JP2911685B2 - 塗工機における紙切れ防止方法および紙切れ防止装置 - Google Patents

塗工機における紙切れ防止方法および紙切れ防止装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紙切れ防止方法および
欠点部検査装置に係り、特に、塗工紙製造の塗工機にお
ける紙切れ防止方法および紙切れ防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】紙には塗料を塗布、乾燥して製造するい
わゆる塗工紙がある。塗工紙の製造においては、抄紙機
におけると同様の紙切れの他に、紙の欠点部に起因する
紙切れが生じる。ここで、欠点部とは、紙の孔や、紙に
付着しているかまたは抄き込まれている異物をいう。
【0003】塗工機においては紙が塗工ヘッドにより圧
力を受ける。このため、紙に欠点部が存在すると、圧力
の影響でこの欠点部から紙切れが開始するおそれがあ
る。
【0004】一方、塗工紙の製造方法として、抄紙機と
は別に塗工を行うオフマシン塗工と、塗工抄紙機で塗工
を行うオンマシン塗工とがある。オフマシン塗工では、
紙の巻取を塗工機に掛けて塗工する。オンマシン塗工で
は、抄紙工程に連続して抄紙機上で塗工する。欠点部に
起因する紙切れは、オフマシン塗工、オンマシン塗工の
いずれの場合にも起こり得る。経済的な損失としてはオ
ンマシン塗工のおける場合の方が甚大である。
【0005】塗工の方法としては1度塗りと2度塗りと
がある。2度塗りとは、1度目の塗工に引き続き、同じ
面または反対の面に塗工するものである。また、1度目
に両面を同時塗工し、その後に片面の上塗り、続いて反
対面の上塗りを行う場合もある。いずれにしても、塗工
の回数が増える程、欠点部に起因する紙切れは増加する
傾向がある。
【0006】抄紙機で紙を製造する際に紙が切れると、
抄紙機を停止し紙継ぎをしなければならない。この場
合、大変な労力と手間を要するだけでなく、損紙の発生
や稼働率の低下等で経済的損失も大きい。
【0007】従来、紙切れを防止するための手段として
は、異物を除去する等の原料面から、および抄紙機各部
を洗浄する等の機械面から行われている。
【0008】また、紙切れを検出するシステムまたは紙
切れ前の紙の欠陥部を検出するシステムとしては、例え
ば特開平4−65594号、特公昭63−502613
号が提案されている。特開平4−65594号は反射方
式により湿紙とカンバスの色彩の差を検出することによ
り紙切れを検出する方法である。特公昭63−5026
13号はレーザ光線により連続紙の縁の裂け目を検出す
る装置に関するものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように、塗工機に
おける欠点部に起因する紙切れは、損紙の発生や稼働率
の低下等で経済的損失も大きいという問題がある。
【0010】しかしながら、従来は、欠点部が生じない
ようにする試みや欠点部を検出する試みはあっても、欠
点部に起因する紙切れを防止するための具体的対策につ
いての提案は何等なされていなかった。
【0011】そこで、本発明の目的は、上記従来技術の
有する問題を解消し、欠点部に起因する塗工機における
紙切れ防止方法および紙切れ防止装置を提供することで
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明による塗工機における紙切れ防止方法は、走
行する紙に光線が透過可能な欠点部または光線が透過不
能な欠点部のいずれかの欠点部があるか否かを紙が塗工
部へ送られる前に紙の全幅に渡って同時に検査する工程
と、紙に光線が透過可能な欠点部と光線が透過不能な欠
点部のいずれの欠点部もない場合には紙を塗工する工程
と、紙に光線が透過可能な欠点部または光線が透過不能
な欠点部のいずれかの欠点部がある場合にはこの欠点部
が塗工ヘッドに達する前に紙への塗布を中断するととも
に継続して紙を走行させ前記欠点部が塗工ヘッドを通過
するようにさせ、前記欠点部が前記塗工ヘッドを通過後
紙への塗布を再開する工程とを備えることを特徴とす
る。
【0013】また、紙切れ防止装置は、走行する紙に光
