JP2891904B2 - 多層軽量吸音材 - Google Patents

多層軽量吸音材

Info

Publication number
JP2891904B2
JP2891904B2 JP18859795A JP18859795A JP2891904B2 JP 2891904 B2 JP2891904 B2 JP 2891904B2 JP 18859795 A JP18859795 A JP 18859795A JP 18859795 A JP18859795 A JP 18859795A JP 2891904 B2 JP2891904 B2 JP 2891904B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pores
layer
sound absorbing
absorbing material
continuous
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP18859795A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0920547A (ja
Inventor
今井  修
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NIPPON GAISHI KK
Original Assignee
NIPPON GAISHI KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NIPPON GAISHI KK filed Critical NIPPON GAISHI KK
Priority to JP18859795A priority Critical patent/JP2891904B2/ja
Publication of JPH0920547A publication Critical patent/JPH0920547A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2891904B2 publication Critical patent/JP2891904B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Porous Artificial Stone Or Porous Ceramic Products (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トバモライトを含有す
る多層構造を有する軽量吸音材に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、騒音に対する要望より各種吸音板
が開発されており、そのニーズも年々増加している。た
とえば、セラミックス製吸音材がある。これは、高強度
という点で優れているが、気孔率が低く、吸音特性が十
分でなく、また、比重が大きいことも問題となってい
る。また、セメントコンクリート製吸音材は、一般にオ
ートクレーブ養生した軽量気泡コンクリートであり、気
孔率を高くすることができ、軽量で吸音特性はセラミッ
クス製吸音材に比べ良好である。しかし、この吸音材は
気孔率が大きいため、機械的強度が十分でなく(たとえ
ば、圧縮強度で10Kg/cm2 以下)、鉄枠等の支持
体に入れ強度不足を補う必要があった。なお、機械的強
度を補うため、吸音材とコンクリートとを複合化する技
術も考えられる。しかし、吸音材の表面にコンクリート
を塗布する場合は、乾燥時の収縮の際クラックが生じや
すい。また、コンクリート板と吸音材とを接着剤で一体
化する場合は、接着面での剥離等の耐久性に問題があ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような従
来の問題点を解決して、軽量で、かつ補強材あるいは支
持体なしでも高強度な軽量多層吸音材を提供することを
目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するべく
本発明に係る多層軽量吸音材は、気孔の形態が独立気孔
