JP2911070B2 - 塗膜劣化診断装置 - Google Patents
塗膜劣化診断装置Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は塗膜の劣化度合を客観的
に判断できるようにした塗膜劣化診断装置に関する。
に判断できるようにした塗膜劣化診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、変圧器や配電盤など屋外に設置
される機器は、防食および美観のために塗装が施される
が、この塗膜は紫外線や水分などの影響を受けて経時的
に劣化する。このような塗膜の劣化を放置すれば、やが
て塗膜の剥離や下地金属が腐食し、機器の機能障害に至
る場合もある。このため、塗膜の劣化度を定量的に評価
し、適切な塗装の塗り替え時期やメンテナンス方法を検
討するために、塗膜の電気的インピーダンスを測定し、
その測定結果から劣化度を判断することが行われてい
る。
される機器は、防食および美観のために塗装が施される
が、この塗膜は紫外線や水分などの影響を受けて経時的
に劣化する。このような塗膜の劣化を放置すれば、やが
て塗膜の剥離や下地金属が腐食し、機器の機能障害に至
る場合もある。このため、塗膜の劣化度を定量的に評価
し、適切な塗装の塗り替え時期やメンテナンス方法を検
討するために、塗膜の電気的インピーダンスを測定し、
その測定結果から劣化度を判断することが行われてい
る。
【0003】すなわち、塗膜の表面にプローブを宛が
い、塗膜の下地金属とプローブとの間に電圧eを印加す
ると、塗膜にはプローブを通して電流iが流れる。そこ
で印加電圧eと電流iから次式によりインピーダンスZ
が求められる。 Z=e/i ………(1)
い、塗膜の下地金属とプローブとの間に電圧eを印加す
ると、塗膜にはプローブを通して電流iが流れる。そこ
で印加電圧eと電流iから次式によりインピーダンスZ
が求められる。 Z=e/i ………(1)
【0004】このようにして測定された塗膜インピーダ
ンスZは、塗膜の劣化度合と相関関係があることから、
インピーダンスの測定周波数等と上記相関関係とを考慮
した所定の解析手順により、塗膜の劣化度を客観的に判
断することができる。
ンスZは、塗膜の劣化度合と相関関係があることから、
インピーダンスの測定周波数等と上記相関関係とを考慮
した所定の解析手順により、塗膜の劣化度を客観的に判
断することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この塗膜イ
ンピーダンス測定に使用する合成電圧波形は、予め記憶
しておいたデジタル情報に基づき、D/A変換器によっ
て生成・合成されるものであるが、D/A変換器の出力
波形は各周波数成分の変化点、言い換えれば波形データ
の変化点では電位変化率が極端に大きく、波形データの
変化点間では電位変化がほとんどないという状態にあ
る。塗膜は一般に容量性であり、特に正常な塗膜のイン
ピーダンスは容量成分が支配的である。容量成分に流れ
る電流は であるため、電位変化率(dv/dt)が大きい波形デ
ータの変化点では塗膜に非常に大きな電流が流れて電流
の大きなピークが現れ、これに対し、電位変化がほとん
どない波形データの変化点間では塗膜に流れる電流は0
となり、容量成分の測定ができなくなってしまう。この
ためサンプリングポイントによっては塗膜インピーダン
スの正確な測定ができないという問題があった。
ンピーダンス測定に使用する合成電圧波形は、予め記憶
しておいたデジタル情報に基づき、D/A変換器によっ
て生成・合成されるものであるが、D/A変換器の出力
波形は各周波数成分の変化点、言い換えれば波形データ
の変化点では電位変化率が極端に大きく、波形データの
変化点間では電位変化がほとんどないという状態にあ
る。塗膜は一般に容量性であり、特に正常な塗膜のイン
ピーダンスは容量成分が支配的である。容量成分に流れ
る電流は であるため、電位変化率(dv/dt)が大きい波形デ
ータの変化点では塗膜に非常に大きな電流が流れて電流
の大きなピークが現れ、これに対し、電位変化がほとん
どない波形データの変化点間では塗膜に流れる電流は0
となり、容量成分の測定ができなくなってしまう。この
ためサンプリングポイントによっては塗膜インピーダン
スの正確な測定ができないという問題があった。
