JP2889023B2 - 眼用レンズの切削用保持装置 - Google Patents

眼用レンズの切削用保持装置

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JP2889023B2
JP2889023B2 JP3222211A JP22221191A JP2889023B2 JP 2889023 B2 JP2889023 B2 JP 2889023B2 JP 3222211 A JP3222211 A JP 3222211A JP 22221191 A JP22221191 A JP 22221191A JP 2889023 B2 JP2889023 B2 JP 2889023B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、コンタクトレンズ等の眼用レン
ズを切削形成する際に用いられる、レンズ材料を保持す
る眼用レンズの切削用保持装置に係り、特にプリズムバ
ラスト構造を有する眼用レンズの製造に際して有利に用
いられ得る眼用レンズの切削用保持装置に関するもので
ある。
【0002】
【背景技術】遠近両用型の老眼矯正用コンタクトレンズ
や、トーリック形状の乱視矯正用コンタクトレンズな
ど、複数焦点式の眼用レンズでは、その装着状態下、レ
ンズ軸心回りの位置決めをする必要があるが、かかる位
置決め手法の一つとして、レンズ凸面または凹面をレン
ズ中心から所定量だけ偏心させて、レンズ周縁部の一箇
所を厚肉化してやることにより、重力の作用により位置
決めを行なうようにした、所謂プリズムバラスト(prism
ballast) 構造が知られている。
【0003】ところで、一軸回りに回転せしめられる切
削工具により、所定のレンズ材料を切削せしめて、眼用
レンズのレンズ面を形成する旋盤装置としては、一般
に、(1)レンズ材料を保持したチャック部材側を回
転、旋回させることなく、一軸回りに回転せしめられる
切削工具を、該回転軸に直交する軸心回りに旋回させる
ことにより、レンズ面を切削形成するようにした、切削
工具側旋回型の旋盤装置と、(2)レンズ材料を保持し
たチャック部材側を旋回させつつ、該旋回軸に直交する
一軸回りに回転せしめられる切削工具にて、レンズ面を
切削形成するようにした、チャック側旋回型の旋盤装置
とが、知られている。
【0004】そして、これら何れのタイプの旋盤装置に
おいても、レンズ材料の中心軸と切削工具の回転中心軸
が、同一旋回面内に存在すれば、偏心量を有しない眼用
レンズが製造されることとなり、レンズ材料の中心軸と
切削工具の回転中心軸とを、旋回面に直角な方向にずら
してやることにより、レンズ面がレンズ中心から偏心し
た、プリズムバラスト構造等の眼用レンズを製造するこ
とができるのである。
【0005】具体的には、偏心したレンズ面を有する眼
用レンズの製造は、従来から、一般に、所定の偏心量が
設定されたチャック部材を用いてレンズ材料を保持せし
めることにより、レンズ材料の中心軸を、切削工具の回
転中心軸に対して、旋回面に直角な方向で、所定距離だ
けずらしてやることにより、行なわれている。
【0006】しかしながら、かくの如き従来手法におい
ては、製品たるレンズに要求される設計偏心量に応じ
て、レンズ材料を保持するチャック部材を、いちいち、
対応した偏心量を有するチャック部材に交換する必要が
あり、その作業が極めて面倒であり、生産性を著しく低
下させる原因となっていたのである。しかも、各種の設
計偏心量に応ずるために、異なる偏心量が設定された多
数(通常、数百本)のチャック部材をストックしておく
必要があるといった問題も内在していたのである。
【0007】なお、前記(2)のチャック側旋回型の旋
盤装置では、そのようなチャック部材を交換する代わり
に、切削工具の回転中心軸を、チャック部材に対して、
旋回面に直角な方向で偏倚させてやることも可能である
が、そのためには、切削工具の駆動装置を含む全体を移
動させる必要があることから、装置が極めて複雑となる
と共に、移動させるための駆動装置が大型化することが
避けられないといった問題があったのである。しかも、
そのように、高速回転する切削工具側に移動機構を備え
付けることは、機械の精度の保証が難しくなることか
ら、得られる製品の精度が低下してしまう恐れがあると
いった、極めて大きな問題も内在していたのである。
