JP2904629B2 - インクジェットユニット,インクジェットカートリッジおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェットユニット,インクジェットカートリッジおよびインクジェット記録装置

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JP2904629B2 JP694492A JP694492A JP2904629B2 JP 2904629 B2 JP2904629 B2 JP 2904629B2 JP 694492 A JP694492 A JP 694492A JP 694492 A JP694492 A JP 694492A JP 2904629 B2 JP2904629 B2 JP 2904629B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吐出口から吐出させた
液滴により記録を行うインクジェットユニット、該ユニ
ットを具備するインクジェットカートリッジおよび該カ
ートリッジを具備するインクジェット記録装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】上述のようなインクジェットユニットに
おいて、液吐出部を具えたインクジェットヘッド(以
下、IJHと略す)と該IJHの周囲部とは、封止材に
より機密性良く封止される必要がある。これはインクジ
ェットユニットが例えば長期間放置された後に正常な液
吐出が行われない場合等には、後述するキャップ部材に
よりIJH内のインクを吸引する必要があるからであ
る。
【0003】特に、エネルギ発生素子が設けられた第1
基板と記録用液体の液路を形成するための溝を有する第
2基板とが機械的付勢力によって密着してIJHを構成
するタイプのインクジェットユニットにおいては、第1
の基板と第2の基板が完全に密着され、外部と機密され
ることが要求される。これは、もし完全に機密されてい
なければ、IJH内部のインクが外部へ漏れたり、ある
いは液滴吐出時の圧力がリークしたりして、正常な液吐
出が阻害される等の問題が起こるからである。2枚の基
板を機械的付勢力のみによって完全に密着させようとし
ても、各部品の精度や機械的付勢力を著しく高くする必
要があり、コストや種々の制約から極めて困難である。
【0004】また、封止材はIJHに液吐出を行わせる
ための電気エネルギを供給する配線部としての配線基板
とIJHとを電気的に接続するためのワイヤボンディン
グ部を、衝撃や落下等による機械的力や湿度等から保護
する必要もある。
【0005】このように、ワイヤボンディング部を保護
し、かつノズルおよびIJH回りを機密性良く封止する
ための封止材としては、これまで特願平1−24102
5号(平成1年9月18日出願)明細書や特開平2−1
21841号公報で提案されているように、シリコーン
樹脂を用いるのが一般的であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例によるシリコーン樹脂は、空気に対するガス透過性
がおよそ400×10-10 [cm3 ][cm]/[se
c][cm2 ][cmHg]と高い為に、例えば35
℃、低湿度環境下では比較的短時間にIJH内に空気が
侵入してしまい、正常なインク吐出が阻害され、極端な
場合には侵入空気による気泡によりインク流路が遮断さ
れ、吐出不能状態を引き起こしていた。このため、手動
または自動によるインク吸引が必要となる。手動の場合
には、ユーザーはかなり頻繁に回復操作を行わなければ
ならず、また自動の場合にはプリンタ本体に自動インク
吸引のシーケンスを実行するためのタイマ等が必要とな
る等の問題も生じる。
【0007】この問題は、特に2枚の基板を機械的付勢
力によって接合し、インク流路や共通液室を形成するタ
イプのIJHにおいては、隙間を完全になくすことが極
めて困難であるため、顕著に発生していた。
【0008】また、上記従来例によるシリコーン樹脂
は、水蒸気透過性がおよそ4×10-6[cm3 ][c
m]/[sec][cm2 ][cmHg]と高いため
に、キャッピングされた状態で放置されると、比較的短
時間でノズル先端部の水を主成分とするインクが蒸発し
てしまい、インク濃度が高まり、正常なインク吐出が阻
害されたり、極端な場合には不吐出を引き起こしてしま
う場合があった。
【0009】この現象は高温ほどあるいは低湿ほど顕著
に現われる傾向がある。この対策として、キャッピング
とヘッドの密着性を向上させたり、あるいはキャッピン
グ材料を水蒸気透過性の低い材料に変更したりしてもそ
の効果は多少認められるものの、充分ではなかった。こ
のため、手動または自動による吸引回復操作やパージの
ための予備吐出が必要であり、手動の場合にはユーザー
はかなり頻繁に回復操作を行わなければならず、又、自
動で行う場合にはプリンタ本体に自動インク吸引のシー
ケンスを実行するためのタイマ等が必要となる等の問題
も生じる。
【0010】上記のような空気の侵入やインク溶媒の蒸
発によるインクの変質は特にエネルギー発生素子として
電気熱変換体を用いるインクジェットユニットにおいて
重要となる。それは、熱により気泡を発生させてインク
の吐出を行う時インクの変質が気泡泡発生状態に大きく
影響を与えるためである。
【0011】いずれの場合も上記のような回復操作が頻
繁な場合には、その回復操作によるインクが廃インクと
して捨てられ、印字に使われないため、1個のカートリ
ッジとして印字できる印字可能枚数が減り、最終的には
ランニングコストを高くする。また、廃インクを収容す
るためのスペースも確保しておく必要から、プリンタ本
体の大きさもそのスペース分大きくする必要もある。こ
れらの問題は、インクジェットユニットとインクタンク
とを一体的に備えたインクジェットカートリッジにおい
ては、インクタンクの容量やプリンタ本体の大きさを出
来るだけ小さくしたいという要求が強いために、一層顕
著となる。
【0012】一方、気体透過性や水蒸気透過性の低い材
料を封止剤として使うとしても、これらの材料がアルミ
電極やアルミワイヤボンディング部を腐食してしまい、
断線を引き起こす等の場合には使用できない。すなわ
ち、アルミニウムは両性金属であるため、酸にもアルカ
リにも反応して腐食を起こす。例えば、エポキシ系接着
剤におけるアミン類やアクリル系接着剤における過酸化
物、その他これらの接着剤中に不純物として含まれる塩
素イオン(Cl- )、ナトリウムイオン(Na+)、カ
リウムイオン(K+ )等とアルミニウムとの反応が考え
られる。
【0013】また、上述したワイヤボンディング部やI
JH回りに用いられる封止剤には、IJH周囲を囲う部
材として、例えばポリサルフォン,ポリフェニレンオキ
サイド(PPO)、アルミニウム,シリコン基板等との
良好な接着性も要求される。さらには、この封止材はワ
イヤボンディング部を、衝撃や振動あるいは温度や湿度
等の環境変化等から保護しなければならず、防湿性を有
するエラストマーであることも要求される。
【0014】本発明の目的は、長期間放置しても記録ヘ
ッド部内に気泡が侵入したり、あるいは記録ヘッド部か
らインクが蒸発したりせずに、正常なインク吐出を行い
得るインクジェットユニット,インクジェットカートリ
ッジおよびインクジェット記録装置を提供することにあ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1記載のインクジェットユニットはインク
滴を吐出させて飛翔的液滴を形成する液吐出部を具えた
記録ヘッド部と、前記記録ヘッド部を支持する支持部材
および前記記録ヘッド部の周囲を覆いかつ前記記録ヘッ
ド部にインク供給をするインク供給部材と、前記記録ヘ
ッド部にインク吐出を行わせるための電気エネルギを供
給する配線部と、前記記録ヘッド部と配線部とを電気的
に接続する接続手段と、前記接続手段を覆い、かつ前記
記録ヘッド部とその周囲を囲う部材との間の空間および
係合部を封止する封止材とを具え、前記封止材に空気透
過性が40×10-10 [cm3 ][cm]/[sec]
[cm2 ][cmHg]以下の材料を用いたことを特徴
とする。
【0016】また、請求項8記載のインクジェットユニ
ットはインク滴を吐出させて飛翔的液滴を形成する液吐
出部を具えた記録ヘッド部と、前記記録ヘッド部を支持
する支持部材および前記記録ヘッド部の周囲を覆いかつ
前記記録ヘッド部にインク供給をするインク供給部材
と、前記記録ヘッド部にインク吐出を行わせるための電
気エネルギを供給する配線部と、前記記録ヘッド部と配
線部とを電気的に接続する接続手段と、前記接続手段を
覆い、かつ前記記録ヘッド部とその周囲を囲う部材との
間の空間および係合部を封止する封止材とを具え、前記
封止材に水蒸気透過性が5×10-7[cm3 ][cm]
/[sec][cm2 ][cmHg]以下の材料を用い
たことを特徴とする。
