JP2907324B2 - 建築物の外装構造 - Google Patents

建築物の外装構造

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JP2907324B2 JP1591596A JP1591596A JP2907324B2 JP 2907324 B2 JP2907324 B2 JP 2907324B2 JP 1591596 A JP1591596 A JP 1591596A JP 1591596 A JP1591596 A JP 1591596A JP 2907324 B2 JP2907324 B2 JP 2907324B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、建築の外装材と
建築躯体との間に、発泡材等、低密度の高断熱性断熱材
を敷設してなる建築物の外装構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば屋根板や外壁等の建築外装
材と建築躯体との間に、発泡ポリスチレンやポリウレタ
ン等の低密度で高断熱性の断熱材を敷設して成る建築物
の外装構造としては、実開平6-56294 号公報にて示され
るような提案がなされている。上記した如き従来の外装
構造は、断熱性を維持するために熱橋を極力限定する必
要がある。その結果、図10にて示す外装構造のよう
に、外装材101の吊子等の保持部材103は、断熱材
10の上面に配置してビスや釘等の固着具104により
上記断熱材101を貫通して建築躯体100に固定する
構造が採用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記した従来の外装構
造おいて、断熱材101の上面にて外装材102を固定
する場合、高断熱性の断熱材101が低密度であるた
め、木毛セメント板等の断熱材101に比較して高い断
熱性を発揮する。また、上記断熱材101は、低密度で
ありながらも広い面積にて等分布で作用する荷重に対し
て、建材のバックアップ材として十分な耐圧強度を有す
る。
【0004】しかし、上記した従来の外装構造は、ビス
や釘等の固着具104の固定に伴う局部的な締結力に対
しては、図11にて示すように局部的に大きく沈み込む
ように変形してしまう問題がある。さらに、上記した外
装構造は、保持部材103の固定箇所に生じる沈み込み
変形が、外装材102の表面形状にも影響を及ぼすた
め、外装面に歪みとなって表れ、建築物の外観を著しく
低下させてしまうことにもなる。
【0005】また、前記した例示公報にて開示される断
熱材のように、外装材の上下有効幅に縦方向の長さを対
応させた固定構造としては、保持部材を断熱材の重合部
に沿って屈曲させることにより、建築躯体またはこれに
相当する部材に固定するものもある。しかし、上記固定
構造においては、隣接する断熱材間に保持部材の厚みに
相当する細部の加工を施さないと隙間が生じるので、加
工を施す場合には、断熱材の生産性の低下を招き、ま
た、加工を施さない場合には、断熱性が低下する結果を
招くことになる。
【0006】本発明の目的は、上記した如き従来の建築
外装構造に対して、固着具による締結力が保持部材を介
して断熱材に加わっても、この断熱材に局部的な沈み込
み変形が生じることのない機能を具備せしめることにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明は、建築躯体の上に断熱材を敷設し、該
断熱材上に、桁行方向へ長い横葺き外装材を軒棟方向へ
順次並べて敷設し、上記横葺き外装材の上縁部を表側に
折り返して形成した棟側係合部と、同外装材の下縁部を
裏側に折り返して形成した軒側係合部とを、互いに係合
させて敷設すると共に、上記横葺き外装材を外装材保持
部材を介して固着具で取り付け固定する建築物の外装構
造において、前記断熱材は、低密度の高断熱性素材によ
り成形すると共に、横葺き外装材の上下方向の有効幅に
