JP2902601B2 - ガス放電表示パネル及びその製造方法 - Google Patents

ガス放電表示パネル及びその製造方法

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JP2902601B2
JP2902601B2 JP27997996A JP27997996A JP2902601B2 JP 2902601 B2 JP2902601 B2 JP 2902601B2 JP 27997996 A JP27997996 A JP 27997996A JP 27997996 A JP27997996 A JP 27997996A JP 2902601 B2 JP2902601 B2 JP 2902601B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、透明陽極を形成
した透明な前面基板と、陰極を形成した背面基板とを、
所定の間隙を隔てて対向配置し、両基板の周縁を気密封
止して外囲器となし、内部に放電ガスを封入したガス放
電表示パネルに係り、特に、突出構造の陰極を採用する
ことにより、表示の高輝度化を図ったガス放電表示パネ
ルに関する。
【0002】
【従来の技術】この種のガス放電表示パネルの一例とし
て、特願平5−100569号や特願平5−100570号、あるい
は特願平6−46335号を挙げることができる。図8に示
すように、これらの出願において開示されているガス放
電表示パネル60は、例えば平板ガラス等の絶縁材よりな
る背面基板12と、同じく平板ガラス等の透明絶縁材より
なる前面基板14を、所定の間隙を隔てて対向配置し、両
基板周縁を低融点ガラス等の図示しない封着材によって
気密封止して外囲器16を形成し、該外囲器16の内部空間
に紫外線放射ガスを主体とした放電ガスを封入すること
を基本構成とする。
【0003】上記背面基板12の対向面には、Ag・Pd
系ペースト等よりなる帯状の陰極引出パターン18が、所
定の間隔をおいて複数本並設されている。また、各陰極
引出パターン18の上面には、GdB6とBaAl24
約2:1の比率で混合したエミッタ物質よりなる柱状陰
極62が、一定の間隔をおいて複数本立設されている。こ
の柱状陰極62は、円筒状の基端部62aが、背面基板12の
対向面上を覆う陰極保持層64内に埋没していると共に、
略半球状の先端部62bは、該陰極保持層64外に突出して
いる。この陰極保持層64は、ガラス等の絶縁材によって
構成されている。
【0004】この陰極保持層64の表面には、バリアリブ
66が形成されている。このバリアリブ66は、ガラス等の
絶縁材よりなり、各柱状陰極62を取り囲む孔部66aが複
数形成されている。この孔部66aは、その下方(陰極保
持層64側)から上方(前面基板14側)に向けて孔径が徐
々に拡大するよう形成された、いわゆる漏斗形状をなし
ており、この孔部66a内の略中央に柱状陰極の先端部62
bが収容されている。バリアリブ66は、陰極保持層64の
表面に密着した第1の層68と、順次積層された第2の層
70及び第3の層72よりなる3層構造を備えており、各層
にはそれぞれ孔径の異なる貫通孔が形成されている。そ
して、最も孔径の小さい第1の層の貫通孔68a、次に孔
径の小さい第2の層の貫通孔70a、最も孔径の大きい第
3の層の貫通孔72aが、それぞれ同心円状に連続するよ
う位置決めされ、以て孔径が下方から上方に向けて徐々
に拡大するバリアリブの孔部66aが形成される。このバ
リアリブの孔部66aの内面と、陰極保持層64の表面(柱
状陰極62の付根周辺)には、所望の発光色に対応した蛍
光体24が被着されている。
【0005】上記前面基板14の対向面には、NESA膜
(SnO2)やITO膜(In23・SnO2)等よりな
る帯状の透明陽極28が、所定の間隔をおいて複数本並設
されている。上記した各柱状陰極の先端部62bは、所定
の間隙を隔てて透明陽極28と対向しており、この柱状陰
極62と透明陽極28との対向部分毎に、バリアリブの孔部
66aによって区画された放電セル74が形成されている。
【0006】上記バリアリブ66の上面には、ガラス等の
