JP2917487B2 - 積層コンデンサの製造方法 - Google Patents

積層コンデンサの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は産業用あるいは民生用の小型電子機器に使用
される小型の面実装用のプラスチックまたはセラミック
積層コンデンサの製造方法に関する。
従来の技術 従来の積層コンデンサはプラスチックまたはセラミッ
クなど使用する誘電体材料によって製造方法が大きく異
なっていた。
まず、誘電体材料にチタン酸バリウム,チタン酸鉛な
どのセラミック粉末を用い、金属電極層にパラジウム,
銀,銅などの粉末とガラス粉末の混合物を用い、これを
所定の位置に交互に多数積み重ね、焼成して直方体形状
の積層体で構成したコンデンサがある。その構成と加工
方法はコンデンサとして対になるよう半数のそれぞれの
金属電極層が対向する二面上に露出し、まず電極引出層
として化学めっきにより厚みが5μmとなるように銅層
とニッケル層が形成され、つぎに厚みが5μmとなるよ
うに電気めっきによりはんだ層が形成される。その後洗
浄・乾燥されて積層セラミックコンデンサが完成され
る。また、電極引出層の形成方法として銅層とニッケル
層を化学めっきにより形成する方式だけではなく、スパ
ッタリング方式により電極引出層を形成する方法もあっ
た。
一方、誘電体材料としてポリフェニレンサルファイド
フィルムを用い、金属電極層としてアルミニウムを真空
蒸着法により所定の位置に交互に多数積み重ね、ホット
プレスにより接着されて形成する直方体形状の積層体で
コンデンサを構成した。その構成と加工方法はコンデン
サとして対になる半数の一方のアルミニウム層が露出し
た対向する二面上に、まず電極引出層として溶射方式に
より厚みが0.2mmとなるようにしんちゅう層が形成さ
れ、つぎに厚みが0.3mmとなるように亜鉛層が形成さ
れ、その亜鉛層にリード線が電気溶接され、エポキシ樹
脂で外装し、積層フィルムコンデンサを完成した。
発明が解決しようとする課題 このような従来の構成では、電極引出層は,スパッタ
リング方式,溶射方式などの方法により、ニッケル,
銅,しんちゅう,亜鉛,はんだなどの材料を組み合わせ
て形成されてきた。そして、これらの電極引出層は、さ
まざまな長所と欠点を有していた。
すなわち,スパッタリング方式は一般に厚みが5〜20
μmまでが製作可能であり、それ以上に厚くするために
はコスト面で不利であった。この厚みの電極引出層にリ
ード線を溶接する方法は、通常ははんだ付であった。
作業が早く、高耐熱性が得られる電気溶接方法は接合
強度の確保に必要な厚みの電極層を形成するのが難し
く、実用化は困難であった。しかし、リード線が不要な
チップ部品としては電極引出層の厚みが薄いことは実装
密度を上げるのに有利であった。このように従来の電極
引出層の形成方法は積層セラミックチップコンデンサに
対しては有効であったが、積層フィルムチップコンデン
サに対しては、ではアルミニウム電極の腐食、スパッタ
リング方式では付着強度が低いなどの問題を有してい
た。
一方、溶射方式は短時間で0.2〜1mmの厚みに電極引出
層を形成することができた。このため電気溶接によるリ
ード線の接続は信頼性の高いリード部品を容易に生産で
きる。しかし、電極が厚いため長さ1.6mm,幅0.8mm,高さ
0.5mmの非常に小さな寸法が必要とされるチップ部品に
は適さない。また、積層セラミックコンデンサに溶射法
を用いて電極を形成すると、積層体と溶射層との間の付
着強度が低いなどの問題点があった。
本発明はこのような課題を解決するもので、積層体と
電極引出層との付着力を高め、形状・特性の優れた積層
コンデンサを提供することを目的とするものである。
課題を解決するための手段 本発明はこのような課題を解決するもので積層体の表
