JP2906037B2 - 被粉砕物の搬送装置 - Google Patents

被粉砕物の搬送装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、粉砕装置などに
供給される被粉砕物の搬送装置に関し、特に搬送装置の
無端帯上に山なりの状態で投入される被粉砕物を無端帯
の幅方向に一様に拡散させることにより粉砕装置などの
次工程へ連続的に搬送させる装置に属する。
【0002】
【従来の技術】従来、粉砕装置に搬送される被粉砕物
は、無端帯を備えたベルトコンベアなどの搬送装置によ
って連続的に搬送されることは知られているとおりであ
る。たとえば、窯業製品の製造において粘土などの原料
を成形工程に先立って粉砕などの前処理を行う必要があ
る。
【0003】通常、ロールクラッシャなどの粉砕装置に
より被粉砕物が粉砕されるが、被粉砕物はベルトコンベ
アなどの搬送装置から連続的にロールクラッシャなどの
粉砕装置の投入口に供給される。ところが、搬送される
被粉砕物は、搬送装置の無端帯の幅方向の中央部が隆起
したいわゆる山なり状の状態になっていることが普通で
ある。しかし、山なり状態の被粉砕物をそのままの状態
で連続的にロールクラッシャに供給すると、ロールクラ
ッシャのロール表面の中央部に多量の被粉砕物が集中的
に供給され、ロール間を通過することになる。
【0004】他方、ロール表面の両側端付近に向かうに
したがって被粉砕物の供給量が徐々に少なくなる。その
結果、ロールの両側端付近を通過する被粉砕物の通過量
は、ロールの中央部に比較して著しく少ない。
【0005】よって、ロールの中央部は両側端付近に比
較して被粉砕物側の供給量が多いため、ロールの中央部
付近の摩耗が激しい。このため、ロールに偏摩耗を生ず
ることになり、粉砕能力の低下を招くことはもちろん、
ロールの中央部付近と両側付近との偏摩耗を解消するた
め、頻繁にロールを切削することによりロールの偏摩耗
状態を解消する必要が生じていたし、頻繁なロールの切
削作業の結果、ロールの寿命が短くなり、短時間でロー
ルの交換を余儀なくされているのが実情であった。
【0006】そのため、被粉砕物を無端帯上で拡散する
ことにより、山なり状態に搬送される被粉砕物を一定の
高さの層状となす搬送装置が提供されている。図5に示
されるこの種の従来例の拡散機構を備えた搬送装置は、
その本体部Cの平坦な無端帯B上に水平方向に回転する
回転体Tが設けられ、この回転体Tの軸から外周にかけ
て無端帯Bに向けて多数の拡散片Kが垂設されている。
【0007】この例は、回転体Tを回転させることによ
り拡散片Kを山なり状態の被粉砕物Mに相対するように
干渉させ、拡散片Kの回転作用により被粉砕物Mを無端
帯Bの幅方向に拡散し、拡散された無端帯B上の被粉砕
物Mを粉砕装置などの次工程へ連続的に供給するもので
ある。
【0008】このような拡散機構によれば、拡散片Kの
回転作用の及ぶ範囲内の被粉砕物Mについては山なり状
態を一応解消できる。しかし、無端帯の幅が狭い場合で
は(たとえば1,200mm程度)、拡散機構は小型で
足りるものの、無端帯Bの幅が広い場合では(1,80
0〜2,400mm)、拡散機構の著しく大きなものを
採用せざるを得ない。
【0009】もちろん、拡散機構を大きくすることは理
論的に考えられるが、この場合、拡散片Kは大きな円を
描くように回転することは明らかである。したがって、
拡散片Kを大きな円を描くようして回転させることは、
その回転に追従して被粉砕物Mを大きな円を描いて拡散
することになる。その結果、被粉砕物Mの移動距離(回
転距離)を長くすることになり、走行する無端帯B上で
被粉砕物Mを一様に拡散することに困難性があった。
【0010】その上、図5に示されるような従来の技術
では、被粉砕物Mの一様な拡散を図るためには、山なり
状態の被粉砕物Mを無端帯Bの上流側における回転体T
と干渉する側に片寄せざるを得ない(図面上では左側に
被粉砕物Mが片寄せられている)。
【0011】何故なら、被粉砕物Mを無端帯Bの幅方向
の中央部に投入した場合、被粉砕物Mは一方向にのみ回
転しつつ拡散されるから、拡散機構の下流側において一
様に拡散できないので、前記したように被粉砕物Mの投
入位置が無端帯Bの一側寄りになるように配慮されてい
る。つまり、この従来例では、回転体Tは一方向にのみ
回転するから、被粉砕物Mが回転体Tの拡散片Kに干渉
することにより、半径を描くように一側から他側にかけ
て拡散されることになるからである。
【0012】かくして、一様に被粉砕物Mを拡散するた
めには前記したように被粉砕物Mを無端帯Bの一側寄り
に載置せざるを得ないという制約を受けた。
【0013】その結果、上流側の駆動軸Nの一側に常時