絶縁材よりなる複数のスペーサ26が配置されている。各
スペーサ26の端面は、前面基板14の対向面に当接してい
るため、前面基板14とバリアリブ66との間には、スペー
サ26の高さに相当する隙間32が形成されている。
【0007】つぎに、図9〜13に基づき、上記ガス放
電表示パネル60の、特に背面基板側の製造方法について
説明する。まず背面基板12の一面に、Ag・Pd系ペー
ストを印刷等することにより、帯状の陰極引出パターン
18を被着形成すると共に、ガラスペーストやセラミック
ペースト等の絶縁材料を厚膜印刷等することにより、上
記柱状陰極62の外形に対応した円筒状の型孔76を備えた
陰極保持層の素地78を予め配置しておく(図9)。これ
に、GdB6とBaAl24との混合物よりなるエミッ
タ物質44を、プラズマ溶射によって吹き付ける(図1
0)。この結果、上記型孔76内に柱状陰極の素地80が充
填される。
【0008】その後、陰極保持層の素地78の表面に堆積
したエミッタ物質44を研磨し、これを削除する(図1
1)。この結果、上記型孔76内に充填された柱状陰極の
素地80のみが残されることとなる。
【0009】つぎに、上記陰極保持層の素地78の表面
に、ガラスペーストやセラミックペースト等の絶縁材料
を厚膜印刷等することにより、バリアリブの第1の層の
素地82、第2の層の素地84、及び第3の層の素地86を順
次積層配置させる(図12)。
【0010】つぎに、所定の温度で焼成することによ
り、陰極保持層64、柱状陰極62、バリアリブ66の第1の
層68、第2の層70及び第3の層72が形成される(図1
3)。この際、陰極保持層の素地78を構成する材料本来
の焼成温度よりも高めに温度設定することにより、陰極
保持層の素地78が全体的に収縮する。そして、この陰極
保持層の素地78が収縮した分だけ、柱状陰極の先端部62
bが陰極保持層64の表面から突出することとなる。最後
に、陰極保持層64の表面から突出した柱状陰極の先端部
62bに、ブラスト処理やバフ研磨を施すことによって略
半球状に形成する。
【0011】上記ガス放電表示パネル60の使用に際し、
図示しない電源より透明陽極28及び柱状陰極62間に直流
電圧を印加すると、放電セル74内で放電が生成し、紫外
線が発生する。この紫外線が放電セル74内の蛍光体24を
励起し、所定の発光色を有する光が透明陽極28及び前面
基板14を透過して外部に放射される。この電圧印加を、
図示しない制御・駆動回路を介して選択的に実行するこ
とにより、所望の放電セル74において放電発光を生成さ
せ、前面基板14上に任意の文字や図形を表示することが
できる。
【0012】この際、柱状陰極の先端部62bは、その頂
点のみならず側周面も放電に寄与することとなる。した
がって、放電によって発生した紫外線は、陰極保持層64
の表面に被着された蛍光体24にも遍く照射されることと
なり、平面状の非突出型陰極を用いた場合に比べてより
高輝度な表示が可能となる。また、各放電セル74を区画
するバリアリブ66の孔部66aが、下方から上方に向かっ
て孔径が徐々に拡大する漏斗形状をなしており、放電に
より生じた光はこの孔部66aの内面で反射されて前面基
板14側に集光されるため、さらに高輝度な表示が可能と
なる。その上、柱状陰極の先端部62bが略半球状に湾曲
しているため、表面の電界強度が均一化し、放電特性が
安定化する利点もある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、優れた
特性を備えたガス放電表示パネル60ではあるが、以下の
問題点を抱えていた。まず、上記のように、陰極保持層
の素地78を収縮させることにより、結果的に柱状陰極の
先端部62bを突出させているため、該先端部62bの突出
度を十分に高めることができなかった。すなわち、陰極
保持層の素地78の収縮率は、当該絶縁材料の材質や融
点、あるいは焼成温度との兼ね合いで決まるのである
が、如何にこれらの条件設定を加減しても、陰極保持層
64の表面から突出する柱状陰極先端部66bの高さは、せ
いぜい10〜20μmにとどまっていた。このため、これ以
