JP2914519B2 - 2サイクルエンジンの燃料噴射制御装置 - Google Patents

2サイクルエンジンの燃料噴射制御装置

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JP2914519B2
JP2914519B2 JP2166196A JP16619690A JP2914519B2 JP 2914519 B2 JP2914519 B2 JP 2914519B2 JP 2166196 A JP2166196 A JP 2166196A JP 16619690 A JP16619690 A JP 16619690A JP 2914519 B2 JP2914519 B2 JP 2914519B2
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    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B75/00Other engines
    • F02B75/02Engines characterised by their cycles, e.g. six-stroke
    • F02B2075/022Engines characterised by their cycles, e.g. six-stroke having less than six strokes per cycle
    • F02B2075/025Engines characterised by their cycles, e.g. six-stroke having less than six strokes per cycle two

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は2サイクルエンジンの燃料噴射制御装置に関
するものであり、特に、電子式燃料噴射装置を用いた2
サイクルエンジンの燃料噴射制御装置に関するものであ
る。
(従来の技術) 従来の電子式燃料噴射装置を用いた2サイクルエンジ
ンでは、高エンジン回転かつ高スロットル開度の伸び切
り状態を検出して燃料噴射量を補正するシステムはなか
った。
(発明が解決しようとする課題) 2サイクルエンジンにおいて、高エンジン回転、高ス
ロットル開度の伸び切り状態が続くと、排気管内の温度
が上昇するので、空燃比が薄くなって高出力が得られな
いという問題があった。
本発明の目的は、上記した問題点を解決して、伸び切
り状態のときでも高出力を得ることを可能にする2サイ
クルエンジンの燃料噴射制御装置を提供することにあ
る。
(課題を解決するための手段および作用) 上記した目的を達成するために、本発明では、電子式
燃料噴射装置を用いた2サイクルエンジンの燃料噴射制
御装置において、エンジン回転数およびスロットル開度
に基づいて基本燃料噴射量を設定する基本燃料噴射量設
定手段と、エンジン回転数がエンジンの出力ピークとな
る回転数以上であり、かつスロットル開度が高開度であ
る状態が所定時間継続したことによりエンジンの伸び切
り状態を検出する伸び切り検出手段と、前記伸び切り状
態が検出されると、当該伸び切りにより希薄化した混合
気が適正な空燃比となるように前記基本燃料噴射量を増
量補正する増量補正手段とを具備した点に特徴がある。
このような構成によれば、伸び切り状態の時には燃料
噴射量が増加するので、常に最適な空燃比が得られ、伸
び切り状態のときでも高出力が得られるようになる。
(実施例) 以下に、図面を参照して、本発明をV型エンジンに適
用した実施例について詳細に説明する。
第2図は本発明の一実施例の構成を示すブロック図で
ある。同図において、自動二輪車に搭載されるV型2サ
イクルエンジンEは、2つの気筒、すなわち前側気筒
(フロントバンク、以下Fバンクという)1F及び後側気
筒(リアバンク、以下Rバンクという)1Rを備えてい
る。
なお、同図においては、Fバンク1Fの一部、及び該F
バンク1Fに接続されるべき吸気通路、排気管等が省略さ
れている。また、このV型2サイクルエンジンEの、F
バンク1F及びRバンク1Rの点火時期は、例えばTDCパル
ス出力の後、及び該パルス出力からクランク軸90度回転
した後を基準として設定される。
シリンダ1の内面には、該シリンダ1内に摺動可能に
配置されたピストン2A,2Bにより開閉される排気ポート3
A,3Bが開口されており、この排気ポート3A,3Bの開閉時
期を制御すべく排気ポートの上部には制御弁4A,4Bが配
設される。また排気ポート3Aに接続された排気管5は、
下流端を拡径した第1管部5aと、大径端を第1管部5aの
下流端に連設した円錐台形状の第2管部5bとから成り、
第1管部5aの下流端および第2管部5b内には膨張室6が
設けられる。
排気管5における第2管部5bの小径端すなわち下流端
には連通管23が嵌合固着されており、該連通管23の外端
は消音器8に接続される。第2管部5b内には、排気によ
り生じた正圧波を排気ポート3Aに向けて反射する制御作
動手段としての円錐台形状反射管24が配設される。この
反射管24は、その大径端を第1管部5a側にして第2管部
5b内に配置されており、反射管24の小径端に嵌着された
カラー(図示せず)が連通管23の外周に摺動自在に嵌合
される。
反射管24には、電子制御装置20により動作を制御され
る駆動源としてのサーボモータ26が、伝動機構27を介し
て連結される。すなわち第2管部5bにおいて、その大径
端の上部外面に設けられた軸受部に駆動軸29が回動可能
に支承され、その駆動軸29と、反射管24の大径端に架設
した被動軸30とが、連結ロッド31により連結され、駆動
軸29に伝動機構27が連結される。
かかる構成によれば、駆動軸29を駆動するのに応じて
連結ロッド31が揺動し、それにより反射管24が連通管23
に沿って摺動する。
サーボモータ26にはポテンショメータ34が付設されて
おり、このポテンショメータ34により反射管24の位置す
なわち駆動軸29の回動量が検出され、この検出量θtは
A/D変換器60を介して電子制御装置20に入力される。
なお、排気ポート3Bに接続される排気管(図示せず)
内に配置される反射管の駆動は、サーボモータ26により
行われても良く、また他のサーボモータにより行われて
も良い。
前記排気ポート3A,3Bに設けられた制御弁4A,4Bは、シ
リンダ1に回動自在に配設された駆動軸12A,12Bに固着
されている。前記駆動軸12Aは、プーリ及び伝動ベルト
等から成る伝動機構13を介して駆動源としてのサーボモ
ータ14に連結される。またサーボモータ14には、サーボ
モータ14の作動量すなわち制御弁4Aの開度を検出するた
めのポテンショメータ15が付設され、この検出量θrも
A/D変換器60を介して電子制御装置20に入力される。
なお、駆動軸12Bは、前記サーボモータ14により行わ
れても良く、また他のサーボモータにより行われても良
い。
当該2サイクルエンジンEのスロットル弁58の空気流
下流側であって、Rバンク1Rに接続された吸気通路内に
は、インジェクタ52が配置されている。
スロットル弁58の空気流下流側であって、Fバンク1F
に接続された吸気通路内にも、前記インジェクタ52と同
様のインジェクタが配置されている。
前記インジェクタ52は、スロットル弁58の下流側に開
口したエンジンオイル(以下、単にオイルという)供給
口77に向けて燃料を噴射するように配置されている。
このインジェクタ52は、燃料ポンプ54を介して、燃料
タンク56に接続されており、それらの燃料噴射時間(通
電時間)は、電子制御装置20により制御される。また、
前記オイル供給口77には、オイルポンプ76の駆動によ
り、オイルタンク75より潤滑用オイルが供給される。
このようにインジェクタ52が配置された結果、オイル
供給口77より吐出されるオイルが、噴射される燃料によ
り洗い流されるようにして、リードパルプを介して効率
良くクランクケース内に供給されることができる。
クランクケース内に供給された混合気は、下降するピ
ストンによって予圧され、掃気通路96A,96Bを介して燃
