JP2650053B2 - 知識ベースを用いた測定データの処理装置 - Google Patents

知識ベースを用いた測定データの処理装置

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JP2650053B2
JP2650053B2 JP63263965A JP26396588A JP2650053B2 JP 2650053 B2 JP2650053 B2 JP 2650053B2 JP 63263965 A JP63263965 A JP 63263965A JP 26396588 A JP26396588 A JP 26396588A JP 2650053 B2 JP2650053 B2 JP 2650053B2
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、プラント等の工業設備のための状態推定技
術に関し、特に、火力発電プラント、原子力発電プラン
ト等の非常に複雑かつ大規模なシステムに適した、装置
の状態を電子計算機を用いて推定する技術に関する。
〔従来の技術〕
従来、プラントの異常の原因を推定して、それに対処
するための操作方法を推薦するシステムとして、“On−
line Power Plant Alarm and Disturbance Analysis Sy
stem",EPRI Report NP−1379,April1980に記載されてい
るような、原因結果関連樹木(Cause−Consequence Tre
e、以下、CCTと略記する)を利用するものが提案されて
いる。CCTは、事前の解析結果等に基づいて、プラント
に発生する諸事象の因果関係を樹木状につないだもので
あり、比較的小規模で単純なプラントの場合には、異常
因果の推定に利用すると非常に効果的である。しかしな
がら、CCTに記述される因果関係は、あらかじめ想定し
た事象の進展をそのまま示すだけであり、事象が伝播す
るに要する時間幅も固定されている。したがって、複雑
・大規模なプラントにおいて、運転状態、発生する事象
の種類、程度等により千変万化する実際の事象の進展
は、CCTを用いて正確に判断するのは極めて困難であ
る。また、CCTは、想定する各原因ごとに、樹木状に明
確に連結された因果関係を記述するため、融通性を欠く
ばかりでなく、複雑なプラントの場合は、CCTも大規模
で複雑なものとなり、そのデータ量も膨大になるので、
その作成、保守共に甚だ困難になる。
一方、E.Shortliffeによる“Consultation Systems f
or Physicians",Proceeding of Canadian Soc.for Comp
utational Studies of Intelligence,University of Vi
ctoria,1980には、小規模な知識ベースを使用する対話
型の医療コンサルテーションシステムが記載されてい
る。知識ベースは、個々の部分的な因果関係を独立した
ルールとして収容するので、CCTと比較すると、その作
成、保守的に容易であるという利点がある。
前記の医療コンサルテーションシステムに利用されて
いる知識工学の手法は、原理上はプラント等の状態推定
にも応用することができると考えられる。すなわち、プ
ラントに発生する諸事象の因果関係の各部分をルールと
して収容した知識ベースを、記憶装置に格納しておき、
例えばプラントの異常時に、操作者との対話を通じて入
力されるプラントの状態に関する情報に基づいて、それ
らのルールを検索し、組み合せて、異常の原因となった
プラント状態を推定し、更にはその対策を提案するよう
なシステムを構築することは、少なくとも理論上は可能
であり、小規模で単純なプラントや装置の場合には、そ
れで十分かもしれない。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、前記の対話型コンサルテーションの手
法を、大規模なプラントやシステムなどの複雑な工業設
備の状態推定に応用する場合には、操作者と計算機の対
話が煩雑で、時間がかかり、その上、多数の各種計算器
から得られる情報と知識ベースに収容された知識又はル
ールとの関連付けをどのようにすればよいか、また、時
間的に複雑に変化する各種物理量を因果関係知識との関
係でどのように扱えばよいかというような、多くの問題
を解決しなければならない。
のみならず、この対話型コンサルテーションの手法
は、そのままでは、プラントなどの複雑な工業設備の状
態の推定に実用するのに適していない。この手法は、シ
ステム側が、個々の結論(例えば病名)について、それ
が成り立つのに必要な前提(例えば症状)を、ルールを
たどって索出し、その前提が成り立つか否か(例えば特
定の症状があるか否か)を対話者に質問する、という手
順を取るものである。すなわち、これは、ルールから出
発してルールを満たすデータを探索する、いわば、ルー
ル駆動型の処理であり、これをそのまま工業設備の状態
の推定に適用するのは、効率が良くない。
そこで、本発明の目的は、知識工学の方法を応用し
て、プラント、システムなどの複雑な工業設備の状態
を、操作者との対話を経ることなく、迅速かつ的確に、
しかも効率良く推定する手段を、提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本願の第1の発明は、それぞれが前提と結論とからな
り、各前提及び結論が状態量の識別子とその状態量の値
とを含んでいて、対象装置の状態に関する知識を表す、
複数のルールを記憶するための記憶手段と、与えられた
状態量の値からある時間経過後の状態量の値を推定する
推定手順を指定する情報を記憶するための記憶手段と、
工業設備の状態を表す測定データを入力する入力手段
と、入力した測定データを状態量の識別子とその状態量
の値を組み合わせたデータに変換するデータ変換手段
と、データ処理手段と、前記データ処理手段で得られた
前記対象装置の状態に関連する情報を出力する出力手段
とを備える。
しかして、前記データ処理手段は、前記変換で得られ
たデータにおける状態量の識別子とその状態量の値を前
提又は結論に含むルールを前記複数のルールから探索
し、このルールから出発して、ルール中の前提と結論が
因果関係の連鎖をなすルール群を探索して、前記対象装
置の状態に関連する情報を抽出する推論処理を行う手段
と、前記推論処理のある段階において、前記推定手順に
従って当該段階で探索されたルールに含まれる状態量の
値から所定時間経過後の状態量の値を推定する推移予測
処理を行う手段とを有する。
本願の第2の発明は、更に、入力した測定データか