を主体とする層と連通気孔を主体とする層とからなるト
バモライトを含有する多層固化物であって、独立気孔を
を主体とする層の全気孔率が50%以下であり、連通気
孔を主体とする層の連通気孔の断面占有比率が30〜9
5%であり、各層が積層状に成形され、オートクレーブ
養生により一体化されてなることを特徴とするものであ
る。そして、シリカ質骨材の断面占有比率が気孔を除い
た固化物の断面積の5〜50%であること、前記連通気
孔の平均気孔直径が100〜2000μmであること、
さらに連通気孔の括れ部の平均直径が30〜500μm
であることを好ましい実施態様とするものである。
【0005】前記固化物の研磨断面に認められる気孔に
は、直径0.1mm以上の球状の気孔(以下、第1の気
孔という。)と、直径0.1mm未満の気孔(BET法
で測定される微細気孔も含む。)(以下、第2の気孔と
いう。)とが有る。連通気孔とは、直径0.1mm以上
の気孔同士が、連通状態になっており、その括れ部の直
径が10μm以上であり、少なくとも一箇所は開気孔と
なっている気孔を意味し、独立気孔とは、直径0.1m
m以上の気孔同士が連通状態になっていない気孔を意味
する。連通気孔の括れ部とは、気孔同士が連通する部分
の空隙をいう(連通孔ともいう。)。連通気孔の断面占
有比率及びシリカ質骨材の断面占有比率を求める際の気
孔、及び連通気孔の判定は、前記第1の気孔を採用し
た。また、連通気孔の断面占有比率及びシリカ質骨材の
断面占有比率の測定、連通気孔の平均気孔直径及び連通
気孔の括れ部の平均直径は固化物の研磨断面にて行う。
なお、連通気孔の括れ部の直径は走査型電子顕微鏡写真
(倍率100〜2000)にて測定する。独立気孔を主
体とする層とは、第1の気孔の60%以上が独立気孔で
ある層をいう。また、連通気孔を主体とする層とは、第
1の気孔の60%以上が連通気孔である層をいう。ま
た、気孔率の測定は、JIS R 2205 の測定方
法(煮沸法)にしたがって、開気孔と閉気孔とを含む全
気孔率を測定した。この全気孔率は、第1の気孔及び第
2の気孔を対象とする。トバモライトとは、(5CaO
・6SiO2 ・5H2 O)で表されるカルシウムシリケ
ート水和物をいう。
【0006】
【作用】この発明による多層軽量吸音材は、以上のよう
に構成されており、次のように作用する。即ち、この多
層軽量吸音材の構造は、連通気孔を主体とする層(以
下、連通気孔層という。)と独立気孔を主体とする層
(以下、独立気孔層という。)とからなるので、連通気
孔層が吸音特性を担い、独立気孔層が強度及び遮音性を
担うことができ、さらに、これらの層がオートクレーブ
養生により一体化されているため、独立気孔を主体とし
た高強度固化物層と多数の連通気孔を含んだ軽量吸音層
とが強固に接合された構造となって軽量で補強材あるい
は支持体なしでも高強度な軽量多層吸音材を得ることが
できる。吸音特性を担う層を連通気孔層とするのは、音
のエネルギーが固化物の連通気孔内壁面における空気の
粘性抵抗によるエネルギーと、連通気孔内における空気
の圧縮、膨張の際の熱エネルギーに変換されることによ
り吸音されると考えられるからである。また、強度を担
う層を独立気孔層とするのは、同一比重の独立気孔を主
体とする固化物と連通気孔を主体とする固化物とを比較
すると、独立気孔を主体とする固化物の方が機械的強度
については優れているからである。
【0007】独立気孔層の全気孔率は50%以下、好ま
しくは35%以下である。全気孔率が50%を超えると
多層吸音材の機械的強度が低下するからである。
【0008】連通気孔層の連通気孔の断面占有比率は3
0〜95%、好ましくは50〜90%の範囲である。3
0%未満である場合は吸音特性が悪化する。また、95
%を超えると連通気孔層の強度が低下するからである。
【0009】シリカ質骨材の断面占有比率は、気孔を除
いた固化物の断面積の5〜50%であることが好まし
い。5%未満では強度向上の効果が表れない。また、5
0%を超えるとトバモライト量が少なくなるため強度が
低下するからである。
【0010】連通気孔の平均気孔直径が研磨断面で10
0〜2000μmであることが好ましい。この範囲では
幅広い周波数領域の吸音率が良好となる。また、連通気