略等しい間隔で、且つ外装材の棟側軒側両係合部を係合
せしめた高さに略等しい段差部を表面に沿って複数段形
成して構成し、前記外装材保持部材は、係合し合う横葺
き外装材の軒側棟側両係合部における少なくとも一方を
保持する保持部と、固着具を用いて建築躯体に対して固
定する固定部と、この固定部の一端から断熱材の段差部
に沿って立ち上がり、該段差部の上面に密接する減圧部
とを具備して成るものである。
【0008】また、本発明は、建築躯体の上に断熱材を
敷設し、該断熱材上に、桁行方向へ長い横葺き外装材を
軒棟方向へ順次並べて敷設し、上記横葺き外装材の上縁
部を表側に折り返して形成した棟側係合部と、同外装材
の下縁部を裏側に折り返して形成した軒側係合部とを、
互いに係合させて敷設すると共に、上記横葺き外装材の
棟側係合部を固着具で取り付け固定する建築物の外装構
造において、前記断熱材は、低密度の高断熱性素材によ
り成形すると共に、横葺き外装材の上下方向の有効幅に
略等しい間隔で、且つ外装材の棟側軒側両係合部を係合
せしめた高さに略等しい段差部を表面に沿って複数段形
成して構成し、前記横葺き外装材の棟側係合部は、係合
相手となる軒側係合部と係合して保持状態とする係合部
と、固着具を用いて建築躯体に対して取り付け固定する
固定部と、この固定部の一端から断熱材の段差部に沿っ
て立ち上がり、該段差部の上面に密接する減圧部とを具
備して成るものである。
【0009】上記した手段によれば、以下に記する作用
を伴う。請求項1記載の外装構造においては、低密度高
断熱性素材により構成される断熱材は、その表面に沿っ
て、横葺き外装材の上下方向の有効幅と略同じ間隔にて
複数の段差部が形成され、建築躯体の上に順次並べて敷
設される。また、上記断熱材上に順次並べて敷設される
横葺き外装材は、上記断熱材の段差部間に沿って横葺き
された状態で敷設され、上下に隣り合うもの同士の間に
て、棟側係合部と軒側係合部とが外装材保持部材を介装
して互いに係合した状態となる。
【0010】上記したように係合する横葺き外装材の軒
側棟側両係合部を保持する外装材保持部材は、両係合部
間に介在して保持状態とする保持部と、断熱材の段差部
に沿って立ち上がる減圧部と、固定部とを具備してお
り、上記固定部及び減圧部とを断熱材に当接させた状態
にて、建築躯体に対して固着具を用いて締結してある。
よって、上記固着具による締結力は、外装材保持部材の
固定部及び減圧部を介して断熱材の表面に対して集中荷
重として加わるが、この荷重は固定部と断熱材の段差部
上面に密接する減圧部とによって分散され、これらと密
接する断熱材の表面に対し等分布荷重に近似した荷重と
して加えられる。
【0011】また、請求項2記載の建築の外装構造にお
いては、横葺き外装材の上縁部分に沿って形成した棟側
係合部が、外装材保持部材として構成してある。上記外
装材保持部材を構成する棟側係合部は、係合相手となる
軒側係合部と係合する係合部と、固定部と、この固定部
の一端から断熱材の段差部に沿って立ち上がり、該段差
部の上面に密接する減圧部とを具備して成り、上記固定
部及び減圧部とを断熱材表面に当接させた状態にて、固
着具を用いて建築躯体に対して締結してある。
【0012】すなわち、上記固着具による締結力は、外
装材保持部材に対して集中荷重として加わるが、この荷
重は同外装材保持部材の固定部と、断熱材の段差部上面
に沿って長帯状に密接する減圧部とによって分散され、
これらと密接する断熱材の表面に対して等分布荷重とし
て加えられる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に
基づいて説明する。図1は、本発明を実施した建築の外
装構造A1を示している。尚、この実施例は、本発明の
外装構造を建築の屋根部分に採用したものである。
【0014】上記した外装構造A1の建築躯体aは、C
形鋼等からなる鉄骨躯体a1の上に垂木若しくは木片セ
メント板等からなる下地材a2を固定して成る。上記建
築躯体aの下地材a2の上には、表面に多数の段差部1