ら、推論に用いるべきデータを、その内容と予め定めた
基準との関係に従って選択する選択手段を備える。
前記の、入力情報から得られたデータを前提又は結論
に含むルールを探索し、このルールから出発して、ルー
ル中の前提と結論が因果関係の連鎖をなすルール群を探
索する、という処理は、前述した従来の対話型コンサル
テーションシステムのルール駆動型処理とは対照的に、
データから出発してデータによって満たされるルールを
探索する、いわば、データ駆動型の処理である。
〔作用〕
本発明によれば、対象装置の状態を表すデータから出
発して、ルールを用いた推論が、操作者との対話を経る
ことなく、高速度で行なれて、対象装置の状態(例え
ば、現状態の原因又は結果の状態)が、迅速かつ的確に
推定され、しかも、データ駆動型の推論処理により、オ
ンライン処理は効率良く行なわれる。加えて、推論処理
と推移予測処理を併用することにより、対象装置の状態
の推定を、より高い確度で行うことができる。すなわ
ち、前記形式及び内容のルールによる推論のみでは推定
困難な、状態量の値の時間的変化を、推移予測処理によ
り推定して、より具体的な解を得ることができ、ひいて
は、推定結果の確からしさの判定が容易になる。
また、入力したデータから推論に用いるべきデータを
所定の基準との関係に従って選択することにより、記憶
すべきルールの量と、推論時のデータ処理量とを削減で
き、したがって、知識ベースは比較的小規模なものとな
るから、その作成、・保守が容易になり、更に、推論処
理は比較的短時間で澄むから、状態の推定を極めて高速
度で行うことができる。
〔発明の実施例〕
沸騰水型原子炉プラントに適用した本発明の好適な一
実施例であるプラントの運転方法を、第1図に基づいて
説明する。
原子炉圧力容器1内の炉心2で発生した蒸気は、主蒸
気管13を通ってタービン6に送られ、その後、復水器7
にて凝縮されて水になる。この水は、給水配管14を通っ
て冷却水として原子炉圧力容器1内に供給される。給水
配管14は、腹水ポンプ8、脱塩器9、給水ポンプ10A,10
B,11Aおよび11Bおよび給水加熱器12を上流側より準じ連
絡している。給水ポンプ10A,10B,11Aおよび11Bはモータ
駆動型の給水ポンプである。給水ポンプ11Aおよび11B
は、原子炉の起動および停止時に一時的に駆動される
が、原子炉の通常運転中には給水ポンプ10Aおよび10Bの
バックアップ用となり待機状態にある。給水ポンプ10A
および10Bは、原子炉の運転中に常時駆動されている。
原子炉圧力容器1内に流れた冷却水は、再循環系配管5
に設けられた再循環ポンプ4の駆動によってジェットポ
ンプ3を通り、炉心2に送られる。
水位計15は、原子炉圧力容器1内の水位(原子炉水
位)17を検出する。流量計16は、ジェットポンプ3内を
流れる流量を検出する。すべてのジェットポンプ3内を
流れる流量を合計すると、炉心2内を流れる冷却水流量
となる。多くの検出器にて測定された原子炉水位17およ
びジェットポンプ流量等のプロセス量は、電子計算機18
のプロセス入出力装置18Aを介して電子計算機18の中央
処理装置18B内に入力される。電子計算機18はさらにメ
モリ(内部メモリおよび外部メモリ)18Cを有してい
る。中央処理装置18Bにて処理された結果は、制御盤20
に設けられたブラウン管(CRTという)21に表示され
る。
本実施例は、知識工学の手法を利用して上記の原子炉
プラントの異常時における運転ガイダンスを求め、その
ガイダンスに応じて異常時における運転を実施し、原子
炉プラントの異常事態を収束させようとするものであ
る。このような運転方法について以下に説明する。電子
計算機18のメモリ18Cは、原因・結果データベース22、
推移予測データベース23、操作データベース24、詳細デ
ータベース25、事例データベース26および処理プログラ
ム27を記憶している。
原因・結果データベース22は、原因とその原因から直
接判定できる結果との組み軽わせからなる因果関係を記
憶しておくデータベースである。これは、一般に知識工
学の研究者の間で、“ルール”と呼ばれているものに相
当するデータの格納場所である。沸騰水型原子炉プラン
トにおける原因・結果データベース22の一例を第2図に
示す。
推移予測データベース23は、原因・結果データベース
22のデータを時間の前後関係を正しく保ちながら組み立
てるための情報を格納するデータベースである。ここに
は、プラントの各機器の運転状態および各プロセス量の
状態に関する情報と、状態を表わす値の求まっているプ
ロセス量についてその値を変化させる時間と、ある時間
が経過した後の値を求めるための手法とが格納されてい
る。沸騰水型原子炉プラントにおける推移予測データベ
ース23の一例を第3図に示す。第4図は、沸騰水型原子
炉プラントにおける操作データベース24の一例である。
操作データベース24は、プラントの各機器の運転状態・
各プロセス量の状態の組み合わせを条件部とし、その時
に考えられる操作を操作案とし、条件部と操作案の組み
合わせを付加する為のデータベースである。
詳細データベース25は、プラントの各機器の詳細な操
作方法と、運転制限を記録する為のデータベースであ
る。
事例データ・ベース26は、プラントの事前の解析結果
および過去の運転時の記録を納めたデータベースであ
る。
沸騰水型原子炉プラントにおける詳細データベース25
を第5図に、事例データベース26を第6図にそれぞれ示
す。
処理プログラム27の概要を第7図および第8図に基づ
いて説明する。処理プログラム27は、異常判定部28。デ
ータ変換部30、状態把握部31、原因判定部32、最適操作
判定部38、詳細化部42、類似事例検出伎43およびガイダ
ンス作成部44からなっている。原因判定部32は、原因列
挙部33、状態把握部31、予測部34、無矛盾確認部35、原
因判定部32の再帰呼出し部36および判定部37を有してい
る。さらに、最適操作決定部38は、操作列挙部39、予測
部34、状態把握部31、最適操作決定部38の再帰呼出し部
40および決定部41を有している。
データ変換部30は、測定されたプロセス量であるプラ
ントデータを入力して各プラントデータの値について多
数決等の論理判定を行なって1つに絞り、どのプラント
データであるかの識別子と、以下に示す処理においての
プラントデータの値を表わすプラント運転のガイダンス
を求める装置(以下運転ガイド装置という)内での特別
な値に変形した結果とを組み合わせて要素状態(プラン
トの1つの状態を示す項目)とし、これらの要素状態を
あつめてプラント状態信号として出力する。データ変換
部30のフローチャートを第9図に示す。