焼室内に供給される。
スロットル弁58には、該スロットル弁の開度θthを検
出するためのポテンショメータ59が付設され、この検出
量θthもA/D変換器60を介して電子制御装置20に入力さ
れる。
当該2サイクルエンジンのクランク軸61には、複数の
爪62が形成されている。この爪62は、第1パルサPC1及
び第2パルサPC2により検出される。前記第1及び第2
パルサPC1,PC2の出力信号は、前記電子制御製潜20に入
力される。
また燃焼室内圧力(以下、指圧という)PIを検出する
指圧センサ72は、後に第4図を用いて詳述するようにス
タットボルト98の頭部に設置され、該指圧センサ72、エ
ンジン冷却水温度Twを検出する冷却水温センサ73、負圧
PBを検出する負圧センサ74、大気圧PAを検出する大気圧
センサ78、及び大気温Taを検出する大気温センサ80も、
前記A/D変換器60を介して、前記電子制御装置20に接続
されている。Fバンク1F側にも、指圧センサ及び負圧セ
ンサが設けられている。
電子制御装置20は、CPU、ROM、RAM、入出力インター
フェース及びそれらを接続するバス等より構成されるマ
イクロコンピュータを備えていて、インジェクタの通電
タイミング及び通電時間を制御すると共に、点火プラグ
の点火、並びに制御弁4A,4Bの開度及び反射管の位置を
制御する。
なお、符号57及び79は、それぞれエアクリーナ及びバ
ッテリである。また、矢印bはクランク軸の回転方向、
矢印a及びcは混合気の流入方向を示している。
第3図は、本発明の他の実施例のブロック図であり、
第1図と同一の符号は同一または同等部分を表してい
る。
本実施例では、Rバンク1R用のインジェクタ51A、お
よびFバンク1F用のインジェクタ51Bを、それぞれRバ
ンク1R及びFバンク1Fの各掃気通路96A,96Bの排気ポー
トを狙える位置に配置した点に特徴がある。
第4図はRバンク1Rの部分拡大図であり、第3図と同
一の符号は同一または同等部分を表している。なお、F
バンク1Fも同一構造となっている。
同図において、インジェクタ51Aは掃気通路96Aに、燃
料がピストン2A頭部の裏面に直接噴射されるような方向
で設置されている。燃料噴射は、ピストン2Aのスカート
部に設けた孔93を介してピストン2Aの頭部裏面に燃料が
直接噴射されるタイミングで噴射される。
噴射されて霧化状態となった燃料は、一旦クランクケ
ース内に充填され、その後、掃気通路96Aを介して燃焼
室内に充填される。
このような構成によれば、燃料の霧化が良好に行われ
て燃焼効率が向上すると共に、燃料によってピストン2A
が冷却されるので冷却性が向上する。しかも、霧化状態
の燃料が一旦クランクケース内に充填されるので、燃料
をクランクの潤滑剤として作用させることができる。
また、スタットボルト98には指圧センサ72およびワッ
シャ95が連通されており、指圧センサ72のリード線72a
はワッシャ95の爪95aによって支持されている。
このような構成によれば、従来のように指圧センサ72
をプラグ71に連通して設置していたときに比べて、プラ
グ71のメンテナンスを簡単に行えるようになる。また、
プラグ交換時に指圧センサを取り外す必要がなくなるの
で、センサの保護、出力精度の保持が可能になる。
第5図(a)はインジェクタ51Aの他の設置方法を示
した図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分
を表している。また、同図(b)は同図(a)に示した
矢印A方向から見たシリンダ内部の平面図であり、符号
99は制御弁4Aのバルブ面、符号97は燃料の噴射目標位置
であり、目標位置97は排気ポート3Aの排気開口94のほぼ
中心位置となっている。
本実施例では、インジェクタ51Aは掃気通路96Aの排気
ポートを狙える位置に、燃料が目標位置97に直接噴射さ
れるような方向で設置されている。燃料噴射は、ピスト
ン2A頭部に燃料が直接噴射されるタイミングで噴射され
る。
このような構成によれば、燃料の霧化が良好に行われ
ると共に、燃料が上向きに噴射されるので燃焼効率が向
上する。
つぎに、本発明の一実施例の動作を説明する。
初めに、本発明の一実施例の動作説明に必要なNeパル
ス及びシリンダパルス(あるいはTDCパルス、以下CYLパ
ルスという)を簡単に説明する。
第6図はNeパルス及びCYLパルスを説明するための図
であり、同図(a)はクランク軸61と同心に取り付けら
れた爪62並びに第1パルサPC1及び第2パルサPC2の概略
図、同図(b)はクランク軸61が同図(a)矢印b方向
に回転した場合の第1及び第2パルサPC1及びPC2より出
力されるパルス、並びにNeパルス及びCYLパルスのタイ
ミングチャートである。
第6図より明らかなように、Neパルス及びCYLパルス
は、第1及び第2パルサPC1及びPC2より出力されるパル
スのオア信号、及びアンド信号である。
ここで、第7図にその詳細を示すように、第1及び第
2パルサPC1及びPC2より出力されるパルスには、若干の
時間ずれがあるので、オア信号であるNeパルスは、アン
ド信号であるCYLパルスよりも早く出力されることにな
る。
なお、Neパルスが出力されるたびにステージカウンタ
がインクリメントされ、このカウント値は、CYLパルス
が出力されるたびに、あるいはCYLパルスが出力されて
から所定数だけNeパルスが出力されるたびにリセットさ
れる。すなわち、この例においては、ステージ数(ステ
ージ番号)は0〜6である。
次に、本実施例によるNeパルスによるクランク割り込
み処理について説明する。
第8図はクランク割り込みルーチンのフローチャート
である。
イグニッションスイッチがオンされた後に、エンジン
状態、すなわち各種エンジンパラメータ(大気温Ta、冷
却水温Tw、大気圧Pa、負圧PB、スロットル開度θth及び
バッテリ電圧Vbなど)が入力され、一連のイニシャル処
理が終了すると、クランク割り込み、TDC割り込みなど
の割り込み処理が許可される。
割り込み許可後にクランク信号が検出されると、ステ
ップS10では各種の始動制御が行われ、ステップS11では
ステージ判別が終了したか否かが判別される。ステップ
S12ではIFステージ判別が行われ、ステージが“0"また
は“5"であると、ステップS13においてエンジン回転数N
eの逆数Meを算出してステップS14へ進む。また、ステー
ジが“0",“5"以外の場合には、そのままステップS14へ
進む。
ただし、Neが高い場合には、Neに応じてTDCが360°,7
20°,440°のときだけステップS14へ進み、それ以外で
は当該処理を終了する。
ステップS14では、基本燃料噴射量Tiを調整するため
の処理として、劣化補正処理、加速減量補正処理、およ
びPI取込みタイミング補正処理が行われ、基本燃料噴射
量Tiが設定される。
以下、劣化補正処理、加速減量補正処理、およびPI取
込みタイミング補正処理についてに説明する。
(1) 劣化補正処理 劣化補正とは、エンジンの経年変化による最適燃料噴
射量の変化に対処するために、アイドリング時の目標負
圧PBと実際の負圧PBの絶対値との差に基づいて、燃料噴
射量を調整しようというものである。
例えば、エンジンの経年劣化によって吸入空気量が減
少すると空燃比が濃くなり、また、慣らし効果によって
フリクションが低減され、出力が向上した場合には、初
期に比べて吸入空気量が増加するので空燃比が薄くな
る。
そこで、目標負圧PBと所定の条件下での実際の負圧PB
とを比較し、実際の負圧PBの絶対値が大きい場合には減
量補正を行い、小さい場合には増量補正を行うようにし
た。
第10図は劣化補正処理のフローチャートである。
ステップS501では、エンジン回転数Neおよびスロット
ル開度θthに基づいてアイドリング状態か否かが判定さ
れ、アイドリング中ではないとステップS508へ進む。
アイドリング中であると、ステップS502では劣化補正
係数KLES0が算出される。
劣化補正係数KLES0の算出手法を第29図を用いて説明
する。第29図において、横軸は負圧PB、縦軸は補正係数
LES0を示している。