線が透過可能な欠点部または光線が透過不能な欠点部の
いずれかの欠点部があるか否かを欠点部が塗工部の塗工
ヘッドへ送られる前に紙の全幅に渡って同時に検査する
ための紙切れ防止装置であって、走行する紙の全幅に渡
って同時に光線を照射する光源と、光線が透過可能な欠
点部を透過した透過光または光線が透過不能な欠点部に
よって散乱した後の光を検出する光検出部と、紙の全幅
に渡って同時に前記欠点部を前記光検出部へ結像する結
像レンズと、前記光検出部による検出信号の強度を所定
の信号強度と比較して欠点部の有無を判定しこの判定結
果を前記塗工部へ送り、紙に光線が透過可能な欠点部ま
たは光線が透過不能な欠点部のいずれかの欠点部がある
場合にはこの欠点部が前記塗工ヘッドに達する前に紙へ
の塗布を中断するとともに継続して紙を走行させ前記欠
点部が前記塗工ヘッドを通過するようにさせ、前記欠点
部が前記塗工ヘッドを通過後紙への塗布を再開するよう
に、信号処理する信号処理部とを備えることを特徴とす
る。
【0014】なお、本発明における塗工機は、ロールコ
ータ、ブレードコータ、エアーナイフコータ、バーコー
タのいずれであってもよい。ロールコータとしては、ト
ランスファーロールコータ、リバースロールコータなど
を含む。ブレードコータとしては、ビルブレードコー
タ、ショートドウエルコータ、ファウンテンブレードコ
ータなどを含む。
【0015】
【作用】紙に欠点部がある場合にのみ紙への塗布を中断
するので、稼働率の低下を防ぐことができる。また、紙
に欠点部があることを事前に検出して欠点部を塗布しな
いようにしたので、欠点部に起因する紙切れを防止する
ことができる。
【0016】
【実施例】本発明による塗工機における紙切れ防止方法
の一実施例を図面を参照して説明する。
【0017】図1に本実施例に用いる塗工機の概略構成
を示す。巻き戻し部1と塗工部3の間に、走行する紙6
に欠点部があるか否かを検査する欠点検査部2が設けら
れている。欠点検査部2は投光部7と受光部8とから構
成されている。欠点検査部2で欠点部の有無を検査され
た紙6は塗工部3へ送られる。塗工部3は紙6を巻取走
行させるパッキングロール10と塗工原料を紙6に塗布
する塗工ヘッド9とから構成されている。塗工部3を通
過した紙6は、乾燥部4を経て巻取部5へ送られる。
【0018】欠点検査部2における検査結果は受光部8
から塗工部3の塗工ヘッド9へ送られる。紙6に欠点部
が存在すると判定された場合は、この欠点部が塗工ヘッ
ド9へ到達する直前に塗工を中断し、紙6を塗工せずに
塗工ヘッド9を通過させる。欠点部が紙6に存在するか
否かの判定は、欠点部が存在しない場合に受光部8で検
出される光量と実際に受光部8で検出される光量とを比
較して行なわれる。受光部8で検出される光量が一定以
上のときは、光線が孔を透過するからであり、孔の欠点
部が存在すると判定される。また、受光部8で検出され
る光量が一定以下のときは、光線が異物によって散乱さ
れるからであり、異物の欠点部が存在すると判定され
る。
【0019】検出された欠点部が塗工ヘッド9の直前に
きたときに塗工を中断するようにするために、予め求め
ておいた欠点検査部2から塗工ヘッド9までの距離と、
常時測定している紙6の走行スピードの情報とから中断
する時刻をコンピュータで演算する。コンピュータによ
る演算結果は塗工ヘッド9の制御部に送られる。おおむ
ね、検出された欠点部が塗工ヘッド9の5m前になった
ときに、塗工原料を紙6へ塗布することを中断すればよ
い。
【0020】図2および図3に塗工ヘッド9を含めた塗
工部3を示す。図2に示すように、塗工原料は配管11
を経てバルブ12および配管13を介して塗工ヘッド9
に供給される。また、バルブ12が閉じているときに
は、塗工原料はバルブ14および配管15を介して塗工
原料貯蔵部へ戻されるようになっている。
【0021】また、塗工ヘッド9の側部には塗工ヘッド
9を紙6から脱着させるためのヘッド脱着用ヘッド16
が設けられている。図4に示すように、塗工ヘッド9の
紙6からの脱着は、スイングアーム17を振ることによ
って行なわれる。スイングアーム17には塗工ヘッド9
が固着されており、スイングアーム17を矢印方向へ振
られると、塗工ヘッド9は紙6から引き離される。
