JP2889965B2 - 定着装置用オイル塗布・クリーニング部材、その製造方法、及び電子写真用定着装置 - Google Patents

定着装置用オイル塗布・クリーニング部材、その製造方法、及び電子写真用定着装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は静電複写機等の電子写真装置における定着装
置用オイル塗布・クリーニング部材に関するものであ
る。
〔従来の技術〕
電子写真装置の定着装置においては、定着ローラに付
着したトナーが複写紙に転移してこれを汚染する、いわ
ゆるオフセット現象の発生を防止するために、定着ロー
ラの表面に適量のシリコーンオイルなどを供給しかつ拭
うことにより付着したトナー粉を除去するオイル塗布・
クリーニング部材を設けることが普通である。そして、
かかるオイル塗布・クリーニング部材としては、例えば
実開昭58−96855や特開昭63−37369などに開示されてい
るように、内部にシリコーンオイルを封入した中空円筒
体などの芯金の周囲に一層以上の繊維層を設けたオイル
塗布・クリーニングローラや、支持材に芳香族ポリアミ
ドフェルトなどを取付け、これにシリコーンオイルを含
浸させたオイル塗布・クリーニングパッドなどが公知で
ある。
しかしながらこれら従来のオフセット防止用オイル塗
布・クリーニング部材は、トナー粉拭い去り能力が高い
ほどその繊維層の表面にトナー粉が過剰に蓄積し、これ
が固まって脱落するとかえって複写紙を汚損する結果と
なる。そして又、繊維層表面に蓄積したトナー粉はオイ
ルの浸出を阻害し、そのため更にトナー粉が蓄積し易く
なり、定着ローラの表面を傷つけたり磨耗させる等の欠
点があった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、このような従来のオフセット防止用オイル
塗布・クリーニング部材の欠点を解消し、長期にわたっ
てオフセットの発生が防止できるとともに定着ローラに
対しても磨耗などの障害を与えることのないオイル塗布
・クリーニング部材を提供することを目的とした。
〔課題を解決するための手段〕
かかる本発明の目的は、定着ローラの表面に接触する
吸油性繊維体を備えてなる定着装置用オイル塗布・クリ
ーニング部材において、該吸油性繊維体が不織布、不織
紙、または人工皮革から選択された複数の繊維層から構
成されていると共に、表面の少なくとも一部にシリコー
ン樹脂が滴状又は膜状に固着した繊維が、繊維間隙が充
填されず且つオイルの透過を阻害しない状態で最外層の
吸油性繊維体に含まれていることを特徴とする定着装置
用オイル塗布・クリーニング部材によって達成すること
ができる。
本発明のオイル塗布・クリーニング部材に用いられる
繊維体は、不織布、不織紙、または人工皮革から選択さ
れたものであることが好ましく、セルロース系や、芳香
族ポリアミド系、ポリイミド系などの耐熱性の繊維から
形成されたものであることが望ましい。
このような繊維体は、例えばオイルを封入した中空円
筒体状の芯金の周囲に、例えば1層以上巻き付けるなど
して設けてローラを形成するか、あるいは支持材に取付
けてパッドとして利用することができるが、繊維体の定
着ローラ表面と接触する部分を構成する繊維は、表面の
少なくとも一部がシリコーン樹脂で被覆されているもの
であることが必要である。
このような繊維の表面の少なくとも一部をシリコーン
樹脂で被覆するにあたっては、溶剤で希釈したシリコー
ン樹脂を繊維体の表面に適量を噴霧して付着させ、次い
で乾燥して、シリコーン樹脂を硬化させる方法を用いる
ことができる。このような方法で繊維の表面に付着した
シリコーン樹脂は、それぞれの繊維の表面の少なくとも
一部に滴状または膜状となって固着しているが、シリコ
ーン樹脂の噴霧量が多過ぎるときは繊維体を構成する繊
維の間隙が樹脂で充填されるために、シリコーンオイル
の供給が阻害されるなどの不都合が生ずるから好ましく
ない。
〔作 用〕
本発明のオイル塗布・クリーニング部材は、シリコー
ンオイルによくなじみ、定着ローラの表面にむらなくシ
リコーンオイルを供給することができるので、定着ロー