まず、現時点のエンジン回転数Neおよびスロットル開
度θthに応じた安定着火時の理想的な負圧PBrefをデー
タテーブルから検索する。次いで、PBrefに対してK
LES0=1.0なる点を設定し、同時にPB=0に対して所定
の値KLBTMを設定する。
そして、この2つの点を通過する直線Cを決定し、こ
の直線C上において、現在の負圧PB(第29図においてA
で示された点)に対応するKLES0軸上の点(Bで示され
た点)を直線補間により算出する。このB点の値が、算
出すべきKLES0の値となる。
ステップS503では、現在の負圧PBに応じて算出される
係数KLES0が同値である期間、換言すれば、負圧PBが同
値である期間を計測する更新判定タイマがカウント中で
あるか否かが判定され、カウント中でないと、ステップ
S509で係数KLES1にKLES0がセットされ、ステップS510
でタイマを始動した後にステップS508へ進む。
一方、タイマがカウント中であると、ステップS504に
おいて係数KLES1とKLES0とが比較され、両者が一致し
ないと、ステップS507でタイマを停止した後にステップ
S508へ進む。
また、両者が一致すると劣化が生じている可能性があ
るものと判定され、ステップS505において更新判定タイ
マが参照される。ステップS505では一定時間が経過した
か否か、換言すれば、前記ステップS502で算出される係
数KLES0が予定の期間だけ同じであるか否かが判定さ
れ、経過しているとステップS506で係数KLESにKLES1
をセットして係数KLESを更新し、ステップS508へ進
む。
ステップS508では、基本燃料噴射量Tiに係数KLES
乗じ、これが新たな燃料噴射量TOUTとして登録され
る。
このような劣化補正処理によれば、エンジンの初期状
態から慣らし後、さらには経年劣化後に至るまで、常に
最適な燃料噴射量が得られるので、常に最適な空燃比が
得られる。
(2) 加速減量補正処理 加速減量補正とは、加速時にスロットル開度θthに比
例して吸入空気量が増加しないために空燃比が濃くな
り、良好な加速が行われないといった加速不良を解消す
るための燃料噴射量の減量補正であり、θthに応じて増
量される燃料噴射量を一時的に減じて、常に最適な空燃
比が保たれるようにするものである。
以下、第11図から第15図を用いて加速減量補正につい
て詳細に説明する。
第11図は加速減量補正のフローチャートである。
ステップS301においてエンジン回転数Neが7000回転以
上であると判定され、更に、ステップS302において、Ne
が10000回転未満であると判定されると、ステップS303
においてスロットル開度θthの変化量Δθthが取込まれ
る。
一方、回転数Neが7000回転以下あるいは10000回転以
上であると、当該処理は終了する。
ステップS304では、スロットル開度の変化量Δθthが
所定の値G(例えば5%/4ms)と比較され、Δθth≧G
であると加速中と判定されてステップS305へ進み、Δθ
th<GであるとステップS311へ進む。
ステップS305では、加速補正中か否かを表す加速補正
中フラグXKACCがチェックされ、既に加速補正中(X
KACC=1)であるとステップS308へ飛び、加速補正中で
はない(XKACC=0)とステップS306へ進む。
ステップS306では、加速初期か否かを表す加速初期フ
ラグXTHCLがチェックされ、加速初期(XTHCL=1)で
あるとステップS307へ進み、加速初期ではない(XTHCL
=0)と、当該処理は終了する。
ここで、当該加速減量補正の前処理として実行される
加速初期フラグXTHCLの設定処理に関して第12図のフロ
ーチャートを用いて説明する。
ステップS3061ではフラグXTHCLの初期状態が判定さ
れ、XTHCL=1であり、かつステップS3062においてス
ロットル開度θthが、例えば20%以上と判定されると、
ステップS3063においてフラグXTHCLがリセットされ
る。
一方、XTHCL=0であり、かつステップS3064におい
てスロットル開度θthが5%以下と判定されると、ステ
ップS3065においてフラグXTHCLがセットされる。
なお、XTHCL=1であってもスロットル開度θthが20
%未満である場合、およびXTHCL=0であってもスロッ
トル開度θthが5%を越えている場合、当該処理はその
まま終了する。
このようなスロットル開度θthに基づいた加速初期フ
ラグXTHCLの設定結果は、第13図に示したようになる。
再び第11図に戻り、ステップS308では、KACC/θth
テーブルに基づいて加速減量補正係数KACCが算出され
る。KACC/θthテーブルには、第14図に示したように
スロットル開度θthをパラメータとして各種のKACC
値が登録されている。
本実施例では、加速減量補正係数KACCがスロットル
開度θthをパラメータとして、θth=10%、20%、30
%、40%の4点で登録されているが、実際のθthが各点
に対応しないときは、前記4点に基づく補間処理によっ
て最適な値が算出される。なお、係数KACCはエンジン
回転数Neをパラメータとして登録または算出されるよう
にしても良い。
ステップS309では、データテーブルに基づいてΔK
ACCおよび補正ホールドカウンタへのセット値NKHLD
検索される。
KHLDとは、Δθthが所定値(G)未満となった後で
も、引き続き加速初期であるという判定を継続する期間
を計るタイマであり、ΔKACCとは、前記期間が終了し
た後に燃料噴射量TOUTを漸次増加させるために、係数
ACCに加算される係数である。
このデータテーブルには、第15図(a)に示したよう
にエンジン回転数Neをパラメータとして、後述する補正
ホールドカウンタNKHLDおよびΔKACCに関して、それ
ぞれ3種の値(N1,N2,N3)および(ΔK1,ΔK2,ΔK3)が
用意されており、回転数Neに応じて最適な値が検索され
る。
なお、上記した説明では、KACCとΔKACCおよびN
KHLDとが別々に算出・検索されるものとして説明した
が、第15図(b)に示したようなデータテーブルを設定
すれば、前記ステップS309をS308に統合することができ
る。
ステップS310では、燃料噴射量TOUTに係数KACCが乗
算されて新たな燃料噴射量TOUTが設定される。
一方、前記ステップS304においてΔθth<Gであると
判定されると、ステップS311では加速補正中フラグX
KACCがチェックされ、補正中(XKACC=1)であるとス
テップS312へ進み、補正中でないとステップS316へ飛
ぶ。
ステップS312では、補正ホールドカウンタNKHLDがチ
ェックされ、NKHLD=0でないとステップS313でNKHLD
を1だけデクリメントした後にステップS310へ進む。
また、NKHLD=0であるとステップS314において、加
速減量補正係数KACCにΔKACCが加算されて新たな加速
減量補正係数KACCが設定される。
ステップS315では、係数KACCの上限がチェックさ
れ、KACC<1であればステップS310へ進み、KACC≧1
であれば、ステップS316においてKACCに1.0がセットさ
れ、ステップS317では加速補正中フラグXKACCがリセッ
トされて当該処理は終了する。
このような加速減量補正によれば、加速時には一時的
に燃料が減ぜられるので、良好な加速性が得られる。
(3) PI取込みタイミング補正 PI取込みタイミング補正とは、エンジン回転数Neに応
じてPI取込みタイミングを補正し、失火判定が確実に行
えるようにするものである。
初めに、指圧PIによる失火判定方法に関して簡単に説
明する。
第16図は、TDC前(BTDC)およびTDC後(ATDC)におけ
る指圧PIを示しており、(a)は着火時、(b)は失火
時の状態を表している。
両図の比較から明らかなように、着火時には、指圧PI
がTDCから若干遅れたタイミングで高い値を示すが、失
火時には、指圧PIがTDC付近でピーク値を示すのみであ
る。
そこで、従来技術ではTDCを中心として、その前後45
°の範囲で指圧PIの取込みタイミングを固定的に2カ所
(例えば、−30°と+30°)設定し、各タイミングでの