【0008】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、チャック部材の交換を必要とすることな
く、種々なる偏心量を有するレンズ面を切削形成するこ
とが可能であり、しかも、装置自体がそのために複雑或
いは大型になることがなく、加工精度も有利に保証され
得る、新規な構造の眼用レンズの切削用保持装置を提供
することにある。
【0009】
【解決手段】そして、かかる課題を解決するために、本
発明にあっては、一軸回りに回転する切削工具により、
所定のレンズ材料を切削せしめて、眼用レンズを形成す
るに際し、かかるレンズ材料を保持する眼用レンズの切
削用保持装置であって、(a)前記レンズ材料を保持す
るチャック部材と、(b)該チャック部材の外側に配さ
れた、円形の案内孔を備えたリング部材と、(c)該リ
ング部材の案内孔内において、該案内孔の中心軸から所
定距離偏心した主軸回りに相対回動可能に、且つ該主軸
に直交する直線上で相対変位可能に配設されると共に、
その変位方向の一端側において前記案内孔の内周面に当
接、案内せしめられることにより、かかるリング部材に
対する相対回動に伴い、該主軸に直交する直線上で変位
せしめられる、前記チャック部材を前記主軸に対して偏
心可能に支持せしめるチャック保持部材と、(d)前記
リング部材と前記チャック保持部材とを、前記主軸回り
に相対回動せしめる駆動手段とを、有する眼用レンズの
切削用保持装置を、その特徴とするものである。
【0010】また、本発明にあっては、かくの如き眼用
レンズの切削用保持装置であって、前記リング部材およ
び前記チャック保持部材が、何れも、前記主軸回りに回
動可能とされると共に、それらリング部材およびチャッ
ク保持部材における、何れか一方の側に、前記駆動手段
による回動駆動力が及ぼされることにより、それらリン
グ部材とチャック保持部材とが一体的に回動可能とされ
ている一方、かかるリング部材およびチャック保持部材
における、何れか他方を、所定の固定部材に対して固定
せしめることにより、それらリング部材とチャック保持
部材との相対回動を生ぜしめる固定手段が設けられてい
る眼用レンズの切削用保持装置をも、その特徴とするも
のである。
【0011】更にまた、本発明は、前記リング部材の案
内孔内において、前記主軸に直交する直線上で変位可能
に配設された前記チャック保持部材に対して、かかる変
位方向で相対的に接近、離隔変位可能に、対向部材を配
すると共に、該チャック保持部材と該対向部材との間
に、それらを離隔方向に付勢する付勢手段を介装せしめ
ることにより、該チャック保持部材と該対向部材とを、
前記リング部材の案内孔の内周面における、それらチャ
ック保持部材および対向部材の変位方向で対向位置する
点に対して、それぞれ押し付けて当接せしめるようにし
た眼用レンズの切削用保持装置をも、その特徴とするも
のである。
【0012】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に明らかにするた
めに、本発明の実施例について、図面を参照しつつ、詳
細に説明することとする。
【0013】先ず、図1には、本発明に従う構造とされ
たコンタクトレンズの切削用保持装置を備えた、コンタ
クトレンズの旋盤装置の全体構成が、概略的に示されて
いる。かかる図において、10は、基台12上に、旋回
台13を介して、配設支持された保持装置であり、レン
ズ材14を保持せしめるチャック部材としてのチャック
16を備えていると共に、かかるレンズ材14のレンズ
軸に対して直交する旋回中心軸18回りに、旋回駆動モ
ータ20によって、装置10全体が旋回せしめられるよ
うになっている。
【0014】また、22は、切削装置であって、図示し
ない駆動モータによって回転中心軸26回りに回転せし
められる作動軸28を備えており、かかる作動軸28に
対して、図2及び図3に示されている如き、バイト30
が固着された切削工具32が装着されていると共に、移
動装置36により、基台34に対して、回転中心軸26
に平行に往復移動せしめられるようになっている。更に
また、基台34は移動装置を含んで構成されており、切
削装置22が、下部基台39に対して、回転中心軸26
の直角方向に移動せしめられるようになっている。
【0015】そして、公知の如く、切削装置22の切削
