JP2905849B2 - 大スパン人工地盤の施工法 - Google Patents

大スパン人工地盤の施工法

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哲也 大田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、都市空間を創造する大
スパン人工地盤の施工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄道、線路、操車場、河川などの上空
は、従来、上方がオープンスペースの未利用のものであ
る。鉄道架線を例にとると、これが有るために左右に地
域が分断され、その上空の利用のみならず、周囲のエリ
アについても有機的な利用ができない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような上方がオー
プンスペースの未利用エリアの上方に、デッキを掛け渡
し、このデッキ上を通路、広場等に利用する着想はある
が、このデッキは鉄筋コンクリート製や鉄骨製のもので
あるとしても、構造的には比較的小スパンのものに限定
され、また、上面のみの利用に限定されその内部を利用
できるものではない。
【0004】本発明の目的は前記事情を鑑みて、都市に
新しいスペースを創出でき、特に駅上など、資産価値の
高い場所に、広大な場所を提供することにより都市の高
度利用を図り、都市の新しい情報発信基地を形成できる
大スパン人工地盤の施工法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するため、鉄道架線、道路、河川等既使用スペースの脇
に沿って連続地中壁を施工し、ついで、パイプルーフ工
法を用いたアンダーピニングで前記既使用スペースの地
下部を掘削し、既使用スペースの地下を横切るように地
下部躯体を構築し、この地下部躯体を地中梁、基礎とし
て既使用スペースの脇に沿って構台を構築し、この構台
を使用して吊り橋工法による1本目の主桁架構を構築
し、該1本目主桁架構を構築後、これを製作ヤードとし
て2本目主桁架構〜最終主桁架構をスライディング工法
により構築して、全体を橋脚部構築物と桁部構築物とを
一体化した架構として形成することを要旨とするもので
ある。
【0006】
【作用】本発明によれば、架構は180 m程度の大スパン
のものが可能となり、鉄道架線、道路、河川等既使用ス
ペースの上方空間は架構で覆われ、この架構の上面を広
場、公園、ヘリポート等に利用できるとともに、架構の
内部空間はこれを広々とした空間として通路、広場他、
店舗、ホテル、アトリウム等に利用できる。また、地下
部躯体を地中梁、基礎のみならず、店舗、駐車場に利用
できる地下街として使用し、上部構造物である架構と構
造上も一体化しており、使用上も一体的利用が図れる。
【0007】
【実施例】以下、図面について本発明の実施例を詳細に
説明する。図1〜図22は本発明の大スパン人工地盤の施
工法の第1実施例を示すものである。また、図23は本発
明工法により施工したる大スパン人工地盤の斜視図であ
る。
【0008】図中1は、鉄道架線、道路、河川等の既使
用スペースで、図示の例は鉄道架線で、駅2があるエリ
アの場合であが、初めに図1、図2に示すように既使用
スペース1の左右両脇に沿って連続地中壁11を施工し、
ついで、図3、図4に示すようにパイプルーフ12で土留
め防護工とするパイプルーフ工法を用いたアンダーピニ
ングで前記既使用スペース1の地下部を掘削する。図4
中、13は法面である。
【0009】そして、図5に示すように、既使用スペー
スの地下を横切るように鉄筋コンクリート構造物による
地下部躯体3を構築する。さらに、図6、図7に示すよ
うにこの地下部躯体3を地中梁、基礎として、地下部躯
体3の脇部4上に既使用スペース1の脇に沿って構台14
を構築する。図中15は構台14に施す床板である。また、
構台14の内側サイドにはレール16を設けておく。
【0010】図8、図9に示すように、この構台14同士
間に端部をアンカー17で固定したワイヤー18を掛け渡
し、吊り橋工法により一本目の主桁架構を構築し、該1
本目の主桁架構191 を構築する。この1本目主桁架構19
1 の構築後、図10、図11に示すように仮設のワイヤー18
を撤去し、図12に示すようにこの1本目主桁架構191
製作ヤードとして2本目主桁架構192 〜最終主桁架構19
n をスライディング工法により構築する。
【0011】図19〜図22はこの1本目主桁架構191 を製
作ヤードとする詳細を示すもので、図19に示すように、
鉛直方向にのみ平面をもつ平面トラスであるハシゴ状の
主桁20を1本目主桁架構191 脇の数10cmの場所で組立て
る。なお、この組立は製作ヤードである1本目主桁架構
191 に床板15を貼ったあとで、その上に、起重機、クレ
ーン等の建設機械を設置し、また、工場で製作済の大型