面に少なくとも単分子層のジ−i−プロポキシ・ビス
(アセチルアセトナート)チタン層を形成させ、その上
に電極引出層を形成することにより、ジ−i−プロポキ
シ・ビス(アセチルアセトナート)チタン層と積層体間
およびジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナー
ト)チタン層と電極引出層間が化学結合あるいは水素結
合により結合されるので、付着強度が著しく向上するよ
うにしたものである。
作用 熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂からなる多数の誘電体
層とアルミニウム真空蒸着膜からなる多数の金属電極層
からなる直方体形状の積層体からなるコンデンサ素子の
対になる半数枚のそれぞれの金属電極層が露出した対向
する二面に、チタンアルコラートをアルコールで希釈し
た塗料を塗布,乾燥して少なくとも単分子層ないし数分
子層のジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナー
ト)チタン層を形成する。このジ−i−プロポキシ・ビ
ス(アセチルアセトナート)チタン層の上にスパッタリ
ング法によりニッケル層などからなる電極引出層を形成
することにより、積層体と電極引出層間の付着強度が改
善される。またジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルア
セトナート)チタン層は非常に薄く、トンネル効果によ
り十分な電気的導通が得られ、良好な電気特性と実装性
を有する積層フィルムチップコンデンサが得られる。
強誘電性セラミックからなる多数の誘電体層と多数の
金属電極層を積層してなる直方体形状の積層体からなる
コンデンサ素子の対になる半数枚のそれぞれの金属電極
層が露出した対向する二面に、チタンアルコラートをア
ルコールで希釈した塗料を塗布,乾燥して少なくとも単
分子層ないし数分子層のジ−i−プロポキシ・ビス(ア
セチルアセトナート)チタン層を形成する。その上に、
溶射法により真ちゅう層などからなる電極引出層を形成
することにより、積層体と電極引出層間の付着強度が改
善される。この後、電極引出層にリード線が溶接され、
エポキシ樹脂により外装が施され、良好な電気特性と実
装性を有する積層セラミックコンデンサが得られる。
これらの積層体と電極引出層の付着はジ−i−プロポ
キシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン層との化学
反応による化学結合または水素結合により結合している
ので、従来のメカニズムよりも強力な接着強度が得られ
る。すなわち、積層体を構成する有機・無機材料表面に
は多数の水酸基が存在する。ジ−i−プロポキシ・ビス
(アセチルアセトナート)チタン層はチタンアルコラー
トの少なくとも単分子層からなるが、通常塗布した瞬間
より反応が始まり、積層体表面の水酸基とチタンアルコ
ラートが交換反応を生じて直接化学的に結合したり、一
部のアルコラートが空気中の湿気と反応して水酸基に変
化し、これが積層体表面の水酸基との間で水素結合し付
着強度が向上する。またスパッタリング法や溶射法によ
り得た電極引出層は高エネルギー状態からエネルギーを
放出させて形成されるため、エネルギー放出の途中でチ
タンアルコラートを熱分解させ、電極引出層との間で直
接化学反応により結合し、付着強度が向上する。以上の
メカニズムにより積層体と電極引出層の付着力が向上す
る。
実施例 以下に本発明の実施例を図面を参照しながら説明す
る。
(実施例1) 第1図に本発明の一実施例の積層コンデンサの構成を
示す。図に示すように、ポリフェニレンサルファイドの
誘電体層1とアルミニウム真空蒸着膜の金属電極層2を
多数積層して得られた長さが1.6mm,幅が0.8mm,高さが0.