ラにはトナーが蓄積することがなく、長期間オフセット
の発生を防止できるものである。
〔実施例〕
外径23mm、長さ450mmの鉄製の芯金の周囲に、芳香族
ポリアミド繊維からなる厚さ0.08mm、目付64g/m2の不織
布(呉羽テック(株)製、NX6064)を厚さ2.5mmとなる
ように巻付け、更に芳香族ポリアミド繊維からなる厚さ
1.1mm、目付320g/m2のフェルト状不織布(呉羽テック
(株)、NX532)を厚さ1mmとなるように巻付けて、オイ
ル塗布・クリーニングローラを形成した。次いで、シリ
コーン樹脂(トーレ・ダウコーニング(株)、SR−231
6、30%有機溶剤溶液)を前期のローラの表面上に均一
に噴霧して、樹脂固形分が1gとなるように不織布に付着
させ、本発明のオイル塗布・クリーニングローラを得
た。
また、比較のために、シリコーン樹脂を付着させない
以外は前記と全く同様な構造のオイル塗布・クリーニン
グローラを用意した。
これらのオイル塗布・クリーニングローラに、それぞ
れ粘度10000センチストークスのシリコーンオイル約40g
を含浸させて電子複写機の定着装置に組み込み、A4版の
複写紙を用いて毎分45枚の速度で連続複写試験を行なっ
た。比較品のオイル塗布・クリーニングローラの場合に
は、複写数約4万5千枚に達したときにその表面に蓄積
したトナー粉の脱落によってオフセット現象が発生した
のに対し、本発明品のオイル塗布・クリーニングローラ
では、その表面に僅かにトナー粉の付着が認められたの
みで、複写数15万枚でもオフセット現象の発生は認めら
れなかった。
〔発明の効果〕
本発明の定着装置用オイル塗布・クリーニング部材
は、定着ローラに対してシリコーンオイルを均一に塗布
することができ、拭い取ったトナー粉の蓄積がなくてオ
フセット現象の発生も少ない。更に、オイル塗布・クリ
ーニング部材自身の使用寿命が長いばかりでなく、定着
ローラの磨耗や傷の発生を防いで定着ローラの寿命を延
長する効果もある。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】定着ローラの表面に接触する吸油性繊維体
    を備えてなる定着装置用オイル塗布・クリーニング部材
    において、該吸油性繊維体が不織布、不織紙、または人
    工皮革から選択された複数の繊維層から構成されている
    と共に、表面の少なくとも一部にシリコーン樹脂が滴状
    又は膜状に固着した繊維が、繊維間隙が充填されず且つ
    オイルの透過を阻害しない状態で最外層の吸油性繊維体
    に含まれていることを特徴とする定着装置用オイル塗布
    ・クリーニング部材。
  2. 【請求項2】オイル塗布・クリーニング部材が、オイル
    を封入した中空円筒体からなる芯金の周囲に前記の吸油
    性繊維体を設けたオイル塗布・クリーニングローラであ
    る、請求項(1)に記載の定着装置用オイル塗布・クリ
    ーニング部材。
  3. 【請求項3】オイル塗布・クリーニング部材が、支持材
    に前記の吸油性繊維体を取付けたオイル塗布・クリーニ
    ングパッドである、請求項(1)に記載の定着装置用オ
    イル塗布・クリーニング部材。
  4. 【請求項4】芯金の周囲に設けた又は支持材に取付けた
    吸油性繊維体の表面に溶剤で希釈したシリコーン樹脂を
    噴霧して付着させ、次いで乾燥・硬化して、吸油性繊維
    体の最外層に含まれる繊維の表面の少なくとも一部にシ
    リコーン樹脂が滴状又は膜状に固着していると共に、繊
    維間隙が充填されず且つオイルの透過を阻害しない状態
    に転化することを特徴とする、定着装置用オイル塗布・
    クリーニング部材の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項(1)乃至(3)のいずれかに記載
    の定着装置用オイル塗布・クリーニング部材が組み込ま
    れていることを特徴とする電子写真用定着装置。
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