【0017】さらに、請求項15記載のインクジェット
ユニットはインク滴を吐出させて飛翔的液滴を形成する
液吐出部を具えた記録ヘッド部と、前記記録ヘッド部を
支持する支持部材および前記記録ヘッド部の周囲を覆い
かつ前記記録ヘッド部にインク供給をするインク供給部
材と、前記記録ヘッド部にインク吐出を行わせるための
電気エネルギを供給する配線部と、前記記録ヘッド部と
配線部とを電気的に接続する接続手段と、前記接続手段
を覆い、かつ前記記録ヘッド部とその周囲を囲う部材と
の間の空間および係合部を封止する封止材とを具え、前
記封止材に分子中にウレタン結合を有する材料を用いた
ことを特徴とする。
【0018】ここで、前記封止材はJIS規格A100
以下の硬度を示すものであることが好ましい。また、上
述のインクジェットユニットは記録用液体を吐出するた
めに利用されるエネルギを発生するエネルギ発生素子が
設けられた第1基板と、該第1基板と接合され、該第1
基板のエネルギ発生素子の配設部位に対応して記録用液
体の流路を形成するための溝を有する第2基板と、前記
第1および第2基板に機械的付勢力を与えて両基板を互
いに密着させる付勢部材とを具えることもできる。ここ
で、前記第1基板のエネルギ発生素子が記録用液体を吐
出するために利用されるエネルギとしてインクに膜沸騰
を生じさせる熱エネルギを発生する手段を有することも
できる。
【0019】また、上述のインクジェットユニットはイ
ンク吐出口からインクを吐出するために利用されるイン
ク吐出圧発生素子を有する第1基板と、前記インク吐出
口が形成されたオリフィスプレートと、該オリフィスプ
レート外周に一体的に設けられ、かつ一部が外部に突出
した前面プレート部材と、前記第1基板と接合されて前
記インク吐出口に連通するインク路を構成する凹凸部と
を一体的に備えた第2基板と、前記第1基板と前記第2
基板とを接合した接合体が取付けられ、前記前面プレー
ト部材の一部により前面領域の一部が覆われる支持部材
と、前記第1および第2基板に機械的付勢力を与えて両
基板を互いに密着させる付勢部材とを具えることもでき
る。
【0020】また、本発明のインクジェットカートリッ
ジはインクジェットユニットと、該ユニットに対してイ
ンクを供給するインクタンクとを一体的に備えたことを
特徴とする。
【0021】さらに、本発明のインクジェット記録装置
はインクジェットユニットと、該ユニットに対してイン
クを供給するインクタンクとを一体的に備えたインクジ
ェットカートリッジと、該カートリッジを搭載して走査
可能に設けられたキャリッジとを備えたことを特徴とす
る。
【0022】
【作用】請求項1記載の発明によれば、IJHと配線部
とを接続する為の接続手段を覆い、かつIJHおよびそ
の周囲を囲う部材との空間および係合部の封止材とし
て、従来のシリコーン樹脂の約1/10以下の空気透過
性を示す材料を用いたので、インクジェットユニットを
長期間放置してもIJH内に気泡が侵入しにくくなるた
め正常な吐出を行い得る。
【0023】また、請求項8記載の発明によれば、IJ
Hと配線基板とを接続する為の接続手段を覆い、かつI
JHおよびその周囲を囲う部材との空間および係合部の
封止材として、従来のシリコーン樹脂の約1/10以下
の水蒸気透過性を示す材料を用いたので、インクジェッ
トユニットを長期間放置しても、IJH内のインクが蒸
発しにくくなるため、正常な吐出が行い得る。
【0024】さらに、請求項15記載の発明によれば、
IJHと配線部とを接続する為の接続手段を覆い、かつ
IJHとその周囲を囲う部材との空間および係合部の封
止材として、分子中にウレタン結合を有する材料を用い
たので、インクジェットユニットを長期間放置してもI
JH内に気泡が侵入したり、IJH内のインクが蒸発し
たりせず、このため正常な吐出を行い得る。
【0025】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0026】図4ないし図8は、本発明が実施もしくは
適用される好適なインクジェットユニットIJU,イン
クジェットヘッドIJH,インクタンクIT,インクジ
ェットカートリッジIJC,インクジェット記録装置本
体IJRA, キャリッジHCのそれぞれ、およびそれぞ
れの関係を説明するための説明図である。以下、これら
の図面を用いて各部構成の説明を行う。
【0027】本例でのインクジェットカートリッジIJ
Cは、図5の斜視図でわかるように、インクの収納割合
が大きくなっているもので、インクタンクITの前方面
よりもわずかにインクジェットユニットIJUの先端部
が突出した形状である。このインクジェットカートリッ
ジIJCは、インクジェット記録装置本体IJRAに載
置されているキャリッジHC(図7)の後述する位置決
め手段および電気的接点とによって固定支持されると共
に、該キャリッジHCに対して着脱可能なディポーザブ
ルタイプである。本例図4ないし図8には、本発明の成
立段階において成された数々の新規な技術が適用された
構成となっているので、これらの構成を簡単に説明しな
がら、全体を説明することにする。
【0028】(i)インクジェットユニットIJU構成
説明 インクジェットユニットIJUは、電気信号に応じて膜
沸騰をインクに対して生じせしめるための熱エネルギー
を生成する電気熱変換体を用いて記録を行うユニットで
ある。
【0029】図4において、100はSi基板上に複数
の列状に配された電気熱変換体(吐出ヒータ)と、これ
に電力を供給するAl等の電気配線とが成膜技術により
形成されて成るヒータボードである。200はヒータボ
ード100に対する配線基板であり、ヒータボード10
0の配線に対応する配線(例えばワイヤボンディングに
より接続される)と、この配線の端部に位置し本体装置
からの電気信号を受けるパッド201とを有している。
【0030】1300は複数のインク流路をそれぞれ区
分するための隔壁や各インク流路へインクを与えるため
にインクを収納するための共通液室等を設けた溝付天板
で、インクタンクITから供給されるインクを受けて上
述の共通液室へ導入するインク受け口1500と、各イ
ンク流路に対応した吐出口を複数有するオリフィスプレ
ート400を一体成型したものである。これらの一体成
型材料としてはポリサルフォンが好ましいが、他の成型
用樹脂材料でもよい。
【0031】300は配線基板200の裏面を平面で支
持する例えば金属製の支持体で、インクジェットユニッ
トの底板となる。500は押えばねであり、M字形状で
そのM字の中央で共通液室を軽圧で押圧すると共に前だ
れ部501で液路の一部、好ましくは吐出口近傍の領域
を線圧で集中押圧する。ヒータボード100および天板
1300を押えばねの足部が支持体300の穴3121
を通って支持体300の裏面側に係合することでこれら
を挟み込んだ状態で両者を係合させることにより、押え
ばね500とその前だれ部501の集中付勢力によって
ヒータボード100と天板1300とを圧着固定する。
また、支持体300は、インクタンクITの2つの位置
決め凸起1012および位置決めかつ融着保持用凸起1
800,1801に係合する位置決め用穴312,19
00,2000を有する他、装置本体IJRAのキャリ
ッジHCに対する位置決め用の突起2500,2600
を裏面側に有している。加えて支持体300はインクタ
ンクからのインク供給を可能とするインク供給管220
0(後述)を貫通可能にする穴320をも有している。
支持体300に対する配線基板200の取付は、接着剤
等で貼着して行われる。なお、支持体300の凹部24
00,2400は、それぞれ位置決め用突起2500,
2600の近傍に設けられており、組立てられたインク
ジェットカートリッジIJC(図5)において、その周
囲の3辺を平行溝3000,3001の複数で形成され
たヘッド先端域の延長点にあって、ゴミやインク等の不
要物が突起2500,2600に至ることがないように
位置している。この平行溝3000が形成されている。
蓋部材800は、図7でわかるように、インクジェット
カートリッジIJCの外壁を形成すると共に、インクタ
ンクとでインクジェットユニットIJUを収納する空間
部を形成している。また、この平行溝3001が形成さ
れているインク供給部材600は、前述したインク供給
管2200に連続するインク導管1600を供給管22
00側が固定の片持ちばりとして形成し、インク導管の
固定側とインク供給管2200との毛管現象を確保する
ための封止ピン602が挿入されている。なお、601
はインクタンクITと供給管2200との結合シールを
行うパッキン、700は供給管のタンク側端部に設けら
れたフィルタである。
【0032】このインク供給部材600は、モールド成
型されているので、安価で位置精度が高く形成製造上の
精度低下を無くしているだけでなく、片持ちばりの導管
1600によって大量生産時においても導管1600の
上述インク受け口1500に対する圧接状態が安定化で
