JP2912938B1 - 耐波浪性・耐水性に優れた竹材を使用主材とした湛水法面の緑化方法 - Google Patents
耐波浪性・耐水性に優れた竹材を使用主材とした湛水法面の緑化方法Info
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Abstract
って、ダム湖や河川の湛水法面に対する施工が容易で、
その緑化・植生を行う植物のための十分な生育環境を形
成することができるだけでなく、湖や河川の水の富栄養
化を極力防止することができて、ビオトープの形成は勿
論、回復をも行うことのできる湛水法面の緑化方法を提
供すること。 【解決手段】アンカー挿入用の穴12をあけた多数の竹
筒11を、穴12に挿通したアンカー20によって湛水
法面に適宜間隔で固定した後、これらの竹筒11間及び
上に、植生基盤材40等の吹付材を被覆すること。
Description
水法面の植生を行う緑化方法に関し、特に近年非常に安
く入手できるようになってきた竹材を使用して、ダム湖
や河川の波等による悪影響を受けにくくでき、湖水や河
川水等の汚染を極力防止することができるようにした緑
化方法に関するものである。
川においては、その周囲に、所謂「湛水法面」(水面近
傍の法面)が必ず存在する。この「湛水法面」は、ダム
湖や河川の水面が季節変化や貯水量によって上下するこ
とにより、完全に乾燥状態となったり、水没してしまう
こともある。つまり、ダム湖等の周囲に存在する湛水法
面は、そのままでは植生植物の十分な生育が望めない環
境となっている。すなわち、図1に概略的に示すよう
に、裸地のまま非常に荒廃した状態となっている。
の水流や波による侵食を受け易いものとなっており、そ
の結果、湛水法面の土砂がダム湖等に流下して環境の破
壊を起こし易いものでもある。この侵食を早期に防止す
るためにも、また近年観光地化してきているダム湖等の
周囲の景観保護の観点からしても、ダム湖等の湛水法面
に対しては、その環境状態に応じた植生を積極的に行わ
なければならないものである。
水期、あるいはダムの放水等によって、メートル単位で
変化するものであり、その結果、「湛水法面」は広い面
積を有したものとなっているのである。つまり、ダム湖
の「湛水法面」は、湖水面が大きく変化することによっ
て、湖面から完全に露出して乾燥地となる場合があるだ
けでなく、完全に水没してしまう部分ともなるのであ
り、植物が生育する箇所としては、非常に過酷な条件の
ものとなっているのである。
ては、従来より、例えば「浮島」工法と呼ばれる植生工
法が採用されてきている。この浮島工法は、湖面の上下
に追随して移動する「浮島」に植生を行い、この浮島上
の植生によって景観の保護等を行うようにするものであ
るが、その施工費用が非常に高価となるだけでなく、植
生植物による湛水法面に対する直接的な保護を行うもの
ではないから、法面の十分な安定緑化が行えなかったの
である。
号公報にて提案されているような緑化工法が開発され
た。この緑化工法は、上記公報の特許請求の範囲の記載
からすると、図10にも示すように、「プラスチックま
たは金属の網籠内に不織布の袋を収納し、その袋の内部
に植生基盤材を充填した緑化ボックスをダム湖、湖、池
等のかん水斜面裸地法面に連続的に設置し、緑化ボック
ス内に水陸両用植物を植栽することを特徴とする、ダム
湖、湖、池等のかん水斜面裸地法面を安定・修景緑化工
法」である。
案されている緑化工法は、 ・ダム湖、湖、池等のかん水面裸地法面という植物の生
活環境としては極めて過酷な条件を緑化ボックスにより
緩衝し、克服するようにすること。 ・ダム湖、湖、池等のかん水、裸出の繰り返しに耐える
植物を植栽し、その根は緑化ボックスより出て背後の法
面に侵入し、地山を長期にわたり安定させること。 ・植物を用い、ダム湖、湖、池等の景観が永久的に周囲
の環境になじむ修景緑化を図ること。 を目的としてなされたものであり、これらの目的を達成
できたものであると考えられるが、「緑化ボックス」を
採用しなければならない以上、次のような改善しなけれ