被粉砕物Mの荷重がかかることになるため、駆動軸Nや
無端帯Bの一側が他側に比較して損傷を受けやすいとい
う問題点があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】この発明が解決しよう
とする課題は、被搬送物の山なり状態の被粉砕物を一様
に搬送することの確実性に欠けることや幅の広い無端帯
上に搬入される被搬送物を搬送する場合において、被搬
送物の拡散を一様に実施できない点、上流側の駆動軸の
一側や無端帯の一側が他側に比較して損傷を受け易いと
いう点、また、一様に拡散できないためロールクラッシ
ャヘ搬送される場合では、ロールの中央部付近に被粉砕
物が集中的に供給されるおそれがあり、ロールの中央部
付近の摩耗が両端付近に比較して激しい点である。
【0015】この発明の目的は、幅広の無端帯上に搬入
される山なり状の被粉砕物の搬送を一様に拡散して搬送
することの確実性を得ること、上流側の駆動軸の一側や
無端帯の一側の損傷を少なくし、また、次工程にロール
クラッシャが採用される場合に際して、被搬送物を一様
にロール間に供給することによりロール中央部付近に対
する集中的な被粉砕物の搬送を抑制することにより、ロ
ールの中央部付近の摩耗を防止することにある。
【0016】
【問題を解決するための手段および作用効果】この発明
の被粉砕物の搬送装置は、無端帯を備えた被粉砕物の搬
送装置において、無端帯により連続的に搬送される被粉
砕物を分流する分流機構が無端帯の幅方向の中央付近の
無端帯上に配設され、分流機構の下流において、軸を備
えた一対の回転体が無端帯の幅方向に並設されるととも
に、軸から回転体の外周にかけ、かつ無端帯に向けて多
数の拡散片を備えた拡散機構が設けられてなることを特
徴とするのである。
【0017】そこで、この発明の作用効果について説明
すると、無端帯の略中央部に搬入された被粉砕物が分流
機構に達することにより、山なり状態の被粉砕物は二方
向に分流される。分流された被粉砕物は概ね半分程度の
大きさに分流され、回転中の拡散機構に到達することに
より、被粉砕物は拡散機構の拡散片に対する負荷を少な
くしつつ接触し、無端帯の走行と相待って拡散片の回転
方向に追従し、二方向に分流された被粉砕物を無端帯上
に一様に拡散できる。
【0018】また、拡散に先立って山なり状態の被粉砕
物を無端帯の中央部に投入させることができるから、上
流側の駆動軸に対して被粉砕物の荷重は左右均等に奏す
るので、従来のように駆動軸の一側にのみ荷重がかから
ないため、駆動軸の損傷がない。回転する無端帯の略中
央部に被粉砕物が投入させることができるから、被粉砕
物の荷重は無端帯の一方に偏ることなく、左右方向に均
等に及ぶので従来のように無端帯の一側のみが損傷する
ことがない
【0019】この搬送装置の次工程にロールクラッシャ
が採用される場合に際して、被搬送物を一様にロール間
に供給することによりロール中央部付近に対する集中的
な被粉砕物の搬送を抑制することにより、ロールの中央
部付近の摩耗を防止することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、この発明の実施の形態を
示す被粉砕物の搬送装置の斜視図であり、図2は被粉砕
物の搬送装置における拡散機構の回転体が互いに異なる
方向の外側に向けて回転される場合の平面図、図3は被
粉砕物の搬送装置における拡散機構の回転体が互いに内
側に向けて回転される場合の平面図、図4は被粉砕物の
搬送装置拡散機構の回転体が互いに同一方向の外側に向
けて回転される場合の平面図、図5は従来の搬送装置の
斜視図である。
【0021】被粉砕物Mの搬送装置の本体部10を構成
する無端帯12は両側の駆動軸14、14に掛装され、
知られているように駆動軸14の回転により回転可能で
あり、この無端帯12上に山なり状態の被粉砕物Mが搬
入される。
【0022】無端帯12の上流側の幅方向の中央に上流
側が先鋭であって、平面から見たとき下流側に向けて徐
々に幅を広くした楔形の分流機構16が無端帯12に好
ましくは接することなく、一定の間隔(たとえば50m
m程度)を隔てて設けられている。
【0023】分流機構16を無端帯12に近接して設け
るため、無端帯12を跨いで設けられた図示を省略した
支持部材に分流機構16が装着されている。
【0024】この分流機構16は無端帯12に搬入され
る山なり状態の被粉砕物Mを二分するためのものであ
る。
【0025】分流機構16の下流であって、無端帯12
の駆動方向の分流機構16の延長線の両側に拡散機構1
8を構成する回転体20の一対が配設されている。つま
り、回転体20の一対は分流機構16により予め分流さ
れた被粉砕物Mに干渉する位置に設けられている。
【0026】拡散機構18は、軸を備えた一対の回転体
20が無端帯12の幅方向に並列して設けられるととも
に、軸から回転体20の外周にかけ、かつ好ましくは無
端帯12と間に一定の間隔を隔てて拡散片22を備えた
ものであり、これらの回転体20はモータなどの駆動源
に連結されている。
【0027】さらに詳しくいえば、回転体20の軸から
から放射状に拡散片22を支持するために拡散片用支持
片23がその軸から放射状に設けられ、これらの拡散片
用支持片23に多数の棒状の拡散片22が無端帯12に
向けて垂設されている。拡散片22は無端帯12から遊
離しているが、この実施の形態では50mm程度の間隙
が設けられている。
【0028】拡散機構18を無端帯12上に遊離状態に
設ける手段は、図示を省略してあるが、無端帯12を跨
いで梁が設けられ、その梁に駆動源が搭載されるととも
に梁から拡散機構18が垂設されている。
【0029】よって、この実施の形態の搬送装置によ
り、予め分流機構16により無端帯12上で分流された
被粉砕物Mは、拡散機構18の拡散片22のうち、無端
帯12の中央部側に位置する回転体20の半円部分によ
って干渉され、回転体20が互いに異なる方向の外側に
向けて回転される場合は(図2を参照)、分流された被
粉砕物Mは無端帯12の走行と相待って内側から外側に
かけて回転しつつ無端帯12の幅方向に山なり状態を解
消し、下流側に一様に拡散される。
【0030】また、図3を参照することにより明らかな
ように、回転体20が互いに内側に向けて回転される場
合は、分流された被粉砕物Mの移動方向は前記の場合と
反対ではあるが、同様に下流側に一様に拡散される。
【0031】さらに、回転体20を互いに同一方向の外
側に向けて回転させる場合は(図4を参照)、分流機構
16の形状を平面から見て無端帯12の上流側を先鋭に
設け、一側の側面を無端帯12の走行方向と平行に設
け、他側の側面を無端帯12の上流側から下流側にかけ
てその上流側の先端から下流の外側に向け傾斜させた構
成とし、この分流機構16によって被粉砕物Mを分流制
御して拡散機構18に供給し、被粉砕物Mを一様にする
こともできる。
【0032】また、拡散された被粉砕物Mをより一様な
状態にするために拡散機構18の下流に二次拡散機構2
4を設けることも発明者は予定している。二次拡散機構
24は、無端帯12上に水平に配設された駆動源に連結
された回転軸26と回転軸26の周方向に立設された多
数の拡散片28からなるものである。
【0033】これらの拡散片28は、拡散機構18の拡
散片22と同様に無端帯12から遊離状態に設けられて
いる。二次拡散機構24の回転軸26は、図示を省略し
たが、無端帯20の幅方向の両側に立設された杆体に軸
支され、一方の回転軸26に駆動源が接続されている。
【0034】したがって、回転軸26の回転によって回
転軸26の軸芯の下方では多数の拡散片28が被粉砕物
Mの搬送方向に逆らうように干渉し、被粉砕物Mはより
一層一様に拡散される。
【0035】回転軸26の回転速度は、無端帯12の搬
送速度や被粉砕物Mの量などにより適宜に設定されるこ
とは拡散機構18の場合と同じである。
【0036】この実施の形態では、粘土を主体とする窯
業原料を発明の対象としているが、土砂、砕土や造粒物
などにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態を示す被粉砕物の搬送装
置の斜視図である。
【図2】被粉砕物の搬送装置における拡散機構の回転体
が互いに異なる方向の外側に向けて回転される場合の平
面図である。
【図3】被粉砕物の搬送装置における拡散機構の回転体
が互いに内側に向けて回転される場合の平面図である。
【図4】被粉砕物の搬送装置拡散機構の回転体が互いに
同一方向の外側に向けて回転される場合の平面図であ
る。
【図5】従来の被粉砕物の搬送装置の斜視図である。
【符号の説明】
12 無端帯 16 分流機構 18 拡散機構 20 回転体 22 拡散片 24 二次拡散機構 26 回転軸 28 拡散片

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無端帯を備えた被粉砕物の搬送装置にお
    いて、 無端帯により連続的に搬送される被粉砕物を分流する分
    流機構が無端帯の幅方向の中央付近の無端帯上に配設さ
    れ、 分流機構の下流において、軸を備えた一対の回転体が無
    端帯の幅方向に並設されるとともに、軸から回転体の外
    周にかけ、かつ無端帯に向けて多数の拡散片を備えた拡
    散機構が設けられてなることを特徴とする被粉砕物の搬
    送装置。
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