【0022】ヘッド脱着用ヘッド16は受光部8から送
られた検査結果に基づき伸縮する。欠点部が存在すると
判定されたときは、塗工ヘッド9をバッキングロール1
0から引き離す。またこのとき同時にバルブ12が閉じ
られて、バルブ14が開けられ、塗工原料は配管15へ
流れるようになる。なお、塗工を中断する方法として
は、塗工ヘッド9を紙6から離す方法、または、ショー
トドウエルコータやファウンテンコータのように供給パ
イプを通じて連続的に塗工原料の塗工ヘッド9へ供給す
る場合にバルブの開閉によって供給を停止する方法のい
ずれか一方の方法でも構わない。本実施例のように、両
方を併用するほうが確実であり好ましい。
【0023】図3に塗工ヘッド9を拡大して示す。配管
13から送られた塗工原料はバッキングロール10に抱
かれた紙6に塗布される。塗工ヘッド9の上端部には塗
工ブレード9aが設けれており、塗工原料が均一の厚さ
に紙6に塗工されるように、余分の塗工原料をかき落と
すようになっている。
【0024】次に、図5および図6を参照して欠点検査
部2としての欠点部検査装置について説明する。図5に
示すように、欠点部検査装置は投光部7と受光部8とか
ら構成されている。投光部7には光源19からの光線を
平行光線または一定の角度を有する光線にする複数のコ
リメータレンズ20が設けられている。光源19はレー
ザ光源またはLED光源である。複数のコリメータレン
ズ20によって、紙6の横幅全体に渡って光線が照射さ
れる。なお、光源19がレーザ光源である場合は、1個
のレーザ光源からの光線をハーフミラーを用いて分岐し
て導き、紙6の横幅全体に渡って照射してもよい。
【0025】紙6に対して投光部7と反対側には受光部
8が設けられている。受光部8は複数の結像レンズ21
とこれらのレンズに対応するCCD素子22とを有する
複数のCCDカメラを備えている。結像レンズ21は紙
6の表面をCCD素子22の受光面へ結像する。例え
ば、紙6にある孔23aの欠点部は結像レンズ21を介
してCCD素子22の受光面の位置24aに結像され
る。同様に、異物23bの欠点部は結像レンズ21を介
してCCD素子22の受光面の位置24bに結像され
る。
【0026】図6にCCD素子22によるCCD信号波
形を示す。横軸はCCD素子の受光面の位置に対応す
る。符号24cは欠点部が存在しない紙6の部分に対応
するCCD信号を示す。孔23aの欠点部に対応するC
CD信号24aは、CCD信号24cに比べて強度が大
きく、異物23bに対応するCCD信号24bはCCD
信号24cに比べて強度が小さい。したがって、図6に
示すCCD信号波形を平均的なCCD信号24cの強度
でスライスすることにより、孔23aや異物23b等の
欠点部を検出することができる。これらの信号処理は信
号処理部で行なわれ、信号処理部における処理結果は塗
布部3へ送られるようになっている。
【0027】欠点部の検出精度としては、紙6の横幅
0.2mm当たりに1個の欠点部の有無を確認できれば
十分である。したがって、紙6の横幅100〜120m
m当たりに、1024ビットのCCD素子22を1個用
いればよい。この場合、1mmの横幅に対して8〜10
個の欠点部まで検出できる。
【0028】次に、本発明の具体的な実施例について説
明する。全横幅約4mのブレード塗工式コータで、米坪
45g/mの中質紙に塗工する試験を行った。塗料は
カオリン・炭酸カルシウムを顔料とし、変性スチレン・
ブタジエンラテックスおよび澱粉をバインダーとする公
知の塗料を用いた。塗工速度は700m/分とした。
【0029】欠点部検査装置の投光部7と受光部8は図
1に示すように、塗工部3より前に配置した。走行する
紙6の全横幅にLEDによって光線を照射し、紙6の全
横幅に渡って配置された4台のCCDカメラ(1024
ビット)によって合計4096点のCCD信号を得るよ
うにした。
【0030】この結果、24時間連続して紙切れするこ
となく塗工機を操業することができた。
【0031】本実施例の構成によれば、塗工部3におけ
る紙切れが従来に比べて10分の1以下に減少し、ほぼ
紙切れを無くすることができた。この結果、損紙の発生
量を著しく減少させることができた。また、従来のよう
に紙切れの度に塗工機や抄紙機を停止する必要がなくな
ったので、塗工機等の稼働率が向上し、紙切れの有無を
監視する等の人員も削減できた。特に、抄紙機から連続
して塗工を行うオンマシン塗工の場合には経済的メリッ
トが著しい。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
走行する紙に欠点部があるか否かを紙が塗工部へ送られ
る前に検査し、紙に欠点部がある場合にはこの欠点部が
塗工ヘッドに達する前に紙への塗布を中断して欠点部が
塗工ヘッドを通過するようにしたので、欠点部があるま
ま塗工することにより生じていた紙切れの発生を防止す
ることができる。この結果、損紙の発生量を著しく減少
させることができるとともに、塗工機等の稼働率を向上
させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による紙切れ防止方法の一実施例に使用
する装置を示す概略構成図。
【図2】本発明の一実施例の塗工部を示す概略構成図。
【図3】塗工ヘッドを拡大して示す断面図。
【図4】ヘッド脱着用ヘッド16とスイングアーム17
の関係を示す断面図。
【図5】欠点部検査装置の概略構成を示す断面図。
【図6】CCDカメラによる検出信号波形を示す図。
【符号の説明】
1 巻き戻し部 2 欠点検出部 3 塗工部 4 乾燥部 5 巻取部 6 紙 7 投光部 8 受光部 9 塗工ヘッド 10 バッキングロール 11 配管 12 バルブ 13 配管 14 配管 15 配管 16 ヘッド脱着用ヘッド 17 スイングアーム 19 光源 20 コリメータレンズ 21 結像レンズ 22 CCD素子 23a 孔 23b 異物 24a 孔の検出位置 24b 異物の検出位置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−163445(JP,A) 特開 昭63−206639(JP,A) 特開 平4−64042(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】走行する紙に光線が透過可能な欠点部また
    は光線が透過不能な欠点部のいずれかの欠点部があるか
    否かを紙が塗工部へ送られる前に紙の全幅に渡って同時
    に検査する工程と、 紙に光線が透過可能な欠点部と光線が透過不能な欠点部
    のいずれの欠点部もない場合には紙を塗工する工程と、 紙に光線が透過可能な欠点部または光線が透過不能な欠
    点部のいずれかの欠点部がある場合にはこの欠点部が塗
    工ヘッドに達する前に紙への塗布を中断するとともに継
    続して紙を走行させ前記欠点部が塗工ヘッドを通過する
    ようにさせ、前記欠点部が前記塗工ヘッドを通過後紙へ
    の塗布を再開する工程とを備えることを特徴とする塗工
    機における紙切れ防止方法。
  2. 【請求項2】走行する紙に光線が透過可能な欠点部また
    は光線が透過不能な欠点部のいずれかの欠点部があるか
    否かを欠点部が塗工部の塗工ヘッドへ送られる前に紙の
    全幅に渡って同時に検査するための紙切れ防止装置であ
    って、 走行する紙の全幅に渡って同時に光線を照射する光源
    と、 光線が透過可能な欠点部を透過した透過光または光線が
    透過不能な欠点部によって散乱した後の光を検出する光
    検出部と、 紙の全幅に渡って同時に前記欠点部を前記光検出部へ結
    像する結像レンズと、 前記光検出部による検出信号の強度を所定の信号強度と
    比較して欠点部の有無を判定しこの判定結果を前記塗工
    部へ送り、紙に光線が透過可能な欠点部または光線が透
    過不能な欠点部のいずれかの欠点部がある場合にはこの
    欠点部が前記塗工ヘッドに達する前に紙への塗布を中断
    するとともに継続して紙を走行させ前記欠点部が前記塗
    工ヘッドを通過するようにさせ、前記欠点部が前記塗工
    ヘッドを通過後紙への塗布を再開するように、信号処理
    する信号処理部とを備えることを特徴とする紙切れ防止
    装置。
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