判別できる。
【0069】更に、操舵パラメータとしてハンドル角を
用いると共に、第2車両挙動パラメータとして車両のヨ
ーレイトを用いる態様では、操舵状況および車両挙動変
化を正確に把握でき、従って、パニック状態を適切に判
別できる。車速が所定車速を上回っているときにのみ、
限界状態についての判別を行う態様によれば、パニック
状態が発生し難い低車速域において無用なパニック対応
制御を確実に阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーンチェンジに伴って車両挙動が収束不能に
なる場合を例示する図である。
【図2】図1に示すレーンチェンジ中における、時間経
過に対するハンドル角およびヨーレイトの変化を示すグ
ラフである。
【図3】図2に示すハンドル角の変化とヨーレイトの変
化との関係を示すグラフである。
【図4】車両の限界状態およびパニック状態の検出領域
を円形領域として示すグラフである。
【図5】本発明の一実施例による限界状態及びパニック
状態判定方法が適用される四輪操舵車を示す概略図であ
る。
【図6】図5のコントローラの、四輪操舵機能に関連す
る構成を示す機能ブロック図である。
【図7】図6の路面μ検出部の構成を詳細に示す機能ブ
ロック図である。
【図8】図6の操舵バルブ作動制御部の、後輪操舵角演
算機能に関連する構成を詳細に示す機能ブロック図であ
る。
【図9】図8のフィードバックゲイン演算部でのフィー
ドバックゲインの演算に用いるマップを示すグラフであ
る。
【図10】図5のコントローラにより実行される限界状
態およびパニック状態判定処理の一部を示すフローチャ
ートである。
【図11】図10に一部を示す判定処理の残部を示すフ
ローチャートである。
【図12】本発明の一実施例の後輪操舵方法におけるパ
ニック対応制御用の操舵角の演算処理を示すフローチャ
ートである。
【符号の説明】
4 ステアリングハンドル 10 後輪操舵バルブ 11 後輪操舵アクチュエータ 13L,13R 後輪 15 コントローラ 16 ハンドル角センサ 26 車速センサ 34 操舵バルブ作動制御部 60 ヨーレイトセンサ
フロントページの続き (72)発明者 林 祐一郎 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−169372(JP,A) 特開 昭60−124572(JP,A) 特開 平4−342666(JP,A) 特開 平5−85385(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B62D 6/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 操舵に対して車両が非線形応答するよう
    な限界状態において過大な操舵が行われたときに、車両
    の挙動変化を抑制する方向に後輪を操舵する後輪操舵方
    法において、 車両挙動パラメータと制御ゲインとの積として求められ
    る角度だけ所定時間にわたって前記車両挙動パラメータ
    と同一方向に後輪を操舵することにより、挙動変化抑制
    方向への後輪操舵を行うと共に、 前記制御ゲインを、第2所定時間にわたって一定値に設
    定し、前記第2所定時間が経過した後は時間経過につれ
    て前記一定値から漸減する値に設定する ことを特徴とす
    る後輪操舵方法。
  2. 【請求項2】 前記車両挙動パラメータは車両のヨー角
    加速度であることを特徴とする請求項1に記載の後輪操
    舵方法。
  3. 【請求項3】 第2車両挙動パラメータが操舵パラメー
    タの変化方向と異なる方向に変化しているときに車両が
    前記限界状態にあると判別し、車両が前記限界状態にあ
    る間に前記限界状態への突入時点からの操舵パラメータ
    の変化量が閾値を上回ったときに、前記過大な操舵が行
    われたと判別することを特徴とする請求項1に記載の後
    輪操舵方法。
  4. 【請求項4】 前記操舵パラメータとしてハンドル角を
    用いると共に、前記第2車両挙動パラメータとして車両
    のヨーレイトを用いることを特徴とする請求項3に記載
    の後輪操舵方法。
  5. 【請求項5】 車速が所定車速を上回っているときにの
    み、前記限界状態についての判別を行うことを特徴とす
    る請求項1に記載の後輪操舵方法。
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