JP2907031B2 - 歯科用陶材 - Google Patents

歯科用陶材

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JP2907031B2
JP2907031B2 JP28242194A JP28242194A JP2907031B2 JP 2907031 B2 JP2907031 B2 JP 2907031B2 JP 28242194 A JP28242194 A JP 28242194A JP 28242194 A JP28242194 A JP 28242194A JP 2907031 B2 JP2907031 B2 JP 2907031B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人工歯の製作、補綴修
復に使用され、特にオールセラミッククラウンのコア部
の築盛層の原料となる歯科用陶材に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、色調の観点から、金属の裏打ちの
ないオールセラミッククラウンが注目を浴び、各種の製
造方法が知られている。以前、上記オールセラミックク
ラウンは強度不足のため、単冠以外は作成困難であった
が、このことを解決するため、セラミック多孔質層にガ
ラスを含浸させオールセラミッククラウンのコア部を形
成する方法が開発され、特許出願されている(特公平3ー
74573号、特願平5ー98370号、特願平5ー183472)。
【0003】特公平3ー74573号においては、セラミック
多孔質層にガラスを含浸させたコア部約0.5mmにエナメ
ル層約1.0mmを築盛してオールセラミッククラウンを作
成している。このエナメル層を形成するガラスとして
は、主成分SiO2:62〜66wt%、Al2O3 :15〜16wt
%、その他アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化
物、酸化硼素からなる組成のガラスを使用し、そのガラ
スの単味の特性として、曲げ強度5.6kgf/mm2(53.88MP
a)、破壊靱性4.04kgf(1.25MPam1/2)、熱膨張率7×1
0-6/℃以下であった。(本発明者の実験による)そのガ
ラスを陶材として用いたオールセラミッククラウンが開
示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記セ
ラミック多孔質層にガラスを含浸させて作成したコア部
(素地)の強度が高いにも拘らず、コア部にエナメル層
として陶材を築盛することにより、オールセラミックラ
ウン全体としての強度や靱性が低下していた。また、コ
ア部と陶材との熱膨張率の違いにより、陶材の焼成時や
実際の口腔内での装着時に、築盛した陶材がコア部より
一部剥離したり、完全に脱離するおそれがあった。さら
に、エナメル層の透明度が低く外観が劣っていた。
【0005】本発明は上記問題点を解決するために、セ
ラミック素地とのマッチングが良く、外観が優れ、高強
度、高靱性で、信頼性に優れたセラミック素地の築盛層
の原料となる歯科用陶材を提供することを目的とする。
【0006】特に、本発明はオールセラミッククラウン
のコア部を被覆する陶材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の歯科用陶材は、SiO2:67〜80wt%、A
l2O3:3〜14wt%、但しSiO2とAl2O3の合計が8
3wt%以上、B2O3:0.5〜2.5wt%、アルカリ金属酸化
物であるNa2O、K2O、及びLi2Oの一種以上が6
〜15wt%の原料組成を有するものである。
【0008】
【好適な手段】また、本発明の原料組成において好まし
くは、SiO2:76〜79wt%、Al2O3:7〜10wt%、
但しSiO2とAl2O3の合計が86wt%以上である。
【0009】また、本発明において好ましくは、原料組
成で塩基性酸化物であるMgOを0.2〜6wt%添加した
ものである。
【0010】また、本発明の原料組成において好ましく
は、アルカリ金属酸化物全体が6〜15wt%で、その内L
i2O:0.2〜3wt%である。
【0011】また、本発明において好ましくは、焼結体