トラスであるパーツを載せて行われる。
【0012】図20に示すようにこの出来上がった主桁20
を前記レール16に沿ってスライドする。このスライドは
1本の主桁架構の幅に等しい。そして、図21に示すよう
に、他のサイドの主桁20を同様の手順で製作し、図22に
示すように主桁20相互間に横桁、ブレースを掛け渡して
主桁架構を完成させる。
【0013】この完成した2本目主桁架構192 は図13に
示すように、レール16に沿って移動させ、所定の位置に
定着させる。次いで、図14に示すように3本目主桁架構
193をこの2本目主桁架構192 と同様に製作し、以下、
図15に示すように最終主桁架構19n (図示では6本目主
桁架構196 )を製作する。そして、これら1本目主桁架
構191 〜最終主桁架構19n は適宜間隔で並べられ、図16
に示すようにそれら相互間は横桁、ブレースを掛け渡し
て連結し、図17に示すように全体を橋脚部構築物6と桁
部構築物7とを一体化した架構8として形成する。
【0014】さらに、本実施例の場合は、図18に示すよ
うに桁部構築物7の上に多目的ドーム10を構築した。
【0015】次に、このようにして施工した大スパン人
工地盤について説明する。これら橋脚部構築物6や桁部
構築物7を構成する立体トラス構造の鉄骨骨組5の詳細
を図24や図25に示すと、図24は全体骨組図、図25は単位
骨組図で、構造部材としては例えば、大口径の角管(口
−1.0 m ×1.0 m から1.5 m ×1.5 m 程度)を使用して
15m間隔にブレースを施し、全体の大きさは例えばこの
15m間隔の骨組が12個ある180 m×180 mのものであ
る。
【0016】なお、本実施例は、桁部構築物7は1また
は数層で、全体を低層タイプの架構8としたもので、脚
柱高さ15m、内空高さ15m、計30m程度である。
【0017】橋脚部構築物6や桁部構築物7は床板15を
配設し、フロア高さは7.5 m程度で、鉛直方向の柱は一
切存在しない広い空間となる。また、これら橋脚部構築
物6や桁部構築物7の鉄骨骨組5の側面は、高層ビル用
高密度ガラスでのガラス貼りとすることにより、採光効
果が得られ、広々とした景観を楽しむことができる。
【0018】地下部躯体3はコンクリート構造物とし
て、内部スペースを通路、広場、駐車場、商店街等に利
用できるものである。また、橋脚部構築物6や桁部構築
物7の内部は、通路、広場や、店舗、オフィス、ホテル
等として利用する。さらに桁部構築物7の上面は樹木等
の緑をあしらい公園9等の広場として利用するのが適す
るが、ヘリポート等の設置も可能である。また、図示は
省略するが、桁部構築物7の上面をガラス貼りとして内
部をアトリウムとして構成することもできる。このよう
にすれば、桁部構築物7の内部を明るく、オープンな空
間とすることができる。
【0019】また、前記多目的ドーム10は直径150 m程
度のものが得られ、競技場、コンサートホール、見本市
市場等各種イベント広場として利用し、人の集まる空間
を創出できる。該多目的ドーム10の周囲は樹木等の緑を
あしらい公園9とする。
【0020】図26〜図29は本発明の第2実施例を示すも
ので、鉄道架線、道路、河川等既使用スペースの脇に沿
って連続地中壁を施工し、ついで、パイプルーフ工法を
用いたアンダーピニングで前記既使用スペースの地下部
を掘削し、既使用スペースの地下を横切るように地下部
躯体を構築し、この地下部躯体を地中梁、基礎として既
使用スペースの脇に沿って構台14を構築するまでの工程
は前記第1実施例と同様であるが、構台14は上方に大き
く立上げ、この間に掛渡す1本目主桁架構191〜最終主
桁架構19n は多数層の大型トラス構造物とする。
【0021】このようにして構築された架構8は、図29
に示すように構台として兼用する橋脚部構築物6は多数
層で上方に大きく立上げられ、桁部構築物7も多数層の
ものとして全体を高さ90m程度の高層タイプのものとす
る。そして、該桁部構築物7の内部はショッピングゾー
ン、オフィス、ホテル等の施設として利用する。
【0022】
【発明の効果】以上述べたように本発明の大スパン人工
地盤の施工法は、架構は大スパンのものが可能となり、
鉄道架線、道路、河川等既使用スペースの上方空間は架
構て覆われ、この架構の上面を広場、公園、ヘリポート
等に利用できるとともに、架構の内部空間はこれを広々
とした空間として通路、広場他、店舗、ホテル、アトリ
ウム等に利用できる。また、地下部躯体を地中梁、基礎
のみならず、店舗、駐車場に利用できる地下街として使
用し、上部構造物である架構と構造上も一体化してお
り、使用上も一体的利用が図れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の大スパン人工地盤の施工法の1実施例
の第1工程を示す縦断側面図である。
【図2】本発明の大スパン人工地盤の施工法の1実施例
の第1工程を示す平面図である。
【図3】本発明の大スパン人工地盤の施工法の1実施例
