JP2902686B2 - 電解コンデンサ用電解液 - Google Patents

電解コンデンサ用電解液

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、非プロトン溶媒を主体とする溶媒中にカル
バボラン(B10C2H12)の低級アルキルアンモニウム化合
物塩を電解質として含有する電解コンデンサ用電解液に
関するものである。
(従来の技術と発明が解決しようとする課題) 電解コンデンサは、アルミニウム又はタンタルなどの
表面に絶縁性の酸化皮膜が形成された弁金属を陽極電解
に使用し、前記酸化皮膜層を誘電体とし、この酸化皮膜
層の表面に電解質層となる電解液を接触させ、更に通常
陰極と称する集電用の電極を配置して構成されている。
電解コンデンサ用電解液は、上述したように誘電体層
に直接接触し、真の陰極として作用する。即ち、電解液
は電解コンデンサの誘電体層と集電陰極との間に介在し
て、電解液の抵抗分が電解コンデンサに直列に挿入され
ていることになる。故に、その特性が電解コンデンサ特
性を左右する大きな要因となる。高温寿命特性の改善と
して本出願人の出願に係る特開昭57−60829号は、エチ
レングリコールを溶媒とし、この溶媒に対して安息香酸
アンモニウム、ホウ酸及びマンニットを配合し、特にマ
ンニットによる電解液の含水量を低く抑えて高温寿命特
性を著しく改善することが開示されている。電解液の溶
媒に水又は電解コンデンサ中で反応して水を生成するヒ
ドロキシ化合物類の使用を避けて、非プロトン溶媒のみ
又はこれを主体とし、かつ電導度の高い電解質として、
本出願人は、第四級アンモニウム化合物の各種酸類との
塩につき検索して、例えば特開昭61−12048号、特開昭6
1−12049号等が知られている。しかし、これらは、高
温、例えば130℃の高温寿命試験におけるコンデンサ劣
化に欠点があった。高温寿命の向上を目的に、例えば本
出願人の出願に係る特開平1−154509号は、第四級アン
モニウムとケイ酸との塩を溶質として使用して高温特性
の向上を図るものであるが、電導度に尚不満を残した。
本発明の目的は、高温特性が優れるばかりでなく、電
導性にも優れた電解液を提供するにある。
(課題を解決するための手段) 本発明者等は、非プロトン溶媒を主体とする実質的に
非水系の電解液で高電導度を与えると共に高温特性の優
れた電解質につき鋭意研究を重ねた結果、カルバボラン
(B2C2H12)の低級アルキルアンモニウム化合物塩が非
プロトン溶媒を主体とする溶媒に溶解性が高く、かつ解
離度も高く高電導度を付与すると共に、高温特性の優れ
ることを見出して本発明に到達したものである。
即ち、本発明に係る電解コンデンサ用電解液は、非プ
ロトン溶媒を主体とする溶媒中にカルバボラン(B10C2H
12)の低級アルキルアンモニウム化合物塩を電解質とし
て含有することを特徴とする。
使用される非プロトン溶媒としては、 (1) アミド系としてN−メチルホルムアミド、N,N
−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,
N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、
N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミ
ド、N,N−ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホ
リックアミド、 (2) オキシド系としてジメチルスルホキシド、 (3) ニトリル系としてアセトニトリル、 (4) 環状エステル、アミド系としてγ−ブチロラク
トン、N−メチル−2−ピロリドン、エチレンカーボネ
ート、プロピレン−カーボネート、 などが代表として挙げられる。
本発明の対象となる多価アルコール化合物は、2価ア
ルコール化合物又は2価アルコール化合物のモノアルキ
ルエーテルが好適で、2価アルコール化合物がエチレン
グリコールであり、2価アルコールモノアルキルエーテ
ル化合物がメチルセロソルブ又はエチルセロソルブであ
る。
非プロトン溶媒に対する多価アルコール化合物の重量
割合は、非プロトン溶媒が70%以上であって、残部を多
価アルコール化合物とする。
本発明に使用されるカルバボランは、カルバボラン類
の内、式 B10C2H12の化合物であつて、下記多面体構造
を有し: これは、ヒルW.E.、ジョンソンF.A.及びノバークR.
