JP2890637B2 - 光学記録媒体の再生方法 - Google Patents

光学記録媒体の再生方法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は書き換え可能な光学記録媒体の再生方法に関
する。
従来の技術 従来から、波長の異なる2種類の光を照射することに
より可逆的な色の変化を生ずるフォトクロミック化合物
を利用した光学記録媒体が提案されている。
以下に、単量体及び会合体を有するフォトクロミック
化合物を用いた光学記録媒体の記録及び再生方法につい
て説明する。
まず、フォトクロミック化合物に高分子材料を混合し
て基板上に均一に製膜し、製膜後フォトクロミック化合
物に紫外線を照射して無色体から着色体に変換し記録層
の初期化を行なう。次に、室温下で可視光線を照射し、
光反応によりフォトクロミック化合物を着色体から無色
体に変換して照射部の吸光度を低下させ、記録を行う。
ついで、室温下で、記録の際に用いた可視光線と同一波
長でかつ記録の際に用いた可視光線よりも強度の弱い可
視光線を用い、単量体の着色体における最大吸収波長
(λmax)の吸光度検知により再生(記録の読み取り)
を行なう。また、記録の消去は、紫外線の照射により無
色体を着色体に戻すことにより行なうものである。以上
のように上記方法を繰り返すことによりフォトクロミッ
ク化合物を用いた光学記録媒体の記録再生を行なってい
る。
次に第1図を用いて、単量体及び会合体を有するフォ
トクロミック化合物を記録層に含む光学記録媒体の消去
後の吸光度特性を示す。同図において、(A)は記録消
去直後(単量体リッチ状態)の吸光度特性、(B)は記
録消去後30分(単量体と会合体混在状態)の吸光度特
性、(C)は記録消去後60分(会合体リッチ状態)の吸
光度特性であ。同図から、消去後の経過時間と共に吸光
度特性が変化し、単量体の着色体が吸収極大を示す波長
(λmax)(曲線Aのピーク波長)での曲線B、Cの吸
光度が減少することがわかる。これは消去時の紫外線照
射の2次反応により発生した熱が冷めることによって、
単量体が徐々に会合体に変化するためである。従って、
会合体の生成により、単量体の着色体が吸収極大を示す
波長(λmax)での吸光度検出による再生は再現性が低
下し、再生エラーを発生する。
発明が解決しようとする課題 以上のように従来の単量体及び会合体を有するフォト
クロミック化合物を用いた光学記録媒体の再生方法で
は、消去時の紫外線照射の2次反応によって発生した熱
が冷めることにより、単量体が会合体に1部変化し、再
生時の検出波長(単量体の着色体が吸収極大を示す波
長)に対する会合体の着色体と単量体の着色体が示す吸
光度が異なるため、再生時の検出吸光度が変化し再生エ
ラーを生じる。また前記単量体から会合体への構造変化
は、平衡状態に到達するまでに数十秒から数時間の時間
が必要であり、その反応速度が温度に依存するため、消
去後の経過時間及び環境温度に依存して吸光度が徐々に
変化し再生の再現性を低下させる。
そこで本発明は、会合体を有するフォトクロミック化
合物を用いた光学記録媒体において、再現性に優れた再
生方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段 本発明は上記問題点を解決するため、単量体及び会合
体を有するフォトクロミック化合物を記録層中に含む光
学記録媒体の再生方法において、吸光度検出波長を単量
体の着色体と会合体の着色体の吸光度係数がほぼ等しく
なる波長にしたことを特徴とする。
作用 上記のように、単量体の着色体と会合体の着色体の吸
光度係数がほぼ等しくなる波長での吸光度検出によって
再生を行なうことにより、単量体から会合体への構造変
化が生じた場合にも、単量体と会合体の存在量の和が変
化しないため、検出される吸光度が変動しないという効
果を奏するものである。
実施例 本発明に用いられる光学記録媒体に使用する単量体及
び会合体を有するフォトクロミック化合物としては、ス
ピロピラン、フルギド、チオインヂゴ、ジヒドロピレ
ン、アゾベンゼン、ビオロゲン、スチルベン等がある。
ここでは特に会合体を形成しやすいスピロピランについ
ての実施例を書いたが、他の単量体及び会合体を有する