きる。本例では、この圧接状態下で封止用接着剤をイン
ク供給部材側から流し込むだけで、より完全な連通状態
を確実に得ることができている。なお、インク供給部材
600の支持体300に対する固定は、支持体300の
穴1901,1902に対するインク供給部材600の
裏面側ピン(不図示)を支持体300の穴1901,1
902を介して貫通突出せしめ、支持体300の裏面側
に突出した部分を熱融着することで簡単に行われる。な
お、この熱融着された裏面部のわずかな突出領域は、イ
ンクタンクITのインクジェットユニットIJU取付面
側壁面のくぼみ(不図示)内に収められるのでユニット
IJUの位置決め面は正確に得られる。
【0033】(ii)インクタンクIT構成説明 インクタンクは、カートリッジ本体1000と、後に詳
述するインク吸収体群900とインク吸収体群900を
カートリッジ本体1000の上記ユニットIJU取付面
とは反対側の側面から挿入した後、これを封止する蓋部
材1100とで構成されている。
【0034】900はインクを含浸させるための吸収体
群であり、カートリッジ本体1000内に配置される。
1200は上記各部100〜600からなるユニットI
JUに対してインクを供給するための供給口である。
【0035】この本例では、インクを供給可能な部分
は、大気連通口とこの供給口とになるが、インク吸収体
からのインク供給性を良好に行うための本体1000内
リブ2300と蓋部材1100の部分リブ2500,2
400とによって形成されたタンク内空気存在領域を、
大気連通口1401側から連続させてインク供給口12
00から最も遠い角部域にわたって形成している構成を
とっているので、相対的に良好かつ均一な吸収体へのイ
ンク供給は、この供給口1200側から行われることが
重要である。この方法は実用上極めて有効である。この
リブ2300は、インクタンクの本体1000の後方面
において、キャリッジ移動方向に平行なリブを4本有
し、吸収体が後方面に密着することを防止している。ま
た、部分リブ2400,2500は、同様にリブ230
0に対して対応する延長上にある蓋部材1100の内面
に設けられているが、リブ2300とは異なり分割され
た状態となっていて空気の存在空間を前者より増加させ
ている。なお、部分リブ2500,2400は蓋部材1
100の全面積の半分以下の面に分散された形となって
いる。これらのリブによってインク吸収体のタンク供給
口1200から最も遠い角部の領域のインクをより安定
させつつも確実に供給口1200側へ毛管力で導くこと
ができた。1401はカートリッジ内部を大気に連通す
るために蓋部材に設けた大気連通口である。1400は
大気連通口1401の内方に配置される撥液材であり、
これにより大気連通口1401からのインク漏洩が防止
される。
【0036】前述したインクタンクITのインク収容空
間は長方体形状であり、その長辺を側面にもつ場合であ
るので上述したリブの配置構成は特に有効であるが、キ
ャリッジの移動方向に長辺を持つ場合または立方体の場
合は、蓋部材1100の全体にリブを設けるようにする
ことでインク吸収体群900からのインク供給を安定化
できる。限られた空間内にインクをできるだけ収納する
ためには直方体形状が適しているが、この収納されたイ
ンクを無駄なく記録に使用するためには、上述したよう
に、角部の領域に対して近接する2面領域に上記作用を
行えるリブを設けることが重要である。さらに本実施例
におけるインクタンクITの内面リブは、直方体形状の
インク吸収体の厚み方向に対してほぼ均一な分布で配置
されている。この構成は、吸収体全体のインク消費に対
して、大気圧分布を均一化しつつインク残量をほとんど
無ならしめることができるため重要な構成である。さら
に、このリブの配置上の技術思想を詳述すれば、直方体
の4角形上面においてインクタンクのインク供給口12
00を投影した位置を中心として、長辺を半径とする円
弧を描いたときに、その円弧よりも外側に位置する吸収
体に対して、大気圧状態が早期に与えられるようにその
円弧よりも外側の面に上記リブを配設することが重要と
なる。この場合、タンクの大気連通口は、このリブ配設
領域に大気を導入できる位置であれば、本例に限られる
ことではない。
【0037】加えて、本実施例では、インクジェットカ
ートリッジIJCのヘッドに対する後方面を平面化し
て、装置に組み込まれたときの必要スペースを最小化な
らしめるとともに、インクの収容量を最大化している構
成をとっているために、装置の小型化を達成できるだけ
ではなく、カートリッジの交換頻度を減少できる優れた
構成をとっている。そして、インクジェットユニットI
JUを一体化するための空間の後方部を利用して、そこ
に、大気連通口1401用の突出部分を形成し、この突
出部分の内部を空洞化して、ここに前述した吸収体90
0厚み全体に対する大気圧供給空間1402を形成して
ある。このように構成することで、従来には見られない
優れたカートリッジを提供できた。なお、この大気圧供
給空間1402は、従来よりもはるかに大きい空間であ
り、上記大気連通口1401が上方に位置しているの
で、何らかの異常で、インクが吸収体から離脱しても、
この大気圧供給空間1402は、そのインクを一時的に
保持でき、確実に吸収体に回収せしめることができるの
で無駄のない優れたカートリッジを提供できる。
【0038】また、インクタンクITの上記ユニットI
JUの取付面の構成は図6によって示されている。オリ
フィスプレート400の突出口のほぼ中心を通って、タ
ンクITの底面もしくはキャリッジの表面の載置基準面
に平行な直線をL1 とすると、支持体300の穴312
に係合する2つの位置決め凸起1012はこの直線L1
上にある。この凸起1012の高さは支持体300の厚
みよりわずかに低く、支持体300の位置決めを行う。
この図面上で直線L1 の延長上にはキャリッジの位置決
め用フック4001の90°角の係合面4002が係合
する爪2100が位置しており、キャリッジに対する位
置決めの作用力がこの直線L1 を含む上記基準面に平行
な面領域で作用するように構成されている。図7で後述
するが、これらの関係は、インクタンクのみの位置決め
の精度がヘッドの吐出口の位置決め精度と同等となるの
で有効な構成となる。
【0039】また、支持体300のインクタンク側面へ
の固定用穴1900,2000にそれぞれ対応するイン
クタンクの突起1800,1801は前述の凸起101
2よりも長く、支持体300を貫通して突出した部分を
熱融着して支持体300をその側面に固定するためのも
のである。上述の線L1 に垂直でこの突起1800を通
る直線をL3 、突起1801を通る直線をL2 としたと
き、直線L3 上には上記供給口1200のほぼ中心が位
置するので、供給部の口1200と供給管2200との
結合状態を安定化する作用をし、落下や衝撃によっても
これらの結合状態への負荷を軽減できるので好ましい構
成である。また、直線L2 ,L3 は一致していず、ヘッ
ドIJHの吐出口側の凸起1012周辺に突起180
0,1801が存在しているので、さらにヘッドIJH
のタンクに対する位置決めの補強効果を生んでいる。な
お、L4で示される曲線は、インク供給部材600の装着
時の外壁位置である。突起1800,1801はその曲
線L4 に沿っているので、ヘッドIJHの先端側構成の
重量に対しても充分な強度と位置精度を与えている。な
お、2700はインクタンクITの先端ツバで、キャリ
ッジの前板4000の穴に挿入されて、インクタンクの
変位が極端に悪くなるような異変時に対して設けられて
いる。2101は、キャリッジに対する抜け止めで、キ
ャリッジHCの不図示のバーに対して設けられ、カート
リッジIJCが後述の用に旋回装着された位置でこのバ
ーの下方に侵入して、不要に位置決め位置から離脱させ
る上方方向へ力が作用しても装着状態を維持するための
保護用部材である。
【0040】インクタンクITは、ユニットIJUを装
着された後に蓋800で覆うことで、ユニットIJUを
下方開口を除いて包囲する形状となるが、インクジェッ
トカートリッジIJCとしては、キャリッジHCに載置
するための下方開口はキャリッジHCと近接するため、
実質的な4方包囲空間を形成してしまう。従って、この
包囲空間内にあるヘッドIJHからの発熱はこの空間内
の保温空間として有効となるものの長期連続使用として
は、わずかな昇温となる。このため本例では、支持体の
自然放熱を助けるためにカートリッジIJCの上方面
に、この空間よりは小さい幅のスリット1700を設け
て、昇温を防止しつつもユニットIJU全体の温度分布
の均一化を環境に左右されないようにすることができ
た。
【0041】インクジェットカートリッジIJCとして
組立てられると、インクはカートリッジ内部より供給口
1200、支持体300に設けた穴320および供給タ
ンク600の中裏面側に設けた導入口を介して供給タン
ク600内に供給され、その内部を通った後、導出口よ
