JP2913013B2 - プラスチック成形品の表面改質方法及びそれに用いるアルコール性シリカゾル組成物 - Google Patents

プラスチック成形品の表面改質方法及びそれに用いるアルコール性シリカゾル組成物

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JP2913013B2
JP2913013B2 JP8034477A JP3447796A JP2913013B2 JP 2913013 B2 JP2913013 B2 JP 2913013B2 JP 8034477 A JP8034477 A JP 8034477A JP 3447796 A JP3447796 A JP 3447796A JP 2913013 B2 JP2913013 B2 JP 2913013B2
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信助 山崎
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカボネート、
ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチルなどのプラス
チック成形品の表面の耐擦傷性、光沢性、耐薬品性、耐
候性等を向上せしめることを目的としたハードコーテイ
ングにおいてアンダーコート或いはプライマー処理なし
に強固な密着性を可能とした、オルガノポリシロキサン
系ハードコーテイングの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック材料は、一般に軽量で成形
が容易であり耐衝撃性や透明性に優れているため広範囲
の用途があるが、大きな欠点として表面硬度の不足のた
めにチリやゴミ等を取り除く拭掃作業や摩擦、引っかき
等により傷が付きやすく、そのため使用中に光沢性や透
明性が失われやすい。また、有機溶剤に侵されやすく、
耐候性、耐熱性、耐燃焼性に問題がある。
【0003】これらの欠点は、硬度の高い材料を基材表
面に被覆することによってかなりカバーすることができ
る。例えば、従来知られている方法として、メラミン樹
脂などの熱硬化性樹脂を直接塗布し焼き付け硬化する方
法(特公昭40−7392、特公昭46−109)やア
ルカンジオールのジメタクレートなどの多官能性アクリ
ル樹脂を鋳型の内面に重合形成した硬化膜をメタクリル
樹脂のキャスト重合時に転写する方法(特公昭35−1
7847、特公昭37−9827)、高真空下でのSi
2 や低融点ガラスの蒸着(G.Kienel:Kunststoffe 5
9,76(1969) )、テトラメトキシシランなどのプラズマ
重合(D.Secrist:J.Electrochem.Soc.,113,914(1966))な
どが知られている。とりわけハードコート剤を塗布処理
する方法は、コストが安く工業的には有利な方法で、例
えばメラミン樹脂系やオルガノシラン系の熱硬化(例え
ば特公昭52−39691)やジエチレングリコールジ
メタクレート、ホスフアーゼン誘導体などの紫外線照射
重合(UV硬化)などが用いられている。(石川:強化
プラスチック32,58-62、倉橋:塗装と塗料:'91/11(No.4
85)39-47)
【0004】しかし、メラミン樹脂系のハードコート
は、廉価であるが硬化に時間がかかり、また、耐候性が
悪く、最近では酸性雨の影響が問題となっている。ジエ
チレングリコールジメタクレートなどの多官能のアクリ
ル系モノマーの熱硬化は、長時間を要し硬化時間の著し
く短いUV硬化や電子線硬化が利用されている。しか
し、不活性な雰囲気中で高エネルギーの照射を行うため
の設備や処理方法に高度な技術を必要とするため高コス
トになる問題点がある。生成硬化膜は全般的に基材プラ
スチックとの密着性が比較的良好であるためアンダーコ
ート或いはプライマー処理なしに密着性を得ることが可
能であると言われるが、実際にはモノマーの重合硬化時