W.、インオルガニック ケミストリ(W.E.Hill,F.A.Loh
nson,and R.W.Novak,Inorg,Chem.)、第14巻、第6号、
第1244〜9頁(1975年)に記載の下記のデカボラン(1
4)とエチルチオエーテルとアセチレンとより合成出来
る: B10H14+2Et2S=(Et2S)2B10H12+H2 (Et2S)2B10H12+HC≡CH =closo−1,2−C2B10H12+2Et2S+H2O 得られたカルバボラン(B10C2H12)をアセトン−水溶
液で精製し、これを低級アルキルアンモニウム水酸化物
と反応させてイオン化し、かつその塩を得ることが出来
る。カルボン酸基又はヒドロキシ基等の官能基を有さな
い。加水分解を受けにくく高温寿命試験で安定な特性の
原因はこれらの性質によるものと考えられる。
本発明に使用する低級アルキルアンモニウムの水酸化
物は、C1〜C6の同じ又は異なる低級アルキル基の1〜4
個を含む低級アルキルアンモニウムの水酸化物であつ
て、例えば、水酸化トリエチルアンモニウム、水酸化ト
リエチルメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアン
モニウム等であり、これらは、低級アルキルアンモニウ
ム塩酸塩を、例えば本出願人の特開昭63−80516号明細
書に記載のイオン交換膜を使用した電気透析を行いアニ
オン交換を行い脱ハロゲンと脱塩して電解コンデンサ用
電解液に適した高純度の水酸化アルキルアンモニウムの
水溶液を得るのが好適である。得られた水酸化アルキル
アンモニウム化合物水溶液にカルバボラン2モルを添加
して、中和反応させ、減圧下に蒸発乾固してカルバボラ
ンのジアルキルアンモニウム塩を得ることが出来る。
本発明に係る電解コンデンサ用電解液は、一般的に、
非プロトン溶媒に必要量の多価アルコール化合物又はそ
のモノアルキルエーテル化合物を混合した溶媒にカルバ
ボランの低級アルキルアンモニウム塩を添加溶解して得
られる。
(実施例) 以下、本発明に係る電解コンデンサ用電解液の実施例
及び比較例により説明する 比較例 1)電解液組成 前記従来技術において、説明したように、本出願人の
特開昭57−60829号明細書のマンニット使用の組成物の
溶媒を、非プロトン溶媒を主体とする溶媒に替えた組成
物を標準組成物として選定した。
比較例 γ−ブチロラクトン 78.2重量% エチレングリコール 8.7重量% トリエチルメチル− アンモニウム安息香酸塩 8.7重量% ホウ酸 1.8重量% マンニット 2.6重量% 比抵抗…256Ωcm pH…7.4 実施例 γ−ブチロラクトン 78.2重量% エチレングリコール 8.7重量% トリエチルメチル− アンモニウムカルバボラン塩 8.7重量% ホウ酸 1.8重量% マンニット 2.6重量% 比抵抗…150Ωcm pH………6.8 2)寿命試験 15mm×450mmに切断したエッチド箔を、アジピン酸浴
で化成を行った。この陽極箔と電解紙と陰極箔を巻き回
し素子とした。定格は、100V、容量は220μF、サイズ
は16φ×25であつた。高温(130℃)での寿命試験を
下記表に示す。
実施例は、比抵抗が比較例に比較して極めて小さく、
高温寿命試験において、130℃で1000時間後にも静電容
量の損失は極めて小さく、誘電正接(tan δ)の増加は
僅かであり、漏れ電流(LC μA)も実質的に変化な
く、比較例に比較して極めて優れた高温安定の性能を示
した。
(発明の効果) 本発明に係る電解コンデンサ用電解液によると、比抵
抗が小さく、かつ高温性能の優れた電解コンデンサ用電
解液が得られるので、高温下で連続使用され、かつ故障
の少ないことが要求される産業機器、通信機器などの使
用目的に適合するので、その工業的価値が高い。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非プロトン溶媒を主体とする溶媒中にカル
    バボラン(B10C2H12)の低級アルキルアンモニウム塩を
    電解質として含有する電解コンデンサ用電解液。
  2. 【請求項2】低級アルキルアンモニウムカチオンとして
    は、C1〜C6の同じ又は異なる低級アルキル基の1〜4個
    で置換された低級アルキルアンモニウムカチオンである
    請求項1記載の電解コンデンサ用電解液。
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