JP2896306B2 - プラント診断方法および装置 - Google Patents
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Description
大規模なプラントで異常な過渡事象が発生した場合に、
過渡変化の起点となった観測信号と、過渡変化が観測信
号をどのような経路で伝わっていたかを推定して原因候
補の絞り込みを支援するプラント診断方法およびその方
法を実施するためのプラント診断装置に関する。
において異常な過渡事象が発生した場合、一般に、プラ
ントの運転員や保守員が、観測されているプラント信号
(圧力、流量、温度等)の定性的な挙動から過渡変化の
伝播経路と変化の起点となった信号とを推定し、故障発
生場所および原因候補の絞り込み作業を行っている。
大規模なプラントで異常な過渡事象が発生すると、観測
されているプロセス信号の多くが通常と異なる挙動を示
すようになる。特に制御系のフィードバックの効果で過
渡変化の伝播経路がループ状になったり、安全保護系が
動作して機器のトリップやプラントのスクラム等の過渡
事象と直接関係のない挙動が現れると、プラント状態を
正確に把握するのが困難になる。
加、減少といった定性的な挙動から過渡変化の起点とな
った信号(故障の発生箇所)と伝播経路とを推定する作
業が先ず必要になる。この結果に基づいて考えられる原
因候補を挙げ、それぞれについて詳細な調査を行うこと
により対策処置を決定する。
間と精度が、不具合の原因究明と対策処置に大きく影響
を及ぼすことになる。この作業は人手によって行われて
いるが、時間がかかったり、考え落としの可能性がある
等の問題があった。
で、過渡事象が発生した時の観測信号の定性的な挙動
と、予め準備しておいた観測信号間の定性的な因果関係
とを比較照合することにより、過渡変化の起点となった
信号と伝播経路を推定して原因候補の絞り込みを短時間
で精度よく行えるプラント診断方法および装置を提供す
ることを目的とする。
め、請求項1の発明に係るプラント診断方法は、原子力
発電所その他のプラントに異常な過渡事象が発生した場
合、運転または監視のために観測されているプロセス信
号の増加、減少その他の定性的な変化パターンの挙動を
変化パターン抽出手段によって抽出し、予め作成し、因
果関係データベースに登録しておいた信号間の物理的因
果関係と比較照合し、予め登録してある信号の因果関係
と一致する変化パターンを探し出して選び出すことによ
って過渡変化の伝播経路を推定し、その推定した経路の
中で最も上流にある信号を過渡変化の起点となった信号
と推定して、原因候補の絞り込みを支援することを特徴
とする。
ト診断方法において、観測信号の定性的挙動を抽出する
場合、制御系のフィードバックの効果、機器のトリッ
プ、プラントのスクラムその他の過渡事象以外による信
号の変化を取り除き、過渡事象に係る観測信号の変化だ
けを抽出することを特徴とする。
ト診断方法において、過渡事象に係る観測信号の変化を
抽出する場合、信号の増加または減少を判定するための
閾値を複数の段階に分けて設けておき、推定した過渡変
化の伝播経路が途中で切れた場合に、閾値のレベルを下
げて伝播経路の推定をやり直すことを特徴とする。
ト診断方法において、過渡変化の伝播経路を推定する場
合、多入力1出力の系については定量的なモデルを使っ
て出力を予め数値演算しておき、この演算で求めた計算
値を観測信号と同等に扱うことによって、定性的モデル
で多入力1出力の系を扱うことを特徴とする。
ト診断方法において、過渡変化の伝播経路を推定する場
合、プラントの安全保護系等の動作によって制御ロジッ
クまたは運転機器が切り替えられた場合に、それに応じ
て信号間の因果関係も変更することを特徴とする。
ト診断方法において、過渡変化の伝播経路を推定する場
合、観測信号間の因果関係に時間遅れを導入することに
よって一連の過渡事象の伝播時間を求め、それ以後に初
めて変化した信号は別の要因によるものと見做すことに
より、複合事象に対応することを特徴とする。
は、図1に示すように、プラントの運転データその他の
プロセス信号を入力するデータ入力手段1と、入力され
た各信号の初期の定性的な変化を抽出する変化パターン
抽出手段2と、予め作成された観測信号間の定性的な変
化パターンの因果関係を記録する因果関係データベース
3と、前記変化パターン抽出手段2によって抽出された
初期の定性的な変化パターンと前記因果関係データベー
ス3に記録されている観測信号間の定性的な因果関係デ
ータパターンとを比較することによりプラントの過渡変
化が伝播したと想定される因果関係のある経路を推定す
る伝播経路推定手段4と、推定された経路の最も上流に