孔の括れ部の平均直径が30〜500μmであることが
好ましい。この範囲であると吸音率が良好となる。たと
えば、500Hzで0.7以上の吸音率特性が得られ
る。
【0011】また、本発明の固化物は耐火性、耐久性も
良好である。
【0012】
【実施例】独立気孔層形成用泥漿であるポルトランドセ
メント、シリカ質骨材、水酸化カルシウム、減水剤およ
び水との混合物を型枠に流し込み、その上に連通気孔層
形成用泥漿であるポルトランドセメント、シリカ質骨
材、水酸化カルシウム、金属アルミニウム粉末、特定の
起泡剤および水との混合物を攪拌し、予め気泡を含んだ
状態にした後、流し込み、所定の形状に成形する。これ
を湿潤養生し、その後オートクレーブ養生する。また、
型枠に鉄筋等の補強材を入れた状態で成形することも可
能である。独立気孔層用泥漿を流し込む際、振動を加え
た状態で行うことが好ましい。上記混合物を混練機また
は攪拌機で混合する際には、バインダ、減水剤、保水
剤、防水剤、流動化剤、収縮低減剤等の混和剤を添加し
てもよく、また固化物の強度の向上、比重の調整、コス
トの低減などのために、パーライト、ALCの屑、ガラ
ス繊維(好ましくは耐アルカリ性ガラス繊維)、合成繊
維(ビニロン、ナイロン)、パルプ等を添加することも
できる。なお、起泡剤はプレフォーム法(起泡剤によっ
てあらかじめ微細気泡を作っておき、これを泥漿に混入
する方法)で用いてもよい。
【0013】ここで、特定の起泡剤とは、50℃以上の
温度でもポルトランドセメント混合物の気泡が消泡しに
くい起泡剤を意味する。具体的には、ポルトランドセメ
ント:ケイ砂を重量比で6:4とし、固形分に対して5
0重量%の水と起泡剤を添加し、1500rpmで5分
間攪拌後、型枠に流し込み湿潤状態で50℃、48時間
保持した後の連通気孔の断面占有比率が30%以上とな
る起泡剤を意味する。このような特定の起泡剤として、
アルキルアリルエーテル塩、高級アルコール硫酸塩等が
挙げられる。
【0014】このメカニズムは定かではないが次のよう
に考えられる。ポルトランドセメント、減水剤および水
等とを混合し、型枠に流し込んだ状態ではセメント粒子
が互いに分散した状態を呈し、気泡は少量で独立気泡で
あり、この上に気泡を含んだ、ポルトランドセメント、
特定の起泡剤および水等との混合物を流し込むと、この
上層の状態は流し込み直後では起泡剤による巻き込み気
泡は気泡同士が合体せず、また、消泡せずに気泡および
セメント粒子が混合物中に均一に分散されている。この
混合物を湿潤状態で50〜80℃の温度で2時間以上養
生すると上、下層とも水とセメント粒子とが反応して、
C−S−Hゲルを生成する。この養生により下層の巻き
込み気泡は独立気孔となり、上層の巻き込み気泡は連通
気孔となる。
【0015】したがって、湿潤養生後では上層は連通状
態になった巻き込み気泡が分散した多孔質体となり、下
層は少量の独立気孔が分散した緻密体となる。上、下層
とも水を含んだ柔らかい構造体となり、上、下層は固着
する。
【0016】50℃未満の湿潤養生では、これらの層が
強固に一体化されない、また、固化に時間がかかりす
ぎ、型枠の離型ができなくなるため作業性も悪い。型枠
に入れたままオートクレーブ養生することは型枠の腐食
等の問題があり好ましくない。
【0017】オートクレーブ養生は各層の強度向上およ
び積層界面の一体化の点で、120〜250℃、3時間
以上の条件が好ましく、150〜200℃、5時間以上
の条件がより好ましい。オートクレーブ養生することに
より上、下層ともC−S−Hゲルが結晶質のトバモライ
トに変化し、上、下層自体が高強度化されるとともに、
上、下層の界面は界面での相互反応により上、下層が強
固に接合一体化され、クラック等の発生は認められな
く、圧着、接着等で接合した界面より高強度となる。1
20℃未満のオートクレーブ養生では、これらの層が強
固に一体化されないからである。なお、水中に浸漬した
状態でのオートクレーブ養生は好ましくない。したがっ
て、得られるトバモライトを含有する多層吸音材は、多
数の連通気孔を内在する層をもつにもかかわらず、補強
材あるいは支持体なしでも使用し得る高強度で、強度の
ばらつきも小さいものとなり、たとえば絶乾比重が1.