フォトクロミック化合物についても同様の結果が得られ
る。
以下に具体的実施例を用いて説明する。
実施例1 本実施例に用いたスピロピランは、下記構造式におい
てR3=C18H37のものである。
(R3は炭化水素基、またはH) 上記構造のスピロピラン(以下化合物Aと略す)を、
化合物A/ステアリン酸=1/1の1mMベンゼン溶液に調整す
る。これを下記の条件でラングミュアー・ブロジェット
法(以下LB法と言う)により石英基板上に5層累積し
て、光学記録媒体を作製した。
LB膜製膜条件 サブフェーズ:pH6.7(Na2HPO4/KH2PO4) 温度:20℃ 圧縮速度:1400mm2/min 累積圧:20mN/m 初期状態の記録層に、特定波長の可視光を照射して記
録を行い、ついで紫外線(340nm)を照射し消去を行な
った後、単量体の着色体と会合体の着色体の吸光度係数
のほぼ等しい波長である620nmで吸光度を検出した。表
1に、25℃と30℃での再生時検出吸光度(消去直後と消
去60分後)を示す。表1の結果から、検出吸光度は消去
直後と消去後60分で変化がなく、経時変化をしないこと
がわかる。また、25℃と30℃の温度変化に対しても変化
しないことが確認された。
比較例1 本実施例1との比較のため、本実施例1に使用した光
学記録媒体を、従来通り単量体の着色体の吸収極大波長
600nmでの吸光度検出により再生した結果を表2に示
す。
表2の結果から、再生時の吸光度が消去直後と消去60
分後で異なり、また消去60分後の吸光度が25℃と30℃で
異なることから、吸光度が消去後の経過時間と温度に依
存して変化する事が確認され,本実施例と異なり再生の
再現性に劣ることがわかる。
実施例2 上記実施例1の化合物Aの代わりに、下記構造式にお
いてR1=C18H37,R2=C21H43のスピロピラン(以下化合
物Bと略す。)を用いた。
(R1,R2は炭化水素またはH) 化合物B/HC18=1/2のベンゼン溶液から膜の積層数5
層からなる記録層を形成し、実施例1と同様な記録、消
去の操作を行なった後、単量体の着色体と会合体の着色
体の吸光度係数がほぼ等しい波長560nmで再生時検出吸
光度を検知した。その結果を表3に示す。
表3の結果から、消去直後及び消去後60分の吸光度に
変化がなく、また消去後60分における25℃と30℃の吸光
度がほぼ同じことから、消去後の経過時間及び温度によ
る依存性がないことが確認された。
比較例2 上記実施例2の比較のため、本実施例2で使用した光
学記録媒体を従来通り単量体の着色体の吸収極大波長61
8nmで吸光度を検知して再生を行なった。その結果を表
4に示す。
表4の結果から、25℃の条件で消去60分後に約5%吸
光度が減少し、35℃では約33%減少した。
以上のように、本実施例においては、再現性、安定性
に優れた再生が可能であることが確認された。
本実施例において記録媒体はLB法により作成したがス
ピンコート法あるいは蒸着法等の他の方法によっても良
く、特に作成方法の制限は受けない。
発明の効果 本発明により、会合体を形成するフォトクロクミック
化合物を光学記録媒体に用いた場合においても、消去後
及び再生時に検出される吸光度が消去後の経過時間や温
度に依存せず、再現性のよい再生が可能になる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、会合体を有するフォトクロミック化合物を用
いた光学記録媒体の消去後における経過時間と着色体の
吸光度特性の一例を示す図である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フォトクロミック化合物の単量体と会合体
    を記録層中に含む光学記録媒体に光を照射し、前記単量
    体と会合体の吸光度係数がほぼ等しくなる波長における
    吸光度検知によって再生を行なうことを特徴とする光学
    記録媒体の再生方法。
  2. 【請求項2】フォトクロミック化合物がスピロピランで
    あることを特徴とする請求項1に記載の光学記録媒体の
    再生方法。
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