JP2911755B2 - 筆記具 - Google Patents

筆記具

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JP2911755B2
JP2911755B2 JP6187559A JP18755994A JP2911755B2 JP 2911755 B2 JP2911755 B2 JP 2911755B2 JP 6187559 A JP6187559 A JP 6187559A JP 18755994 A JP18755994 A JP 18755994A JP 2911755 B2 JP2911755 B2 JP 2911755B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は筆記具に係り、特にイン
クタンク内のインクをペン先の先端部まで供給してペン
先の先端部を筆記用紙に接触させて文字等を筆記する筆
記具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属製薄板で形成されたペン先を
使用した筆記具として万年筆が知られている。図19に
示すように、万年筆に使用されるペン先1は、ペン芯2
の先端部周面に配置された状態で首筒3の先端部内に圧
入嵌合されている。ペン先1には切割溝1aがペン先1
の中央部から先端部(以下、接紙部と呼す)1bまで形
成されている。ペン芯2はペン先1と対向する周面にイ
ンク溝2aが形成され、インク溝2aはペン芯2の末端
部まで延長されている。そして、インク溝2aはインク
タンク4内に連通され、インクタンク4は首筒3の右端
部に着脱自在に嵌入されている。
【0003】したがって、インクタンク4内のインクは
インク溝2aを介してペン先1の切割溝1aまで導かれ
る。そして、ペン先1の切割溝1aまで導かれたインク
は切割溝1aを介して接紙部1bまで導かれる。これに
より、ペン先1の接紙部1bを用紙等に接触させて文字
等を筆記することができる。
【0004】一方、図21に示すようにペン芯2には空
気溝2bおよびコレクタ空間2cが形成され、空気溝2
bはインクタンク4内に連通されている。また、図22
および図23に示すように空気溝2bは連絡溝2dを介
して空気逃溝2eに連通され、インクタンク4内のイン
クがペン先1に導かれて消費されると、インクの消費量
に見合う空気量が空気逃溝2e、連絡溝2dおよび空気
溝2bを介して気泡としてインクタンク4内に供給され
る。このように、インクタンク4内のインクの消費量に
見合う空気量がインクタンク4内に供給されることによ
り、インクタンク4内のインクが十分にペン先1に供給
される。
【0005】また、コレクタ空間2cはインク溝2aを
介してインクタンク4内に連通されている。コレクタ空
間2cは、インクタンク4内の空気膨脹でインクタンク
4内から溢出したインクを貯える。
【0006】ところで、インクは、毛細管力を利用して
ペン芯2のインク溝2aからペン先1の切割溝1aに導
かれるので、インク溝2aと切割溝1aとを一致させて
ペン芯2とペン先1を密着させる必要がある。しかしな
がら、製造公差等を考慮するとインク溝2aと切割溝1
aとを一致させてペン芯2とペン先1を密着させること
は困難であり、図20に示すように、インク溝2aと切
割溝1aとが僅かに位置ズレを起こしている場合が多
い。
【0007】そして、ペン芯2とペン先1との間にはイ
ンク溝2aと切割溝1aとの位置ズレに起因する隙間5
が形成され、隙間5には毛細管力の作用でインクが充填
される。ペン芯2のインク溝2a内のインクは隙間5を
介してペン先1の切割溝1aに導かれる。なお、隙間5
は筆記時の筆圧でペン先1が撓むことにより変化する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように形成された
万年筆には以下に示す(1)〜(5)の問題がある。 (1)筆記時にペン芯2とペン先1との隙間5に流入し
たインクは、ペン先1の切割溝1aを介して接紙部1b
まで導かれるが、筆記を中断して万年筆が放置される
と、ペン芯2とペン先1との隙間5に流入したインクが
乾燥して隙間5にインク成分の残査がこびりつく。そし
て、インク成分の残渣が隙間5にこびりつくと、インク
成分の残査が障害になってインク溝2aまで導かれたイ
ンクがペン先1の切割溝1aまで導かれないという問題
がある。
【0009】(2)使用者の好みに合わせるために、接
紙部1bの大きさが異なるペン先1を組み付けて、筆跡
の文字太さを変えた万年筆を提供しているが、この場
合、製造コストなどの理由からペン芯2を交換しないで
ペン先1のみを交換している。ところで、筆跡が太文字
になるペン先1に交換した場合、筆記時にインクが多量
に消費されるので、インクタンク4内から切割溝1aに
導かれるインク量が増加し、かつインクの流速が速くな
る。
【0010】この場合、インクの消費量に見合う空気量
をインクタンク4内に供給する必要があるので、空気逃
溝2e、連絡溝2dおよび空気溝2bを介して気泡とし
てインクタンク4内に供給される空気量を増加する必要
がある。しかしながら、ペン芯2は取り換えてないので
空気溝2bの大きさは変わらない。したがって、インク
タンク4内に供給される空気量を増加することができな
いので、ペン先1の接紙部1bに導かれるインク量が不
足して筆跡に「かすれ」が生じるという問題がある。
【0011】特に極太の筆跡用のペン先1で筆記した場
合、ペン先1とペン芯2との隙間5のインクが消費され
ても、インク溝2aから十分なインク量が切割溝1aに
補給されないので筆跡に「かすれ」や、「インク切れ」
が発生する。したがって、筆跡の文字太さを選択する場