の第2工程を示す縦断側面図である。
【図4】本発明の大スパン人工地盤の施工法の1実施例
の第2工程を示す平面図である。
【図5】本発明の大スパン人工地盤の施工法の1実施例
の第3工程を示す縦断側面図である。
【図6】本発明の大スパン人工地盤の施工法の1実施例
の第4工程を示す縦断側面図である。
【図7】本発明の大スパン人工地盤の施工法の1実施例
の第4工程を示す平面図である。
【図8】本発明の大スパン人工地盤の施工法の1実施例
の第5工程を示す縦断側面図である。
【図9】本発明の大スパン人工地盤の施工法の1実施例
の第5工程を示す平面図である。
【図10】本発明の大スパン人工地盤の施工法の1実施
例の第6工程を示す縦断側面図である。
【図11】本発明の大スパン人工地盤の施工法の1実施
例の第6工程を示す平面図である。
【図12】本発明の大スパン人工地盤の施工法の1実施
例の第7工程を示す平面図である。
【図13】本発明の大スパン人工地盤の施工法の1実施
例の第8工程を示す平面図である。
【図14】本発明の大スパン人工地盤の施工法の1実施
例の第9工程を示す平面図である。
【図15】本発明の大スパン人工地盤の施工法の1実施
例の第10工程を示す平面図である。
【図16】本発明の大スパン人工地盤の施工法の1実施
例の第11工程を示す平面図である。
【図17】本発明の大スパン人工地盤の施工法の1実施
例の最終前の工程を示す縦断側面図である。
【図18】本発明の大スパン人工地盤の施工法の1実施
例の最終工程を示す縦断側面図である。
【図19】図12で示した第7工程のスライデング工法の
第1手順を示す平面図である。
【図20】図12で示した第7工程のスライデング工法の
第2手順を示す平面図である。
【図21】図12で示した第7工程のスライデング工法の
第3手順を示す平面図である。
【図22】図12で示した第7工程のスライデング工法の
第4手順を示す平面図である。
【図23】本発明工法で施工された大スパン人工地盤の
斜視図である。
【図24】本発明工法で施工された大スパン人工地盤の
全体骨組図である。
【図25】本発明工法で施工された大スパン人工地盤の
単位骨組図である。
【図26】本発明の大スパン人工地盤の施工法の他の実
施例の第4工程を示す縦断側面図である。
【図27】本発明の大スパン人工地盤の施工法の他の実
施例の第5工程を示す縦断側面図である。
【図28】本発明の大スパン人工地盤の施工法の他の実
施例の第6工程を示す縦断側面図である。
【図29】本発明の大スパン人工地盤の施工法の他の実
施例の第7工程を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
1…既使用スペース 2…駅 3…地下部躯体 4…脇部 5…立体トラス構造の鉄骨骨組 6…橋脚部構築物 7…桁部構築物 8…架構 9…公園 10…多目的ドーム 11…連続地中壁 12…パイプルーフ 13…法面 14…構台 15…床板 16…レール 17…アンカー 18…ワイヤー 191 …1本目主桁架構 192 …2本目主桁
架構 193 …3本目主桁架構 19n …最終主桁架
構 20…主桁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 須田 晃夫 東京都港区元赤坂一丁目2番7号 鹿島 建設株式会社内 (72)発明者 渡辺 陽子 東京都港区元赤坂一丁目2番7号 鹿島 建設株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04H 1/00 E01D 1/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄道架線、道路、河川等既使用スペース
    の脇に沿って連続地中壁を施工し、ついで、パイプルー
    フ工法を用いたアンダーピニングで前記既使用スペース
    の地下部を掘削し、既使用スペースの地下を横切るよう
    に地下部躯体を構築し、この地下部躯体を地中梁、基礎
    として既使用スペースの脇に沿って構台を構築し、この
    構台を使用して吊り橋工法による1本目主桁架構を構築
    し、該1本目の主桁架構を構築後、これを製作ヤードと
    して2本目主桁架構〜最終主桁架構をスライディング工
    法により構築して、全体を橋脚部構築物と桁部構築物と
    を一体化した架構として形成することを特徴とする大ス
    パン人工地盤の施工法。
  2. 【請求項2】 構台として兼用する橋脚部構築物は1ま
    たは数層で、全体を低層タイプの架構とした請求項1記
    載の大スパン人工地盤の施工法。
  3. 【請求項3】 構台として兼用する橋脚部構築物は多数
    層で上方に大きく立上げ、全体を高層タイプの架構とし
    た請求項1記載の大スパン人工地盤の施工法。
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