着火時のTDC前指圧PIf0とTDC後指圧PIf1との差ΔPI
fが、失火時のTDC前指圧PIm0とTDC後指圧PIm1との差ΔP
Imよりも十分に大きいことに基づいて、PI0とPI1との差
が所定値以上であれば着火、所定値以下であれば失火と
判定していた。
ところが、特に2サイクルエンジンでは、エンジンが
高回転領域にある場合には排気脈動効果を有効に活用し
て高出力を得るために、点火時期を遅らせて排気管の温
度を上昇させることが行われる。
第17図(a)は、高Ne時に点火時期を遅らせたときの
着火時指圧、同図(b)は失火時指圧を表している。
同図から明らかなように、高Ne時に点火時期を遅らせ
ると、着火時の指圧PIはTDCおよびその後の着火時の2
カ所でピーク値を示し、その間では一旦低下する。
したがって、点火時期を遅らせたにも係わらず、取込
みタイミングを前記のように固定的に30°とすると、検
出される指圧差ΔPIfが小さくなって失火判定が難しく
なってしまう。
そこで、本実施例では、PI取込みタイミングをエンジ
ン回転数Neに応じて遅らせ(例えば、45°)るようにし
た。このようにすれば、着火時のTDC前指圧PIF0とTDC後
指圧PIF1との差ΔPIFが、失火時のTDC前指圧PIM0とTDC
後指圧PIM1との差ΔPIMよりも十分に大きくなるので、
失火判定が容易に行えるようになる。
以下、本実施例でのPI0とPI1との差ΔPIに基づく失火
判定方法を、第2図を参照して説明する。
同図において、失火判定基準値DPIは、Fバンクおよ
びRバンクごとに、それぞれエンジン回転数Neとスロッ
トル開度θth(各折線)とに基づいて設定される。
スロットル開度θthは、3つの基準値THL,THM,THH(T
HL<THM<THH)によって複数の領域に分割され、THL≦
θth<THMでは折線LF(LR)が参照され、THM≦θth<
THHでは折線MR(MF)が参照され、THH≦θthでは折線
HF(HR)が参照される。θth<THLでは失火判定が行
われない。
燃焼状態の判定は、エンジン回転数Neとスロットル開
度θthとに基づいて求まる失火判定基準値DPIと前記ΔP
Iとを比較することによって行われ、DPI≦ΔPIであれば
着火、DPI≦ΔPIであれば失火と判定される。
次いで、第18図のフローチャートを用いてPI取込みタ
イミング補正について詳細に説明する。
ステップS400では、優先処理が存在するか否かが判定
され、存在する場合には当該処理はステップS408へ進
み、存在しない場合にはステップS401へ進む。
ここでいう優先処理とは、後述するフラグXPIF1GET
XPIR0GET、XPIR1GET、XPIF0GETのいずれかがセットされ
ている場合の処理である。
なお、前記した各フラグは、次に検出すべき指圧PIの
タイミングを表し、たとえばXPIF1GETがセットされてい
れば、Fバンク1FのTDC後(ATDC)での指圧PIF1を検出
し、XPIR0GETがセットされていれば、Rバンク1RのTDC
前(BTDC)での指圧PIR0を検出することを表している。
ステップS401ではステージ判別が行われ、ステージ番
号に応じて以下のような処理が実行される。
ステージ=0: ステップS402においてフロントバンクの負圧PBFを読
み取り、ステップS403においてフラグXPIF1GETをセット
した後に当該処理を終了。
ステージ=1,2,3: 当該処理を終了。
ステージ=4: ステップS404においてフラグXPIR0GETをセットした後
に当該処理を終了。
ステージ=5: ステップS405においてリアバンクの負圧PBRを読み取
り、ステップS406においてフラグXPIR1GETをセットした
後に当該処理を終了。
ステージ=6: ステップS407においてフラグXPIF0GETをセットした後
に当該処理を終了。
一方、ステップS408〜S411では、前記各フラグXPI
F1GET、XPIR0GET、XPIR1GET、XPIF0GETが判定される。
各フラグの状態に応じて、カウンタNPIに指圧PIの取
込みタイミングを示すカウント値として、ステップS412
ではTMPIF1、ステップS413ではTMPIF0、ステップS414で
はTMPIR1、ステップS415ではTMPIR0が、それぞれセット
される。
なお、前記各カウント値は、後に第22図に関して説明
する“PI補正係数処理”で設定される値であり、エンジ
ン回転数または点火時期の遅角に応じて変化する。
上記のように各フラグの状態に応じた値がタイマにセ
ットされると、ステップS416ではタイマのカウントダウ
ンがスタートする。
以下、タイマが“0"になったときに優先的に割り込み
処理されるタイマ割り込み処理について、第19図を用い
て説明する。
タイマが“0"になった時とは、すなわち指圧PIの取込
みタイミングであることを示している。
ステップS421〜S424では、前記各フラグXPIR0GET、XP
IR1GET、XPIF0GET、XPIF1GETが判定され、各フラグの状
態に応じて、検出された指圧PIが、ステップS425ではPI
F1として取り込まれ、ステップS426ではPIF0として取り
込まれ、ステップS427ではPIR1として取り込まれ、ステ
ップS427ではPIR0として取り込まれる。
すなわち、フラグXPIR0GETがセットされていれば、該
タイミングで取り込まれた指圧PIがRバンクでのPI0
フラグXPIF1GETがセットされていれば、該タイミングで
取り込まれた指圧PIがFバンクでのPI1として登録され
る。
ステップS429〜S432では前記各フラグがリセットされ
る。
このように、PI取込みタイミング補正によれば、タイ
マTMPIF1,TMPIF0,TMPIR1,TMPIR0に所定のカウント値を
セットすることによって、指圧PIの取込みタイミングを
任意に設定することができる。
再び第8図のクランク割り込み処理に戻り、ステップ
S15ではステージ判別が行われ、ステージが“0"以外で
あると当該処理は終了し、ステージが“0"であるとステ
ップS16へ進む。
以下、第9図のフローチャートを用いて、ステップS1
6の補正演算処理について説明する。
ステップS21では、負圧PBおよびスロットル開度θth
が読み込まれ、ステップS22では、大気圧、大気温、水
温などに応じた燃料噴射量の各種の補正処理と共に、失
火補正処理、PI補正処理、およびエンブレ補正処理が実
行される。
(1) 失火補正処理 失火補正処理とは、失火の発生を検出して燃料噴射量
を減じる処理である。
第20図は、失火補正処理の概略フローチャートであ
り、失火補正のための補正内容は以下の4種の補正から
成っている。
PB補正 PB補正とは、前記負圧センサ74よって検出される負圧
PBによって失火が検出されたときに、PB補正係数
(KPB;KPB≦1)を算出して燃料噴射量Toutに乗算
し、燃料噴射量を減じる補正である。
PI補正 PI補正とは、前記指圧センサ72によって検出される指
圧PIによって失火が検出されたときに、PI補正係数(K
PI;KPI≦1)を算出して燃料噴射量Toutに乗算し、燃
料噴射量を漸次減じる補正である。
失火着火補正 失火着火補正とは、失火状態から着火状態への移行回
数をカウントし、移行回数が多く失火の可能性が高いと
きに、失火着火係数(KMF:KMF≦1)を算出して燃料噴
射量Toutに乗算し、燃料噴射量を漸次減じる補正であ
る。
伸び切り補正 伸び切りとは、スロットル開度θthが非常に大きく
(例えば90%以上)、かつエンジン回転数Neが非常に高
い(例えば12000rpm以上)といったように、排気管内温
度が上昇するような状態を意味し、このような状態があ
る時間以上続くと、排気温度が上昇して排気脈動効果が
十分に作用するために空燃比が薄くなってしまう。した
がって、伸び切り状態が続いた場合には燃料噴射量を増
加して空燃比を濃くする必要がある。
そこで、本実施例では、高Ne、高θthが予定の時間以
上保たれて失火の発生しにくい伸び切り状態となったと
きに、伸び切り補正係数(KHIGH;KHIGH≧1)を算出し