合、ペン芯2に形成されたインク溝2aおよび空気溝2
bの大きさに制約をうけ、筆跡の文字太さは約0.4m
m以下の極細から2mm程度の範囲に限定される。
【0012】(3)インクタンク4内の空気が膨脹して
インクタンク4内のインクが溢出した場合、溢出したイ
ンクはインク溝2aを介してコレクタ空間2cに貯えら
れる。この状態で万年筆を使用して用紙に筆記すると、
先ずコレクタ空間2cに貯えられたインクが消費され、
次にインクタンク4内のインクが消費される。そして、
コレクタ空間2cに貯えられたインクを消費する場合、
十分なインク流量および流速が得られる。
【0013】一方、インクタンク4内のインクを消費す
る場合、インクの消費量に見合う空気量をインクタンク
4内に供給する必要があるので、インクタンク4内から
接紙部1bまで導かれるインクは、インク溝2aと空気
溝2bとのバランスを維持するための抵抗を受ける。こ
のため、コレクタ空間2cのインクが消費された場合の
筆跡と、インクタンク4内のインクが消費された場合の
筆跡とを対比すると文字の太さやインク濃度の点で相違
が生じるという問題がある。この傾向は太文字を連続し
て筆記する場合に起こりやすく、また、太文字のため文
字の太さやインク濃度の相違が目につきやすいという欠
点も併せ持っている。
【0014】(4)インクはインク溝2aから隙間5を
介して切割溝1aに導かれるが、図20に示すように隙
間5の幅が広いのでインク溝2aから隙間5に変わると
ころで毛細管力が低下し、毛細管力だけではインクをイ
ンク溝2aから隙間5に導くことができない。このた
め、万年筆を振った慣性力でインクを隙間5まで引き出
したり、筆記時の筆圧を上げてペン先1を撓ませて振動
でインク溝2aから隙間5までインクを引き出してい
る。すなわち、インクタンク4からペン先1の接紙部1
bまでインクを導くインク流路をインク溝2a、隙間5
および切割溝1a等の複数のインク流路を継ぎ足して形
成されているので、例えばインク溝2aのインク流路か
ら隙間5のインク流路にインクがスムーズに流れない場
合があるという問題がある。
【0015】また、図24に示すように、ペン先6に2
本の切割溝6a、6aが形成されている幅広描画用のペ
ン6はペン先1と同様にペン芯2の先端部周面に取り付
けられている。そして、図25に示すインク溝2aを流
れてきたインクはペン芯2とペン6との隙間7に導か
れ、毛細管力を利用して隙間7から切割溝6a、6aに
導かれる。この万年筆を使用してゆっくり筆記する場合
は上述した諸問題が生じない。しかしながら、この万年
筆も上述した万年筆と同様にインク溝2aが切割溝6
a、6aからズレているので(図25参照)、この万年
筆を使用して、例えばサイン等のように早いスピードで
筆記する場合に上述した諸問題が発生する。
【0016】(5)図24に示すペン6は、接紙部6b
の平面を接紙させるとインクが用紙に乗り移り文字等が
筆記されるが、接紙部6bのコーナpを接紙させるとイ
ンクが用紙に乗り移らないので文字等が筆記されない。
この問題は図19に示したペン先1の場合にも同様に発
生する。すなわち、従来のペンは90°回転して使用し
た場合、筆記することができないという問題がある。
【0017】したがって、本発明の目的は上記従来技術
が有する問題を解消し、(1)常に安定した状態でイン
クをペン部材の接紙部に供給することにより、筆記幅や
インク濃度を一定に維持することができ、(2)また、
一本の筆記具で筆記幅が大きく異なる2種類以上の筆記
幅を選択することができ、(3)さらに、放置された筆
記具で文字を書き始めてもインクが筆記用紙に容易に乗
り移り、(4)また、筆記具の筆記角度を自由に変えて
もインクがかすれることなくスムーズに筆記することが
できる筆記具を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、複数の薄板材を重ね合わせて微小隙間状
のインク流路が全長に渡って形成されたペン部材を、ペ
ン芯の全長に渡って形成された収納溝内に先端部が前方
へ突出した状態で嵌入し、そのペン芯を首筒に嵌入し、
前記ペン芯の収納溝に収納された前記ペン部材のインク
流路を前記ペン芯の後端部に備えられたインクタンク内
に連通することを特徴としている。
【0019】また、上記目的を達成するために、本発明
は、前記ペン部材を構成する複数の薄板材は前記ペン芯
の収納溝内に嵌入されることにより、前記収納溝の壁面
で相互に寄り合うように押し付けられて薄板材の間に微
小隙間状のインク流路を形成することを特徴としてい
る。
【0020】さらに、上記目的を達成するために、本発
明は、前記ペン部材は外側部に位置する薄板材の先端部
に前記インク流路に連通するスリットを形成したことを
特徴としている。
【0021】また、上記目的を達成するために、本発明
は、前記ペン芯の後部は、このペン芯の後端部に備えら
れたインクタンク内に連通し、インクを収納可能なコレ
クタ空間と外部の空気を前記インクタンク内に導く空気
溝とをペン芯に形成したことを特徴としている。
【0022】
【作用】本発明によれば、複数の薄板材で構成されたペ
ン部材の薄板材間で微小隙間状のインク流路を形成し、
インク流路の毛細管力を利用してインクタンク内のイン
クをペン部材の接紙部まで導く。このように、1本のイ
ンク流路だけでインクタンク内のインクをペン部材の接
紙部まで導くことができるので、環境変化の影響を受け
ずに常に安定した状態でインクをペン部材の接紙部に供
給することができる。
【0023】また、本発明によれば、複数の薄板材でペ
ン部材を形成したので、ペン部材の筆記箇所を複数の薄
板材の板厚部と、薄板材の側部とで選択することができ
る。そして、複数の薄板材の板厚部で筆記した場合、筆
