JP2895213B2 - 光起電力素子 - Google Patents
光起電力素子Info
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- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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- Y02E10/50—Photovoltaic [PV] energy
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、光を照射されることによって起電力を生ず
る光起電子素子に関し、特に非晶質シリコンゲルマニウ
ム合金を使用した光電変換効率が高く信頼性の高い光起
電力素子に関する。
る光起電子素子に関し、特に非晶質シリコンゲルマニウ
ム合金を使用した光電変換効率が高く信頼性の高い光起
電力素子に関する。
太陽光などの光エネルギーを電気エネルギーに変換す
る光起電力素子は、電卓、腕時計など民生用の小電力用
電源として広く応用されており、また、将来、石油、石
炭などのいわゆる化石燃料の代替用電力として実用化す
ることが可能な技術として注目されている。光起電力素
子は半導体のpn接合の光起電力を利用したものであり、
シリコン(Si)などの半導体に太陽光を吸収させ電子と
正孔からなる一対の光キャリヤーを生成し、該光キャリ
ヤーをpn接合部の内部電界によってドリフトさせ、外部
に電気エネルギーとして取り出すものである。このよう
な光起電力素子は、半導体プロセスを用いて作製され
る。
る光起電力素子は、電卓、腕時計など民生用の小電力用
電源として広く応用されており、また、将来、石油、石
炭などのいわゆる化石燃料の代替用電力として実用化す
ることが可能な技術として注目されている。光起電力素
子は半導体のpn接合の光起電力を利用したものであり、
シリコン(Si)などの半導体に太陽光を吸収させ電子と
正孔からなる一対の光キャリヤーを生成し、該光キャリ
ヤーをpn接合部の内部電界によってドリフトさせ、外部
に電気エネルギーとして取り出すものである。このよう
な光起電力素子は、半導体プロセスを用いて作製され
る。
具体的には、チョクラルスキー法(CZ法)などの結晶
成長法によりp型、あるいはn型に価電子制御したシリ
コンの単結晶を作製し、該単結晶をスライスして約300
μmの厚みのシリコンウエハーを作る。さらに前記ウエ
ハーの導電型とは反対の導電型とする価電子制御剤を拡
散させるなどの適当な手段により、異種の導電型の層を
形成しpn接合を作るものである。
成長法によりp型、あるいはn型に価電子制御したシリ
コンの単結晶を作製し、該単結晶をスライスして約300
μmの厚みのシリコンウエハーを作る。さらに前記ウエ
ハーの導電型とは反対の導電型とする価電子制御剤を拡
散させるなどの適当な手段により、異種の導電型の層を
形成しpn接合を作るものである。
ところで、信頼性や変換効率の観点から、現在、主に
実用化されている光起電力素子には、単結晶シリコンが
使われているが、上述のように光起電力素子作製は半導
体プロセスを用いるため生産コストは高いものとなる。
また、単結晶シリコンは間接遷移であるため光吸収係数
が小さく、単結晶シリコンの光起電力素子は入射太陽光
を吸収するために少なくとも50μmの厚さにしなければ
ならないことや、バンドギャップが約1.1eVであり、光
起電力素子として太陽光を吸収するために好適な1.5eV
よりも狭いため太陽光の短波長成分を有効に利用できな
いなどの問題点がある。
実用化されている光起電力素子には、単結晶シリコンが
使われているが、上述のように光起電力素子作製は半導
体プロセスを用いるため生産コストは高いものとなる。
また、単結晶シリコンは間接遷移であるため光吸収係数
が小さく、単結晶シリコンの光起電力素子は入射太陽光
を吸収するために少なくとも50μmの厚さにしなければ
ならないことや、バンドギャップが約1.1eVであり、光
起電力素子として太陽光を吸収するために好適な1.5eV
よりも狭いため太陽光の短波長成分を有効に利用できな
いなどの問題点がある。
また、仮に、多結晶シリコンを用いて生産コストを下
げたとしても、間接遷移の問題点は残り、光起電力素子
の厚さを減らすことはできない。さらに多結晶シリコン
は粒界その他の問題点を合わせ持っている。
げたとしても、間接遷移の問題点は残り、光起電力素子
の厚さを減らすことはできない。さらに多結晶シリコン
は粒界その他の問題点を合わせ持っている。
さらに、結晶質であるがために面積の大きなウエハー
は製造できず、大面積化が困難であり、大きな電力を取
り出す場合には単位素子を直列あるいは並列に接続する
ための配線を行わなければならないことや、屋外で使用
する際に光起電力素子を様々な気象条件によりもたらさ
れる機械的損傷から保護するための高価な実装が必要に
なることなどから、単位発電量に対する生産コストが既
存の発電方法に比べて割高になってしまうという問題点
がある。このような事情から電力用の光起電力素子の実
用化を進めるに当たっては、低コスト化及び大面積化が
重要な技術的課題であるため様様な検討がなされてお
り、コストの安い材料、変換効率の高い材料などの材料
の探求が行われてきた。
は製造できず、大面積化が困難であり、大きな電力を取
り出す場合には単位素子を直列あるいは並列に接続する
ための配線を行わなければならないことや、屋外で使用
する際に光起電力素子を様々な気象条件によりもたらさ
れる機械的損傷から保護するための高価な実装が必要に
なることなどから、単位発電量に対する生産コストが既
存の発電方法に比べて割高になってしまうという問題点
がある。このような事情から電力用の光起電力素子の実
用化を進めるに当たっては、低コスト化及び大面積化が
重要な技術的課題であるため様様な検討がなされてお
り、コストの安い材料、変換効率の高い材料などの材料
の探求が行われてきた。
このような光起電力素子の材料としては、光晶質シリ
コン、光晶質シリコンゲルマニウム(SiGe)、光晶質炭
化ケイ素(SiC)などのテトラヘドラル系の非晶質半導
体や、CdS,Cu2SなどのII−VI族やGaAs,GaAlAsなどのIII
−V族の化合物半導体などが挙げられる。とりわけ、非
晶質半導体からなる薄膜光起電力素子は、単結晶光起電
力素子に比較して、大面積の膜が容易に作製でき、膜厚
が薄くてすみ、任意の基板材料に堆積できるなどの長所
があり有望視されている。
コン、光晶質シリコンゲルマニウム(SiGe)、光晶質炭
化ケイ素(SiC)などのテトラヘドラル系の非晶質半導
体や、CdS,Cu2SなどのII−VI族やGaAs,GaAlAsなどのIII
−V族の化合物半導体などが挙げられる。とりわけ、非
晶質半導体からなる薄膜光起電力素子は、単結晶光起電
力素子に比較して、大面積の膜が容易に作製でき、膜厚
が薄くてすみ、任意の基板材料に堆積できるなどの長所
があり有望視されている。
しかしながら、上記非晶質半導体を用いた光起電力素
子では、電力用素子としての光電変換効率の向上、信頼
性の向上の面で問題点が残っている。
子では、電力用素子としての光電変換効率の向上、信頼
性の向上の面で問題点が残っている。
非晶質半導体を用いた光起電力素子の光電変換効率の
向上の方法としては、例えば、バンドキャップを狭くし
て長波長の光に対する感度を増加することが行われてい
る。すなわち、非晶質シリコンは、バンドギャップが約
1.7eVであるため700nm以上の長波長の光は吸収できずこ
れを有効に利用できないため、長波長光に感度のあるバ
ンドギャップが狭い材料を用いることが検討されてい
る。このような材料として、成膜時にシリコン原料ガス
とゲルマニウム原料ガスの比を変えることで容易にバン
ドギャップを1.3eV位から1.7eV位まで任意に変化できる
非晶質シリコンゲルマニウムが挙げられる。
向上の方法としては、例えば、バンドキャップを狭くし
て長波長の光に対する感度を増加することが行われてい
る。すなわち、非晶質シリコンは、バンドギャップが約
1.7eVであるため700nm以上の長波長の光は吸収できずこ
れを有効に利用できないため、長波長光に感度のあるバ
ンドギャップが狭い材料を用いることが検討されてい
る。このような材料として、成膜時にシリコン原料ガス
とゲルマニウム原料ガスの比を変えることで容易にバン
ドギャップを1.3eV位から1.7eV位まで任意に変化できる
非晶質シリコンゲルマニウムが挙げられる。
また、光起電力素子の変換効率を向上させる他の方法
として、単位素子構造の光起電力素子を複数個積層させ
る、いわゆるタンデムセルを用いることが、米国特許第
2949498号明細書に開示されている。このタンデムセル
には、pn接合結晶質半導体が用いられているが、その思
想は結晶質、非晶質のいずれにも共通するものであり、
異なるバンドギャップの素子を積層し、太陽光のスペク
トルの各部分を効率よく吸収することにより、開放電圧
(Voc)を増大させ発電効率を向上させ、すなわち変換
効率を向上させるものである。この場合、積層された素
子の光入射側に位置する層である、いわゆるトップ層の
バンドギャップに比べ、該トップ層の下に位置する層で
あるいわゆるボトム層のバンドギャップの方が狭くなる
ように設計される。
として、単位素子構造の光起電力素子を複数個積層させ
る、いわゆるタンデムセルを用いることが、米国特許第
2949498号明細書に開示されている。このタンデムセル
には、pn接合結晶質半導体が用いられているが、その思
想は結晶質、非晶質のいずれにも共通するものであり、
異なるバンドギャップの素子を積層し、太陽光のスペク
トルの各部分を効率よく吸収することにより、開放電圧
(Voc)を増大させ発電効率を向上させ、すなわち変換
効率を向上させるものである。この場合、積層された素
子の光入射側に位置する層である、いわゆるトップ層の
バンドギャップに比べ、該トップ層の下に位置する層で
あるいわゆるボトム層のバンドギャップの方が狭くなる
ように設計される。
これに対し浜川らは、特公昭63−48197号公報におい
て、同じバンドギャップの非晶質シリコン材料から作ら
れる単位素子を、その相互間に絶縁層を設けずに、多重
に積層し、素子全体の開放電圧(Voc)を増加させる、
いわゆるカスケード型電池を報告している。
て、同じバンドギャップの非晶質シリコン材料から作ら
れる単位素子を、その相互間に絶縁層を設けずに、多重
に積層し、素子全体の開放電圧(Voc)を増加させる、
いわゆるカスケード型電池を報告している。
非晶質シリコンゲルマニウムは、バンドギャップが狭
く、長波長の光に対し感度が優れているため、上述した
タンデムセルのボトム層として好適な材料として用いら
れる。
く、長波長の光に対し感度が優れているため、上述した
タンデムセルのボトム層として好適な材料として用いら
れる。
ところで、このように長波長感度を向上させ、また、
タンデムセルのボトム層としても応用可能な非晶質シリ
コンゲルマニウムは、一般的に膜質においては非晶質シ
リコンよりも劣り、光起電力素子を作製した場合も変換
効率が低いという欠点がある。この原因は、バンドギャ
ップ内の局在準位が非晶質シリコンに比べて多いためで
ある。このため、バンドギャップ内局在準位を減らして
膜質を向上させるための研究開発が行われているが、例
えば、活性化されたフッ素原子を用いて非晶質シリコン
ゲルマニウム中のダングリングボンドの補償を行い、局
在準位密度を低減した非晶質シリコンゲルマニウムが知
られている。
タンデムセルのボトム層としても応用可能な非晶質シリ
コンゲルマニウムは、一般的に膜質においては非晶質シ
リコンよりも劣り、光起電力素子を作製した場合も変換
効率が低いという欠点がある。この原因は、バンドギャ
ップ内の局在準位が非晶質シリコンに比べて多いためで
ある。このため、バンドギャップ内局在準位を減らして
膜質を向上させるための研究開発が行われているが、例
えば、活性化されたフッ素原子を用いて非晶質シリコン
ゲルマニウム中のダングリングボンドの補償を行い、局
在準位密度を低減した非晶質シリコンゲルマニウムが知
られている。
一方、上述のような膜質の本質的な向上以外の方法に
よる、非晶質シリコンゲルマニウム光起電力素子の特性
の向上が検討されている。その1例としてp型半導体層
及び/またはn型半導体層とi型半導体層との接合界面
においてバンド幅に傾斜を持たせる、いわゆるバッファ
層を用いる方法が米国特許第4,254,429号、同第4,377,7
23号の各明細書に開示されている。該バッファ層の目的
は内部電界を向上させ開放電圧(Voc)を向上させるこ
とにある。
よる、非晶質シリコンゲルマニウム光起電力素子の特性
の向上が検討されている。その1例としてp型半導体層
及び/またはn型半導体層とi型半導体層との接合界面
においてバンド幅に傾斜を持たせる、いわゆるバッファ
層を用いる方法が米国特許第4,254,429号、同第4,377,7
23号の各明細書に開示されている。該バッファ層の目的
は内部電界を向上させ開放電圧(Voc)を向上させるこ
とにある。
さらに他の方法として、シリコンとゲルマニウムの組
成比を変化させることにより、イントリンシック層(i
型半導体層)中に組成の分布を設け特性を向上させる、
いわゆる傾斜層を設ける方法が開示されている。例えば
米国特許第4,816,082号明細書によれば、光入射側の第
1の価電子制御された半導体層に接する部分のi型半導
体層のバンドギャップを広くし、中央部に向かうに従い
徐徐にバンドギャップを狭くし、さらに、第2の価電子
制御された半導体層に向かうに従い徐々にバンドギャッ
プを広くしていく方法が開示されている。該方法によれ
ば、光により発生したキャリヤは、内部電界の働きによ
り効率良く分離でき、膜特性が向上する。
成比を変化させることにより、イントリンシック層(i
型半導体層)中に組成の分布を設け特性を向上させる、
いわゆる傾斜層を設ける方法が開示されている。例えば
米国特許第4,816,082号明細書によれば、光入射側の第
1の価電子制御された半導体層に接する部分のi型半導
体層のバンドギャップを広くし、中央部に向かうに従い
徐徐にバンドギャップを狭くし、さらに、第2の価電子
制御された半導体層に向かうに従い徐々にバンドギャッ
プを広くしていく方法が開示されている。該方法によれ
ば、光により発生したキャリヤは、内部電界の働きによ
り効率良く分離でき、膜特性が向上する。
ところで、非晶質半導体を用いた光起電力素子の他の
問題点は、光照射により変換効率が経時的に低下するこ
とである。これは、非晶質シリコン及び非晶質シリコン
ゲルマニウムが光照射により膜質が低下し、このためキ
ャリヤの走行性が悪くなることにより引き起こされるも
のであり、結晶質半導体では見られない非晶質半導体特
有の現象である。そのため電力用途に用いる場合、信頼
性が劣り、実用化の障害となっているのが現状である。
非晶質半導体の光劣化の改善は鋭意研究がなされている
が、膜質を改善することにより光劣化を防止する検討が
されている一方、セル構造の改良による光劣化の低減も
検討されている。このような方法の具体例として、上述
したタンデムセル構造を用いることは有効な手段であ
り、イントリンシック層を薄くしキャリヤの走行距離を
短くすることにより、光照射によるセル特性の低下が少
なくなることが確認されている。
問題点は、光照射により変換効率が経時的に低下するこ
とである。これは、非晶質シリコン及び非晶質シリコン
ゲルマニウムが光照射により膜質が低下し、このためキ
ャリヤの走行性が悪くなることにより引き起こされるも
のであり、結晶質半導体では見られない非晶質半導体特
有の現象である。そのため電力用途に用いる場合、信頼
性が劣り、実用化の障害となっているのが現状である。
非晶質半導体の光劣化の改善は鋭意研究がなされている
が、膜質を改善することにより光劣化を防止する検討が
されている一方、セル構造の改良による光劣化の低減も
検討されている。このような方法の具体例として、上述
したタンデムセル構造を用いることは有効な手段であ
り、イントリンシック層を薄くしキャリヤの走行距離を
短くすることにより、光照射によるセル特性の低下が少
なくなることが確認されている。
第11図は、上述した一般的なpin型非晶質光起電力素
子の構造を模式的に示す断面図である。この光起電力素
子300は、図示上方より光が入射するものであって、基
板301の上に、下部電極302、n型半導体層303、i型半
導体層304、p型半導体銅305、透明電極306、集電電極3
