JP2899953B2 - 1−(5−イソキノリンスルホニル)ホモピペラジン塩酸塩1/2水和物 - Google Patents
1−(5−イソキノリンスルホニル)ホモピペラジン塩酸塩1/2水和物Info
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Description
質を有し、かつ製造において簡便に得られる1−(5−
イソキノリンスルホニル)ホモピペラジン〔1−(5−
isoquinolinesulfonyl)homo
piperazine〕塩酸塩の新規な1/2水和物に
関する。
モピペラジン(以下〔ファスジル〕と略称する)は旭化
成工業株式会社で発見されたイソキノリンスルホン酸ア
ミド化合物であり、その製造法としては種々の方法が知
られている〔特開昭61−227581号公報、USP
4,678,783号明細書、EP公告0,187,3
71号明細書等〕。その塩酸塩(塩酸ファスジル)は水
に易溶な、融点217〜223℃の無水結晶である。
し、経口投与製剤や注射投与製剤として用いられるエリ
ル注(登録商標;旭化成工業株式会社)との商品名で、
くも膜下出血術後の脳血管攣縮及びこれに伴う脳虚血症
状の改善等を目的として臨床適用されている。その用法
・用量は通常、成人には塩酸ファスジルとして1回30
mgを適当量の電解質液または糖液に希釈し、1日2〜
3回、30分間かけて点滴静注する。本剤の投与は、く
も膜下出血術後早期に開始し、2週間投与することが望
ましく、30mg/アンプルを1日3回静注投与するも
のである。
結晶が報告されているにすぎず、その無水結晶は、1重
量%(以下、単に%で示す)以下の水分を含有(カール
フィッシャー法;以下、同様)する。その無水結晶にお
ける赤外分光光度計による赤外吸収スペクトル(ヌジョ
ール法;以下、同様)は図1に示す通りであり、161
8cm-1付近(イソキノリン骨格に基づく骨格振動、ν
aromatic)、1588cm-1付近(イソキノリン骨格に
基づく骨格振動、νaromatic)、1338cm -1付近
(スルホンアミドの逆対称伸縮振動、νantisymmetricS
O2)、1160cm-1付近(スルホンアミドの対称伸縮
振動、νsymmetricSO2)の各波数に特徴的な赤外吸収ス
ペクトルを有し、また粉末X線回折(理学電機工業製;
−7、Target:Cu、Kv−mA:30−10、
Filter:Ni;以下、同様)の回折角(2θ)は
14.7、16.6、17.5、20.5、24.6、
25.5付近(なお誤差範囲としては±0.2)であ
り、特に17.5、24.6付近に特徴的回折角が認め
られる。
00)においても塩酸ファスジル無水結晶は図2に示す
通り、無水結晶特有の融点での吸熱ピークのみを示し
た。
塩酸ファスジルを錠剤化するに当って良好なものとし
て、新規な塩酸ファスジル・3水和物を見い出し(特願
平7−163341号明細書)、この3水和物は約1
4.0〜15.5%(理論値14.2%)の水分を含有
し、赤外分光光度計による赤外吸収スペクトルは図3に
示す通り、1630cm-1付近(イソキノリン骨格に基
づく骨格振動、νaromatic)、1598cm-1付近(イ
ソキノリン骨格に基づく骨格振動、νaromatic)、11
50cm-1付近(スルホンアミドの対称伸縮振動、νsy
mmetricSO2)の各波数に特徴的な赤外吸収スペクトルを
有し、また粉末X線回折の回折角(2θ)は14.2、
16.3、16.9、23.1、25.7、36.8付
近であり、特に23.1、36.8付近に特徴的回折角
が認められる。
00)においても塩酸ファスジル3水和物は図4に示す
通り、3水和物特有の吸熱ピークを示した。しかし、こ
の塩酸ファスジル3水和物は40℃、75%相対湿度
(RH)の条件において、水分含量が14.1%付近か
ら経時変化と共に減少し、最終的に2.8%から3.0
%付近まで減少することが認められ、水分含量が変化す
ることが判明した。
る場合、40℃以下に温度管理することが必要となり、
現実的には非常に難しく、保存及び製造上の問題があ
り、安定性の良好なものが求められていた。
明者らは、前記問題点を解決すべく種々検討したとこ
ろ、この塩酸ファスジル3水和物以外の新しい結晶が存
在し、その結晶は温度安定性が良好である事を見い出し
た。この結晶は塩酸ファスジルの1/2水和物であり、
40℃、75%RH条件下、96時間の経時変化におい
て、水分含量に変化がみられない安定なものであり、こ
の結果、約2.5〜3.1%(理論値2.67%)の水
分を含有し、赤外分光光度計による赤外吸収スペクトル
は図5に示す通りであって、1620cm-1付近(イソ
キノリン骨格に基づく骨格振動、νaromatic)、159
2cm-1付近(イソキノリン骨格に基づく骨格振動、ν
aromatic)、1140cm-1付近(スルホンアミドの対
称伸縮振動、νsymmetricSO2)の各波数に特徴的な赤外
吸収スペクトルを有し、粉末X線回折の回折角(2θ)
は8.4、12.4、14.0、16.2、16.8、
18.2、19.5、22.4、25.6付近であり、
特に14.0、18.2付近に特徴的回折角が認められ
る。
2水和物は図6に示す通り、1/2水和物特有の吸熱ピ
ークを示した。本発明は上記の知見に基づいて完成され
たもので、次の性質を有することを特徴とする塩酸ファ
スジル1/2水和物を提供するものである。 (1)水分含量 2.5〜3.1%(カールフィッシャー法) (2)赤外吸収スペクトル(ヌジョール法) 1620、1592、1140cm-1付近の吸収 本発明の結晶を作るに当たっては、例えば、前記の化学
合成法に関する文献に記載の方法によって製造すること
ができる塩酸ファスジルの無水粗結晶を40〜80℃の
温水に40〜50%の濃度になるように溶解し、その溶
解液をメンブランフィルターで濾過後、0〜5℃の温度
条件下で2日間撹拌、冷却晶析する。この析出した結晶
を20〜25℃で乾燥することにより塩酸ファスジルの
3水和物を製造し、さらにこの塩酸ファスジルの3水和
物を例えば、40℃〜70℃、2〜100時間乾燥する
ことにより目的とする塩酸ファスジルの1/2水和物を
得ることができる。
/2水和物はマウス(雄性)経口急性毒性試験において
LD50は280〜285mg/kgであり、ラット(雄
性)経口急性毒性試験においてのLD50は345〜36
0mg/kgであった。一方、薬効面でイヌにおける大
腿動脈および椎骨動脈血流量増加を静脈内投与0.3m
g/kgで測定したところ大腿動脈の血流量増加は45
%、椎骨動脈の血流量増加は198%みられ良好な結果
を示した。
例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は何ら
これらによって限定されるものではない。
ルム溶液(40l)に、5−イソキノリンスルホニルク
ロリド(5.0kg)のクロロホルム溶液(40l)を
氷冷下、1時間で滴下した。氷冷下、さらに1時間撹拌
反応させた後、反応液を2N塩酸水溶液で抽出した。水
層を10%水酸化ナトリウム水溶液でpH10とし、ク
ロロホルム(80l)で抽出した。クロロホルム層は水
洗、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下留
去した。残渣をシリカゲル(ワコーゲルC−200)1
50kg、展開溶剤5%メタノール/クロロホルム(体
積比)を用いるカラムクロマトグラフィーによって分離
し、ファスジル(6.01kg,89%)を得た。 元素分析値;()内理論値 C:57.59%(57.71%),H:5.92%
(5.88%),N:14.29%(14.42%),
S:10.83%(11.00%) このファスジル2.0kgをメタノール(10l)に懸
濁させ、水(10l)および1N塩酸水溶液6.57l
を加え、40℃に加温し溶解させた。溶液を減圧下乾固
し、水:メタノール(容積比2:1)5lで再結晶し、
析出した塩酸ファスジルを120℃、8時間乾燥するこ
とによって塩酸ファスジル(2.01kg,89%)を
得た。 元素分析値;()内理論値 C:51.01%(51.29%),H:5.47%
(5.53%),N:12.80%(12.82%),
S:10.14%(9.78%),Cl:10.53%
(10.81%) 本品の水分含量は0.33%(カールフィッシャー法)
を示し、赤外吸収スペクトルは図1に、また粉末X線回
折の回折角(2θ)は14.7、16.6、17.5、
20.5、24.6、25.5付近であった。また熱分
析においても図2に示す様に、無水物特有の分析結果を
示すものであった。
水結晶210gを50℃に加温した水525mlに溶解
し,メンブラン(0.8μm)フィルターで濾過した
後、濾液を5℃に保ち、2日間撹拌させることによって
冷却晶析した。その析出した結晶を吸引濾過後、25℃
で6時間乾燥し、塩酸ファスジル3水和物190g(収
率78%)を得た。
(カールフィッシャー法理論値14.2%)を示し、赤
外吸収スペクトルは図3に、粉末X線回折の回折角(2
θ)は14.2、16.3、16.9、23.1、2
5.7、36.8付近であり、また熱分析においても図
4に示す様に、3水和物特有の分析結果を示すものであ
った。
水和物190gを40℃、10時間乾燥(75%RH)
し、塩酸ファスジル1/2水和物167g(収率100
%)を得た。本品の水分含量は2.5%〜3.1%(カ
ールフィッシャー法理論値2.67%)を示し、赤外吸
収スペクトルは図5に、粉末X線回折の回折角(2θ)
は8.4、12.4、14.0、16.2、16.8、
18.2、19.5、22.4、25.6付近であり、
また熱分析においても図6に示す様に、1/2水和物特
有の分析結果を示すものであった。
び上記参考例1で得られた塩酸ファスジル無水結晶の各
々200mgを正確に計算し、8mmφ、12Rの臼杵
およびハンドプレスを用いて各打錠圧(400〜1,4
00Kg)で打錠し、その打錠硬度を測定(岡田精工
製;TS−50N)することによって、1/2水和物と
無水結晶の成形性を比較した。
水結晶では打錠圧の増加に伴い錠剤硬度が上昇するもの
の8Kgの錠剤硬度を得るためには1,400Kgの打
錠圧が必要であった。一方、1/2水和物は無水結晶の
場合に比較して低い打錠圧により高い錠剤硬度を示し、
良好な成形性を示した。
び塩酸ファスジル3水和物を各々20gをシャーレに入
れ、40℃、75%RHに保ったタバイの恒温恒湿機
(PH−2G型)に開封状態で放置し、水分含量の経時
変化をカールフィッシャー装置で測定した。この条件で
水分含量の経時変化を測定することによって3水和物と
1/2水和物の温度安定性を比較検討した。
3水和物、○−○は1/2水和物の場合を示す)に示し
た。
では2時間経過すると水分含量が14.11%から2.
99%に変化する不安定なものであるのに対して、本発
明の1/2水和物は水分含量は変化することも無く、良
好な温度安定性を示した。また、本発明の1/2水和物
は同一条件下96時間経過後も安定なものであった。
は、塩酸ファスジル3水和物に比較して、温度に対して
安定性も良く、保存及び製造上問題の無い結晶形と考え
られる。
クトル図である。
ト図である。
ペクトル図である。
ート図である。
収スペクトル図である。
チャート図である。
酸ファスジル3水和物の40℃、75%RHにおける水
分含量の経時変化図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 次の性質を有することを特徴とする1−
(5−イソキノリンスルホニル)ホモピペラジン塩酸塩
1/2水和物 (1)水分含量 2.5〜3.1%(カールフィッシャー法) (2)赤外吸収スペクトル(ヌジョール法) 1620、1592、1140cm-1付近の吸収
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14714796A JP2899953B2 (ja) | 1995-07-03 | 1996-06-10 | 1−(5−イソキノリンスルホニル)ホモピペラジン塩酸塩1/2水和物 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16746095 | 1995-07-03 | ||
JP7-167460 | 1995-07-03 | ||
JP14714796A JP2899953B2 (ja) | 1995-07-03 | 1996-06-10 | 1−(5−イソキノリンスルホニル)ホモピペラジン塩酸塩1/2水和物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0971582A JPH0971582A (ja) | 1997-03-18 |
JP2899953B2 true JP2899953B2 (ja) | 1999-06-02 |
Family
ID=26477788
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14714796A Expired - Lifetime JP2899953B2 (ja) | 1995-07-03 | 1996-06-10 | 1−(5−イソキノリンスルホニル)ホモピペラジン塩酸塩1/2水和物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2899953B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020129876A1 (ja) | 2018-12-17 | 2020-06-25 | 株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 | イソキノリンスルホンアミドの新規な形態 |
-
1996
- 1996-06-10 JP JP14714796A patent/JP2899953B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020129876A1 (ja) | 2018-12-17 | 2020-06-25 | 株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 | イソキノリンスルホンアミドの新規な形態 |
KR20210104729A (ko) | 2018-12-17 | 2021-08-25 | 가부시키가이샤 디. 웨스턴 세라퓨틱스 겡큐쇼 | 이소퀴놀린술폰아미드의 신규한 형태 |
US11427546B2 (en) | 2018-12-17 | 2022-08-30 | D. Western Therapeutics Institute, Inc. | Form of isoquinoline sulfonamide |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0971582A (ja) | 1997-03-18 |
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