記幅を狭くすることができ、薄板材の側部で筆記した場
合、筆記幅を太くすることができる。
【0024】さらに、本発明によれば、一本のインク流
路の毛細管力を利用してインクタンク内のインクをペン
部材の接紙部まで導くので、インク流路内のインクはペ
ン部材の接紙部以外で空気に触れることがない。したが
って、筆記具にキャップをしないで放置した場合でも、
従来のペンのようにインク流路の中間部でインクが乾燥
することがないので、放置された後に筆記具で文字を書
き始めると難なくインクが筆記用紙に乗り移る。
【0025】また、本発明によれば、ペン部材の先端部
にインク流路に連通するスリットを形成した。これによ
り、ペン部材のインク流路を筆記用紙に接触させて複数
の薄板材の板厚部で筆記する状態から、90°回転して
ペン部材の薄板材の側部で筆記する場合でも、スリット
を介してインク流路内のインクを筆記用紙に容易に乗り
移らせることができる。
【0026】さらに、本発明によれば、ペン芯に形成さ
れた空気溝は、従来の空気溝と同様にインク消費に伴っ
て外気の空気をインクタンク内に導く。また、インクタ
ンク内の空気膨脹によりインクタンク内から溢出したイ
ンクはコレクタ空間に貯えられる。また、インクタンク
内の空気膨脹によりインクタンク内からインクが溢出し
た場合、インクのボタ落ちを防止するために空気溝内に
インクが充満する。
【0027】しかしながら、筆記時にペン部材の接紙部
からインクが消費されると、先ず空気溝やコレクタ空間
に貯えられたインクが消費され、空気溝やコレクタ空間
に貯えられたインクが全て消費された後、空気溝を介し
て外部から空気をインクタンク内に導く。一方、インク
タンク内が収縮すると空気溝やコレクタ空間に貯えられ
たインクが吸入される。
【0028】
【実施例】以下本発明による筆記具の実施例を図面を参
照して説明する。図1において、全体を符号10で示し
た筆記具は首筒11、ペン芯12およびペン部材13を
備え、首筒11は筒状に形成されている。首筒11の後
端部11aは外周面が小径に形成され、後端部11aに
はインクタンク14が着脱自在に嵌入されている。ま
た、首筒11は後端部11aの近傍の周面にねじ11b
が形成され、ねじ11bには本体15の先端部がねじ結
合されている。本体15は筒状に形成され、インクタン
ク14は本体15内に嵌入されている。
【0029】首筒11内にはペン芯12が嵌入されてい
る。ペン芯12は先端部に勾配面12a、12aが形成
され、後端部に段差部12bが形成されている。ペン芯
12は収納溝16が軸心上に形成され、収納溝16はペ
ン芯12の前端部および後端部に開口している。収納溝
16は断面矩形状に形成され(図3、図4および図5参
照)、ペン芯12の前端部で勾配をつけるように形成さ
れている(図2参照)。そして、収納溝16は後端部で
インクタンク14内に連通している(図1参照)。
【0030】ペン芯12の後端部には収納溝16と平行
に空気溝16aが形成され、空気溝16aはインクタン
ク14内に連通している。空気溝16aの前端部には空
気溝16bが連通され、空気溝16bは収納溝16に連
通されている。したがって、後述するペン部材13が収
納溝16に嵌入されて形成される空気溝16c(図2参
照)が空気溝16bに連通される。空気溝16cは先端
部が外気に連通されているので、インクタンク14は空
気溝16a、空気溝16bおよび空気溝16cを介して
外気に連通される。また、空気溝16bおよび空気溝1
6cの断面積は空気溝16aの断面積より大きく設定さ
れている。
【0031】このように、空気溝16bおよび空気溝1
6cの断面積を比較的大きく設定することにより、イン
クの吸入速度や吸入効率をよくすることができる。すな
わち、インクタンク14に吸入機構式インクタンクを使
用した場合、後述するペン部材13側からインク流路2
0を介してインクを吸入する際に、インク流路20の他
に空気溝16cおよび空気溝16bを介してインクタン
ク14内にインクを吸入するので、インクの吸入速度や
吸入効率がよくなる。一方、空気溝16aは筆記時にイ
ンクタンク14からのインクの流出量を調整する。な
お、インクタンク14としては吸入機構式インクタンク
の他にスペア式インクタンクがある。
【0032】ペン芯12の中央部にはコレクタ空間17
が形成されている。コレクタ空間17はフィン17a、
17a…を所定間隔をおいて形成することによりフィン
17aとフィン17aとの間に形成される。コレクタ空
間17はコレクタ入口17b、17b…(図4参照)を
介して収納溝16に連通されている。したがって、コレ
クタ空間17は収納溝16を介してインクタンク14内
に連通している。
【0033】コレクタ入口17b、17b…は隙間が
0.1mm以下に狭く設定され、コレクタ入口17b、
17b…には常に表面張力によるインク膜が形成され
る。これにより、コレクタ入口17b、17b…はウオ
ータパッキンの役割をはたす。したがって、インクタン
ク14に吸入機構式インクタンクを使用して後述するペ
ン部材13側からインクを吸入する際に、インクタンク
14内が減圧してもコレクタ入口17b、17b…のイ
ンク膜が破られないので、コレクタ入口17b、17b
…を介してコレクタ空間17、17…から後述するイン
ク流路20内に空気が侵入することを防止できる。
【0034】これにより、後述するペン部材13側から
インクを吸入する際に、コレクタ空間17、17…には
インクが吸入されず、インクの吸入効率をよくすること
ができる。したがって、インク壺内のインク液面中にコ
レクタ空間17、17…を漬浸せずに、ペン芯12の勾
配面12a、12aの中央まで漬浸するだけでインクを
インクタンク14内に吸入することができる。
【0035】また、図2に示すようにペン芯12の中央