工具32を、回転中心軸26回りに回転せしめると共
に、保持装置10のチャック16にて保持されたレンズ
材14側に移動させて、該切削工具32のバイト30に
よって、レンズ材14の表面を切削せしめつつ、かかる
保持装置10を旋回軸18回りに旋回させることによ
り、所定曲率のレンズ面が切削形成されることとなるの
である。
【0016】そこにおいて、保持装置10にあっては、
チャック16の交換を必要とすることなく、レンズ材1
4を、切削装置22の回転中心軸26に対して、旋回面
に直角な方向(図1中、上下方向)において、任意の量
だけ偏心させて保持せしめることができるようになって
いる。以下、この保持装置10の構造およびレンズ材1
4の偏心量調節作用を、具体的に説明する。
【0017】図4乃至図7に示されているように、かか
る保持装置10は、筒型のハウジング42を有してお
り、この筒型のハウジング42によって、基台12に設
けられた旋回台13上に、固定的に取り付けられ、支持
されている。また、かかるハウジング42における軸方
向一方の開口部には、略厚肉円筒形状の摺接筒体48
が、圧入されて嵌着固定されている。
【0018】また、このハウジング42の内部には、略
ロッド状の加工軸40が、挿通され、略同軸的に配され
ており、軸方向両側において、ベアリング44,46を
介し、ハウジング42および摺接筒体48によって、主
軸38の回りに回動可能に支持されている。なお、図4
中、50,52は、ベアリング44,46の配設部位へ
の異物の進入を阻止するシール部材である。
【0019】そして、かかる加工軸40の軸方向一端部
には、プーリ53が取り付けられており、このプーリ5
3に対して、図示しない駆動装置による駆動力が及ぼさ
れることにより、加工軸40が、主軸38の回りに回動
せしめられるようになっている。
【0020】また、かかる加工軸40には、軸方向中間
部分において、円板状のブレーキディスク54が、複数
本のボルト56によって固設されている一方、ハウジン
グ42側には、略円筒形状のブレーキピストン58が、
かかるブレーキディスク54に対して、軸方向に接近/
離隔変位可能に配設されている。このブレーキピストン
58は、常時、図示しない付勢手段にて、ブレーキディ
スク54側に付勢されており、それによって、該ブレー
キディスク54が、ブレーキピストン58とパッド材6
0との間で挟圧せしめられ、前記加工軸40の、ハウジ
ング42に対する主軸38回りの回動が阻止されてい
る。また一方、ブレーキピストン58とハウジング42
との間には、密閉された作用室62が設けられており、
この作用室62に圧力空気を導くことにより、ブレーキ
ピストン58がブレーキディスク54から離隔せしめら
れ、以て、前記加工軸40の、ハウジング42に対する
主軸38回りの回動が許容され得るようになっている。
【0021】さらに、加工軸40には、その軸方向一方
の端部に対して、全体として略厚肉円筒形状を呈するチ
ャック取付金具64が、複数本のボルト66によって、
同軸的に取り付けられている。そして、このチャック取
付金具64の内孔68に挿入された状態で、チャック保
持部材としての略筒状のチャック保持金具70が配設さ
れており、更にこのチャック保持金具70内に挿通され
た状態で、前記チャック16が保持されている。
【0022】そこにおいて、チャック取付金具64は、
その内孔68が、加工軸40側の所定長さ部分に亘って
大径化されて、そこに突出ピストン74が配設されてい
ると共に、該突出ピストン74と加工軸40の端面との
間に、シリンダ室72が形成されている。また、前記摺
接筒体48および加工軸40には、それらの内部を貫通
して、かかるシリンダ室72に至る空気通路76が形成
されており、そして、この空気通路76を通じて、シリ
ンダ室72内に圧縮空気が導かれることにより、かかる
突出ピストン74が、軸方向外方に突出駆動せしめられ
るようになっている。
【0023】さらに、前記チャック保持金具70は、全
体として略円筒形状を呈しており、その一方の開口側端
部において、後述するチャック16の把持部90を径方
向内方に押え込んで縮径せしめる押え筒部100を備え
ている。また、かかるチャック保持金具70にあって
は、チャック取付金具64への挿入部分が、該チャック
取付金具64の内孔68よりも所定寸法小さな外径をも