07が順次積層されている。
子の構造を模式的に示す断面図である。この光起電力素
子300は、図示上方より光が入射するものであって、基
板301の上に、下部電極302、n型半導体層303、i型半
導体層304、p型半導体銅305、透明電極306、集電電極3
07が順次積層されている。
次に、上述した従来の光起電力素子のバンドギャップ
のプロファイルについて、第12図(a)〜(c)を用い
て説明する。図中、下側の実線Evは価電子帯の頂上を示
し、上側の実線Ecは伝導帯の底部を表わす。
のプロファイルについて、第12図(a)〜(c)を用い
て説明する。図中、下側の実線Evは価電子帯の頂上を示
し、上側の実線Ecは伝導帯の底部を表わす。
第12図(a)は、第11図に示した光起電力素子300の
バンドプロファイルである。このようなバンドプロファ
イルの場合、開放電圧はi型半導体層304のバンドギャ
ップにより決定されるため、ここにバンドギャップの狭
い材料を用いると開放電圧は小さくなってしまう。ま
た、p型半導体層305に接するi型半導体層304で発生し
た自由電子及び自由正孔は、pi界面に存在する高濃度の
再結合準位により再結合してしまうため、有効に取り出
されることなく失われてしまう。また、光の入射側では
吸収される光量が大きく、内部に向かうに従い吸収され
る光量は指数関数的に減少する。光入射側で吸収した光
のエネルギーはバンドギャップ以上のエネルギーであ
り、この余分なエネルギーを有効利用できていないこと
になる。
バンドプロファイルである。このようなバンドプロファ
イルの場合、開放電圧はi型半導体層304のバンドギャ
ップにより決定されるため、ここにバンドギャップの狭
い材料を用いると開放電圧は小さくなってしまう。ま
た、p型半導体層305に接するi型半導体層304で発生し
た自由電子及び自由正孔は、pi界面に存在する高濃度の
再結合準位により再結合してしまうため、有効に取り出
されることなく失われてしまう。また、光の入射側では
吸収される光量が大きく、内部に向かうに従い吸収され
る光量は指数関数的に減少する。光入射側で吸収した光
のエネルギーはバンドギャップ以上のエネルギーであ
り、この余分なエネルギーを有効利用できていないこと
になる。
そこで、上述のように、n型半導体層303とi型半導
体層304との界面及びp型半導体層305とi型半導体層30
4との界面の、それぞれi型半導体層304側に、これら界
面付近におけるバンドギャップに傾斜をもたせるための
バッファ層308,309を設けることが行われる。バッファ
層308,309は、これら両方の界面のそれぞれにおける局
在準位の密度を減少させ、i型半導体層304で発生した
自由電子及び自由正孔を有効に取り出せるようにする。
この場合のバンドプロファイルが第12図(b)に示され
ている。
体層304との界面及びp型半導体層305とi型半導体層30
4との界面の、それぞれi型半導体層304側に、これら界
面付近におけるバンドギャップに傾斜をもたせるための
バッファ層308,309を設けることが行われる。バッファ
層308,309は、これら両方の界面のそれぞれにおける局
在準位の密度を減少させ、i型半導体層304で発生した
自由電子及び自由正孔を有効に取り出せるようにする。
この場合のバンドプロファイルが第12図(b)に示され
ている。
また、光がp型半導体層305側から入射するものとし
て、上述したように、i型半導体層304のn型及びp型
半導体層303,305との界面付近をそれぞれバンドギャッ
プ調整剤を含まずバンドギャップの広いバッファ層311,
314とし、さらにバッファ層311からi型半導体層304の
中央部分に向けてバンドギャップが徐々に狭くなる傾斜
層312とし、i型半導体層304の中央部分はバンドギャッ
プが他に比べて狭く、ここからバッファ層314に向けて
徐々にバンドギャップが広くなる傾斜層313とすること
が行われている。バンドギャップの調整はバンドギャッ
プ調整剤の含有率を変化させることによる。非晶質シリ
コンゲルマニウムの場合であれば、シリコンに対しゲル
マニウムがバンドギャップ調整剤として作用する。この
場合のバンドプロファイルが第12図(c)に示されてい
る。このようにすることによって、光は有効に利用で
き、開放電圧が上昇し、フィルファクタ(FF)も向上す
る。ここでフィルファクタ(FF)は、一定の入射光の条
件で光起電力素子から取り出し得る最大の電力をそのと
きの開放電圧(Voc)と(Voc)との短絡電流(Isc)の
積で除したものである。このような方法は、一般に初期
効率を向上させることを主眼として検討されているもの
であって、光劣化に関しては特に配慮がなされているわ
けではない。
て、上述したように、i型半導体層304のn型及びp型
半導体層303,305との界面付近をそれぞれバンドギャッ
プ調整剤を含まずバンドギャップの広いバッファ層311,
314とし、さらにバッファ層311からi型半導体層304の
中央部分に向けてバンドギャップが徐々に狭くなる傾斜
層312とし、i型半導体層304の中央部分はバンドギャッ
プが他に比べて狭く、ここからバッファ層314に向けて
徐々にバンドギャップが広くなる傾斜層313とすること
が行われている。バンドギャップの調整はバンドギャッ
プ調整剤の含有率を変化させることによる。非晶質シリ
コンゲルマニウムの場合であれば、シリコンに対しゲル
マニウムがバンドギャップ調整剤として作用する。この
場合のバンドプロファイルが第12図(c)に示されてい
る。このようにすることによって、光は有効に利用で
き、開放電圧が上昇し、フィルファクタ(FF)も向上す
る。ここでフィルファクタ(FF)は、一定の入射光の条
件で光起電力素子から取り出し得る最大の電力をそのと
きの開放電圧(Voc)と(Voc)との短絡電流(Isc)の
積で除したものである。このような方法は、一般に初期
効率を向上させることを主眼として検討されているもの
であって、光劣化に関しては特に配慮がなされているわ
けではない。
上述した従来の非晶質光起電力素子においては、結晶
質シリコン光起電力素子に比べ膜質が劣るため変換効率
が充分ではなく、1ワット当たりの発電コストは既存の
原子力、火力、水力発電などよりも高いという問題点が
ある。非晶質シリコン系の光起電力素子が既存の発電方
法と伍して電力用途に用いられるためには変換効率をさ
らに向上させることが求められている。
質シリコン光起電力素子に比べ膜質が劣るため変換効率
が充分ではなく、1ワット当たりの発電コストは既存の
原子力、火力、水力発電などよりも高いという問題点が
ある。非晶質シリコン系の光起電力素子が既存の発電方
法と伍して電力用途に用いられるためには変換効率をさ
らに向上させることが求められている。
また、上述したように光劣化のメカニズムの解明及び
光劣化防止の検討が続けられているにもかかわらず光劣
化の問題は完全には解決できておらず、非晶質シリコン
系の光起電力素子はさらに信頼性が求められている。上
述したスタックセルによる劣化防止の方法においては、
イントリンシック層を薄くすることにより光起電力素子
の全体の光吸収量が減少するために、光劣化防止として
は効果的となり得るものの初期光起電力特性は悪化して
しまうため、信頼性が高く、かつ高効率という要求を両
立させることができないという問題点がある。
光劣化防止の検討が続けられているにもかかわらず光劣
化の問題は完全には解決できておらず、非晶質シリコン
系の光起電力素子はさらに信頼性が求められている。上
述したスタックセルによる劣化防止の方法においては、
イントリンシック層を薄くすることにより光起電力素子
の全体の光吸収量が減少するために、光劣化防止として
は効果的となり得るものの初期光起電力特性は悪化して
しまうため、信頼性が高く、かつ高効率という要求を両
立させることができないという問題点がある。
本発明の目的は、上述した問題点を解決し、信頼性が
高くかつ光電変換効率の高い光起電力素子を提供するこ
とにある。
高くかつ光電変換効率の高い光起電力素子を提供するこ
とにある。
本発明者らは、上述した問題点を解決するため、光劣
化が少なくかつ変換効率の高い光起電力素子について検
討したところ、バンドプロファイルの改善による初期効
率の向上に加え、非晶質シリコンゲルマニウムはゲルマ
ニウムの特定の組成において光劣化が少ないことを見出
した。すなわち、成膜に用いるシリコン系ガスとゲルマ
ニウム系ガスの化学量論比を制御することにより連続光
照射に対して導電率及び膜中の欠陥の増加が極めて少な
い良質の膜が得られるという知見を得、さらに非晶質シ
リコンゲルマニウム領域中の膜厚方向に対するシリコン
とゲルマニウムの組成比を制御することにより初期効率
の高い光起電力素子が得られるという知見を得た。本発
明は、該知見に基づいてさらなる研究を行い、光劣化が
少なく変換効率の高い光起電力素子を完成したものであ
る。
化が少なくかつ変換効率の高い光起電力素子について検
討したところ、バンドプロファイルの改善による初期効
率の向上に加え、非晶質シリコンゲルマニウムはゲルマ
ニウムの特定の組成において光劣化が少ないことを見出
した。すなわち、成膜に用いるシリコン系ガスとゲルマ
ニウム系ガスの化学量論比を制御することにより連続光
照射に対して導電率及び膜中の欠陥の増加が極めて少な
い良質の膜が得られるという知見を得、さらに非晶質シ
リコンゲルマニウム領域中の膜厚方向に対するシリコン
とゲルマニウムの組成比を制御することにより初期効率
の高い光起電力素子が得られるという知見を得た。本発
明は、該知見に基づいてさらなる研究を行い、光劣化が
少なく変換効率の高い光起電力素子を完成したものであ
る。
本発明の光起電力素子は、p型半導体層とi型半導体
層とn型半導体層とが順次蓄積されたpin接合構造を少
なくとも1組有する光起電力素子において、 前記p型半導体層は微結晶半導体からなり、かつ、前
記i型半導体層に対して光入射側に位置し、 前記i型半導体層はゲルマニウム含有層とゲルマニウ
ムを含まない領域であるバッファ層とが積層された構造
であり、 前記ゲルマニウム含有層におけるゲルマニウムの含有
量は、前記n型半導体層の側の界面において0であっ
て、前記p型半導体層の側の界面に向かう膜厚方向に前
記ゲルマニウム含有層の全体にわたって単調に増加し、
かつ、半導体構成元素中のゲルマニウムの組成比で表わ
したときに前記p型半導体層の側の界面近傍において20
原子%以上70原子%以下であり、 前記ゲルマニウム含有層中のゲルマニウムの含有量の
前記膜厚方向に向かう増加率が、半導体構成元素中のゲ
ルマニウムの組成比の変化率で表したとき、0.02〜0.10
原子%/Åであり、 前記バッファ層は、前記i型半導体層の、前記n型半
導体層との界面及び前記p型半導体層との界面の少なく
とも一方の部分に設けられていることを特徴とする。
層とn型半導体層とが順次蓄積されたpin接合構造を少
なくとも1組有する光起電力素子において、 前記p型半導体層は微結晶半導体からなり、かつ、前
記i型半導体層に対して光入射側に位置し、 前記i型半導体層はゲルマニウム含有層とゲルマニウ
ムを含まない領域であるバッファ層とが積層された構造
であり、 前記ゲルマニウム含有層におけるゲルマニウムの含有
量は、前記n型半導体層の側の界面において0であっ
て、前記p型半導体層の側の界面に向かう膜厚方向に前
記ゲルマニウム含有層の全体にわたって単調に増加し、
かつ、半導体構成元素中のゲルマニウムの組成比で表わ
したときに前記p型半導体層の側の界面近傍において20
原子%以上70原子%以下であり、 前記ゲルマニウム含有層中のゲルマニウムの含有量の
前記膜厚方向に向かう増加率が、半導体構成元素中のゲ
ルマニウムの組成比の変化率で表したとき、0.02〜0.10
原子%/Åであり、 前記バッファ層は、前記i型半導体層の、前記n型半
導体層との界面及び前記p型半導体層との界面の少なく
とも一方の部分に設けられていることを特徴とする。
なお、ここでいう半導体構成元素とは、IV族半導体に
おけるC,Si,Geなど、III−IV族半導体におけるAl,P,Ga,
As,In,Sbなど、半導体としての構成に不可欠な元素のこ
とである。従って、非晶質シリコンに対してダングリン
グボンドをつぶし膜質を改善するために加えられる水素
(H)やフッ素(F)などは、ここでいう半導体構成元
素には含まれない。また、価電子制御剤もここでいう半
導体構成元素に含まれない。例えば、リン(P)はIII
−V族半導体中においては半導体構成元素となるが、シ
リコンに価電子制御剤として添加されたときには半導体
構成元素とはならない。
おけるC,Si,Geなど、III−IV族半導体におけるAl,P,Ga,
As,In,Sbなど、半導体としての構成に不可欠な元素のこ
とである。従って、非晶質シリコンに対してダングリン
グボンドをつぶし膜質を改善するために加えられる水素
(H)やフッ素(F)などは、ここでいう半導体構成元
素には含まれない。また、価電子制御剤もここでいう半
導体構成元素に含まれない。例えば、リン(P)はIII
−V族半導体中においては半導体構成元素となるが、シ
リコンに価電子制御剤として添加されたときには半導体
構成元素とはならない。
次に、本発明を完成させるために発明者らが行った参
考実験について説明することにより、本発明の光起電力
素子の作用について述べる。
考実験について説明することにより、本発明の光起電力
素子の作用について述べる。
(参考実験1) 第13図に示す公知の高周波プラズマCVD成膜装置を用
い、ガラス基板701上に以下のようにして非晶質シリコ
ンゲルマニウム膜を作製した。
い、ガラス基板701上に以下のようにして非晶質シリコ
ンゲルマニウム膜を作製した。
第13図の高周波プラズマCVD成膜装置において、反応
チャンバ700は、排気管708とガス導入管710が接続さ
れ、排気管708の他端に設けられた排気ポンプ709によっ
て排気されるようになっている。また反応チャンバ700
内には、マッチングボックス706を介して高周波電源702
に接続されたアノード電極702と接地用端子705を介して
接地されているカソード電極703とが互いに対向するよ
うに設けられている。ガラス基板701はカソード電極703
の表面に取り付けられ、カソード電極703の内部には基
板701を加熱するためのヒータ704が設けられている。ガ
ス導入管710には、多数のガスボンベ(不図示)が、前
記各ガスボンベごとに設けられたバルブ711、マスフロ
ーコントローラー(MFC)712、バルブ713を介して、接
続されている。
チャンバ700は、排気管708とガス導入管710が接続さ
れ、排気管708の他端に設けられた排気ポンプ709によっ
て排気されるようになっている。また反応チャンバ700
内には、マッチングボックス706を介して高周波電源702
に接続されたアノード電極702と接地用端子705を介して
接地されているカソード電極703とが互いに対向するよ
うに設けられている。ガラス基板701はカソード電極703
の表面に取り付けられ、カソード電極703の内部には基
板701を加熱するためのヒータ704が設けられている。ガ
ス導入管710には、多数のガスボンベ(不図示)が、前
記各ガスボンベごとに設けられたバルブ711、マスフロ
ーコントローラー(MFC)712、バルブ713を介して、接
続されている。
まず、5cm角の大きさの無アルカリガラスからなるガ
ラス基板701(コーニング社7059番ガラス製)を反応チ
ャンバ700の中のカソード電極703に取り付け、排気ポン
プ709により反応チャンバ700を充分排気し、不図示のイ
オンゲージで反応チャンバ700の中の真空度が10-6Torr
となるようにした。次に基板加熱用ヒーター704で基板7
01を300℃に加熱した。基板温度が一定になった後、バ
ルブ711,713を開け、マスフローコントローラー712を制
御して不図示のSiH4ガスボンベからSiH4ガス30sccmガス
を導入管710を介して反応チャンバ700の中に導入した。
同様にしてH2ガス300sccmを供給し、GeH4ガス1sccmを導
入した。反応チャンバ700の内圧を1.5Torrに保つように
不図示の圧力コントローラーを調整した後、高周波電源
707から20Wの高周波電力を投入し、マッチングボックス
706を調整することにより反射波を最小にしながらプラ
ズマ放電を60分間行い、非晶質シリコンゲルマニウム膜
を基板701上に1μm堆積した。ガス供給をやめ反応チ
ャンバ700から基板701を取り出し、試料No.をS−1と