5以下の軽量なものとなる。また、気孔分布によっては
吸水率の小さいものも可能となるため、水に対する寸法
安定性の良好なものも得られ、湿潤状態での使用が可能
である。
【0018】なお、X線回折および熱重量分析(TG)
より、この軽量多層吸音材のトバモライトとC−S−H
ゲルの量比を測定するとトバモライトは重量比で7割以
上であることが確認された。なお、本発明の吸音材では
ハイドロガーネット、ゾノトライトは認められない。
【0019】連通気孔層の連通気孔の断面占有比率は3
0〜95%にするためには、起泡剤としてアルキルアリ
ルエーテル塩、高級アルコール硫酸塩を用い、攪拌機に
よってポルトランドセメント、起泡剤、水を300〜1
500rpmの回転で5〜10分間の高速攪拌をし泥漿
を作製する。なお、水は固形分に対して30〜50重量
%とし、従来の吸音材より低水分とする。こうして得ら
れた泥漿を型に流し込み、湿潤状態で50〜80℃の温
度で養生する。また、50℃未満の温度では固化に時間
がかかり、セメント等固化物の沈降等の悪影響が発生す
る。80℃を超えると気泡が潰れやすくなるとともに、
連通しにくくなる。この50〜80℃の湿潤養生後で
も、この特定の起泡剤の作用により気孔は消泡せず連通
状態になる。この高温で消泡しない理由については定か
ではないが起泡剤自体の特性の他、泥漿水分の減少と高
速攪拌による気泡皮膜の強化および気泡径の縮小が考え
られる。
【0020】また、連通気孔の断面占有比率を50%以
上に上げるためには高速攪拌時にPVA、メチルセルロ
ース等の気泡安定化剤を添加するとともに、高速攪拌時
の泥漿を湿潤養生温度まで加温する。この理由について
も定かではないが、気泡安定化剤の添加により、気泡皮
膜が強化されるとともに、泥漿の加温により、湿潤養生
時の温度変化がなくなり気泡の内圧膨張等が抑制される
ことによると考えられる。なお、攪拌時に起泡剤ととも
に、金属アルミニウム粉末等の発泡剤を添加することも
連通気孔の形成に際して可能である。これは、発泡剤添
加により、湿潤養生でガス(金属アルミニウム粉末の場
合、水素)が発生し、このため固化物の気孔径及び気孔
率が増大し、より軽量化が達成される。この起泡剤は、
発泡剤により発生する気泡も安定化し、気泡同士の合体
を起こりにくくするとともに、この気孔も連通化する。
なお、従来使用されている起泡剤は50℃以上の温度で
湿潤養生した場合には、気泡が消泡しやすくなり、気孔
率が低下するとともに、連通気孔の生成が不十分となる
ため、50℃未満の湿潤養生に限定される。
【0021】連通気孔の平均気孔直径(100〜200
0μm)、また、連通気孔の括れ部の平均直径(30〜
500μm)は、高速攪拌の回転数、攪拌時間、起泡剤
量、安定化剤の種類およびその量等で制御することがで
きる。
【0022】独立気孔層の全気孔率を50%以下にする
ためには、減水剤を用い、添加水分量を固形分に対して
45重量%以下とし、混練機によってポルトランドセメ
ント、減水剤、水を300rpmの回転で5〜10分間
の混練をし泥漿を作製する。こうして得られた泥漿をそ
の後、振動を加えながら型に流し込み、湿潤状態で50
〜80℃の温度で養生する。なお、振動条件は振幅0.
1〜5mm、振動数500〜50Hzの範囲であること
が好ましく、湿潤養生時間は2時間以上であることが好
ましい。50℃未満および80℃を超える温度では独立
気孔層自体の強度が低下する。また、50℃未満の温度
では固化に時間がかかり作業性が悪い。ここで、減水剤
としては、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、
アルキルアリルスルホン酸、アルキルアリルスルホネー
ト、ジエチルナフタリンのホルマリン縮合物等が挙げら
れる。
【0023】なお、独立気孔層の全気孔率を下げるには
減水剤として高性能なナフタリンスルホン酸ホルマリン
縮合物塩を用い、添加水分量を減少するとともに得られ
た泥漿を脱泡処理後型に流し込む。添加水分量は固形分
に対して30重量%以下となる。これらにより、独立気
孔層の全気孔率が35%以下となる。
【0024】シリカ質骨材の断面占有比率を5〜50%
にするには、シリカ質骨材とポルトランドセメントの混
合比を2:8〜8:2とし、湿潤養生を50〜80℃で
2時間以上、オートクレーブ養生を120〜250℃で
3時間以上とする。シリカ質骨材としては、ケイ砂、ケ
イ石粉末、スラグ粉末、火山灰、けい藻土等がある。
【0025】ポルトランドセメントとしては、普通ポル
トランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強
ポルトランドセメント等のポルトランドセメントが挙げ
られる。なお、反応促進を図るため、酸化カルシウム、