り適宜の供給管および天板400のインク導入口150
0を介して共通液室内へと流入する。以上におけるイン
ク連通用の接続部には、例えばシリコンゴムやブチルゴ
ム等のパッキンが配設され、これによって封止が行われ
てインク供給路が確保される。
【0042】なお、本実施例においては天板1300は
耐インク性に優れたポリサルフォン,ポリエーテルサル
フォン,ポリフェニレンオキサイド,ポリプロピレンな
どの樹脂を用い、オリフィスプレート部400と共に金
型内で一体に同時成型してある。
【0043】上述のように一体成型部品は、インク供給
部材600、天板・オリフィスプレート一体、インクタ
ンク本体1000としたので組立て精度が高水準になる
ばかりでなく、大量生産の品質向上に極めて有効であ
る。また部品点数の個数は従来に比較して減少できてい
るので、優れた所望特性を確実に発揮できる。
【0044】また、本発明実施例では、上記組立後の形
状において、図4ないし図6で示されるように、インク
供給部材600は、その上面部603がインクタンクI
Tのスリット1700を備えた屋根部の端部4008と
の間に図5に示したようにスリットSを形成し、下面部
604がインクタンクITの下方の蓋800が接着され
る薄板部材のヘッド側端部4011との間に上記スリッ
トSと同様のスリット(不図示)を形成している。これ
らのインクタンクITとインク供給部材600との間の
スリットは、上記スリット1700の放熱を一層促進さ
せる作用を実質的に行うとともに、タンクITへ加わる
不要な圧力があってもこれを直接供給部材、強いてはイ
ンクジェットユニットIJUへ及ぼすことを防止してい
る。
【0045】いずれにしても、本実施例の上記構成は、
従来には無い構成であって、それぞれが単独で有効な効
果をもたらすと共に、複合的にも各構成要件があること
が有機的な効果をもたらしている。
【0046】(iii)キャリッジHCに対するインク
ジェットカートリッジIJCの取付説明 図7において、5000はプラテンローラで、記録媒体
Pを紙面下方から上方へ案内する。キャリッジHCは、
プラテンローラ3000に沿って移動するもので、キャ
リッジの前方プラテン側にインクジェットカートリッジ
IJCの前面側に位置する前板4000(厚さ2mm)
と、カートリッジIJCの配線基板200のパッド20
1に対応するパッド2011を具備したフレキシブルシ
ート4005およびこれを裏面側から各パッド2011
に対して押圧する弾性力を発生するためのゴムパッドシ
ート4007を保持する電気接続部用支持板4003
と、インクジェットカートリッジIJCを記録位置へ固
定するための位置決め用フック4001とが設けられて
いる。前板4000は位置決め用突出面4010をカー
トリッジの支持体300の前述した位置決め突起250
0,2600にそれぞれ対応して2個有し、カートリッ
ジの装着後はこの突出面4010に向かう垂直な力を受
ける。このため、補強用のリブが前板のプラテンローラ
側に、その垂直な力の方向に向かっているリブ(不図
示)を複数有している。このリブは、カートリッジIJ
C装着時の前面位置L5 よりもわずかに(約0.1mm
程度)プラテンローラ側に突出しているヘッド保護用突
出部をも形成している。電気接続部用支持板4003
は、補強用リブ4004を前記リブの方向ではなく垂直
方向に複数有し、プラテン側からフック4001側に向
って側方への突出割合が減じられている。これは、カー
トリッジ装着時の位置を図のように傾斜させるための機
能も果たしている。また、支持板4003は電気的接触
状態を安定化するため、上記2つの位置決め用突出面4
010がカートリッジに及ぼす作用方向と逆方向に、カ
ートリッジへの作用力を及ぼすためのフック側の位置決
め面4006を突出面4010に対応して2個有し、こ
れらの間にパッドコンタクト域を形成すると共にパッド
2011対応のボッチ付ゴムシート4007のボッチの
変形量を一義的に規定する。これらの位置決め面は、カ
ートリッジIJCが記録可能な位置に固定されると、配
線基板300の表面に当接した状態となる。本例では、
さらに配線基板300のパッド201を前述した線L1
に関して対称となるように分布させているので、ゴムシ
ート4007の各ボッチの変形量を均一化してパッド2
011,201の当接圧をより安定化している。本例の
パッド201の分布は、上方,下方2列,縦2列であ
る。
【0047】フック4001は、固定軸4009に係合
する長穴を有し、この長穴の移動空間を利用して図の位
置から反時計方向に回動した後、プラテンローラ500
0に沿って左方側へ移動することでキャリッジHCに対
するインクジェットカートリッジIJCの位置決めを行
う。このフック4001の移動はどうようなものでも良
いが、レバー等で行える構成が好ましい。いずれにして
もこのフック4001の回動時にカートリッジIJCは
プラテンローラ側へ移動しつつ位置決め突起2500,
2600が前板の位置決め面4010に当接可能な位置
へ移動し、フック4001の左方側移動によって90°
のフック面4002がカートリッジIJCの爪2100
の90°面に密着しつつカートリッジIJCを位置決め
面2500,4010同士の接触域を中心に水平面内で
旋回して最終的にパッド201,2011同士の接触が
始まる。そしてフック4001が所定位置、すなわち固
定位置に保持されると、パッド201,2011同士の
完全接触状態と、位置決め面2500,4010同士の
完全面接触と、90度面4002と爪の90度面の2面
接触と、配線基板300と位置決め面4006との面接
触とが同時に形成されてキャリッジに対するカートリッ
ジIJCの保持が完了する。
【0048】(iv)装置本体の概略説明 図8は本発明が適用されるインクジェット記録装置IJ
RAの外観図で、駆動モータ5013の正逆回転に連動
して駆動力伝達ギア5011,5009を介して回転す
るリードスクリュー5005のら線溝5004に対して
係合するキャリッジHCはピン(不図示)を有し、矢印
a,b方向に往復移動される。5002は紙押え板であ
り、キャリッジ移動方向にわたって紙をプラテン500
0に対して押圧する。5007,5008はフォトカプ
ラでキャリッジのレバー5006のこの域での存在を確
認してモータ5013の回転方向切換等を行うためのホ
ームポジション検知手段である。5016は記録ヘッド
の前面をキャップするキャップ部材5022を支持する
部材で、5015はこのキャップ内を吸引する吸引手段
でキャップ内開口5023を介して記録ヘッドの吸引回
復を行う。5017はクリーニングブレードで、501
9はこのブレードを前後方向に移動可能にする部材であ
り、本体支持板5018にこれらは支持されている。ブ
レードは、この形態でなく周知のクリーニングブレード
が本例に適用できることはいうまでもない。また、50
12は、吸引回復の吸引を開始するためのレバーで、キ
ャリッジと係合するカム5020の移動に伴って移動
し、駆動モータからの駆動力がクラッチ切換等の公知の
伝達手段で移動制御される。
【0049】これらのキャッピング,クリーニング,吸
引回復は、キャリッジがホームポジション側領域にきた
ときにリードスクリュー5005の作用によってそれら
の対応位置で所望の処理が行えるように構成されている
が、周知のタイミングで所望の作動を行うようにすれ
ば、本例にはいずれも適用できる。上述における各構成
は単独でも複合的に見ても優れた発明であり、本発明に
とって好ましい構成例を示している。
【0050】上述した図4ないし図8に対して技術的に
関係する本発明について詳述するため、以下、図1、な
いし図3以降を用いながら説明する。
【0051】図1および図2に本発明の具体的な実施例
を示す。図1に示されるように、インクジェットヘッド
は、インク吐出圧発生素子を設けた基板1(以下ヒータ
ーボードと称す)と、該基板1と接合されて記録液体
(以下インクと称す)を収容する液室7およびインク路
8を構成する凹凸部を有した基板2とからなる。この基
板2は、インク路8に連通したインクを吐出するための
インク吐出口9を有するオリフィスプレート4(以下溝
付天板と称す)を一体的に併せ持っている。
【0052】ヒーターボード1は支持基板3に接着剤に
より接着固定され、溝付天板2はヒーターボード1上
に、ヒーターボード1上に配置されているインク吐出圧
発生素子としてのヒーター部と、溝付天板2のインク路
8が合致するような仮接着され、溝付天板の有している
オリフィスプレート4は、支持基板3の前端面に前ダレ
のように配置される。
【0053】インクは、インク供給部材5から、溝付天
板の上部に具備されたインク供給口2aを通り供給さ
れ、インク供給部材5は突起棒を有し、支持基板上に設
けられた貫通穴に突起棒を挿入し、熱かしめすることに
より、支持基板に固定される。
【0054】インク供給部材5と、ヒーターボード1,
溝付天板2等との隙間10a,10b、およびオリフィ