ばならない点を未だ含んでいるものである。
洗われるものであり、この波の力に打ち勝つようにしな
いと、「緑化ボックス」内に入れた基盤材料の流出を招
くだけでなく、植生植物の根の生育を抑えることにもな
る。 勿論、この種の湛水法面に対して緑化を行う場合に
は、その施工が簡単なものとなっていなければならな
い。湛水法面は、資材の搬入が困難な人里離れた山間地
等にあることが多く、また特にダム湖におけるように、
岩盤の掘削によって形成した急峻な傾斜法面や、コンク
リートで固めた法面もあることから、植生植物の生育が
困難な場所になっているだけでなく、工法施工が困難な
場所にもなっているからである。 特に、ダム湖においては、水が滞留することが多いた
め、水の富栄養化を極力防止しなければならない。水質
汚染によって、ダム湖の景観が損なわれるからである。
ける湛水法面の緑化・植生を行う場合に、上記の〜
の改善を行うにはどうしたらよいか、について種々検討
を重ねてきた結果、近年の竹材については、次のような
実状にあることに気づき、この竹材を何とか利用できな
いかと種々検討を重ねてきたのである。
り、最近では竹細工等に余り利用されなくなった。その
ため、建築をはじめその他の素材としても利用されず自
然に放置されたままである。 ・竹が余り利用されなくなった為、湛水法面施工現場近
くで大量にしかも容易に入手出来る。そのため、竹は比
較的安価な素材となり、緑化工事全体のコストダウンに
もマッチするものとなり得る。 ・竹材という自然資源のリサイクル利用は、「アメニテ
ィ・ライフ」の指向の上でも有効であり、社会情勢から
みても自然素材の有効利用は好ましい。
素材を有効利用することが、自然環境の保護に役立つだ
けでなく、上記の〜の改善をも同時に行い得るもの
であることが知見されて、完成されるに至ったものであ
る。
な経緯に基づいてなされたもので、その解決しようとす
る課題は、「竹材」を有効利用することによって、ダム
湖や河川の湛水法面の緑化あるいは植生を、効果的に行
うことである。
的とするところは、「竹材」の有効利用の仕方を工夫す
ることによって、ダム湖や河川の湛水法面に対する施工
が容易で、その緑化・植生を行う植物のための十分な生
育環境を形成することができるだけでなく、湖や河川の
水の富栄養化を極力防止することができて、ビオトープ
の形成は勿論、回復をも行うことのできる湛水法面の緑
化方法を提供することにある。
ころは、「竹材」そのものは勿論、その構造をも有効利
用することによって、ダム湖や河川の湛水法面に対する
施工が容易で、その緑化・植生を行う植物のための十分
な生育環境を形成することができ、湖や河川の水の富栄
養化を防止するとともに、水質を浄化することができ
て、ビオトープの形成・回復をも行うことのできる湛水
法面の緑化方法を提供することにある。
目的とするところは、上記請求項1または請求項2の発
明と同様な目的を達成することができる他、「竹材」の
有効利用の仕方を更に改良することによって、より一層
効果的な湛水法面の緑化方法を提供することにある。
めに、まず請求項1に係る発明の採った手段は、後述の
実施形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「アンカー挿入用の穴12をあけた多数の竹筒11を、
穴12に挿通したアンカー20によって湛水法面70に
適宜間隔で固定した後、これらの竹筒11間及び上に、
植生基盤材40等の吹付材を被覆することを特徴とする
耐波浪性・耐水性に優れた竹材10を使用主材とした湛
水法面70の緑化方法」である。
性を活かして河川やダムにおいて、耐波浪性等のある護
岸法面の施工を行うものであり、この緑化方法によれ
ば、竹材10を使用主材として、図2及び図3に示すよ
うに、湛水法面70の緑化を行おうとするものである。
そのために、竹材10の内の竹筒11に穴12を形成し
ておいて、これら各穴12に挿通したアンカー20によ
って、各竹筒11を湛水法面70上に固定するものであ
る。
現場近辺で容易に入手できるものであり、早く、安く、
しかも確実に耐水性・耐波浪性を備えた河川やダムの護