て燃料噴射量Toutに乗算し、燃料噴射量を漸次増加さ
せる。
以下、第20図の概略フローチャートを用いて当該補正
処理の概要を説明し、次いで、第21図のフローチャート
を用いて、その内容を詳細に説明する。
第20図のステップS100では、負圧センサによって検出
される負圧PBに基づいて失火判定が行われ、失火判定さ
れると、ステップS101では、失火状態が予め設定された
予定期間継続しているが否かが判定され、継続していな
い場合には、ステップS102においてPB補正係数(KPB
が設定され、ステップS103では、燃料噴射量TOUTに係
数KPBが乗算されて燃料噴射量TOUTが設定される。
上記した負圧PBに基づく失火判定が予定の期間だけ継
続した場合、あるいは負圧PBによる着火判定が行われる
と、当該処理はステップS101からステップS104へ進み、
指圧PIに基づいて失火判定が行われる。
ステップS104で失火判定されると、ステップS105にお
いてPI補正係数(KPI)が設定され、ステップS106で
は、燃料噴射量TOUTに係数KPIが乗算されて新たな燃
料噴射量TOUTが設定される。
なお、PI補正係数KPIは、ステップS105が実行される
度に漸次減少するように更新される。
一方、ステップS104において着火判定されると、ステ
ップS107では前回のステップS104またはS100による判定
結果が失火であったか着火であったかが判定される。
前回が失火判定であると、ステップS108では失火着火
補正係数(KMF)が設定され、ステップS109では、燃料
噴射量TOUTに係数KMFが乗算されて新たな燃料噴射量
OUTが設定される。
なお、失火着火補正係数KMFは、ステップS108が実行
される度に漸次減少するように更新される。
一方、ステップS107において前回着火と判定された場
合、あるいは前回失火と判定された後にステップS108、
S109が実行されると当該処理はステップS110へ進み、こ
こで伸び切り判定が行われる。
ステップS110において伸び切り状態であると判定され
ると、ステップS111では予定期間が経過したか否かが判
定され、経過していると、ステップS112では伸び切り補
正係数(KHlGH)が設定され、ステップS113では、燃料
噴射量TOUTに係数KHIGHが乗算されて新たな燃料噴射
量TOUTが設定される。
なお、伸び切り補正係数KHIGHは、ステップS112が実
行される度に漸次増加するように更新される。
次に、第21図のフローチャートを用いて、当該失火補
正処理をさらに詳細に説明する。
失火補正処理が実行され、初めにステップS201におい
てエンジン回転数Neが6000回転以上であると判定され、
更に、ステップS202において、Neが14000回転未満であ
ると判定されると、ステップS203において負圧PBに基づ
く失火判定が行われる。
一方、回転数Neが6000回転未満あるいは14000回転以
上であると、失火の発生確率が非常に低いので失火補正
の必要が無い。したがって、当該処理はステップS226に
おいてPB補正回数カウンタNPBに例えば10をセットし、
さらにステップS227においてPI補正回数カウンタNPI
リセット、PI補正係数KPIをセットした後に当該処理を
終了する。
ステップS203での負圧PBに基づく失火判定方法は、概
略以下の通りである。
初めに、着火状態時における吸気管内負圧(以下、タ
ーゲットPBという)を、エンジン回転数Ne及びスロット
ル開度θthをパラメータとして、ターゲットPBマップよ
り検索する。このターゲットPBマップには、Ne,θth、
および大気圧PAをパラメータとして種々のターゲットPB
の値が設定されている。
ターゲットPBが検索されると、実際の負圧PBを取込
み、実際のPBからターゲットPBを減じた差(ΔPB)が、
所定圧(例えば7.5[mmHg])を超えていれば失火と判
定される。
なお、上記した失火判定方法では、ターゲットPBマッ
プが、Ne、θth、および大気圧PAをパラメータとする3
次元構造となるので、ターゲットPBマップ用に大きなメ
モリ容量が必要となってしまう。
そこで、大気圧PAをパラメータとしないようにするた
めに、以下のような失火判定方法を採用しても良い。
すなわち、(大気圧PA−負圧PB)の着火時のターゲッ
ト値(以下、TPB)を、Neおよびθthをパラメータとし
て予め登録しておき、失火判定時には、そのときのNe,
θthに応じて検索されたTPBと、実測されたPAとPBとの
差(PA-PB)とを比較し、以下のように判定する。
PB−(PA-PB)=DPB;着火 TPB−(PA-PB)=DPB;失火 ただし、実際の適用に際しては、負圧PBの変動や検出
センサ等の誤差を考慮して、所定のスレッシュレベルD
PB(例えば、7.5mmHg)を設定し、以下のように判定す
る。
PB−(PA-PB)≦0;着火 TPB−(PA-PB)>TPB;失火 以上のような判定の結果、ステップS203において失火
判定されると、ステップS204では、PI補正中であること
を示すPI補正中フラグXPIがチェックされ、XPI=0、
すなわちPI補正中でないとステップS205へ進み、PI補正
中(XPI=1)であるとステップS215へ進む。
当該処理では、前記第20図のステップS101に示したよ
うに、PB補正によって失火が解消しない場合でも予定の
期間だけはPB補正が繰り返されるので、当該処理の開始
直後ではステップS205へ進む。
ステップS205では、PB補正が実行された回数を表すPB
補正回数カウンタのカウント値NPBがチェックされ、N
PB=0でないとステップS206においてカウント値が“1"
だけ減ぜられ、NPB=0であると、ステップS213におい
てカウント値“10"がセットされた後に前記ステップS20
6においてカウント値が“1"だけ減ぜられる。
ステップS207では、PB補正回数カウンタNPBが再びチ
ェックされ、PB補正が所定の期間だけ実行されてNPB
0であると、ステップS214においてPI補正中フラグXPI
がセットされた後にステップS216へ進む。
ステップS208では、負圧PBの補正用の係数であるPB補
正係数KPBが検索される。PB補正係数KPBとは、失火時
に空燃比を薄くするために燃料噴射量Toutに乗算され
る1よりも小さい係数であり、前記ΔPBをパラメータと
して検索される。
ステップS209では、燃料噴射量Toutに前記PB補正係
数KPBを乗算した値が、新たな燃料噴射量Toutとして
登録される。
ステップS210では、PI補正回数カウンタNPIがリセッ
トされ、PI補正係数KPIに1がセットされる。同様に、
ステップS211では、後述する前回失火フラグXMFがセッ
トされ、伸び切り補正回数カウンタNHIGHおよび伸び切
り状態中フラグXHIGHがリセットされ、その後、当該処
理は終了する。
一方、PB補正が所定の期間だけ実行されて前記ステッ
プS214でPI補正中フラグXPIがセットされると、次回の
処理ではステップS204からステップS215へ進む。
同様に、前記ステップS203において着火判定された時
も、ステップS212でPI補正中フラグXPIがリセットされ
た後にステップS215へ進む。
ステップS215ではPB補正回数カウンタNPBに、例えば
“10"がセットされる。ステップS216ではスロットル開
度θthがチェックされ、開度θthが、例えば50%以上で
あるとステップS217へ進み、50%未満であると前記ステ
ップS227へ進む。
ステップS217では指圧PIに基づいた失火判定が実行さ
れ、失火と判定されるとステップS218ではPI補正回数カ
ウンタNPIが1だけインクリメントされる。ステップS2
19では、NPIが予め設定された上限値を越えていないか
どうかが判定される。
PIが上限値を越えていないと、当該処理はステップ
S225へ進み、ここでは係数KCPIの設定処理が行われ
る。
CPIは、PI補正中の燃料噴射量を漸次減少させるた
めに設定される係数であり、PI補正回数カウンタNPI
値に応じて減少する。
本実施例では、NPI=1であればKCPI=1.0であり、
PIが“2"以上の場合にはKCPI=(0.95)NPI-1として
算出される。
一方、前記ステップS219においてNPIが上限値を越え
ていると判定されると、ステップS220ではNPIに上限値
(例えば30)がセットされる。
ステップS221では、検出された指圧PIに基づいてPI補
正係数KPIが検出され、ステップS222では、KPIにK
CPIを乗算した値が新たなKPIとして登録される。
ステップS223では、KPIの下限チェックが行われ、K
PI<(0.95)29であると、(0.95)29がKPIにセットさ
れる。なお、下限値としてKPIにセットされる係数は必
ずしも(0.95)29である必要はなく、その近傍の切りの
良い値であっても良い。また、補正係数として登録され
ているKPIの最低値であっても良い。
ステップS224では、燃料噴射量Toutに前記PI補正係
数KPIを乗算した値が新たな燃料噴射量Toutとして登
録され、その後、当該処理はステップS211へ進む。ま
た、前記ステップS217で着火判定されると、当該処置は
ステップS230へ進む。
ステップS230においてスロットル開度θthが50%以下
ではないと判定され、更に、ステップS231において、エ
ンジン回転数Neが6500回転未満ではないと判定される
と、ステップS232では前回失火フラグXMFがチェックさ
れる。
また、スロットル開度θthが50%以下、あるいはエン
ジン回転数Neが6500回転未満であると、当該処置がステ
ップS244へ進む。
ステップS232においてXMF=1でない場合、すなわち
前回が着火状態であると、当該処理は後述するステップ
S239へ進み、前回が失火状態(XMF=1)であるとステ
ップS233において前回失火フラグXMFがリセットされ
る。
ステップS234では、失火状態から着火状態への状態変
化の回数をカウントする失火着火回数カウンタNmfがチ
ェックされ、Nmf=0でないとステップS246へ進み、こ
こでNmfが1だけデクリメントされた後にステップS239
へ進む。
また、Nmf=0であると、ステップS235ではNmfに例
えば“20"がセットされ、ステップS236では失火着火カ
ウンタNMFが1だけインクリメントされる。
すなわち、失火状態から着火状態への状態変化が20回
起こってカウンタNmfが0となるごとに、失火着火カウ
ンタNMFが1だけインクリメントされる。
ステップS237では、NMFが予め設定された上限値を越
えていないかどうかが判定され、上限値を越えていない
と当該処理はステップS245へ進み、ここでは失火着火係
数KMFが設定される。
失火着火係数KMFとは、失火状態から着火状態への状
態変化が頻繁に発生する場合に、燃料噴射量を漸次減少
させるために設定される係数であり、失火着火カウンタ
MFの値に応じて減少する。本実施例では、KMF=(0.
9)NMFとして算出される。
前記ステップS237において、NMFが上限値を越えてい
ると判定されると、ステップS238ではNMFに上限値(MA
X)がセットされる。
ステップS239では、KMFの下限チェックが行われ、K
PI<(0.9)MAXであると、(0.9)MAXがKMFにセットさ
れる。
なお、下限値としてKMFにセットされる係数は必ずし
も(0.9)MAXである必要はなく、その近傍の切りの良い
値であっても良い。
ステップS240では、燃料噴射量Toutに前記失火着火
係数KMFを乗算した値が、新たな燃料噴射量Toutとし
て登録される。
ステップS241ではスロットル開度θthがチェックさ
れ、ここでスロットル閉度θthが90%以上ではないと判
定されるか、あるいはステップS242において、エンジン
回転数Neが12000回転以上ではないと判定されると、当
該処理はステップS243へ進む。
また、スロットル開度θthが90%以上、かつエンジン
回転数Neが馬力のピークとなる回転数(例えば12000回
転)以上であると、伸び切り状態であると判定されて当
該処置はステップS247へ進む。
ステップS247では、伸び切り状態中フラグXHIGHがチ
ェックされ、XHIGH=0、すなわち、伸び切り状態が継
続中でないならば、ステップS256において伸び切りタイ
マTMHIGHに、例えば“5秒”がセットされ、ステップS2
57ではフラグXHIGHがセットされる。
前記伸び切りタイマTMHIGHは、当該処理とは無関係に
時間経過にしたがってダウンカウントする。
また、ステップS247において伸び切り状態中フラグX
HIGH=1ならば、伸び切り状態が継続中であると判定さ
れ、ステップS248において伸び切りタイマTMHIGHがチェ
ックされる。
ここで、タイマがセットされてから、その後更新され
ること無く5秒が経過してTMHIGH=0となっていると、
ステップS249においてフラグXHIGHがリセットされ、ス
テップS250では伸び切り補正回数カウンタNHIGHがイン
クリメントされてステップS251へ進む。
ステップS251では、NHIGHが予め設定された上限値を
越えていないかどうかが判定され、越えていないと当該
処理はステップS255へ進み、ここでは伸び切り補正係数
HIGHが設定される。
伸び切り補正係数KHIGHとは、伸び切り状態が継続す
るときに、燃料噴射量を漸次増加させるための係数であ
り、伸び切り補正回数カウンタNHIGHの値に応じて増加
する。
本実施例では、NHIGHの値に応じて、KMF=(1.1)
NHIGHとして求められる。
前記ステップS251において、NHIGHが上限値(MAX)
を越えていると判定されると、ステップS252ではNHIGH
に上限値(MAX)がセットされる。
ステップS253では、KHIGHの上限チェックMAXが行わ
れ、KHIGH>(1.1)MAXであると、(1.1)MAXがKHIGH
にセットされる。
なお、上限値としてKHIGHにセットされる係数は必ず
しも(1.1)MAXである必要はなく、その近傍の切りの良
い値であっても良い。
ステップS254では、燃料噴射量Toutに前記伸び切り
補正係数KHIGHを乗算した値が、新たな燃料噴射量T
outとして登録される。
本実施例では、エンジン回転数およびスロットル開度
に基づいて伸び切り状態を検出するようにしたので、排
気温度センサ等のセンサを設けることなく伸び切り状態
を検出できるようになる。
また、伸び切り状態の継続時間に応じて基本燃料噴射
量を漸増補正するようにしたので、伸び切り状態のとき
でも最適空燃比を得ることができるようになる。
(2) PI補正処理 以下、補正係数KPIの算出方法を第22図を用いて説明
する。
ステップS70では、エンジン回転数Neに応じてNe/PI取
込みタイミングマップから、PI0取込みタイミングおよ
びPI1取込みタイミング(deg)を検索する。
第24図はNe/PI取込みタイミングマップであり、図中
左側の直線AがNeとPI0取り込みタイミングとの関係を
示し、図中右側の折れ線BがNeとPI1取り込みタイミン
グとの関係を示している。
同図より明らかなように、本実施例では直線Bが右上
がりとなっており、エンジン回転数Neが高くなるに従っ
てPI1の取込みタイミングが後ろ(TDC側)へずれるよう
に設定される。
すなわち、エンジン回転数Neに応じて可能な限り大き
なPI1を取り込めるようにするために、PI1取り込みタイ
ミングを、PI1のピーク値あるいはその近傍に設定して
いる。
なお、本実施例では直線Aも右上がりとなっており、
エンジン回転数Neが高くなるに従ってPI0取り込みタイ
ミングも後ろへずれるようになっているが、これは以下
の理由による。
すなわち、第26図(a)に示したように、PIR0に関す
る取込処理はPC信号ののタイミングで開始され、P
IR1、PIF0、PIF1に関しては、それぞれ,,のタ
イミングで開始される。
PI取込処理が開始されると、前記第18図に関して説明
した処理が順次実行され、所定のステップ(S416)へ進
むとタイマがダウンカウントを開始し、カウント値が
“0"になると前記第19図に関して説明した割り込み処理
が実行され、所定のステップへ進むと取り込み処理が実
行される。
失火判定の基準値となる指圧差ΔPIと(PI1−PI0)と