水酸化カルシウム、石膏等を加えてもよい。また、アル
ミナセメントも用いることができる。
【0026】多層軽量吸音材の気孔形態が2層の場合に
ついて上述したが、3層以上の多層も可能である。多層
軽量吸音材の形態としては、独立気孔層を連通気孔層で
挟んだ型、および気孔の断面占有比率の異なる連通気孔
層と独立気孔層の組み合わせ等種々の形態がある。いず
れの場合でも各泥漿の流し込み時間は2時間以内にした
ほうが強度の面で好ましい。また、独立気孔の断面占有
比率の分布は、連続的に変化したほうが強度の面で好ま
しい。また、ポルトランドセメントとシリカ質骨材の配
合比も変える場合には連続的に変化したほうが強度の面
で好ましい。また、連通気孔層の厚さは、好ましくは3
0〜100mmである。
【0027】次に、本発明をシリカ質骨材として、ケイ
砂を用いた実施例に基づき説明する。 (実施例1〜7)独立気孔層の形成にはポルトランドセ
メントとして、普通ポルトランドセメント、早強ポルト
ランドセメントを使用し、これらポルトランドセメント
とケイ砂を重量比で20:80〜80:20とし、固形
分に対して20〜45重量%の水と減水剤を添加して混
練機で混合し、各種の泥漿を調製した。ここで、混練機
はスパイラルミキサを用い、300rpmの回転数で5
〜10分間混練した。また、減水剤はナフタリンスルホ
ン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(商品名:花王製
マイティ)を用い、固形分に対して0.1〜2.0重量
%添加した。また、連通気孔層の形成には、上記と同様
のポルトランドセメント、ケイ砂を使用し、固形分に対
して30〜50重量%の水と起泡剤を添加して攪拌機で
攪拌し、各種の泥漿を調製した。一部金属アルミニウム
粉末を固形分に対して3重量%以下を添加した。ここ
で、攪拌機はミキサを用い300〜1500rpmの回
転数で5〜10分間高速攪拌し、各種の泥漿を調製し
た。ここで、起泡剤はアルキルアリルエーテル塩(商品
名:第一工業製薬製ハイテノール)、高級アルコール硫
酸塩(商品名:花王製エマール)を用い、それぞれ固形
分に対して3重量%以下を添加した。なお、金属アルミ
ニウム粉末は平均粒径50μm以下のものを用いた。こ
の異なる種類の混合物を型枠(底面90×150mm)
に流し込んで2層とし、50〜80℃、2〜48時間湿
潤状態(相対湿度80%以上)で養生を行い、直方体の
固化物素地(90×80×150mm、各層の厚さ40
mm)を得た。なお、独立気孔層の形成の流し込みに
は、振幅1mm、振動数60Hzの振動を加え、実施例
2、3、4、6は泥漿の減圧脱気も実施した。また、連
通気孔層の形成の流し込みには、実施例2、3、4、
5、6は起泡剤とともにPVAを固形分に対して2重量
%以下を添加するとともに、高速攪拌時の泥漿を湿潤温
度まで加温したものをも実施した。
【0028】このようにして得た固化物素地を120〜
250℃、3〜48時間オ─トクレ─ブ養生を行った。
こうして得られた固化物についてその外観、各層の気孔
状態、シリカ質骨材の状態を観察するとともに,固化物
の圧縮強度、吸音率及び耐久性を測定して,これらの結
果を表1に示す。
【0029】また、得られた固化物について二層の界面
状態を観察するため、研磨した試料を反射型顕微鏡で観
察した。この結果を図1に示す。界面はマイクロクラッ
ク等の欠陥はなく強固に固着していることが認められ
る。なお、この写真の上部は連通気孔を形成しているも
のである。なお、連通気孔を形成しているものについて
は、連通気孔の直径は平均100〜2000μmであ
り、連通気孔の括れ部の平均直径は30〜500μmで
ある。なお、研磨面の観察では、直径0.1mm以上の
気孔のうち60%以上、また直径1mm以上の気孔では
80%以上連通気孔である。また、この写真の下部は緻
密であるが、気孔は独立気孔を形成しているものであ
る。直径0.1mm以上の気孔のうち60%以上、また
直径1mm以上の気孔では80%以上が独立気孔であ
る。また、得られた固化物のX線回折分析を行った。そ
のチャートを図2に示す。トバモライトの他、ケイ砂の
α−石英のピークが認められる。
【0030】なお、固化物の外観の観察では固化物にお
ける亀裂などの損傷の有無,形態保持性の強弱を判定
し,良好なものを○印,不良なものを×印で表示してい
る。また,圧縮強度の測定については,JIS A 1
108 に従った。即ち、試料の上下面に直径50mm
の金属板をのせ、各層に平行に圧力をかける方法で、オ
ートグラフを用いこれに圧力をかけ、5個の試料の平均
を圧縮強度とし、その標準偏差をばらつきとした。吸音
率はJIS A 1405 に従い、厚さ8cm(吸音