した。同様にしてGeH4ガス量を5sccm,10sccm,20sccmと
変化させて試料を作製しそれぞれS−2,S−3,S−4とし
た。なお、sccmは標準状態(0℃、1気圧)に換算した
cm3/sで表わされた流量である。
ラス基板701(コーニング社7059番ガラス製)を反応チ
ャンバ700の中のカソード電極703に取り付け、排気ポン
プ709により反応チャンバ700を充分排気し、不図示のイ
オンゲージで反応チャンバ700の中の真空度が10-6Torr
となるようにした。次に基板加熱用ヒーター704で基板7
01を300℃に加熱した。基板温度が一定になった後、バ
ルブ711,713を開け、マスフローコントローラー712を制
御して不図示のSiH4ガスボンベからSiH4ガス30sccmガス
を導入管710を介して反応チャンバ700の中に導入した。
同様にしてH2ガス300sccmを供給し、GeH4ガス1sccmを導
入した。反応チャンバ700の内圧を1.5Torrに保つように
不図示の圧力コントローラーを調整した後、高周波電源
707から20Wの高周波電力を投入し、マッチングボックス
706を調整することにより反射波を最小にしながらプラ
ズマ放電を60分間行い、非晶質シリコンゲルマニウム膜
を基板701上に1μm堆積した。ガス供給をやめ反応チ
ャンバ700から基板701を取り出し、試料No.をS−1と
した。同様にしてGeH4ガス量を5sccm,10sccm,20sccmと
変化させて試料を作製しそれぞれS−2,S−3,S−4とし
た。なお、sccmは標準状態(0℃、1気圧)に換算した
cm3/sで表わされた流量である。
これらの試料を構成する元素は、シリコンとゲルマニ
ウムと水素である。これらの試料の一部をオージェ電子
分光法により元素分析し、ゲルマニウムとシリコンの和
に対するゲルマニウム元素の割合すなわち組成比を求め
た。ここでは、ゲルマニウムとシリコンは半導体構成元
素である。さらに、試料の一部について、可視分光器を
用いて分光吸収係数を測定することにより、光学的バン
ドギャップEgoptを測定した。これらの結果を第1表に
示す。さらに、これらの試料の一部及び同様に作製した
試料について、不図示の電子ビーム真空蒸着装置(ULBA
C社製EBX−6D型)蒸着器に移し、該蒸着器内を真空に引
き、試料表面上にギャップ幅250μmで長さ1cmのCr電極
を1000Å堆積した。次に、これらの試料を温度制御可能
な試料台の上に設置し、25℃一定に保ちキセノンランプ
を光源とした疑似太陽光源(以下ソーラーシミュレータ
と呼ぶ)を用いて、AM−1.5の太陽光スペクトルの光を1
00mW/cm2の強度で連続照射したときの光伝導度σpの経
時的変化を測定した。光伝導度σpは、ヘリウムネオン
レーザー(波長632.8nm)の光を試料に照射して測定し
た。なお、AM値は太陽光の質を太陽の天頂距離に関連さ
せて表わした指標であり、標準的な大気の下で前記天頂
距離をZとしたとき、secZで表わされる。この結果を第
14図に示す。図において光伝導度σpの値は、初期値σ
p(0)で規格化されている。図に示されるように、ゲ
ルマニウム元素の組成比が多い膜は光劣化が少ないこと
が分かる。特に、ゲルマニウムの組成比が20atm%以上
であるものは、光照射に対して安定である。
ウムと水素である。これらの試料の一部をオージェ電子
分光法により元素分析し、ゲルマニウムとシリコンの和
に対するゲルマニウム元素の割合すなわち組成比を求め
た。ここでは、ゲルマニウムとシリコンは半導体構成元
素である。さらに、試料の一部について、可視分光器を
用いて分光吸収係数を測定することにより、光学的バン
ドギャップEgoptを測定した。これらの結果を第1表に
示す。さらに、これらの試料の一部及び同様に作製した
試料について、不図示の電子ビーム真空蒸着装置(ULBA
C社製EBX−6D型)蒸着器に移し、該蒸着器内を真空に引
き、試料表面上にギャップ幅250μmで長さ1cmのCr電極
を1000Å堆積した。次に、これらの試料を温度制御可能
な試料台の上に設置し、25℃一定に保ちキセノンランプ
を光源とした疑似太陽光源(以下ソーラーシミュレータ
と呼ぶ)を用いて、AM−1.5の太陽光スペクトルの光を1
00mW/cm2の強度で連続照射したときの光伝導度σpの経
時的変化を測定した。光伝導度σpは、ヘリウムネオン
レーザー(波長632.8nm)の光を試料に照射して測定し
た。なお、AM値は太陽光の質を太陽の天頂距離に関連さ
せて表わした指標であり、標準的な大気の下で前記天頂
距離をZとしたとき、secZで表わされる。この結果を第
14図に示す。図において光伝導度σpの値は、初期値σ
p(0)で規格化されている。図に示されるように、ゲ
ルマニウム元素の組成比が多い膜は光劣化が少ないこと
が分かる。特に、ゲルマニウムの組成比が20atm%以上
であるものは、光照射に対して安定である。
(参考実験2) 参考実験1と同様に第13図の装置を用いて、5cm角の
大きさのコーニング社製7059番ガラスによる基板701を3
00℃に加熱しておき、SiH4ガス30sccmの代わりにSiH2H6
ガス10sccm、H2ガスを100sccm、高周波電力を10Wとした
以外は実験1と全く同じ条件で非晶質シリコンゲルマニ
ウムを基板701上に堆積した試料S−5とした。次に、
前述と同様にGeH4ガス量を3sccm〜30sccmの範囲で変化
させて試料を作製しそれぞれS−6〜S−12とした。
大きさのコーニング社製7059番ガラスによる基板701を3
00℃に加熱しておき、SiH4ガス30sccmの代わりにSiH2H6
ガス10sccm、H2ガスを100sccm、高周波電力を10Wとした
以外は実験1と全く同じ条件で非晶質シリコンゲルマニ
ウムを基板701上に堆積した試料S−5とした。次に、
前述と同様にGeH4ガス量を3sccm〜30sccmの範囲で変化
させて試料を作製しそれぞれS−6〜S−12とした。
これらの試料の一部を針ステップ膜厚測定器を用いて
各々膜厚測定し、成膜速度を求め、さらに試料の一部に
ついて、可視分光器を用いて分光吸収係数を測定するこ
とにより、光学的バンドギャップを測定した。
各々膜厚測定し、成膜速度を求め、さらに試料の一部に
ついて、可視分光器を用いて分光吸収係数を測定するこ
とにより、光学的バンドギャップを測定した。
さらに、実験1と同様に試料の一部をオージェ電子分
光法により元素分析し、膜中のゲルマニウム元素のシリ
コンとゲルマニウムの和に対する比すなわち組成比を求
めた。
光法により元素分析し、膜中のゲルマニウム元素のシリ
コンとゲルマニウムの和に対する比すなわち組成比を求
めた。
以上の結果を第2表に示す。表に示されるように成膜
速度、光学バンドギャップ及びゲルマニウム組成比はGe
H4ガス流量に対して、相関関係にあることがわかる。
速度、光学バンドギャップ及びゲルマニウム組成比はGe
H4ガス流量に対して、相関関係にあることがわかる。
従来の素子構成においては、p型半導体層及び/また
はn型半導体層とイントリンシック層(i型半導体層)
との接合界面においてバンド幅の傾斜を持たせて内部電
界を向上させるいわゆるバッファ層を用いることにより
光起電力素子特性の向上を図っているが、このバッファ
層は、シリコンとゲルマニウムの組成比を連続的に変え
ることで、バンドギャップを約1.7eVから約1.5eVまで変
化させて作製していた。この時のゲルマニウムの組成比
は0から50atm%くらいまで変化している。また、シリ
コンとゲルマニウムの組成比を変化させることにより、
イントリンシック層中に組成の分布を設け特性を向上さ
せるいわゆる傾斜層を設ける場合でも、バンドギャップ
の広い組成を用いる場合には、ゲルマニウムの組成比が
20atm%以下の部分を含んでいた。このような光起電力
素子においては、上述したバッファ層や傾斜層の特徴が
充分にはいかされず、むしろゲルマニウムが少ないと劣
化しやすいという事実により、非晶質シリコンゲルマニ
ウム光起電力素子の特性が決められていたのが実状であ
る。
はn型半導体層とイントリンシック層(i型半導体層)
との接合界面においてバンド幅の傾斜を持たせて内部電
界を向上させるいわゆるバッファ層を用いることにより
光起電力素子特性の向上を図っているが、このバッファ
層は、シリコンとゲルマニウムの組成比を連続的に変え
ることで、バンドギャップを約1.7eVから約1.5eVまで変
化させて作製していた。この時のゲルマニウムの組成比
は0から50atm%くらいまで変化している。また、シリ
コンとゲルマニウムの組成比を変化させることにより、
イントリンシック層中に組成の分布を設け特性を向上さ
せるいわゆる傾斜層を設ける場合でも、バンドギャップ
の広い組成を用いる場合には、ゲルマニウムの組成比が
20atm%以下の部分を含んでいた。このような光起電力
素子においては、上述したバッファ層や傾斜層の特徴が
充分にはいかされず、むしろゲルマニウムが少ないと劣
化しやすいという事実により、非晶質シリコンゲルマニ
ウム光起電力素子の特性が決められていたのが実状であ
る。
本発明の素子構造によれば、i型半導体層中のゲルマ
ニウム元素の組成比を調整しバンドプロファイルを目的
の形状にすることにより、光劣化しやすい組成の非晶質
シリコンゲルマニウムを含む光起電力素子の初期効率を
向上させることも、可能である。
ニウム元素の組成比を調整しバンドプロファイルを目的
の形状にすることにより、光劣化しやすい組成の非晶質
シリコンゲルマニウムを含む光起電力素子の初期効率を
向上させることも、可能である。
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明す
る。
る。
第1図は本発明の一実施例の光起電力素子の構成を示
す模式断面図である。
す模式断面図である。
この光起電力素子は、非晶質半導体による光起電力素
子であって、基板101の上に、下部電極102、n型半導体
層103、i型半導体層104、p型半導体層105、透明電極1
06が順次積層されたものであり、さらに透明電極106の
上面に集電電極107が設けられている。i型半導体層104
を除く各部分の構成は、第11図により説明した従来の光
起電力素子と同様である。
子であって、基板101の上に、下部電極102、n型半導体
層103、i型半導体層104、p型半導体層105、透明電極1
06が順次積層されたものであり、さらに透明電極106の
上面に集電電極107が設けられている。i型半導体層104
を除く各部分の構成は、第11図により説明した従来の光
起電力素子と同様である。
まず、基板101について説明する。
各半導体層103,104,105は高々1μm程度の薄膜であ
るため適当な基板上に堆積される。このような基板101
は、単結晶もしくは単結晶でないものであってもよく、
さらにそれらは導電性のものであっても、また電気絶縁
性のものであってもよい。さらには、それらは透光性の
ものであっても、また非透光性のものであってもよい
が、変形、歪みが少なく、所望の強度を有するものであ
ることが好ましい。具体的にはFe,Ni,Cr,Al,Mo,Au,Nb,T
a,V,Ti,Pt,Pd,Pbなどの金属またはこれらの合金、例え
ば真ちゅう、ステンレス鋼などの薄板及びその複合体、
ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セル
ロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ
イミド、エポキシなどの耐熱性合成樹脂のフィルムまた
はシートあるいはこれらとグラスファイバー、カーボン
ファイバー、ホウ素ファイバー、金属繊維などとの複合
体などが挙げられる。さらに、これら金属の薄板、樹脂
シートなどの表面に異種材質の金属薄膜及び/またはSi
O2,Si3N4,Al2O3,AlNなどの絶縁性薄膜をスパッタ法、
蒸着法、メッキ法などにより表面コーティング処理を行
ったもの、及びガラス、セラミックスなどが挙げられ
る。
るため適当な基板上に堆積される。このような基板101
は、単結晶もしくは単結晶でないものであってもよく、
さらにそれらは導電性のものであっても、また電気絶縁
性のものであってもよい。さらには、それらは透光性の
ものであっても、また非透光性のものであってもよい
が、変形、歪みが少なく、所望の強度を有するものであ
ることが好ましい。具体的にはFe,Ni,Cr,Al,Mo,Au,Nb,T
a,V,Ti,Pt,Pd,Pbなどの金属またはこれらの合金、例え
ば真ちゅう、ステンレス鋼などの薄板及びその複合体、
ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セル
ロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ
イミド、エポキシなどの耐熱性合成樹脂のフィルムまた
はシートあるいはこれらとグラスファイバー、カーボン
ファイバー、ホウ素ファイバー、金属繊維などとの複合
体などが挙げられる。さらに、これら金属の薄板、樹脂
シートなどの表面に異種材質の金属薄膜及び/またはSi
O2,Si3N4,Al2O3,AlNなどの絶縁性薄膜をスパッタ法、
蒸着法、メッキ法などにより表面コーティング処理を行
ったもの、及びガラス、セラミックスなどが挙げられ
る。
前記基板を光起電力素子用の基板101として用いる場
合には、この帯状の基板が金属などの電気導電性のもの
である場合には直接電流取り出し用の電極としてもよい
し、合成樹脂などの電気絶縁性のものである場合には堆
積膜の形成される側の表面にAl,Ag,Pt,Au,Ni,Ti,Mo,W,F
e,V,Cr,Cu,ステンレス、真ちゅう、ニクロム、SnO2,In
2O3,ZnO,ITO(In2O3+SnO2)などのいわゆる金属単体ま
たは合金及び透明導電性酸化物(TCO)をメッキ、蒸
着、スパッタなどの方法で予め表面処理を行って電流取
り出し用の電極を形成しておくことが望ましい。
合には、この帯状の基板が金属などの電気導電性のもの
である場合には直接電流取り出し用の電極としてもよい
し、合成樹脂などの電気絶縁性のものである場合には堆
積膜の形成される側の表面にAl,Ag,Pt,Au,Ni,Ti,Mo,W,F
e,V,Cr,Cu,ステンレス、真ちゅう、ニクロム、SnO2,In
2O3,ZnO,ITO(In2O3+SnO2)などのいわゆる金属単体ま
たは合金及び透明導電性酸化物(TCO)をメッキ、蒸
着、スパッタなどの方法で予め表面処理を行って電流取
り出し用の電極を形成しておくことが望ましい。
もちろん、前記帯状の基板が金属などの電気導電性の
ものであっても、長波長光の基板表面上での反射率を向
上させたり、基板材質と堆積膜との間での構成元素の相
互拡散を防止するなどの目的で異種の金属層などを前記
基板上の堆積膜が形成される側に設けてもよい。また、
基板101が比較的透明であって、基板101の側から光入射
を行う層構成の光起電力素子とする場合には、前記透明
導電性酸化物や金属薄膜などの導電性薄膜を予め堆積形
成しておくことが望ましい。
ものであっても、長波長光の基板表面上での反射率を向
上させたり、基板材質と堆積膜との間での構成元素の相
互拡散を防止するなどの目的で異種の金属層などを前記
基板上の堆積膜が形成される側に設けてもよい。また、
基板101が比較的透明であって、基板101の側から光入射
を行う層構成の光起電力素子とする場合には、前記透明
導電性酸化物や金属薄膜などの導電性薄膜を予め堆積形
成しておくことが望ましい。
また、前記基板101の表面はいわゆる平滑面であって
も、微小の凹凸面であってもよい。
も、微小の凹凸面であってもよい。
微小の凹凸面とする場合にはその凹凸形状は半球状、
円錐状、角錐状などであって、かつその最大高さ(Rma
x)を好ましくは500Åないし5000Åとすることにより、
該表面での光反射が乱反射となり、該表面での反射光の
実質的な光路長の増大をもたらす。基板101の形状は、
用途により平滑表面あるいは凹凸表面の板状、長尺ベル
ト状、円筒状などであることができ、その厚さは、所望
通りの光起電力素子を形成し得るように適宜決定する
が、光起電力素子として可撓性が要求される場合、また
は基板101の側より光入射がなされる場合には、基板と
しての機能が充分発揮される範囲内で可能な限り薄くす
ることができる。しかしながら、基板の製造上及び取扱
い上、機械的強度などの点から、通常は厚さ10μm以上
とされる。
円錐状、角錐状などであって、かつその最大高さ(Rma