aを形成した断熱材1を軒棟方向及び桁行き方向へ順次
並べて敷設し、その断熱材1の各段差部1a間に形成さ
れる平坦部1bに沿って横葺き外装材2を敷設してあ
る。また、断熱材1上において隣り合う断熱材1同士の
上縁部及び下縁部には、それぞれ棟側係合部2a及び軒
側係合部2bを折曲成形し、これら両係合部2a,2b
を保持部材3を介して係合すると共に、この保持部材3
を固着具4を用いて上記下地材a2に対して締結してあ
る。
【0015】図3にて示すように、上記断熱材1は低密
度の高断熱性素材を用いて厚板状に形成し、その表面に
桁行き方向へ伸びる段差を軒棟方向に等間隔を置いて多
数段並設することにより構成してある。断熱材1は低密
度の高断熱性素材、例えば、ポリウレタン、ポリススチ
レン、フェノール等の樹脂発泡材及びグラスウール等の
繊維系成形材等、カサ比重が0.25乃至0.1 程度で、乾燥
時の熱伝導率が0.1 w/m・k 程度の素材を使用して構成す
る。
【0016】上記断熱材1の表面には、後述する外装材
2の上下方向の有効幅と略同じ幅にて形成した段差1a
を多数段形成し、各段差1aの間に平坦部1bを形成し
てある。また、上記断熱材1の下縁部の裏面に沿っては
重合部1cを切欠形成し、図1にて示すような敷設状態
において、上記重合部1cを下段側に位置する断熱材1
の上縁部に重ね合わせて接続することにより、その接続
部分に他の段差部1aと同様な段差を隙間なく形成する
ように構成してある。尚、上記段差1aの高さは、後述
する横葺き外装材2の軒側係合部2bと棟側係合部2a
とを係合した状態の高さに相当する。
【0017】尚、上下に並ぶ断熱材1同士の重合部分
は、図8にて示す重合部1c’,1c’’のように、重
ね合わせた状態において両重合部1c’,1c’’の間
に空洞が形成されるように構成してもよい。また、図9
にて示すように、上記断熱材1の両縦辺には、同様な重
合部1d,1d’を形成してあり、これら両重合部1
d,1d’を、下地材a2上において桁行き方向に並べ
られる断熱材1の間において重ね合わせることによっ
て、上記断熱材1の縦辺同士を隙間なく接続し、各段差
部1aが屋根面の桁行き方向へ連続するように構成して
ある。
【0018】上記した如く敷設した断熱材1の上に葺く
横葺き外装材2は、上記断熱材1の各段差部1a間に形
成される平坦部1bに沿って横葺きするものであり、表
面化粧鋼板、ラミネート鋼板、メッキ鋼板、ステンレス
鋼板、アルミ合金板、チタン合金板、銅板、真鍮板、鉛
板等公知の金属素材、及び炭素繊維積層板、硬質樹脂板
より成形する。
【0019】上記横葺き外装材2は、上縁、下縁に沿っ
て相互に係合し合う棟側係合部2aと軒側係合部2bと
を折り返し成形してある。図1にて示すように、棟側係
合部2aは外装材2の上縁を表側に向けて略直角に折り
返すと共に、その先端部を略く形に折曲させることによ
り後述する保持部材3の保持部3aと重なり合う係合部
2a’を形成してある。一方、軒側係合部2bは、同外
装材2の下縁部を裏側に向けて略コ形に折り返して成
り、その内部に上記した棟側係合部2aの係合部2a’
が内嵌するように成っている。上記した棟側係合部2a
及び軒側係合部2bは、外装材2上縁及び下縁全長にわ
たって成形してある。
【0020】尚、上記した横葺き外装材2は、素材が金
属板である場合はロール成形又はプレス成形、あるいは
両者の組み合わせにより成形する。また、素材が被金属
である場合には、主に成形型により成形される。上記横
葺き外装材2の厚さは任意であるが、0.4mm乃至
1.6mm程度の厚さが実用的である。また、上記横葺
き外装材は、上記各素材を組み合わせて構成したり、表
面の平坦部に太陽電池を貼り付けた複合板であってもよ
い。
【0021】保持部材3は、上記したように係合し合う
棟側係合部2aと軒側係合部2bを保持して建築躯体a
に対して取り付け固定するものであり、帯状材を屈曲成
形して構成してある。保持部材3を構成する素材として
は、メッキ鋼板、ステンレス鋼板等のプレス、ロール成
形品、アルミや硬質樹脂による押し出し成形品、及びセ
ラミックス等を使用する。
【0022】図2にて示すように、上記保持部材3は上
面が開口するように断面略コ形に屈曲形成して成る固定
部3bと、該固定部3bの一端から軒側に屈曲形成して
なる保持部3aと、上記固定部3bの他端から棟側に屈
曲させて成る減圧部3cとから構成してある。
【0023】上記固定部3bは断熱材1表面に当接させ
る平面部の両側を垂直に折り返すことにより上面が開口
する断面略コ形の部材として構成し、上記平面部の中央
に孔31を穿設してある。上記固定部3bの一端からは
横葺き外装材3の棟側係合部2aの上側に重なる断面略
く形に折曲形成した保持部3aを延出させ、その先端に
棟側係合部2aの先端縁部に係合する鉤状部3a’を設
けてある。尚、上記保持部3aの形状は、横葺き外装材
3の棟側係合部2aと完全に一致させる必要はなく、そ
の形状は、断熱材1に対して部分的に押圧して保持し得
る程度のものであればよい。
【0024】また、固定部3bの他端側には減圧部3c
を略水平に延出させ、上記固定部3b他側の垂直立ち上
がり部分との間にて断面L形の屈曲部を形成して成る。
この屈曲部の高さは前記した断熱材1の段差部1aの高
さに対応している。尚、上記保持部材3の各屈曲部には
補強リブ32を一体に形成することにより屈曲部分の強
度を維持している。
【0025】上記した如く構成した保持部材3は、断熱
材1段差部1a下の所定位置に位置合わせし、保持部3
aを下段側に敷設した横葺き外装材2の棟側係合部2a
に対し上方から重ねて先端の鉤状部分3a’を係合す
る。そして、上記係合部を支点として保持部材3の固定
部3bを断熱材1上に定置し、該固定部3bに打った固
着具4の締結力により断熱材1上に固定する。この際、
固定部3bの他側の垂直立ち上がり部分は段差部1aの
立ち上がり面に当接し、減圧部を段差部1aの表面に密
着させた状態となる。
【0026】上記したように固着具4を下地材a2に打
ち付けることにより、保持部材3は下向きに押し付けら
れ、固定部3bと減圧部3cとが断熱材1表面に対して
押圧されるが、この荷重は固定部3bと断熱材1の段差
部1a上面に密接する減圧部3cとによって等分布荷重
に近似した荷重として広く分散された状態で加わるた
め、断熱材1の表面が沈み込むように変形することは殆
どない。また、上記減圧部3cは横葺き外装材2の段差
部分を上面を裏面から支持する状態となるので、外装材
2の段差部に正荷重が加わった状態において断熱材1段
差部1aを保護し、同部1aの前傾変形を防止する。保
持部材3は、既に下段側に敷設した横葺き外装材2の棟
側係合部2aに沿って係合させながら、断熱材1の段差
部1aに沿って定間隔をおいて必要個数取り付け固定
し、これにより断熱材1の平坦部に沿って横葺きした横
葺き外装材2の上縁部を断熱材1上に固定する。尚、上
記保持部材3同士の桁行き方向の固定間隔は330mm
乃至550mmで行うのが望ましい。
【0027】上記した如く横葺き外装材2の棟側係合部
2aの固定を終えたならば、上記横葺き外装材2の上段
側に葺く外装材2の軒側係合部2bを、固定の終えた下
段側の横葺き外装材2の棟側係合部2aに沿って上方か
ら係合する。そして、上段側に葺いた横葺き部材2の棟
側係合部2aに沿う段差部1aに沿って前記したと同様
に保持部材3を取り付け固定し、横葺き外装材2を下段
から上段へ向けて順次葺いていく。
【0028】尚、上記実施例の場合、複数の保持部材3
を断熱材1の段差部1aに沿って間隔を置いて取り付け
固定することにより、横葺き外装材2の支持を行った
が、上記した保持部材3は、同様な断面形を維持したま
ま、段差部1aに沿って延びる長尺状部材として構成し
てもよい(図示せず)。この場合、固定部及び減圧部の
面積も増大するため、断熱材1段差部1aの変形を抑制
する効果も大幅に高めることができる。上記外装構造A
において、軒側係合部2bと棟側係合部2aとの係合構