スプレートと支持基板前端面との間の封止剤が封入され
うるべくわずかな隙間が設けられた接合領域は、接着空
間として封止剤が流し込まれる。
【0055】ここで、インクジェットヘッドを構成する
オリフィスプレート4の吐出口近傍はその厚さが約30
〜40μmであるが、支持基板3下部に行くにつれて厚
い方が望ましく、本実施例では0.2mmである。
【0056】また材料のコストおよび耐インク性を考慮
すると、オリフィスプレート4を有する溝付天板2の素
材としては、熱可塑性樹脂、例えば、ポリイミド,ポリ
エーテルエーテルケトン,ポリサルフォンなどが挙げら
れる。
【0057】本実施例では、高温においても熱変形量の
小さいポリサルフォンを用いた。図2にインクジェット
ヘッドの正面図を示す。図2において、斜線部は封止材
が充填されている領域を示す。支持基板3はその両側に
溝3Aが形成されている。
【0058】本実施例では図3に示すように、溝3A
は、巾1mm,深さ0.2mmとされている。この溝は
この大きさに限られることなく封止材を十分良好に封入
することが可能な溝であればよい。支持基板3上に、ヒ
ーターボードが接着剤により固定され、さらに溝付天板
2はヒーターボード1上に配置されているヒーター部
と、溝付天板2のインク路7とが合致するようにヒータ
ーボード1上に接着剤で仮止めされた後押えバネ6によ
る機械的付勢力によって固定される。溝付天板2は、オ
リフィスプレート4を有しており、オリフィスプレート
4は支持基板3の前端面に前だれのように配置されてい
る。インク供給部材5は、インク供給部材に設けられた
不図示の突起棒を支持基板3に設けられた貫通穴と合致
させ熱かしめることにより、支持基板3に固定される。
この際、オリフィスプレート4とインク供給部材5との
隙間は均一な隙間10aおよび10bが形成される。本
実施例ではその隙間10aおよび10bはともに0.1
〜0.2mmとなっている。
【0059】支持基板3に設けられた溝3Aは、オリフ
ィスプレート4とインク供給部材5との隙間と連続する
空間を形成している事が重要である。溝3Aが完全にオ
リフィスプレート4で覆われていたり、前記隙間10a
および10bと独立していることは好ましくない。なぜ
なら注入された封止材の流路が断たれることとなり、良
好な封止が達成できなくなってしまうからである。
【0060】支持基板3前端面に形成される溝3Aは量
産性を考慮するとプレスにて、形成される。
【0061】封止材はインク供給部材5上部の封止材注
入口(不図示)から注入され、電気信号を伝達するため
のワイヤボンディング部11を封止すると同時にオリフ
ィスプレート4とインク供給部材5との隙間10aおよ
び10bを封止し、さらに支持基板3に設けられた溝3
Aを通り、オリフィスプレート4と支持基板3前端面と
の隙間領域を完全に封止する。このように封止材が、オ
リフィス9を塞がずに隙間を封止するためには、適当な
チキソトロピーと適当な粘度が必要である。すなわち、
封止材の粘度が低過ぎると溝付天板2内のノズルやオリ
フィスにまで入り込み、目詰まりを起こしてしまう。反
対に粘度が高過ぎるとオリフィスプレート4周囲まで完
全に封止材が回り込まなくなる。
【0062】ここで、粘度を800、1,000、4,
000、10,000、15,000および18,00
0cpsとした封止材を用いてオリフィスプレートやノ
ズルおよびオリフィスへの回り込みまたは目詰まり状態
を調べ、結果を表1に示す。表1中の〇印はオリフィス
プレート部については良好な回り込み状態を、ノズルオ
リフィス部については目詰まりなしの状態を示し、また
×印はその逆を示し、さらに△印は良好な状態と不良な
状態との中間状態を示している。
【0063】
【表1】
【0064】表1の結果を踏まえると、本発明に用いら
れる封止材の粘度は1,000〜15,000cps、
さらに好ましくは2,000〜10,000cps、最
も好ましくは4,000〜10,000cpsである。
【0065】封止材には、シリコンウエハーから成るヒ
ーターボード1,金属から成る支持基板3および合成樹
脂から成る溝付天板2およびオリフィスプレート4,イ
ンク供給部材5等との良好な接着性が要求される。ま
た、これら熱膨張係数の異なる複数の異種材料同士を接
合するためには、温度環境による熱膨張の差を吸収でき
るような柔らかい材料、具体的にはJIS規格A100
以下の硬度を示す封止材を用いる必要がある。
【0066】一方、この封止材は、ワイヤボンディング
部11を覆って保護する役目も果たしているために、ア
ルミワイヤボンディング部やアルミ電極に対して腐食を
起こさないような材料でなければならない。電極やワイ
ヤボンディングに腐食を起こさないためには、封止材中
のCl- やNa+ 等の不純物イオン濃度が30ppm以
下であることが好ましい。
【0067】このような材料には、局部的にインクと接
触するために耐インク性、特に耐溶剤性や耐アルカリ性
に優れている等といった性能も要求される。さらには、
酸素や窒素,水蒸気に対する透過性も低いことが必要で
ある。
【0068】このような要求特性を満たす封止材とし
て、本発明では例えばウレタン系樹脂、アクリル系樹
脂、可撓性エポキシ系樹脂、ゴム系接着剤等を用いるこ
とができる。これらの材料がゴム状弾性を示す場合には
さらに好ましい。
【0069】本実施例では、例えば以下の配合からなる
二液性ウレタン接着剤を用いた。
【0070】(配合例) (主剤) ポリエーテルポリオール 100重量部 シランカップリング剤 5重量部 チキソトロピー剤 1重量部 着色剤 1重量部 (硬化剤) ポリイソシアネート 40重量部 このような二液性ウレタン接着剤は従来のシリコーン樹
脂系接着剤と比べて水空気透過性が格段に低いので、I
JH内への空気の侵入を抑えることが可能である。
【0071】上述のポリエーテルポリオール、すなわち
ポリエーテル型の多価アルコールとしては、例えばポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの
ポリアルキレングリコールおよびポリテトラメチレング
リコール等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独
または適宜組み合わせて使用できる。
【0072】上述のポリイソシアネートとしては、例え
ばポリメリックなどのイソシアネート三量化体、トリレ
ンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレ
ンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネー
ト、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジシク
ロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソ
シアネート、リジンジイソシアネート、リジンジイソシ
アネート、水添キシリレンジイソシアネート、ミクロヘ
キシルジイソシアネートおよびトリジンジイソシアネー
トなどのイソシアネート二量化体等を挙げることがで
き、これらはそれぞれ単独または適宜組み合わせて使用
できる。
【0073】上述のポリエーテルポリオールとポリイソ
シアネートとの配合比は上述の配合例では100重量
部:40重量部となっているが、この比率に限定されな
い。この配合比はポリオールの水酸基(OH基)とポリ
イソシアネートのイソシアネート基(−NCO−基)と
の等量比によって適宜求められる。
【0074】上述のチキソトロピー剤として、たとえば
アエロジルを用いることができる。アエロジルは、無定
形のシリカであり、上述の配合によって得られるウレタ
ン接着剤に良好なチキソトロピー性を与えるものであ
る。
【0075】ここで、本発明に用いられる封止材として
またはウレタン結合を分子中に有する封止材としての二
液性ウレタン接着剤の粘度はポリエーテルポリオールと
ポリイソシアネートとの間のウレタン化反応における重
合度に応じて変化し得るウレタン接着剤の分子量、およ
びチキソトロピー剤の添加量などを変えることによって
上述した範囲内に調整される。また、ポリエーテルポリ
オールとポリイソシアネートとを混合してプレ重合さ
せ、このプレ重合物にチキソトロピー剤を十分に分散し
ながら粘度を調整することができる。
【0076】上述のプレ重合物とチキソトロピー剤との
結合力を増すために、シランカップリング剤を用いるこ
とができる。このシランカップリング剤としては、例え
ばビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(βメトキシ
エトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル
トリメトキシランなどのアクリルシラン類、β−(3,
4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどの
エポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)
γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン
類、その他γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン
化合物を挙げることができる。
【0077】なお、上述の封止材中への着色剤の添加は
任意である。その配合量は、目的の接着剤の色合いなど
に応じて決められる。着色剤としては、カーボンブラッ
ク、酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、硫酸カドミウ
ム、アルミノマグネシウム、ランプブラックなどの無機
系着色剤、アゾ染料、ジアゾ染料、フタロシアニン、ジ
オキサジンなどの有機系着色剤等を挙げることができ
る。
【0078】上述の封止材にはその製造工程におけるウ
レタン化反応を促進するために、触媒を添加することも
できる。この触媒としては、例えばスタナスオクトエー
ト、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレ
ート、ジブチルチンマーカプチド、ジブチルチンチオカ
ルボキシート、ジブチルチンジマレエート、ジオクチル
チンマーカプチド、ジオクチルチンチオカルボキシレー
ト、フェニル水銀プロピオン酸塩、オクテン酸鉛などの
有機金属触媒などを挙げることができる。
【0079】封止材中に含まれる不純物イオン濃度の合
計をそれぞれ10ppm,30ppmおよび50ppm
としたウレタン樹脂を用いて封止したIJCに、24v
(DC)のバイアスをかけ、85℃、85%RHの高温
・高湿度の環境下で200時間放置したのち、電気導通
チェックを行なった結果を表2に示す。表2中の〇印は
導通しないことを、×印は導通したことをそれぞれ示
す。
【0080】
【表2】
【0081】以下に、従来のシリコーン樹脂による封止
と、本発明による2液性ウレタン樹脂による封止とを比
較し、両樹脂の空気透過性を調べた。
【0082】1液性RTVシリコーン樹脂と2液性ウレ
タン樹脂とを用いて、それぞれ記録ヘッド部周囲を封止
したインクジェットユニットにインクタンクを一体的に
備えたインクジェットカートリッジをプリンタに搭載し
た。このプリンタを温度35℃で湿度(20%)以下の
乾燥環境で放置した。その後、回復操作をせずに、印字
が可能か否かを試験した。結果を表3に示す。表3中の
〇印はインクジェットユニット内の空気が侵入せず、回
復操作なしで印字可能な状態を示し、×印は空気の侵入
により回復操作なしでは印字不能な状態を示している。
また、表3中の空気透過性の単位は[cm3 ][cm]
/[sec][cm2 ][cmHg]であり、この空気
透過度はJIS規格の気体透過度試験方法を応用して行
った。
【0083】
【表3】
【0084】このように一般の文献にも示されているよ
うに10-8オーダと空気透過性の高いシリコン樹脂に比
べ、10-9オーダ以下と空気透過性が低いウレタン樹脂
やブタジエンゴム等においては30日間放置した場合で
あっても良好な印字を行うことができた。
【0085】次に、上記空気透過性試験と同様の条件に
おいて、従来のシリコーン樹脂による封止と、本発明に
よる2液性ウレタン樹脂による封止とを比較し、両樹脂
の水蒸気透過性を調べた。
【0086】すなわち、1液性RTVシリコーン樹脂と
2液性ウレタン樹脂とを用いて、それぞれ記録ヘッド部
周囲を封止したインクジェットユニットにインクタンク
を一体的に備えたインクジェットカートリッジをプリン
タに搭載した。このプリンタを温度35℃で湿度(20
%)以下の乾燥環境で放置した。その後、回復操作をせ
ずに、印字が可能か否かを試験した。結果を表4に示
す。表4中の〇印はインクジェットユニット内の空気が
侵入せず、回復操作なしで印字可能な状態を示し、×印
は空気の侵入により回復操作なしでは印字不能な状態を
示している。また、表3中の水蒸気透過性の単位は[c
3 ][cm]/[sec][cm2 ][cmHg]で
あり、この空気透過度は、JIS規格の気体透過度試験
方法を応用して行った。
【0087】
【表4】
【0088】このように10-6オーダと水蒸気透過性の
高いシリコン樹脂に比べ、10-9オーダ以下と低い水蒸
気透過性を有する封止材を用いた場合には表4に示され
るように良好な結果を得ることができた。
【0089】(その他)なお、本発明は、特にインクジ
ェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために
利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段
(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エ
ネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録
ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすもので
ある。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が
達成できるからである。
【0090】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書,同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結
果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)
内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成
長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐
出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信
号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が
行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐
出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信
号としては、米国特許第4463359号明細書,同第
4345262号明細書に記載されているようなものが
適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する
発明の米国特許第4313124号明細書に記載されて
いる条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことが
できる。
【0091】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体
の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第4558333号明細書,米国特許第44
59600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるも
のである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通
するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示
する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧
力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示す
る特開昭59−138461号公報に基いた構成として
も本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの
形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録
を確実に効率よく行うことができるようになるからであ
る。
【0092】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのよう
な記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによっ
てその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の
記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0093】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装
