JP2908666B2 - 金属装飾パネルの製造方法 - Google Patents

金属装飾パネルの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えばエレベーター
のかご室の壁材などに使用される金属装飾パネルの製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の金属装飾パネルでは、金属板の表
面に防錆塗装層を形成した後、手描き、模様付シート
(塩ビフィルム,布等)貼り又はスクリーン印刷などに
より、パネル素地の表面に模様や単色の着色を施してい
た。上記のうち、特にスクリーン印刷による着色は一般
的であり多く行われていた。
【0003】また、この種のパネル等への塗装方法とし
ては、従来、例えば特開昭54−143453号公報、
特開昭61−263675号公報及び特開平2−590
68号公報などに示されたものが知られている。
【0004】図は従来の金属装飾パネルの一例の断面
図である。図において、金属製(例えば鋼板製)のパネ
ル素地1の表面には、防錆層2が形成されている。この
防錆層2の上には、下地塗膜層3が形成され、さらにそ
の上にはインク模様層4がスクリーン印刷により部分的
に形成されている。そして、下地塗膜層3及びインク模
様層4の上には、透明な保護膜層5が形成されている。
【0005】次に、図は図のような従来の金属装飾
パネルの製造方法及びそれに伴うスクリーン版の製造方
法を説明するための工程図、図は図の金属装飾パネ
ルの各製造工程の様子を示す図、図は図のスクリー
ン版の各製造工程の様子を示す図である。
【0006】まず、図(a)に示すように、パネル素
地1の表面に錆止め塗装を施し(工程S1)、これを乾
燥(S2)させた後、地色塗装を施す(S3)ことによ
り、図の防錆層2及び下地塗膜層3を形成する。下地
塗膜層3を乾燥(S4)させた後、図(b)に示すよ
うに、錆止め及び地色塗装後のパネル6上にスクリーン
版7をセットしてスクリーン印刷(S5)を行う。即
ち、スクリーン版7上のインク8を、へら9を矢印方向
へ移動させながらスクリーン版7全体に広げて、スクリ
ーン版7のマスキングされていない部分の目開きより通
過させ、パネル6上に転移させる。
【0007】これにより、図(c)に示すように、印
刷模様が施されたパネル10が出来上がる。そして、イ
ンク8の乾燥(S6)後に、図(d)に示すように、
パネル10にクリヤ保護膜塗装(S7)を行い、これを
乾燥(S8)させれば、保護膜層5が形成され、金属装
飾パネルが完成する(S9)。
【0008】一方、スクリーン版7を製造するには、ま
ず図(a)に示すように、スクリーン版枠11に取り
付けられた網布12上全面にマスキング感光剤13を塗
布する(S10)。次に、塗布されたマスキング感光剤
13上に、図(b)に示すような模様フィルム原稿1
4を重ね、図(c)に示すように、光源15により露
光する(S11)。そして、模様フィルム原稿14を通
して光が照射された部分のマスキング感光剤13を除去
することにより、図(d)に示すように、網布12に
マスキング部12aと透かし部12bとが形成され、ス
クリーン版7が出来上がる(S12)。
【0009】以上、従来の金属装飾パネルの製造方法と
して、スクリーン印刷により直接塗装する方法を示した
が、次に転写形塗装による方法について説明する。図
は従来の転写形塗装シートの一例の断面図である。図に
おいて、転写形塗装シートは、裏転写紙16と、この裏
転写紙16上に塗布された熱圧着形接着層17と、この
熱圧着形接着層17の表面に塗布された模様層18と、
表転写紙19とから構成されている。また、模様層18
は、上述したようなスクリーン印刷により形成される。
【0010】従来の転写形塗装方法は、上記のような転
写形塗装シートをパネル素地に熱圧着転写することによ
り行われる。
【0011】ところで、金属装飾パネルでは、その表面
にクリヤ保護膜塗装を行うことにより、模様や着色層面
を傷から保護し、かつ見掛け上の深みを出すことができ
るが、このような高級塗装仕上とするには、転写形塗装
ではなく、スクリーン印刷による直接塗装を行うのが一
般的であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の金
属装飾パネルにおいては、スクリーン印刷によりインク
模様層4が形成されているので、加工工程が多く複雑で
あり、製造に多くの時間を必要とするという問題点があ
った。特に、複数色の模様を形成する場合には、色数と
同数のスクリーン版7を必要とし、かつ重ね塗りするた
め工程数も増えてしまう。また、模様を変える度にスク
リーン版7を製作する必要があるため、製造コストが高
くなるという問題点もあった。さらに、インク模様層4
は、点状又は点が連結した面状にほぼ均一に塗布されて
いるだけであるため、仕上がり模様面が平坦で深みがな
く、質感の表現ができないという問題点もあった。さら
にまた、スクリーン印刷では解像度が2〜3ドット/m
m程度と粗いため、近くで見る金属装飾パネルとしては
不向きであるという問題点もあった。
【0013】また、従来の転写形塗装により製造された
金属装飾パネルでは、保護膜層が形成されていないた
め、傷が付き易く、かつ見掛け上の深みが出せないなど
の問題点があった。そのため、一般的には、転写後に保
護膜層を追加加工し、それを乾燥させる方法をとること
が多いが、この場合は手間がかかりコスト高になるとい
う問題点があった。
【0014】この発明は、上記のような問題点を解決す
ることを課題としてなされたものであり、製造時間を短
縮することができるとともに、製造コストを低減するこ
とができ、また仕上がり模様面に質感や深みを持たせる
ことができ、さらに近くで見ても模様の粗さが目立たな
いようにすることができる金属装飾パネルの製造方法を
得ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る金
属装飾パネルの製造方法は、金属製のパネル素地上に繊
維材を植毛して繊維材層を形成するとともに、昇華形着
色材による着色模様が施された転写形塗装シートを繊維
材層に重ね合わせ、さらに昇華形着色材を昇華させて繊
維材層に着色模様を転写するようにしたものである。
【0016】
【実施例】以下、この発明の実施例を図について説明す
。図1はこの発明の一実施例による金属装飾パネルを
示す断面斜視図である。図において、パネル素地1の表
面には、例えば白色の塗料からなる下地着色層21が形
成されている。この下地着色層21は、防錆層を兼ねて
いる。下地着色層21上には、接着剤層(図示せず)を
介して繊維材層50が形成されている。
【0017】繊維材層50は、細い繊維材を静電気によ
り接着層上に植毛することにより形成される。静電気に
よる植毛技術については、例えば特開平2−59068
号公報などに示されている。また、この実施例で使用す
る繊維材としては、例えばナ イロン繊維やアクリル系繊
維などが適当である。、
【0018】繊維材層50には、昇華形着色材としての
昇華形カラートナー22による着色模様23が形成され
ている。この昇華形カラートナー22は、例えば染料を
プラスチック粒子に結合させたものである。
【0019】次に、図1の金属装飾パネルの製造方法に
ついて説明する。図2は図1の金属装飾パネルの製造方
法を説明するための工程図、図3は図2の各製造工程の
様子を示す図である。
【0020】まず、図3(a)に示すように、昇華形ト
ナープリンタ24を用いて、昇華形カラートナー22に
よる着色模様23を転写紙(離型紙)25に印刷する
(工程S31)ことにより、転写形塗装シート26を製
造しておく。このとき、昇華形トナープリンタ24は、
パソコン等に接続して着色模様23を自由にデザインす
ることができる。
【0021】一方、パネル素地1の表面に、図3(b)
に示すように、下地防錆着色塗装を施すことにより、下
地着色層21を形成する(S33)。この下地着色層2
1の乾燥後、図3(c)に示すように、下地着色層21
上に接着剤を塗布し、静電気による植毛により繊維材層
50を形成する(S34)。
【0022】この後、図3(d)に示すように、繊維材
層50上に転写形塗装シート26を重ね合わせる。そし
て、図3(e)に示すように、水平面及び垂直面の加熱
加圧ローラ44,45を用いて、転写形塗装シート26
を適当な温度,圧力で加熱加圧転写する(S35)。こ
れにより、転写形塗装シート26上の昇華形カラートナ
ー22が昇華して繊維材層50に入り込み、繊維材層5
に着色模様23が転写形成される。最後に、図3
(f)に示すように、転写紙25を剥がすと、金属装飾
パネルが出来上がる(S36)。
【0023】このような金属装飾パネルでは、昇華形ト
ナープリンタ24により印刷された解像度の高い着色模
様23を、金属製のパネル素地1上に形成することがで
き、また従来のスクリーン印刷に比べて、加工工程が簡
単で製造時間が短縮されるとともに製造コストが低減さ
れる。また、仕上がり模様面に柔らかく深みのある布の
質感や繊維光沢を持たせることができる。さらに、転写
形塗装シート26を重ね合わせて加熱加圧すればよいの
で、水平面だけでなく垂直面等にも容易に着色模様23
を形成できる。
【0024】なお、着色模様が転写された繊維材層上に
透明塗料を塗布して保護膜層を形成してもよく、これに
より意匠面が保護されるのは勿論、仕上がり模様面の深
みや艶を出すことができ、また紫外線等により着色模様
が変色するのを防止することができる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の金属装
飾パネルの製造方法は、金属製のパネル素地上に繊維材
を植毛して繊維材層を形成するとともに、昇華形着色材
による着色模様が施された転写形塗装シートを繊維材層
に重ね合わせ、さらに昇華形着色材を昇華させて繊維材
層に着色模様を転写するようにしたので、解像度の高い
着色模様を形成することができ、また加工工程を簡単に
して製造時間を短縮することができるとともに製造コス
トを低減することができ、さらに仕上がり模様面に柔ら
かく深みのある布の質感や繊維光沢を持たせることがで
きるなどの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例による金属装飾パネルを
示す断面斜視図である。
【図2】 図1の金属装飾パネルの製造方法を説明する
ための工程図である。
【図3】 図2の各製造工程の様子を示す図である。
【図4】 従来の金属装飾パネルの一例の断面図であ
る。
【図5】 図のような従来の金属装飾パネルの製造方
法及びそれに伴うスクリーン版の製造方法を説明するた
めの工程図である。
【図6】 図の金属装飾パネルの各製造工程の様子を
示す図である。
【図7】 図のスクリーン版の各製造工程の様子を示
す図である。
【図8】 従来の転写形塗装シートの一例の断面図であ
る。
【符号の説明】
1 パネル素地、22 昇華形カラートナー(昇華形着
色材)、23 着色模様、26 転写形塗装シート
50 繊維材層
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B32B 15/08 E04F 13/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属製のパネル素地上に多数の繊維材を
    植毛して繊維材層を形成する工程と、昇華形着色材によ
    る着色模様が施された転写形塗装シートを上記繊維材層
    に重ね合わせる工程と、上記昇華形着色材を昇華させて
    上記繊維材層に上記着色模様を転写する工程とを含むこ
    とを特徴とする金属装飾パネルの製造方法。
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