x)を好ましくは500Åないし5000Åとすることにより、
該表面での光反射が乱反射となり、該表面での反射光の
実質的な光路長の増大をもたらす。基板101の形状は、
用途により平滑表面あるいは凹凸表面の板状、長尺ベル
ト状、円筒状などであることができ、その厚さは、所望
通りの光起電力素子を形成し得るように適宜決定する
が、光起電力素子として可撓性が要求される場合、また
は基板101の側より光入射がなされる場合には、基板と
しての機能が充分発揮される範囲内で可能な限り薄くす
ることができる。しかしながら、基板の製造上及び取扱
い上、機械的強度などの点から、通常は厚さ10μm以上
とされる。
この光起電力素子においては、当該素子の構成形態に
より適宜の電極が選択使用される。それらの電極として
は、下部電極102、透明電極(上部電極)106、集電電極
107を挙げることができる。(ただし、ここでいう上部
電極とは光の入射側に設けられたものを示し、下部電極
102とは半導体層を挟んで上部電極106に対向して設けら
れたものを示すこととする。) これらの電極について以下に詳しく説明する。
より適宜の電極が選択使用される。それらの電極として
は、下部電極102、透明電極(上部電極)106、集電電極
107を挙げることができる。(ただし、ここでいう上部
電極とは光の入射側に設けられたものを示し、下部電極
102とは半導体層を挟んで上部電極106に対向して設けら
れたものを示すこととする。) これらの電極について以下に詳しく説明する。
下部電極102は、基板101とn型半導体層103との間に
設けられる。しかし基板101が導電性である場合には、
該基板101が下部電極を兼ねることができる。ただし、
基板101が導電性であってもシート抵抗値(表面抵抗
値)が高い場合には、電流取り出し用の低抵抗の電極と
して、あるいは基板面での反射率を高め入射光の有効利
用を図る目的で電極102を設置してもよい。
設けられる。しかし基板101が導電性である場合には、
該基板101が下部電極を兼ねることができる。ただし、
基板101が導電性であってもシート抵抗値(表面抵抗
値)が高い場合には、電流取り出し用の低抵抗の電極と
して、あるいは基板面での反射率を高め入射光の有効利
用を図る目的で電極102を設置してもよい。
電極材料としては、Ag,Au,Pt,Ni,Cr,Cu,Al,Ti,Zn,Mo,
Wなどの金属またはこれらの合金が挙げられ、これらの
金属の薄膜を真空蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリン
グなどで形成する。また、形成された金属薄膜は光起電
力素子の出力に対して抵抗成分とならぬように配慮され
ねばならず、シート抵抗値として好ましくは50Ω以下、
より好ましくは10Ω以下であることが望ましい。
Wなどの金属またはこれらの合金が挙げられ、これらの
金属の薄膜を真空蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリン
グなどで形成する。また、形成された金属薄膜は光起電
力素子の出力に対して抵抗成分とならぬように配慮され
ねばならず、シート抵抗値として好ましくは50Ω以下、
より好ましくは10Ω以下であることが望ましい。
下部電極102とn型半導体層103との間に、図示されて
いないが、導電性酸化亜鉛(ZnO)などからなる拡散防
止層を設けてもよい。該拡散防止層の効果としては、下
部電極102を構成する金属元素がn型半導体層103中へ拡
散するのを防止するのみならず、若干の抵抗値をもたせ
ることで、各半導体層を挟んで設けられた下部電極102
と透明電極106との間に発生するピンホールなどの欠陥
によるショートを防止すること、及び薄膜による多重干
渉を発生させ入射された光を光起電力素子内に閉じ込め
るなどを挙げることができる。
いないが、導電性酸化亜鉛(ZnO)などからなる拡散防
止層を設けてもよい。該拡散防止層の効果としては、下
部電極102を構成する金属元素がn型半導体層103中へ拡
散するのを防止するのみならず、若干の抵抗値をもたせ
ることで、各半導体層を挟んで設けられた下部電極102
と透明電極106との間に発生するピンホールなどの欠陥
によるショートを防止すること、及び薄膜による多重干
渉を発生させ入射された光を光起電力素子内に閉じ込め
るなどを挙げることができる。
透明電極(上部電極)106としては、太陽や白色蛍光
灯などからの光を半導体層内に効率よく吸収させるため
に、光の透過率が85%以上であることが望ましく、さら
に、電気的には光起電力素子の出力に対して抵抗成分と
ならぬようにシート抵抗値は100Ω以下であることが望
ましい。このような特性を備えた材料として、SnO2,In
2O3,ZnO,CdO,CdSnO4,ITO(In2O3+SnO2)などの金属酸
化物や、Au,Al,Cuなどの金属を極めて薄く半透明状に成
膜した金属薄膜などが挙げられる。透明電極106はp型
半導体層105層の上に積層されるが、この作製方法とし
ては、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム加熱蒸着法、スパッ
タリング法、スプレー法などを用いることができ、所望
に応じて適宜選択される。
灯などからの光を半導体層内に効率よく吸収させるため
に、光の透過率が85%以上であることが望ましく、さら
に、電気的には光起電力素子の出力に対して抵抗成分と
ならぬようにシート抵抗値は100Ω以下であることが望
ましい。このような特性を備えた材料として、SnO2,In
2O3,ZnO,CdO,CdSnO4,ITO(In2O3+SnO2)などの金属酸
化物や、Au,Al,Cuなどの金属を極めて薄く半透明状に成
膜した金属薄膜などが挙げられる。透明電極106はp型
半導体層105層の上に積層されるが、この作製方法とし
ては、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム加熱蒸着法、スパッ
タリング法、スプレー法などを用いることができ、所望
に応じて適宜選択される。
集電電極107は、透明電極106の表面抵抗値を低減させ
る目的で、透明電極106上に設けられる。電極材料とし
ては、Ag,Cr,Ni,Al,Au,Ti,Pt,Cu,Mo,Wなどの金属または
これらの合金の薄膜が挙げられる。これらの薄膜は積層
させて用いることができる。また、半導体層への入射光
量が充分に確保されるよう、その形状及び面積が適宜設
計される。例えば、その形状は光起電力素子の受光面に
対して一様に広がり、かつ受光面積に対してその面積は
好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下であるこ
とが望ましい。また、シート抵抗値としては、好ましく
は50Ω以下、より好ましくは10Ω以下であることが望ま
しい。
る目的で、透明電極106上に設けられる。電極材料とし
ては、Ag,Cr,Ni,Al,Au,Ti,Pt,Cu,Mo,Wなどの金属または
これらの合金の薄膜が挙げられる。これらの薄膜は積層
させて用いることができる。また、半導体層への入射光
量が充分に確保されるよう、その形状及び面積が適宜設
計される。例えば、その形状は光起電力素子の受光面に
対して一様に広がり、かつ受光面積に対してその面積は
好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下であるこ
とが望ましい。また、シート抵抗値としては、好ましく
は50Ω以下、より好ましくは10Ω以下であることが望ま
しい。
各半導体層103,104,105は通常の薄膜作製プロセスに
よって作製されるもので、蒸着法、スパッタ法、高周波
プラズマCVD法、マイクロ波プラズマCVD法、ECR(電子
サイクロトロン共鳴)法、熱CVD法、LPCVD(減圧CVD)
法など公知の方法を所望に応じて用いることにより作製
できる。工業的に採用されている方法としては、原料ガ
スをプラズマで分解し、基板上に堆積させるプラズマCV
D法が好んで用いられる。また、反応装置としては、バ
ッチ式の装置や連続成膜装置などが所望に応じて使用で
きる。価電子制御された半導体層(n型半導体層103、
p型半導体層105)を作製する場合は、りん(P)、ボ
ロン(B)などを構成原子として含むPH3,B2H6ガスな
どを同時に分解することにより行われる。
よって作製されるもので、蒸着法、スパッタ法、高周波
プラズマCVD法、マイクロ波プラズマCVD法、ECR(電子
サイクロトロン共鳴)法、熱CVD法、LPCVD(減圧CVD)
法など公知の方法を所望に応じて用いることにより作製
できる。工業的に採用されている方法としては、原料ガ
スをプラズマで分解し、基板上に堆積させるプラズマCV
D法が好んで用いられる。また、反応装置としては、バ
ッチ式の装置や連続成膜装置などが所望に応じて使用で
きる。価電子制御された半導体層(n型半導体層103、
p型半導体層105)を作製する場合は、りん(P)、ボ
ロン(B)などを構成原子として含むPH3,B2H6ガスな
どを同時に分解することにより行われる。
i型半導体層104は、シリコンとゲルマニウムとを含
む非晶質半導体からなり、n型半導体層103との界面側
からバッファ層111、ゲルマニウム含有層112、バッファ
層113とが順次積層された構造となっている。バッファ
層111,113は、i型半導体層104のそれぞれn型半導体層
103及びp型半導体層105との界面近傍の部分であり、い
ずれもバンドギャップ調整剤(すなわちゲルマニウム)
を含まない領域である。
む非晶質半導体からなり、n型半導体層103との界面側
からバッファ層111、ゲルマニウム含有層112、バッファ
層113とが順次積層された構造となっている。バッファ
層111,113は、i型半導体層104のそれぞれn型半導体層
103及びp型半導体層105との界面近傍の部分であり、い
ずれもバンドギャップ調整剤(すなわちゲルマニウム)
を含まない領域である。
一方、ゲルマニウム含有層112は、シリコンとゲルマ
ニウムとからなる層であり、ゲルマニウム含有量がn型
半導体層103からp型半導体層105に向かう方向に増加す
るようになっている。このゲルマニウム含有量の変化を
定量的に表わすと、シリコンとゲルマニウムは本発明で
いう半導体構成元素であるから、ゲルマニウム元素の含
有量をゲルマニウムとシリコンとの和に対する比、すな
わち組成比で表わした場合、n型半導体層103側の界面
でこの組成比が0であり、膜厚方向p型半導体層105側
に向かって、組成比が0.02〜0.10%/Å程度の割合で増
加するようになっている。このようなi型半導体層104
は、成膜時の原料ガスであるシリコン元素を含むガスと
ゲルマニウム元素を含むガスを分解させて形成され、上
述したゲルマニウム含有層112におけるゲルマニウム組
成比の変化は、前記ガスの流量比を変化させることによ
って達成される。もちろん、バッファ層111,113を形成
するときには、ゲルマニウム元素を含むガスは流さない
ようにしておく。
ニウムとからなる層であり、ゲルマニウム含有量がn型
半導体層103からp型半導体層105に向かう方向に増加す
るようになっている。このゲルマニウム含有量の変化を
定量的に表わすと、シリコンとゲルマニウムは本発明で
いう半導体構成元素であるから、ゲルマニウム元素の含
有量をゲルマニウムとシリコンとの和に対する比、すな
わち組成比で表わした場合、n型半導体層103側の界面
でこの組成比が0であり、膜厚方向p型半導体層105側
に向かって、組成比が0.02〜0.10%/Å程度の割合で増
加するようになっている。このようなi型半導体層104
は、成膜時の原料ガスであるシリコン元素を含むガスと
ゲルマニウム元素を含むガスを分解させて形成され、上
述したゲルマニウム含有層112におけるゲルマニウム組
成比の変化は、前記ガスの流量比を変化させることによ
って達成される。もちろん、バッファ層111,113を形成
するときには、ゲルマニウム元素を含むガスは流さない
ようにしておく。
i型半導体層104を構成する半導体材料として、非晶
質シリコンゲルマニウムのi層を作製する場合はa−Si
Ge:H,a−SiGe:F,a−SiGe:H:FなどのいわゆるIV族非晶質
合金系半導体材料が挙げられる。また、単位素子構成を
積層したタンデムセル構造において非晶質シリコンゲル
マニウム以外のi型半導体層を構成する半導体材料とし
ては、a−Si:H,a−Si:F,a−Si:H:F,a−SiC:H,a−SiC:
F,a−SiC:H:F,poly−Si:H,poly−Si:F,poly−Si:H:Fな
どのIV族及びIV族合金系半導体材料の他、III−V及びI
I−VI族の化合物半導体材料などが挙げられる。
質シリコンゲルマニウムのi層を作製する場合はa−Si
Ge:H,a−SiGe:F,a−SiGe:H:FなどのいわゆるIV族非晶質
合金系半導体材料が挙げられる。また、単位素子構成を
積層したタンデムセル構造において非晶質シリコンゲル
マニウム以外のi型半導体層を構成する半導体材料とし
ては、a−Si:H,a−Si:F,a−Si:H:F,a−SiC:H,a−SiC:
F,a−SiC:H:F,poly−Si:H,poly−Si:F,poly−Si:H:Fな
どのIV族及びIV族合金系半導体材料の他、III−V及びI
I−VI族の化合物半導体材料などが挙げられる。
CVD法に用いる原料ガスとしては、シリコン(Si)元
素を含む化合物として鎖状または環状シラン化合物が用
いられ、具体的には、例えば、SiH4,SiF4,(SiF2)5,
(SiF2)6,(SiF2)4,Si2F6,Si3F8,SiHF3,SiH2F2,Si2
H2F4,Si2H3F3,SiCl4,(SiCl2)5,SiBr4,(SiBr2)5,S
i2Cl6,SiHCl3,SiH2Br2,SiH2Cl2,Si2Cl3F3などの気
体または容易にガス化し得るものが挙げられる。
素を含む化合物として鎖状または環状シラン化合物が用
いられ、具体的には、例えば、SiH4,SiF4,(SiF2)5,
(SiF2)6,(SiF2)4,Si2F6,Si3F8,SiHF3,SiH2F2,Si2
H2F4,Si2H3F3,SiCl4,(SiCl2)5,SiBr4,(SiBr2)5,S
i2Cl6,SiHCl3,SiH2Br2,SiH2Cl2,Si2Cl3F3などの気
体または容易にガス化し得るものが挙げられる。
また、ゲルマニウム元素を含む化合物として、鎖状の
ゲルマンまたはハロゲン化ゲルマニウム、環状のゲルマ
ンまたはハロゲン化ゲルマニウム、鎖状または環状のゲ
ルマニウム化合物及びアルキル基などを有する有機ゲル
マニウム化合物、具体的には、GeH4,Ge2H6,Ge3H8,n−
Ge4H10,t−Ge4H10,Ge5H10,GeH3Cl,GeH2F2,Ge(CH3)4,
Ge(C2H5)4,Ge(C6H5)4,Ge(CH3)2F2,GeF4などが挙げられ
る。
ゲルマンまたはハロゲン化ゲルマニウム、環状のゲルマ
ンまたはハロゲン化ゲルマニウム、鎖状または環状のゲ
ルマニウム化合物及びアルキル基などを有する有機ゲル
マニウム化合物、具体的には、GeH4,Ge2H6,Ge3H8,n−
Ge4H10,t−Ge4H10,Ge5H10,GeH3Cl,GeH2F2,Ge(CH3)4,
Ge(C2H5)4,Ge(C6H5)4,Ge(CH3)2F2,GeF4などが挙げられ
る。
n型半導体層103またはp型半導体層105を構成する半
導体材料は、前述したi型半導体層104を構成する半導
体材料に価電子制御剤をドーピングすることによって得
られる。作製方法は、前述したi型半導体層104の作製
方法と同様の方法が好適に利用できる。また原料として
は、周期律表第IV族堆積膜を得る場合、p型半導体層10
5を得るための価電子制御剤としては周期律表第III族の
元素を含む化合物が用いられる。第III族の元素として
は、B,Al,Ga,Inが挙げられる。III族元素を含む化合物
としては、具体的には、BF3,B2H6,B4H10,B5H9,B5H
11,B6H10,B(CH3)3,B(C2H5)3,B6H12,AlX3,Al(CH3)2C
l,Al(CH3)3,Al(OCH3)2Cl,Al(CH3)Cl2,Al(C2H5)3,Al(OC2
H5)3,Al2(CH3)3Cl3,Al(i−C4H9)3,Al(C3H7)3,Al(OC4
H9)3,GaX3,Ga(OCH3)3,Ga(OC2H5)3,Ga(OC3H7)3,Ga(CH3)
3,Ga2H6,GaH(C2H5)2,Ga(OC2H5)(C2H5)2,In(CH3)3,In(C
