JP2909310B2 - レトルトパスタの製造方法 - Google Patents

レトルトパスタの製造方法

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善正 藤井
祥三 菅野
信宏 上西
慎也 山口
勝久 亀田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、デュラムセモリナを使
用したパスタにレトルト殺菌処理を施す場合に顕著にな
る暗色化及び風味の劣化を有効に防止することができる
レトルトパスタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、パスタは原料としてデュラムセ
モリナを使用するものが高級品であるとされており、ま
た、デュラムセモリナを原料として使用したレトルトパ
スタの製造方法についても提案がなされている(特開平
3−39057号等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、こうし
た従来のレトルトパスタは、確かに原料としてデュラム
セモリナを使用することなく製造したレトルトパスタと
比較して食感が良好であるものの、得られるレトルトパ
スタは暗色化するとの問題があった。また、風味につい
ても未だ充分に満足し得るものではなかった。
【0004】本発明者等は、上記した問題点を解決すべ
く鋭意研究開発を行った結果、デュラムセモリナを使用
したレトルトパスタを得るに際して、灰分の低いパス
タ、具体的には灰分0.63%以下のパスタを採用する
ことにより、上記目的を達成することができるとの知見
を得た。
【0005】本発明は、デュラムセモリナを使用したパ
スタにレトルト殺菌処理を施す場合に顕著になる暗色化
及び風味の劣化を有効に防止することができるレトルト
パスタの製造方法の提供を目的とする。
【0006】上記目的を達成するための本発明の要旨
は、デュラムセモリナを原料として灰分0.63%以下
で且つ水分が31〜34%のパスタを得た後、乾燥時に
おけるパスタの品温が77〜94℃であり且つ乾燥開始
後2時間以内に当該パスタの水分が14〜30%となる
ように乾燥処理を施し、その後常法により茹処理等を行
った後、耐熱性のパウチ又は容器に充填密封し、レトル
ト処理を施すことを特徴とするレトルトパスタの製造方
法にある。
【0007】以下、本発明の内容について詳細に説明す
る。本発明のパスタは、原料としてデュラムセモリナを
使用するものであり、例えばスパゲティー、マカロニ、
シェル、ラザーニャ等がある。デュラムセモリナとは、
デュラム小麦の胚乳部の粗粒又は粗粉を言う。本発明の
パスタにおけるデュラムセモリナの使用量は、特に制限
されないが、原料となる小麦の60重量%以上好ましく
は90重量%以上更に好ましくはほぼ100%であるこ
とが、得られるレトルトパスタの食感の点及び本発明の
効果の点で望ましい。他の小麦粉を併用する場合、薄力
粉、準強力粉、強力粉等の1種又は2種以上を適宜選択
して使用することができる。
【0008】また、パスタは、得られるレトルトパスタ
の食感の点から原料として上記したデュラムセモリナ、
薄力粉、準強力粉、強力粉等の小麦原料のみを使用する
ものが最も望ましいが、上記小麦原料以外に例えば熱凝
固性蛋白質、ガム類、澱粉類、調味料、着色料等を適宜
使用しても何ら差し支えない。
【0009】熱凝固性蛋白質は、アルブミンに代表され
る蛋白質をいい、アルブミンを含有する卵白等を用いる
ことができる。上記卵白としては、生のもの、乾燥物、
凍結品を用いることができ、また、全卵の形で加えても
何ら差し支えない。
【0010】また、ガム類としては、ジェランガム(グ
ルコース、ラムノース、グルクロム酸からなる多糖
類)、キサンタンガム、カラヤガム等を例示できる。
【0011】また、澱粉類としては、馬鈴薯澱粉、タピ
オカ澱粉、トウモロコシ澱粉、米澱粉、サツマイモ澱
粉、クズ澱粉、小麦澱粉等が挙げられる。
【0012】次に、上記原料を加水混合してパスタ生地
を得る。続いて、該パスタ生地を例えば線状(麺線等)
又は板状等の所望の形状に成形し、パスタを得る。上記
原料の加水混合及びパスタ生地の成形の操作は、常法に
よって行えば良い。上記原料の加水混合に際しては、水
はパスタ生地の25〜32%好ましくは27〜30%を
占めるように添加するのが良い。得られたパスタは、通
常水分が31〜34%のものである。
【0013】次に、上記のようにして得られたパスタ
に、必要により、例えば雰囲気温度30〜98°C、相
対湿度70〜95%の条件で8〜24時間乾燥処理を施
す。この場合に、乾燥時におけるパスタの品温が77〜
94°Cであり且つ乾燥開始後2時間以内好ましくは乾
燥開始後5分〜2時間の間にパスタ生地の水分が14〜
30重量%となるように乾燥処理を施すことが好まし
い。これにより、得られるレトルトパスタの食感及び色
調を更に良好になし得ることができる。
【0014】本発明においては、パスタとして灰分0.
63%以下好ましくは0.50〜0.63%のものを使
用することが重要である。これにより、得られるレトル
トパスタの暗色化及び風味の劣化を有効に防止すること
ができる。上記パスタを得るには、原料配合を適宜調整
すれば良く、例えばデュラムセモリナ100%のレトル