前の平面状の陰極を用いた場合に比べれば、確かに表示
の高輝度化が実現されているとしても、突出構造を備え
た陰極を採用することで表示輝度を飛躍的に向上させよ
うという当初の目標は、必ずしも十分に達成できていな
いという不満があった。
【0014】また、柱状陰極の基端部62aを固定する陰
極保持層64と、各放電セル74を区画するバリアリブ66と
を別個に形成するため、構成の複雑化及び製造工程の煩
雑化をもたらしていた。特に、バリアリブ66の形成に当
たっては、それぞれ孔径の異なる孔部を備えた複数層の
素地82,84,86を積層させ、しかも各層の孔部を同心円
状に位置決めする必要があり、製造効率の向上に対する
障害となっていた。柱状陰極先端部62bの形状を略半球
状に整形する工程を別途設ける必要がある点も、同様に
製造効率の向上に対する阻害要因となっていた。
【0015】さらに、突出陰極が円柱形状を備えた柱状
陰極62として実現されているため、表示の高解像度化に
伴って柱状陰極62の細密化が進むと、個々の柱状陰極62
の強度を十分に確保することが困難となる。この結果、
柱状陰極62に欠損部分が発生し易くなり、歩留まりの低
下や寿命特性の悪化、表示品質の劣化等をもたらす虞が
あった。
【0016】この発明は、従来のガス放電表示パネルが
抱えていた上記課題を解決せんとするものであり、構成
簡易にして製造容易でありながら、十分な高輝度化を達
成できる信頼性の高いガス放電表示パネルを実現するこ
とを目的とする。また、このようなガス放電表示パネル
を製造する方法を実現することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明に係るガス放電表示パネルは、一面に複数
の透明陽極を形成した透明絶縁材よりなる前面基板と、
一面に複数の陰極を形成した絶縁材よりなる背面基板と
を、所定の間隙を隔てて対向配置して両電極間に放電セ
ルを形成し、両基板の周縁を気密封止して外囲器とな
し、該外囲器内に蛍光体と紫外線放射ガスを封入してな
るガス放電表示パネルであって、上記背面基板の対向面
に所定の間隔をおいて配置された複数本の陰極引出パタ
ーンと、該陰極引出パターンの表面に立設され、該陰極
引出パターンに沿って連なる複数本の畦状陰極と、上記
背面基板の対向面と接するベース部、各畦状陰極を所定
の間隔をおいて長さ方向に区切る複数の第1の隔壁、各
畦状陰極間を仕切る複数の第2の隔壁、及び上記第1の
隔壁及び第2の隔壁によって囲繞された多数の凹部空間
を有するバリアリブとを備え、上記畦状陰極の先端部の
一部は上記凹部空間内に突出していると共に、上記畦状
陰極の基端部は、上記バリアリブのベース部内に埋設さ
れており、また上記畦状陰極の先端部は断面略半円状の
湾曲面を成しており、上記バリアリブの凹部空間は、背
面基板側から前面基板側に向けて徐々に広がる断面略漏
斗形状をなしていることを特徴とする。蛍光体は、上記
バリアリブの凹部空間内面の略全域に被着されているこ
とが望ましい。
【0018】上記のように、畦状陰極の先端部がバリア
リブの凹部空間内に突出しているため、放電時には畦状
陰極先端部の側面部分も放電に寄与することとなり、放
電セル内の比較的広い範囲で放電生成が実現される。こ
の結果、放電によって発生した紫外線は、放電セル内の
広い範囲に十分に照射されることとなる。したがって、
蛍光体をできるだけ広い範囲(例えばバリアリブの凹部
空間内面の略全域)に配置させておけば、多量の紫外線
によって広範囲の蛍光体が励起されることとなり、極め
て高輝度な表示を達成することができる。しかも、畦状
陰極の先端部を囲繞するバリアリブの凹部空間が、断面
略漏斗形状をなしており、その内面が反射面を構成する
ため、発生した光はこの内面で反射・集光され、表示の
さらなる高輝度化が実現できる。
【0019】また、畦状陰極の基端部を保持する部材
と、畦状陰極の先端部を囲繞する部材、及び光を反射・
集光させる部材が、ベース部、第1の隔壁、第2の隔
壁、及び凹部空間を有するバリアリブ一つで実現されて
いるため、構成の簡素化及び製造の容易化に資するもの