岸法面を形成出来るだけでなく、竹材10は、柔軟性に
富む材料でもあるため、湛水法面20に多数の凹凸があ
っても、その凹凸になじみ易い、ということである。こ
れにより、当該竹筒11の湛水法面70に対する固定作
業を容易に行えるだけでなく、当該竹筒11と湛水法面
70との間に「不陸」と呼ばれる浮いた部分の発生を極
力抑えられるのである。また、竹材10は比較的軽量な
材料であるため取扱い易く、施工が容易で、かつ緑化方
法を迅速に施工することができるのである。
る固定は、図2及び図3に示すように、略水平状、つま
り当該湛水法面70に押し寄せてくる支流や波に対して
平行な方向に配置してもよいが、図6に示すように、略
水平状のものに対して略直交する方向の竹筒11をも存
在するようにすると、各竹筒11の互いの連結強度を十
分発揮させることができて好適なものとなる。
カー20によって湛水法面70に適宜間隔で固定した後
に、これらの竹筒11間及び上に植生基盤材40等の吹
付材を被覆するのであるが、この植生基盤材40は、現
在一般に使用されている基盤材に、施工現場周辺で入手
できる砂や植物細断片等の多孔性材料を多く含ませたも
のであることが望ましい。勿論、この吹き付け後の植生
基盤材40に植生植物を植え付けてもよいが、吹き付け
前の植生基盤材40中に、湛水法面70の緑化を行う植
物の種子や根茎等の発芽生命体を混入させておくこと
が、植え付け作業を省略できて、早く、安く、確実に耐
水性・耐波浪性を備えた河川やダムの護岸法面70を形
成出来るという意味で好ましい。
70の緑化方法によれば、アンカー20によって湛水法
面70に固定された各竹筒11自身の有する強度によっ
て湛水法面70上の保護、つまり水流や渦等による力に
対する補強がなされることになる。また、アンカー20
によって湛水法面70上に固定された各竹筒11は、所
定の高さを有するから一種の「堰」を構成するものとも
なっており、植生基盤材40の湛水法面70上に対する
保持物としての作用し、施工後の湛水法面70の保護を
十分行うものとなるのである。
ように、例えば遅効性の粒状肥料や図9に示すようなフ
ロック状の植物保護体60等の成育資材を、穴14から
予め充填しておくことにより、植生植物の養分を保持
し、水質浄化の効果を増大させることも可能である。こ
の場合、粒状肥料などの充填後においては、穴14を布
や網等で覆っておくと、各竹筒11内の粒状肥料の流亡
を、防止したり遅らせたりすることができる。
11間に吹き付けられた植生基盤材40によっても、植
生基盤材40表面の保護がなされるのであり、当該緑化
方法を施工した湛水法面70が水没した場合は勿論、水
没しない場合であっても表面を流れる雨水や排水に対す
る水質浄化がなされるのであり、自然環境の保護が達成
される。特に、この植生基盤材40として、砂や多孔性
材料を多量使用した吹付材料を併用した場合には、より
一層の環境浄化が達成される。
自然の素材であるため、土壌微生物や太陽光等により分
解し、当該緑化方法を施工して植生が十分達成された後
の湛水法面70の表面に残存しないため、湛水法面70
の環境保全上好ましいのである。
対して耐水性や耐波浪性を有するロックウール等の無機
質材料を多量に使用した吹付材料を併用した場合には、
河川や湖水の水質浄化性をさらに向上させ得るのであ
り、当該植生基盤材40を湖水等の富栄養化を防止する
ための濾過性を有したものとし得るのである。また、こ
の植生基盤材40として、ダム貯水池や湖水の湖底ヘド
ロ等の破棄不要物を吹付材料に併用した場合には、資源
の有効利用やリサイクル利用を図ることが出来て環境保
全上も好ましい工法となる。
2に係る発明の採った手段は、同様に、「アンカー挿入
用の穴12をあけた多数の竹筒11を、穴12に挿通し
たアンカー20によって湛水法面70に適宜間隔で固定
した後、各竹筒11の中に肥料、生育資材30等を充填
することを特徴とする耐波浪性・耐水性に優れた竹材1
0を使用主材とした湛水法面70の緑化方法」である。
おいても、その基本思想は、上記請求項1の発明と同様