で、熱膨張率が6×10-6〜7×10-6/℃である。
【0012】また、本発明において好ましくは、焼結体
で、曲げ強度6.5kgf/mm2(63.7MPa)以上、破壊靱性4k
gf(1.24MPam1/2)以上である。
【0013】また、本発明において好ましくは、本発明
の陶材を原料とする築盛層が、オールセラミッククラウ
ンのセラミック質からなるコア部に築盛されるものであ
る。
【0014】
【作用】上記構成のもと、本発明の歯科用陶材は、Si
O2:67〜80wt%、Al2O3:3〜14wt%、但しSiO2
とAl2O3の合計が83wt%以上、B2O3:0.5〜2.5wt
%、アルカリ金属酸化物であるNa2O、K2O、及びL
i2Oの一種以上が6〜15wt%の原料組成を有すること
によって以下のような作用を示す。
【0015】本発明の歯科用陶材の原料組成は、焼成に
より素地上にガラス質、エナメル質、又は釉を形成する
のに好適でであり、SiO2分を主にAl2O3成分、B2
O3成分にて構成される。Na2O、K2O、及びLi2O
の一種以上からなるアルカリ金属酸化物は、釉質として
通常より少ない量である。
【0016】SiO2はガラス状にするための必須成分
であり、SiO2分が多いことで化学的に安定で、融点
が低下する。SiO2分が多すぎると、フリット化しな
い。Al2O3が多いと透明度が低下し、少なすぎると強
度、硬度が低下する。B2O3は、ホウ珪酸ガラスにおい
て網目形成酸化物としてSiO2と置き換わり、溶融温
度を低下させると共に熱膨張率をも低下させる。また陶
材の溶融時に濡れ性、粘度等の性質に関係する。アルカ
リ金属酸化物は、量が多くなると熱膨張係数が高くなり
貫入の発生等の素地のセラミック部のマッチング不良が
生じ易くなる。
【0017】このような、組成に起因する性質によって
本発明の歯科用陶材は、セラミック素地、例えばオール
セラミッククラウンのコア部とのマッチングが良く、外
観が美しく(透明度良)、高強度、高靱性で、信頼性に
優れた築盛層の原料となる。そして、従来は強度不足、
熱膨張による変形により製作できなかった。3冠以上の
オールセラミッククラウンが製作可能となる。
【0018】歯科用陶材は、高強度、高靱性は勿論、単
独で使用される場合を除き複合材料としては、陶材が施
されるセラミック素地とのマッチングが良く、陶材の乾
燥、焼成時に変形が生じないことが求められる。
【0019】例えば、オールセラミッククラウンのコア
部に陶材を原料とする築盛層を形成するには、陶材原料
を微粉砕して粉末状、ペースト状あるいは粘度の高い泥
漿にして、コア部に塗布あるいはコア部を泥漿に浸漬し
て、乾燥し、焼成する。
【0020】乾燥時に、築盛した陶材が流れ落ちないた
めには、陶材からなる釉質がある程度の粘度を有する必
要がある。
【0021】焼成温度は、築盛層が均一かつ緻密に形成
される温度でなくてはならないが、素地であるオールセ
ラミッククラウンのコア部の焼結温度(溶融温度)より
低いことが肝要である。硬く、緻密かつ均一でピンホー
ル等の欠陥のないセラミック素地の被覆を行なうために
は、組成毎に最適な焼成温度を見出すことが求められ
る。
【0022】さらに、焼成後にコア部(素地)と築盛層
(釉)との剥離が生じないように、両者の熱膨張係数は
同程度のオーダが必要である。好ましくは、築盛層の熱
膨張係数がコア部よりわずかに小さいと、冷却された築
盛層には圧縮応力が働き、築盛層及びオールセラミック
クラウンの機械的強度(抗折力、靱性、硬度等)は増大
する。また、焼成後の築盛層が滑らかで、ピンホールが
ないことで、化学的、機械的な安定度も向上する。
【0023】歯科用陶材は、人目に触れる部分に使用さ
れる材料であるから(特に前歯)、その焼成後の外観は
できるだけ自然の風合い、色合いに近いものが要求され
る。自然歯は、透明なエナメル層で覆われており、人工
歯(入歯、差歯、冠歯)の被覆層として用いる場合に
は、陶材が焼成後に透明感を有しなければならない。
【0024】本発明の陶材は、これらの要件を備えた築
盛層、釉、又はエナメル層の原料となる。
【0025】本発明の陶材は、工業上不可避の不純物を
含むことがある。
【0026】
【数値限定理由】以下に、本発明の陶材の原料組成限定
理由について詳細に述べる。