って形成されていると共に、軸方向中間部分において、
軸直角方向一方向に突出して延び出す突出片78が、一
体的に設けられている。なお、この突出片78にあって
は、突出方向一方の側が、他方の側よりも長くされてい
ると共に、その突出端部が先細状の当接部80とされて
いる。また、かかる突出片78の両側部には、それぞ
れ、突出方向全長に亘って延びる突条82,82が、一
体的に設けられている。
【0024】そして、かかるチャック保持金具70は、
その突出片78の両側面を、チャック取付金具64に対
してボルト84にて固定された一対の略半円板状の案内
金具86,86により挟まれると共に、その突条82,
82を、チャック取付金具64と案内金具86,86と
の間で挟まれることによって、チャック取付金具64に
対して、組み付けられている。即ち、このような組付状
態下、かかるチャック保持金具70にあっては、チャッ
ク取付金具64に対して、軸方向の相対的変位が阻止さ
れている一方、チャック取付金具64の内孔68内にお
いて、その突出片78の突出方向で、軸直角方向の相対
的変位が所定量許容され得るようになっているのであ
る。
【0025】また、このチャック保持金具70の突出片
78における、当接部80が設けられていない方の端部
側には、対向ブロック85が対向して配設されている。
かかる対向ブロック85は、幅方向両側に突条83,8
3を有する、突出片78と同一の断面形状をもって形成
されており、突出片78と同様、チャック取付金具64
と案内金具86,86により、該突出片78の突出方向
に変位可能に組み付けられている。また、この対向ブロ
ック85における外側端部は、先細状の当接部89とさ
れている。
【0026】さらに、これら突出片78と対向ブロック
85との対向面間には、コイルスプリング87が介装さ
れ、互いに離隔方向に付勢されている。それによって、
後述するリング金具102における案内孔106の内周
面に対して、それら両部材78,85の当接部80,8
9が、それぞれ当接せしめられるようになっているので
ある。
【0027】また、かかるチャック保持金具70に対し
て組み付けられるチャック16は、全体として略有底円
筒形状を呈しており、その開口側部分において、外方に
向かって拡径する把持部90を備えている。なお、この
チャック16には、把持部90側から軸方向に所定長さ
で延びる四条のスリット92が、十文字状に設けられて
おり、その変形作用によって、把持部90における内径
が可変とされている。
【0028】そして、チャック16は、チャック保持金
具70の内孔88に対し、軸方向にのみ変位可能に挿通
されて組み付けられている。即ち、このチャック16に
あっては、加工軸40により、チャック保持金具70お
よびチャック取付金具64を介して、支持されており、
その組付状態下、該加工軸40に対して、チャック保持
金具70に設けられた突出片78の突出方向に相当す
る、主軸38に直角な一方向において、チャック保持金
具70と一体的に、所定量だけ相対変位可能とされてい
るのである。
【0029】また、チャック16の把持部90には、該
チャック16のスリット92に対応した四本の脚部を備
えた押え金具94が挿入され、係止ボルト96により、
チャック保持金具70に対して固定的に取り付けられて
いると共に、かかる押え金具94と、チャック16の底
壁部との間に、コイルスプリング98が介装されてい
る。それによって、コイルスプリング98の付勢力が、
チャック16をチャック保持金具70に対して奥方に押
し込む方向に及ぼされており、チャック16の把持部9
0が、チャック保持金具70の押え筒部100に当接さ
れて、縮径せしめられることにより、該チャック16に
よる、レンズ材14に対する把持力が発揮され得るよう
になっている。
【0030】なお、かかるチャック16における、レン
ズ材14に対する把持力を解除するには、前記シリンダ
室72内に圧縮空気を供給し、突出ピストン74によっ
て、チャック16を、コイルスプリング98の付勢力に
抗して、外方に押し出すことにより為され、それによっ
て、レンズ材14の取外しが可能となる。
【0031】さらにまた、上述の如く、チャック16
を、加工軸40に対して、軸直角方向一方向において所
定量だけ変位可能に支持せしめるチャック取付金具64
には、その径方向外側に所定距離を隔てて、略厚肉の円