である。さらに、突出陰極として、陰極引出パターンに
沿って長く連なる畦状陰極を採用しているため、従来の
柱状陰極に比べて陰極それ自体の強度が向上しており、
その分欠損が生じ難くなっている。
【0020】また、この発明に係るガス放電表示パネル
の製造方法は、背面基板の一面に、所定の間隔をおいて
複数本の陰極引出パターンを形成する工程と、上記背面
基板の一面に、上記陰極引出パターンに沿って延びる複
数本の溝を備えたバリアリブの第1の素地を所定の厚さ
で配置させる工程と、上記溝内に、畦状陰極の素地を配
置させる工程と、上記バリアリブの第1の素地の表面
に、バリアリブの第2の素地を所定の厚さで配置させる
工程と、該バリアリブの第2の素地の表面に、放電セル
に対応した多数の貫通孔を備えたマスクを密着させる工
程と、該マスクの上から研磨材を噴射させて、上記の各
貫通孔に対応した箇所で上記バリアリブの第2の素地及
び第1の素地を所定量掘り下げることにより、上記畦状
陰極の素地の先端部を必要な量だけ突出させると同時
に、該先端部を断面略半円状の湾曲面に整形し、さらに
背面基板側から前面基板側に向けて徐々に広がる断面略
漏斗形状の凹部空間を形成する工程と、上記マスクを除
去した上で上記バリアリブの第1の素地、第2の素地及
び畦状陰極の素地を焼成させてバリアリブ及び畦状陰極
を完成させる工程とを少なくとも含むことを特徴として
いる。エミッタ物質をバリアリブの第1の素地の表面に
溶射することで畦状陰極の素地を溝内に配置させると共
に、上記第1の素地の表面に堆積した余分なエミッタ物
質を除去した後、バリアリブの第2の素地を配置させる
ようにすることが望ましい。
【0021】この製造方法によれば、バリアリブの第1
の素地の掘り下げ量を調節することによって、畦状陰極
先端部の突出量を比較的自由に制御することが可能とな
る。このため、畦状陰極先端部の突出量を限界まで増加
させて、表示輝度を飛躍的に高めることができる。
【0022】また、畦状陰極の基端部を保持するバリア
リブのベース部を形成することと、畦状陰極の先端部を
囲繞する第1の隔壁及び第2の隔壁の形成すること、凹
部空間を断面略漏斗形状となして反射面を形成するこ
と、並びに畦状陰極の先端部を断面略半円状に整形する
こととが、研磨材を噴射させるという同一の工程を通じ
て実現できるため、製造工程の簡素化が図れる。
【0023】
【発明の実施の態様】以下にこの発明に係るガス放電表
示パネルの一例を、添付図面に基づいて説明する。図1
は、ガス放電表示パネル10を示す概略断面図であり、こ
のガス放電表示パネル10は、平板ガラス等の絶縁材より
なる背面基板12と、同じく平板ガラス等の透明絶縁材よ
りなる前面基板14を、所定の間隙を隔てて対向配置し、
両基板周縁を低融点ガラス等の図示しない封着材によっ
て気密封止して外囲器16を形成し、該外囲器16の内部空
間に放電ガス(例えば、紫外線放射用のXeガスに、H
e及びArを所定の比率で混合したもの)を封入するこ
とを基本構成とする。
【0024】上記背面基板12の対向面には、Ag・Pd
系ペースト等よりなる帯状の陰極引出パターン18が複数
列並設されている。各陰極引出パターン18の上面には、
所定の高さを備えた畦状陰極20が立設されている。この
畦状陰極20は、GdB6とBaAl24を約2:1の比
率で混合したエミッタ物質よりなる。また、畦状陰極20
は断面略「逆U字」形状を備えており、背面基板12の部
分斜視図である図2に示すように、陰極引出パターン18
の長手方向に沿って長く連なるように形成されている。
【0025】上記背面基板12の表面には、ガラス等の絶
縁材より成るバリアリブ22が形成されている(図1)。
このバリアリブ22は、背面基板12の表面と接するベース
部22aと、各畦状陰極20を長さ方向に所定の間隔で区切
る複数の第1の隔壁22bと、各畦状陰極20相互間を仕切
る複数の第2の隔壁22cと、第1の隔壁22b及び第2の
隔壁22cによって囲繞された凹部空間22dとを備えてい
る。図3に示すように、上記畦状陰極20の基端部20aは
バリアリブ22のベース部22a内に埋設されていると共
に、先端部20bは上記凹部空間22d内に突出している。
