JP2904868B2 - 組織培養物からの球根の分離方法 - Google Patents
組織培養物からの球根の分離方法Info
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- JP2904868B2 JP2904868B2 JP13015090A JP13015090A JP2904868B2 JP 2904868 B2 JP2904868 B2 JP 2904868B2 JP 13015090 A JP13015090 A JP 13015090A JP 13015090 A JP13015090 A JP 13015090A JP 2904868 B2 JP2904868 B2 JP 2904868B2
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- Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、育種分野の中でも新しく発展してきた植物
細胞培養による育種・繁殖に関係する産業のうち、特
に、ユリ類など球根の繁殖に関連する産業において、培
養物から球根等を分離する技術に関するものである。
細胞培養による育種・繁殖に関係する産業のうち、特
に、ユリ類など球根の繁殖に関連する産業において、培
養物から球根等を分離する技術に関するものである。
ユリ類の繁殖は従来、分球や、鱗片ざしをするのが普
通であったが、近年の植物組織培養の発達にともない液
体振盪培養や、液体通気培養で繁殖が行われるようにな
ってきた。このメリットは、球根の生産を無菌的に行う
ため、ウイルスフリーの球根が容易に得られることであ
る。
通であったが、近年の植物組織培養の発達にともない液
体振盪培養や、液体通気培養で繁殖が行われるようにな
ってきた。このメリットは、球根の生産を無菌的に行う
ため、ウイルスフリーの球根が容易に得られることであ
る。
しかしながら、無菌状態であるため従来は自然に分解
していた古い鱗片がいつまでも存在し、新しく発生して
きた球根とくっついた状態のまま存在するようになっ
た。そのため、球根を個々に取り出すには、メスを使っ
て切り出していた。このことは、せっかくの新しい技術
を使いながら作業性が従来よりも低下する結果になって
いた。
していた古い鱗片がいつまでも存在し、新しく発生して
きた球根とくっついた状態のまま存在するようになっ
た。そのため、球根を個々に取り出すには、メスを使っ
て切り出していた。このことは、せっかくの新しい技術
を使いながら作業性が従来よりも低下する結果になって
いた。
本発明は、古い鱗片と新しく発生した球根がくっつい
た培養物から球根を効率的に剥す方法を提供することを
目的とする。
た培養物から球根を効率的に剥す方法を提供することを
目的とする。
本発明者らは、植物にはカビや細菌の侵略から身を守
るためのいろいろな防衛機構が存在しているが、この機
構は枯死した物や、傷を受けた部分では急激に低下し、
カビや細菌の持つ酵素により植物体が分解されてしまう
ことに着目し、材料に用いた鱗片を傷を受けた組織、新
しく生じた球根は傷のない元気な植物体と見なせるなら
ば、植物を分解し易い酵素類を用いることで、球根に損
傷を与えることなく新しく生じた球根を古い鱗片から剥
すことができると考えた。そこで、増殖させた培養物に
植物組織である細胞壁の構成成分を分解する酵素類、セ
ルラーゼ、ペクチナーゼ、ドリセラーゼなどを作用させ
たところ、期待した通り球根だけが鱗片塊より自然に剥
離してきた。剥離した球根の生存性を確かめるためバー
ミキュライト等の栽培用土中に移植したところ、メスを
用いて切り出したコントロールと同様の出葉率が得られ
た。これらのことから、本技術は培養物から生きている
球根を分離するのに有効な方法であると考え、本発明を
完成するに至った。
るためのいろいろな防衛機構が存在しているが、この機
構は枯死した物や、傷を受けた部分では急激に低下し、
カビや細菌の持つ酵素により植物体が分解されてしまう
ことに着目し、材料に用いた鱗片を傷を受けた組織、新
しく生じた球根は傷のない元気な植物体と見なせるなら
ば、植物を分解し易い酵素類を用いることで、球根に損
傷を与えることなく新しく生じた球根を古い鱗片から剥
すことができると考えた。そこで、増殖させた培養物に
植物組織である細胞壁の構成成分を分解する酵素類、セ
ルラーゼ、ペクチナーゼ、ドリセラーゼなどを作用させ
たところ、期待した通り球根だけが鱗片塊より自然に剥
離してきた。剥離した球根の生存性を確かめるためバー
ミキュライト等の栽培用土中に移植したところ、メスを
用いて切り出したコントロールと同様の出葉率が得られ
た。これらのことから、本技術は培養物から生きている
球根を分離するのに有効な方法であると考え、本発明を
完成するに至った。
即ち、本発明の組織培養物からの球根の分離方法は、
細胞培養物から球根を分離するに当たり、該組織培養物
を、植物細胞壁の構成成分を分離する酵素類の少なくと
も1種で処理することを特徴とするものである。
細胞培養物から球根を分離するに当たり、該組織培養物
を、植物細胞壁の構成成分を分離する酵素類の少なくと
も1種で処理することを特徴とするものである。
本発明の材料には、種々の球根植物、例えば鉄砲ユ
リ、カノコユリ、スカシユリなどのユリ類、チューリッ
プ、グラジオラス、球根アイリスの組織培養法による培
養物が適用可能であり、またその培養手段は問わない。
リ、カノコユリ、スカシユリなどのユリ類、チューリッ
プ、グラジオラス、球根アイリスの組織培養法による培
養物が適用可能であり、またその培養手段は問わない。
本発明に用いる酵素としては、植物細胞壁の構成成
分、例えばセルロース、ヘミセルロース、ペクチン、ペ
クチン酸を分解する酵素であれば、如何なるものでもよ
く、例えば、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナー
ゼ、ドリセラーゼ等が挙げられる。また、これらの酵素
は1種類だけで使用してもよいが、2種類以上を組み合
わせたもの、又は、市販の酵素を用いることもできる。
分、例えばセルロース、ヘミセルロース、ペクチン、ペ
クチン酸を分解する酵素であれば、如何なるものでもよ
く、例えば、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナー
ゼ、ドリセラーゼ等が挙げられる。また、これらの酵素
は1種類だけで使用してもよいが、2種類以上を組み合
わせたもの、又は、市販の酵素を用いることもできる。
前記酵素類は、通常、水溶液、好ましくは濃度0.0001
〜5%の水溶液として用いられ、通常、該水溶液に組織
培養物を浸漬し、静置または適当に攪拌することにより
処理を行う。酵素水溶液のpHは、好ましくは3.5〜6で
ある。また、処理温度は、好ましくは20〜35℃である。
〜5%の水溶液として用いられ、通常、該水溶液に組織
培養物を浸漬し、静置または適当に攪拌することにより
処理を行う。酵素水溶液のpHは、好ましくは3.5〜6で
ある。また、処理温度は、好ましくは20〜35℃である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、
以下の実施例は本発明の範囲を何ら制限するものではな
い。
以下の実施例は本発明の範囲を何ら制限するものではな
い。
実施例1 液体通気培養で得た培養物5g(鱗片塊3個に10〜20個
の1〜10mmの小球根のくっついた物)を、水洗により培
養液を十分に除いた後、セルラーゼオノズカR-10(酵素
含量:セルラーゼ1.5U/mg、ヘミセルラーゼ0.7U/mg、ペ
クチナーゼ0.2U/mg)の0.1%水溶液(pH5)に25℃で1
夜浸漬した。次いで、酵素液を除くために水洗し、フル
イの上に取り出した。このうちから5mmの球根5球を選
びバーミキュライトの中に移植したところ、2週間で全
ての球根が出葉した。
の1〜10mmの小球根のくっついた物)を、水洗により培
養液を十分に除いた後、セルラーゼオノズカR-10(酵素
含量:セルラーゼ1.5U/mg、ヘミセルラーゼ0.7U/mg、ペ
クチナーゼ0.2U/mg)の0.1%水溶液(pH5)に25℃で1
夜浸漬した。次いで、酵素液を除くために水洗し、フル
イの上に取り出した。このうちから5mmの球根5球を選
びバーミキュライトの中に移植したところ、2週間で全
ての球根が出葉した。
実施例2 液体通気培養で得た培養物5gをドリセラーゼの0.5%
水溶液(pH5)に入れ、1夜振盪攪拌した。次いで、酵
素液を除くため水洗し、フルイの上に取り出した以下は
実施例1と同様に行った。
水溶液(pH5)に入れ、1夜振盪攪拌した。次いで、酵
素液を除くため水洗し、フルイの上に取り出した以下は
実施例1と同様に行った。
本発明によれば、球根を培養物から分離する際に1個
1個メスを用いて剥す手作業がなくなり、大量の培養物
が一度に処理できる。
1個メスを用いて剥す手作業がなくなり、大量の培養物
が一度に処理できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A01H 4/00 JICSTファイル(JOIS) BIOSIS
Claims (5)
- 【請求項1】組織培養物から球根を分離するに当たり、
該組織培養物を、植物細胞壁の構成成分を分解する酵素
類の少なくとも1種で処理することを特徴とする組織培
養物からの球根の分離方法。 - 【請求項2】前記酵素類がセルラーゼ、ヘミセルラー
ゼ、ペクチナーゼ及びドリセラーゼからなる群から選ば
れる少なくとも1種である請求項1記載の分離方法。 - 【請求項3】前記酵素類として、その濃度が0.0001〜5
%の水溶液を用いる請求項1又は2記載の分離方法。 - 【請求項4】酵素水溶液のpHが3.5〜7である請求項3
記載の分離方法。 - 【請求項5】処理温度が20〜35℃である請求項1〜4の
いずれか1項に記載の分離方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13015090A JP2904868B2 (ja) | 1990-05-22 | 1990-05-22 | 組織培養物からの球根の分離方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13015090A JP2904868B2 (ja) | 1990-05-22 | 1990-05-22 | 組織培養物からの球根の分離方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0427322A JPH0427322A (ja) | 1992-01-30 |
JP2904868B2 true JP2904868B2 (ja) | 1999-06-14 |
Family
ID=15027178
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13015090A Expired - Lifetime JP2904868B2 (ja) | 1990-05-22 | 1990-05-22 | 組織培養物からの球根の分離方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2904868B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103563744A (zh) * | 2013-10-10 | 2014-02-12 | 沈阳农业大学 | 用于兰州百合遗传转化和种球快繁的tTCL离体再生技术 |
CN106359107A (zh) * | 2016-10-28 | 2017-02-01 | 广西大学 | 一种野生百合的组织培养方法 |
-
1990
- 1990-05-22 JP JP13015090A patent/JP2904868B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103563744A (zh) * | 2013-10-10 | 2014-02-12 | 沈阳农业大学 | 用于兰州百合遗传转化和种球快繁的tTCL离体再生技术 |
CN106359107A (zh) * | 2016-10-28 | 2017-02-01 | 广西大学 | 一种野生百合的组织培养方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0427322A (ja) | 1992-01-30 |
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