下部には空気逃溝17cが軸線方向に伸長され、空気逃
溝17cはコレクタ空間17に連通されている。空気逃
溝17cは先端部を除いて首筒11で覆われている。し
たがって、コレクタ空間17は空気逃溝17cの先端部
を介して外気に連通されている。このように、コレクタ
空間17は、収納溝16を介してインクタンク14内に
連通すると共に空気逃溝17cの先端部を介して外気に
連通されている。
【0036】図6および図7に示すように、前述したペ
ン部材13は弾性部材で略矩形状に形成された同形の薄
板材13a、13bから成り、1例として薄板材13
a、13bはステンレス鋼で形成される。これにより、
薄板材13a、13bは耐蝕、耐摩耗、加工性、コスト
性に優れている。薄板材13bの先端部には突起19a
が形成されている。また、薄板材13bの後端部には突
起19b、19bが形成されている。突起19aは、薄
板材13aと薄板材13bを重ね合わせた場合、薄板材
の先端部の隙間が0.01mm〜0.05mm程度にな
るように高さが設定され、突起19bは、薄板材13a
と薄板材13bを重ね合わせた場合の隙間が0.07m
m〜0.15mm程度になるように高さが設定されてい
る。これにより、薄板材13aと薄板材13bを重ね合
わせることによりインク流路20が形成される。
【0037】ここで、薄板材13aと薄板材13bを重
ね合わせる方法について説明する。先ず、薄板材13a
と薄板材13bを重ね合わせて薄板材13bの突起19
b、19bを薄板材13aに当接する。この状態で、ス
ポット溶接やレーザ溶接などで薄板材13aと薄板材1
3bとを溶着する。この場合、薄板材13aおよび薄板
材13bの後端部(固定部s)内の数ケ所又は全体にわ
たって、インクの流路寸法を狭めないよう最少限度の大
きさで溶着され、薄板材13aおよび薄板材13bの先
端部は自由端としてある。したがって、薄板材13aお
よび薄板材13bの先端部に押圧力が加わると、薄板材
13aおよび薄板材13bは固定部s以外の弾性部mに
弾性変形が生じて、薄板材13aと薄板材13bとにす
べり変位が生じる。
【0038】前記実施例では薄板材13bの突起19
b、19bを利用して薄板材13aと薄板材13bとを
溶着する場合について説明したが、これに限らず、薄板
材13aと薄板材13bを重ね合わせた状態で薄板材1
3aおよび薄板材13bのそれぞれの外周をレーザ溶接
などで数箇所溶着することも可能である。この場合、薄
板材13bの突起19b、19bは薄板材13aと薄板
材13bとにインク流路20を形成するだけの役割にな
る。
【0039】また、固定部sは上述した溶着以外の方法
で固定することも可能である。例えば、薄板材13aお
よび薄板材13bに互いに係合する凹部および凸部を形
成し、薄板材13aおよび薄板材13bを重ね合わせる
ことにより、凹部と凸部とを係合させて溶着と同様の効
果を得ることができる。この場合、薄板材13aおよび
薄板材13bを重ね合わせてペン芯12の収納溝16に
嵌入するだけで、薄板材13aおよび薄板材13bの固
定部sを固定することができるので製造時の溶着作業を
除去することができる。
【0040】前記実施例では薄板材13aと薄板材13
bとの間に突起19a、19bを形成してインク流路2
0を形成する場合について説明したが、これに限らず、
その他の方法で薄板材13aと薄板材13bとの間にイ
ンク流路20を形成してもよい。例えば、スペーサを薄
板材13aと薄板材13bとの間に挟持してインク流路
20を形成することも可能である。また、エッチング法
で薄板材13a、薄板材13bに溝を形成してインク流
路20を形成することも可能であり、さらに、プレスワ
ークのコイニング処理で薄板材13a、薄板材13bに
段差を形成してインク流路20を形成することも可能で
ある。
【0041】このように、互いに重ね合わされた薄板材
13aおよび薄板材13bの先端は勾配のついた拡大部
が形成され、この拡大部の勾配面はペン芯12の勾配面
と所定間隔をおいて平行になるように形成されている。
薄板材13aおよび薄板材13bの先端部には0.01
mm〜0.05mmの幅のスリット21、21…が5本
づつそれぞれ形成されている(図8および図9参照)。
これにより、インク流路20を介して薄板材13aおよ
び薄板材13bの先端まで導かれたインクはスリット2
1、21…を介して薄板材13aおよび薄板材13bの
外側に導かれる。
【0042】したがって、筆記時にペン部材13が紙面
(図示せず)に対して傾斜している場合でもインクを紙
面上に乗り移らせることができる。これに対し、薄板材
13aおよび薄板材13bの先端にスリット21、21
…が形成されていない場合には、筆記時にペン部材13
を紙面(図示せず)に対して略直交させないとインクが
紙面上に乗り移らない。
【0043】スリット21、21…の長さは約0.5m
m〜1.0mmに設定され、従来のペン部材に形成され
た切割溝のように5.0mmの長さを必要としない。し
たがって、ペン部材13の先端部の強度(筆記用紙との
接触で生じるペン部材13の先端部を振動させる方向の
外力に耐える強度)を従来の筆記具と比較して強くする
ことができる。このスリット21、21…は、従来と同
様にプレス機による剪断加工や研削による切割加工で形
成される。なお、図8および図9上のスリット21は終
端部にピンホールを形成しないものを示したが、これに
限らず、図10および図11に示すようにスリット21
の終端部にピンホール21aを形成してもよい。
【0044】また、薄板材13aおよび薄板材13bの
先端部は、筆記用紙と接触した際に筆記用紙とのすべり
をよくするために、従来のペン接紙部と同様にそれぞれ
の角部が0.02mm以上の半径で丸め処理が施されて