に竹材10を採用することであるが、植生を積極的に行
うための手段として、各竹筒11の中に肥料、生育資材
等を充填することを特徴とするものである。
ば、上記請求項1の発明における竹材10を使用するこ
とによるのと同様に、施工現場近辺で容易に入手できる
竹材10を使用することによって、早く、安く、確実に
耐水性・耐波浪性を備えた河川やダムの護岸法面を形成
出来る。それだけでなく、竹材10の柔軟性に富む性質
によって、湛水法面20に多数の凹凸があっても、当該
竹筒11の湛水法面70に対する固定作業を容易に行え
るだけでなく、当該竹筒11と湛水法面70との間に
「不陸」と呼ばれる浮いた部分の発生を極力抑えられる
のである。また、竹材10は比較的軽量な材料であるた
め取扱い易く、施工が容易で、かつ緑化方法を迅速に施
工することができる。
カー20によって湛水法面70に適宜間隔で固定した後
に、これらの竹筒11の中に肥料、生育資材30等を充
填するのである。この肥料、生育資材30は、図4の一
部にて示すように、竹筒11の一部に穴12とは異なる
穴14(充填作業をし易くするために可能な限り大きい
方がよい)を形成しておいて、この穴14を通して行う
とよい。勿論、この肥料、生育資材30に対しては、そ
の充填後に植生植物を植え付けてもよいが、充填前の肥
料、生育資材30中に、湛水法面70の緑化を行う植物
の種子や根茎等の発芽生命体を混入させておくことが、
植え付け作業を省略できて、早く、安く確実に耐水性・
耐波浪性を備えた河川やダムの護岸法面70を形成出来
るという意味で好ましい。
70の緑化方法によれば、アンカー20によって湛水法
面70に固定された各竹筒11自身の有する強度によっ
て湛水法面70上の保護、つまり水流や渦等による力に
対する補強がなされることになるだけでなく、この竹筒
11によって肥料、生育資材30が保護されているか
ら、植生植物の生育地盤が長期間安定した状態となる。
記請求項1または請求項2に係る緑化方法について、
「竹筒11を湛水法面70上に敷設するにあたって、当
該湛水法面70上に竹枝13を配置しておき、これらの
竹枝13を各竹筒11によって湛水法面70に対して押
圧しながら、各竹筒11の湛水法面70に対する固定を
行うようにしたこと」にその特徴を有するものである。
れば、上記請求項1または請求項2の緑化方法と同様な
作用・効果を発揮することは勿論、竹枝13のアンカー
20による固定に際して、当該竹枝13を各竹筒11に
よって湛水法面70上に単に押圧するのであるから、そ
の施工作業が非常に簡単となっている。勿論、通常なら
不要物として捨てられている竹枝13そのものを利用す
ることができて、自然資源の有効活用が行えるのであ
る。
ものであるから、この竹枝13を利用した緑化方法で
は、地山法面に多数の凹凸表面が存在していても、これ
らの凹凸にこの竹枝13が竹筒11の押圧によってなじ
み、耐波浪性等のある護岸法面の施工を行い易いのであ
る。つまり、この緑化方法によっても、竹材10の特性
を活かすことができ、河川やダムにおいて、早く、安
く、確実に耐水性・耐波浪性等のある護岸法面の施工を
行うことができるのである。
材であるため、土壌微生物や太陽光等により分解し、湛
水法面70表面に残存しないため、好ましい環境保全を
行えるのである。また、竹枝13は、当該緑化方法が施
工されて冠水状態にある湛水法面70に対しては、水中
において『柴』を形成することになり、この『柴』が魚
類等の住処を提供することになり、生物の生息に十分な
ビオトーブを形成出来る。
請求項3に記載の耐波浪性・耐水性に優れた竹材10を
使用主材とした湛水法面70の緑化方法について、「竹
筒11を2〜数本束ねた状態で、湛水法面70上に配置
すること」を特徴とするものである。
は、図3の下方部分あるいは図6に示すように、竹筒1
1を2〜数本束ねて、この束ねた各竹筒11をアンカー
20によって湛水法面70上に固定するようにしたもの
である。
においては、上記請求項1〜請求項3のいずれかに記載
の緑化方法と同様な作用・効果を得ることができること