環形状を呈するリング部材としてのリング金具102が
配設されている。そして、このリング金具102は、チ
ャック取付金具64に対して、ベアリング104によ
り、主軸38と同一軸心上において、相対回転可能に取
り付けられている。なお、図中、103は、略円環板状
の保護カバーであって、その内周部分が、チャック取付
金具64に対し、ボルト84にて固定されている一方、
その外周部分が、リング金具102の軸方向端面と、か
かる端面に対してボルト105にて固着された環状金具
107との間に、摺動可能に差し込まれていることによ
り、それらチャック取付金具64とリング金具102と
の間への、レンズ材の切削粉等の進入が阻止され得るよ
うになっている。
【0032】また、かかるリング金具102には、その
外周面上において、軸方向に貫通する係止孔108を有
する突出部110が、一体的に設けられている。また一
方、前記ハウジング42には、その外周面上において、
かかる突出部110に対して接近/離隔変位可能な係止
ロッド112と、該係止ロッド112を往復駆動せしめ
るシリンダ114が、設けられている。そして、かかる
係止ロッド112が、係止孔108に挿通、係止される
ことにより、リング金具102のハウジング42に対す
る回動が阻止され得るようになっている。
【0033】さらに、かかるリング金具102は、その
軸方向一端側において、回転中心軸たる主軸38に対し
て、所定量:E0 だけ偏心した円形の案内孔106を有
している。そして、この案内孔106の内部に、前記チ
ャック保持金具70の突出片78と対向ブロック85が
位置せしめられており、それら突出片78および対向ブ
ロック85の当接部80,89が、コイルスプリング8
7の付勢力に基づいて、かかる案内孔106の内周面に
対して、それぞれ当接せしめられている。
【0034】それによって、リング金具102の係止孔
108に対して係止ロッド112が係止されておらず、
該リング金具102のハウジング42に対する相対回転
が許容された状態下において、加工軸40が回動せしめ
られた際には、突出片78および対向ブロック85の案
内孔106内周面に対する当接部位における摩擦抵抗に
基づいて、かかるリング金具102が、チャック取付金
具64と一体的に、主軸38回りに回動せしめられるよ
うになっているのである。
【0035】また一方、リング金具102の係止孔10
8に対して係止ロッド112が係止されて、該リング金
具102のハウジング42に対する相対回転が阻止され
た状態下において、加工軸40が回動せしめられた場合
には、チャック取付金具64がリング金具102に対し
て相対的に回動せしめられることとなり、その際、突出
片78および対向ブロック85が、リング金具102に
おける案内孔106の内周面上を、当接状態を維持しつ
つ、周方向に移動せしめられることとなる。
【0036】そして、そのように相対回転された際、回
転中心たる主軸38と、リング金具102の案内孔10
6の中心:Pとが、所定量:E0 だけ偏心していること
から、相対回転角度に応じて、チャック取付金具64に
対し、チャック保持金具70が、突出片78と対向ブロ
ック85の突出方向に変位せしめられることとなるので
あり、それによって、該チャック保持金具70にて支持
されたチャック16が、主軸38に直角な方向に、所定
量だけ変位せしめられるのである。
【0037】より詳細には、例えば、図8に示されてい
る如く、主軸38に対する案内孔106の中心:Pの偏
心方向:A−Aと、突出片78の可動方向(突出方
向):B−Bとが直交する状態下において、チャック保
持金具70に支持されたチャック16の中心:Qが、主
軸38上に位置せしめられるように、かかる突出片78
の突出高さが設定されているとすれば、図9(a)に示
されている如く、リング金具102に対して、チャック
取付金具64を相対的に回動せしめることにより、突出
片78が突出方向に変位することとなり、以て、該突出
片78の変位量:Eだけ、チャック16の中心:Qが、
主軸38に対して偏心せしめられることとなるのであ
る。
【0038】そして、それ故、図9(a)に示されてい
るように、リング金具102のハウジング42に対する
回動を、係止ロッド112の係止孔108による係止作
用によって阻止せしめた状態下、加工軸40を回動させ
て、該リング金具102に対してチャック取付金具64