に30%に及ぶ重合収縮を生じ急速な硬化のための内部
歪みと紫外線照射による基材表面の劣化などから密着性
が低下するためアンダーコート処理が行われている。
【0005】一方、オルガノシラン系のハードコーテイ
ングは、一般に加熱硬化時間が長く、また、原材料がや
や高価格であるが、その構造から、耐候性に優れ、高い
橋かけ密度を構成し得ることから硬度の非常に高いハー
ドコーテイング膜が得られることから古くから種々のも
のが多数提案されている。広く知られている代表例とし
ては米国特許第3,429,845号明細書、同3,4
29,846号明細書(1969年)米国特許第3,4
51,838号(1969)、同3,554,698号
明細書(1971年)などがある。
【0006】オルガノシラン系はアルコキシシランの加
水分解によるシラノール生成とそれに続く縮合反応によ
るシリケイト構造の形式によってオルガノポリシロキサ
ンとなり硬化するもので、オルガノポリシロキサンを構
成するアルコキシランなどのオルガノシランの構造単位
は、1官能性のものから4官能性のものまであり、ハー
ドコート剤には3官能性及び4官能性のものが使用され
る。4官能性のテトラエトキシシラン、テトラメトキシ
シランからの硬化膜は、造膜性が悪く、また密着性も無
いために、そのままでは用いられず、有機ポリマー材料
との複合化や600℃以上で生成シリカ粒子を融着させ
る方法がとられる。また、3官能性のメチルトリエトキ
シシラン、メチルトリメトキシシランなどのアルコキシ
シランを用いる方法の場合は加水分解・重縮合物がそれ
自体で造膜性があることを利用しているが、硬化速度が
非常に遅いため上述の米国特許にも開示されているよう
に初めに80〜300℃に熱して一部縮合したキュア可
能な樹脂を得た後、溶剤に溶かして、更にキュア触媒を
加えて通常の方法で塗布し硬化する方法が採られてい
る。また、メチルトリエトキシシランなどの加水分解・
重縮合によるアルコール性シリカゾルはガラス板にはよ
く濡れ、密着性のある膜を形成するが、ポリカボネート
などプラスチック基材には濡れ性と密着性が非常に悪
く、界面活性剤を併用して濡れ性は改善できるが、大き
な問題点として形成されたコーテイング膜は基材との密
着性に欠け、亀裂、剥離を生じやすく、このため耐擦傷
性に欠ける問題点があって、プライマーの使用が不可欠
でプライマーの選択は各社の重要なノウハウとなってい
る。
【0007】上述のようにオルガノポリシロキサン系ハ
ードコーテイングでは、プラスチック基材に対しては一
般に密着性を欠くため、実用上はシランカップリング剤
や各種のプライマーをプラスチック基材に予めコーテイ
ングするなどの方法がとられるが、シランカップリング
剤の場合では硬化反応により高い加熱温度と、より長い
硬化時間を必要とするなど生産性に問題があり、ライン
での塗装をはじめ、現場での塗装ではプライマー処理な
しのワンコート法が切望されており、その方法が開発さ
れればその経済効果は非常に大きい。。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の問題点に鑑みてなされたものであり、オルガノアル
コキシシラン系のハードコーテイングの改良によって、
より一層の高性能化をはかり、プライマーを用いなくて
も直接ワンコート法によってポリカーボネート、ポリ塩
化ビニルなどの透明性プラスチックに密着性の優れた硬
度の高い耐擦傷性の優れた塗膜を簡単な通常の塗装方法
によって与えることのできるコーテイング方法及びそれ
に用いるコーティング剤組成物を提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者はポリシロキサ
ン系ハードコーテイングにおけるプラスチック材料との
密着性改善について試行錯誤的に種々の検討を行った。
その結果、3官能性のメチルトリエトキシシラン或いは
メチルトリメトキシシランと4官能性のテトラエトキシ
シラン或いはテトラメトキシシランを3:1〜15:1
の割合で混合したアルコキシシランに、例えば1/6倍
量のテトラヒドロフルフリルアルコールと、室温以下で
造膜性のあるアクリル系ポリマーラテックスを水で更に
6倍に希釈したものとをアルコキシシラン量の1/6倍
量混合し、この混合液をp−トルエンスルホン酸などの
酸触媒の存在下、室温でかき混ぜながら加水分解・重縮
合させると、発熱しながら数分くらいで透明性の均一な
低粘性のアルコール性シリカゾルが生成することを見い
出した。そして、このものを密着性に問題点のあったポ
リカーボネート成形品に通常の方法で塗布すると濡れ性
も良く、自然乾燥でも硬化が早く、また120℃で加熱
乾燥すると急速に硬化し、意外にも密着性の良い無色透
明性で高光沢性の耐擦傷性に優れたコーテイング膜が形
成されることを見いだした。本発明はこの知見に基づき
なされたものである。
【0010】即ち本発明は、 (1)トリアルコキシシランとテトラアルコキシシラン
とを重量比でその3:1〜15:1で含有するアルコキ
シシランに対し、(イ)重量比で1/6倍〜1/2倍量
のテトラヒドロフルフリルアルコールもしくはテトラヒ
ドロフルフリルアルコールと低級アルコールもしくはテ
トラヒドロフランとの混合物と、(ロ)固形分40〜5
0重量%のアクリル系ポリマーラテックス(室温以下で
造膜性のあるもの)を水で2〜16倍に希釈した、前記
アルコキシランの重量の1/12倍〜1/3倍量に相当
するポリマーラテックスの水希釈分散液とを混合し、こ
の混合液を酸触媒の存在下で室温でかき混ぜながら加水
分解・重縮合して得られる透明、低粘性のアルコール性
シリカゾル組成物をプライマー処理を必要とせず直接プ
ラスチック成形品の表面に塗布し、自然乾燥もしくは6
0〜200℃で加熱乾燥硬化させることを特徴とするプ
ラスチック成形品の表面改質方法、及び (2)トリアルコキシシランとテトラアルコキシシラン
とを重量比でその3:1〜15:1で含有するアルコキ
シシランに対し、(イ)重量比で1/6倍〜1/2倍量
のテトラヒドロフルフリルアルコールもしくはテトラヒ
ドロフルフリルアルコールと低級アルコールもしくはテ
トラヒドロフランとの混合物と、(ロ)固形分40〜5
0%を基準とするアクリル系ポリマーラテックス(室温
以下で造膜性のあるもの)を水で2〜16倍に希釈し
た、前記アルコキシランの重量の1/12倍〜1/3倍
量のポリマーラテックスの水希釈分散液とを混合し、こ
の混合液を酸触媒の存在下で室温でかき混ぜながら加水
分解・重縮合して得られる透明、低粘性のアルコール性
シリカゾル組成物を提供するものである。ここで表面改
質とは、透明性を損うことなく、表面硬度、光沢性、耐
溶剤性、耐擦傷性などを向上させることをいう。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる加水分解性の
アルキルアルコキシシランとしては、各種市販の3官能
性と4官能性の低級アルコキシシランで、例えばメチル
トリエトキシシランやメチルトリメトキシシラン、フエ
ニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テト
ラエトキシシランやテトラメトキシシランの縮合物とし
て工業用に広く使用されているメチルシリケート51、
テトラエトキシシランの縮合物のエチルシリケート40
などが挙げられる。
【0012】本発明においては、アルキルアルコキシシ
ラン類の加水分解・重縮合は水で希釈したアクリル系ポ
リマーラテックスとテトラヒドロフルフリルアルコール
で代表される水溶性のあるアルコール(その他、ブタノ
ール、イソプロパノール、エタノールなどの低級アルコ
ール或はテトラヒドロフラン)を混合して得られる不均
一系の分散液に微量のp−トルエンスルホン酸などの酸
触媒を添加して室温でかき混ぜることによって、得られ
る透明性の均一なアルコール性シリカゾル組成物でこの
生成したアルコール性シリカゾルは、通常長期間変化は
見られなかった。
【0013】アルコキシシラン類の加水分解・重縮合に
は、酸触媒が好適に使用される。酸触媒としては、p−
トルエンスルホン酸一水和物、0.1Nの塩酸水溶液、
氷酢酸、クエン酸などをアルコキシシランの0.1〜2
重量%程度適宜添加して数分から30分位で均一なアル
コール性シリカゾルが形成できるようにすると良い。触
媒量が多くなるとアルコール性シリカゾルの形成が早く
なるが、発熱が著しくなり望ましくないが、少ないと硬
化が遅くなり、また生成皮膜の硬度が低下する。またア
ンモニア水などのアルカリ触媒は、ゲル化を促進してゾ
ルの安定性を悪くする。
【0014】当該シリカゾル組成物は、ガラス板、金属
板などには密着性の良い堅いコーテイング膜を容易に形
成するが、従来から問題となっていたポリカーボネート
などのプラスチックにも濡れ性良く密着性の良いコーテ
イング膜を形成できるのが大きな特徴である。本発明で
は、特にポリカーボネートとの密着性の改善のために加
熱するとポリカーボネートを膨潤、溶解するテトラヒド
ロフルフリルアルコールと接着剤、塗料用に広く利用さ
れているガラス転移温度の低い市販品のアクリル系ポリ
マーラテックスを含有させることによって、あらかじめ
プライマー処理を行わなくても、プラスチック表面に当
該ゾル組成物を直接そのままコーテイングすることによ
って密着性が良好で耐擦傷性のある高光沢性の堅い塗膜
を形成できる。なおプラスチックがポリ塩化ビニルの場
合はテトラヒドロフルフリルアルコールで代表される水
溶性アルコールの一部をテトラヒドロフランに替えて使
用することが好適である。
【0015】本発明で用いられるポリマーラテックスと
しては、アルコール類と親和性のあるアクリル系のポリ
マーラテックスが好適で室温以下で造膜性のあるガラス
転移温度Tgの低いものが良い結果を与える。即ちアク
リル酸エチル或いはアクリル酸ブチルとメタクリル酸メ
チルの共重合体を主成分とする場合、ガラス転移温度
(Tg)の低いポリマーを与えるアクリル酸エチルやア
クリル酸ブチル成分の方がTgの高いポリマーを形成す
るメタクリル酸メチル成分よりも2倍以上である場合が
好適である。また、ヒドロキシル基などの官能基を共重
合等によって含有することによって相溶性をより高める
ことも望ましい。ポリマーラテックス成分の添加量は少
ないため大部分の市販の製品が適用できるが、スチレン
やブタジエンなどを共重合体成分としたポリマーラテッ
クスはアルコール類に不溶でポリマーが凝集固化するの
で適用できない。アクリル系のポリマーラテックスの市
販品の一例としては日本ゼオン(株)製品の標準タイプ
Nipol LX811、LX822(商品名)ほか、
各メーカーの塗料、接着剤用の各種アクリレートラテッ
クス製品が適用できる。
【0016】市販のアクリル系ポリマーラテックスは、
通常固形分40〜55%の水分散系のエマルジョン状態
で提供されるが、直接アルコキシシラン類と混合すると
分散溶解が困難となるので予め水で2〜16倍に希釈し
たものをアルコキシシランの1/12〜1/3倍量の限
定された範囲の量添加することが必要である。水を添加
したり、ポリマーラテックス希釈分散液を限定された範
囲量を超えて添加すると系中の水分量が増してアクリル
系の有機ポリマー成分が不溶性となって析出してくる。
また、添加量が少なすぎると、水分が不足してアルコキ
シシランの加水分解・重縮合が不十分となり、アルコキ
シシランが未反応のまま残存し濡れ性や造膜性が著しく
損なわれる。
【0017】本発明における塗膜形成法としては、粘性
が低く、また粘度の調整も容易であることからディッピ
ング、スプレー、ロールコート、カーテンフローコー
ト、スピンコート、バーコートなどの通常の塗装方法が
採用できる。基材上に当該組成物を塗布、乾燥硬化後の
膜厚としては通常1〜50μmの厚さであるが密着性、
硬度の点から下限は5μm以上が良く上限は20μm以
下が好ましい。乾燥硬化は常温でも良いが、80〜20