は当然として、竹筒11を何本かを束ね結束して取り付
けた状態では、竹材10の幹間同志や枝間同志に隙間を
多く生じさせて、湛水法面70表面を多孔性に富んだ状
態とすることができ、この緑化方法を施工した湛水法面
70を、濾過性に富んだもので、しかも水質を積極的に
浄化するものにできるのである。
は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の耐波浪性・
耐水性に優れた竹材10を使用主材とした湛水法面70
の緑化方法について、「湛水法面70上にネット50を
敷設した上に、竹筒11を湛水法面70上に配置したこ
と」を特徴とするものである。
は、竹筒11や竹枝13を湛水法面70上に固定する際
に、当該湛水法面70上にネット50を予め敷設してお
くものであり、このネット50の存在により、施工後の
湛水法面70の耐波浪性・耐水性をより一層確実にする
ものである。
請求項3〜請求項5のいずれかに記載の耐波浪性・耐水
性に優れた竹材10を使用主材とした湛水法面70の緑
化方法について、「竹枝13に適宜な間隔でネット状の
袋61を取り付け、この袋61の中にフロック状の植物
保護体60を挿入したこと」を特徴とするものである。
は、図7あるいは図9に示すように、袋61の中にフロ
ック状の植物保護体60を収納しておき、この袋61を
竹枝13等に連結するものであり、この植物保護体60
内の発芽生命体等が発芽生育して湛水法面70の緑化、
つまり植生を完了するまでの間、袋61による湛水法面
70の保護をも行えるようにしたものである。ここで、
フロック状の植物保護体60としては、例えば植物の種
子や根茎を、植物繊維やロックウール等で成育基材とと
もに包んだものがある。勿論、各袋61は、例えばひも
等によって竹枝13の先端に結びつければよいから、そ
の回向は非常に簡単に行えるものである。
求項に係る発明を、図面に示した実施の形態である二つ
の実施例について説明するが、これらの実施例は、上記
各請求項の発明を実質的に含むものであるため、以下で
はこの実施例として示した緑化方法を中心にして説明す
ることとする。この場合、図2〜図6には緑化方法の実
施例1が、また図7〜図9には、緑化方法の実施例2
が、それぞれ示してある。
化方法を施工した湛水法面70の部分正面図が示してあ
り、この図2の右半分では、所定の前処理を施した湛水
法面70上表面全体にネット50を敷設しておいて、そ
の上に多数の竹筒11をアンカー20によって固定した
状態が示してあり、左半分では、これらの竹筒11やネ
ット50上への植生基盤材40の吹き付けが完了した状
態が示してある。なお、図2中に見える縦の(点)線
は、各竹筒11を配置固定する際に目印として使用され
る補助ロープ71を示している。
筒11は図4に示したようなものであり、その運搬や施
工作業を行い易くするために、例えば図5や図8に示し
た程度の長さのものとしてある。これらの各竹筒11
は、図5等に示したように、アンカー20によって湛水
法面70上に固定されるものであるから、その適宜箇所
にアンカー20挿通用の穴12が形成してある。また、
これら各竹筒11には、各穴12には干渉しない位置に
肥料、生育資材30を充填するための穴14が形成して
ある。これらの穴12や穴14は、アンカー20の挿通
や肥料、生育資材30の充填をその上側から行うもので
あるため、図4にも示したように、各穴12・14は同
一方向に向けて開口させたものである。
に示したように、作業者が各竹筒11を湛水法面70上
の所定箇所に配置してから、竹筒11の各穴12内にア
ンカー20を挿通してこれを湛水法面70上に打ち込む
のである。この場合、図5や図2に示したように湛水法
面70上に補助ロープ71を垂らしておけば、これらの
補助ロープ71によって施工範囲を区切ることができる
から、便利である。
る固定は、図2に示したように、各竹筒11が所定間隔
で略水平状となるようにして行ってもよいが、図6に示
したように、各竹筒11が格子状となるようにして行っ
てもよい。この竹筒11を格子状に配置した場合には、
各竹筒11間の連結を強固なものとすることが容易に行
えるから、湛水法面70の保護及び植生基盤材40の保
持といった点で非常に有効なものとなる
70上に対する固定が完了すれば、各竹筒11の上や、
竹筒11間に臨んでいるネット50上に植生基盤材40
を吹き付けるのである。この作業時においても、上記各
補助ロープ71を利用するとその作業を行い易くでき
る。
材40としては、上述したような客土、砂土、潜在表土
等が採用されるのであるが、現地の根系土壌、つまり施
工現場の湛水法面70に植物が生育していれば、その地
の土壌が植生基盤材40として適しており、このような
現地の根系土壌を植生基盤材40として採用することが
自然でもある。
付材としては、生育基盤材と、水質浄化資材との混合物
が適している。この場合の生育基盤材としては、ロック
ウール、ピートモスを主材とするものが考えられる。ま
た、水質浄化資材としては、ゼオライト、粒子体、カー
ボン粒子、石灰粒子、鹿沼土粒子を主材とするものが考
えられる。
物の種子や細胞切片(発芽生命体)の発芽・生育の促進
を図るだけでなく、富栄養化の要因には全くならなもの
である。それだけでなく、これらの生育基盤材や、水質
浄化資材は、その上側から流れてくる排水中の栄養分を
捕捉する機能も有しており、湖や河川等の汚染防止にも
役立つものである。これに対して、所謂一般的な生育基
盤材であれば、窒素、燐酸等の堆肥類等に含有された肥
料成分を含むものであり、水の富栄養化の原因となるた
め、本発明では、このような一般的な生育基盤材を含ま
ない。
物の種子としては種々なものが採用されるが、当該施工
現場近くに自生している植物の種子を採用するのが、自
然環境に適している点から、好ましいものである。一
方、発芽生命体である、芽を有する植物細胞切片を採る
ための植物としては、乾燥時も水没時も生きながらえる
ものがよく、主として湛水法面70に自生しているもの
が適している。具体的には、ヤナギ類、水アカネ(メリ
ケンムグラ)、これらと共生することができるコバノ、
ウシノシッペイ、スギナ、セリ、ドクダミ、その他の耐
冠水性植物である。そして、この植物細胞切片として
は、上記のような植物の種子は勿論、湛水法面70の水
位変動領域において生育・繁茂可能な上記植物の地下
茎、根系、細断した幹枝、あるいは挿穂等を採用するこ
とができるものである。
るにあたっては、図3の下方部分において示したよう
に、2〜数本の竹筒11を予め束ねて凹凸がたくさん生
じたものとするようにしておけば、この束ねた複数の竹
筒11によって波や水流等の力の吸収をより効果的に行
えることになるので、有利である。
たように、アンカー20を挿通するための穴12とは別
の穴14を形成しておくことにより、この穴14から各
竹筒11内に肥料、生育資材30を充填することができ
て有利である。
の第二実施例が示してあるが、この実施例1の実施例2
と異なる点は、図7及び図8に示したように、各竹筒1
1を湛水法面70上に固定するに当たって、竹材10を
構成していた竹枝13を、各竹筒11により湛水法面7
0上に押圧するようにしながら、各竹筒11のアンカー
20による固定を行うようにしている点である。この竹
枝13は、それ自体非常に柔軟性に優れたものであるた
め、その施工が非常に容易であるだけでなく、湛水法面
70あるいはその表面のネット50の保護をも行うもの
である。
基盤材40を吹き付けるようにした場合には、各竹枝1
3が非常に複雑な形状のものになっていることから、各
竹枝13による植生基盤材40の保持を十分かつ確実に
行うことができて、有利である。それだけでなく、各竹
枝13そのものは、たくさん有している凹凸によって波
や水流の力を消すことができるものでもあるから、湛水
法面70の保護を行うものとして有効である。
に利用するだけでなく、図9に示したように、植物保護
体60を収納した袋61の連結部としても有効に利用す
ることができる。この植物保護体60は、ロックウール
を代表とする繊維と、種子を代表とする植物種苗体と、
カルボキシメチルセルローズ等の高分子系樹脂と、水