造、及び係合し合う棟側軒側両係合部2a,2bを保持
する保持部材3の保持部3aの保持構造は上記したもの
に限定するものではなく、既存の構造を採用するのも任
意である。図12(a)〜(c)は、軒側係合部2bと
棟側係合部の係合構造及び保持部材3保持部3a構造の
バリエーションを示す。また、上記外装構造Aの横葺き
外装材と外装材保持部材との係合が、弾性係合可能な構
成の場合は、上記外装材保持部材を予め断熱材1の段差
部1aに沿って定間隔をおいて必要個数取り付け固定
し、これに上記横葺き外装材の棟側係合部及び軒側係合
部を係合する施工手順で構成してもよい。尚、保持部材
を長尺状に構成する場合には、ロールまたは押し出し成
形により成形するのが効率的である。また、上記保持部
材を構成する素材の厚さは任意であるが、プレス及びロ
ール成形品の場合、0.4mm乃至1.6mm程度、ま
た、押し出し成形品の場合、1.2乃至2.5mm程度
に設定する。
【0029】次ぎに、図4にて示した建築の外装構造A
2を説明する。上記した建築の外装構造A2にあって
は、建築躯体aとして、コンクリート躯体a3の表面に
モルタルa4を塗って仕上げたRC躯体を示している。
【0030】上記した建築躯体aの上面には前記外装構
造A1に用いた断熱材1と同様に構成した断熱材11を
敷設してある。上記断熱材11の表面には桁行き方向に
延びる段差部11aを軒棟方向へ等間隔をおいて形成
し、各段差部11aの間に平坦部11bを形成してあ
る。また、断熱材11の下縁部裏面に沿っては重合部1
1cを切欠形成し、該重合部11cを下段側に敷設した
断熱材11の上縁部に重ね合わせて隙間なく嵌合せしめ
ている点も前記した外装構造a1と同様である。
【0031】ところで、上記断熱材11は、図5及び図
6にて示すもののように断面波形、若しくは断面ジグザ
ク形に形成することにより軒棟方向へ延びる小さな溝を
多数本並設するとよい。さらに、断熱材11の裏面は、
図7にて示すように軒棟方向へ延びる凹溝11eを並設
し、この凹溝11e内を結露防止空間として機能させて
もよい。尚、上記した断熱材表面の小溝や断熱材裏面の
凹溝は、前記した外装構造A1の断熱材1にも同様に実
施してもよい。
【0032】上記断熱材11の上に敷設する横葺き外装
材12は、上縁と下縁に沿って相互に係合し合う棟側係
合部12aと軒側係合部12bとを折り返し成形してあ
る。横葺き外装材12の棟側係合部12aは、上段側に
位置する軒側係合部12bと係合すると同時に、建築躯
体aに対して取り付け固定する外装材保持部材としても
機能するものであり、外装材12の上縁から延出する部
分を折り曲げ形成して構成してある。また、軒側係合部
12bは、同外装材2の下縁部を裏側に向けて略コ形に
折り返して成り、その先端部を上記棟側係合部12aに
差し込んで係合するように構成してある。尚、上記した
棟側係合部12a及び軒側係合部12bは、外装材12
の上縁及び下縁の全長にわたって成形してある。
【0033】上記した如く保持部材として機能する棟側
係合部12aは、軒側係合部12bの先端を差し込んで
係合させる係合部20aと、上面が開口するように断面
略コ形に屈曲形成して成る固定部20bと、該固定部2
0bから棟側に屈曲させて成る減圧部20cとから構成
してある。
【0034】上記係合部20aは、横葺き外装材12の
上縁と固定部20bの下側立ち上がり部分との間を折曲
成形することにより軒側係合部12bの先端部を差し込
んで挟持する係合溝20a’を形成して成る。棟側係合
部12aの固定部20bは断熱材1表面に当接させる平
面部の両側を垂直に折り返すことにより上面が開口する
断面略コ形の部材として構成し、上記平面部の中央に沿
って固着具4を挿通させる孔21を桁行き方向へ定間隔
を置いて必要個数穿設してある。固定部20bの上側立
ち上がり部の上端からは減圧部20cを略水平に延出さ
せ、上記固定部20b上側立ち上がり部分との間におい
て断面L形の屈曲部を形成して成る。
【0035】上記したように構成した横葺き外装材12