0℃、より好ましくはプラスチック基材の熱変形温度を
勘案して60〜120℃で行う。硬化時間は、加熱硬化
の場合は、3分以上、好ましくは15から30分であ
る。塗膜は高光沢性で表面硬度が高く、耐擦傷性で、微
小硬度計によるヌープ硬度はKH=20〜100で鉛筆
硬度で2H以上あり多くの場合6Hから9Hで0番のス
チールウール(中心径25μm)で擦ると僅かに傷が付
くが、000番のスチールウールでは全く傷は付かない
ハードコーティング膜が得られた。
【0018】本発明によって得られたポリカーボネート
シートに対するハードコーテイング膜の密着性は良好で
Xカットテープ剥離試験や碁盤目試験で剥離は見られな
かった。また、耐水性は良好で、長期間水中においても
全く変化はみられなかった。当該ハードコーテイングに
よって耐溶剤性も著しく改善され、アルコール、ケト
ン、ベンゼン、ヘキサンを含有する布でラビングしても
変化はみられなかった。
【0019】本発明のコーティング方法はポリメタクリ
ル酸メチル、ポリカーボネート、塩化ビニル樹脂、ナイ
ロン、ポリエステル、ポリスチレン、ナイロンなどの透
明性プラスチックに対する無色透明、高光沢性のハード
コーテイングに好適であるが着色剤を配合して各種色相
のものを塗装することもできる。 とりわけ透明性のポ
リカボネートの表面の耐スクラッチ性、耐磨耗性、耐候
性、耐溶剤性改善に極めて有用である。
【0020】透明プラスチックの表面特性の向上による
製品の寿命の延長は大きなニーズであり、雑貨、日用品
を始め航空機の窓やドア材、オートバイの風防、ヘッド
ライトや各種照明器具カバー看板、ディスプレーなどの
大型の材料やメーターパネル、機器カバーなどへのコー
テイング法として有用である。
【0021】最近では、自動車部品、家電製品などのプ
ラスチックに対する品質向上要求から素地の表面劣化の
保護、耐候性、耐擦り傷性をはじめ光沢性のある鮮やか
な高級感のある色合いの仕上げやメタリックカラー仕上
げなど装飾効果の付与などがもとめられているので各種
のプラスチック素材の付加価値を高めるプラスチック塗
料材料としても有用である。
【0022】
【実施例】次に本発明を製造例、実施例に基づいて更に
具体的に説明するが本発明はかかる実施例のみに限定さ
れるものでない。なお、例中、部及び比はそれぞれ重量
部及び重量比を示す
【0023】実施例1 メチルトリエトキシシラン5部にテトラエトキシシラン
を1部混合したアルコキシシランにテトラヒドロフルフ
リルアルコール1部と市販のアクリル系ポリマーラテッ
クス(日本ゼオン製品 Nipol LX811 固形
分45重量%Tg −18℃)を水で8倍に希釈したも
のを1.0部混合したものに酸触媒として0.010部
のp−トルエンスルホン酸を添加して室温下でかきまぜ
ていると、最初不均一に分散していた混合液が直ちに若
干の発熱を伴ってアルコキシシランが加水分解・重縮合
すると共に青白色透明性の均一なアルコール性シリカゾ
ル溶液が形成された。このアルコール性シリカゾルは長
期間安定であった。
【0024】ついでポリカーボネートシート(日本ジー
イープラスチックス株式会社製 レキサン 厚さ0.5
mm 両面保護膜付き)の保護膜をはがした試験片に、
上述の透明性の均一なアルコール性ゾル溶液を流延し、
もしくはヨシミツ精機株式会社製YBA型ベーカーアプ
リケータ(塗工の隙間150μm)を用いてコーテイン
グ後、表面温度120℃のホットプレート上で数分間乾
燥硬化すると密着性の良いコーテイング膜が形成され
た。コーテイング膜は無色透明、高光沢性で、非常に堅
く、寺田式微小硬度計によるヌープ硬度は、KH=99
で鉛筆硬度なら6H以上で爪で強く引っかいても傷が付
かず、0番の家庭用品のスチールウール(中心径25μ
m)で強く擦ると少し傷が付いたが、000番のスチー
ルウールの場合は殆ど傷が付かなかった。
【0025】塗膜の密着性は非常に良く、Xカット・セ
ロハンテープ剥離テストの評価点は、はがれが全くない
10点であり、碁盤目カットのテープ剥離試験は100
/100(塗膜上にカッターナイフで1mm四方の切れ
目を100個作成し、その上にセロハンテープを貼り付
けた後、セロハンテープを90度の方向に強くひきはが
したときに残っているマス目の数が100であるこ
と。)であった。コーテイング膜の耐水性は良好で、水
中に1週間以上浸漬しても表面に全く変化がみられず、
また、各種の有機溶剤、(アルコール、ケトン、テトラ
ヒドロフラン、ベンゼン)を含ませた布で擦っても変化
がみられなかった。
【0026】実施例2 実施例1において、アクリル系ポリマーラテックス N
ipol LX811を2倍に希釈したものを1部添加
した場合で、実施例1の場合と同様に透明性の安定なア
ルコール性ゾル溶液が形成され、このものをポリカーボ
ネートシートに直接コーテイングし自然乾燥硬化させた
場合も120℃で加熱乾燥硬化した場合も造膜性は良好
で、Xカットテープ剥離試験で剥離は無く密着性の良
い、耐擦傷性のある耐水性、耐薬品性に優れた膜が形成
された。 なお、微小硬度計によるヌープ硬度はKH=
40で鉛筆硬度は6H以上に相当する。
【0027】比較例1 使用するテトラヒドロフルフリルアルコールの量を4倍
量にした以外は実施例1と全く同様にしてアルコール性
シリカゾルを調製した。このアルコール性シリカゾルを
用いて実施例1と同様の塗布を行ったところ、実施例1
の場合と異なって加熱硬化時にポリカーボネート板との
濡れ性が急速に悪くなって均一なコーテイング膜の形成
が出来なくなった。また、テトラヒドロフルフリルアル
コールを0.5部或いは全く使用しなかった場合は見か
け上は、良好な無色透明性のコーテイング膜が形成され
たが、コーテイング膜とポリカーボネートシートとの密
着性が悪く、爪で引っかくとすぐ剥離し、またスチール
ウールで擦ると容易に剥離し実用に耐えなかった。
【0028】比較例2 実施例1において、アクリル系ポリマーラテックス N
ipol LX811を水で希釈しないで、そのまま
0.5〜1部混合した場合は、溶解分散が困難であり、
また、系の粘度が高く、加水分解・重縮合反応が遅くア
ルコキシシラン臭が長期間残った。造膜は良好で、密着
性も良好であったが、膜の硬度は低く、ヌープ硬度でK
H=7〜14(鉛筆硬度B〜H相当)で爪で引っかくだ
けでも容易に傷つきやすい。
【0029】比較例3 実施例1において水を2部更に加えた場合は、加水分解
がより早くかなり発熱し、経時的に有機ポリマー成分が
析出して透明性が悪くなり半透明性のゾルとなった。ポ
リカーボネート板に対する濡れ性と造膜性は良好で堅
く、無色透明性の高光沢性の皮膜が形成されたが、Xカ
ットテープ剥離試験は0で密着性が悪かった。
【0030】実施例3 実施例1と同様にメチルトリエトキシシラン5部にテト
ラエトキシシラン1部を混合したアルコキシシランにテ
トラヒドロフルフリルアルコール2部とアクリル系ポリ
マーラテックス(ヘキスト合成 モビニール B)の6
倍希釈液を1部混合したものに酸触媒として0.010
部のp−トルエンスルホン酸を添加し、室温でかきまぜ
ると直ちに若干の発熱を伴って系は透明化して安定なア
ルコール性シリカゾルが形成された。このものをメタク
リル樹脂板とポリカーボネート板にそれぞれ流延法でコ
ーテイングし120℃のホットプレート上で乾燥硬化す
ると無色透明性で高光沢性の堅いコーテイング膜が形成
された。Xカットテープ剥離試験で剥離は見られず密着
性は良好であった。微小硬度計によるヌープ硬度はKH
=56であり、また0番スチールウールで僅かに傷が付
く程度であった。また、アセトン、ベンゼンなどの有機
溶剤を含ませた布で擦っても変化が見られず、基材プラ
スチックの耐溶剤性が大きく改善されている。
【0031】実施例4 メチルトリエトキシシラン5部にテトラエトキシシラン
1部を混合したアルコキシシランにテトラヒドロフルフ
リルアルコール1部とテトラヒドロフラン1部及びアク
リル系ポリマーラテックス(Nipol LX811
日本ゼオン)の6倍水希釈分散液1部を混合し、0.0
050部のp−トルエンスルホン酸を触媒として室温で
かきまぜると直ちに発熱を伴って無色透明なアルコール
性ゾルが形成された。このものを厚さ1mmの硬質塩ビ
板(タキロン601)流延法でコーティングし、80℃
のホットプレート上で30分乾燥硬化すると無色透明で
高光沢性の堅いコーティング膜が形成された。メカット
テープ剥離試験で剥離はみられず、またアセトン、ベン
ゼンを含ませた布で擦っても変化がみられなかった。微
小硬度計によるヌープ硬度はKH=45で0番スチール
ウールで僅かに傷つく程度であった。
【0032】
【発明の効果】本発明の方法によって、ポリカーボネー
ト、メタクリル樹脂などの透明プラスチック成形品の表
面を耐擦傷性、耐磨耗性、耐薬品性、耐候性などをプラ
イマー処理を必要としないワンコート法で塗装できるこ
とからコスト的に非常に有利で、窓ガラス、ドア材、看
板、風防、各種照明器具カバーなどの大型のプラスチッ
ク製品の表面特性向上によるプラスチック製品の寿命の
延長など実用価値を大きく高めることが出来る。また、
自動車部品、家電製品などのプラスチック素材のメタリ
ックカラー仕上げなど付加価値を高めるプラスチック塗
料材料としても有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08K 5/05 C08K 5/05 C08L 83/04 C08L 83/04 C09D 183/04 C09D 183/04 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08J 7/04 B05D 7/02 - 7/24 302 C08K 5/00 C08K 5/05 C08L 83/04 C09D 183/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トリアルコキシシランとテトラアルコキ
    シシランとを重量比でその3:1〜15:1で含有する
    アルコキシシランに対し、(イ)重量比で1/6倍〜1
    /2倍量のテトラヒドロフルフリルアルコールもしくは
    テトラヒドロフルフリルアルコールと低級アルコールも
    しくはテトラヒドロフランとの混合物と、(ロ)固形分
    40〜50重量%のアクリル系ポリマーラテックス(室
    温以下で造膜性のあるもの)を水で2〜16倍に希釈し
    た、前記アルコキシランの重量の1/12倍〜1/3倍
    量のポリマーラテックスの水希釈分散液を混合し、この
    混合液を酸触媒の存在下で室温でかき混ぜながら加水分
    解・重縮合して得られる透明、低粘性のアルコール性シ
    リカゾル組成物をプライマー処理を必要とせず直接プラ
    スチック成形品の表面に塗布し、自然乾燥もしくは60
    〜200℃で加熱乾燥硬化させることを特徴とするプラ
    スチック成形品の表面改質方法。
  2. 【請求項2】 トリアルコキシシランとテトラアルコキ
    シシランとを重量比でその3:1〜15:1で含有する
    アルコキシシランに対し、(イ)重量比で1/6倍〜1
    /2倍量のテトラヒドロフルフリルアルコールもしくは
    テトラヒドロフルフリルアルコールと低級アルコールも
    しくはテトラヒドロフランとの混合物と、(ロ)固形分
    40〜50%を基準とするアクリル系ポリマーラテック
    ス(室温以下で造膜性のあるもの)を水で2〜16倍に
    希釈した、前記アルコキシランの重量の1/12倍〜1
    /3倍量のポリマーラテックス液とを混合し、この混合
    液を酸触媒の存在下で室温でかき混ぜながら加水分解・
    重縮合して得られる透明、低粘性のアルコール性シリカ
    ゾル組成物。
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