いる。ペン部材13は薄板材13aおよび薄板材13b
の角部がそれぞれ第1接紙部aおよび第2接紙部a
となり(図6参照)、第1接紙部aおよび第2接紙部
は図15の状態で筆記面として使用される。そし
て、筆記具10を図15の状態から僅かにひねった状態
(回転させた状態)で使用する場合、薄板材13aおよ
び薄板材13bは上下方向に擦れ合うように変位する筆
記動作をするので、インク流路20内のインクかすが薄
板材13a、薄板材13bから剥離してインク流路20
内から排出される。これにより、インク流路20内をイ
ンクがスムーズに流れる。なお、第1接紙部aおよび
第2接紙部aの筆跡幅A、A′は同一になるが、夫々
の角部の丸め方次第でA,A′の筆跡を変えることもで
きる。
【0045】図7に示すように、ペン部材13は薄板材
13aの外幅角部が第3接紙部a3となり、薄板材13
bの外幅角部が第4接紙部a4 となる。第3接紙部a3
および第4接紙部a4 は図16の状態で筆記面として使
用される。そして、筆記具10を図16の状態で使用す
る場合、薄板材13aおよび薄板材13bは左右方向及
び長さ方向に擦れ合うように変位する筆記動作をするの
で、インク流路20内のインクかすが薄板材13a、薄
板材13bから剥離してインク流路20内から排出され
る。これにより、インク流路20内をインクがスムーズ
に流れる。さらに、筆記具10を図16の状態で使用す
ると、薄板材13aおよび薄板材13bに筆圧が加わる
場合と筆圧が除去される場合が生じるので、薄板材13
aおよび薄板材13bが周期的に弾性変形する。この場
合、薄板材13aおよび薄板材13bの曲率が異なるの
で薄板材13aと薄板材13bとにズレが生じる。した
がって、インク流路20内のインクかすが薄板材13
a、薄板材13bから剥離してインク流路20内から排
出される。これにより、インク流路20内をインクがス
ムーズに流れる。なお、第3接紙部a3 および第4接紙
部a4 の筆跡幅B、B′は同一になる。
【0046】このように形成されたペン部材13は、ペ
ン芯12の先端部から収納溝16内に嵌入され、インク
流路20がインクタンク14内に連通する。したがっ
て、インク流路20には毛細管力によりインクタンク1
4内のインクが吸入され、インク流路20に吸入された
インクはペン部材13の先端部まで導かれる。これによ
り、筆記時にペン部材13の先端部のスリット21、2
1…を介してインクが筆記用紙に乗り移る。
【0047】また、薄板材13aおよび薄板材13bの
固定部sの近傍には段差19d、19eが形成され、ペ
ン部材13が収納溝16内に嵌入されるとペン部材13
と収納溝16との間に空間が形成される。これにより、
図15に示す筆記状態においてペン部材13の先端部に
筆記力が加えられたとき、ペン部材13が幅方向(図6
上の矢印イ方向)に変位する。この場合、ペン部材13
の断面係数は極めて大きいので図6上の矢印イ方向への
変位量は微小であるが、薄板材13aおよび薄板材13
bの板厚程度の変位が可能である。したがって、ペン部
材13の第1接紙部a1 および第2接紙部a2で筆記す
る場合に、薄板材13aおよび薄板材13bの両方の薄
板材を筆記用紙に接触させることができる。また、薄板
材13aおよび薄板材13bに段差19d、19eを形
成することにより、ペン部材13の第2接紙部a2 に筆
圧が加えられてペン部材13が変位した場合、ペン部材
13から筆圧が除去されたあとにペン部材13が容易に
復元する。さらに、薄板材13aおよび薄板材13bに
段差19dを形成することにより、ペン部材13を収納
溝16内に嵌入した場合に、薄板材13aおよび薄板材
13bと収納溝16との間に前述した空気溝16cが形
成される。なお、図6上では段差19d、19eを薄板
材13aおよび薄板材13bの上下でズラして形成した
が、これに限らず、段差19d、19eを薄板材13a
および薄板材13bの上下でズラさないで形成してもよ
く、また、段差19d、19eを図6上に示した状態と
逆にズラして形成してもよい。薄板材13aおよび薄板
材13bの外側表面には突起19c、19c…が形成さ
れ、突起19c、19c…はペン部材13が収納溝16
内に嵌入された場合に収納溝16とペン部材13とのガ
タツキを防止する。なお、突起19c、19c…を薄板
材13aおよび薄板材13bに形成せずに、収納溝16
の内周面に突起19c、19c…に相当する突起を形成
しても同様の効果を得ることができる。
【0048】図12はペン部材13の他の実施例を示
す。図12に示すペン部材13は、図6に示すペン部材
13の第3接紙部a3 および第4接紙部a4 の筆記幅を
狭くしたものである。このように、ペン部材13の幅を
変えることにより第3接紙部a3 および第4接紙部a4
の筆記幅を任意に設定することができる。この場合、ペ
ン部材13の第1接紙部a1 および第2接紙部a2 は、
図7に示すように薄板材13aおよび薄板材13bの板
厚とインク流路20とで設定されて一定になるので、ペ
ン芯12の収納溝16の形状を変える必要がない。ま
た、図13および図14にはペン部材の他の実施例が示
されている。図13および図14に示すペン部材22は
図6および図7に示すペン部材13と略同様に形成され
ている。ペン部材22とペン部材13とは、ペン部材2
2がペン部材13と比較して多数の突起を備えている点
で相違する。以下、図13および図14においてペン部
材22を説明する。なお、図13および図14上で図6
および図7に示すペン部材13と同一類似部材について
は同一符号を付して説明を省略する。
【0049】ペン部材22は同形の薄板材22a、22
bから成り、薄板材22bの先端部には突起23a、2