【0006】本発明は上述の点を考慮してなされたもの
で、印加電圧波形の発生方法を工夫して塗膜インピーダ
ンスの測定の不具合をなくした塗膜劣化診断装置を得る
ことを目的とする。
で、印加電圧波形の発生方法を工夫して塗膜インピーダ
ンスの測定の不具合をなくした塗膜劣化診断装置を得る
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の塗膜劣化診断装
置は、塗膜の表面に宛がわれるプローブと、このプロー
ブと塗膜の下地金属との間に異なる周波数を合成した電
圧を印加する電圧印加手段と、前記塗膜に流れる電流を
測定する電流測定手段と、少なくとも前記電流測定手段
の測定結果から算出される塗膜インピーダンスに基づい
て前記塗膜の劣化度を判断する判断手段を備えた装置に
おいて、前記電圧印加手段にD/A変換器を使用し、そ
の出力側にローパスフィルターを設けて、このローパス
フィルターを介して出力される印加電圧波形の傾きがD
/A変換器が出力する波形データの変化点間を直線で結
んだ時の傾きと一致する時点で前記塗膜に流れる電流を
測定することを特徴とする。
置は、塗膜の表面に宛がわれるプローブと、このプロー
ブと塗膜の下地金属との間に異なる周波数を合成した電
圧を印加する電圧印加手段と、前記塗膜に流れる電流を
測定する電流測定手段と、少なくとも前記電流測定手段
の測定結果から算出される塗膜インピーダンスに基づい
て前記塗膜の劣化度を判断する判断手段を備えた装置に
おいて、前記電圧印加手段にD/A変換器を使用し、そ
の出力側にローパスフィルターを設けて、このローパス
フィルターを介して出力される印加電圧波形の傾きがD
/A変換器が出力する波形データの変化点間を直線で結
んだ時の傾きと一致する時点で前記塗膜に流れる電流を
測定することを特徴とする。
【0008】
【作用】下地金属とプローブとの間に電圧印加手段によ
り合成電圧を印加すると、塗膜にはプローブを通して各
周波数成分に応じた電流が流れ、それが電流測定手段に
よって測定される。この場合、印加する合成電圧波形デ
ータの変化点間の傾きが波形データの変化点間を直線で
結んだときの傾きと一致する時点で塗膜に流れる電流を
測定するので、正確な電流測定が可能となる。
り合成電圧を印加すると、塗膜にはプローブを通して各
周波数成分に応じた電流が流れ、それが電流測定手段に
よって測定される。この場合、印加する合成電圧波形デ
ータの変化点間の傾きが波形データの変化点間を直線で
結んだときの傾きと一致する時点で塗膜に流れる電流を
測定するので、正確な電流測定が可能となる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図1を参照
して説明する。1はいわゆるラップトップ型あるいはブ
ック型と言われるパーソナルコンピュータで、本体ケー
ス(図示せず)内にCPU2,メモリ3,FDD(フロ
ッピーディスクドライブ)4/HDD(ハードディスク
ドライブ)5等を内蔵すると共に、液晶型のディスプレ
イ6及びキーボード7を備える一般的な構成である。こ
のパーソナルコンピュータ1の拡張スロット内には、D
/A変換器(D/A)、ローパスフィルター(LPF)
及びA/D変換器(A/D 1,2)を備えるI/Fボ
ード8が挿入されている。
して説明する。1はいわゆるラップトップ型あるいはブ
ック型と言われるパーソナルコンピュータで、本体ケー
ス(図示せず)内にCPU2,メモリ3,FDD(フロ
ッピーディスクドライブ)4/HDD(ハードディスク
ドライブ)5等を内蔵すると共に、液晶型のディスプレ
イ6及びキーボード7を備える一般的な構成である。こ
のパーソナルコンピュータ1の拡張スロット内には、D
/A変換器(D/A)、ローパスフィルター(LPF)
及びA/D変換器(A/D 1,2)を備えるI/Fボ
ード8が挿入されている。
【0010】一方、劣化診断を行おうとする塗膜9の表
面にはプローブ10が宛がわれる。このプローブ10
は、各種の構造のものが知られているので(例えば特開
昭61−108954号公報参照)詳しくは図示しない
が、基本的には本体容器内に導電性ゲルをしみこませた
スポンジ状電極を収納すると共に、その本体容器の開口
部周辺に永久磁石を備えた構成で、永久磁石と下地金属
11との間に作用する吸引力によってスポンジ状電極を