5mmの積層体にi−プロピルアルコールで希釈したジ−
i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン
からなるジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナ
ート)チタン層3を塗布し乾燥した。この後、コンデン
サとして対になる半数枚のそれぞれのアルミニウム真空
蒸着膜が露出した対向する二面に、スパッタリング法に
より厚さ10μmのニッケル層を形成し、その上に溶融は
んだめっき層を形成し、電極引出層4を設けた後端面外
装5を施し、積層フィルムチップコンデンサを得た。
(実施例2) チタン酸バリウムからなるペーストとパラジウムから
なる誘電ペーストを多数積層し、焼結して得られた長さ
が5mm,幅が2mm,高さが3mmの積層体にi−プロピルアル
コールで希釈したジ−i−プロポキシ・ビス(アセチル
アセトナート)チタンを塗布し乾燥した。この後コンデ
ンサとして対になる半数枚のそれぞれのパラジウム層が
露出した対向する二面に0.2mmのアルミブロンズ層とそ
の上に0.3mmの亜鉛層を溶射法により形成し、リード線
を各電極引出面に電気溶接し、そのあと粉体エポキシ樹
脂を付着させ、加熱硬化させて外装された積層セラミッ
クコンデンサを得た。
(比較例1) 実施例1においてジ−i−プロポキシ・ビス(アセチ
ルアセトナート)チタンを塗布せずに、同様の方法で積
層フィルムチップコンデンサを得た。
(比較例2) 実施例2においてジ−i−プロポキシ・ビス(アセチ
ルアセトナート)チタンを塗布せずに、同様の方法で積
層セラミックチップコンデンサを得た。
以上のようにして得られた4種類の積層コンデンサを
各100ケずつについて電極引出層とリード線との間の剥
離強度を測定した。結果を第1表に示す。
その結果、本発明の積層コンデンサでは剥離強度は70
0gを超えるコンデンサが著しく増えるが、比較例の積層
コンデンサでは殆んどが700g以下で剥離することが分っ
た。
また誘電体材料としてポリエチレンテレフタレート,
ポリフェニレンオキサイド,多官能アクリレート,ポリ
エステル,芳香族系ポリエステル,チタン酸ストロンチ
ウム,チタン酸鉛,酸化チタンなどでも実施例と同様の
効果が得られた。
さらに電極引出層については、スパッタリング方式と
溶射方式についてのべたが、真空蒸着方式や化学蒸着方
式を用いても効果が認められ、また積層体の材料との組
合せに関係なく効果が認められた。
発明の効果 以上の実施例の説明からも明らかなように本発明によ
れば、積層体と電極引出層との間の付着力が高まり、従
来よりさらに小型で積層セラミックチップコンデンサと
同等の寸法の積層フィルムチップコンデンサが得られ
る。また、リード線を直接コンデンサ素子に電気溶接し
た高耐熱性の積層セラミックコンデンサが得られる。
また、従来の積層コンデンサに適用すると、実装時あ
るいは実装後の耐荷重特性が向上し、信頼性が高くなっ
た。
さらに本発明によればフィルムコンデンサとセラミッ
クコンデンサの設備を共用できるようになる。この結果
コスト低減,信頼性向上,開発期間短縮などの効果が得
られた。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の一実施例の積層フィルムコンデンサの
一部切欠斜視図である。 1……誘電体層、2……金属電極層、3……ジ−i−プ
ロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン層、4
……電極引出部、5……端面外装。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−92438(JP,A) 特開 昭50−92439(JP,A) 特開 昭63−299223(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01G 4/00 - 4/40

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メタライズドプラスチックフィルムを積層
    して形成したコンデンサ素子の両端面にジ−i−プロポ
    キシ・ビス(アセチルアセトナート)チタンを塗布後、
    前記ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナー
    ト)チタン層上に真空蒸着方式または溶射方式により金
    属電極を形成する積層コンデンサの製造方法。
  2. 【請求項2】セラミック誘電体層と金属層を積層して形
    成したコンデンサ素子の両端面にジ−i−プロポキシ・
    ビス(アセチルアセトナート)チタンを塗布後、前記ジ
    −i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタ
    ン層上に真空蒸着方式または溶射方式により金属電極を
    形成する積層コンデンサの製造方法。
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