トパスタを得る場合、使用する小麦原料として灰分0.
62%以下好ましくは0.50〜0.62%のデュラム
セモリナを採用すれば良い。尚、上記パスタの灰分は、
パスタの水分が11%である場合の値であり、上記デュ
ラムセモリナの灰分は、デュラムセモリナの水分が13
%である場合の値である。また、上記灰分の測定法とし
ては例えば灰化法(550°C)等がある。
【0015】次に、得られたパスタを常法により茹処理
等を行った後、耐熱性のパウチ又は容器に充填密封す
る。この場合、パスタと共にスープ、ソース等の液状
物、具材等の固形物等を充填しても良いが、本発明の効
果の点からパスタを単独で充填するものであることが好
ましい。その後、上記パウチ又は容器に、例えば110
〜130°C、F0値が4以上の条件でレトルト殺菌処
理を施すことにより、レトルトパスタを得る。
【0016】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
デュラムセモリナを使用したレトルトパスタを得るに当
たって、灰分0.62%以下のパスタを使用することに
より、得られるレトルトパスタの暗色化及び風味の劣化
を有効に防止することができる。以下本発明の内容を実
施例により説明する。
【0017】
【実施例1】水分13.0%、灰分0.60%のデュラ
ムセモリナ100重量部に水30重量部を加えて、混合
機で約10分間混合した後、エクストルーダーで押し出
すと共に切断し、直径1.60mm、長さ60cmの麺
線とした。該麺線の水分は33.5%であった。得られ
た麺線を竿に掛け、55〜95°Cの熱風を当て、相対
湿度80〜90%の条件で、乾燥時における麺線の品温
が77〜94°Cとなるように、14時間乾燥処理を施
した。その後、麺線を長さ25cmに切断した。乾燥後
の麺線の水分は11%であり、また、その灰分は0.6
2%であった。
【0018】次いで、上記麺線を99°Cで6分間茹で
た後、湯を切り、茹スパゲティー100gに対して1秒
間に0.3リットルの割合で5秒間水シャワーした後、
15°Cの水に30秒間浸漬した。水切り後、ほぐしつ
つ乳化液(シュガーエステル10%、食用油脂10%、
水80%)及び食用油脂を茹スパゲティーに対してそれ
ぞれ1.5%、1%噴霧した。続いて、得られた茹スパ
ゲティーを200gずつホリプロピレン製のレトルトパ
ウチ(140×170mm)に充填し、その後、該レト
ルトパウチに95mlの空気が残るようにヒートシール
した。次いで、上記レトルトパウチを加圧加熱殺菌時の
パウチ内の圧力と加圧加熱殺菌処理槽内の圧力との差圧
が−0.3〜+0.3kg/cm2となるように、殺菌
温度121°C、F0値4以上条件でレトルト殺菌処理
を施し、レトルトスパゲティーを得た。得られたレトル
トスパゲティーはレトルト処理前の茹スパゲティーとほ
ぼ同等な色調を呈するものであった。また、得られたレ
トルトスパゲティーをパウチから取り出し、沸騰水中で
1分間加温し、湯ぎり後皿に盛り付け、更に加温した市
販のミートソースを注いで喫食したところ、レトルト処
理を行わない茹スパゲティーとぼぼ同等な風味を呈する
ものであった。
【0019】
【比較例1】水分13.0%、灰分0.72%のデュラ
ムセモリナを用い、水分11.0%、灰分0.74%の
麺線を調製することの他は、実施例1の方法と同等な方
法でレトルトスパゲティーを得た。得られたレトルトス
パゲティーの色調は、レトルト処理前の茹スパゲティー
と比べて黒ずんだものであった。また、実施例1と同様
な方法で喫食したが、レトルト処理を行わない茹スパゲ
ティーと比較して風味の悪いものであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 慎也 大阪府東大阪市御厨栄町1丁目5番7号 ハウス食品工業株式会社内 (72)発明者 亀田 勝久 大阪府東大阪市御厨栄町1丁目5番7号 ハウス食品工業株式会社内 審査官 引地 進 (56)参考文献 特開 平3−39056(JP,A) 特開 昭56−160951(JP,A) 矢崎郁夫著「光琳書院15 マカロニ・ スパゲティの製造」株式会社光琳書院 (昭和41年3月25日)p.32−41 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A23L 1/16 - 1/162

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】デュラムセモリナを原料として灰分0.6
    3%以下で且つ水分が31〜34%のパスタを得た後、
    乾燥時におけるパスタの品温が77〜94℃であり且つ
    乾燥開始後2時間以内に当該パスタの水分が14〜30
    %となるように乾燥処理を施し、その後常法により茹処
    理等を行った後、耐熱性のパウチ又は容器に充填密封
    し、レトルト処理を施すことを特徴とするレトルトパス
    タの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
矢崎郁夫著「光琳書院15 マカロニ・スパゲティの製造」株式会社光琳書院(昭和41年3月25日)p.32−41

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