塗膜9の表面に密着させるようになっている。プローブ
10から導出されたリード線と、下地金属11に接続し
たリード線とはプリアンプ12に接続されており、プロ
ーブ10と下地金属11との間に印加された合成電圧及
び塗膜9を通じて流れる電流に応じた電圧信号を前記パ
ーソナルコンピュータ1のI/Fボード8に与えるよう
になっている。即ち、プリアンプ12は下地金属11と
プローブ10間に印加した合成電圧を測定する電圧測定
手段および塗膜9を通じてプローブ10に流れる電流を
測定するための電流測定手段として機能する。これらの
電圧値eおよび電流値iは塗膜9のインピーダンスZを
計算するために必要な値であり、電圧測定用のアンプ1
4は高入力インピーダンス(10〜15Ω以上)アンプを使
用している。電流を測定するための電流−電圧抵抗Rお
よびその抵抗Rの両端に発生した電圧を増幅するプロク
ラマブルゲインアンプ13は塗膜9の劣化度合に応じて
測定レンジが切り替え得るようになっている。本実施例
では、電流−電圧変換抵抗Rが100Ω〜1MΩ、アン
プの増幅度が×10〜×1000倍で測定電流が1pA
〜1mAの範囲(塗膜抵抗として10kΩ〜10GΩ以
上)で測定可能である。
面にはプローブ10が宛がわれる。このプローブ10
は、各種の構造のものが知られているので(例えば特開
昭61−108954号公報参照)詳しくは図示しない
が、基本的には本体容器内に導電性ゲルをしみこませた
スポンジ状電極を収納すると共に、その本体容器の開口
部周辺に永久磁石を備えた構成で、永久磁石と下地金属
11との間に作用する吸引力によってスポンジ状電極を
塗膜9の表面に密着させるようになっている。プローブ
10から導出されたリード線と、下地金属11に接続し
たリード線とはプリアンプ12に接続されており、プロ
ーブ10と下地金属11との間に印加された合成電圧及
び塗膜9を通じて流れる電流に応じた電圧信号を前記パ
ーソナルコンピュータ1のI/Fボード8に与えるよう
になっている。即ち、プリアンプ12は下地金属11と
プローブ10間に印加した合成電圧を測定する電圧測定
手段および塗膜9を通じてプローブ10に流れる電流を
測定するための電流測定手段として機能する。これらの
電圧値eおよび電流値iは塗膜9のインピーダンスZを
計算するために必要な値であり、電圧測定用のアンプ1
4は高入力インピーダンス(10〜15Ω以上)アンプを使
用している。電流を測定するための電流−電圧抵抗Rお
よびその抵抗Rの両端に発生した電圧を増幅するプロク
ラマブルゲインアンプ13は塗膜9の劣化度合に応じて
測定レンジが切り替え得るようになっている。本実施例
では、電流−電圧変換抵抗Rが100Ω〜1MΩ、アン
プの増幅度が×10〜×1000倍で測定電流が1pA
〜1mAの範囲(塗膜抵抗として10kΩ〜10GΩ以
上)で測定可能である。
【0011】次に上記構成の塗膜劣化診断装置にて塗膜
9の診断を行う手順について説明する。まず劣化診断を
行なう現場にマイクロコンピュータ1、プリアンプ12
およびプローブ10を持込み、プローブ10を塗膜9の
表面に宛ててプリアンプ12を図1に示すように接続す
る。そして、FDD4ないしはHDD5内にある測定プ
ログラムを実行させる。この測定プログラムの実行の結
果プローブ10と下地金属11との間に異なる周波数を
合成した電圧が印加され、その時の印加電圧値および塗
膜9に流れる各周波数に対応した電流を電圧値に変換し
た電圧信号がパーソナルコンピュータ1のI/Fボード
8に与えられる。これらの電圧信号がI/Fボード8の
A/D変換器によってデジタル信号に変換され、CPU
2に伝送される。CPU2はプリアンプ12で測定され
た電圧値eと電流値iとから(1)式により各周波数に
対応した塗膜のインピーダンスZを計算する。そして計
算結果はFDD4,HDD5等の外部記憶装置に書き込
まれる。
9の診断を行う手順について説明する。まず劣化診断を
行なう現場にマイクロコンピュータ1、プリアンプ12
およびプローブ10を持込み、プローブ10を塗膜9の
表面に宛ててプリアンプ12を図1に示すように接続す
る。そして、FDD4ないしはHDD5内にある測定プ
ログラムを実行させる。この測定プログラムの実行の結
果プローブ10と下地金属11との間に異なる周波数を
合成した電圧が印加され、その時の印加電圧値および塗