層4cm)、空気層なし、周波数500Hzで垂直入射
吸音率を測定した。耐久性の評価については固化物を屋
外に3か月放置後、亀裂等の損傷の有無,形態保持性の
強弱、吸音率を判定し,良好なものを○印,不良なもの
を×印で表示している。以上シリカ質骨材として、ケイ
砂を用いた実施例について説明したが、本発明は、これ
に限るものではなく、高炉スラグ粉末、けい酸白土、火
山灰、けい藻土等を用いても構わない。また、シリカ質
骨材については、独立気孔層および連通気孔層ともに同
じ面積占有比率になっているが、これに限るものではな
く、独立気孔層の面積占有比率と連通気孔層の面積占有
比率とが異なっても構わない。
【0031】
【表1】
【0032】(比較例1〜6)比較例1は独立気孔層の
形成に際し、減水剤を用いなかった。流し込みが可能と
するためには、固形分に対して50重量%の水を添加す
る必要があった。その結果、独立気孔層の気孔率が高く
なった。比較例2は連通気孔層の形成に際し、起泡剤と
してドデシルベンゼンスルホン酸を用いた。その結果、
高温養生で巻き込み気泡が潰れ連通気孔が減少した。比
較例3は起泡剤、PVAの添加量をそれぞれ固形分に対
して4重量%、3重量%とし、泥漿水分量等を調整し、
気泡量を増加させるとともに高速攪拌時の泥漿を湿潤養
生温度まで加温した。比較例4は独立気孔層、連通気孔
層よりなる固化物をオートクレーブ養生で作製し、この
固化物を有機接着剤により接着した。比較例5は連通気
孔層よりなる固化物をオートクレーブ養生で作製し、こ
の固化物上にポルトランドセメントモルタルを塗り付け
た。比較例6は湿潤養生のみで固化し、オートクレーブ
養生を省略した。比較例1〜6ともに上記以外は実施例
と同様に行った。その結果を表2に示す。なお、比較例
3は連通気孔層の気孔の断面占有比率が98%となり、
強固な形態を保持しえない状態であった。また、比較例
5は、塗布したコンクリートが剥離し、評価しえない状
態であった。
【0033】
【表2】
【0034】
【発明の効果】以上説明からも明らかなように、本発明
による多層軽量吸音材は、気孔の形状および断面占有比
率の異なる層を有し、軽量で高強度であり、連通気孔が
形成されているため吸音特性が良好である。また、独立
気孔を主体とする層は緻密であるため遮音特性も良好で
ある。従って、高速道路、発電所のタービン建屋等の吸
音板兼遮音板等広い分野に適用できる。従来のセメント
コンクリート製吸音材は強度が低いため壁等の構造物に
吸音材を貼ることにより形成していたが、本発明による
多層軽量吸音材は、高強度であるため、壁等の構造物を
必要とせず本発明による多層軽量吸音材のみで吸音板兼
遮音板兼壁の3つの役割を果たすことができるため、本
発明の効果は極めて多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による固化物の研磨した試料の二層の
界面状態の反射型顕微鏡写真(×10)(気孔内の黒色
部が連通気孔の括れ部である。)
【図2】 本発明による固化物のX線回折チャート
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−325073(JP,A) 特開 平8−283078(JP,A) 特開 平8−283077(JP,A) 特開 平7−101787(JP,A) 特開 平8−325077(JP,A) 特開 平6−157119(JP,A) 特開 平3−88751(JP,A) 特開 昭61−77657(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 32/00 C04B 38/00 301

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気孔の形態が独立気孔を主体とする層と
    連通気孔を主体とする層とからなるトバモライトを含有
    する多層固化物であって、独立気孔を主体とする層の全
    気孔率が50%以下であり、連通気孔を主体とする層の
    連通気孔の断面占有比率が30〜95%であり、各層が
    積層状に成形され、オートクレーブ養生により一体化さ
    れてなることを特徴とする多層軽量吸音材。
  2. 【請求項2】 シリカ質骨材の断面占有比率が気孔を除
    いた固化物の断面積の5〜50%である特許請求の範囲
    第1項に記載の多層軽量吸音材。
  3. 【請求項3】 前記連通気孔の平均気孔直径が100〜
    2000μmである特許請求の範囲第1項または第2項
    に記載の多層軽量吸音材。
  4. 【請求項4】 連通気孔の括れ部の平均直径が30〜5
    00μmである特許請求の範囲第1項〜第3項のいずれ
    かに記載の多層軽量吸音材。