【0027】SiO2が、80wt%を超えるとフリット化
が困難である。また、含有量が増加すると熔融温度が上
がり、粘度が高くなる。67wt%未満であると強度等の特
性の劣化が生じる。
【0028】Al2O3が、14.0wt%を超えると透明性を
失い(失透)、外観が劣り歯科用陶材として適さない。
3wt%未満で強度、硬度が低下する。また、Al2O3は
粘度を保ち、フリット釉では貫入防止ともなる。
【0029】但しSiO2とAl2O3の一種以上が83wt
%未満で、破壊靱性値が約3.8kgf(1.18MPam1/2)に低
下するので、SiO2とAl2O3の一種以上が83wt%以
上とする。
【0030】好ましくは、SiO2:76〜79wt%、Al2
O3:7〜10wt%、但しSiO2とAl2O3の合計が86wt
%以上で一層機械的強度が高い。
【0031】B2O3が0.5〜2.5wt%であることで、熔け
やすい化合物を作り、適用量用いることで熱膨張率を低
下させるが、多過ぎると逆に増加させる。又、多過ぎた
場合、耐火化学性が乏しくなる。また失透を防いでい
る。さらに好ましくは1〜1.5wt%である。
【0032】アルカリ金属酸化物は、強力な媒熔剤であ
り、大量に加えると機械的強度を悪化させる。と同時に
熱膨張率を増加させる。よってNa2O、K2O、及びL
i2Oの一種以上が6〜15wt%の組成とする。なお、ソ
ーダをカリで置換すると光沢を増し、熱膨張係数を減少
させる。また、アルカリ金属酸化物は、量が多くなると
熱膨張係数が高くなりセラミックコア部との不適合によ
り貫入が発生し易くなる。
【0033】上記原料組成を基本として、以下に他の化
合物の添加、置換及び修飾等の好ましい態様を述べる。
【0034】MgOが、6wt%を超えると失透し、比較
的低温では耐火剤となるので、MgOが6wt%以下とす
る。MgOを添加することで、他の塩基成分より熱膨張
係数を減少させる。CaOもMgOと同性質であり、多
量に添加すると硬度は増すが失透を起こす。
【0035】Li2Oは、熱膨張率の増加を押さえ強力
な媒熔剤となるが、機械的強度も上がるが、3wt%を超
えると失透するので、Li2Oが3wt%以下、0.3wt%以
上が好ましく、さらに好ましくは上限が2wt%以下でよ
り透明度が高い。
【0036】以上の原料組成を有する陶材を焼成したも
のは、オールセラミッククラウンのコア部(素地)と熱
膨張率がほぼ等しく、焼結体で熱膨張率が6×10-6〜7
×10-6/℃であり、焼成後にコア部(素地)と築盛層
(釉)との剥離や変形が生じない。築盛層の熱膨張係数
がコア部よりわずかに小さいと、築盛層及びオールセラ
ミッククラウンの機械的強度(抗折力、靱性等)は一層
増大する。
【0037】以上の原料組成を有する陶材は、焼結体で
曲げ強度6.5kgf/mm2(63.7MPa)以上、破壊靱性3.8kgf
(1.18MPam1/2)以上を示しオールセラミッククラウン
のコア部上の築盛層に使用する歯科用陶材として十分な
強度と前記熱膨張特性を示し非常に優れている。
【0038】本発明の陶材は、単独の焼結体、又は多孔
質セラミックに浸透する略ガラス質としても使用可能で
ある。
【0039】
【実施例】
(実施例A)平均粒径が3μmのアルミナ粉末原料99.2重
量部に対して平均粒径が1μmの金粉末0.1重量部及び
平均粒径が3μmのガラス粉末0.7重量部(La2O3 4
4.0重量部、B2O3 21.6重量部、SiO2 12.6重量
部、Al2O3 14.9重量部)を混合し、石膏板上に鋳込
み、次いで、その多孔質層を1110℃まで20分で昇
温しその後1110℃で10分間保持して焼成した。得
られた多孔質層を1100℃まで10分間で昇温しその
後1100℃で所定時間保持し、軟化点728℃のガラ
スを含浸させ、オールセラミッククラウンのコア部1を
作成した。ガラス含浸後のコア部1の組成は、アルミナ
78.1wt%、SiO2 3.2wt%、La2O3 11.3wt
%、B2O3 5.5wt%、その他 アルカリ金属、ア
ルカリ類酸化物等であり、得られたコア部の熱膨張率は
6.4〜6.9×10-6/℃であった。
【0040】このオールセラミッククラウンのコア部1
の上層面に、表1に示す各組成を有する陶材を塗布し
て、約コア部の2倍の厚さに築盛し、各最適焼成温度
(1000℃付近)まで約30分間で昇温しその後所定時間
保持焼成した。
【0041】図1に、上記方法で製作されたコア部1の
上層面が本実施例の陶材からなる築盛層2で被覆された
オールセラミッククラウンを示す。
【0042】表1に、上記方法で得られた実施例1〜8
の陶材の原料組成を重量比(wt%)で示す。
【0043】
【表1】
【0044】これらの実施例1〜8の組成を有する陶材
からなる築盛層1を備えたオールセラミッククラウンの
透明度、コア部2と被覆層2のマッチング(変形の有
無)を観察し、さらに、築盛層1をコア部2に設ける際
の最適な焼成温度を検討した。そして、陶材の焼結体単
独で強度、破壊靱性、並びに熱膨張率を測定した。
【0045】なお、曲げ強度試験はJIS3点曲げ試験
により、破壊靱性試験(IF法による)は、以下の機
器、条件で行った。 使用機器:松沢精機製ビッカース硬度計 DVK−1 試験条件:温度−−−−−−−−常温 荷重−−−−−−−−20Kgf(196N) 荷重印加速度−−−−70μm/s 保持時間−−−−−−15秒 圧コン数−−−−−−5個/試料
【0046】表2に、表1の実施例1〜9の組成を有す
る陶材からなる築盛層が備えるオールセラミッククラウ
ンの焼成状態(透明度、マッチング(変形の有無))、破
壊靱性、熱膨張率、並びに一部について最適焼成温度又
は曲げ強度の測定結果を示す。
【0047】
【表2】
【0048】表2の実験結果より、特に、SiO2が76
〜79wt%で、破壊靱性が高く、最適焼成温度も低い。A
l2O3含有率が高いと破壊靱性が向上する傾向が見ら
れ、Al2O3は3wt%以上、より好ましくは、7wt%以
上で破壊靱性値が3.8kgf(1.18MPam1/2)以上となる。
またSiO2とAl2O3の合量が多い程破壊靱性が向上
している。B2O3を適量比(0.5〜2.5wt%)含むことに
より、媒熔剤として、又は熱膨張率を下げる作用を示し
ているものと推定される。さらに好ましくはB2O3が1
〜1.5wt%である。Na2O、K2O、及びLi2Oの
一種以上からなるアルカリ金属酸化物の群も、媒熔剤と
して働いている。
【0049】実施例1〜8の組成の有する陶材からなる
築盛層を有するオールセラミッククラウンは、いずれも
透明度が高く外観が優れている。また、コア部との界面
で、築盛層の剥離、脱落及び変形が生じていない。さら
に、焼結体で破壊靱性は約3.83kgf(1.19MPam1/2)以上
を示し、曲げ強度が約6.5kgf/mm2(63.7MPa)以上あ
り、非常に強度が高い。さらに、熱膨張率が6×10-6
7×10-6/℃の範囲内にあり、セラミック又は金属成分
含有セラミックからなるコア部1との熱膨張率がほぼ等
しく、このため焼成後コア部とのマッチング(密着性)
が良く、変形も生じていない。
【0050】このように、本実施例の陶材はオールセラ
ミッククラウンの被覆層として条件であるコア部との密
着性、親和性及び強度、靱性の要素を全て兼ね備えてい
る歯科用陶材である。
【0051】本実施例の陶材は、歯科用としては、オー
ルセラミッククラウン及び金属成分を含むオールセラミ
ッククラウンの築盛層の他、金属で裏打ちされたクラウ
ンの築盛層としても使用できる。さらに、他の生体用の
セラミック質を有する材料の被覆材(例えばセラミック
人工骨)として用いても上記特性を発揮し、生体親和性
も高いので、やはり優れている。
【0052】(比較例1〜7)(組成品番1−1〜8、2
−1〜3、3−1、4−1〜2、5−1〜8、6−1〜3、7−
1) さらに、比較例として下記の組成を有する陶材を実施例
と同様の方法で築盛層2とし、同様の試験をおこなっ
た。
【0053】表3〜9に、夫々比較例1〜7の陶材の原
料組成を重量比(wt%)で表2に示す。
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】
【表8】
【0060】
【表9】
【0061】表10〜16に、各実施例1〜9の組成を
有する陶材からなる築盛層を備えるオールセラミックク
ラウンの焼成状態(透明度、マッチング(変形の有
無))、破壊靱性、熱膨張率、並びに一部について最適
焼成温度又は曲げ強度の測定結果を示す。
【0062】
【表10】
【0063】比較例1−1〜8(組成は表3)の陶材は、
Li2Oが3wt%以上であり、焼成状態で失透し、歯科
用陶材としては外観が劣ることが分かった。よって、L
i2Oは3wt%未満、より好ましくは2wt%未満であ
る。
【0064】
【表11】
【0065】比較例2−1〜3(組成は表4)の陶材は、
Al2O3が14wt%以上であり、焼成状態で失透し、歯科
用陶材としては外観が劣ることが分かった。よって、A
l2O3は14wt%未満、より好ましくは13.5wt%未満であ
る。
【0066】
【表12】
【0067】比較例3−1(組成は表5)の陶材は、S
iO2が80wt%以上であり、フリット化難でありコア部
を均一に被覆することができない。よって、SiO2は8
0wt%以下を要する。
【0068】
【表13】
【0069】比較例4−1〜2(組成は表6)の陶材は、
MgOが6wt%以上であり、低温では溶解せず、高温で
焼成しても失透する。よって、MgOは6wt%未満が好
ましい。CaOも同様である。
【0070】以上の比較例では、焼成不可であったり、
焼成状態での透明度が著しく劣り、外観が重要な要素と
なる歯科用材として不適であった。
【0071】
【表14】
【0072】比較例5−1〜8(組成は表7)の陶材は、
SiO2とAl2O3の合計が83wt%以下であり、いずれ
も破壊靱性値3.74kgf(1.16MPam1/2)以下で、焼成によ
り凸状の変形が生じコア部とのマッチングが悪化してい
る。熱膨張率も6〜7×10-6/℃の範囲を逸脱するもの
が多い。よって、SiO2とAl2O3の合計が83wt%以
上、より好ましくは86wt%以下である。
【0073】
【表15】
【0074】比較例6−1〜3(組成は表8)の陶材は、
熱膨張率も7×10-6/℃を超え、焼成により凹状の変形
が生じコア部とのマッチングが悪化している。なお、B
2O3が3wt%を超えると軟化点が下がり焼結最適温度が
下がる。
【0075】
【表16】
【0076】比較例7−1(組成は表9)の陶材は、wt
%のため、熱膨張率も6×10-6/℃未満で、焼成により
凸状の変形が生じコア部とのマッチングが悪化してい
る。
【0077】
【発明の効果】以上述べたように本発明の歯科用陶材に
よれば、SiO2:67〜80wt%、Al2O3:3〜14wt
%、但しSiO2とAl2O3の合計が83wt%以上、B2O
3:0.5〜2.5wt%、アルカリ金属酸化物であるNa2O、
K2O、及びLi2Oの一種以上が6〜15wt%の原料組成
を有するので、焼成前後でセラミック素地、例えばオー
ルセラミッククラウンのコア部とのマッチングが良く、
焼成後に外観が美しく(透明度良)、高強度、高靱性
で、信頼性に優れたセラミック素地築盛層の材料とな
る。さらに、焼結体としては、破壊靱性は約3.84kgf
(1.19MPam1/2)以上を示し、曲げ強度が約6.5kgf/mm2
(63.7MPa)以上あり、非常に機械的強度が高い。さら
に、コア部と陶材からなる築盛層の両者の熱膨張率が共
に6×10-6〜7×10-6/℃の範囲内にあり、セラミック
又は金属成分含有セラミックからなる素地(コア部1)
との熱膨張率がほぼ等しく、このため焼成後コア部との
マッチング(密着性)が良く、変形も生じていない。
【0078】さらに、本発明の歯科用陶材においてSi
O2:76〜79wt%、Al2O3:7〜10wt%、但しSiO2
とAl2O3の合計が86wt%以上であることで、上記効果
が一層発揮され、特に破壊靱性値が向上する。
【0079】本発明の歯科用陶材において、塩基性酸化
物である、MgOを0.2〜6wt%を添加することによっ
て、透明性を維持し、硬度を上げ、熱膨張係数を減少さ
せる。MgOを塩基性酸化物の中でもこのような添加効
果が大きい。
【0080】本発明の歯科用陶材において、更にB2O3
が1〜1.5wt%がであることで、熱膨張率を低下させセラ
ミック素地との適合性が上がるので好ましい。
【0081】本発明の歯科用陶材において、アルカリ金
属酸化物全体が6〜15wt%で、但しその内Li2Oが0.2
〜3wt%であることで、熱膨張率の増加を押さえるが強
力な媒熔剤となり、失透も生じない。さらに好ましくは
2wt%以下でより透明度が高い。
【0082】本発明の歯科用陶材において、焼結体の熱
膨張率が6×10-6〜7×10-6/℃であることで、セラミ
ック素地とのマッチングが良く、変形、剥離、脱離、ク
ラック又はピンホールのような欠陥を生じない。さら
に、素地の機械的強度(曲げ強さ、靱性)を向上させる
ことができる。
【0083】本発明の歯科用陶材は、焼結体で、いずれ
も曲げ強度6.5kgf/mm2(63.7MPa)以上、破壊靱性3.8kg
f(1.18MPam1/2)以上の高い機械的強度を発揮し、さら
には、SiO2とAl2O3の合計が86wt%以上かつAl2
O3が多いことで破壊靱性4kgf(1.24MPam1/2)以上を
示す。
【0084】本発明の歯科用陶材は、オールセラミック
クラウンのセラミック質からなるコア部に築盛される焼
結体の原料でなることで、外観上透明度が高く、焼結時
に変形等の焼結欠陥を発生せずオールセラミッククラウ
ンとのマッチングが良く、かつ機械的強度を高める、と
いう効果を奏する。そして、3冠以上のオールセラミッ
ククラウンを作製可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コア部1の上層面が本実施例の陶材からなる築
盛層2で被覆されたオールセラミッククラウンの断面図
を示す。
【符号の説明】
1 築盛層(陶材の焼成体) 2 コア部(オールセラミッククラウンのコア部)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 貴弘 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番 36号 株式会社ノリタケカンパニーリミ テド内 (72)発明者 福田 洋一 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番 36号 株式会社ノリタケカンパニーリミ テド内 (56)参考文献 特開 昭59−184741(JP,A) 特開 昭59−195551(JP,A) 特開 昭63−156036(JP,A) 特開 平1−212248(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C03C 8/00 C03C 3/00 - 3/32

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】SiO2:67〜80wt%、 Al2O3:3〜14wt%、 但しSiO2とAl2O3の合計が83wt%以上、 B2O3:0.5〜2.5wt%、 アルカリ金属酸化物であるNa2O、K2O、及びLi2
    Oの一種以上が6〜15wt%の原料組成を有することを特
    徴とする歯科用陶材。
  2. 【請求項2】SiO2:76〜79wt%、 Al2O3:7〜10wt%、 但しSiO2とAl2O3の合計が86wt%以上、であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の歯科用陶材。
  3. 【請求項3】原料組成で、塩基性酸化物であるMgOを
    0.2〜6wt%添加したことを特徴とする請求項1又は2
    に記載の歯科用陶材。
  4. 【請求項4】原料組成で、アルカリ金属酸化物であるN
    a2O、K2O、及びLi2Oの一種以上が6〜15wt%、 但し、Li2O:0.2〜3wt%であることを特徴とする請
    求項1〜3のいずれか一に記載の歯科用陶材。
  5. 【請求項5】焼結体で、熱膨張率が6×10-6〜7×10-6
    /℃であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一
    に記載の歯科用陶材。
  6. 【請求項6】焼結体で、曲げ強度6.5kgf/mm2(63.7MP
    a)以上、 破壊靱性4kgf(1.24MPam1/2)以上であることを特徴と
    する請求項1〜5のいずれか一に記載の歯科用陶材。
  7. 【請求項7】オールセラミッククラウンのセラミック質
    からなるコア部に築盛される、ことを特徴とする請求項
    1〜6のいずれか一に記載の歯科用陶材。
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