の差を大きくするためには、前記第17図から明らかなよ
うに、PI0取り込みタイミングは早い方が良いが、所定
のPC信号が検出されてから取り込み処理が実行されるま
でには、各種の演算処理時間とタイマのダウンカウント
時間が存在するため、エンジン回転数Neが高くなると、
必然的にPI取り込みタイミング(角度)が後ろへずれて
しまう。
なお、このようなPI0取り込みタイミングのずれを解
消するためには、第26図(b)に示したように、タイミ
ング検出用のタイマを2つ設けると共に、PIR0に関する
取込処理はPC信号ののタイミングで開始し、PIR1,PI
F0,PIF1に関しては、それぞれ,,のタイミング
で開始するようにすれば良い。
このようにすれば、PI0取り込みタイミングは固定値
とすることができる。
以上のようにしてPI取込みタイミングが検索される
と、該タイミング(deg)が角度−時間変換され、フロ
ントバンクの取り込みタイミングPI0およびPI1が、それ
ぞれ第18図のステップS412,S413に関して説明したTMPI
F0、TMPIF1として登録され、同様に、リアバンクの取り
込みタイミングPI0およびPI1が、それぞれS414,S415に
関して説明したTMPIR0,TMPIR1として登録される。
ステップS71では、Neとθthとに応じて予め設定され
ている、失火判定の基準値となる指圧差ΔPIが検索され
る。ステップS72ではΔPIと(PI1−PI0)とが比較さ
れ、ΔPI≧(PI1−PI0)、すなわち失火であるとステッ
プS73において補正係数KPIが検索される。
指圧PIによる失火検出では、失火時の吸入空気量が推
定できないので、失火時の吸気比Lに基づいて補正係数
PIを算出する。
第23図は着火時の吸気比LFと失火時の吸気比LMとを
表しており、同図から明らかなように、失火が連続的に
発生するゾーンと発生しないゾーンとで両者の吸気比が
逆転し、失火が発生するゾーンでは着火時の吸気比LF
が失火時の吸気比LMを上回っている。そこで、本実施
例では補正係数KPIとしてLM/LFを採用した。
なお、当該PI補正は、PB補正で失火を解消できなかっ
た場合の補助的な補正であるのでKPI<KPBとする必要
がある。また、確実に着火させるためには、KPI≧(L
M/LF)とする必要があるので、KPIは次式を満足する必
要がある。
(LM/LF)≦KPI<KPB そこで、本実施例ではKPIが上式を満足するように、
次式を満足する係数KLを設定し、KL×(LM/LF)を補
正係数KPIとしている。
(LM/LF)≦KL×(LM/LF)<KPB ステップS74では燃料噴射量TOUTに補正係数KPI=K
L×(LM/LF)を乗じ、これを新たな燃料噴射量TOUT
している。
なお、上記した説明では、LM/LFに基づいて補正係数
PIを算出するものとして説明したが、第23図から明ら
かなように、失火が発生するゾーンでの吸気比LFはほ
ぼ100%であるので、補正係数KPIを吸気比LFのみに基
づいて算出するようにしても、前記と同様の効果が得ら
れる。
なお、上記した実施例では、指圧PIの検出タイミング
がエンジン回転数の上昇に応じて遅角されるものとして
説明したが、点火時期を検出し、点火時期の遅角に応じ
て検出タイミングを遅角するようにしても良い。
(3) エンブレ補正処理 エンブレ補正処理とは、エンジンブレーキ(エンブ
レ)による減速時にθthに比例して吸入空気量が減少せ
ずに空燃比が薄くなり、良好な減速が行われないといっ
た減速不良を解消するために、高Ne、低θthの状態をエ
ンブレ状態と判定して燃料噴射量を増量し、エンブレ効
果を向上させる処理である。
以下、第25図のフローチャートを用いてエンブレ補正
処理を説明する。
ステップS90で低θthと判定され、さらにステップS91
で高Neと判定されると、ステップS92では、予め設定さ
れている定数KCNST(>1)が係数KMAPにセットされ
る。
また、低θthでない場合、あるいは高Neでない場合に
は、ステップS93において係数KMAPに“1"がセットされ
る。
ステップS94では、燃料噴射量TOUTに補正係数KMAP
を乗じ、これが新たな燃料噴射量TOUTとして登録され
る。
エンブレ補正処理によれば、低θthのエンブレ状態で
も適量な燃料が供給されるので、エンブレ効果を向上さ
せることができる。
再び第9図に戻り、ステップS23ではクランキング中
であるか否かが判別され、クランキング中であると、ス
テップS24では、クランキングテーブルから、冷却水温T
wを用いてクランキング時(始動完了から暖機運転に至
るまでのクランク軸約2回転までの状態)における燃料
噴射量Tiが検索される。ステップS25ではステップS24で
検索されたTiが所定レジスタに記憶される。
一方、ステップS23においてクランキング中ではない
と判定されると、ステップS26において、暖機あるいは
通常状態の基本燃料噴射量Tiが、例えばエンジン回転数
Ne及びスロットル開度θthをパラメータとしたマップよ
り検索される。
ステップS27ではステップS26において検索された燃料
噴射量Tiが、ステップS25と同様に、所定レジスタに記
憶され、当該処理はステップS28へ進む。
ステップS28では燃料噴射量TOUTが算出され、ステッ
プS29において該算出値が出力される。
ところで、第2図および第3図に関して説明したよう
に、本実施例ではインジェクタが1つしか設けられてい
ないので、低Ne時と高Ne時のいずれにおいても燃料噴射
量が正確に調整されるようにすることが難しい。
そこで、本実施例では燃料噴射に間欠噴射制御を採用
している。
第26図は本実施例の間欠噴射制御装置のブロック図で
ある。
同図において、エンジン回転数(Ne)検出手段10およ
びスロットル開度(θth)検出手段で検出されたNeおよ
びθthは、リア(R)バンク基本噴射量設定手段12、補
正係数設定手段13、および間欠パターン設定手段14に入
力される。
Rバンク基本噴射量設定手段12は、入力されたNeおよ
びθthに基づいてRマップを検索してリアシリンダに最
適な燃料噴射量TiRを求め、該噴射量TiRを間欠噴射手段
16Rに出力する。
ところで、リアマップとフロントマップとの間には次
式(1)が成り立つ。
Fマップ=Rマップ×KNM ……(1) したがって、Rマップに補正係数KNMを乗じてFマッ
プを求めるようにすれば、Fマップを設定することなく
フロントシリンダに最適な燃料噴射量TiFが簡単に求め
られるようになる。
そこで、本実施例では補正係数設定手段13が、前記R
バンク基本噴射量設定手段12で求められた燃料噴射量Ti
Rからフロントシリンダに最適な燃料噴射量TiFを求める
ための補正係数KNMを算出し、該補正係数KNMをFバン
ク基本噴射量設定手段15に出力する。
Fバンク基本噴射量設定手段15は、噴射量TiRに補正
係数KNMを乗じて噴射量TiFを算出し、該噴射量TiFを間
欠噴射手段16Fに出力する。
間欠パターン設定手段14は、第27図(a)に示したデ
ータテーブルから、θthおよびNeをパラメータとして間
欠パターンを設定して間欠噴射手段16F,16Rに出力す
る。
間欠噴射手段16F,16Rは、間欠パターンが“2回に1
回の噴射”であれば、各噴射量TiF、TiRを約2倍にして
2回に1回の割合で出力し、間欠パターンが“4回に1
回の噴射”であれば約4倍にして4回に1回の割合で出
力する。
このような間欠噴射によれば、基本燃料噴射量のほぼ
n倍の燃料が、n回に1回の割合でまとめて噴射される
ので、高回転時や高負荷時にも十分な量の燃料が噴射さ
れ、アイドリング時から高回転、高負荷時まで、エンジ
ン状態に応じた最適量の燃料が一本のインジェクタで噴
射可能になる。
しかも、間欠回数nがエンジン回転数およびスロット
ル開度に応じて設定されるようにしたので、アイドリン
グ時からのスロットル急開による急加速時、スロットル
急閉による急減速時でも、スロットル開度に応じた良好
な加速性、減速性が得られるようになる。
なお、上記した間欠噴射の実施例では、Rバンクの基
本燃料噴射量に補正係数を乗じてFバンクの基本燃料噴