バリアリブの第1の隔壁22b及び第2の隔壁22cは、背
面基板12の対向面から垂直に立設されているわけではな
く、背面基板12に近づくにつれて厚さが増すように形成
されている。この結果、上記凹部空間22dは、背面基板
12側から前面基板14側に向けて徐々に広がる断面略漏斗
形状をなしており、該凹部空間22dの内面は反射面を構
成している。上記凹部空間22dの内面には、所望の発光
色に対応した蛍光体24が、略全域にわたって被着されて
いる。また、上記バリアリブ22の上面で、第1の隔壁22
b及び第2の隔壁22cが交差する部分には、図2に示す
ように、所定の高さを備えたガラス等より成るスペーサ
26が配置されている。
【0026】上記前面基板14の対向面には、NESA膜
(SnO2)やITO膜(In23・SnO2)等よりな
る帯状の透明陽極28が形成されている。図1において
は、1本の透明陽極28の断面のみが表れているが、実際
には所定の間隔をおいて複数本の透明陽極28が並設され
ている。この複数本の透明陽極28と上記した各畦状陰極
20とは、それぞれ所定の間隙を隔てて交差するよう位置
決めされており、各交差部分毎にバリアリブ22によって
囲繞された放電セル30が形成されている。なお、前面基
板14の対向面にはスペーサ26の端面が当接しているた
め、前面基板14とバリアリブ22の上面との間には、スペ
ーサ26の高さに相応した隙間32が形成されている。
【0027】しかして、図示しない電源より、透明陽極
28及び畦状陰極20間に直流電圧を印加すると、放電セル
30内で放電が生成し、紫外線が発生する。この紫外線が
放電セル30内の蛍光体24を励起し、所定の発光色を有す
る光が透明陽極28及び前面基板14を透過して外部に放射
される。この電圧印加を、図示しない制御・駆動回路を
介して選択的に実行することにより、所望の放電セル30
において放電発光を生成させ、前面パネル14上に任意の
文字や図形を表示することができる。
【0028】この際、畦状陰極20の先端部20bは、その
頂面のみならず側面部分も放電に寄与することとなる。
このため、放電セル30内の比較的広い範囲で放電生成が
実現されることとなり、放電によって発生した紫外線は
凹部空間22dの内面に被着された蛍光体24の略全体に十
分照射されるため、極めて高輝度な表示が可能となる。
【0029】また、バリアリブの凹部空間22dが上記の
ように下方から上方に向かって徐々に広がる断面略漏斗
形状をなしており、その内面が反射面を構成しているた
め、放電によって発生した光はこの内面で反射されて前
面基板14側に集光されることとなり、さらに高輝度な表
示が可能となる。
【0030】図3に示すように、畦状陰極の下端部20a
はバリアリブのベース部22aに埋没し、該ベース部22a
によって確実に保持されている。したがって、単に陰極
引出パターン18の表面に畦状陰極20の下端面を接続する
場合に比べ、陰極引出パターン18への接続強度は格段に
高くなり、容易に抜け難いものとなっている。このた
め、放電セル30の細密化に対応して畦状陰極20を細く形
成しても、十分な接続強度を確保できる。なお、上記の
通り、畦状陰極20は陰極引出パターン18に沿って長く連
なるように形成されているため、従来の柱状陰極に比べ
てそれ自体の強度が増していることは言うまでもない。
【0031】さらに、畦状陰極の先端部20bが断面略半
円状に形成されているため、陰極表面の電界強度が略均
一となり、放電特性の安定化が図れる。もちろん、畦状
陰極の先端部20bの形状を断面略半円状に整形すること
なく、単に断面矩形状のまま用いても陰極としての機能
を果たすことは可能である。しかし、陰極先端にエッジ
部分を残しておくと、そこに電界集中が生じるため該エ
ッジ部分と陽極間の電界強度が他の部分よりも高まり、
放電特性が不安定となる虞がある。そこで、畦状陰極先
端部20bの表面をエッジを落とした曲面に形成し、電界
強度の均一化を図ることが望ましいのである。なお、放
電セル30内で放電が生成した際には、上記隙間32を介し
て各放電セル30間のイオンの流通が確保される。