JP18859795A 1995-06-30 1995-06-30 多層軽量吸音材 Expired - Fee Related JP2891904B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18859795A JP2891904B2 (ja) 1995-06-30 1995-06-30 多層軽量吸音材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18859795A JP2891904B2 (ja) 1995-06-30 1995-06-30 多層軽量吸音材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0920547A JPH0920547A (ja) 1997-01-21
JP2891904B2 true JP2891904B2 (ja) 1999-05-17

Family

ID=16226449

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18859795A Expired - Fee Related JP2891904B2 (ja) 1995-06-30 1995-06-30 多層軽量吸音材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2891904B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0920547A (ja) 1997-01-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2263644C2 (ru) Гипсовые композиции и способы их получения
EP1088799B1 (en) A durable porous article of manufacture and a process to produce same
EP0678488B1 (en) Process for preparing solidified material containing coal ash
JP3009059B2 (ja) 発泡結合性組成物及びその製造方法
AU2008334394B2 (en) Sound-absorbing, resistant panels and process for making same
EP1088946A2 (en) Acoustical panel having a honeycomb structure and method of making the same
US20030178250A1 (en) Acoustical panel having a honeycomb structure and method of making the same
JPH10509940A (ja) エアロゲル含有複合材料、その製造方法及びその使用
CN113651573A (zh) 一种建筑楼地面保温隔声板及其加工方法
CN115124306A (zh) 一种大流态轻质高强eps混凝土及其制备方法
JP4641117B2 (ja) 無機質セメント複合板の製造方法
WO2003078350A1 (fr) Plaque composite a base de platre et de fibres inorganiques et procede de fabrication
JP2891904B2 (ja) 多層軽量吸音材
JP2000109380A (ja) 軽量無機質板
JP2891909B2 (ja) 軽量多層吸音材
CN108911689A (zh) 一种吸声材料
JP3801673B2 (ja) 多孔質吸音材
CN114230280A (zh) 一种高保温隔热轻质高强混凝土及其制备方法
JP2980828B2 (ja) 多孔質吸音材の製造方法
JP2863111B2 (ja) 潜在水硬性粒子を含有する軽量多層固化物
JP2863106B2 (ja) 軽量多層固化物の製造方法
CN115893941B (zh) 一种隔热保温清水混凝土墙材及其制备方法
CN113620635B (zh) 一种隔音助剂及含有该隔音助剂的隔音砂浆
JP2002316859A (ja) 石膏及び無機質繊維の複合板及びその製造方法
JPH11310480A (ja) 軽量無機質板

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19990202

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees