JP2891411B2 - 位相シフトマスク及び位相シフトマスクブランク - Google Patents
位相シフトマスク及び位相シフトマスクブランクInfo
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Description
光間に位相差を与えることにより、転写パターンの解像
度を向上できるようにした位相シフトマスク及びその素
材としての位相シフトマスクブランクに関し、特に、い
わゆるハーフトーン型の位相シフトマスク及びその素材
としての位相シフトマスクブランクに関する。
細パターン転写のマスクたるフォトマスクの1つとして
位相シフトマスクが用いられる。この位相シフトマスク
は、マスクを通過する露光光間に位相差を与えることに
より、転写パターンの解像度を向上できるようにしたも
のである。この位相シフトマスクの1つに、特に、単一
のホール、ドット又はライン等の孤立したパターン転写
に適したものとして、特開平4ー136854号公報に
記載の位相シフトマスクが知られている。
基板上に形成するマスクパターンを、実質的に露光に寄
与する強度の光を透過させる光透過部と実質的に露光に
寄与しない強度の光を透過させる光半透過部とで構成
し、かつ、この光半透過部を通過する光の位相をシフト
させて該光半透過部を通過した光の位相が上記光透過部
を通過した光の位相に対して実質的に反転する関係にな
るようにすることにより、前記光透過部と光半透過部と
の境界部近傍を通過した光が互いに打ち消しあうように
して境界部のコントラストを良好に保持できるようにし
たものである。このタイプの位相シフトマスクは、いわ
ゆるハーフトーン型位相シフトマスクと称されている。
この位相シフトマスクは、光半透過部が、露光光を実質
的に遮断する遮光機能と光の位相をシフトさせる位相シ
フト機能との2つの機能を兼ねることになるので、遮光
膜パターンと位相シフト膜パターンとを別々に形成する
必要がなく、構成が単純で製造も容易であるという特徴
も有している。
トマスクにおける光半透過部は、光透過率及び位相シフ
ト性能の双方について、要求される最適な値を有してい
る必要がある。ここで、光半透過部を一種類の材料によ
って構成した場合には、その厚さを選ぶことによって双
方の条件を同時に満たすようにしなければならないが、
これまで、このような条件を十分に満たすことができる
適当な材料の開発はなされていない。
透過率層との複数種類の材料からなる複数層構造にし、
低透過率層により主として光透過率を所定の値に調整
し、高透過率層により主として位相シフト量を調整する
ようにすることによって、光透過率及び位相シフト量の
双方の値を最適な値に設定することを容易にすることが
考えられている。図3及び図4は光半透過部を複数層構
造にした位相シフトマスクの部分断面図を示すものであ
る。図3に示される例は、透明基板10にストッパー膜
11を形成し、このストッパー膜11の上に高透過率層
たるSOG(塗布ガラス;スピン・オン・グラス)膜1
2を形成し、さらにこのSOG膜12の上に低透過率層
たるクロム膜13を形成したものである。また、図4に
示される例は、透明基板10の上にクロム膜13を形成
し、このクロム膜13の上にSOG膜12を形成したも
のである。
透過部を複数層構造にしたものは、以下の問題点があっ
た。
にSOGを用い、低透過率層を構成する材料にクロムを
用いていることから、マスクパターンを形成するための
エッチングを行う際、高透過率層たるSOG膜12をエ
ッチングするときと、低透過率層たるクロム膜13をエ
ッチングするときとで、異なる種類のエッチング媒質を
用いる必要があった。例えば、両者をサイドエッチング
を抑えるためにドライエッチングで行う場合には、SO
G膜12のエッチングを行うエッチングガスとして、C
F4 、CHF3 、SF6 、C2 F6 、NF3 、CF4 +
H2 、CBrF3 等のフッ化物系のガスを用いる。これ
に対して、低透過率層たるクロム膜13をエッチングす
るときは、CCl4 、Cl2 等の塩素系ガスを用いる必
要がある。これらのエッチングを同一のエッチング装置
内で行うと、前のエッチングガスが後のエッチングガス
に混入してエッチング条件を乱すおそれがでてくる。ま
た、このおそれを防止するために別々のエッチング装置
でエッチングを行うにはエッチング装置を余分に用意す
る必要が生ずるとともに、基板を一方のエッチング装置
から他方のエッチング装置に移送する手間が必要にな
り、さらに、その移送の際に基板にゴミ等の異物が付着
してパターン欠陥の原因をつくるおそれもでてくるとい
う問題があった。しかも、屈折率の低いSOGを用いて
いるため、フォトマスクのパターン段差が大きく、洗浄
時のパターン破損、あるいは、異物除去等の洗浄性の観
点から不利であるという問題もあった。
のであり、比較的単純な工程で微小欠陥の発生を押さえ
つつ製造でき、かつ、高解像度のパターン転写が可能な
位相シフトマスク及びその素材たる位相シフトマスクブ
ランクを提供することを目的としたものである。
めの手段として、請求項1の発明は、微細パターン露光
を施すためのマスクであって、透明基板上に形成するマ
スクパターンを、実質的に露光に寄与する強度の光を透
過させる光透過部と実質的に露光に寄与しない強度の光
を透過させる光半透過部とで構成し、かつ、この光半透
過部を通過する光の位相をシフトさせて該光半透過部を
通過した光の位相と前記光透過部を通過した光の位相と
を異ならしめることにより、前記光透過部と光半透過部
との境界部近傍を通過した光が互いに打ち消しあうよう
にして境界部のコントラストを良好に保持できるように
した位相シフトマスクであって、前記光半透過部を、金
属とシリコンとの混合ターゲットを用いてArとN2 O
又はNOとの混合ガス雰囲気で反応性スパッタによって
前記透明基板上に形成された酸素、窒素、金属及びシリ
コンを含む物質からなる薄膜で構成したことを特徴とす
る位相シフトマスクである。
ン、タンタル又はタングステンのいずれか1又は2以上
であることを特徴とする位相シフトマスクである。
NOとの混合ガスのArの組成比率が72〜84%であ
り、N2 O又はNOの組成比率が16〜28%であるこ
とを特徴とする請求項1又は2に記載の位相シフトマス
クである。
ずれかに記載の位相シフトマスクの素材として用いられ
る位相シフトマスクブランクであって、透明基板上に、
請求項1ないし3のいずれかに規定される薄膜を構成す
る物質で構成される薄膜を形成したことを特徴とする位
相シフトマスクブランクである。
相シフトマスクを示す部分断面図、図2は実施例にかか
る位相シフトマスクブランクを示す部分断面図である。
以下、これらの図を参照にしながら実施例にかかる位相
シフトマスク及び位相シフトマスクブランクを説明す
る。
はこの透明基板1の上に形成された光半透過部、符号4
は光透過部である。
研磨した石英ガラス基板(寸法;縦5インチ、横5イン
チ、厚さ0.09インチ)である。
リコンを主たる構成元素とする物質、例えば、酸化モリ
ブデンシリサイド(MoSiO)、あるいは、酸素、モ
リブデン及びシリコンの外に窒素をも構成元素とする酸
化窒化モリブデンシリサイド(MoSiON)の薄膜で
構成されている。この実施例では、露光光として水銀ラ
ンプのi線(波長λ=365nm)を用いることとし、
この露光光に対して光半透過部2が所定の位相シフト量
と所定の遮光性能とを同時に得られるようにするため、
酸素含有率(原子%)、窒素含有率(原子%)、膜厚d
(オングストローム)、光透過率を選定する。
n、露光光の波長をλとすると、膜厚dは次の(1) 式で
決定される。
とが望ましいが、実用的には160°≦φ≦200°で
あればよい。また、光半透過部2の露光光に対する光透
過率は、パターン形成の際に用いるレジストの感度にも
よるが、一般的には2〜20%が望ましい。この光半透
過部2の光透過率は、光半透過部を構成する薄膜の酸素
含有率、又は、酸素と窒素の含有率を選定することによ
って選ぶことができる。
含有率、又は、酸素及び窒素の含有率を変えたものを実
施例1〜9として表にして掲げたものである。なお、図
5において、耐酸性は、H2 SO4 (120℃の熱濃硫
酸)に2時間侵漬して変化が全く認められなかったもの
を○、変化はあるが許容できる範囲である場合を△とし
た。
酸化モリブデンシリサイド(MoSiO)の薄膜で構成
した例であり、実施例4〜9は光半透過部を酸化窒化モ
リブデンシリサイド(MoSiON)の薄膜で構成した
例である。このうち、実施例9は、薄膜の厚さ方向にお
いて表面近傍が他の部位より酸素の含有量を少ないもの
にした例である。
を図2を参照にしながら説明する。
の表面に酸化モリブデンシリサイド(MoSiO)の薄
膜(実施例1〜3)、又は、酸化窒化モリブデンシリサ
イド(MoSiON)の薄膜(実施例4〜9)からなる
光半透過膜2aを形成して位相シフトマスクブランクを
得る。
aを酸化モリブデンシリサイド(MoSiO)の薄膜で
構成する実施例1〜3の場合は次のようにして行う。
i)との混合ターゲット(Mo:Si=1:2mol
%)を用い、アルゴン(Ar)と酸素(O2 )との混合
ガス雰囲気(Ar;90〜80%、O2 ;10〜20
%、圧力;1.5×10-3Torr)で、反応性スパッタに
より、透明基板1上に膜厚1400〜2000オングス
トロームの薄膜を成膜することにより行う。なお、実施
例2の場合は、アルゴン(Ar;85%)と酸素
(O2 ;15%)との混合ガス雰囲気で膜厚2000オ
ングストロームに形成した。この場合、膜厚は、位相差
が180°になるように選定される。
ンシリサイド(MoSiON)の薄膜で構成する実施例
4〜9の場合は次のようにして行う。モリブデン(M
o)とシリコン(珪素;Si)との混合ターゲット(M
o:Si=1:2mol%)を用い、アルゴン(Ar)
と亜酸化窒素(N2 O)との混合ガス雰囲気(Ar;8
4〜72%、N2 O;16〜28%、圧力;1.5×1
0-3Torr)で、反応性スパッタにより、透明基板1上に
膜厚1400〜2000オングストロームの薄膜を成膜
することにより行う。なお、実施例4の場合は、アルゴ
ン(Ar;84%)と酸化窒素(N2 O;16%)との
混合ガス雰囲気で膜厚1400オングストロームに形成
した。また、この場合、酸化窒素(N2 O)ガスの代わ
りに、NOガス、あるいは、O2 +N2 ガスを用いても
よい。さらに、実施例9において、膜厚方向において酸
素含有量を異ならしめるためには、Arガスの分圧を制
御する。図6は実施例9の光透過膜の組成をオージェ分
析装置によって分析した結果を示す図である。図の縦軸
が各元素の含有率(%)、横軸がスパッタリング時間
(分)、すなわち、厚さ方向の位置を表すものである。
ンクの光半透過膜2aの上にレジスト膜を形成し、パタ
ーン露光、現像、エッチング、洗浄等の一連の周知のパ
ターン形成処理を施して、光半透過部2aの一部を除去
し、光透過部4と光半透過部2とでホールあるいはドッ
ト等のパターンを形成した位相シフトマスクを得る。な
お、この場合、酸化モリブデンシリサイド膜、又は、酸
化窒化モリブデンシリサイド膜のエッチングは、ドライ
エッチングによる場合はエッチングガスとして、CF4
+O2 混合ガスを用いればよい。
ように、露光光L0 が照射された場合、この露光光L0
は、光半透過部2を通過して図示しない非転写体に達す
る光L1 と光透過部4を通過して非転写体に達する光L
2 とに分かれる。この場合、光半透過部2を通過した光
L1 の強度は、実質的に露光に寄与しない程度の弱い光
である。一方、光透過部4を通過した光L2 は実質的に
露光に寄与する強い光である。したがって、これによ
り、パターン露光が行われる。その際、回折現象によっ
て光半透過部2と光透過部4との境界部を通過する光が
互いに相手の領域に回り込むが、両者の光の位相がほぼ
反転した関係にあるので、互いに相殺される。これによ
って境界領域での非転写体上における光強度はほぼ0に
なる。したがって、境界が極めて明確になり、解像度が
向上する。
を、酸素、モリブデン及びシリサイドを主たる構成元素
とする物質からなる薄膜で構成したことにより、光半透
過部2を複数層構造とすることなく1層の膜で構成して
も、光透過率及び位相シフト性能の双方について要求さ
れる最適な値を同時に満足させることが可能になった。
また、1層の膜で構成しているから、製造工程を極めて
単純にできるとともに、屈折率が高い薄膜で構成するの
で膜厚を極めて薄く形成でき、したがって、マスクのパ
ターン段差を従来のSOG膜とクロム膜との2層構造に
した場合の1/2ないし1/3程度に小さくできるか
ら、洗浄時のパターン破損、あるいは、異物除去等の洗
浄性の観点からも有利となる。しかも、酸素、モリブデ
ン及びシリコンを主たる構成要素とする物質からなる薄
膜は、スパッタリングの外にも蒸着等の一般の成膜技術
で容易に形成でき、しかも、酸素含有量、又は酸素及び
窒素含有量を調整することにより光透過率や耐酸性を制
御でき、しかも、ドライエッチングにおけるエッチング
選択性の向上も図ることができるので、所望の特性の半
透過部を得ることを比較的容易にする。
スクの歪みを少なくできると共に、石英基板等の透明基
板に対する優れた密着性を確保することができる。
する物質の構成要素としての金属としてモリブデンを用
いる例を掲げたが、これは、タンタルもしくはタングス
テンを用いてもよい。
ンプのi線(365nm)を用いた例を掲げたが、本発
明は、露光光として、他の波長のもの、例えば、g線
(436nm)、KrFエキシマレーザー光(248n
m)等を用いた場合にも適用できることは勿論である。
この時は、それぞれの露光波長に対する薄膜の屈折率や
吸収率を検討して、酸素や窒素の含有率、膜厚を調整す
ればよい。
光半透過部を、モリブデンとシリコンとの混合ターゲッ
トを用いてArとN2 O又はNOとの混合ガス雰囲気で
反応性スパッタによって前記透明基板上に形成された酸
素、窒素、金属及びシリコンを含む物質からなる薄膜で
構成したことにより、光半透過部を1種類の材料からな
る1層の膜で構成しても、光透過率及び位相シフト性能
の双方について要求される最適な値を同時に満足させる
ことが容易に可能になった。また、1層の膜で構成でき
るから、製造工程を極めて単純にできるとともに、屈折
率が高い薄膜で構成するので膜厚を極めて薄く形成で
き、したがって、マスクのパターン段差を小さくできる
から、洗浄時のパターン破損、あるいは、異物除去等の
洗浄性の観点からも有利であるという効果を得ている。
構成を示す部分断面図である。
ランクの構成を示す部分断面図である。
断面図である。
断面図である。
置で分析した結果を示した図である。
…光透過部。
Claims (4)
- 【請求項1】 微細パターン露光を施すためのマスクで
あって、透明基板上に形成するマスクパターンを、実質
的に露光に寄与する強度の光を透過させる光透過部と実
質的に露光に寄与しない強度の光を透過させる光半透過
部とで構成し、かつ、この光半透過部を通過する光の位
相をシフトさせて該光半透過部を通過した光の位相と前
記光透過部を通過した光の位相とを異ならしめることに
より、前記光透過部と光半透過部との境界部近傍を通過
した光が互いに打ち消しあうようにして境界部のコント
ラストを良好に保持できるようにした位相シフトマスク
であって、 前記光半透過部を、金属とシリコンとの混合ターゲット
を用いてArとN2 O又はNOとの混合ガス雰囲気で反
応性スパッタによって前記透明基板上に形成された酸
素、窒素、金属及びシリコンを含む物質からなる薄膜で
構成したことを特徴とする位相シフトマスク。 - 【請求項2】 前記金属がモリブデン、タンタル又はタ
ングステンのいずれか1又は2以上であることを特徴と
する請求項1に記載の位相シフトマスク。 - 【請求項3】 前記ArとN2 O又はNOとの混合ガス
のArの組成比率が72〜84%であり、N2 O又はN
Oの組成比率が16〜28%であることを特徴とする請
求項1又は2に記載の位相シフトマスク。 - 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の位
相シフトマスクの素材として用いられる位相シフトマス
クブランクであって、透明基板上に、請求項1ないし3
のいずれかに規定される薄膜を構成する物質で構成され
る薄膜を形成したことを特徴とする位相シフトマスクブ
ランク。
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---|---|---|---|
JP21624897A JP2891411B2 (ja) | 1993-03-26 | 1997-08-11 | 位相シフトマスク及び位相シフトマスクブランク |
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JP05068190 | 1993-03-26 | ||
JP21624897A JP2891411B2 (ja) | 1993-03-26 | 1997-08-11 | 位相シフトマスク及び位相シフトマスクブランク |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5737194A Division JP2837803B2 (ja) | 1993-03-26 | 1994-03-28 | 位相シフトマスク及び位相シフトマスクブランク |
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Publication Number | Publication Date |
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JP5332879B2 (ja) * | 2009-04-30 | 2013-11-06 | 東洋紡株式会社 | 表面改質繊維を用いたプリプレグ |
-
1997
- 1997-08-11 JP JP21624897A patent/JP2891411B2/ja not_active Expired - Fee Related
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