射量を算出するものとして説明したが、これとは逆に、
Fバンクの基本燃料噴射量をマップより検出し、Fバン
クの基本燃料噴射量に補正係数を乗じてRバンクの基本
燃料噴射量を算出するようにしても良い。
また、本発明をV型エンジンではなく、通常の直列エ
ンジンに適用する場合は、補正係数設定手段13、Fバン
ク基本噴射量設定手段15、間欠噴射手段16Fを省略すれ
ば良い。
なお、間欠噴射の間欠パターンは上記したものに示し
たものに限らず、例えは同図(b)に示したように、全
運転領域にわたって常に間欠噴射となるような間欠パタ
ーンであっても良い。
このような間欠パターンによれば、間欠噴射がエンジ
ンの全運転領域にわたって行われるので、燃料の噴射タ
イミング制御、噴射量演算といった各種の演算処理もn
回に1回行えば良い。
したがって、各種の演算処理時間が短縮されてシステ
ムに余裕ができ、特に高Ne時にはその効果が顕著に表
れ、システム設計が容易になる。
第1図は、上記した本発明の実施例の機能ブロック図
であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表し
ている。
同図において、スロットル開度θth検出手段101はス
ロットル開度θthを検出する。エンジン回転数Ne検出手
段102は、Neパルス発生手段100から出力されるNeパルス
を用いてエンジン回転数Neを検出する。噴射タイミング
制御手段103は、Neパルスを用いて燃料の噴射タイミン
グを設定する。基本燃料噴射量設定手段104は、開度θt
hおよび回転数Neに基づいて基本燃料噴射量Tiを設定す
る。
加速初期判定手段107は、θthおよびΔθthに基づい
て、低スロットル開度からのスロットル急開を検出す
る。エンブレ検出手段108は、θthおよびNeに基づい
て、エンジンブレーキによる減速を検出する。減量補正
手段112は、加速初期に前記燃料噴射量Tiを減じる減量
係数KACCを出力する。増量補正手段113は、減速時に前
記燃料噴射量Tiを増す増量係数KMAPを出力する。
伸び切り検出手段109は、高Neかつ高θthの伸び切り
状態時間を計測する。増量補正手段114は、伸び切り状
態時間に応じて、前記燃料噴射量Tiを増す増量係数K
HIGHを出力する。
劣化判定手段126は、開度θthおよび回転数Neに基づ
いてエンジンの劣化状態を判定する。増減補正手段127
は、劣化状態に応じて前記燃料噴射量Tiを増減させる係
数KLESを出力する。
間欠噴射制御手段123は、開度θthおよび回転数Neに
基づいて、燃料を間欠噴射させる。
PB検出タイミング出力手段124およびPI検出タイミン
グ出力手段125は、回転数Neに基づいて、それぞれ負圧P
Bの検出タイミングおよび指圧PIの検出タイミングを出
力する。
PBセンサ115は吸気管内圧力を検出する。PIセンサ116
は燃焼室内圧力を検出する。
失火判定基準出力手段111は、開度θthおよび回転数N
eに基づいて、吸気管内圧力および燃焼室内圧力に関す
る失火判定基準値を出力する。
第1の失火判定手段117は、PBセンサ115の検出値と前
記失火判定基準値とに基づいて燃焼状態を判定する。PB
失火回数カウンタ118は、第1の失火判定手段117による
失火判定回数をカウントする。減量補正手段120は、失
火判定時に前記燃料噴射量Tiを減じる減量係数KPBを出
力する。
第2の失火判定手段119は、判定手段117による着火判
定、および前記失火判定回数が予定回数に達したことの
いずれか一方を検出して、PIセンサ116の検出値と前記
失火判定基準値とに基づいて燃焼状態を判定する。
PI失火回数カウンタ122は、第2の失火判定手段119に
よる失火判定回数をカウントする。減量補正手段121
は、PI失火回数カウンタ122のカウント値に基づいて、
前記燃料噴射量Tiを減じる減量係数KPIを出力する。
移行判定手段128は、失火状態から着火状態への移行
を判定する。移行判定カウンタ130は、前記失火状態か
ら着火状態への移行判定回数をカウントする。減量補正
手段129は、移行判定カウンタ130のカウント値に基づい
て、前記燃料噴射量Tiを減じる減量係数KMFを出力す
る。
燃料噴射量決定手段105は、基本燃料噴射量Tiに前記
減量係数および増量係数を乗算して燃料噴射量TOUT
決定する。駆動手段106は、前記燃料噴射量TOUTに基づ
いて、インジェクタ51(52)への通電時間を制御する。
(発明の効果) 以上の説明から明らかなように、本発明によれば、エ
ンジン回転数およびスロットル開度に基づいて伸び切り
状態を検出するようにしたので、排気温度センサ等のセ
ンサを設けることなく伸び切り状態を検出できるように
なる。
また、伸び切り状態の継続時間に応じて基本燃料噴射
量を漸増補正するようにしたので、伸び切り状態のとき
でも最適空燃比を得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の機能ブロック図、第2図は本発明の一
実施例の構成を示すブロック図、第3図は本発明の他の
実施例のブロック図、第4,5図はリアバンクの部分拡大
図、第6,7図はNeパルス及びCYLパルスを説明するための
図、第8図はNeパルスによるクランク割り込みのフロー
チャート、第9図は補正演算のフローチャート、第10図
は劣化補正のフローチャート、第11図は加速減量補正の
フローチャート、第12図は加速初期フラグXTHCLの設定
処理のフローチャート、第13図は加速減量補正のタイミ
ングチャート、第14図は加速減量補正係数KACCとθth
との関係を示した図、第15図は補正係数とNeとの関係を
示した図、第16,17図は指圧PIの取り込みタイミングを
示した図、第18図はPI取込みタイミング補正のフローチ
ャート、第19図はタイマ割り込みのフローチャート、第
20図は失火補正の概略フローチャート、第21図は失火補
正の詳細フローチャート、第22図は補正係数KPIの算出
フローチャート、第23図は着火時と失火時との吸気比L
を示した図、第24図はNe/PI取込みタイミングマップを
示した図、第25図はエンブレ補正処理のフローチャー
ト、第26図は間欠噴射制御装置のブロック図、第27図は
間欠パターンを示した図、第28図は指圧PIの取り込みタ
イミングを説明するための図、第29図は劣化補正係数K
LES0の算出手法を示した図、第30図は指圧PIによる失火
判定方法を説明するための図である。 1……シリンダ、20……電子制御装置、51A,51B,52……
インジェクタ、61……クランク軸、72……指圧センサ、
98……スタットボルト、96A,96B……掃気通路
フロントページの続き (72)発明者 小川 純孝 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭60−3453(JP,A) 特開 昭61−108847(JP,A) 実開 昭62−108548(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F02D 41/00 - 41/40

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子式燃料噴射装置を用いた2サイクルエ
    ンジンの燃料噴射制御装置において、 エンジン回転数を検出する手段と、 スロットル開度を検出する手段と、 エンジン回転数およびスロットル開度に基づいて、基本
    燃料噴射量を設定する基本燃料噴射量設定手段と、 エンジン回転数がエンジンの出力ピークとなる回転数以
    上であり、かつスロットル開度が高開度である状態が所
    定時間継続したことによりエンジンの伸び切り状態を検
    出する伸び切り検出手段と、 前記伸び切り状態が検出されると、当該伸び切りにより
    希薄化した混合気が適正な空燃比となるように前記基本
    燃料噴射量を増量補正する増量補正手段とを具備したこ
    とを特徴とする2サイクルエンジンの燃料噴射制御装
    置。
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