と、界面活性剤と、粒状肥料等を一定の割合で混合させ
た物、つまり植生補助材料をニーダー(涅混機)にて一
定時間、攪拌することにより製造されるものであり、種
子や肥料を核として、ロックウールが略球状体の毛球を
形成し、あたかも種子や粒状肥料等の保護体となったも
のである。
61内に収納されるのであるが、種子等が発芽して袋6
1外に芽を出すことができるようにするために、袋61
の構成は次のようにするとよい。すなわち、この袋61
は、内容物である植物保護体60が簡単には外に出ず、
しかも芽だけは外に出し得るものとするために、例えば
合成繊維の網であって、例えば3〜5mm角程度のもの
にするとよい。
る発明にいおいては、上記実施形態にて例示したごと
く、「アンカー挿入用の穴12をあけた多数の竹筒11
を、湛水法面70上に敷設した竹枝13を押圧しながら
適宜間隔でに配置した後、これらの竹筒11を、アンカ
ー挿入用の穴12に挿通したアンカー20によって湛水
法面70に固定することにより、竹枝13を各竹筒11
とともに湛水法面70上に固定し、この上に植生基盤材
40等の吹付材を被覆すること」にその構成上の特徴が
あり、これにより、「竹材」の有効利用の仕方を工夫す
ることによって、ダム湖や河川の湛水法面に対する施工
が容易で、その緑化・植生を行う植物のための十分な生
育環境を形成することができるだけでなく、湖や河川の
水の富栄養化を極力防止することができて、ビオトープ
の形成は勿論、回復をも行うことのできる耐波浪性・耐
水性に優れた竹材10を使用主材とした湛水法面70の
緑化方法を提供することができるのである。
「アンカー挿入用の穴12をあけた多数の竹筒11を、
湛水法面70上に敷設した竹枝13を押圧しながら適宜
間隔でに配置した後、これらの竹筒11を、アンカー挿
入用の穴12に挿通したアンカー20によって湛水法面
70に固定することにより、竹枝13を各竹筒11とと
もに湛水法面70上に固定し、竹筒11の中に肥料、生
育資材30等を充填すること」にその構成上の特徴があ
り、これにより、「竹材」そのものは勿論、その構造を
も有効利用することによって、ダム湖や河川の湛水法面
に対する施工が容易で、その緑化・植生を行う植物のた
めの十分な生育環境を形成することができ、湖や河川の
水の富栄養化を極力防止することができて、ビオトープ
の形成・回復をも行うことのできる耐波浪性・耐水性に
優れた竹材10を使用主材とした湛水法面70の緑化方
法を提供することができるのである。
よれば、上記のように構成したことにその特徴があり、
これにより、上記請求項1または請求項2の発明と同様
な目的を達成することができる他、「竹材」の有効利用
の仕方を更に改良することによって、より一層効果的な
湛水法面70の緑化方法を提供することができるのであ
る。
一例を示す部分斜視図である。
工途中の部分(右側)とを示した湛水法面の部分正面図
である。
である。
である。
ある。
ある。
する場合の湛水法面の部分拡大断面図である。
である。
を取り付けた状態の部分破断拡大正面図である。
である。
Claims (6)
- 【請求項1】 アンカー挿入用の穴をあけた多数の竹筒
を、前記穴に挿通したアンカーによって湛水法面に適宜
間隔で固定した後、これらの竹筒間及び上に、植生基盤
材等の吹付材を被覆することを特徴とする耐波浪性・耐
水性に優れた竹材を使用主材とした湛水法面の緑化方
法。 - 【請求項2】 アンカー挿入用の穴をあけた多数の竹筒
を、前記穴に挿通したアンカーによって前記湛水法面に
適宜間隔で固定した後、前記各竹筒の中に肥料、生育資
材等を充填することを特徴とする耐波浪性・耐水性に優
れた竹材を使用主材とした湛水法面の緑化方法。 - 【請求項3】前記竹筒を湛水法面上に敷設するにあたっ
て、当該湛水法面上に竹枝を配置しておき、これらの竹
枝を前記各竹筒によって前記湛水法面に対して押圧しな
がら、各竹筒の前記湛水法面に対する固定を行うように
したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の