は、断熱材11の平坦部11b上に沿って定置し、棟側
係合部12aの減圧部20cを上段側の段差部11aに
沿って密着させた状態とする。そして、固定部20bの
底面に沿って穿設した各孔21にビスや釘等の固定具4
を挿通し、断熱材を貫通させて、建築躯体aに対して打
ち付けることにより締結力を得る。
【0036】上記したように固着具4を下地材a2に打
ち付けることで、横葺き外装材12の棟側係合部12a
が下向きに押し付けられ、固定部20bと減圧部20c
とが断熱材11表面に対して押圧されるが、この荷重は
横葺き外装材12の上縁部全長にわたる固定部20bと
減圧部3cとによって断熱材11表面に対して等分布荷
重に近似した荷重として広く分散されるため、断熱材1
1の表面が沈み込むように変形することはない。
【0037】次いで、上記したように取り付け固定した
横葺き外装材12の上段側の平坦部11bに沿って別の
横葺き外装材12を同様に定置し、その横葺き外装材1
2の軒側係合部12bを上記した如く断熱材11上に固
定した棟側係合部12aに対して上から嵌合すると共
に、軒側係合部12bの先端部を係合溝12a’内に嵌
挿して挟持する。以後、上記したと同様に横葺き外装材
12の棟側係合部12aを固着具4により建築躯体aに
固定しながら、横葺き外装材12を下段から上段へ向け
て順次葺いていく。
【0038】尚、上記した実施例においては、横葺き屋
根板を構成する外装構造としてとして説明したが、本発
明の外装構造は外壁に使用してもよく、この場合、横張
りサイディングとなる。
【0039】上記実施例にて用いた横葺き外装材2,1
2は、桁行き方向に長い長尺状物として構成されるが、
現場加工材に限定するものではない。従って、3m乃至
5m程度の定尺材として工場生産する場合には、継手部
材等を用いた従来公知の接続手段により外装材同士を接
続してもよい。
【0040】また、本発明において対象とする建築躯体
とは、木造、鉄骨造、コンクリート造等建築物におい
て、釘、ビス、アンカー等の固着具が取り付け可能な全
ての構造、及び躯体に対して取り付けられる垂木等の補
強支持部材や固着具が効く木片セメント板等の強度部材
をも含むものである。従って、本発明の横葺き外装材と
建築躯体との間に介装されるボード、すなわち、上記横
葺き外装材を固定し得る強度を有するボード類を例外と
して、原則的には、横葺き外装材及び保持部材を固定す
るための固着具は建築躯体を構成する母屋や垂木等の補
助支持部材に固定される。
【0041】
【発明の効果】本発明は以上説明したように、外装材保
持部材が固定部と共に減圧部を具備するので、固着具の
締結力により集中荷重が加わった状態においても、この
荷重を上記固定部と減圧部とに分散し、断熱材の表面に
対し等分布荷重に近似した荷重として広く分散して加え
ることができるので、固着具の締結力により生じる断熱
材の局部的な沈み込み変形を効果的に抑制することがで
きる。また、上記した外装材保持部材を長尺材とするこ
とによれば、上述した局部的な沈み込み変形の抑制効果
をより一層高めることができる。
【0042】上記外装材保持部材の減圧部は、外装材に
おける軒側部分を裏面側から支持する補強部材として機
能するので、外装材の段差部に正荷重が作用した際にお
いて断熱材の前傾変形を防止することができる。
【0043】上記した断熱材の沈み込み変形防止効果に
より、外装材表面に生じる歪みを低減することができる
ので、断熱性が高く、且つ外観の良い建築外装構造を提
供することができる。断熱材には、外装材の有効幅に対
応した複数の段差部を形成しているので、外装材の裏面
を確実に支持することができ、積雪荷重等大きな正荷重
に対しても優れた耐圧性を発揮する。また、複数の段差
部を形成しているので、従来の外装構造と比較して施工
性が高い。
【0044】請求項2記載の外装構造においては、上記
した請求項1記載の屋根の外装構造において外装材保持
部材を長尺状にした場合と同様な効果を奏すると共に、
外装材保持部材を構成する横葺き外装材の上縁部に沿っ
て棟側係合部を一体的に折り返し成形したので、部品点
数を削減し、製造コストを低減と、施工性の向上を図る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施した外装構造を示す縦断面
図。
【図2】 保持部材を示す斜視図。
【図3】 断熱材を示す斜視図。
【図4】 横葺き外装材の上縁部に沿って保持部材と
して機能する上側係合を形成した外装構造を示す縦断面
図。
【図5】 表面に略波形の凹凸を設けた断熱材の縦断
面図。
【図6】 表面に略ジクザク形の凹凸を設けた断熱材
の縦断面図。
【図7】 裏面に結露防止用の凹凸を設けた断熱材の
縦断面図。
【図8】 重合部に空洞部を形成した断熱材の接合部
を示す縦断面図。
【図9】 断熱材の縦辺同士の重合部分を示す断面
図。
【図10】 従来の外装構造を示す縦断面図。
【図11】 従来の外装構造の保持部材部分を示す斜
視図。
【図12】 (a)〜(c)は棟側軒側両係合部の係
合構造の変形例を示す縦断面図。
【符号の説明】
A1,A2・・・外装構造 a・・
・建築躯体 1,11・・・断熱材 1a,11a・・・
段差部 1b,11b・・・平坦部 1c,11c・
・・重合部 2,12・・・横葺き外装材 2a,12a・・・
棟側係合部 2b,12b・・・軒側係合部 3・
・・保持部材 3a・・・保持部 3b,20b・・・固定
部 3c,20c・・・減圧部 4・
・・固着具 20a・・・係合部

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建築躯体の上に断熱材を敷設し、該断
    熱材上に、桁行方向へ長い横葺き外装材を軒棟方向へ順
    次並べて敷設し、上記横葺き外装材の上縁部を表側に折
    り返して形成した棟側係合部と、同外装材の下縁部を裏
    側に折り返して形成した軒側係合部とを、互いに係合さ
    せて敷設すると共に、上記横葺き外装材を外装材保持部
    材を介して固着具で取り付け固定する建築物の外装構造
    において、前記断熱材は、低密度の高断熱性素材により
    成形すると共に、横葺き外装材の上下方向の有効幅に略
    等しい間隔で、且つ外装材の棟側軒側両係合部を係合せ
    しめた高さに略等しい段差部を表面に沿って複数段形成
    して構成し、前記外装材保持部材は、係合し合う横葺き
    外装材の軒側棟側両係合部における少なくとも一方を保
    持する保持部と、固着具を用いて建築躯体に対して固定
    する固定部と、この固定部の一端から断熱材の段差部に
    沿って立ち上がり、該段差部の上面に密接する減圧部と
    を具備して成る建築物の外装構造。
  2. 【請求項2】 建築躯体の上に断熱材を敷設し、該断
    熱材上に、桁行方向へ長い横葺き外装材を軒棟方向へ順
    次並べて敷設し、上記横葺き外装材の上縁部を表側に折
    り返して形成した棟側係合部と、同外装材の下縁部を裏
    側に折り返して形成した軒側係合部とを、互いに係合さ
    せて敷設すると共に、上記横葺き外装材の棟側係合部を
    固着具で取り付け固定する建築物の外装構造において、
    前記断熱材は、低密度の高断熱性素材により成形すると
    共に、横葺き外装材の上下方向の有効幅に略等しい間隔
    で、且つ外装材の棟側軒側両係合部を係合せしめた高さ
    に略等しい段差部を表面に沿って複数段形成して構成
    し、前記横葺き外装材の棟側係合部は、係合相手となる
    軒側係合部と係合して保持状態とする係合部と、固着具
    を用いて建築躯体に対して取り付け固定する固定部と、
    この固定部の一端から断熱材の段差部に沿って立ち上が
    り、該段差部の上面に密接する減圧部とを具備して成る
    建築物の外装構造。
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