3H7)3,In(C4H9)3などが挙げられる。ただしXは任意の
ハロゲン元素である。
導体材料は、前述したi型半導体層104を構成する半導
体材料に価電子制御剤をドーピングすることによって得
られる。作製方法は、前述したi型半導体層104の作製
方法と同様の方法が好適に利用できる。また原料として
は、周期律表第IV族堆積膜を得る場合、p型半導体層10
5を得るための価電子制御剤としては周期律表第III族の
元素を含む化合物が用いられる。第III族の元素として
は、B,Al,Ga,Inが挙げられる。III族元素を含む化合物
としては、具体的には、BF3,B2H6,B4H10,B5H9,B5H
11,B6H10,B(CH3)3,B(C2H5)3,B6H12,AlX3,Al(CH3)2C
l,Al(CH3)3,Al(OCH3)2Cl,Al(CH3)Cl2,Al(C2H5)3,Al(OC2
H5)3,Al2(CH3)3Cl3,Al(i−C4H9)3,Al(C3H7)3,Al(OC4
H9)3,GaX3,Ga(OCH3)3,Ga(OC2H5)3,Ga(OC3H7)3,Ga(CH3)
3,Ga2H6,GaH(C2H5)2,Ga(OC2H5)(C2H5)2,In(CH3)3,In(C
3H7)3,In(C4H9)3などが挙げられる。ただしXは任意の
ハロゲン元素である。
n型半導体層103を得るための価電子制御剤としては
周期律表第V族の元素を含む化合物が用いられる。第V
族の元素としては、P,N,As,Sbが挙げられる。第V族の
元素を含む化合物としては、具体的には、NH3HN3,N2H5
N3,N2H4,NH4N3,PX3,P(OCH3)3,P(OC2H5)3,P(C3H7)3,P
(OC4H9)3,P(CH3)3,P(C2H5)3,P(C3H7)3,P(C4H9)3,P(OC
H3)3,P(OC2H5)3,P(OC3H7)3,P(OC4H9)3,P(SCN)3,P
2H4,PH3,AsH3,AsX3,As(OCH3)3,As(OC2H5)3,As(OC
3H7)3,As(OC4H9)3,As(CH3)3,As(C2H5)3,As(C6H5)3,SbX
3,Sb(OCH3)3,Sb(OC2H5)3,Sb(OC3H7)3,Sb(OC4H9)3,Sb(CH
3)3,Sb(C3H7)3,Sb(C4H9)3などが挙げられる。ただしX
は任意のハロゲン元素である。
周期律表第V族の元素を含む化合物が用いられる。第V
族の元素としては、P,N,As,Sbが挙げられる。第V族の
元素を含む化合物としては、具体的には、NH3HN3,N2H5
N3,N2H4,NH4N3,PX3,P(OCH3)3,P(OC2H5)3,P(C3H7)3,P
(OC4H9)3,P(CH3)3,P(C2H5)3,P(C3H7)3,P(C4H9)3,P(OC
H3)3,P(OC2H5)3,P(OC3H7)3,P(OC4H9)3,P(SCN)3,P
2H4,PH3,AsH3,AsX3,As(OCH3)3,As(OC2H5)3,As(OC
3H7)3,As(OC4H9)3,As(CH3)3,As(C2H5)3,As(C6H5)3,SbX
3,Sb(OCH3)3,Sb(OC2H5)3,Sb(OC3H7)3,Sb(OC4H9)3,Sb(CH
3)3,Sb(C3H7)3,Sb(C4H9)3などが挙げられる。ただしX
は任意のハロゲン元素である。
もちろん、これらの原料ガスは1種であってもよい
が、2種またはそれ以上を併用してもよい。
が、2種またはそれ以上を併用してもよい。
前記した原料物質が常温、常圧下で気体状態である場
合にはマスフローコントローラー(以下MFC)などによ
って成膜空間への導入量を制御し、液体状態である場合
には、Ar,Heなどの希ガスまたは水素ガスをキャリアガ
スとして、必要に応じ温度制御が可能なバブラを用いて
ガス化し、また固体状態である場合には、Ar,Heなどの
希ガスまたは水素ガスをキャリアガスとして加熱昇華炉
を用いてガス化して、主にキャリアガス流量と炉温度に
より導入量を制御する。
合にはマスフローコントローラー(以下MFC)などによ
って成膜空間への導入量を制御し、液体状態である場合
には、Ar,Heなどの希ガスまたは水素ガスをキャリアガ
スとして、必要に応じ温度制御が可能なバブラを用いて
ガス化し、また固体状態である場合には、Ar,Heなどの
希ガスまたは水素ガスをキャリアガスとして加熱昇華炉
を用いてガス化して、主にキャリアガス流量と炉温度に
より導入量を制御する。
次に、この光起電力素子のバンドプロファイルについ
て説明する。
て説明する。
第2図(a)はこの光起電力素子のバンドプロファイ
ルを示した図である。光は図示左側から、すなわちp型
半導体層105側から入射するものとする。非晶質シリコ
ンゲルマニウム半導体では、ゲルマニウムの含有量を増
すことによりバンドギャップが狭くなるので、ゲルマニ
ウム含有層112のバッファ層113との界面付近でバンドギ
ャップは約1.30eVであり、バッファ層111,113との界面
付近でのバンドギャップは約1.70eVである。なお、本発
明においては、バッファ層111,113は必ずしも必要なも
のではなく、バッファ層111,113のいずれか一方を取り
除いた構成とすることができる。バッファ層111,113の
いずれか一方もしくは両方を取り除いた場合のバンドプ
ロファイルが第2図(b)〜(d)にそれぞれ示されて
いる。
ルを示した図である。光は図示左側から、すなわちp型
半導体層105側から入射するものとする。非晶質シリコ
ンゲルマニウム半導体では、ゲルマニウムの含有量を増
すことによりバンドギャップが狭くなるので、ゲルマニ
ウム含有層112のバッファ層113との界面付近でバンドギ
ャップは約1.30eVであり、バッファ層111,113との界面
付近でのバンドギャップは約1.70eVである。なお、本発
明においては、バッファ層111,113は必ずしも必要なも
のではなく、バッファ層111,113のいずれか一方を取り
除いた構成とすることができる。バッファ層111,113の
いずれか一方もしくは両方を取り除いた場合のバンドプ
ロファイルが第2図(b)〜(d)にそれぞれ示されて
いる。
次に、第2図(a)に示されたバンドプロファイルを
有する光起電力素子の機能について説明する。
有する光起電力素子の機能について説明する。
照射光はp型半導体層105の側から入射し、バッファ
層113、ゲルマニウム含有層112、バッファ層111におい
て光キャリヤーが発生する。バッファ層113はバンドギ
ャップが広いため波長の短い光のみを吸収し、波長の長
い光はここを透過するため、光起電力素子の内部まで光
が到達し、光を有効に利用することができる。もしここ
で、i型半導体層104のp型半導体層105との界面近傍を
非晶質シリコンゲルマニウムの膜で形成したとすると、
該膜の本質的な膜質が悪いことや、p層と非晶質シリコ
ンゲルマニウムとの格子間隔の不整合などのために再結
合準位が多くなり光起電力素子特性は悪化する。しか
し、p型半導体層105との界面近傍には、非晶質シリコ
ンからなるバッファ層113が設けられているので、再結
合準位が比較的少なく、pi界面で発生した高濃度のキャ
リヤーが再結合しないで有効に取り出せ、再結合準位が
少ないため開放電圧も大きくなり光電変換効率は向上す
る。また、バッファ層111はバッファ層113とほぼ同様の
機能を有する層でありni界面での格子の不整合などを緩
和する。
層113、ゲルマニウム含有層112、バッファ層111におい
て光キャリヤーが発生する。バッファ層113はバンドギ
ャップが広いため波長の短い光のみを吸収し、波長の長
い光はここを透過するため、光起電力素子の内部まで光
が到達し、光を有効に利用することができる。もしここ
で、i型半導体層104のp型半導体層105との界面近傍を
非晶質シリコンゲルマニウムの膜で形成したとすると、
該膜の本質的な膜質が悪いことや、p層と非晶質シリコ
ンゲルマニウムとの格子間隔の不整合などのために再結
合準位が多くなり光起電力素子特性は悪化する。しか
し、p型半導体層105との界面近傍には、非晶質シリコ
ンからなるバッファ層113が設けられているので、再結
合準位が比較的少なく、pi界面で発生した高濃度のキャ
リヤーが再結合しないで有効に取り出せ、再結合準位が
少ないため開放電圧も大きくなり光電変換効率は向上す
る。また、バッファ層111はバッファ層113とほぼ同様の
機能を有する層でありni界面での格子の不整合などを緩
和する。
さらに、このバンドプロファイルが光生成キャリヤー
の収集に対して与える効果については、以下のように説
明される。
の収集に対して与える効果については、以下のように説
明される。
i型半導体層104において光学的バンドギャップはp
型半導体層105側が大きく、n型半導体層103側が小さく
なるため大部分の光励起キャリアはp層側付近で発生す
る。この際ゲルマニウム含有層112中のバンドギャップ
の傾きが急峻すぎた場合、自由正孔に対して電界が大き
くなるように働くため、n層側付近で発生した自由正孔
はp型半導体層105に対して加速され有効に取り出され
るが、伝導帯の底のエネルギーはp層側で小さくn層側
で大きいため自由電子に対して電界が小さくなるように
働く。しかもi層中のゲルマニウム量が増加し膜質が落
ちるため、変換効率を向上させるためには薄膜化する必
要があり、シャント(短絡)する確率も増加する。次に
ゲルマニウム含有層112中のバンドギャップの傾きが緩
やかすぎた場合、i層中の伝導帯の底のエネルギーの傾
斜は緩やかになるため自由電子に対しては比較的電界が
大きくなるように働くものの、自由正孔に対してはi層
中価電子帯の頂上のエネルギーはp側とn側で比較的差
が少ないため自由正孔に対しては電界が小さくなるよう
に働き、さらにゲルマニウム量が少なくなるため、より
多い電流量を得ようとする場合には膜厚はより厚くなり
移動度の低い自由正孔に対して不利に働き、劣化率も大
きくなる。
型半導体層105側が大きく、n型半導体層103側が小さく
なるため大部分の光励起キャリアはp層側付近で発生す
る。この際ゲルマニウム含有層112中のバンドギャップ
の傾きが急峻すぎた場合、自由正孔に対して電界が大き
くなるように働くため、n層側付近で発生した自由正孔
はp型半導体層105に対して加速され有効に取り出され
るが、伝導帯の底のエネルギーはp層側で小さくn層側
で大きいため自由電子に対して電界が小さくなるように
働く。しかもi層中のゲルマニウム量が増加し膜質が落
ちるため、変換効率を向上させるためには薄膜化する必
要があり、シャント(短絡)する確率も増加する。次に
ゲルマニウム含有層112中のバンドギャップの傾きが緩
やかすぎた場合、i層中の伝導帯の底のエネルギーの傾
斜は緩やかになるため自由電子に対しては比較的電界が
大きくなるように働くものの、自由正孔に対してはi層
中価電子帯の頂上のエネルギーはp側とn側で比較的差
が少ないため自由正孔に対しては電界が小さくなるよう
に働き、さらにゲルマニウム量が少なくなるため、より
多い電流量を得ようとする場合には膜厚はより厚くなり
移動度の低い自由正孔に対して不利に働き、劣化率も大
きくなる。
一般に正孔よりも電子の走行性の方がよいため、電界
及び膜厚の影響は自由正孔に対して効果的に働く。一般
に光起電力素子特性は正孔の走行性に律速されるため、
正孔に対して電界が大きくなる構造とすると光起電力素
子特性は向上する。
及び膜厚の影響は自由正孔に対して効果的に働く。一般
に光起電力素子特性は正孔の走行性に律速されるため、
正孔に対して電界が大きくなる構造とすると光起電力素
子特性は向上する。
しかし、膜厚や膜質の効果まで考慮にいれた場合、適
正なバンドギャップのプロファイルが存在する。
正なバンドギャップのプロファイルが存在する。
上述した第2図(a)〜(b)で示されるようなバン
ドファイルの素子構造を用いることにより、高効率で信
頼性の高い光起電力素子が作製できる。
ドファイルの素子構造を用いることにより、高効率で信
頼性の高い光起電力素子が作製できる。
次に、本発明の光起電力素子の実施例について、さら
に詳しく、具体的数値を挙げて説明する。なお、本発明
は、これらの実施例により、何ら限定されるものではな
い。
に詳しく、具体的数値を挙げて説明する。なお、本発明
は、これらの実施例により、何ら限定されるものではな
い。
(実施例1) 第1図に示すpin型ヘテロ接合による光起電力素子を
第3図に示す堆積膜形成装置により作製した。
第3図に示す堆積膜形成装置により作製した。
まず、使用した堆積膜形成装置について説明する。
この堆積膜形成装置は、複数の成膜室が直列に連結さ
れたものであり、連結された成膜室のうち先頭のものが
成膜室501であって、先頭の成膜室501には、導入用のロ
ードロック室513が接続され、最後尾のものには取り出
し用のロードロック室(不図示)が接続されている。各
成膜室は同一の構成であって、成膜室501には成膜室502
が隣接している。各成膜室間や、成膜室とロードロック
室との間は、ゲートバルブ507により開閉自在に仕切ら
れている。
れたものであり、連結された成膜室のうち先頭のものが
成膜室501であって、先頭の成膜室501には、導入用のロ
ードロック室513が接続され、最後尾のものには取り出
し用のロードロック室(不図示)が接続されている。各
成膜室は同一の構成であって、成膜室501には成膜室502
が隣接している。各成膜室間や、成膜室とロードロック
室との間は、ゲートバルブ507により開閉自在に仕切ら
れている。
光起電力素子の基板101は、基板搬送用のカセット503
に下向きに保持されるようになっている。基板搬送用カ
セット503は、各成膜室及び各ロードロック室に設けら
れた基板搬送手段506によって、基板101を保持したま
ま、各成膜室及び各ロードロック室間を移動できるよう
になっている。また、基板搬送用カセット503は、導電
性の部材からなり、成膜室内にあるときには接地され、
高周波プラズマCVDのための高周波放電のカソード電極
として作動する。
に下向きに保持されるようになっている。基板搬送用カ
セット503は、各成膜室及び各ロードロック室に設けら
れた基板搬送手段506によって、基板101を保持したま
ま、各成膜室及び各ロードロック室間を移動できるよう
になっている。また、基板搬送用カセット503は、導電
性の部材からなり、成膜室内にあるときには接地され、
高周波プラズマCVDのための高周波放電のカソード電極
として作動する。
成膜室の構造の詳細について、成膜室501により説明
する。
する。
成膜室501は、排気バルブ514を介して排気ポンプ515
に接続されることによって排気可能であり、また、ガス
ボンベなどの図示しないガス供給源に対してマスフロー
コントローラ(不図示)を介して接続されたガス導入管
508,509が接続されている。前記マスフローコントロー
ラ(不図示)はマイクロコンピュータによって制御さ
れ、瞬時にガスの流量を変化させ得るものである。典型
的には、このマスフローコントローラは、設定流量の変
化に対し、1秒以内で新しい設定流量にオーバーシュー
トを伴わずに到達する。設定流量に対する現実の流量の
誤差は±2%以内であった。成膜室501内の圧力は、成
膜室501に取り付けられた圧力計517によって測定され
る。
に接続されることによって排気可能であり、また、ガス
ボンベなどの図示しないガス供給源に対してマスフロー
コントローラ(不図示)を介して接続されたガス導入管
508,509が接続されている。前記マスフローコントロー
ラ(不図示)はマイクロコンピュータによって制御さ
れ、瞬時にガスの流量を変化させ得るものである。典型
的には、このマスフローコントローラは、設定流量の変
化に対し、1秒以内で新しい設定流量にオーバーシュー
トを伴わずに到達する。設定流量に対する現実の流量の
誤差は±2%以内であった。成膜室501内の圧力は、成
膜室501に取り付けられた圧力計517によって測定され
る。
また、成膜室501には、上述のように基板搬送手段506
が設けられ、基板搬送手段506によって搬送されて成膜
室501内のほぼ中央位置に移動してきた基板搬送カセッ
ト503に対向する位置に、マッチングボックス511を介し
て高周波電源510の一端に接続されたアノード電極512が
設けられている。高周波電源510の他端は接地されてい
る。このとき、上述のように基板搬送カセット503は接
地されてカソード電極として動作するので、成膜室501
内を減圧にして所定のガスを導入し、高周波電源510を
作動させることにより、成膜室501内で高周波プラズマ
放電が発生する。
が設けられ、基板搬送手段506によって搬送されて成膜
室501内のほぼ中央位置に移動してきた基板搬送カセッ
ト503に対向する位置に、マッチングボックス511を介し
て高周波電源510の一端に接続されたアノード電極512が
設けられている。高周波電源510の他端は接地されてい
る。このとき、上述のように基板搬送カセット503は接
地されてカソード電極として動作するので、成膜室501
内を減圧にして所定のガスを導入し、高周波電源510を
作動させることにより、成膜室501内で高周波プラズマ
放電が発生する。
さらに、成膜室501内の前記ほぼ中央位置に移動して
きた基板保持カセット503に保持された基板101を加熱す
るため、ヒータ505が設けられ、前記加熱の状況は熱電
対504によってモニタされるようになっている。
きた基板保持カセット503に保持された基板101を加熱す
るため、ヒータ505が設けられ、前記加熱の状況は熱電
対504によってモニタされるようになっている。
次に成膜方法について説明する。
まず、表面を鏡面研磨し最大表面高さ(Rmax)を0.05
μm以下とした50mm×50mmの大きさのステンレス(SUS3
04)製の基板101を不図示のスパッタリング装置内に入
れ、該装置内を10-5Torr以下に真空排気した後、Arをス
パッタ用ガスとして用い、前記基板101上に下部電極102
(第1図)となる約1000Åの厚さのAg薄膜を堆積した。
この基板101を取り出し、ロードロック室513内にある基
板搬送手段506上の基板搬送カセット503上に、下部電極
102の堆積された面を第3図に示すように下側に向けて
固定し、ロードロック室513内を不図示の排気ポンプで1
0-5Torr以下の圧力に真空排気した。この間、成膜室501
は排気ポンプ515により10-5Torr以下の圧力に排気され
ている。両室に圧力がほぼ等しくなった時点で両者を仕
切るゲートバルブ507を開け、基板搬送手段506を用いて
基板搬送カセット503を成膜室501内に移動し再び前記ゲ
ートバルブ507を閉じた。
μm以下とした50mm×50mmの大きさのステンレス(SUS3
04)製の基板101を不図示のスパッタリング装置内に入
れ、該装置内を10-5Torr以下に真空排気した後、Arをス
パッタ用ガスとして用い、前記基板101上に下部電極102
(第1図)となる約1000Åの厚さのAg薄膜を堆積した。
この基板101を取り出し、ロードロック室513内にある基
板搬送手段506上の基板搬送カセット503上に、下部電極
102の堆積された面を第3図に示すように下側に向けて
固定し、ロードロック室513内を不図示の排気ポンプで1
0-5Torr以下の圧力に真空排気した。この間、成膜室501
は排気ポンプ515により10-5Torr以下の圧力に排気され
ている。両室に圧力がほぼ等しくなった時点で両者を仕
切るゲートバルブ507を開け、基板搬送手段506を用いて
基板搬送カセット503を成膜室501内に移動し再び前記ゲ
ートバルブ507を閉じた。
次に、ヒーター505にて基板101の表面温度が200℃と
なるように加熱を行った。基板温度が安定した時点で、
不図示のボンベに貯蔵されたSi2H6ガス10sccmとPH3ガス
(水素ガスにて1%希釈)12sccm及びH2ガス300sccmを
混合しつつ、ガス導入管508,509より導入した。次い
で、排気バルブ514の開度を調節し、成膜室501の内圧を
1.5Torrに保った。高周波電源510はマチングボックス51
1を介してアノード電極512に接続されており、前記高周
波電源510より13.56MHzの高周波電力20Wを直ちに投入す
ることにより、アモルファスn型Si:H膜からなるn型半
導体層103の成膜が開始される。
なるように加熱を行った。基板温度が安定した時点で、
不図示のボンベに貯蔵されたSi2H6ガス10sccmとPH3ガス
(水素ガスにて1%希釈)12sccm及びH2ガス300sccmを
混合しつつ、ガス導入管508,509より導入した。次い
で、排気バルブ514の開度を調節し、成膜室501の内圧を
1.5Torrに保った。高周波電源510はマチングボックス51
1を介してアノード電極512に接続されており、前記高周
波電源510より13.56MHzの高周波電力20Wを直ちに投入す
ることにより、アモルファスn型Si:H膜からなるn型半
導体層103の成膜が開始される。
n型半導体層103が厚さ200Åにわたって形成された
ら、ガスの導入と高周波電力の供給を停止し、排気ポン
プ515により成膜室501内を10-5Torr以下に排気した。な
お、このとき、成膜室501に隣接する成膜室502内も10-5
Torr以下に排気しておいた。
ら、ガスの導入と高周波電力の供給を停止し、排気ポン
プ515により成膜室501内を10-5Torr以下に排気した。な
お、このとき、成膜室501に隣接する成膜室502内も10-5
Torr以下に排気しておいた。
次に、基板101を基板搬送カセット503ごと基板搬送手
段506により成膜室501から成膜室502に移動させた。成
膜室502は、i型半導体層104を成膜するためのものであ
る。成膜室501と成膜室502とはゲートバルブ507によっ
て仕切られ、基板101を搬送するときのみゲートバルブ
を開放することにより、i型半導体層104へのn型不純
物の混入を防ぐことができる。
段506により成膜室501から成膜室502に移動させた。成
膜室502は、i型半導体層104を成膜するためのものであ
る。成膜室501と成膜室502とはゲートバルブ507によっ
て仕切られ、基板101を搬送するときのみゲートバルブ
を開放することにより、i型半導体層104へのn型不純
物の混入を防ぐことができる。
上述と同様にに基板101を加熱し、基板温度が安定し
たら、成膜室502内にSi2H6ガスを10sccm、H2ガスを100s
ccm導入し、20秒間にわたって12Wの高周波電力(13.56M
Hz)を投入して、n型半導体層103の上に厚さ50Åのア
モルファスi型Si:Hからなるバッファ層111を形成し
た。
たら、成膜室502内にSi2H6ガスを10sccm、H2ガスを100s
ccm導入し、20秒間にわたって12Wの高周波電力(13.56M
Hz)を投入して、n型半導体層103の上に厚さ50Åのア
モルファスi型Si:Hからなるバッファ層111を形成し
た。
引き続き、Si2H6ガス、H2ガスを導入し、高周波電力
を投入しながら、マスクフローコントローラ(不図示)
を制御することにより成膜室502内にGeH4ガスを導入し
て、アモルファスi型SiGe:Hからなる厚さ1000Åのゲル
マニウム含有層112を形成した。この場合、ゲルマニウ
ム含有層112の成膜中、GeH4ガスの流量を変化させるこ
とにより、ゲルマニウム含有層112中のゲルマニウムの
含有量がn型半導体層103側から後述するp型半導体層1
05側に向かう方向に増加するようにした。
を投入しながら、マスクフローコントローラ(不図示)
を制御することにより成膜室502内にGeH4ガスを導入し
て、アモルファスi型SiGe:Hからなる厚さ1000Åのゲル
マニウム含有層112を形成した。この場合、ゲルマニウ
ム含有層112の成膜中、GeH4ガスの流量を変化させるこ
とにより、ゲルマニウム含有層112中のゲルマニウムの
含有量がn型半導体層103側から後述するp型半導体層1
05側に向かう方向に増加するようにした。
ゲルマニウム含有層112の成膜についてより詳細に述
べると、ゲルマニウム含有層112の成膜開始時にはGeH4
ガスの流量を0とし、ゲルマニウム含有層112の成膜の
進行に伴ってGeH4ガスの流量が増加するようにマスフロ
ーコントローラを制御した。この場合、上述の参考実験
の結果から、GeH4ガスの流量と成膜される膜中のゲルマ
ニウム組成比(シリコンとゲルマニウムの和に対するゲ
ルマニウム元素の含有量の比)がわかっているから、膜
厚方向の組成比が一定の割合で増加するように、マイク
ロコンピュータによってGeH4ガスの流量を制御した。膜
厚方向の位置とゲルマニウム組成比の関係を模式的に示
したものが第4図である。そしてゲルマニウム含有層11
2の膜厚が所定の厚さ(ここでは1000Å)に達したら、
直ちにGeH4ガスの導入を中止してゲルマニウム含有層11
2の成膜を終了した。ゲルマニウム含有層112の膜厚が前
記所定の厚さに達した瞬間すなわちゲルマニウム含有層
112の成膜を終了する直前のGeH4ガスの流量は1sccmであ
った。また、ゲルマニウム含有層112の成膜時間は8分
であった。また、GeH4ガスの導入を中止する場合、瞬間
的にGeH4ガスの流量を0にする必要があるので、マスフ
ローコントローラ(不図示)に予め電磁弁を直列に接続
しておき、この電磁弁を閉じるようにした。
べると、ゲルマニウム含有層112の成膜開始時にはGeH4
ガスの流量を0とし、ゲルマニウム含有層112の成膜の
進行に伴ってGeH4ガスの流量が増加するようにマスフロ
ーコントローラを制御した。この場合、上述の参考実験
の結果から、GeH4ガスの流量と成膜される膜中のゲルマ
ニウム組成比(シリコンとゲルマニウムの和に対するゲ
ルマニウム元素の含有量の比)がわかっているから、膜
厚方向の組成比が一定の割合で増加するように、マイク
ロコンピュータによってGeH4ガスの流量を制御した。膜
厚方向の位置とゲルマニウム組成比の関係を模式的に示
したものが第4図である。そしてゲルマニウム含有層11
2の膜厚が所定の厚さ(ここでは1000Å)に達したら、
直ちにGeH4ガスの導入を中止してゲルマニウム含有層11
2の成膜を終了した。ゲルマニウム含有層112の膜厚が前
記所定の厚さに達した瞬間すなわちゲルマニウム含有層
112の成膜を終了する直前のGeH4ガスの流量は1sccmであ
った。また、ゲルマニウム含有層112の成膜時間は8分
であった。また、GeH4ガスの導入を中止する場合、瞬間
的にGeH4ガスの流量を0にする必要があるので、マスフ
ローコントローラ(不図示)に予め電磁弁を直列に接続
しておき、この電磁弁を閉じるようにした。
ゲルマニム含有層112の成膜が終了したら、引き続きS
i2H6ガス、H2ガスの導入と高周波電力の投入を20秒間に
わたって行い、ゲルマニウム含有層112の上に厚さ50Å
のアモルファスi型Si:Hからなるバッファ層113を形成
した。バッファ層113の形成が終了したらガスと高周波
電力の供給を停止し、成膜室502内を10-5Torr以下に排
気した。
i2H6ガス、H2ガスの導入と高周波電力の投入を20秒間に
わたって行い、ゲルマニウム含有層112の上に厚さ50Å
のアモルファスi型Si:Hからなるバッファ層113を形成
した。バッファ層113の形成が終了したらガスと高周波
電力の供給を停止し、成膜室502内を10-5Torr以下に排
気した。
なお、i型半導体層104すなわちバッファ層111、ゲル
マニウム含有層112、バッファ層113を成膜していると
き、成膜室502内の圧力が1.1Torrで安定するように制御
した。
マニウム含有層112、バッファ層113を成膜していると
き、成膜室502内の圧力が1.1Torrで安定するように制御
した。
次に、成膜室502に隣接し、かつ予め10-5Torr以下に
排気された成膜室(不図示)に、基板101を基板搬送カ
セット503に保持したまま基板搬送手段506により搬送し
た。この成膜室はp型半導体層105を形成するためのも
のである。基板101を230℃に加熱し、基板温度が安定し
たら、SiH4ガス5sccm、BF3ガス(水素ガスにて2%希
釈)5sccm、H2ガス300sccmをこの成膜室に導入して内圧
が1.5Torrに保たれるようにし、150Wの高周波電力を投
入して厚さ100Åの微結晶p型Siからなるp型半導体層1
05をバッファ層113の上に形成した。
排気された成膜室(不図示)に、基板101を基板搬送カ
セット503に保持したまま基板搬送手段506により搬送し
た。この成膜室はp型半導体層105を形成するためのも
のである。基板101を230℃に加熱し、基板温度が安定し
たら、SiH4ガス5sccm、BF3ガス(水素ガスにて2%希
釈)5sccm、H2ガス300sccmをこの成膜室に導入して内圧
が1.5Torrに保たれるようにし、150Wの高周波電力を投
入して厚さ100Åの微結晶p型Siからなるp型半導体層1
05をバッファ層113の上に形成した。
p型半導体層105が形成されたら、不図示の取り出し
用ロードロック室を経て、nip型半導体層の形成された
基板101を取り出した。
用ロードロック室を経て、nip型半導体層の形成された
基板101を取り出した。
この基板101をInとSnの金属粒が重量比1:1で充填され
た蒸着用ボートがセットされた真空蒸着装置に装着し、
該装置を10-5Torr以下に真空排気した後、抵抗加熱法に
より1×10-3Torr程度の酸素雰囲気中で透明電極106と
してITO薄膜(In2O3−SnO2)を約700Åの厚さでp型半
導体層105の上に蒸着した。このときの基板温度は170℃
とした。冷却後、この基板101を取り出し、透明電極106
の上面に集電電極パターン形成用パーマロイ製マスクを
密着させ、真空蒸着装置に入れ、10-5Torr以下に真空排
気した後、抵抗加熱法によりAgを厚さ約0.8μm蒸着
し、櫛形状の集電電極107を25個形成し、各々サブセル
として個別に評価できるようにした。
た蒸着用ボートがセットされた真空蒸着装置に装着し、
該装置を10-5Torr以下に真空排気した後、抵抗加熱法に
より1×10-3Torr程度の酸素雰囲気中で透明電極106と
してITO薄膜(In2O3−SnO2)を約700Åの厚さでp型半
導体層105の上に蒸着した。このときの基板温度は170℃
とした。冷却後、この基板101を取り出し、透明電極106
の上面に集電電極パターン形成用パーマロイ製マスクを
密着させ、真空蒸着装置に入れ、10-5Torr以下に真空排
気した後、抵抗加熱法によりAgを厚さ約0.8μm蒸着
し、櫛形状の集電電極107を25個形成し、各々サブセル
として個別に評価できるようにした。
以上のようにして作製された光起電力素子を試料A1−
1とした。
1とした。
次に、ゲルマニウム含有層112の成膜終了直前におけ
るGeH4ガスの流量がそれぞれ3,4,5,10,20,25,30sccmと
し、他は試料A1−1と同様にして、試料A1−2〜A1−8
までを作製した。もちろん、試料A1−2〜A1−8のそれ
ぞれのゲルマニウム含有層112のゲルマニウム組成比の
膜厚方向への変化は、試料A1−1と同様に、ゲルマニウ
ム含有層112のn型半導体層103側の界面からp型半導体
層105側に向かって直線的に増加している。
るGeH4ガスの流量がそれぞれ3,4,5,10,20,25,30sccmと
し、他は試料A1−1と同様にして、試料A1−2〜A1−8
までを作製した。もちろん、試料A1−2〜A1−8のそれ
ぞれのゲルマニウム含有層112のゲルマニウム組成比の
膜厚方向への変化は、試料A1−1と同様に、ゲルマニウ
ム含有層112のn型半導体層103側の界面からp型半導体
層105側に向かって直線的に増加している。
試料A1−1〜A1−8について、ゲルマニウム含有層11
2のゲルマニウム元素の分布をオージェ電子分光法で調
べた。その結果を膜厚方向のゲルマニウム組成比の変化
で表わしたものが第5図である。
2のゲルマニウム元素の分布をオージェ電子分光法で調
べた。その結果を膜厚方向のゲルマニウム組成比の変化
で表わしたものが第5図である。
次に、光起電力素子の試料A1−1〜A1−8のそれぞれ
について、透明電極106の側からソーラーシミュレータ
によりAM値が1.5の太陽光(100mW/cm2)を照射し、光起
電力素子の各々のサブセルについて光電変換効率ηと光
電流の値を求めた。このときシャント(短絡)している
ために光電変換効率が求められないサブセルがあればそ
のサブセルの個数を求めて、1個の光起電力素子に含ま
れるサブセル(25個)のうちシャントしているサブセル
の割合であるシャント率を算出した。すなわち、シャン
ト率4%は25個のサブセル中1個がシャントしていたこ
とを示す。さらに、照射光の波長別に光キャリアの収集
効率を求め、収集効率曲線を得た。
について、透明電極106の側からソーラーシミュレータ
によりAM値が1.5の太陽光(100mW/cm2)を照射し、光起
電力素子の各々のサブセルについて光電変換効率ηと光
電流の値を求めた。このときシャント(短絡)している
ために光電変換効率が求められないサブセルがあればそ
のサブセルの個数を求めて、1個の光起電力素子に含ま
れるサブセル(25個)のうちシャントしているサブセル
の割合であるシャント率を算出した。すなわち、シャン
ト率4%は25個のサブセル中1個がシャントしていたこ
とを示す。さらに、照射光の波長別に光キャリアの収集
効率を求め、収集効率曲線を得た。
変換効率、光電流、シャント率についての結果を第3
表に示す。この表中GeH4流量(sccm)はゲルマニウム含
有層112の成膜終了直前におけるGeH4ガスの流量であ
り、変換効率、光電流は、サブセルごとに求めたものの
平均(シャントしていたサブセルも含めて算出)を試料
A1−1における変換効率、光電流を1.0とした相対値で
表示してある。また、Ge組成比の変化率の欄は、ゲルマ
ニウム組成比の変化の大きさを膜厚方向への変化率で表
示したものである。参考のため、後述する比較例による
試料C−1でのこれらの値も合わせて記載した。
表に示す。この表中GeH4流量(sccm)はゲルマニウム含
有層112の成膜終了直前におけるGeH4ガスの流量であ
り、変換効率、光電流は、サブセルごとに求めたものの
平均(シャントしていたサブセルも含めて算出)を試料
A1−1における変換効率、光電流を1.0とした相対値で
表示してある。また、Ge組成比の変化率の欄は、ゲルマ
ニウム組成比の変化の大きさを膜厚方向への変化率で表
示したものである。参考のため、後述する比較例による
試料C−1でのこれらの値も合わせて記載した。
以上の結果より、ゲルマニウム含有層112中のゲルマ
ニウムの組成比の膜厚方向への変化率が0.02〜0.10(%
/Å)であれば(試料A1−3〜A1−8)、変換効率、光
電流の少なくとも一方が、1.0以上であり、光起電力素
子として良好なものであることがわかった。また、第5
図と第4表の結果を比較することにより、ゲルマニウム
含有層112のp型半導体層105側の界面でのゲルマニウム
の組成比が20〜70原子%の範囲であれば、良好な光起電
力素子となることもわかった。
ニウムの組成比の膜厚方向への変化率が0.02〜0.10(%
/Å)であれば(試料A1−3〜A1−8)、変換効率、光
電流の少なくとも一方が、1.0以上であり、光起電力素
子として良好なものであることがわかった。また、第5
図と第4表の結果を比較することにより、ゲルマニウム
含有層112のp型半導体層105側の界面でのゲルマニウム
の組成比が20〜70原子%の範囲であれば、良好な光起電
力素子となることもわかった。
なお、ゲルマニウム元素が増加すると、光吸収量が増
すため、膜厚は薄くても充分な特性が得られると期待さ
れたものの、シャントが多発し、それに伴い変換効率は
悪化した。
すため、膜厚は薄くても充分な特性が得られると期待さ
れたものの、シャントが多発し、それに伴い変換効率は
悪化した。
(比較例1) 実施例1と同様であるが、実施例1のゲルマニウム含
有層112に相当する層において、ゲルマニウムが均一に
含有された光起電力素子を作成した。
有層112に相当する層において、ゲルマニウムが均一に
含有された光起電力素子を作成した。
まず、この光起電力素子の製造方法について説明す
る。
る。
実施例1と同様に表面を鏡面研磨した。50mm×50mmの
大きさのステンレス(SUS304)製の基板上に、実施例1
と同様に下部電極と、n型半導体層を形成した。
大きさのステンレス(SUS304)製の基板上に、実施例1
と同様に下部電極と、n型半導体層を形成した。
次に、n型半導体層を成膜するための成膜室からi型
半導体層を成膜するための成膜室へ、真空を破らないま
まで、この基板を移動させ、基板表面を200℃に加熱し
ながら、Si2H6ガス10sccm、H2ガス100sccmを導入し、12
Wの高周波電力を投入して20秒間成膜を行うことによ
り、厚さ50Åの非晶質i型Si:Hからなるバッファ層をn
型半導体層上に形成した。
半導体層を成膜するための成膜室へ、真空を破らないま
まで、この基板を移動させ、基板表面を200℃に加熱し
ながら、Si2H6ガス10sccm、H2ガス100sccmを導入し、12
Wの高周波電力を投入して20秒間成膜を行うことによ
り、厚さ50Åの非晶質i型Si:Hからなるバッファ層をn
型半導体層上に形成した。
引き続き、Si2H6ガス、H2ガスを導入し、高周波電力
を投入しながら、さらにGeH4ガス1sccmを導入して8分
間成膜を行い、厚さ1000Åの非晶質i型SiGeからなる層
を形成した。この層の成膜中、GeH4ガスの流量は一定で
あるので、この層中のゲルマニウム元素の分布は一様で
ある。この層の成膜が終了したらGeH4ガスの導入を中止
し、Si2H6ガスとH2ガスのみを導入して20秒間成膜を行
い、厚さ50Åの非晶質i型Si:Hからなるバッファ層を成
膜し、i型半導体層の成膜を終了した。成膜時の圧力は
1.1Torrであった。
を投入しながら、さらにGeH4ガス1sccmを導入して8分
間成膜を行い、厚さ1000Åの非晶質i型SiGeからなる層
を形成した。この層の成膜中、GeH4ガスの流量は一定で
あるので、この層中のゲルマニウム元素の分布は一様で
ある。この層の成膜が終了したらGeH4ガスの導入を中止
し、Si2H6ガスとH2ガスのみを導入して20秒間成膜を行
い、厚さ50Åの非晶質i型Si:Hからなるバッファ層を成
膜し、i型半導体層の成膜を終了した。成膜時の圧力は
1.1Torrであった。
次に、実施例1と同様に、p型半導体層、透明電極、
集電電極を形成し、光起電力素子を完成させた。この光
起電力素子を試料C−1とする。
集電電極を形成し、光起電力素子を完成させた。この光
起電力素子を試料C−1とする。
さらにi型半導体層中の非晶質i型SiGeからなる層を
成膜するときのGeH4ガスの流量をそれぞれ3,4,5,10,20,
25,30sccmとして試料C−2〜C−8までの各光起電力
素子を同様に作製した。
成膜するときのGeH4ガスの流量をそれぞれ3,4,5,10,20,
25,30sccmとして試料C−2〜C−8までの各光起電力
素子を同様に作製した。
試料C−1〜C−8について、実施例1と同様に、変
換効率、シャント率、収集効率を測定した。その結果に
ついて第4表に示す。表中、GeH4流量は、上述の非晶質
i型SiGeからなる層を成膜したときのGeH4ガスの流量で
あり、収集効率は800nmでの値である。変換効率と収集
効率とは、試料C−1における値を1.0とした相対値で
表示してある。
換効率、シャント率、収集効率を測定した。その結果に
ついて第4表に示す。表中、GeH4流量は、上述の非晶質
i型SiGeからなる層を成膜したときのGeH4ガスの流量で
あり、収集効率は800nmでの値である。変換効率と収集
効率とは、試料C−1における値を1.0とした相対値で
表示してある。
この結果より、GeH4ガスの流量が、Si2H6ガスの流量1
0sccmに対して、4〜20sccmの範囲にあるとき、変換効
率が大きくなることがわかる。上述の参考実験と非晶質
i型SiGeからなる層の成膜条件は同一であるから、この
参考実験と比較すると、ゲルマニウムの組成比として22
〜67原子%の範囲にあれば変換効率が良好な値を示すこ
とがわかる。
0sccmに対して、4〜20sccmの範囲にあるとき、変換効
率が大きくなることがわかる。上述の参考実験と非晶質
i型SiGeからなる層の成膜条件は同一であるから、この
参考実験と比較すると、ゲルマニウムの組成比として22
〜67原子%の範囲にあれば変換効率が良好な値を示すこ
とがわかる。
また、ゲルマニウムの含有比が大きくなると、光学的
バンドギャップが狭くなり、長波長光での収集効率は向
上し、光電流も増加するが、含有比が大きくなりすぎる
と、他の因子の影響により光電変換効率は低下する。
バンドギャップが狭くなり、長波長光での収集効率は向
上し、光電流も増加するが、含有比が大きくなりすぎる
と、他の因子の影響により光電変換効率は低下する。
(比較例2) 上述した比較例1では、i型半導体層の成膜にSi2H6
ガスを使用しているが、Si2H6ガスの代わりにSiH4ガス
を使用して光起電力素子を作成した。さらに詳しく述べ
ると、比較例1では、Si2H6ガス10sccm、H2ガス100sccm
を導入し、高周波電力12Wを投入したが、ここでは、SiH
4ガス30sccm、H2ガス300sccmを導入し、20Wの高周波電
力を投入した。他は比較例1と同様にし、i型半導体層
中の非晶質i型SiGeからなる層の成膜時のGeH4ガスの流
量をそれぞれ1,3,4,5,10,20,25,30sccmとして、光起電
力素子の試料C−9〜C−16までの作製した。
ガスを使用しているが、Si2H6ガスの代わりにSiH4ガス
を使用して光起電力素子を作成した。さらに詳しく述べ
ると、比較例1では、Si2H6ガス10sccm、H2ガス100sccm
を導入し、高周波電力12Wを投入したが、ここでは、SiH
4ガス30sccm、H2ガス300sccmを導入し、20Wの高周波電
力を投入した。他は比較例1と同様にし、i型半導体層
中の非晶質i型SiGeからなる層の成膜時のGeH4ガスの流
量をそれぞれ1,3,4,5,10,20,25,30sccmとして、光起電
力素子の試料C−9〜C−16までの作製した。
これらの試料C−9〜C−16について、比較例1と同
様に、光電変換効率、シャント率、収集効率を測定し
た。その結果を第5表に示す。なお、この表中、変換効
率と収集効率とは、試料C−9の値をそれぞれ1.0とし
た相対値によって表示されている。
様に、光電変換効率、シャント率、収集効率を測定し
た。その結果を第5表に示す。なお、この表中、変換効
率と収集効率とは、試料C−9の値をそれぞれ1.0とし
た相対値によって表示されている。
この結果より、GeH4ガスの流量が4〜20sccmの範囲に
あれば良好な変換効率が得られることがわかった。
あれば良好な変換効率が得られることがわかった。
つまり、ゲルマニウムの組成比が小さすぎると望む光
電流が得られなくなり、一方、ゲルマニウムの組成比が
大きすぎるとゲルマニウム原子が不純物として働くた
め、他の特性決定因子の影響により変換効率が低下す
る。
電流が得られなくなり、一方、ゲルマニウムの組成比が
大きすぎるとゲルマニウム原子が不純物として働くた
め、他の特性決定因子の影響により変換効率が低下す
る。
(実施例2) 上述した実施例1ではゲルマニウム含有層112の膜厚
は1000Åと一定であったが、ここではゲルマニウム含有
層112の膜厚を変えて光起電力素子を作成した。まず、
この光起電力素子の作成方法について説明する。
は1000Åと一定であったが、ここではゲルマニウム含有
層112の膜厚を変えて光起電力素子を作成した。まず、
この光起電力素子の作成方法について説明する。
実施例1と同様に、50mm×50mmの大きさのステンレス
製の基板101の上に下部電極102とn型半導体層103を形
成した。次に、n型半導体層103を成膜するために成膜
室からi型半導体層104を成膜するための成膜室へ、真
空を破らないままで基板101を移動させ、基板101を加熱
した。そして実施例1と同様にして、Si2H6ガス10scc
m、H2ガス100sccmを導入しながら12Wの高周波電力を投
入し、12秒間成膜を行って厚さ50Åの非晶質i型Si:Hか
らなるバッファ層111をn型半導体層103の上に形成し
た。
製の基板101の上に下部電極102とn型半導体層103を形
成した。次に、n型半導体層103を成膜するために成膜
室からi型半導体層104を成膜するための成膜室へ、真
空を破らないままで基板101を移動させ、基板101を加熱
した。そして実施例1と同様にして、Si2H6ガス10scc
m、H2ガス100sccmを導入しながら12Wの高周波電力を投
入し、12秒間成膜を行って厚さ50Åの非晶質i型Si:Hか
らなるバッファ層111をn型半導体層103の上に形成し
た。
引き続きSi2H6ガス、H2ガスを導入し、高周波電力を
投入しながら、GeH4ガスを導入して、ゲルマニウム含有
層112を成膜した。この場合、ゲルマニウム含有層112の
成膜開始時にはGeH4ガスの流量を0とし、ゲルマニウム
含有層112の成膜の進行とともにGeH4ガスの流量を増加
させ、ゲルマニウム含有層112の成膜終了直前にはGeH4
ガスの流量が1sccmとなるようにした。さらに、ゲルマ
ニウム含有層112中のゲルマニウム組成比が膜厚方向に
直線的に増加するように、マスフローコントローラ(不
図示)によってGeH4ガスの流量を制御した。ゲルマニウ
ム含有層112の膜厚は、作成される光起電力素子の光電
流が上述した実施例1のA1−4の光起電力素子の光電流
とほぼ等しくなるよう、実験によって決定した。ここで
は、膜厚は約1900Åである。膜厚の制御は、成膜時間を
変えることによって行った。
投入しながら、GeH4ガスを導入して、ゲルマニウム含有
層112を成膜した。この場合、ゲルマニウム含有層112の
成膜開始時にはGeH4ガスの流量を0とし、ゲルマニウム
含有層112の成膜の進行とともにGeH4ガスの流量を増加
させ、ゲルマニウム含有層112の成膜終了直前にはGeH4
ガスの流量が1sccmとなるようにした。さらに、ゲルマ
ニウム含有層112中のゲルマニウム組成比が膜厚方向に
直線的に増加するように、マスフローコントローラ(不
図示)によってGeH4ガスの流量を制御した。ゲルマニウ
ム含有層112の膜厚は、作成される光起電力素子の光電
流が上述した実施例1のA1−4の光起電力素子の光電流
とほぼ等しくなるよう、実験によって決定した。ここで
は、膜厚は約1900Åである。膜厚の制御は、成膜時間を
変えることによって行った。
ゲルマニウム含有層112の成膜終了後、引き続きSi2H6
ガス、H2ガスを導入し、高周波電力を投入して20秒間成
膜を行い、厚さ50Åに非晶質i型Si:Hからなるバッファ
層113を形成した。その後、実施例1と同様にしてp型
半導体層105,透明電極106、集電電極107を形成した。こ
のようにして作成された光起電力素子を試料A2−1とす
る。
ガス、H2ガスを導入し、高周波電力を投入して20秒間成
膜を行い、厚さ50Åに非晶質i型Si:Hからなるバッファ
層113を形成した。その後、実施例1と同様にしてp型
半導体層105,透明電極106、集電電極107を形成した。こ
のようにして作成された光起電力素子を試料A2−1とす
る。
次に、ゲルマニウム含有層112の成膜終了直前のGeH4
ガスの流量がそれぞれ3,4,5,10,20,25,30sccmであるよ
うにして、光起電力素子の試料A2−2〜A2−8を作成し
た。これらの各試料A2−2〜A2−8のゲルマニウム含有
層112の膜厚は、それぞれの試料の光電流の値が試料A1
−4の光電流とほぼ等しくなるように、実験によって決
定した。もちろん、これら試料A2−2〜A2−8のゲルマ
ニウム含有層112では、膜厚方向にゲルマニウム組成比
は直線的に変化している。
ガスの流量がそれぞれ3,4,5,10,20,25,30sccmであるよ
うにして、光起電力素子の試料A2−2〜A2−8を作成し
た。これらの各試料A2−2〜A2−8のゲルマニウム含有
層112の膜厚は、それぞれの試料の光電流の値が試料A1
−4の光電流とほぼ等しくなるように、実験によって決
定した。もちろん、これら試料A2−2〜A2−8のゲルマ
ニウム含有層112では、膜厚方向にゲルマニウム組成比
は直線的に変化している。
次に、実施例1と同様に、オージェ電子分光法により
各試料A2−1〜A2−8のゲルマニウム含有層112のゲル
マニウム元素の膜厚方向の分布を調べた。その結果を第
6図に示す。なお、図中の白丸は、ゲルマニウム含有層
112のp型半導体層105側の界面を示し、その位置がゲル
マニウム含有層112の膜厚に相当する。
各試料A2−1〜A2−8のゲルマニウム含有層112のゲル
マニウム元素の膜厚方向の分布を調べた。その結果を第
6図に示す。なお、図中の白丸は、ゲルマニウム含有層
112のp型半導体層105側の界面を示し、その位置がゲル
マニウム含有層112の膜厚に相当する。
また、実施例1と同様に、光電変換効率、シャント
率、光電流を測定した。その結果を第6表に示す。な
お、表中、変換効率と光電流とは、試料A2−1の値を1.
0とする相対値で表わしてある。また、参考のため、実
施例1の試料A1−4の値も記載した。
率、光電流を測定した。その結果を第6表に示す。な
お、表中、変換効率と光電流とは、試料A2−1の値を1.