耐波浪性・耐水性に優れた竹材を使用主材とした湛水法
面の緑化方法。 - 【請求項4】前記竹筒を2〜数本束ねた状態で、湛水法
面上に配置することを特徴とする請求項1〜請求項3の
いずれかに記載の耐波浪性・耐水性に優れた竹材を使用
主材とした湛水法面の緑化方法。 - 【請求項5】 湛水法面上にネットを敷設した上に、前
記竹筒を湛水法面上に配置したことを特徴とする請求項
1〜請求項4のいずれかに記載の耐波浪性・耐水性に優
れた竹材を使用主材とした湛水法面の緑化方法。 - 【請求項6】 前記竹枝に適宜な間隔でネット状の袋を
取り付け、この袋の中にフロック状の植物保護体を挿入
したことを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに
記載の耐波浪性・耐水性に優れた竹材を使用主材とした
湛水法面の緑化方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7147098A JP2912938B1 (ja) | 1998-03-04 | 1998-03-04 | 耐波浪性・耐水性に優れた竹材を使用主材とした湛水法面の緑化方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP7147098A JP2912938B1 (ja) | 1998-03-04 | 1998-03-04 | 耐波浪性・耐水性に優れた竹材を使用主材とした湛水法面の緑化方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP2912938B1 true JP2912938B1 (ja) | 1999-06-28 |
JPH11247151A JPH11247151A (ja) | 1999-09-14 |
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ID=13461538
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP7147098A Expired - Fee Related JP2912938B1 (ja) | 1998-03-04 | 1998-03-04 | 耐波浪性・耐水性に優れた竹材を使用主材とした湛水法面の緑化方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2912938B1 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008038541A (ja) * | 2006-08-09 | 2008-02-21 | Makino Green:Kk | 傾斜地緑化構造及び傾斜地緑化工法 |
JP2012229570A (ja) * | 2011-04-27 | 2012-11-22 | Ivic:Kk | 簡易法枠形成方法 |
JP2019023416A (ja) * | 2017-07-21 | 2019-02-14 | 林建設株式会社 | シート固定方法 |
CN110965416A (zh) * | 2019-11-26 | 2020-04-07 | 湖南工业大学 | 一种针对山区高填方路基加固的竹材加筋体系及施工方法 |
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---|---|---|---|---|
CN106023766B (zh) * | 2016-07-04 | 2018-12-14 | 山东科技大学 | 用于模拟不同坡度坡面植被对水流阻力影响的实验装置 |
-
1998
- 1998-03-04 JP JP7147098A patent/JP2912938B1/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH11247151A (ja) | 1999-09-14 |
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