置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や
装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチ
ップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一
体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0094】また、本発明に記録装置の構成として設け
られる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助
手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できる
ので、好ましいものである。これらを具体的に挙げれ
ば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニ
ング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれと
は別の加熱素子或はこれらの組み合わせによる予備加熱
手段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出モードを行な
うことも安定した記録を行なうために有効である。
【0095】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して1個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるか
いずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色
によるフルカラーの少なくとも一つを備えた装置にも本
発明は極めて有効である。
【0096】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するもの、あるいはインクジェット方式ではイ
ンク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を
行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制
御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時に
インクが液状をなすものであればよい。加えて、積極的
に熱エネルギによる昇温をインクの固形状態から液体状
態への状態変化のエネルギとして使用せしめることで防
止するか、またはインクの蒸発防止を目的として放置状
態で固化するインクを用いるかして、いずれにしても熱
エネルギの記録信号に応じた付与によってインクが液化
し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達す
る時点ではすでに固化し始めるもの等のような、熱エネ
ルギによって初めて液化する性質のインクを使用する場
合も本発明は適用可能である。このような場合のインク
は、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60
−71260号公報に記載されるような、多孔質シート
凹部または貫通孔に液状又は固形物として保持された状
態で、電気熱変換体に対して対向するような形態として
もよい。本発明においては、上述した各インクに対して
最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するもの
である。
【0097】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組
合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシ
ミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0098】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、封
止材として空気透過性の低い材料を用いたので、ヘッド
内への空気の侵入を押えることができる。したがって、
インクジェットユニットが比較的長期間放置されても記
録ヘッド内部に気泡が侵入しにくくなるため、インク吸
引等の回復操作なしに、液滴吐出を正常に行うことがで
きる。また、本発明によれば、封止材として水蒸気透過
性の低い材料を用いたので、インクジェットユニットが
比較的長期間放置されても記録ヘッド内のインクが蒸発
せず、このためインク吸引等の回復操作なしに、液滴吐
出を正常に行うことができる。
【0099】さらに、本発明によれば、封止材として分
子中にウレタン結合を有する材料を用いたので、酸素や
窒素または水蒸気の透過性を低くすることができる。し
たがって、インクジェットユニットが比較的長期間放置
されても記録ヘッド内部に気泡が侵入したり、ヘッド内
のインクが蒸発したりせず、このためインク吸引等の回
復操作なしに、液滴吐出を正常に行うことができる。
【0100】このように、回復操作回数を減らせるの
で、廃インク量を最小限にすることができ、よって記録
に使用できる有効インク量を増やすことが可能である。
すなわち、印字媒体1枚当りのランニングコストを下げ
ることが可能となる。
【0101】また、廃インク量を減らすことが出来るの
で、廃インクを吸収するための吸収体およびその容積を
大幅に小さくすることが可能となるから、廃インク吸収
体のコストダウンおよびプリンタ本体のコンパクト化を
同時に達成できる。
【0102】さらに、これまでのIJHでは一定期間放
置するとIJH内に気泡が混入し、正常な吐出が得られ
なくなるために、タイマー等により、一定期間毎に自動
吸引するようなシーケンスを必要としていた。しかし、
本発明によれば、このような複雑なシーケンスが不要に
なり、回復シーケンスの簡略化、タイマー用バッテリー
の不要化等プリンタ本体の簡略化あるいはコストダウン
が可能となる。
【0103】さらには、本発明によれば封止材が電極や
ワイヤボンディングへの腐食等も起こさないから、高い
信頼性のあるヘッドを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェットヘッドの一実施例を示
す概略断面図である。
【図2】図1に示した吐出口側から示す概略正面図であ
る。
【図3】本発明のインクジェットヘッドを構成する支持
基板の一例を示す概略斜視図である。
【図4】本発明のインクジェットカートリッジの一例の
分解斜視図である。
【図5】本発明のインクジェットカートリッジの概略斜
視図である。
【図6】本発明のインクジェットカートリッジのインク
タンクをインクジェット記録ヘッドが装着される側から
見た概略斜視図である。
【図7】本発明のインクジェットカートリッジ装置本体
のキャリッジに装着される様子を示す上面図である。
【図8】本発明のインクジェット記録装置を示す概略斜
視図である。
【符号の説明】
1 ヒーターボード 2 溝付天板 2a インク導入口 3 支持基板 3A 溝 4 オリフィスプレート 5 インク供給部材 6 押えバネ 7 共通液室 8 インク路 9 オリフィス 10 配線基板 11 ワイヤボンディング 12 封止材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上原 春夫 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41J 2/05 B41J 2/16

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク滴を吐出させて飛翔的液滴を形成
    する液吐出部を具えた記録ヘッド部と、 前記記録ヘッド部を支持する支持部材および前記記録ヘ
    ッド部の周囲を覆いかつ前記記録ヘッド部にインク供給
    をするインク供給部材と、 前記記録ヘッド部にインク吐出を行わせるための電気エ
    ネルギを供給する配線部と、 前記記録ヘッド部と配線部とを電気的に接続する接続手
    段と、 前記接続手段を覆い、かつ前記記録ヘッド部とその周囲
    を囲う部材との間の空間および係合部を封止する封止材
    とを具え、 前記封止材に空気透過性が40×10-10 [cm3
    [cm]/[sec][cm2 ][cmHg]以下の材
    料を用いたことを特徴とするインクジェットユニット。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記封止材はJIS
    規格A100以下の硬度を示すものであることを特徴と
    するインクジェットユニット。
  3. 【請求項3】 請求項1において、記録用液体を吐出す