状態把握部31は、原因結果データベース22に収納され
ている各「原因」と入力したプラント状態信号とを比較
し、このプラント状態信号に対応する「原因」に基づい
て生じる「結果」を選択する。そして選択された結果を
新しい要素状態として入力したプラント状態信号に付加
する。状態把握31の概要を第10図に示す。
原因列挙部33は、入力したプラント状態信号の各要素
状態の原因となりえる要素状態またはそれらの組み合わ
せを、原因・結果データベース22に収納されている「結
果」を検索することにより求め、検索した「結果」を出
力する。そのフローチャートを第11図に示す。
予測部34は、プラント状態信号を入力した入力したプ
ラント状態信号の各要素状態の値が次のレベルの値に変
わるまでの時間を、推移予測データベース23に格納され
た計算手法(プログラム)を実行してそれぞれ求める。
次に、求められたこれらの時間のうちで最短の時間を選
択し、この最短時間経過後の各要素状態の値を、やはり
推移予測データベース23に格納された計算手法を実行し
て求める。そして、各要素状態を1つにまとめて、次の
ステップに対するプラント状態信号として出力する。予
測部34の概要を第12図に示す。
無矛盾性確認部35は、基準となるプラント状態信号
と、無矛盾性の確認される単数または複数のプラント状
態信号を入力し、はじめのプラント状態信号に含まれず
またデータ変換部30により取り込まれる要素状態を含ん
でいないプラント状態信号を出力する。第13図は無矛盾
性確認部35のフローチャートを示している。
判定部37は、複数のプラント状態信号を入力して、原
因判定部32に入力したプラン状態信号を構成する各要素
状態に最も近い各要素状態を含むプラント状態信号を出
力するものである。第14図は、その内容を示している。
操作列挙部39は、プラント状態信号を入力し、その時
の操作として考えられる操作案を、操作データベース24
の条件部を検索することによってリストアップし、出力
する。操作列挙部39のフローチャートを第15図に示す。
判定部41は、第16図に示すように複数のプラント状態
信号を入力してその時の運転目的に最も近いプラント状
態信号を出力する。
原因判定部32は、プラント異常時において、プラント
状態信号を入力して原因列挙部33、状態把握部31、予測
部34、無矛盾性確認部35、再帰呼出し部36および判定部
37を起動しプラント異常の原因を判定し、この原因を付
加したプラント状態信号を出力する。
最適操作決定部38は、原因判定部32から出力されたプ
ラント状態信号を入力し、操作列挙部39、予測部34、状
態把握部31、再帰呼出し部40、決定部41を起動して、最
適な操作方法を決定し、その操作を実行した結果も付加
されたプラント状態信号を出力する。
詳細化部42は、最適操作決定部38から出力されたプラ
ント状態信号を入力して、このプラント状態信号の各要
素状態でプラントの機器の操作を意味するものを検索す
る。さらに検索した操作について詳細データベース25の
運転制限を満足することを確認した後、詳細な操作手順
をプラント状態信号に付加する。また、検索された操作
が詳細データベース25の運転制限に違反する場合は、最
適操作決定部38を再実行させる。詳細化部42のフローチ
ャートを第17図に示す。
類似事例検索部43は、第18図に示すように詳細化部42
から出力されたプラント状態信号を入力して、事例デー
タベース26の原因とキーワードを検索し、原因が一致す
るかまたはキーワードと前述のプラント状態信号の要素
状態が一定率以上で一致するものを、類似事例としてプ
ラント状態信号に付加する。
ガイダンス作成部44は、類似事例検索部43から出力さ
れたプラント状態信号を入力し、それをCRT21に出力す
るために、形式を整える。前述した機能を有する装置に
よる沸騰水型原子炉プラントの運転方法を説明する。説
明にあたっては、実際には発生が考えられない現象であ
るが、沸騰水型原子炉プラントの運転中に、炉心2に冷
却水を供給する再循環ポンプ4の回転軸が軸受に固着し
たという再循環ポンプ4の軸固着現象が発生したことを
前提とする。このような軸固着が生じると、炉心2内を
流れる冷却水流量が減少し、炉心2内でのポイド量が増
加する。ポイド量の増加は、原子炉水位17の上昇につな
がる。実際には軸固着およびポイド量増加の現象はわか
らず、測定された原子炉水位およびジェットポンプ流量
のプロセス量がわかるだけである。正常な原子炉水位17
はL4のレベルである。原子炉水位17がL8のレベルに達す
ると、原子炉は急速停止(スクラム)される。原子炉水
位17がスクラム直前のL7のレベルに達した時、制御盤20
にその旨表示される。これにより運転員は、原子炉水位
の上昇を知ることができる。原子炉水位17およびジェッ
トポンプ流量等のプロセス量であるプラントデータが入
出力装置18Aを介して中央処理装置18Bに入力される。入
力されたプラントデータは、その後の中央処理装置18B
内での処理が円滑に行えるようにアナログ・デジタル変
換される。プラントデータの入力とともに中央処理装置
18Bは、メモリ18C内の運転ガイド装置である処理プログ
ラム27(第7図および第8図参照)を呼出し、その処理
プログラム27に基づいて所定の処理を行う。異常判定部
28は、入力したプラントデータのうちで異常な値を示す
プラントデータの有無を判断する。異常な値を示すプラ
ントデータ(本実施例の場合は、L7のレベルに達した原
子炉水位17)が存在する場合は、表示の指令29を出力
し、異常の内容を制御盤20に表示される。さらに、異常
な値を示すプラントデータが存在する場合は、処理プロ
グラム27のデータ変換部30以後の処理が実行される。
沸騰水型原子炉プラントで測定された1つまたは複数
のプラントデータ45が、データ変換部(第9図)30に入
力される。プラントデータ45から設定値を満足しない
(超過または低下)ものをすべて選択し、これをプラン
ト状態信号46に変換する。データ変換部30は、第20図に
示すプラント状態信号46を出力する。
この時、沸騰水型原子炉プラントにおいては、原子炉
水位のような重要なプロセス量に対しては、複数の検出
器が設けられている。従って、それらの計測結果が一致
しているかを確認する必要がある。一致しない場合には
多数決等により誤まった検出器の測定値が、運転ガイド
装置内に入力されないように処理される。
第20図においては、普通の文字で内容を示すが、実際
の場合は論理演算の容易な、EBCDIC文字コード、整数値
であってもよい。
データ変換部30の出力であるプラント状態信号46が、
状態把握部(第10図)31に入力される。状態把握部31
は、第20図に示すプラント状態信号46に欠けている情報
があればそれを補う。すなわち、入力したプラント状態
信号46の各要素状態に基づいて第2図に示す原因・結果
データベース22の原因部を検索する。次に検索結果の有
無を判断し、有の場合にはその検索結果をプラント状態
信号46に付加する。その後、原因・結果データベース22
の原因部を再び検索する。検索結果の有無を判断し、無
の場合には前述の検索結果を付加したプラント状態信号
47を出力する。本実施例では、追加するものがなく、第
20図と同様な第21図に示されるプラント状態信号47が出
力される。本実施例では、状態把握部31の入力と出力は
同一である。
プラント状態信号47は、原因判定部32内の原因列挙部
33にまず入力される。原因列挙部33は、プラント状態信
号47の各要素状態を「結果」とし、原因・結果データベ
ース22(第2図)の結果部からプラント状態信号47の要
素状態を検索し、この要素状態に対応する原因部の項目
をプラント状態信号47に付加する。すなわち、プラント
状態信号47の要素状態は、「原子炉水位=L7」および
「ジェットポンプ流量減」である。要素状態が2個以上
ある場合は、重要度の高い要素状態について検索を行
う。要素状態の重要度については、予め定められてい
る。本実施例では、「原子炉水位=L7」のほうがより重
要であり、検索が実施される。「原子炉水位=L7」は原
子炉水位の上昇した結果であるため、原因・結果データ
ベース22の結果部から「原子炉水位上昇」を検索し、そ
れに対応する原因部の項目である「ポイド増」および
「給水流量増」をプラント状態信号47に付加する。再
び、原因・結果データベース22の結果部を検索する。し
かし、何も検索されない。次に検索結果の有無を判断す
る。この場合は、何も検索されないため、原因列挙部33
は、第22A図および第22B図に示す「ポイド増」および
「給水流量増」を付加したプラント状態信号48Aおよび4
8Bを出力する。
状態把握部31は、プラント状態信号48Aおよび48Bを入
力することによって「ポイド増」および「給水流量増」
の項目を原因・結果データベース22の原因部より検索
し、それに対応する結果部の結果の項目「原子炉水位上
昇」を求める。これを付加した各々のプラント状態信号
49A,49Bを出力する。
プラント状態信号49Aおよび49Bは、予測部34(第12
図)に入力される。予測部34を用いることにより原因・
結果データベース22に収納されている「原因」と「結
果」の組合せからポイドが増えた場合および給水流量が
増えた場合のプラント状態の水位予測ができる。予測部
34は、プラント状態信号49Aおよび49B内の要素状態の変
化時間を計算していない要素状態を検索し、検索される
要素状態がなくなるまで、検索された各要素状態の変化
する時間を計算する。要素状態の変化する時間とは第3
図に示されるように要素状態の現在のレベルから次のレ
ベル(原子炉水位で言えば、現在のL6に対して次のレベ
ルL7)まで変化するのに要する時間である。次に、求め
た変化時間が最小か否かを判定する。プラント状態信号
49Aおよび49Bの要素状態「ポイド増」および「給水流量
増」のそれぞれに対する「原子炉水位上昇」についての
変化時間を第3図の推移予測データベース23に示す計算
手法(時間計算法)に基づいて求める。その後、求めら
れた最小変化時間経過後における各要素状態を推移予測
データベース23の手法(状態計算法)により計算する。
予算部34は、第23A図および第23B図に示す新たなプラン
ト状態信号を付加したプラント状態信号50A,50Bを出力
する。
予測部34によって、原因列挙部33にて推定された「原
因」に基づいて生じる現象(原因判定部32の状態把握部
31にて検索した「結果」)が時間的にどのように変化す
るのかを求めることができる。このため沸騰水型原子炉
プラントの動的なプロセス量に異常が生じても、原因列
挙部33にて推定した「原因」が真の原因であるかどうか
の判定が容易になる。すなわち、沸騰水型原子炉で実際
に測定された異常を示すプラントデータをもたらす真の
原因を容易に求めることができる。
プラント状態信号50Aおよび50Bを入力した第13図に示
す無矛盾確認部35は、結果として起こるプラント状態信
号が、実際に発生しているプラント状態にない要素状態
で原因列挙部33自身によって原因が推定されないものを
含まない事を確認する。確認されたプラント状態信号は
そのまま出力されるが、実際のプラント状態になく、デ
ータ変換部30により取り込まれる要素状態を結果として
発生したものは、原因として不適切であるとされ、出力
されない。本実施例においては、第23A図および第23B図
の状態信号50Aおよび50Bが矛盾がなく、そのまま無矛盾
確認部35より出力される。
無矛盾確認部35から出力されたプラント状態信号50A,
50Bが、再帰呼出し部36に入力される。再帰呼出し部36
は、無矛盾確認部35の出力であるプラント状態信号50A
および50Bと原因判定部32に出力されるプラント状態信
号47とを比較する。プラント状態信号50Aおよび50Bのい
ずれか一方の要素状態がプラント状態信号47と一致すれ
ば、再帰呼出し部36は機能しない。この場合は、プラン
ト状態信号50Aおよび50Bは、判定部37に伝えられる。本
実施例においては、プラント状態信号47に「ジェットポ
ンプ流量減」という要素状態が含まれており、プラント
状態信号50Aおよび50Bのいずれにもそれが含まれていな
い。従って再帰呼出し部36は、プラント状態信号50Aお
よび50Bを入力とする原因判定部32を再帰的に呼出す。
すなわち、原因列挙部33から無矛盾確認部35までの処理
が行なわれる。プラント状態信号50Aおよび50Bが原因列
挙部33に入力される。原因列挙部33は、プラント状態信
号50Aおよび50Bの要素状態「ボイド増」および「給水流
量増」を「結果」として原因・結果データベース22の結
果部を検索視それらに対応する「原因」を求める。前者
に対しては第24A図に51Aで示す「再循環ポンプ軸固着」
が、後者に対しては第24B図に51Bで示す「給水制御系異
常」がそれぞれ検索される。これらの要素状態がプラン
ト状態信号50Aおよび50Bにそれぞれ付加されたプラント
状態信号51Aおよび51Bが原因列挙部33から出力される。
これらの信号を入力する状態把握部31は、プラント状態
信号51Aおよび51Bの要素状態を「原因」とするすべての
「結果」を原因・結果データベース22より検索する。プ
ラント状態信号51Aの「再循環ポンプ軸固着」に対して
は「ボイド増」と外に「ジェットポンプ流量減」が、プ
ラント状態信号51Bの「給水制御系異常」に対しては
「給水流量増」の外に「流量ミスマッチ」がそれぞれ検
索される。これらの要素状態がそれぞれ付加された各プ
ラント状態信号52Aおよび52B(第24A図および第24B図)
は、状態把握部31より出力されて予測部34に入力され
る。予測部34での前述のように各プラント状態信号52A
および52Bの推移予測を行なっても、プラント状態信号
の変化はなく、そのまま無矛盾正確認部35に入力され
る。無矛盾性確認部35でも、矛盾なしと判定されてその
まま出力される。
無矛盾性確認部35から出力されたプラント状態信号52
Aおよび52Bは、再帰呼出し部36に入力される。再帰呼出
し部36は、前述したようにプラント状態信号47とプラン
ト状態信号52Aおよび52Bとを比較する。プラント状態信
号47の2つの要素状態「原子炉水位L7」および「ジェッ
トポンプ流量減」は、プラント状態信号52A内にも存在
する。このため、再帰呼出し部36は、原因判定部32の再
帰呼出しを行なわず、プラント状態信号52Aおよび52Bを
判定部37へ出力する。
第14図に示す判定部37は、第24A図および第24A図に示
すプラント状態信号52Aおよび52Bと実際の沸騰水型原子
炉プラントのプラント状態を示す第21図のプラント状態
信号47とが比較される。
「再循環ポンプ軸固着」が原因となる場合は、プラン
ト状態信号52Aがプラント状態信号47と一致する。しか
し、「給水制御系異常」が原因となる場合は、プラント
状態信号52Bとプラント状態信号47とは一致しない。従
って、「再循環ポンプ軸固着」が原因とされて第24A図
に示すプラント状態信号52Aが、原因判定部32の出力で
あるプラント状態信号53として出力される。以上をもっ
て原因判定部32による処理が終了する。
再帰呼出し部36が存在するので、本実施例に基づいて
推定された「原因」によって生じるプラント状態が、沸
騰水型原子炉プラントにおいて生じている異常を示すプ
ラント状態になるか否かを容易に判断できる。従って、
異常を示すプラント状態の基となる真の「原因」を簡単
にしかも精度良く見付けることができる。
再帰呼出し部36において実施される原因判定部32に入
力された第1プラント状態信号の要素状態と無矛盾性確
認部35から出力された第2プラント状態信号の要素状態
とを比較して再帰呼出しを行なうか否かの判断を行う機
能を、再帰呼出し部36から切離して再帰呼出し部36の前
段においてもよい。第2プラント状態信号の要素状態が
第1プラント状態信号の要素状態の一部と一致し、再帰
呼出し後において原因列挙部33にて新たな原因が検索さ
れない場合は、異なる原因による異常な現象が2以上発
生(多重事象)していることになる。この場合は、第1
プラント状態信号の要素状態から第2プラント状態信号
のそれを除いた後における第1プラント状態信号の要素
状態を生じる「原因」を前述と同様にして原因判定部32
で求める。
原因判定部32の判定部37の出力であるプラント状態信
号53(今回の場合は、実質的にプラント状態信号52A)
が、最適操作決定部38の操作列挙部39に入力される。操
作列挙部39は、プラント状態信号52Aの各要素状態につ
いて操作データベース24の条件部を検索し、その条件部
の項目に対応する操作案を求める。本実施例では、「原
子炉水位L7」であって操作データベース24の条件部には
該当する項目が存在しない。このため、具体的な操作案
もなく、「何もしない」という操作案がプラント状態信
号53に付加されたプラント状態信号54が操作列挙部39か
ら出力される。
次に、このプラント状態信号54を入力して予測部34が
働く。予測部34は、プラント状態信号54の各要素状態の
変化時間およびその最小変化時間経過後の各要素状態を
付加したプラント状態信号55を出力する。具体的には最
小変化時間で変化する状態量は原子炉水位であり、その
最小時間経過後の要素状態は「原子炉水位上昇、L8」と
なる。この要素状態が付加されたプラント状態信号55が
予測部34より出力される。
プラント状態信号55は、状態把握部31に入力される。
状態把握部31は、原因・結果データ・ベース22に基づい
ては新しく付加された要素状態「原子炉水位上昇L8」に
対する「結果」である「タービントリップ」を検索す
る。さらに、状態把握部31は、検索された要素状態「タ
ービントリップ」を「原因」とする「結果」である「ス
クラム、母線切換」および「原子炉圧力上昇」を検索す
る。これらの新しい要素状態を付加したプラント状態信
号56(第25図参照)が、状態把握部31の出力である。
プラント状態信号56は、再帰呼出し部40に入力され
る。再帰呼出し部40は、操作列挙部54に入力されたプラ
ント状態信号と操作列挙部54から出力されたプラント状
態信号を比較し、後者の信号に新しい操作案が付加され
たか否かを判定する手段を有している。再帰呼出し部40
は、前述の判定にて新しい操作案が付加されていると判
断した場合には、最適操作決定部38の再帰呼出しを行
い、その逆であると判断した場合にはその再帰呼出しを
行わない。本実施例では、「操作を実施しない」という
操作案が行われているので、最適操作決定部38の再帰呼
出しが行われ、操作列挙部54、予測部34および状態把握
部31の各処理が再び行われる。状態把握部31の出力信号
であるプラント状態信号56が操作列挙部39に入力され
る。
操作列挙部39は、プラント状態信号56を入力し、この
信号の要素状態に対する操作案を操作データベース24よ
り検索する。本実施例では、「原子炉水位上昇、L8」に
対応する操作「モータ駆動給水ポンプトリップ」が検索
され、さらに、「操作を実施しない」も操作案として列
挙される。これらの操作案を付加したプラント状態信
号、すなわち、第26A図および第26B図にそれぞれ示すプ
ラント状態信号57Aおよび57Bが予測部34に入力される。
予測部34は、それぞれの操作を行なった場合のプラント
状態の推移予測が前述したように行なわれる。すなわ
ち、プラント状態信号57Aの「モニタ駆動給水ポンプト
リップ」を行なうと、前回の予測部34の処理によって得
られた最小変化時間からさらに最小変化時間を経過した
後に「原子炉圧力上昇、高」および「原子炉水位急下
降、L4」になることが予測される。また、「操作を実施
しない」場合にも、「原子炉圧力上昇、高」および「原
子炉水位下降、L6」になることが予測される。これらの
要素状態が付加されたプラント状態信号58Aおよび58Bが
予測部34から状態把握部31に入力される。
状態把握部31は、各要素状態に対応する「結果」を、
原因・結果データベース22から検索する。すなわち、操