3aが形成されている。また、薄板材13bの中央部お
よび後端部には突起23b、23b…および突起23
c、23c…が形成されている。突起23aは、薄板材
22aと薄板材22bを重ね合わせた場合の先端部の隙
間の空間が0.01mm〜0.05mm程度になるよう
に高さが設定され、突起23b、23b…および突起2
3c、23c…は、薄板材22aと薄板材22bを重ね
合わせた場合の空間が0.07mm〜0.15mm程度
になるように高さが設定されている。これにより、薄板
材22aと薄板材22bを重ね合わせることによりイン
ク流路20が形成される。
【0050】ここで、薄板材22aと薄板材22bを重
ね合わせについて説明する。薄板材22aと薄板材22
bを重ね合わせることにより、薄板材22bの突起23
c、23c…が薄板材22aに当接する。この状態で、
スポット溶接やレーザ溶接などで薄板材22aと薄板材
22bとを溶着する。この場合、薄板材22aおよび薄
板材22bの後端部(固定部s)内の数ケ所又は全体に
わたって、インクの流路寸法を狭めないよう最少限度の
大きさで溶着され、薄板材22aおよび薄板材22bの
先端部は自由端としてある。したがって、薄板材22a
および薄板材22bの先端部に押圧力が加わると、薄板
材22aおよび薄板材22bは固定部s以外の弾性部m
に弾性変形が生じて、薄板材22aと薄板材22bとに
すべり変位が生じる。
【0051】前記のように構成された筆記具の作用につ
いて説明する。先ず、筆記具に挿着した場合のインクの
流れについて図1を用いて説明する。ペン部材13,2
2は薄板材13a,22a,13b,22b間にインク
流路20を形成して、インク流路20をインクタンク1
4内に連通した。これにより、インクタンク14内のイ
ンクをインク流路20の毛細管力を利用してペン部材1
3,22の接紙部まで導く。したがって、インクタンク
14内のインクをスムーズにペン部材13,22の接紙
部まで導くことができる。
【0052】また、ペン芯12に形成された空気溝16
a、16b、16cは、従来の空気溝と同様にインク消
費に伴って外気の空気をインクタンク14内に導く。さ
らに、インクタンク14内の空気膨脹によりインクタン
ク14内から溢出したインクはコレクタ空間17、17
…に貯えられ、同時にコレクタ17、17…空間に貯え
られていた空気は外部に押し出される。これにより、イ
ンクのボタ落ちと呼ばれている現象を防止することがで
きる。このように、インクタンク14内の空気膨脹によ
りインクタンク14内からインクが溢出した場合、イン
クのボタ落ちを防止するために空気溝(16b、16
c)内にインクが充満する。しかしながら、筆記具10
で筆記すると、空気溝16b、16cやコレクタ空間1
7、17…に貯えられたインクが先ずペン部材の接紙部
から消費される。
【0053】そして、空気溝16b、16cやコレクタ
空間17、17…のインクが全て消費された後、空気溝
16a、16b、16cを介して空気が外部からインク
タンク14内に導かれ、インクタンク14内のインクが
インク流路20を介してペン部材13,22の接紙部に
供給される。一方、インクタンク14内の空気が収縮す
ると空気溝16b、16cやコレクタ空間17、17…
に貯えられたインクがインクタンク14内に吸入され
る。
【0054】次に、筆記具10を図15に示す状態で使
用する場合について説明する。この状態で筆記用紙に筆
記してペン部材13,22の先端部に筆記力が加えられ
るとペン部材13,22が幅方向に変位する(図15上
の矢印イ方向)。この場合、ペン部材13,22の断面
係数は極めて大きいので矢印イ方向への変位量は微小で
あるが、薄板材13a,22aおよび薄板材13b,2
2bの板厚程度の変位が可能であれば、薄板材13a,
22aおよび薄板材13b,22bの両方の薄板材が筆
記用紙に接触する。また、薄板材13a,22aおよび
薄板材13b,22bに段差19d、19e(図6参
照)が形成されているので、筆圧が加えられてペン部材
13,22が変位した場合でも、ペン部材13,22か
ら筆圧が除去されるとペン部材13,22は変位前の状
態に復元する。そして、筆記具10を図15に示す状態
で使用すると、筆跡幅はA、A′になる。なお、筆跡幅
Aおよび筆跡幅A′は同一幅である。
【0055】一方、筆記具10を図15の状態から僅か
にひねった状態(回転させた状態)で使用する場合、薄
板材13a,22aおよび薄板材13b,22bは上下
方向に擦れ合うように変位する筆記動作をするので、イ
ンク流路20内のインクかすが薄板材13a,22a、
薄板材13b、22bから剥離してインク流路20内か
ら排出される。これにより、インク流路20内をインク
がスムーズに流れる。次いで、筆記具10を図16に示
す状態で使用する場合について説明する。図16の場
合、ペン部材13,22の第3接紙部aまたは第4接
紙部aで筆記するので筆跡幅B、B′が、図15に示
す筆記幅はA、A′より広くなる。この場合、ペン部材
13,22は矢印ロ方向に変位するが、ペン部材13,
22の先端部に突起19a又は23aおよび23b(図
6および図13参照)が形成されているので、ペン部材
13,22が矢印方向に変位した場合でも、薄板材1
3a,22aおよび薄板材13b,22bのそれぞれの
先端部の隙間を前述した0.01mm〜0.05mm程
度に維持することができる。
【0056】また、ペン部材13,22の第3接紙部a
または第4接紙部aに筆圧が加わった場合、薄板材
13a,22aおよび薄板材13b,22bはそれぞれ
曲率の異なる弾性変形をするが、薄板材13a,22a
および薄板材13b,22bは先端部が固定されていな
いので、薄板材13a,22aと薄板材13b,22b
との摺動移動が可能になる。したがって、インク流路2