    るために利用されるエネルギを発生するエネルギ発生素
    子が設けられた第1基板と、 該第1基板と接合され、該第1基板のエネルギ発生素子
    の配設部位に対応して記録用液体の流路を形成するため
    の溝を有する第2基板と、 前記第1および第2基板に機械的付勢力を与えて両基板
    を互いに密着させる付勢部材とを具えたことを特徴とす
    るインクジェットユニット。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記第1基板のエネ
    ルギ発生素子が記録用液体を吐出するために利用される
    エネルギとしてインクに膜沸騰を生じさせる熱エネルギ
    を発生する手段を有することを特徴とするインクジェッ
    トユニット。
  5. 【請求項5】 請求項1において、インク吐出口からイ
    ンクを吐出するために利用されるインク吐出圧発生素子
    を有する第1基板と、 前記インク吐出口が形成されたオリフィスプレートと、
    該オリフィスプレート外周に一体的に設けられ、かつ一
    部が外部に突出した前面プレート部材と、前記第1基板
    と接合されて前記インク吐出口に連通するインク路を構
    成する凹凸部とを一体的に備えた第2基板と、 前記第1基板と前記第2基板とを接合した接合体が取付
    けられ、前記前面プレート部材の一部により前面領域の
    一部が覆われる支持部材と、 前記第1および第2基板に機械的付勢力を与えて両基板
    を互いに密着させる付勢部材とを具えたことを特徴とす
    るインクジェットユニット。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載のインクジェットユニッ
    トと、 該ユニットに対してインクを供給するインクタンクと、
    を一体的に備えたことを特徴とするインクジェットカー
    トリッジ。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載のインクジェットユニッ
    トと、 該ユニットに対してインクを供給するインクタンクとを
    一体的に備えたインクジェットカートリッジと、 該カートリッジを搭載して走査可能に設けられたキャリ
    ッジと、を備えたインクジェット記録装置。
  8. 【請求項8】 インク滴を吐出させて飛翔的液滴を形成
    する液吐出部を具えた記録ヘッド部と、 前記記録ヘッド部を支持する支持部材および前記記録ヘ
    ッド部の周囲を覆いかつ前記記録ヘッド部にインク供給
    をするインク供給部材と、 前記記録ヘッド部にインク吐出を行わせるための電気エ
    ネルギを供給する配線部と、 前記記録ヘッド部と配線部とを電気的に接続する接続手
    段と、 前記接続手段を覆い、かつ前記記録ヘッド部とその周囲
    を囲う部材との間の空間および係合部を封止する封止材
    とを具え、 前記封止材に水蒸気透過性が5×10-7[cm3 ][c
    m]/[sec][cm2 ][cmHg]以下の材料を
    用いたことを特徴とするインクジェットユニット。
  9. 【請求項9】 請求項8において、前記封止材はJIS
    規格A100以下の硬度を示すものであることを特徴と
    するインクジェットユニット。
  10. 【請求項10】 請求項8において、記録用液体を吐出
    するために利用されるエネルギを発生するエネルギ発生
    素子が設けられた第1基板と、 該第1基板と接合され、該第1基板のエネルギ発生素子
    の配設部位に対応して記録用液体の流路を形成するため
    の溝を有する第2基板と、 前記第1および第2基板に機械的付勢力を与えて両基板
    を互いに密着させる付勢部材とを具えたことを特徴とす
    るインクジェットユニット。
  11. 【請求項11】 請求項10において、前記第1基板の
    エネルギ発生素子が記録用液体を吐出するために利用さ
    れるエネルギとしてインクに膜沸騰を生じさせる熱エネ
    ルギを発生する手段を有することを特徴とするインクジ
    ェットユニット。
  12. 【請求項12】 請求項8において、インク吐出口から
    インクを吐出するために利用されるインク吐出圧発生素
    子を有する第1基板と、 前記インク吐出口が形成されたオリフィスプレートと、
    該オリフィスプレート外周に一体的に設けられ、かつ一
    部が外部に突出した前面プレート部材と、前記第1基板
    と接合されて前記インク吐出口に連通するインク路を構
    成する凹凸部とを一体的に備えた第2基板と、 前記第1基板と前記第2基板とを接合した接合体が取付
    けられ、前記前面プレート部材の一部により前面領域の
    一部が覆われる支持部材と、 前記第1および第2基板に機械的付勢力を与えて両基板
    を互いに密着させる付勢部材とを具えたことを特徴とす
    るインクジェットユニット。
  13. 【請求項13】 請求項8に記載のインクジェットユニ
    ットと、 該ユニットに対してインクを供給するインクタンクと、
    を一体的に備えたことを特徴とするインクジェットカー
    トリッジ。
  14. 【請求項14】 請求項8に記載のインクジェットユニ
    ットと、 該ユニットに対してインクを供給するインクタンクとを
    一体的に備えたインクジェットカートリッジと、 該カートリッジを搭載して走査可能に設けられたキャリ
    ッジと、を備えたインクジェット記録装置。
  15. 【請求項15】 インク滴を吐出させて飛翔的液滴を形
    成する液吐出部を具えた記録ヘッド部と、 前記記録ヘッド部を支持する支持部材および前記記録ヘ
    ッド部の周囲を覆いかつ前記記録ヘッド部にインク供給
    をするインク供給部材と、 前記記録ヘッド部にインク吐出を行わせるための電気エ
    ネルギを供給する配線部と、 前記記録ヘッド部と配線部とを電気的に接続する接続手
    段と、 前記接続手段を覆い、かつ前記記録ヘッド部とその周囲
    を囲う部材との間の空間および係合部を封止する封止材
    とを具え、 前記封止材に分子中にウレタン結合を有する材料を用い
    たことを特徴とするインクジェットユニット。
  16. 【請求項16】 請求項15において、前記封止材はそ
    の含有不純物の気中および/または水中への溶出濃度が
    30ppm以下のものであることを特徴とするインクジ
    ェットユニット。
  17. 【請求項17】 請求項15において、記録用液体を吐
    出するために利用されるエネルギを発生するエネルギ発
    生素子が設けられた第1基板と、 該第1基板と接合され、該第1基板のエネルギ発生素子
    の配設部位に対応して記録用液体の流路を形成するため
    の溝を有する第2基板と、 前記第1および第2基板に機械的付勢力を与えて両基板
    を互いに密着させる付勢部材とを具えたことを特徴とす
    るインクジェットユニット。
  18. 【請求項18】 請求項17において、前記第1基板の
    エネルギ発生素子が記録用液体を吐出するために利用さ
    れるエネルギとしてインクに膜沸騰を生じさせる熱エネ
    ルギを発生する手段を有することを特徴とするインクジ
    ェットユニット。
  19. 【請求項19】 請求項15において、インク吐出口か
    らインクを吐出するために利用されるインク吐出圧発生
    素子を有する第1基板と、 前記インク吐出口が形成されたオリフィスプレートと、
    該オリフィスプレート外周に一体的に設けられ、かつ一
    部が外部に突出した前面プレート部材と、前記第1基板
    と接合されて前記インク吐出口に連通するインク路を構
    成する凹凸部とを一体的に備えた第2基板と、 前記第1基板と前記第2基板とを接合した接合体が取付
    けられ、前記前面プレート部材の一部により前面領域の
    一部が覆われる支持部材と、 前記第1および第2基板に機械的付勢力を与えて両基板
    を互いに密着させる付勢部材とを具えたことを特徴とす
    るインクジェットユニット。
  20. 【請求項20】 請求項15に記載のインクジェットユ
    ニットと、 該ユニットに対してインクを供給するインクタンクと、
    を一体的に備えたことを特徴とするインクジェットカー
    トリッジ。
  21. 【請求項21】 請求項15に記載のインクジェットユ
    ニットと、 該ユニットに対してインクを供給するインクタンクとを
    一体的に備えたインクジェットカートリッジと、 該カートリッジを搭載して走査可能に設けられたキャリ
    ッジと、を備えたインクジェット記録装置。
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