【0032】つぎに、このガス放電表示パネル10の、特
に背面基板側12の製造方法について説明するが、途中ま
では上記した従来例における製造方法と略共通してい
る。すなわち、図9に示したように、まず背面基板12の
一面に、Ag・Pd系ペーストを印刷等することによ
り、帯状の陰極引出パターン18を被着形成すると共に、
ガラスペーストやセラミックペースト等の絶縁材料を厚
膜印刷等することにより、バリアリブの第1の素地40を
所定の厚さで配置しておく。この際、バリアリブの第1
の素地40は陰極引出パターン18が被着された箇所を避け
て配置されるため、陰極引出パターン18に沿ってバリア
リブの第1の素地40が配置されていない溝42が形成さ
れ、該溝42の底には陰極引出パターン18の表面が露出し
ている。このように、畦状陰極20を形成するために溝42
を形成する点で、柱状陰極を形成するために円筒状の型
孔76を形成する従来例とは異なっている。そして、上記
バリアリブの第1の素地40の表面に、GdB6とBaA
24との混合物よりなるエミッタ物質44をプラズマ溶
射によって吹き付ける(図10)。この結果、上記溝42
内に畦状陰極の素地46が充填される。
【0033】その後、バリアリブの第1の素地40の表面
に堆積したエミッタ物質44を研磨し、これを削除する
(図11)。この結果、上記溝42内に充填されたエミッ
タ物質(畦状陰極の素地46)のみが残されることとな
る。
【0034】つぎに、図4に示すように、バリアリブの
第1の素地40の表面に、ガラス等の絶縁材料を厚膜印刷
することにより、バリアリブの第2の素地48を所定の厚
さで配置させる。また、このバリアリブの第2の素地48
の表面には、感光性樹脂より成るフォトレジストフィル
ム50が一面に被着される。つぎに、上記フォトレジスト
フィルム50の表面に格子状パターンの印刷されたマスク
を密着させて紫外線による露光処理を施し(図示省
略)、当該パターンに対応する硬化部分を形成した後、
これを所定の現像液に漬けて硬化されていない部分を除
去することにより、図5に示すように、略正方形状の貫
通孔52がドット・マトリクス状に多数配置された格子状
のマスク54を形成する。
【0035】つぎに、図6に示すように、上記マスク54
の上方に配置されたノズル56より研磨材を吹き付ける、
いわゆるサンドブラスト処理を施す。上記バリアリブの
第2の素地48及び第1の素地40は、ガラスペーストを単
に乾燥させただけの状態にあり、未だ焼成による硬化を
行っていないため、上記サンドブラスト処理を施される
と、マスク54で覆われていない露出部分(マスクの貫通
孔52に該当する部分)が掘り下げられていく。これに対
し、畦状陰極の素地46の方はプラズマ溶射を経て堆積さ
れており、バリアリブの素地に比べて高い硬度を備えて
いるため、上記サンドブラスト処理によって大きく損な
われることはない。上記サンドブラスト処理は、微細な
口径のノズルを用いて個々の貫通孔52毎に実施しても勿
論よいが、図示のように比較的口径の大きなノズル56
(例えば20〜30φ)を用い、複数の貫通孔52に対して同
時に研磨材を吹き付ける方が効率的に遂行できる。この
場合、ノズル56は各貫通孔52の上方を何回も往復移動す
ることにより、各貫通孔52に対応したバリアリブの第2
の素地48及び第1の素地40を徐々に掘り下げていく。
【0036】バリアリブの第1の素地40の掘り下げ量
は、ノズル56の往復回数を加減したり、ノズル56の移動
速度や研磨材の噴射速度を調節することにより、あるい
は研磨材の粒径や材質を適宜選択することにより、自由
に制御することが可能となり、この結果として畦状陰極
の素地46の突出量を柔軟に設定できる。例えば、バリア
リブの第1の素地40及び第2の素地48をそれぞれ約10
0μmの高さに積層させた上で、第1の素地40を表面か
ら約60μm程掘り下げることにより、畦状陰極の素地
46の先端部を約60μmの高さで突出させる。もちろ
ん、必要であればさらに深く第1の素地40を掘り下げ
て、畦状陰極の素地46の突出度を高めることも可能であ
る。この場合、第1の素地40をより深く掘り下げる分、