0内のインクかすが薄板材13a,22a、薄板材13
b,22bから剥離してインク流路20内から排出され
る。これにより、インク流路20内をインクがスムーズ
に流れる。前記実施例では2枚の薄板材13a,22
a、13b,22bでペン部材13,22を構成する場
合について説明したが、これに限らず、図17に示すよ
うにペン部材25を3枚の薄板材25a、25bおよび
25cで構成してもよい。これにより、ペン部材25の
筆跡幅A、A′を広くすることができる。なお、ペン部
材25の筆跡幅B、B′は図16に示すペン部材13の
筆跡幅B、B′と同一である。
【0057】また、図18に示すように外側の薄板材2
5bの角部に切欠28を形成してもよい。これにより、
図18に示すペン部材25の筆跡幅Aを、図17に示す
ペン部材25の筆跡幅Aより細くすることができる。な
お、図17および図18において外側の薄板材25a、
25bのみにスリット26、26…を形成した場合を示
したが、これに限らず、中間の薄板材25cの先端部に
スリットを形成してもよい。この場合、インク流路2
7、27は中間の薄板材25cの先端部に形成されたス
リットを介して連通される。したがって、インク流路2
7、27から同量のインクを筆記用紙に乗り移らせるこ
とができる。ところで、本発明による筆記具10によれ
ば、一本のインク流路20のみでインクタンク14とペ
ン部材13の接紙部とを連通し、インク流路20の毛細
管作用を利用してインクタンク14内のインクをペン部
材13の接紙部まで導くことができる。したがって、こ
の筆記具10を略水平に維持し、筆記具10の接紙部を
スポイトや他の筆記具の接紙部に接触させて、スポイト
や他の筆記具からインクタンク14内のインク色彩と異
なる色彩のインクを容易に吸入することができる。この
場合、インク流路20内のインクは、外部から吸入され
た他の色彩のインクの水頭圧で押されてインクタンク1
4の方向に逆流し、外部から吸入された他の色彩のイン
クは予めインク流路20内に充填されていたインクと混
合しないでインク流路20内に吸入される。したがっ
て、この状態で筆記具10を使用して以下に示すグラデ
ーションと呼ばれる色彩の連続変化を表現することがで
きる。
【0058】すなわち、外部から他の色彩のインクをイ
ンク流路20内に吸入した状態で筆記すると、先ず外部
から吸入されたインクの色彩で筆記用紙に筆記され、次
に、外部から吸入されたインクと予めインク流路20内
に充填されていたインクとが混合した色調が徐々に筆記
用紙に筆記される(この状態をグラデーションと称す
る)。そして、外部から吸入されたインクを使いきると
予めインク流路20内に充填されていたインクのみの色
彩で筆記用紙に筆記される。また、図16に示すように
太い筆跡幅B、B′となるように筆記具10を使用して
筆記する場合、ペン部材13,22の薄板材13a,2
2a、13b,22bの一方の角部からのみ他の色彩の
インクを吸入すると、他の色彩のインクはペン部材1
3,22の薄板材13a,22a、13b,22bの一
方の角部からのみ筆記用紙に乗り移る。したがって、グ
ラデーションはペン部材13,22の薄板材13a,2
2a、13b,22bの一方の角部で描かれた部分のみ
に表わされる。すなわち、先ずペン部材13,22で描
かれた筆跡幅の片側だけが吸入された他のインクの色彩
に変色し、徐々にグラデーション状態になり、次に筆跡
全幅が予めインク流路20内に充填されていた元のイン
クの色彩になる。さらに、図16に示すように太い筆跡
幅B、B′で筆記する場合、ペン部材13,22の薄板
材13a,22a、13b,22bの一方の角部からの
み別の色彩のインクを吸入する時間を長くすると、外部
から吸入されたインクは、インク流路20内でインクタ
ンク14に近づくにしたがって徐々にインク幅が広が
る。すなわち、外部から吸入されたインクは、インク流
路20内でインクタンク14に向かって末広がり状に侵
入する。したがって、この状態で図16に示す太い筆跡
幅B、B′で筆記すると、描き初めの筆跡は一方の側部
のみが外部から吸入されたインクの色彩に変色し、他方
の側部はインクタンク14内のインクの色になる。そし
て、すぐに筆跡の全幅が外部から吸入されたインクの色
彩に変色し、次に、徐々にグラデーション状態になり、
最後にインクタンク14内のインクの色彩に戻る。
【0059】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
による筆記具によれば、複数の薄板材で構成されたペン
部材の薄板材間でインク流路を形成し、このインク流路
の毛細管力を利用してインクタンク内のインクをペン部
材の接紙部まで導く。このように、1本のインク流路だ
けでインクタンク内のインクをペン部材の接紙部まで導
くことができるので、環境変化の影響を受けずに常に安
定した状態でインクをペン部材の接紙部に供給すること
ができる。したがって、筆記時等に筆記文字の筆記幅を
一定に保つことができ、また筆記文字のインク濃度を一
定に維持することができる。
【0060】また、本発明による筆記具によれば、複数
の薄板材でペン部材を形成したので、ペン部材の筆記箇
所を複数の薄板材の板厚部と、薄板材の側部とで選択す
ることができる。そして、複数の薄板材の板厚部で筆記
した場合、筆記幅を狭くすることができ、薄板材の側部
で筆記した場合、筆記幅を太くすることができる。した
がって、一本の筆記具で筆記幅が大きく異なる2種類以
上の筆記幅を選択することができる。
【0061】さらに、本発明による筆記具によれば、一
本のインク流路の毛細管力を利用してインクタンク内の
インクをペン部材の接紙部まで導くので、インク流路内
のインクはペン部材の接紙部以外で空気に触れることが