ある信号を過渡変化の起点として抽出し、変化の起点と
なった信号とその挙動とに基づいて過渡変化の原因候補
の絞り込みを行う起点信号抽出手段5とを備えたことを
特徴とする。
またはオフラインの監視データを収集し、過渡変化発生
前後のデータが得られた場合、過渡変化が発生する前の
データから正常時の特性として例えば各信号の最大振幅
(または標準偏差)を求め、例えば最大振幅の倍数を閾
値としてその後の信号の挙動を調べる。そして、例えば
上限の閾値を上回れば「増加」、下限の閾値を下回れば
「減少」、両者の間にあれば「一定」と判定する。こう
して、初期変化のパターンが得られたならば、得られた
変化パターンと因果関係とを比較照合し、変化が因果関
係で説明できる経路を残すことにより、過渡変化の伝播
経路を推定する。そして、下流にはつながる因果関係が
存在するが上流にはつながる因果関係が存在しない信
号、すなわち最上流にある信号が過渡変化の起点となっ
た信号と判定される。この情報を提示することによっ
て、原因候補の絞り込みを支援することができる。
よってひとたび「増加」(または「減少」)と判定され
た場合、その後に下限を下回っても(または上限を上回
っても)、制御系のフィードバック等の二次的な効果と
見做して無視するものとする。同様に、保護系が動作し
て機器のトリップやプランとのスクラムが発生した場合
も、その後の信号挙動は保護系によるものとして無視す
る。以上のようにして、前記初期変化のパターンが得ら
れる。
変化が小さくて、「増加」、「減少」パターンがうまく
抽出できず、推定した経路が途中で切れるような場合に
対応することができる。即ち、例えば最大振幅の2.0
倍,1.5倍,1.0倍をそれぞれ閾値レベル3,2,
1と設定しておき、レベル3で判定したパターンに基づ
いて過渡変化の伝播経路を推定すると経路が途中で切れ
るような場合には、閾値をレベル2かレベル1まで下げ
ることによって微小な変化まで捕え、経路推定をやり直
して正しい経路を得ることができる。
制御器出力」の信号を入力して速度の設定値と観測値と
の差を求める場合の如く、2入力1出力の関係となって
定性的な因果関係が一意的に定まらないような場合に対
応できる。即ち、このような場合には、差を定量的な数
値演算で求め、例えば「速度偏差(演算値)」という疑
似信号を導入し、この疑似信号との間に因果関係を定義
する。つまり、2つ以上の検出器から得られた値のう
ち、大きい値を制御器へフィードバックする等の方法に
よって演算の結果を疑似信号として扱うことができる。
能が働いて因果関係が変わってしまう場合のように、制
御ロジックまたは運転機器が切り替えられた場合、信号
間の因果関係を変更して対応することができる。
発生した場合に対応することができる。即ち、本発明で
は信号間の因果関係の付帯情報として影響伝播に要する
時間遅れを導入し、例えば多重故障が発生した場合の複
数の信号変化の時間遅れを求め、最初の信号変化の時刻
から最後の信号変化の時刻までの時間が、最初の信号か
ら最後の信号まで影響が伝播するのに要する時間より小
さい時、最初の信号変化から最後の信号変化までが同一
事象による変化と見做すものとする。また、最初の信号
変化の時刻から最後の信号変化の時刻までの時間が、最
初の信号から最後の信号まで影響が伝播するのに要する
時間より大きい時には、その遅れ時間が大きい信号以後
の挙動は別の事象と見做す。このようにして多重故障が
発生した場合でも、それぞれの事象について別個に扱う
ことができる。
段でプロセスデータの入力を行い、変化パターン抽出手
段で観測信号から過渡変化の特徴を抽出するとともに、
制御系のフィードバックの効果や機器のトリップやプラ
ントのスクラムによる二次的な変化を取り除いた各信号
の初期応答を、「増加」、「減少」、「一定」の3パタ
ーンに分類する。伝播経路推定手段では、過渡変化の伝
播経路の推定を行い、先に抽出した初期応答パターンと
信号間の因果関係を照合し、変化が因果関係で説明でき
る経路を選び出す。起点信号抽出手段では、異常発生箇
所の推定を行い、選び出された経路の最上流にある信号
を変化の起点、即ち異常発生箇所の直後の観測点として
提示する。これにより、上述した本発明に係る診断方法
の基本的な工程が実施できる。
増加、減少、一定という定性的な挙動だけでプラントの
診断が行えるため、適用範囲が広く、また物理的な因果
関係に基づいて診断を行うため、推論の過程が理解し易
く、かつ考え落としがない等の作用効果が奏される。ま
た、複雑なモデルを使用していないため、観測信号の追
加やプラントと機器構成の変更にも簡単に対応できる。
な大規模プラントを対象にして、プラント信号の定性的
な挙動と予め準備した信号間の因果関係の情報から、異
常過渡事象が発生した場合に起点となった信号と伝播経
路とを推定することによって原因究明を支援し、プラン
トの稼働率と信頼性向上に寄与することができる。
照して説明する。
ト診断装置の構成を説明する。このプラント診断装置は
図2に示すように、プラントの運転データまたは監視デ
ータ等のプロセスデータを入力するデータ入力手段1と
してのデータ読込装置1aと、データ読込装置1aによ
って読込まれた各信号の初期の定性的な変化を抽出する
変化パターン抽出手段2と、予め作成された観測信号間
の定性的な因果関係を記録する因果関係データベース3
と、変化パターン抽出手段2によって抽出された初期の
定性的な変化と因果関係データベース3に記録されてい
る観測信号間の定性的な因果関係データとを比較するこ
とによりプラントの過渡変化が伝播したと想定される因
果関係のある経路を推定する伝播経路推定手段4と、推
定された経路の最も上流にある信号を過渡変化の起点と
して抽出し、変化の起点となった信号とその挙動とに基
づいて過渡変化の原因候補の絞り込みを行う起点信号抽
出手段5とを備えている。
ントのプロセスデータがオンラインまたは磁気テープ等
を介したオフラインで取込まれる。
系の出力や保護系ロジックの動作等による因果関係の変
更といった必要な数値の理論演算を施す前処理部2a
と、指定した閾値に従って各信号の初期応答を取出す主
処理部2bとからなっている。前処理部2aは、後述す
る疑似信号が必要な場合にその演算を行う疑似信号演算
部6と、疑似信号の演算式データを収録する疑似信号演
算式データベース7と、疑似信号演算式を必要に応じて
変更する疑似信号演算式変更部8とを有している。ま
た、主処理部2bは、読取信号または疑似信号から変化
パターンを抽出する変化パターン抽出部9と、変化パタ
ーン抽出のための閾値データを収録する閾値データベー
ス10と、閾値を必要に応じて変更する閾値変更部11
とを有している。
タを収録するデータベース部12と、その因果関係デー
タを必要に応じて変更する因果関係変更部13とを有し
ている。
チェックを行う多重故障チェック部14と、そのチェッ
ク後の信号と因果関係データ信号とを受け予め登録して
ある信号間の因果関係と一致する変化パターンを探すこ
とにより現実に変化が伝わった因果関係を選び出す伝播
経路推定部15とを有している。
上流にある信号を変化の起点として推定する異常発生個
所の起点信号抽出部16と、その推定結果を提示する結
果提示部17と、変化パターン抽出の閾値を変更して推
定された異常伝播経路と起点となった信号を推定し直す
かどうか(再試行)を決める確認部18とを有してい
る。
方法の手順を図3によって説明する。
へのプラント信号等のデータ入力が行われ(ステップS
1)、これにより過渡変化発生前後のデータが得られ
る。
果関係が一意的に定まる場合には、直接変化パターンの
抽出を行うが、例えば「速度制御器出力」の信号を入力
して速度の設定値と観測値との差を求める場合の如く、
2入力1出力の関係となって定性的な因果関係が一意的
に定まらないような場合には、疑似信号演算部6によっ
て差を定量的な数値演算で求め、例えば「速度偏差(演
算値)」という疑似信号を導入し、この疑似信号との間
に因果関係を定義して、2つ以上の検出器から得られた
値のうち、大きい値を制御器へフィードバックする等の
方法によって演算の結果を疑似信号として扱うようにす
る(ステップS2)。
抽出部9において、過渡変化が発生する前のデータから
正常時の特性として例えば各信号の最大振幅(または標
準偏差)を求め、例えば最大振幅の倍数を閾値としてそ
の後の信号の挙動を調べる。そして、例えば上限の閾値
を上回れば「増加」、下限の閾値を下回れば「減少」、
両者の間にあれば「一定」と判定する。これにより初期
変化のパターンが得られる(ステップS3)。
ェック部14において、多重故障のチェックが行われる
(ステップS4)。即ち、本実施例では後述するよう
に、信号間の因果関係の付帯情報として影響伝播に要す
る時間遅れを導入し、例えば多重故障が発生した場合の
複数の信号変化の時間遅れを求め、その遅れ時間が大き
い信号の挙動は別の事象と見做す等によって、多重故障
が発生した場合には、それぞれの事象について別個に扱
うようにする。
推定部15において、信号の伝播経路の推定が行われる
(ステップS5)。即ち、得られた変化パターンと因果
関係とを比較照合し、変化が因果関係で説明できる経路
を残すことにより、過渡変化の伝播経路を推定する。
信号抽出、即ち異常発生個所の推定が行われる(ステッ
プS6)。つまり、このステップでは、下流にはつなが
る因果関係が存在するが上流にはつながる因果関係が存
在しない信号、即ち、最上流にある信号が過渡変化の起
点となった信号と判定される。
これによって、原因候補の絞り込みの支援が行われる
(ステップS7)。
OKか否か判定され(ステップS8)、YESであれば
エンドとなり、NOの場合には再び変化パターン抽出
(ステップS3)が行われる。
ついて図4〜図10を参照して具体的に説明する。本実
施例では図4に示すように、沸騰水型原子力プラント
(BWRプラント)の再循環流量制御系統を診断対象と
している。
の炉心20aに冷却材を再循環させる再循環ループ配管
21に再循環ポンプ22を備え、この再循環ポンプ22
の駆動部が可変周波数発電機23、流体継手24、駆動
電動機25等からなるMGセット(モータ、ジェネレー
タセット)26によって構成されている。このMGセッ
ト26の発電機速度を制御装置27で制御することによ
って再循環ポンプ22の流量、即ち、炉心20aに流れ
る冷却材流量を調整し、これにより原子炉20の出力を
制御するようになっている。
ループ配管21の系統(例:A系,B系)毎に設けられ
たM/A切換器29と、加減算器30と、発電機速度を
制御するための速度制御器31と、この速度制御器31
によって制御されるすくい管操作器32と、このすくい
管操作器32によって操作され流体継手24の油量を調
節するすくい管33とを備えて構成されている。つま
り、MGセット26の駆動電動機25は常時一定速度で
回転し、この回転数が流体継手24内の油量制御によっ
て変化して可変周波数発電機23の周波数が調節され、
再循環ポンプ22による流量制御が行なわれるものであ
る。
MGセット26の発電機速度の設定値である「速度設定
信号」101、観測された発電機速度と速度設定値の差
から定めたすくい管33の要求位置を意味する「速度制
御器出力」102、流量継手24の油量を調節するすく
い管33の位置を示す「すくい管位置」103、同一発
電機速度の2つの検出器で得られた観測値(一方を「M
GセットA発電機速度A」104、他方を「MGセット
A発電機速度B」105と称する)およびこれら両方の
大きい方の値をとるHVG(High Value Gate )演算に
よって求められた「MGセット発電機速度HVG」10
6、ならびに再循環ポンプによって駆動される「再循環
ループ流量」107の7つである。
的に示したものである。但し、ここで「速度制御器出
力」102は発電機速度の設定値と観測値との差から決
まるため、2入力1出力の関係となって定性的な因果関
係が一意的に定まらない。そこで、差を定量的な数値演
算で求めて「速度偏差(演算値)」108という疑似信
号を導入し、この疑似信号との間に因果関係を定義す
る。同様にして、発電機速度は2つの検出器から得られ
た値の大きい方を制御器へフィードバックするので、こ
のHVG演算の結果を「MGセット発電機速度(演算
値)」109という疑似信号として扱うものとする。
徴抽出方法について説明する。オンライン監視データ収
集装置によって、過渡変化発生前後のデータが得られる
ものとして考える。過渡変化が発生する前のデータから
正常時の特性として各信号の最大振幅(または標準偏
差)を求め、例えば最大振幅の倍数を閾値としてその後
の信号の挙動を調べ、上限の閾値を上回れば「増加」、
下限の閾値を下回れば「減少」、両者の間にあれば「一
定」と判定する。
少」と判定されれば、その後に下限を下回っても(また
は上限を上回っても)、制御系のフィードバック等の二
次的な効果と見做して無視するものとする。同様に、保
護系が動作して機器のトリップやプラントのスクラムが
発生した場合も、その後の信号挙動は保護系によるもの
として無視する。以上のようにして初期変化のパターン
が得られる。
ットA発電機速度A」104の検出器が故障して異常に
大きい値を示す過渡事象が発生し、例えば図6(a)に
示したような過渡変化発生前後のデータ(増加、減少
等)が得られた場合、同図(b)に示したように、正常
時の各信号の最大振幅の2倍を閾値として、変化の特徴
を「増加」、「減少」、「一定」と判定する。こうし
て、同図(a)に示したような初期変化のパターンが得
られる。
照合して変化が因果関係で説明できる経路を残すことに
より、過渡変化の伝播経路を推定する。そして、下流に
つながる因果関係が存在するが上流にはつながる因果関
係が存在しない信号、即ち、最上流にある信号が過渡変
化の起点となった信号と判定される。この情報を提示す
ることによって、原因候補の絞り込みを支援することが
できる。上に挙げた例では、過渡変化の伝播経路は図8
に示したように、増加(+)、減少(−)、一定(0)
のパターンより、過渡変化の起点となった信号は「MG
セットA発電機速度A」104となる。
「減少」パターンがうまく抽出できず、推定した経路が
途中で切れるような場合の対応できる方法を図8によっ
て説明する。同図(a)に示したように、例えば最大振
幅の2.0倍、1.5倍、1.0倍をそれぞれ閾値レベ
ル3,2,1と設定しておき、レベル3で判定したパタ
ーンに基づいて過渡変化の伝播経路を推定すると、経路
が途中で切れるような場合には、同図(b)に示すよう
に、閾値をレベル2かレベル1まで下げることによって
微小な変化まで捕え、経路推定をやり直して正しい経路
を得ることができる。
よな場合の対応法について説明する。例えばBWRプラ
ントでは、発電用のタービンに過大な負荷がかからない
よう、蒸気流量が大きくなった場合にタービンをバイパ
スして流すためタービンバイパス弁が設けられている。
通常は図9(a)に示したように、「蒸気流量調整弁開
度」201、「蒸気流量」202、「タービン第1段圧
力」203および「発電機出力」204の4信号は、直
線上に助長の関係で繋っている。
気は流量検出器の下流でバイパス側へ流れ、タービン側
へ行かなくなる。その結果、同図(b)に示したよう
に、「蒸気流量」202と「タービン第1段圧力」20
3との間の因果関係が切れ、「タービンバイパス弁開
度」205と「蒸気流量」202の間が助長の関係で、
「タービンバイパス弁開度」205と「タービン第1段
圧力」203との間の関係が抑制で繋ることになる。
使用し、タービンバイパス弁の開度がある値を超えた場
合は同図(b)の関係を採用することで対応できる。こ
のようにして、プロセス信号の値によって機器の保護機
能が働き、因果関係が変ってしまうような場合に対応す
ることができる。
によって説明する。同図(a),(b)に示すように、
信号間の因果関係の付帯情報として影響伝播に要する時
間遅れを導入し、例えば信号Aから信号Bへの時間遅れ
をTABとする。ここで同図(a)に示したような多情故
障が発生した場合を考える。信号Aが変化した時刻TA
から信号Dが変化した時刻TD までDの時間TD −TA
が、信号Aから信号Dまで影響が伝播するのに要する時
間TAD(TAB+TBC+TCD)より小さい時、信号Aから
信号Dは同一事象による変化と見做すものとする。
て、TE −TA が信号Aから信号Eまで影響が伝播する
のに要する時間TAEより大きい時、信号E以下の挙動は
別の事象と見做す。このようにして多重故障が発生した
場合でも、それぞれの事象について別個に扱うことがで
きる。
減少、一定という定性的な挙動だけで診断できるため、
適用範囲が広い。また、物理的な因果関係に基づいて診
断を行うため、推論の過程が理解し易く、また、考え落
としがない。しかも、複雑なモデルを使用していないた
め、観測信号の追加やプランと機器構成の変更にも簡単
に対応できる。
々の変更、応用が可能なことは勿論である。
ける主蒸気系、復水系、給水系毎に適用できるほか、他
の型式の原子力発電プラント、あるいは火力発電プラン
トや化学プラントその他に広く適用することができる。
いて、運転操作に他するプラントの応答を直観的に理解
するための手段としても有効に利用できる。
ば、原子力発電所その他の大規模プラントを対象にし
て、プロセス信号の定性的な挙動と予め準備した信号間
の因果関係の情報から、異常過渡事象が発生した場合に
起点となった信号と伝播経路を推定することによって原
因究明を支援し、プラントの稼働率と信頼性向上に寄与
することができる。
すクレーム対応図。
実施例を示す構成図。
施例を示すフローチャート。
再循環流量制御系の構成を示す図。
す図。
図。
案を示す図。
係を変更する方法を示す図。
示す図。
Claims (7)
- 【請求項1】原子力発電所その他のプラントに異常な過
渡事象が発生した場合、運転または監視のために観測さ
れているプロセス信号の増加、減少その他の定性的な変
化パターンの挙動を変化パターン抽出手段によって抽出
し、予め作成し、因果関係データベースに登録しておい
た信号間の物理的因果関係と比較照合し、予め登録して
ある信号の因果関係と一致する変化パターンを探し出し
て選び出すことによって過渡変化の伝播経路を推定し、
その推定した経路の中で最も上流にある信号を過渡変化
の起点となった信号と推定して、原因候補の絞り込みを
支援することを特徴とするプラント診断方法。 - 【請求項2】 請求項1記載のプラント診断方法におい
て、観測信号の定性的挙動を抽出する場合、制御系のフ
ィードバックの効果、機器のトリップ、プラントのスク
ラムその他の過渡事象以外による信号の変化を取り除
き、過渡事象に係る観測信号の変化だけを抽出すること
を特徴とするプラント診断方法。 - 【請求項3】 請求項2記載のプラント診断方法におい
て、過渡事象に係る観測信号の変化を抽出する場合、信
号の増加または減少を判定するための閾値を複数の段階
に分けて設けておき、推定した過渡変化の伝播経路が途
中で切れた場合に、閾値のレベルを下げて伝播経路の推
定をやり直すことを特徴とするプラント診断方法。 - 【請求項4】 請求項1記載のプラント診断方法におい
て、過渡変化の伝播経路を推定する場合、多入力1出力
の系については定量的なモデルを使って出力を予め数値
演算しておき、この演算で求めた計算値を観測信号と同
等に扱うことによって、定性的モデルで多入力1出力の
系を扱うことを特徴とするプラント診断方法。 - 【請求項5】 請求項1記載のプラント診断方法におい
て、過渡変化の伝播経路を推定する場合、プラントの安
全保護系等の動作によって制御ロジックまたは運転機器
が切り替えられた場合に、それに応じて信号間の因果関
係も変更することを特徴とするプラント診断方法。 - 【請求項6】 請求項1記載のプラント診断方法におい
て、過渡変化の伝播経路を推定する場合、観測信号間の
因果関係に時間遅れを導入することによって一連の過渡
事象の伝播時間を求め、それ以後に初めて変化した信号
は別の要因によるものと見做すことにより、複合事象に
対応することを特徴とするプラント診断方法。 - 【請求項7】プラントの運転データその他のプロセス信
号を入力するデータ入力手段と、入力された各信号の初
期の定性的な変化を抽出する変化パターン抽出手段と、
予め作成された観測信号間の定性的な変化パターンの因
果関係を記録する因果関係データベースと、前記変化パ
ターン抽出手段によって抽出された初期の定性的な変化
パターンと前記因果関係データベースに記録されている
観測信号間の定性的な因果関係データパターンとを比較
することによりプラントの過渡変化が伝播したと想定さ
れる因果関係のある経路を推定する伝播経路推定手段
と、推定された経路の最も上流にある信号を過渡変化の
起点として抽出し、変化の起点となった信号とその挙動
とに基づいて過渡変化の原因候補の絞り込みを行う起点
信号抽出手段とを備えたことを特徴とするプラント診断
装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP6091820A JP2896306B2 (ja) | 1994-04-28 | 1994-04-28 | プラント診断方法および装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP6091820A JP2896306B2 (ja) | 1994-04-28 | 1994-04-28 | プラント診断方法および装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH07294695A JPH07294695A (ja) | 1995-11-10 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102008050634A1 (de) | 2007-10-17 | 2009-04-23 | Mitsubishi Electric Corp. | Instrumentations-Steuersystem |
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-
1994
- 1994-04-28 JP JP6091820A patent/JP2896306B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Title |
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DE102008050634A1 (de) | 2007-10-17 | 2009-04-23 | Mitsubishi Electric Corp. | Instrumentations-Steuersystem |
US8155762B2 (en) | 2007-10-17 | 2012-04-10 | Mitsubishi Electric Corporation | Instrumentation control system |
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JPH07294695A (ja) | 1995-11-10 |
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