畦状陰極の素地46の基端部と陰極引出パターン18との接
続強度が低下することとなるが、初めから第1の素地40
をより厚く堆積させておけば問題ない。
【0037】上記のサンドブラスト処理において、一定
の速度でノズル56を移動させれば、貫通孔52の中心付近
ほど研磨材が多く吹き付けられ、周辺付近ほどマスク54
で邪魔される確率が高くなるため、丁度畦状陰極の素地
46の周辺部分が最も深く掘られることとなる。この結
果、畦状陰極の素地46の先端部を露出させるのと同時
に、自然に断面略漏斗形状の凹部空間22dを形成するこ
とができる。また、上記サンドブラスト処理を通じて、
畦状陰極の素地46の先端部分も若干ではあるが研磨され
ることとなり、その角が落ちて自然に断面略半円状の湾
曲面が形成される。
【0038】つぎに、上記マスク54を剥離した上で背面
基板12全体に加熱処理を施し、バリアリブの第1の素地
40、第2の素地48、及び畦状陰極の素地46をそれぞれ焼
成させてバリアリブ22及び畦状陰極20を完成させた後
に、バリアリブの凹部空間22dの内面(反射面)に所定
の蛍光体24を被着させる。この蛍光体24の被着方法とし
ては、従来から厚膜印刷法やフォト法が知られている
が、ここでは図7に示すように、ノズル58から蛍光体24
を凹部空間22dの内面及び畦状陰極先端部20bの表面に
向けてプラズマ溶射させ、後で畦状陰極先端部20bの表
面を覆っている蛍光体24をサンドブラスト等の手段を用
いて除去する方法を採用している。このプラズマ溶射法
を用いる場合、蛍光体24としては還元雰囲気中でも変化
しないものを用いる必要があり、例えば青色発光用とし
てBaMgAl1423:Eu2+が、緑色発光用としてB
aAl1219:Mnが、また赤色発光用として(YE
u)23などが該当する。
【0039】
【発明の効果】本発明に係るガス放電表示パネルにあっ
ては、畦状陰極の基端部を保持する部材と、畦状陰極の
先端部を囲繞すると共に光を反射・集光させる部材が、
バリアリブのみで実現されるため、構成の簡素化及び製
造の容易化が実現できる利点を有する。また、突出陰極
として、陰極引出パターンに沿って長く連なる畦状陰極
を採用しているため、従来の柱状陰極に比べて陰極自体
の強度が増し、寿命特性や歩留まりの向上を達成でき
る。
【0040】本発明に係る製造方法によれば、バリアリ
ブの第1の素地の掘り下げ量を加減することで、畦状陰
極の突出量を比較的自由に設定できるため、畦状陰極の
突出度を可能な限り高めてより高輝度な表示を実現する
ことが可能となる。また、畦状陰極の基端部を保持する
バリアリブのベース部を形成することと、畦状陰極の先
端部を区画する第1の隔壁及び第2の隔壁の形成するこ
と、断面略漏斗形状の凹部空間を形成すること、並びに
畦状陰極の先端部を断面略半円状に整形することとが、
研磨材を噴射させるという同一の工程を通じて実現でき
るため、製造工程の簡素化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガス放電表示パネルの一例を示す
概略断面図である。
【図2】上記ガス放電表示パネルの背面基板側を示す部
分斜視図である。
【図3】上記ガス放電表示パネルの畦状陰極周辺を示す
拡大断面図である。
【図4】上記ガス放電表示パネルの背面基板側の製造工
程を示す概略断面図である。
【図5】上記ガス放電表示パネルの背面基板側の製造工
程を示す概略断面図である。
【図6】上記ガス放電表示パネルの背面基板側の製造工
程を示す概略断面図である。
【図7】上記ガス放電表示パネルの背面基板側の製造工
程を示す概略断面図である。
【図8】従来のガス放電表示パネルを示す概略断面図で
ある。
【図9】本発明に係るガス放電表示パネル及び従来のガ
ス放電表示パネル等の製造工程を示す概略断面図であ
る。
【図10】本発明に係るガス放電表示パネル及び従来の
ガス放電表示パネル等の製造工程を示す概略断面図であ
る。
【図11】本発明に係るガス放電表示パネル及び従来の
ガス放電表示パネル等の製造工程を示す概略断面図であ
る。
【図12】従来のガス放電表示パネルの製造工程を示す