ない。したがって、筆記具にキャップをしないで放置し
た場合でも、従来のペンのようにインク流路の中間部で
インクが乾燥することがないので、放置された後に筆記
具で文字を書き始めると難なくインクが筆記用紙に乗り
移る。
【0062】また、本発明による筆記具によれば、ペン
部材の先端部にインク流路に連通するスリットを形成し
た。これにより、ペン部材のインク流路を筆記用紙に接
触させて複数の薄板材の板厚部で筆記する状態から、9
0°回転してペン部材の薄板材の側部で筆記する場合で
も、スリットを介してインク流路内のインクを筆記用紙
に容易に乗り移らせることができる。また、複数の薄板
材の板厚部で筆記幅を細く筆記する場合や、ペン部材の
薄板材の側部で筆記幅を太く筆記する場合に、筆記具の
筆記角度を自由に変えてもインクがかすれることなくス
ムーズに筆記することができる。
【0063】また、ペン芯に形成された空気溝は、従来
の空気溝と同様にインク消費に伴って外気の空気をイン
クタンク内に導く。また、インクタンク内の空気膨脹に
よりインクタンク内から溢出したインクはコレクタ空間
に貯えられ、同時にコレクタ空間に貯えられていた空気
は外部に押し出される。これにより、インクのボタ落ち
と呼ばれている現象を防止することができる。
【0064】さらに、本発明による筆記具によれば、一
本のインク流路のみでインクタンクとペン部材の接紙部
とを連通したので、この筆記具を略水平に維持し、筆記
具の接紙部からインクタンク内のインクと色彩の異なる
インクを容易に吸入することができる。この場合、イン
ク流路内のインクは、外部から吸入された他の色彩のイ
ンクの水頭圧で押されてインクタンクの方向に逆流する
ので、外部から吸入された他の色彩のインクは予めイン
ク流路内に充填されていたインク十分な混合を起こさな
いままでインク流路内に吸入される。したがって、この
状態で筆記具を使用してグラデーションと呼ばれる色彩
の連続変化を表現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による筆記具の平面の縦断面図。
【図2】本発明による筆記具の側面の縦断面図。
【図3】図2のA−A線に沿った断面を示すA−A断面
【図4】図2のB−B線に沿った断面を示すB−B断面
図。
【図5】図2のC−C線に沿った断面を示すC−C断面
図。
【図6】本発明による筆記具に使用されたペン部材を示
す平面図。
【図7】本発明による筆記具に使用されたペン部材を示
す側面図。
【図8】本発明による筆記具に使用されたペン部材の平
面の要部拡大図。
【図9】本発明による筆記具に使用されたペン部材を正
面から見た状態で拡大した要部拡大図。
【図10】本発明による筆記具に使用されたペン部材の
他の実施例の平面の要部拡大図。
【図11】本発明による筆記具に使用されたペン部材の
他の実施例を正面から見た状態で拡大した要部拡大図。
【図12】本発明による筆記具に使用されたペン部材の
他の実施例を示す平面図。
【図13】本発明による筆記具に使用されたペン部材の
他の実施例を示す平面図。
【図14】本発明による筆記具に使用されたペン部材の
他の実施例を示す側面図。
【図15】本発明による筆記具の使用状態を説明する斜
視図。
【図16】本発明による筆記具の使用状態を説明する斜
視図。
【図17】本発明による筆記具の他の実施例の使用状態
を説明する斜視図。
【図18】本発明による筆記具の他の実施例の使用状態
を説明する斜視図。
【図19】従来の筆記具の側面の縦断面図。
【図20】図19のD−D線に沿った縦断面を示すD−
断面図
【図21】従来の筆記具の平面図。
【図22】従来の筆記具の側面図。
【図23】図22のE−E線に沿った断面を示すE−E
断面図。
【図24】従来の筆記具の平面の要部拡大図。
【図25】図24のF−F線に沿った縦断面を示すF−
断面図
【符号の説明】
10 筆記具 12 ペン芯 13 ペン部材 13a、13b 薄板材 14 インクタンク 17 コレクタ空間 16 収納溝 空気溝 20 インク流路 21 スリット
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B43K 1/00 B43K 1/02 B43K 5/18

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の薄板材を重ね合わせて微小隙間状の
    インク流路が全長に渡って形成されたペン部材を、ペン
    芯の全長に渡って形成された収納溝内に先端部が前方へ
    突出した状態で嵌入し、そのペン芯を首筒に嵌入し、
    記ペン芯の収納溝に収納された前記ペン部材のインク流
    前記ペン芯の後端部に備えられたインクタンク内に
    連通することを特徴とする筆記具。
  2. 【請求項2】前記ペン部材を構成する複数の薄板材は前
    記ペン芯の収納溝内に嵌入されることにより、前記収納
    溝の壁面で相互に寄り合うように押し付けられて薄板材
    の間に微小隙間状のインク流路を形成することを特徴と
    する請求項1記載の筆記具。
  3. 【請求項3】前記ペン部材は外側部に位置する薄板材の
    先端部に前記インク流路に連通するスリットを形成した
    ことを特徴とする請求項1記載の筆記具。
  4. 【請求項4】前記ペン芯の後部は、このペン芯の後端部
    に備えられたインクタンク内に連通し、インクを収納可
    能なコレクタ空間と外部の空気を前記インクタンク内に
    導く空気溝とをペン芯に形成したことを特徴とする請求
    項1記載の筆記具。
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