膜9に流れる各周波数に対応した電流を電圧値に変換し
た電圧信号がパーソナルコンピュータ1のI/Fボード
8に与えられる。これらの電圧信号がI/Fボード8の
A/D変換器によってデジタル信号に変換され、CPU
2に伝送される。CPU2はプリアンプ12で測定され
た電圧値eと電流値iとから(1)式により各周波数に
対応した塗膜のインピーダンスZを計算する。そして計
算結果はFDD4,HDD5等の外部記憶装置に書き込
まれる。
【0012】この様な塗膜インピーダンスの測定は塗膜
9の複数の箇所について行われ、また、この測定に合わ
せてマイクロコンピュータ1のキーボード7から塗膜の
種類、膜厚、プローブ面積、測定温度等のデータを入力
しておき、これも同時にFDD4,HDD5等の外部記
憶装置に書き込んでおく。
9の複数の箇所について行われ、また、この測定に合わ
せてマイクロコンピュータ1のキーボード7から塗膜の
種類、膜厚、プローブ面積、測定温度等のデータを入力
しておき、これも同時にFDD4,HDD5等の外部記
憶装置に書き込んでおく。
【0013】上述したような塗膜インピーダンスの測定
が終了したらCPU2によりHDD4またはFDD5か
ら診断プログラムを読み出してこれを実行させる。この
診断プロクラムは、塗膜インピーダンスが抵抗と容量と
の並列回路からなる等価回路で表すことができることか
ら、塗膜が劣化することに伴い、その抵抗値が小さくな
ることによりインピーダンスが変化することを利用して
塗膜の種類、膜厚、プローブ面積、測定温度等を加味し
て塗膜の劣化度合を診断するのである。そして最終的に
は塗膜の劣化度と塗替え時期および劣化要因が結果とし
てLCD表示器6に出力される。また、その結果や解析
途中のグラフはプリンターにも出力することができる構
成になっている。
が終了したらCPU2によりHDD4またはFDD5か
ら診断プログラムを読み出してこれを実行させる。この
診断プロクラムは、塗膜インピーダンスが抵抗と容量と
の並列回路からなる等価回路で表すことができることか
ら、塗膜が劣化することに伴い、その抵抗値が小さくな
ることによりインピーダンスが変化することを利用して
塗膜の種類、膜厚、プローブ面積、測定温度等を加味し
て塗膜の劣化度合を診断するのである。そして最終的に
は塗膜の劣化度と塗替え時期および劣化要因が結果とし
てLCD表示器6に出力される。また、その結果や解析
途中のグラフはプリンターにも出力することができる構
成になっている。
【0014】ところで、この塗膜インピーダンス測定に
使用する印加電圧波形は、予めFDD4やメモリー3等
に記憶されていたデジタル情報に基づき、I/Fボード
8のD/A変換器からローパスフィルターを介して生成
・合成されており、高周波成分を除去し、波形をなだら
かにしたものである。そしてその出力波形データの変化
点間の傾き(出力電圧の時間変化)が変化点間を直線で
結んだときの傾きと一致する時点で塗膜に流れる電流を
測定するものである。この点について更に詳細に説明す
る。本実施例で印加される電圧波形は、周波数が0.1
Hz〜50Hzの範囲であって、パワースペクトルPが P=1/f1/2 から P=1/f2 の間に存在するようにしている。
使用する印加電圧波形は、予めFDD4やメモリー3等
に記憶されていたデジタル情報に基づき、I/Fボード
8のD/A変換器からローパスフィルターを介して生成
・合成されており、高周波成分を除去し、波形をなだら
かにしたものである。そしてその出力波形データの変化
点間の傾き(出力電圧の時間変化)が変化点間を直線で
結んだときの傾きと一致する時点で塗膜に流れる電流を
測定するものである。この点について更に詳細に説明す
る。本実施例で印加される電圧波形は、周波数が0.1
Hz〜50Hzの範囲であって、パワースペクトルPが P=1/f1/2 から P=1/f2 の間に存在するようにしている。
【0015】図3にD/A変換器によりパワースペクト
ルPがP=1/fとなるように合成した電圧波形を示
す。本実施例で使用している波形は12ビットで409
6点のデジタルデータである。したがって、最高周波数
の50Hzは平均して約8点のデジタルデータで構成さ
れていることになる。
ルPがP=1/fとなるように合成した電圧波形を示
す。本実施例で使用している波形は12ビットで409
6点のデジタルデータである。したがって、最高周波数
の50Hzは平均して約8点のデジタルデータで構成さ
れていることになる。
【0016】今、図3の波形の一部を拡大してみると、
図4(a)に示すようにD/A変換器の出力波形は波形
データの変化点(例えばA→BあるいはC→DやE→F
点)では電位変化率が極端に大きくなっており、また波
形データの変化点間(例えばB→CあるいはD→E点)
では電位変化がほとんどない。このため、波形データの
変化点では塗膜に流れる電流に大きなピークが現れ、ま
た波形データの変化点間では塗膜に流れる電流が0とな
っており、安定した電流測定を行なうことができない。
安定した電流測定を行なうには印加電圧波形データが図
4(c)の破線(A→C→E)のように波形データ間の
変化点間で一定の傾きをもっていることが望ましい。
図4(a)に示すようにD/A変換器の出力波形は波形
データの変化点(例えばA→BあるいはC→DやE→F
点)では電位変化率が極端に大きくなっており、また波
形データの変化点間(例えばB→CあるいはD→E点)
では電位変化がほとんどない。このため、波形データの
変化点では塗膜に流れる電流に大きなピークが現れ、ま
た波形データの変化点間では塗膜に流れる電流が0とな
っており、安定した電流測定を行なうことができない。
安定した電流測定を行なうには印加電圧波形データが図
4(c)の破線(A→C→E)のように波形データ間の
変化点間で一定の傾きをもっていることが望ましい。
【0017】そこで本実施例では、D/A変換器からロ
ーパスフィルターを介して生成・合成して印加電圧波形
データをなだらかにし、その出力波形データの変化点間
の傾きが変化点間を直線で結んだときの傾きと一致する
タイミングでデータをサンプリングするようにしたもの
である。
ーパスフィルターを介して生成・合成して印加電圧波形
データをなだらかにし、その出力波形データの変化点間
の傾きが変化点間を直線で結んだときの傾きと一致する
タイミングでデータをサンプリングするようにしたもの
である。
【0018】即ち図4に示すようにローパスフィルター
が無い場合のD/A変換器の出力波形は同図(a)実線
で示す通りであり、この波形をローパスフィルターに入
力して得られる出力波形は同図(b)のようになる。こ
のローパスフィルターの出力波形は波形データの変化点
(A´,C´,E´)で傾きの絶対値がもっとも大きく
次第に減少していく。ローパスフィルターの時定数を適
切に選定することで、この傾きを図4(a)の点線の傾
き(変化点間を直線で結んだ一定の傾き)とほぼ同じよ
うにすることができる。この図4(b)に示すローパス
フィルターの出力波形を塗膜に印加したときに流れる電
流iは同図(c)の実線で示すようになる。図4(c)
の点線は同図(a)の点線で示す電圧波形を塗膜に印加
したときに塗膜に流れる電流である。これらの図からわ
かるようにローパスフィルターの出力波形データの変化
点間の傾きが波形データの変化点を直線で結んだときの
傾きと一致する時点(波形データの変化点からt秒後)
で電流を測定することにより、点線で示す一定の傾きを
もつ波形を印加した場合と同じ電流値が測定できるので
ある。これにより正確な電流測定ひいてはインピーダン
ス測定が可能となる。この遅延時間tは実際にはデータ
を書き換える時間間隔(例えばB→C,D→E間の時
間)とローパスフィルターの時定数から一義的に決定さ
れるため、一度遅延時間tを設定すると、以後は変更す
る必要はない。具体的には、D/A変換器の変換開始信
号でCRの時定数をt秒後に合わせたワンショットマル
チ回路をリセットし、その出力でA/D変換用ラッチ回
路でデータをラッチしA/D変換する。遅延時間tはワ
ンショットマルチ回路の抵抗Rを調整してローパスフィ
ルターの時定数に合わせている。その後、このサンプリ
ングポイントで測定した電流値iと同じタイミングで測
定した印加電圧値eとから塗膜インピーダンスZがCP
U2により(1)式に基づき計算される。
が無い場合のD/A変換器の出力波形は同図(a)実線
で示す通りであり、この波形をローパスフィルターに入
力して得られる出力波形は同図(b)のようになる。こ
のローパスフィルターの出力波形は波形データの変化点
(A´,C´,E´)で傾きの絶対値がもっとも大きく
次第に減少していく。ローパスフィルターの時定数を適
切に選定することで、この傾きを図4(a)の点線の傾
き(変化点間を直線で結んだ一定の傾き)とほぼ同じよ
うにすることができる。この図4(b)に示すローパス
フィルターの出力波形を塗膜に印加したときに流れる電
流iは同図(c)の実線で示すようになる。図4(c)
の点線は同図(a)の点線で示す電圧波形を塗膜に印加
したときに塗膜に流れる電流である。これらの図からわ
かるようにローパスフィルターの出力波形データの変化
点間の傾きが波形データの変化点を直線で結んだときの
傾きと一致する時点(波形データの変化点からt秒後)
で電流を測定することにより、点線で示す一定の傾きを
もつ波形を印加した場合と同じ電流値が測定できるので
ある。これにより正確な電流測定ひいてはインピーダン
ス測定が可能となる。この遅延時間tは実際にはデータ
を書き換える時間間隔(例えばB→C,D→E間の時
間)とローパスフィルターの時定数から一義的に決定さ
れるため、一度遅延時間tを設定すると、以後は変更す
る必要はない。具体的には、D/A変換器の変換開始信
号でCRの時定数をt秒後に合わせたワンショットマル
チ回路をリセットし、その出力でA/D変換用ラッチ回
路でデータをラッチしA/D変換する。遅延時間tはワ
ンショットマルチ回路の抵抗Rを調整してローパスフィ
ルターの時定数に合わせている。その後、このサンプリ
ングポイントで測定した電流値iと同じタイミングで測
定した印加電圧値eとから塗膜インピーダンスZがCP
U2により(1)式に基づき計算される。
【0019】尚、インピーダンスZは測定する各周波数
について(1)式で計算するが、この計算に先だって測
定した電流および電圧波形はFFT(高速フーリエ変
換)で周波数スペクトルに変換をしている。本装置の場
合は、このFFTは機械語プログラムにより計算を行っ
ている。本装置(CPUはインテル社製80C86)の
機械語プログラムによるFFTの計算時間はデータ点数
1024点で約1秒である。
について(1)式で計算するが、この計算に先だって測
定した電流および電圧波形はFFT(高速フーリエ変
換)で周波数スペクトルに変換をしている。本装置の場
合は、このFFTは機械語プログラムにより計算を行っ
ている。本装置(CPUはインテル社製80C86)の
機械語プログラムによるFFTの計算時間はデータ点数
1024点で約1秒である。
【0020】尚、上記実施例では、下地金属とプローブ
間に印加された電圧および塗膜に流れた電流の両方を測
定していたが、印加電圧は毎回測定する必要はなく、塗
膜の代わりに校正抵抗を接続して、その時に流れた電流
から印加電圧を計算することで、図2のように印加電圧
測定部分(A/D 2)を不要とすることができる。
間に印加された電圧および塗膜に流れた電流の両方を測
定していたが、印加電圧は毎回測定する必要はなく、塗
膜の代わりに校正抵抗を接続して、その時に流れた電流
から印加電圧を計算することで、図2のように印加電圧
測定部分(A/D 2)を不要とすることができる。
【0021】
【発明の効果】本発明の塗膜劣化診断装置によれば、下
地金属とプローブ間に印加する合成電圧をD/A変換器
からローパスフィルターを介して生成・合成して、その
出力波形データの変化点間の傾きが波形データの変化点
間を直線で結んだときの傾きと一致する時点で塗膜に流
れる電流を測定することにより、正確な塗膜インピーダ
ンスの測定が可能となる。
地金属とプローブ間に印加する合成電圧をD/A変換器
からローパスフィルターを介して生成・合成して、その
出力波形データの変化点間の傾きが波形データの変化点
間を直線で結んだときの傾きと一致する時点で塗膜に流
れる電流を測定することにより、正確な塗膜インピーダ
ンスの測定が可能となる。
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図
【図2】本発明の他の実施例を示すブロック図
【図3】塗膜に印加される合成電圧波形の一例を示す図
【図4】(a)はD/A変換器から出力された電圧波形
を示す図、(b)はローパスフィルターから出力された
電圧波形を示す図、(c)は(a)及び(b)に示す電
圧を印加したときに塗膜に流れる電流を示す図
を示す図、(b)はローパスフィルターから出力された
電圧波形を示す図、(c)は(a)及び(b)に示す電
圧を印加したときに塗膜に流れる電流を示す図
1はパーソナルコンピュータ、2はCPU(判断手
段)、3はメモリ、4は外部記憶装置(FDD:フロッ
ピーディスクドライブ)、5は外部記憶装置(HDD:
ハードディスクドライブ)、6は表示器、7はキーボー
ド、8はインターフェースボード、9は塗膜、10はプ
ローブ、11は下地金属、12はプリアンプ、13はプ
ログラマブルゲインアンプ、14は高入力インピーダン
スアンプを示す。
段)、3はメモリ、4は外部記憶装置(FDD:フロッ
ピーディスクドライブ)、5は外部記憶装置(HDD:
ハードディスクドライブ)、6は表示器、7はキーボー
ド、8はインターフェースボード、9は塗膜、10はプ
ローブ、11は下地金属、12はプリアンプ、13はプ
ログラマブルゲインアンプ、14は高入力インピーダン
スアンプを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−102148(JP,A) 特開 昭57−56762(JP,A) 特開 平3−87669(JP,A) 「防錆管理」、第34巻、第4号、第 123−129頁(平成2年4月1日発行) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 27/00 - 27/24
Claims (1)
- 【請求項1】 塗膜の表面に宛がわれるプローブと、こ
のプローブと塗膜の下地金属との間に異なる周波数を合
成した電圧を印加する電圧印加手段と、前記塗膜に流れ
る電流を測定する電流測定手段と、少なくとも前記電流
測定手段の測定結果から算出される塗膜インピーダンス
に基づいて前記塗膜の劣化度を判断する判断手段を備え
た装置において、前記電圧印加手段にD/A変換器を使
用し、その出力側にローパスフィルターを設けて、この
ローパスフィルターを介して出力される印加電圧波形の
傾きがD/A変換器が出力する波形データの変化点間を
直線で結んだ時の傾きと一致する時点で前記塗膜に流れ
る電流を測定することを特徴とする塗膜劣化診断装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17297291A JP2911070B2 (ja) | 1991-07-15 | 1991-07-15 | 塗膜劣化診断装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17297291A JP2911070B2 (ja) | 1991-07-15 | 1991-07-15 | 塗膜劣化診断装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0518923A JPH0518923A (ja) | 1993-01-26 |
JP2911070B2 true JP2911070B2 (ja) | 1999-06-23 |
Family
ID=15951777
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17297291A Expired - Fee Related JP2911070B2 (ja) | 1991-07-15 | 1991-07-15 | 塗膜劣化診断装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2911070B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102490213B1 (ko) * | 2020-12-11 | 2023-01-18 | 차강윤 | Neo-RAWPCM 장치를 이용한 매설 배관의 손상 탐지 장치 및 방법 |
-
1991
- 1991-07-15 JP JP17297291A patent/JP2911070B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
「防錆管理」、第34巻、第4号、第123−129頁(平成2年4月1日発行) |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0518923A (ja) | 1993-01-26 |
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