作案「モータ駆動給水ポントリップ」を有するプラント
状態信号58Aに対しては、原因「原子炉圧力高」に対す
る結果「バイパス弁開」、原因「モータ駆動給水ポンプ
トリップ」に対する結果「原子炉水位低下」および原因
「スクラム(所定時間経過後)」(スクラム後に2回の
最小変化時間が経過しているので)に対する結果、「ボ
イド減」、さらに原因「ボイド減」に対する結果「原子
炉水位下降」がそれぞれ検索される。これらの検索結果
を付加した第26A図のプラント状態信号59Aが状態把握部
31の処理によって得られる。また、操作案「操作を実施
しない」を有するプラント状態信号58Bに対しては、原
因「原子炉圧力高」に対する結果「バイパス弁開」およ
び原因「スクラム(所定時間経過後)」に対する結果
「ボイド減」、さらに原因「ボイド減」に対する結果
「原子炉水位下降」がそれぞれ検索される。これらの検
索結果を付加した第26B図のプラント状態信号59Bが状態
把握部31の処理によって得られる。
これらのプラント状態信号59Aおよび59Bは、再帰呼出
し部40に入力される。再帰呼出し部40は、再帰呼出し後
の操作列挙部39の処理において前述したような新しい操
作案を付加したか否かに基づいて再度最適操作決定部38
の再帰呼出しの要否を決定する。今回の場合は、「モー
タ駆動給水ポンプトリップ」が新しい操作案として付加
されているので、最適操作決定部38の再帰呼出しが再び
行われる。プラント状態信号59Aおよび59Bは、操作列挙
部39に入力される。しかし、操作列挙部39は、いずれの
プラント状態信号59Aおよび59Bに対しても新たに操作案
を追加しない。次に、予測部34は、操作列挙部39から出
力されたプラント状態信号59Aおよび59Bを入力して各プ
ラント状態信号の要素状態の最小変化時間経過後の状態
を予測する。すなわち、操作案「モータ駆動給水ポンプ
トリップ」を有するプラント状態信号59Aに対しては、
原子炉水位が「L2」に、原子炉圧力が「下降」に変化す
る。また、操作案「操作を実施しない」を有するプラン
ト状態信号59Bに対しては、原子炉水位が「L4]に、原
子炉圧力が「下降」に変化する。各々の操作案に対して
予測部34は、第27A図および第27B図に示すプラント状態
信号60Aおよび60Bを出力する。
プラント状態信号60Aおよび60Bは、再帰呼出し部40に
入力される。操作列挙部39において新たに追加されない
ので、今回は再帰呼出しが行われない。従って、プラン
ト状態信号60Aおよび60Bは、決定部41に入力される。決
定部41は、最適な操作としてプラント状態信号60Aおよ
び60Bのいずれか一方の操作を選択する。すなわち、プ
ラント状態信号60Aの「モータ駆動給水ポンプトリッ
プ」を実施した場合は、「原子炉水位L2」となり、「操
作を実施しない」を実施した場合は「原子炉水位L4」と
なる。「原子炉水位を下げない」という沸騰水型原子炉
プラントの運転条件に対応させると、「操作を実施しな
い」ことが今回の「再循環ポンプ軸固着」に対して最も
適切な操作である。従って、最適操作決定部38からは、
第27A図のプラント状態信号60Bが出力される。
本実施例においては、最適操作決定部38に予測部34を
設けているので、原因判定部32で求めた異常状態の真の
原因を解消する操作(操作列挙部39で検索された操作)
を実施した場合において、その操作を実施したと仮定し
た将来のプラント状態を予測することができる。すなわ
ち、動的なプロセス量の将来における値を予測すること
ができる。また、最適操作決定部38にも再帰呼出し部40
を設けているので、予測部34にて得られた将来のプラン
ト状態を考慮して最適な操作を容易に決定することがで
きる。従って、本実施例によれば、現在、沸騰水型原子
炉プラントにおいて発生している異常状態を解消でき、
しかも安全性の高い最適な操作を選択することが可能と
なる。予測部34および再帰呼出し部36を有している原因
判定部32と予測部34および再帰呼出し部40を有する最適
操作決定部38を組合せた本実施例では、異常状態の真の
原因を精度良く把握できるので、異常状態を解消するた
めに得られた操作は最善のものとなる。また、正確な原
因がわかるので、直ちにプラントの補修の要否が判断で
き、しかも補修要の場合は補修箇所を事前に把握でき、
プラント停止後の補修が短時間で行える。
最適操作決定部38の決定部41から出力されたプラント
状態信号60Bが詳細化部42に入力される。本実施例で
は、最適操作が「操作を実施しない」であるので詳細化
部42は機能しない。詳細化部42は、プラント状態信号60
Bを詳細化部42の出力(プラント状態信号61)として出
力する。たとえば、プラント状態信号60Aの「モータ駆
動給水ポンプトリップ」が実施されてプラント状態信号
60Aの「原子炉水位L2」により高圧注水系の作動が行な
われた場合には、詳細ベース25より該当する高圧注水系
の詳細操作法(第5図)をピックアップし、これを付加
したプラント状態信号が、詳細化部42より出力される。
また、詳細な運転制限の確認を行なって制限違反が有っ
た場合は、「高圧注水系が使用できない」を付加したプ
ラント状態信号を出力し、最適操作決定部38にその出力
を伝えて前述したような最適操作決定部38の処理を再度
行い、操作の立案を再度求める。
プラント状態信号61を入力して第18図に示す類似事例
検索部43が起動される。類似事例検索部43は、第6図に
示すような実際の事例を収納している事例データベース
26よりプラント状態信号61に似ている事例を検索する。
本実施例においては、第6図に示す再循環ポンプ軸固着
の事例1が検索され、その内容がプラント状態信号61に
付加されたプラント状態信号62となって類似事例検索部
43により出力される。
プラント状態信号62は、第19図に示すガイダンス作成
部44に入力される。ガイダンス作成部44は、第27B図に
示すプラント状態信号60BをCRT表示出力に変換して(例
えば、プラント状態信号60BをCRT用の文字コードに変
換)出力する。この時、詳細操作法および類似事例の内
容についても、同様な変換が行われる。ガイダンス作成
部44は、プラント状態信号60BをCRT表示出力に変換する
時、原因となる要素状態とそれに対応する操作内容であ
る要素状態がわかるようにCRT表示出力を出す。例え
ば、「再循環ポンプ軸固着(原因)」および「操作を実
施しない(操作内容)」のように該当する要素状態の後
に(原因)および(操作内容)の言葉を付加する。
ガイダンス作成部44の出力(プラント状態信号60B)
は、CRT21に伝えられてCRT21に表示される。沸騰水型原
子炉プラントの運転員は、CRT21に表示された操作内容
を見てそれに応じて制御盤を通して沸騰水型原子炉プラ
ントの対象機器を操作する。本実施例の操作内容が「操
作を実施しない」であるので、沸騰水型原子炉プラント
に対して具体的な操作は実施されない。逆に言えば、沸
騰水型原子炉プラントに対して「操作を実施しない」と
いう操作が実施されたことになる。このような操作を実
施すると、沸騰水型原子炉プラントにおいては、ボイド
が現象して原子炉水位17がL4のレベルまで低下し、バイ
パス弁が自動的に開くことにより原子炉圧力も下降し、
安全な状態になる。例えば、プラント状態信号60Aの内
容が最適な操作であると決定部41にて決定された場合
は、運転員は、CRT21に表示された操作内容を見てモー
タ駆動給水ポンプをトリップさせる如く制御盤20を操作
する。その指令は、制御盤20より駆動している給水ポン
プ10Aおよび10Bに伝えられる。これによって給水ポンプ
10Aおよび10Bは停止される。
本実施例によれば、表示された操作内容に基づいて実
際の操作を行った場合においてプラントに生じる現象が
すべてCRTに表示されるので、実際のプラントにおける
状態の変化を確認することにより操作の進行度合を関し
できる。また、原因・結果データベース22を利用して
「原因の判定」および「操作の決定」を行なう時に、予
測部34を用いているので、再循環ポンプ軸固着という実
際に発生が考えられないような異常現象に対してさえ
も、安全に沸騰水型原子炉プラントを運転できる(モー
タ駆動給水ポンプをトリップしても、安全は守られる)
安全性の高い最適な操作を得ることができる。
CCTおよび知識工学の手法(本実施例の如く予測部お
よび再帰呼出し部を含んでいない)を単に利用した運転
ガイド装置では、実際の発生が考えられない異常現象に
対して安全性の高い操作方法のガイダンスを提供しよう
とした場合に、大規模なデータベースを必要とし、その
ガイダンス作成のためのルールおよび保守に多大な労力
を要する。このため、その手法による実現性が困難であ
る。すなわち、CCTを利用する方法では、膨大な量のCCT
が必要となって作成、保守が困難となる。また、単に知
識工学の手法を利用する場合でも、あるプラントの状態
を表わす計測結果が、複数ある場合の原因と結果を表わ
すデータを用意しなければならないこと、およびプラン
トの推移予測(動的プロセス量の変化予測)ができない
ので事前にプラントの推移予測も考慮して、適用範囲の
狭いデータを用意しなければならないことによりデータ
の量は膨大となる。
本実施例の手法によれば、運転員がガイダンスの操作
の改善を試み、ガイダンスの操作の効果を半減させるよ
うな誤動作を行ない、プラントの起動時、負荷変動時等
に対応に手間取るといったこともなくなる。
また、上記の処理を、新しいアラームの発生や、再度
の運転員の要求、または運転ガイド装置の内部の時計に
よる割り込み等により再実行することで、運転員に新し
い事態に応じたガイダンスを提供できる。
なお、本実施例を実施する場合に、プラントデータの
入力は、状態把握部31が起動され、原因・結果データベ
ース22の原因部とプラント状態信号が比較される時点等
の使用される時点で、要素状態ごとに入力されてもよ
い。
データ変換部30で、複数のプラントの状態が得られた
時、1つに絞るための論理判定は、多数決ではなくプラ
ントにとって好ましくない値を選ぶ等の他の手法を用い
てもよい。
原因判定部32では、原因を1つに限定せずに矛盾しな
いものは複数の原因として出力を行ない、それぞれにつ
いて以降の処理を行なってもよい。
最適操作決定部38では、操作を1つに決定せず、運転
目的に合うものは出力し、運転員がその中から選択する
ようにしてもよい。また、最適な操作を求めるのでなく
運転目的に合うものが初期に設定された数以上見つかっ
た時点で処理を打ち切り、出力するのでもよい。
操作データベース24は、原因・結果データベース22と
同一のものを使用し、どちらの内容を含むかを印をつけ
ることにより見分けるようにして使い分けてもよい。
詳細化部42および類似事例検索部43は、運転員の指示
があってはじめて起動されるようにしてもよい。また、
その処理は、類似事例の検索を先に行なってもよいし、
同時に行なってもよいし、一方だけ行なうのでもよい。
予測部34は、推移予測データベース23上の計算式を直
接解釈実行してもよいし、推移予測データベース23上に
は、サブルーチンの呼び出し用情報が格納されていて、
そのサブルーチンを呼び出す事により計算を行なうので
よい。また表の検索も、予測機能が直接行なってもよい
し、同様な手法で、専用のサブルーチンで行なってもよ
い。
原因判定部32および最適操作決定部38では、再帰呼び
出し機能を用いずに、スタックを用いて同様な処理をソ
フトウエアで作ってもよいし、原因判定部32と、最適操
作決定部38を実現する機能をハードウエアで作り、それ
を十分と思われる数だけあらかじめ直列につないでおく
ことにより行ってもよい。
第1図に示す実施例によれば、大規模なデータベース
を必要とせず、作成・保守が容易である。また、データ
ベースの内容が、第2図〜第6図に示す様に、構成単位
ごとに、独立しているため、データベースに含まれてい
ない現象が発生したというような、極端な状態を考えて
も、訓練された運転員が、そのような、現象の発生した
時点で、その特徴だけをデータ・ベースに入力し、運転
ガイド装置の機能を拡張することができる。
本発明は、原子炉プラントを例にとって説明したが、
このようなプラントに限らずあらゆる装置に適用可能で
ある。
〔発明の効果〕
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、推
論途中で操作員に質問を発することなく、自動的に推論
を行うので、対象装置の状態を、極めて高速度に、か
つ、操作員の判断の誤りに影響される恐れもなしに、推
定することができる。
また、データ駆動型の推論処理を行なう結果、推論処
理を効率良く行なうことができ、加えて、推移予測処理
を併用することにより、対象装置の状態の推定を、より
高い確度で行うことができる。
更に、推論処理の対象とする入力データを選択するこ
とにより、知識ベースの小規模化とデータ処理量の削減
が可能になる。
【図面の簡単な説明】
第1図は沸騰水型原子炉プラントに適用した本発明の好
適な一実施例であるプラントの運転方法を実施する装置
の系統図、第2図は第1図に示す原因・結果データベー
スの内容の一例を示す説明図、第3図は第1図に示す推
移予測データベースの内容の一例を示す説明図、第4図
は第1図に示す操作データベースの内容の一例を示す説
明図、第5図は第1図に示す詳細データベースの内容の
一例を示す説明図、第6図は第1図に示す事例データベ
ースの内容の一例を示す説明図、第7図および第8図は
第1図に示す処理プログラムのフローチャート、第9図
は第7図に示すデータ変換部の構成図、第10図は第7図
に示す状態把握部の構成図、第11図は第7図に示す原因
列挙部の構成図、第12図は第7図に示す予測部の構成
図、第13図は第7図に示す無矛盾性確認部の構成図、第
14図は第7図に示す判定部の構成図、第15図は第8図に
示す操作列挙部の構成図、第16図は第8図に示す決定部
の構成図、第17図は第8図に示す詳細化部の構成図、第
18図は第8図に示す類似事例検索部の構成図、第19図は
第8図に示すガイダンス作成部の構成図、第20図はデー
タ変換部から出力されたプラント状態信号の説明図、第
21図は状態把握部から出力されるプラント状態信号の説
明図、第22A図および第22B図は原因判定部内の状態把握
部から出力されるプラント状態信号の説明図、第23A図
および第23B図は原因判定部内の予測部から出力される
プラント状態信号の説明図、第24A図および第24B図は再
帰的に呼出された原因判定部の原因列挙部および状態把
握部から出力されるプラント状態信号の説明図、第25図
は最適操作決定部の状態把握部から出力されるプラント
状態信号の説明図、第26図、第27A図および第27B図は再
帰的に呼出された最適操作決定部の予測部および状態把
握部から出力されるプラント状態信号の説明図である。 1……原子炉圧力容器、2……炉心、3……ジェットポ
ンプ、4……再循環ポンプ、6……タービン、8……復
水ポンプ、10A,10B,11A,11B……給水ポンプ、18……電
子計算機、18A……プロセス入出力装置、18B……中央処
理装置、18C……メモリ、20……制御盤、21……CRT、22
……原因・結果データベース、23……推移予測データベ
ース、24……操作データベース、25……詳細データベー
ス、26……事例データベース、27……処理プログラム、
31……状態把握部、32……原因判定部、33……原因列挙
部、34……予測部、35……無矛盾性確認部、36,40……
再帰呼出し部、37……判定部、38……最適操作決定部、
39……操作列挙部、41……決定部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木口 高志 茨城県日立市森山町1168番地 株式会社 日立製作所エネルギー研究所内 (56)参考文献 特開 昭54−33975(JP,A) 特開 昭54−39795(JP,A) 実開 昭56−77905(JP,U) 情報処理、Vol.19,No.10 (1978.10月),P.936〜943 P.H.Winston著,“ART IFICIAL INTELLIGEN CE”,(1979),P.143〜156

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】それぞれが前提と結論とからなり、これら
    の前提及び結論が状態量の識別子とその状態量の値とを
    含む、対象装置の状態に関する知識を表す複数のルール
    を記憶するための記憶手段と、 与えられた状態量の値からある時間経過後の状態量の値
    を推定する推定手順を指定する情報を記憶するための記
    憶手段と、 対象装置の状態を表す測定データを入力する入力手段
    と、 前記入力手段から入力した測定データを状態量の識別子
    とその状態量の値を組み合わせたデータに変換するデー
    タ変換手段と、 前記データ変換手段による変換で得られたデータにおけ
    る状態量の識別子とその状態量の値を前提又は結論に含
    むルールを前記複数のルールから探索し、このルールか
    ら出発して、ルール中の前提と結論が因果関係の連鎖を
    なすルール群を探索して、前記対象装置の状態に関連す
    る情報を抽出する推論処理を行う手段と、前記推論処理
    のある段階において、当該段階で探索されたルールに含
    まれる状態量の値から、前記推定手順に従って所定時間
    経過後の状態量の値を推定する推移予測処理を行う手段
    とを有するデータ処理手段と、 前記データ処理手段で得られた前記対象装置の状態に関
    連する情報を出力する出力手段と、 を備えることを特徴とする測定データの処理装置。
  2. 【請求項2】それぞれが前提と結論とからなり、これら
    の前提及び結論が状態量の識別子とその状態量の値とを
    含む、対象装置の状態に関する知識を表す複数のルール
    を記憶するための記憶手段と、 与えられた状態量の値からある時間経過後の状態量の値
    を推定する推定手順を指定する情報を記憶するための記
    憶手段と、 対象装置の状態を表す測定データを入力する入力手段
    と、 該入力手段から入力したデータから、推論に用いるべき
    データを、その内容と予め定めた基準との関係に従って
    選択する選択手段と、 該選択手段で選択されたデータを状態量の識別子とその
    状態量の値を組み合わせたデータに変換するデータ変換
    手段と、 前記データ変換手段による変換で得られたデータにおけ
    る状態量の識別子とその状態量の値を前提又は結論に含
    むルールを前記複数のルールから探索し、このルールか
    ら出発して、ルール中の前提と結論が因果関係の連鎖を
    なすルール群を探索して、前記対象装置の状態に関連す
    る情報を抽出する推論処理を行う手段と、前記推論処理
    のある段階において、当該段階で探索されたルールに含
    まれる状態量の値から、前記推定手順に従って所定時間
    経過後の状態量の値を推定する推移予測処理を行う手段
    とを有するデータ処理手段と、 前記データ処理手段で得られた前記対象装置の状態に関
    連する情報を出力する出力手段と、 を備えることを特徴とする測定データの処理装置。
JP63263965A 1988-10-21 1988-10-21 知識ベースを用いた測定データの処理装置 Expired - Lifetime JP2650053B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
P.H.Winston著,"ARTIFICIAL INTELLIGENCE",(1979),P.143〜156
情報処理、Vol.19,No.10(1978.10月),P.936〜943

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