0とする相対値で表わしてある。また、参考のため、実
施例1の試料A1−4の値も記載した。
(実施例3) 実施例2では、i型半導体層104の成膜に、Si2H6ガ
ス、H2ガス、それにゲルマニウム含有層112にゲルマニ
ウムを含ませるためにGeH4ガスを使用しているが、ここ
ではSiH4ガス、H2ガス、GeH4ガスを使用し、さらにn型
半導体層103側のバッファ層111を設けない構成の光起電
力素子を構成した。つまり、実施例2のものと比べSi2H
6の代わりにSiH4を使用し、バッファ層111が欠けている
構成である。
ス、H2ガス、それにゲルマニウム含有層112にゲルマニ
ウムを含ませるためにGeH4ガスを使用しているが、ここ
ではSiH4ガス、H2ガス、GeH4ガスを使用し、さらにn型
半導体層103側のバッファ層111を設けない構成の光起電
力素子を構成した。つまり、実施例2のものと比べSi2H
6の代わりにSiH4を使用し、バッファ層111が欠けている
構成である。
まず、この光起電力素子の作成方法について説明す
る。
る。
基板101上にn型半導体層103を形成するところまで
は、実施例1,2と同様である。次に、i型半導体層104形
成用の成膜室に基板101を移動させ、SiH4ガス30sccm、H
2ガス300sccmを導入し、20Wの高周波電力を投入し、さ
らにGeH4ガスを導入してゲルマニウム含有層112の成膜
を開始した。GeH4ガスの流量は、ゲルマニウム含有層11
2の成膜開始時には0であり、成膜の進行とともに増加
させ、ゲルマニウム含有層112の成膜終了直前のGeH4ガ
スの流量を1sccmとした。ゲルマニウム含有層112におい
て、ゲルマニウム組成比は膜厚方向の直線的に変化する
ようになっており、またその膜厚は、得られる光電流が
実施例1の試料A1−4の光電流とほぼ同じになるよう
に、実験により決定した。その後、SiH4ガスとH2ガスを
導入したまま高周波電力を引き続き投入し、20秒間にわ
たって成膜を行い、厚さ50Åの非晶質i型Si:Hからなる
バッファ層113を形成した。
は、実施例1,2と同様である。次に、i型半導体層104形
成用の成膜室に基板101を移動させ、SiH4ガス30sccm、H
2ガス300sccmを導入し、20Wの高周波電力を投入し、さ
らにGeH4ガスを導入してゲルマニウム含有層112の成膜
を開始した。GeH4ガスの流量は、ゲルマニウム含有層11
2の成膜開始時には0であり、成膜の進行とともに増加
させ、ゲルマニウム含有層112の成膜終了直前のGeH4ガ
スの流量を1sccmとした。ゲルマニウム含有層112におい
て、ゲルマニウム組成比は膜厚方向の直線的に変化する
ようになっており、またその膜厚は、得られる光電流が
実施例1の試料A1−4の光電流とほぼ同じになるよう
に、実験により決定した。その後、SiH4ガスとH2ガスを
導入したまま高周波電力を引き続き投入し、20秒間にわ
たって成膜を行い、厚さ50Åの非晶質i型Si:Hからなる
バッファ層113を形成した。
次に、実施例1,2と同様にp型半導体105、透明電極10
6、集電電極107を形成して、光起電力素子を作成した。
これを試料A3−1とする。他に、ゲルマニウム含有層の
成膜終了直前のGeH4ガスの流量をそれぞれ3,4,5,10,20,
25,30sccmとした光起電力素子を作成し、これをそれぞ
れ試料A3−2〜A3−8とした。
6、集電電極107を形成して、光起電力素子を作成した。
これを試料A3−1とする。他に、ゲルマニウム含有層の
成膜終了直前のGeH4ガスの流量をそれぞれ3,4,5,10,20,
25,30sccmとした光起電力素子を作成し、これをそれぞ
れ試料A3−2〜A3−8とした。
試料A3−1〜A3−8について、実施例2と同様にゲル
マニウム含有層112中のゲルマニウムの分布を調べた結
果を第7図に示す。また試料A3−1〜A3−8について変
換効率、シャント率、光電流を測定した結果を第7表に
示す。なお、表中、変換効率、光電流は、試料A3−1の
値を1.0とした相対値であり、また参考のため試料A1−
4の値も示した。
マニウム含有層112中のゲルマニウムの分布を調べた結
果を第7図に示す。また試料A3−1〜A3−8について変
換効率、シャント率、光電流を測定した結果を第7表に
示す。なお、表中、変換効率、光電流は、試料A3−1の
値を1.0とした相対値であり、また参考のため試料A1−
4の値も示した。
(実施例4) 実施例3においてはi型半導体層112の成膜にSiH4ガ
スを用いているのに対し、SiH4の代わりにSiF4ガス50sc
cmを導入し、さらにH2ガスの導入量を500sccm、投入す
る高周波電力を50Wとして、他は実施例3と同様にして
光起電力素子の試料A4−1〜A4−8を作製した。ただ
し、これら試料A4−1〜A4−8のゲルマニウム含有層11
2の膜厚は、実施例3では光電流が実施例1の試料A1−
4の光電流とほぼ同じになるように選択されているのに
対し、ここでは、作成される光起電力素子の光電流が実
施例1の試料A1−3の光電流とほぼ等しくなるように、
実験によって決定されている。
スを用いているのに対し、SiH4の代わりにSiF4ガス50sc
cmを導入し、さらにH2ガスの導入量を500sccm、投入す
る高周波電力を50Wとして、他は実施例3と同様にして
光起電力素子の試料A4−1〜A4−8を作製した。ただ
し、これら試料A4−1〜A4−8のゲルマニウム含有層11
2の膜厚は、実施例3では光電流が実施例1の試料A1−
4の光電流とほぼ同じになるように選択されているのに
対し、ここでは、作成される光起電力素子の光電流が実
施例1の試料A1−3の光電流とほぼ等しくなるように、
実験によって決定されている。
そして、実施例3と同様にゲルマニウム含有層112中
のゲルマニウムの分布を求めた。その結果を第8図に示
す。また、変換効率、シャント率、光電流を測定した。
その結果を第8表に示す。表中、変換効率と光電流と
は、試料A4−1の値を1.0とする相対値で示し、また参
考のため試料A1−3の数値も記載した。
のゲルマニウムの分布を求めた。その結果を第8図に示
す。また、変換効率、シャント率、光電流を測定した。
その結果を第8表に示す。表中、変換効率と光電流と
は、試料A4−1の値を1.0とする相対値で示し、また参
考のため試料A1−3の数値も記載した。
(実施例5) 実施例3においてはi型半導体層104の成膜にSiH4ガ
スを用いているのに対し、SiH4の代わりにSi2F6ガス25s
ccmを導入し、さらにH2ガスの導入量を300sccm、投入す
る高周波電力を30Wとして、他は実施例3と同様にし
て、光起電力素子の試料A5−1〜A5−8を作製した。た
だし、これら試料A5−1〜A5−8のゲルマニウム含有層
112の膜厚は、実施例3では光電流が実施例1の試料A1
−4の光電流とほぼ同じになるように選択されているの
に対し、ここでは、作成される光起電力素子の光電流が
実施例1の試料A1−2の光電流とほぼ等しくなるよう
に、実験によって決定されている。
スを用いているのに対し、SiH4の代わりにSi2F6ガス25s
ccmを導入し、さらにH2ガスの導入量を300sccm、投入す
る高周波電力を30Wとして、他は実施例3と同様にし
て、光起電力素子の試料A5−1〜A5−8を作製した。た
だし、これら試料A5−1〜A5−8のゲルマニウム含有層
112の膜厚は、実施例3では光電流が実施例1の試料A1
−4の光電流とほぼ同じになるように選択されているの
に対し、ここでは、作成される光起電力素子の光電流が
実施例1の試料A1−2の光電流とほぼ等しくなるよう
に、実験によって決定されている。
そして、実施例3と同様にゲルマニウム含有層112中
のゲルマニウムの分布を求めた。その結果を第9図に示
す。また、変換効率、シャント率、光電流を測定した。
その結果を第9表に示す。表中、変換効率と光電流と
は、試料A5−1の値を1.0とする相対値で示し、また参
考のため試料A1−2の数値も記載した。
のゲルマニウムの分布を求めた。その結果を第9図に示
す。また、変換効率、シャント率、光電流を測定した。
その結果を第9表に示す。表中、変換効率と光電流と
は、試料A5−1の値を1.0とする相対値で示し、また参
考のため試料A1−2の数値も記載した。
(実施例6) 実施例3においては、ゲルマニウム含有層112にゲル
マニウムを含有させるのにGeH4ガスを用いていたが、こ
こではGeH4ガスの代わりにGeH4ガスを使用し、さらに、
i型半導体層104の成膜のためのガスの流量をSiH4ガス
を20sccm、H2ガス200sccmに変更し、投入する高周波電
力を30Wとして、他は実施例3と同様にして光起電力素
子の試料A6−1〜A6−8を作製した。ただし、これら試
料A6−1〜A6−8のゲルマニウム含有層112の膜厚は、
実施例3では光電流が実施例1の試料A1−4の光電流と
ほぼ同じになるように選択されているのに対し、ここで
は、作成される光起電力素子の光電流が実施例1の試料
A1−1の光電流とほぼ等しくなるように、実験によって
決定されている。
マニウムを含有させるのにGeH4ガスを用いていたが、こ
こではGeH4ガスの代わりにGeH4ガスを使用し、さらに、
i型半導体層104の成膜のためのガスの流量をSiH4ガス
を20sccm、H2ガス200sccmに変更し、投入する高周波電
力を30Wとして、他は実施例3と同様にして光起電力素
子の試料A6−1〜A6−8を作製した。ただし、これら試
料A6−1〜A6−8のゲルマニウム含有層112の膜厚は、
実施例3では光電流が実施例1の試料A1−4の光電流と
ほぼ同じになるように選択されているのに対し、ここで
は、作成される光起電力素子の光電流が実施例1の試料
A1−1の光電流とほぼ等しくなるように、実験によって
決定されている。
そして、実施例3と同様にゲルマニウム含有層112中
のゲルマニウムの分布を求めた。その結果を第10図に示
す。また、変換効率、シャント率、光電流を測定した。
その結果を第9表に示す。表中、変換効率と光電流と
は、試料A6−1の値を1.0とする相対値で示し、また参
考のため試料A1−1の数値も記載した。
のゲルマニウムの分布を求めた。その結果を第10図に示
す。また、変換効率、シャント率、光電流を測定した。
その結果を第9表に示す。表中、変換効率と光電流と
は、試料A6−1の値を1.0とする相対値で示し、また参
考のため試料A1−1の数値も記載した。
以上の各実施例において、i型半導体層104の構成、
原料ガス、成膜条件やゲルマニウム含有層112の膜厚を
種々に変化させた場合であっても、ゲルマニウム含有層
112中のゲルマニウムの組成比が、n型半導体層103から
p型半導体層105に向かう膜厚方向に、0.02〜0.10原子
%/Åの割合で増加しているものは、交換効率、光電流
とも優れ、良好な光起電力素子となることがわかった。
従来例と実施例を比較すると、上述の実施例では、変換
効率の高いゲルマニウム組成比の領域で、同じ光電流を
得るのに必要なi型半導体層の膜厚を薄くすることがで
き、光劣化の影響が少なくなって光起電力素子としての
信頼性が向上することになる。
原料ガス、成膜条件やゲルマニウム含有層112の膜厚を
種々に変化させた場合であっても、ゲルマニウム含有層
112中のゲルマニウムの組成比が、n型半導体層103から
p型半導体層105に向かう膜厚方向に、0.02〜0.10原子
%/Åの割合で増加しているものは、交換効率、光電流
とも優れ、良好な光起電力素子となることがわかった。
従来例と実施例を比較すると、上述の実施例では、変換
効率の高いゲルマニウム組成比の領域で、同じ光電流を
得るのに必要なi型半導体層の膜厚を薄くすることがで
き、光劣化の影響が少なくなって光起電力素子としての
信頼性が向上することになる。
さらに、ゲルマニウム含有層112のp型半導体層105側
の界面近傍でのゲルマニウムの組成比が20〜70原子%で
あれば、より良好な光起電力素子が得られることがわか
った。ゲルマニウム含有層112中のゲルマニウムの含有
量が増加すると、光吸収量が増すため、膜厚が薄くても
充分な特性が得られると期待されるが、含有量を多くし
すぎると、実際には上述の各実施例からも明らかなよう
にシャントが多発し、それに伴い変換効率が低下した。
このため、ゲルマニウム含有層112のp型半導体層105側
の界面近傍(この部分でゲルマニウム組成比が最大とな
る)のゲルマニウム組成比を70原子%以下にすることが
望ましいということになる。
の界面近傍でのゲルマニウムの組成比が20〜70原子%で
あれば、より良好な光起電力素子が得られることがわか
った。ゲルマニウム含有層112中のゲルマニウムの含有
量が増加すると、光吸収量が増すため、膜厚が薄くても
充分な特性が得られると期待されるが、含有量を多くし
すぎると、実際には上述の各実施例からも明らかなよう
にシャントが多発し、それに伴い変換効率が低下した。
このため、ゲルマニウム含有層112のp型半導体層105側
の界面近傍(この部分でゲルマニウム組成比が最大とな
る)のゲルマニウム組成比を70原子%以下にすることが
望ましいということになる。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は
上記の実施例に限定されるものではない。例えば、いわ
ゆるタンデムセルのように、複数のpin接合を垂直に並
べた構成の光起電力素子にも本発明を適用することがで
きる。
上記の実施例に限定されるものではない。例えば、いわ
ゆるタンデムセルのように、複数のpin接合を垂直に並
べた構成の光起電力素子にも本発明を適用することがで
きる。
以上説明したように本発明は、pin接合構造の光起電
力素子において、i型半導体層にゲルマニウム含有層と
ゲルマニウムを含まない領域であるバッファ層とを設
け、n型半導体層との界面、及び/またはp型半導体層
との界面の部分にこのバッファ層を配置し、ゲルマニウ
ム含有層におけるゲルマニウムの組成比が、n型半導体
層側の界面で0であり、p型半導体層側の界面に向かう
膜厚方向に0.02〜0.10原子%/Åで増加するようにした
ことにより、変換効率が向上し、さらに、i型半導体層
の膜厚を薄くすることができて信頼性が向上するという
効果がある。さらに、ゲルマニウム含有層のp型半導体
層側の界面近傍におけるゲルマニウムの組成比を20〜70
原子%とすることにより、変換効率が高く、シャント率
の低い、より優れた光起電力素子が得られるという効果
がある。
力素子において、i型半導体層にゲルマニウム含有層と
ゲルマニウムを含まない領域であるバッファ層とを設
け、n型半導体層との界面、及び/またはp型半導体層
との界面の部分にこのバッファ層を配置し、ゲルマニウ
ム含有層におけるゲルマニウムの組成比が、n型半導体
層側の界面で0であり、p型半導体層側の界面に向かう
膜厚方向に0.02〜0.10原子%/Åで増加するようにした
ことにより、変換効率が向上し、さらに、i型半導体層
の膜厚を薄くすることができて信頼性が向上するという
効果がある。さらに、ゲルマニウム含有層のp型半導体
層側の界面近傍におけるゲルマニウムの組成比を20〜70
原子%とすることにより、変換効率が高く、シャント率
の低い、より優れた光起電力素子が得られるという効果
がある。
第1図は本発明の一実施例の光起電力素子の構成を示す
模式断面図、第2図(a)〜(c)はそれぞれ本発明に
よる光起電力素子のバンドプロファイルを例示する説明
図、第2図(d)はバッファ層を欠いた構成の光起電力
素子のバンドプロファイルを例示する説明図、第3図は
本発明の光起電力素子の成膜を用いられる装置の構成を
示す要部概略断面図、第4図はゲルマニウム含有層中の
ゲルマニウムの分布を示す説明図、第5図〜第10図はそ
れぞれ実施例1〜6により作成された光起電力素子の各
試料のゲルマニウム含有層におけるゲルマニウム組成比
の変化を示す特性図、第11図は従来の光起電力素子の一
例の構成を示す模式断面図、第12図(a)〜(c)は従
来の光起電力素子のバンドプロファイルを例示する説明
図、第13図は従来の光起電力素子の成膜に用いられる成
膜装置の構成を示す概略断面図、第14図はゲルマニウム
組成比と光伝導度の比との相関を示す特性図である。 101…基板、102…下部電極、103…n型半導体層、104…
i型半導体層、105…p型半導体層、106…透明電極、10
7…集電電極、111,113…バッファ層 112…ゲルマニウム含有層、501,502…成膜室、503…基
板搬送カセット、504…熱電対、505…ヒータ、506…基
板搬送手段、507…ゲートバルブ、508,509…ガス導入
管、510…高周波電源、511…マッチングボックス、512
…アノード電極、513…ロードロック室 514…排気バルブ、515…排気ポンプ、517…圧力計。
模式断面図、第2図(a)〜(c)はそれぞれ本発明に
よる光起電力素子のバンドプロファイルを例示する説明
図、第2図(d)はバッファ層を欠いた構成の光起電力
素子のバンドプロファイルを例示する説明図、第3図は
本発明の光起電力素子の成膜を用いられる装置の構成を
示す要部概略断面図、第4図はゲルマニウム含有層中の
ゲルマニウムの分布を示す説明図、第5図〜第10図はそ
れぞれ実施例1〜6により作成された光起電力素子の各
試料のゲルマニウム含有層におけるゲルマニウム組成比
の変化を示す特性図、第11図は従来の光起電力素子の一
例の構成を示す模式断面図、第12図(a)〜(c)は従
来の光起電力素子のバンドプロファイルを例示する説明
図、第13図は従来の光起電力素子の成膜に用いられる成
膜装置の構成を示す概略断面図、第14図はゲルマニウム
組成比と光伝導度の比との相関を示す特性図である。 101…基板、102…下部電極、103…n型半導体層、104…
i型半導体層、105…p型半導体層、106…透明電極、10
7…集電電極、111,113…バッファ層 112…ゲルマニウム含有層、501,502…成膜室、503…基
板搬送カセット、504…熱電対、505…ヒータ、506…基
板搬送手段、507…ゲートバルブ、508,509…ガス導入
管、510…高周波電源、511…マッチングボックス、512
…アノード電極、513…ロードロック室 514…排気バルブ、515…排気ポンプ、517…圧力計。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 浩史 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 山下 敏裕 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−71182(JP,A) 特開 昭60−249376(JP,A) 特開 昭62−49672(JP,A) 特開 昭62−224981(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 31/04
Claims (1)
- 【請求項1】p型半導体層とi型半導体層とn型半導体
層とが順次積層されたpin接合構造を少なくとも1組有
する光起電力素子において、 前記p型半導体層は微結晶半導体からなり、かつ、前記
i型半導体層に対して光入射側に位置し、 前記i型半導体層はゲルマニウム含有層とゲルマニウム
を含まない領域であるバッファ層とが積層された構造で
あり、 前記ゲルマニウム含有層におけるゲルマニウムの含有量
は、前記n型半導体層の側の界面において0であって、
前記p型半導体層の側の界面に向かう膜厚方向に前記ゲ
ルマニウム含有層の全体にわたって単調に増加し、か
つ、半導体構成元素中のゲルマニウムの組成比で表わし
たときに前記p型半導体層の側の界面近傍において20原
子%以上70原子%以下であり、 前記ゲルマニウム含有層中のゲルマニウムの含有量の前
記膜厚方向に向かう増加率が、半導体構成元素中のゲル
マニウムの組成比の変化率で表したとき、0.02〜0.10原
子%/Åであり、 前記バッファ層は、前記i型半導体層の、前記n型半導
体層との界面及び前記p型半導体層との界面の少なくと
も一方の部分に設けられていることを特徴とする光起電
力素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2318070A JP2895213B2 (ja) | 1990-11-26 | 1990-11-26 | 光起電力素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2318070A JP2895213B2 (ja) | 1990-11-26 | 1990-11-26 | 光起電力素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04192373A JPH04192373A (ja) | 1992-07-10 |
JP2895213B2 true JP2895213B2 (ja) | 1999-05-24 |
Family
ID=18095145
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2318070A Expired - Fee Related JP2895213B2 (ja) | 1990-11-26 | 1990-11-26 | 光起電力素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2895213B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11430903B2 (en) | 2018-03-20 | 2022-08-30 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Multi-junction solar cell module and photovoltaic system |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4530785B2 (ja) * | 2004-09-30 | 2010-08-25 | 三洋電機株式会社 | 光起電力装置 |
WO2011125878A1 (ja) * | 2010-04-02 | 2011-10-13 | 株式会社アルバック | 光電変換装置及び光電変換装置の製造方法 |
EP4023431A4 (en) * | 2019-08-30 | 2022-10-19 | Keihin Ramtech Co., Ltd. | MULTI-LAYER STRUCTURE AND METHOD OF MAKING A MULTI-LAYER STRUCTURE |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4542256A (en) * | 1984-04-27 | 1985-09-17 | University Of Delaware | Graded affinity photovoltaic cell |
JPS6249672A (ja) * | 1985-08-29 | 1987-03-04 | Sumitomo Electric Ind Ltd | アモルフアス光起電力素子 |
US4816082A (en) * | 1987-08-19 | 1989-03-28 | Energy Conversion Devices, Inc. | Thin film solar cell including a spatially modulated intrinsic layer |
-
1990
- 1990-11-26 JP JP2318070A patent/JP2895213B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11430903B2 (en) | 2018-03-20 | 2022-08-30 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Multi-junction solar cell module and photovoltaic system |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04192373A (ja) | 1992-07-10 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |