JP2907575B2 - 抗菌性フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

抗菌性フィルムおよびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品包装、建築材料な
どに用いられる抗菌性フィルムまたは抗菌性成型品およ
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】食品包材、衣類、衛生用品、台所用品、
水処理装置、ろ過装置などの各種高分子基材に抗菌性物
質を含有させ、有害な微生物の生育を制御する技術は以
前から存在していた。特に食品包材の場合には人間への
安全性から銀イオン置換ゼオライトを主な抗菌性物質と
して用いるのが普通である。金属イオンの中では銀イオ
ンの抗菌性が最も強く、特に硝酸銀溶液は医療用、助産
婦用、軍事用にながらく殺菌剤として用いられてきた歴
史がある。
【0003】銀イオンの抗菌性は培地中で測定した場合
においては1ないしは10ppmの濃度で微生物の生育
を完全に阻害することが知られ、栄養源のない水中では
10ppbのオーダーでも微生物への生育阻害の効果が
あることが知られている(T.Sugio,Agri
c.Biol.Chem.,45,2037,1981
年)。その抗菌性の機構は完全にはあきらかになってい
ないが、銀イオンが能動的に微生物の体内に取り込まれ
て酵素と選択的に反応し、結果として酵素阻害を起こす
といわれている。この結果銀イオンの抗菌性には特異性
が少なく、細菌、酵母、黴びに対してほぼ同等に生育を
阻害することが知られている。
【0004】食品包材に限らず抗菌性を長時間持続させ
るためには抗菌性を有する銀イオンを高分子基材に固定
化する必要がある。もっとも簡便な銀イオンの固定化は
カゼインやゼラチンなど水溶性高分子に銀イオンを分散
させ、この溶液を目的とする高分子基材上に塗布、乾燥
して抗菌性表面層を得る方法であるが、水溶性高分子層
の接着性の安定性、水溶性高分子層そのものが微生物に
対して富養化になるなど問題が多い。一般的に固定化方
法として従来用いられている方法がゼオライトのナトリ
ウムイオンの約5%を銀イオンで置換して作成する銀置
換ゼオライトである。この銀置換ゼオライトをプラスチ
ック内に1ないし3%の濃度で練り込み、わずかに溶出
する銀イオン、あるいは微生物に直接接触する銀置換ゼ
オライトの作用により微生物の生育を阻害する。このよ
うに抗菌性フィルムにおける最も需要なポイントはいか
に銀イオンを効率よく微生物へ、言い替えればフィルム
と接触する微生物を含む雰囲気(固相、液相、あるいは
気相)に対していかに効率よく銀イオンを供給できるか
という点にある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来のよ
うな銀置換ゼオライトのプラスッチクシートへの練り込
みにおいては、たとえ成型容器の内側だけを銀置換ゼオ
ライト練り込みシートでラミネートしたとしても利用さ
れる銀イオンは表面に露出しているごくわずかな銀置換
ゼオライト分だけであり、かつ複雑な形状の成型物には
表面ラミネートという方法も用いることができないとい
う制約があった。このことは高価な銀の利用効率が非常
に低いことを示している。さらに抗菌性シートを栄養供
給源のある状態で用いると、抗菌性は銀イオンによる微
生物の生育阻止能と微生物の成長速度との競争関係によ
って決まるため微生物に接触可能な銀イオンの絶対量を
増やす必要がある。しかしながら従来の練り込み法では
連続生産性、ピンホールによるバリヤー性低下などから
ゼオライトの含有率は重量比で5%が上限であり、フィ
ルム表面の銀イオン濃度は非常に限られた範囲でしか変
えられないという問題があった。よって本発明の解決す
べき問題点は銀イオンの利用効率を高めるために高分子
基材の表面のみに接着性、耐久性の高い銀イオン固定層
をグラフト化反応により作成し、かつ利用に応じて銀イ
オン濃度の調整が可能で、複雑な成型品にも応用でき
る、実用的な強度のある抗菌性高分子基材を作成する技
術を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な問題点を解決する手段を鋭意研究した結果以下のよう
な方法を見いだすに至った。すなわち、高分子基材の少
なくとも片面にアクリル酸のグラフト重合層を放射線照
射法により設け、好ましくは該アクリル酸グラフト層を
アルカリ性溶液で中和し、次に該グラフト重合層に銀イ
オンを吸着させたことを特徴とする抗菌性フィルムの発
明である。放射線照射法によるアクリル酸グラフト層の
設け方はいわゆる前照射法、同時照射法のどちらでもよ
い。また高分子基材にあらかじめ該高分子基材を架橋さ
せるにたる放射線照射を行い、しかるのちにアクリル酸
モノマーとグラフト反応を行わせることによりグラフト
化位置を高分子基材の表面のみに限定させる放射線照射
グラフト化方法も本発明の抗菌性フィルムを得るには有
効である。
【0007】ここで「高分子基材を架橋させるにたる放
射線照射」とは、高分子基材をゲル分率で40%以上に
なるように架橋させるにたる放射線照射を目安とする。
ゲル分率で40%以上になるのに必要な放射線照射量は
高分子の種類により異なるが、代表的には低密度ポリエ
チレンで8Mrad以上、高密度ポリエチレンで12Mrad以
上の電子線照射で足りる。尚、128Mrad以上の放射線
照射は経済的にも非効率的であるし、高分子基材の機械
的強度も低下することがあるので好ましくない。以下本
発明について詳細に記述する。
【0008】高分子基材へのグラフト化反応そのものは
放射線照射(電子線、γ線)、光照射、プラズマ処理、
コロナ処理、フレーム処理など多くの手段により開始す
ることができるが実用的な見地からは電子線、γ線など
の放射線照射が好ましい。これらの放射線照射によるグ
ラフト化反応は高線量率であるために反応が速く、照射
は低温で行え、かつグラフト量が大きいという長所があ
るとともに、最大のメリットは放射線照射により高分子
基材の事前殺菌が可能であるという点である。また反応
開始にあたって反応終了後もグラフト層中に有害かつ悪
臭の分解物が残る重合開始剤を用いずにグラフトが可能
である点も、特に食品と接触する場合には重要なポイン
トである。放射線照射によるグラフト化反応では高分子
基材とグラフト化されるべきモノマーを共存させて同時
に放射線照射する方法(同時照射法)が効率的である
が、モノマー単独の重合が避けられないため、モノマー
の単独重合物がその作用(抗菌性、機械的特性)を妨げ
ない場合のみ有効である。他の放射線照射によるグラフ
ト化方法としてあらかじめ高分子基材のみに放射線を照
射し、しかるのちにモノマーと反応させる方法(前照射
法)では上記のモノマーの単独重合を抑制することがで
きるが反応性は低下する。
【0009】一般に放射線照射によって行われるグラフ
ト反応は高分子基材内部に生成するラジカル種によって
反応が開始するが、発生するラジカル種の濃度は放射線
照射量に比例すると考えて良い。高分子基材の架橋が無
視できるほどの低い放射線照射量においては一定反応時
間におけるグラフト率はほぼ放射線照射量に比例し、反
応時間が増加するに従ってグラフト率も増加し、グラフ
ト層は高分子基材の表面から内部に向かって進行する。
グラフト率の増加と未反応高分子基材の厚みの減少はほ
ぼ比例すると見て良い。高分子基材の機械的強度を維持
したままグラフト化物を得るには基材を溶解、膨潤しな
い溶媒を使用し、反応時間を短くしてグラフト層の高分
子基材内部への進行を途中で止めるしかないが、この場
合高分子基材表面にグラフトするモノマーの量が少な
く、グラフト率が小さくなり、金属吸着能が低下すると
いうジレンマがある。これに対し高分子基材が架橋する
に足る放射線照射を行った場合にはグラフト層は内部へ
の進行は比較的遅く、むしろモノマー溶液のバルク側に
向けて成長する。すなわち、グラフト部位を高分子基材
の表面に局在することが可能となる。
【0010】ここでいう高分子基材とはポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン−
1、ポリスルホン、ポリアクリレート、ポリアクリルア
ミド、ポリビニルクロリド、ポリアクリロニトリル、ポ
リ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロ
リドンなどの放射線架橋型樹脂または共重合樹脂であ
り、同様なビニル型モノマーでもポリイソブチレン、ポ
リビニリデンクロライドなどの放射線崩壊型ポリマーの
場合には放射線照射量を極めて低減して反応させる必要
がある。これらの区別は放射線照射時の条件(温度、雰
囲気)に影響されるため、条件しだいでポリオレフィン
樹脂に限らずナイロン、ポリジメチルシロキサン、テフ
ロンなどでも利用できる。これらの高分子基材の形態
は、板状、棒状、シート状、フィルム状、繊維状、ビー
ズ状、粉末状、中空糸状、成型品などいかなる形状であ
っても放射線照射さえできれば基本的に差し支えない。
【0011】ここでいう放射線とは特に加速電子線とγ
線が好ましく、特に電子線特性として、透過力、活性化
効率の面から加速電圧が少なくとも10Kv以上であり、
電子線加速器としては例えば、エレクトロカーテンシス
テム、スキャンニングタイプ、ダブルスキャンニングタ
イプ、バンデグラフ、コールドカソード等の何れでも良
い。ここでいう高分子基材の架橋とは簡便には該高分子
基材を溶解しうる溶媒を用いたゲル分率で測定すること
ができる。なお、放射線照射に際しては酸素濃度が高い
とグラフト活性種(主にフリーラジカル)の失活を招い
たり、酸化反応によるポリマーの崩壊を招いたりするた
め窒素、ヘリウム等の不活性ガスによる置換を行い酸素
濃度低下をはかることが好ましい。ただし過酸化物をグ
ラフト活性種として用いる場合にはこの限りではない。
【0012】グラフト化反応は放射線照射後、モノマー
と直接、あるいは溶媒を用いて反応させるか、あるいは
気化させたモノマーと反応させることにより達成でき
る。一般にモノマー単独では反応速度が遅いことが多い
ので溶媒を用いた溶液系での反応が有利である。モノマ
ー単独でのホモ重合を防ぐ目的でモール塩のようなラジ
カル重合抑制剤、金属銅や第1塩化銅のようなレドック
ス系添加剤、ハイドロキノンモノメチルエーテルのよう
な重合禁止剤を併用してもよい。グラフト層における銀
イオンの吸着は、グラフト物を銀イオンを含む溶液、た
とえば硝酸銀溶液中に浸漬することにより容易に達成さ
れる。吸着は5mMの硝酸銀溶液に1時間程度浸漬する
だけで25モル%のカルボキシル基が銀イオンと反応す
る。アクリル酸グラフト物を水酸化ナトリウム溶液など
で中和したグラフト物の銀イオン吸着速度はさらに速
く、15分間の浸漬で57%、1時間で77モル%のカ
ルボキシル基が反応する。当然のことながらこのように
高濃度の銀イオンが必要でない場合には、硝酸銀溶液の
濃度調整、浸漬時間、浸漬温度により吸着銀イオン濃度
を制御することが可能である。
【0013】
【作用】本発明は、放射線照射グラフト化反応により銀
イオンを吸着するカルボキシル基の反応部位を高分子基
材のごく表面に局在化でき、かつカルボキシル基の高い
イオン交換性によって効率良く銀イオンを吸着できる。
本発明の方法において抗菌性の高い銀イオンを表面に局
在化し高効率で用いることができるものである。
【0014】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳しく説明する
が、本発明の内容は実施例に限られるものではない。 実施例1 厚さ100μmの中密度ポリエチレンフィルム(密度
0.928g/cm3)を窒素ガスで置換した電子線照射装
置(ESI製、175/15/20、酸素濃度50pp
m以下、加速電圧150kv)により4Mradの吸収線量
になるように電子線照射した。照射したポリエチレンフ
ィルムは、あらかじめ窒素ガス置換により脱気した50
%アクリル酸水溶液に片面のみ接触させ、窒素通気をつ
づけながら70℃で2分間反応を行った。グラフト化し
たポリエチレンフィルムはすばやく大過剰のメタノール
中に投入し反応を停止し、引き続き水洗を行った。50
℃で真空乾燥後、重量測定によりグラフト率を計算し
た。グラフト率は2.5%であった。水洗後、5mMの
濃度の硝酸銀溶液に浸漬してイオン交換を行い、硝酸銀
溶液の濃度変化より銀イオン置換量を算出した。硝酸銀
溶液への浸漬時間は室温で1分、2.5分、および5分
間とした。銀イオン置換サンプルは真空乾燥後マイクロ
トームで切断し、走査型電子顕微鏡およびX線マイクロ
アナライザーにより銀原子のフィルム内分布状態を測定
した。グラフト反応とは別に同様の条件で電子線照射し
たポリエチレンサンプルをガラスフィルターに入れて重
量測定後、トルエン中で48時間還流した後に回収して
再度重量測定を行い、ゲル分率を求めた結果0%であ
り、電子線照射による架橋は起こっていなかった。ゲル
分率の計算は以下の式による。 ゲル分率=100×(溶媒抽出後の重量)/(溶媒抽出
前の重量)
【0015】実施例2 実施例1と同様な操作でグラフト化を行い、グラフト率
の計算を行った後、1%水酸化ナトリウム溶液に1時間
浸漬してグラフト層の中和を行い、水洗後、5mMの濃
度の硝酸銀溶液に5分間浸漬してイオン交換を行った。
後の操作は実施例1と同様に行った。
【0016】実施例3 実施例1に用いたのと同様な中密度ポリエチレンフィル
ムにコロナ処理を施し、あらかじめ窒素ガス置換により
脱気した50%アクリル酸および3%ジアクリロキシペ
ンタエリスリトール水溶液を70℃で塗布し、窒素ガス
で置換した電子線照射装置(ESI製、175/15/
20、酸素濃度50ppm以下、加速電圧150kv)
により4Mradの吸収線量になるように電子線照射した。
グラフト化したポリエチレンフィルムの後処理は実施例
1と同様に行い、硝酸銀への浸漬時間は5分間とした。
グラフト率はアクリル酸ベースで2.8%であった。
【0017】実施例4 実施例1に用いたのと同様な中密度ポリエチレンフィル
ムに32Mradの電子線照射を行い実施例1と同様な方法
でグラフト反応を行った。反応時間は4分間とした。実
施例1と同様な後処理を行った後のグラフト率は2.5
%であった。硝酸銀溶液への浸漬時間は5分間とした。
グラフト反応とは別に同様の条件で電子線照射したポリ
エチレンサンプルをガラスフィルターに入れて重量測定
後、トルエン中で48時間還流した後に回収して再度重
量測定を行い、ゲル分率を求めた結果66%であり、電
子線照射による架橋が生じていた。
【0018】比較例1 5モル%のナトリウムを銀イオンで置換したゼオライト
を重量比で2%となるように中密度ポリエチレンペレッ
ト(密度0.928g/cm3)と混合し、溶融押し出し法
により厚さ100μmのフィルムを得た。得られたフィ
ルムをマイクロトームで切断し、走査型電子顕微鏡およ
びX線マイクロアナライザーにより銀原子のフィルム内
分布状態を測定した。
【0019】結果 実施例においてはサンプルの切断面は明確に3層に分か
れ、銀原子の分布は両表面の2層(グラフト層)のみで
あった。グラフト層内における銀原子の分布はほぼ均一
であり、グラフト層内における深さによる差異はどのサ
ンプルにおいても見られなかった。比較例1によるサン
プルの切断面はきわめて均一であり、銀原子の分布も深
さ方向での差異は見られなかった。実施例および比較例
の結果を表1にまとめて記載する。尚、グラフト率、銀
原子拡散度、表面銀濃度の計算はそれぞれ以下に示す計
算式により、強度、金属吸着性は以下に示す方法により
求めた。 グラフト率=100×(グラフト後の重量−グラフト前
の重量)/(グラフト前の重量) 銀原子拡散度=100−100×(銀原子の存在しない
層のフィルム厚み)/(反応前のフィルム厚み) 表面銀濃度:フィルムの表面1μmの深さまでに存在す
る単位面積あたりの銀原子の濃度をμモル/m2・μmの単位
で表わしたもの。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】表1の銀原子拡散度の結果からも明らか
なように本発明によれば銀原子の存在する位置をフィル
ムのごく表面に局在させることが可能である。本発明に
よればグラフト層の進行はフィルム表面からフィルム内
部にむかって進行するためこの値より小さい拡散度も、
また大きい拡散度でも製造可能である。特に電子線照射
により架橋したフィルムを反応に用いた場合には、グラ
フト位置が極表面に偏在し、銀イオンの局在化に有効で
ある。
【0022】これに対して比較例の方法では銀原子はフ
ィルムの全域に拡散しており、内部にある銀原子は全く
抗菌性に寄与しない。銀原子の表面濃度は従来法の場
合、ゼオライトの練り込み含有量と銀イオンの置換度の
制約から非常に小さい値しかとれないが、本発明の方法
ではグラフト部位は分子レベルのオーダーで表面に分散
し、かつ深さ方向では極表面のみに局在すること、およ
び銀イオン置換度を非常に広い範囲(0ないし70%)
で変えられるため、表面銀濃度は広い範囲で調節可能で
あり、かつその上限は従来法の上限の数百倍が可能であ
る。グラフト層の存在がフィルムの極表面に限られるた
め、フィルムとして用いる場合、強度的にも本来のフィ
ルムの機械的強度を反映し、ヒートシール性、ラミネー
ト接着性、バリヤー性など原料となるフィルムの特性を
そのまま受け継いだ抗菌性フィルムが得られる。また、
放射線の透過特性より本方法がフィルムのような2次元
的な広がりを持つ資材のみでなく、3次元的な成型品に
も応用可能な事は明かである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B32B 27/28 B32B 27/28 C08J 5/18 C08J 5/18

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子基材の少なくとも片面にアクリル
    酸のグラフト重合層と、該グラフト重合層に吸着した銀
    イオンを有する抗菌性フィルム。
  2. 【請求項2】 高分子基材の少なくとも片面に放射線照
    射を行う工程と、アクリル酸をグラフト重合する工程
    と、銀イオンを含む溶液に浸漬し吸着する工程を有する
    請求項1記載の抗菌性フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 放射線照射の工程とアクリル酸をグラフ
    ト重合する工程が同時に行われることを特徴とする請求
    項2記載の抗菌性フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 放射線照射の工程のあとでアクリル酸を
    グラフト重合する工程が行われることを特徴とする請求
    項2記載の抗菌性フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 アクリル酸のグラフト層をアルカリ性溶
    液で中和を行った後、銀イオンの吸着を行うことを特徴
    とする請求項2記載の抗菌性フィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 高分子基材への放射線照射量が、該高分
    子基材を形成する高分子を架橋するにたる放射線照射量
    以上に照射されることを特徴とする請求項2記載の抗菌
    性フィルムの製造方法。
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