概略断面図である。
【図13】従来のガス放電表示パネルの製造工程を示す
概略断面図である。
【符号の説明】
10 ガス放電表示パネル 12 背面基板 14 前面基板 16 外囲器 18 陰極引出パターン 20 畦状陰極 20a 畦状陰極の基端部 20b 畦状陰極の先端部 22 バリアリブ 22a ベース部 22b 第1の隔壁 22c 第2の隔壁 22d 凹部空間 24 蛍光体 28 透明陽極 30 放電セル 40 バリアリブの第1の素地 42 溝 46 畦状陰極の素地 48 バリアリブの第1の素地 52 貫通孔 54 マスク

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一面に複数の透明陽極を形成した透明絶
    縁材よりなる前面基板と、一面に複数の陰極を形成した
    絶縁材よりなる背面基板とを、所定の間隙を隔てて対向
    配置して両電極間に放電セルを形成し、両基板の周縁を
    気密封止して外囲器となし、該外囲器内に蛍光体と紫外
    線放射ガスを封入してなるガス放電表示パネルであっ
    て、上記背面基板の対向面に所定の間隔をおいて配置さ
    れた複数本の陰極引出パターンと、該陰極引出パターン
    の表面に立設され、該陰極引出パターンに沿って連なる
    複数本の畦状陰極と、上記背面基板の対向面と接するベ
    ース部、各畦状陰極を所定の間隔をおいて長さ方向に区
    切る複数の第1の隔壁、各畦状陰極間を仕切る複数の第
    2の隔壁、及び上記第1の隔壁及び第2の隔壁によって
    囲繞された多数の凹部空間を有するバリアリブとを備
    え、上記畦状陰極の先端部の一部は上記凹部空間内に突
    出していると共に、上記畦状陰極の基端部は、上記バリ
    アリブのベース部内に埋設されており、また上記畦状陰
    極の先端部は断面略半円状の湾曲面を成しており、上記
    バリアリブの凹部空間は、背面基板側から前面基板側に
    向けて徐々に広がる断面略漏斗形状をなしていることを
    特徴とするガス放電表示パネル。
  2. 【請求項2】 バリアリブの凹部空間内面の略全域に蛍
    光体が被着されていることを特徴とする請求項1に記載
    のガス放電表示パネル。
  3. 【請求項3】 背面基板の一面に、所定の間隔をおいて
    複数本の陰極引出パターンを形成する工程と、上記背面
    基板の一面に、上記陰極引出パターンに沿って延びる複
    数本の溝を備えたバリアリブの第1の素地を所定の厚さ
    で配置させる工程と、上記溝内に、畦状陰極の素地を配
    置させる工程と、上記バリアリブの第1の素地の表面
    に、バリアリブの第2の素地を所定の厚さで配置させる
    工程と、該バリアリブの第2の素地の表面に、放電セル
    に対応した多数の貫通孔を備えたマスクを密着させる工
    程と、該マスクの上から研磨材を噴射させて、上記の各
    貫通孔に対応した箇所で上記バリアリブの第2の素地及
    び第1の素地を所定量掘り下げることにより、上記畦状
    陰極の素地の先端部を必要な量だけ突出させると同時
    に、該先端部を断面略半円状の湾曲面に整形し、さらに
    背面基板側から前面基板側に向けて徐々に広がる断面略
    漏斗形状の凹部空間を形成する工程と、上記マスクを除
    去した上で上記バリアリブの第1の素地、第2の素地及
    び畦状陰極の素地を焼成させてバリアリブ及び畦状陰極
    を完成させる工程とを少なくとも含むことを特徴とする
    請求項1に記載したガス放電表示パネルの製造方法。
  4. 【請求項4】 エミッタ物質をバリアリブの第1の素地
    の表面に溶射することで畦状陰極の素地を溝内に配置さ
    せると共に、上記第1の素地の表面に堆積した余分なエ
    ミッタ物質を除去した後、バリアリブの第2の素地を配
    置させることを特徴とする請求項3に記載のガス放電表
    示パネルの製造方法。
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