を、所定角度:θだけ相対回動せしめることにより、チ
ャック16の中心:Qを主軸38に対して、所定量:E
だけ変位させた後、係止ロッド112の係止孔108に
対する係止を解除し、加工軸40を回動させて、それら
チャック取付金具64とリング金具102とを、主軸3
8回りに一体的に所定角度:(90°−θ)だけ回動せ
しめることによって、かかるチャック16の中心:Q
を、主軸38に対して、該主軸38の旋回面に対して直
角な方向に、所定量:Eだけ偏心した位置に保持せしめ
ることができるのである。
【0039】なお、チャック取付金具64のリング金具
102に対する相対回動によって得られる、チャック1
6の中心:Qの主軸38に対する偏心量:Eは、図8乃
至図10からも明らかなように、突出片78の可動方向
(突出方向):B−Bが、主軸38に対する案内孔10
6の中心:Pの偏心方向:A−Aに一致する状態(図1
0中、θ=90°)で、最大値をとることとなる。
【0040】また、図11に示されているように、主軸
38に対するリング金具102の案内孔106の中心:
Pの偏心量をE0 とし、突出片78の当接部80におけ
る先端曲率をr、案内孔106の半径をRとすると、突
出片78の可動方向:B−B上での主軸38と案内孔1
06の内周面との間の距離:Lは、下記(式1)にて表
される一方、突出片78の可動方向:B−B上でのチャ
ック16の中心:Qと案内孔106の内周面との間の距
離:lは、リング金具102に対するチャック取付金具
64の相対回動角度:θ=0の時に、l=Lとなること
から、下記(式2)にて表されることとなる。 L={(R−r)2 −(E0 ・ COSθ)2 1/2 +E0 ・ SINθ+r ・・・(式1) l={(R−r)2 −E0 2 1/2 +r ・・・(式2)
【0041】それ故、主軸38に対するチャック16の
中心:Qの偏心量:Eは、下記(式3)によって求める
ことができるのである。 E={(R−r)2 −(E0 ・ COSθ)2 1/2 +E0 ・ SINθ −{(R−r)2 −E0 2 1/2 ・・・(式3)
【0042】因みに、r=3.0mm,R=20.0mm,
0 =0.4mmとした場合に、相対回動角度:θ(°)
に対応する偏心量:E(mm)の変化を求めた結果を、下
記表1に示しておくこととする。
【0043】
【表1】
【0044】従って、上述の如き構造とされた保持装置
10にあっては、製造すべきレンズに要求される偏心量
から、上記(式3)に従い、リング金具102に対する
チャック取付金具64の相対的回動角度を算出し、その
求められた角度だけ、加工軸40を回動せしめることに
より、チャック16、延いては該チャック16にて保持
されたレンズ材14の中心軸を、主軸38に対して、目
的とする量だけ偏心させることができるのである。
【0045】そして、それ故、かかる保持装置10を用
いれば、レンズ材14を所定の偏心量をもって切削形成
するに際し、チャックを交換したり、切削装置22を移
動させたりすることなく、かかるレンズ材14を、切削
装置22の回転中心軸26に対して、旋回面に直角な方
向において、任意の量だけ偏心させて保持せしめること
ができるのであり、それによって、プリズムバラスト構
造のコンタクトレンズ等、偏心したレンズ面を備えた眼
用レンズを、有利に且つ容易に切削形成することが可能
となるのである。
【0046】しかも、かかる保持装置10においては、
リング金具102に対するチャック取付金具64の相対
的回動に基づいて、チャック16(レンズ材14)の偏
心量が、連続的に変化せしめられることから、製造され
るレンズにおける偏心量を自由に設定することが可能と
なるといった、大きな利点をも有しているのである。
【0047】また、このような保持装置10を用いれ
ば、チャック交換作業や切削装置22の移動に起因する
加工精度の低下が、完全に回避され得るのであり、それ
によって、製品精度の向上と安定化が、何れも、極めて
効果的に達成され得ることとなるのである。
【0048】更にまた、かくの如き保持装置10におい
ては、パルスモータや角度センサ等を使用することによ
り、その作動精度の向上および制御の自動化が、容易に
且つ有利に図られ得るといった利点をも、有しているの
である。
【0049】また、本実施例では、リング金具102と
チャック保持金具70との両者が、何れも回動可能とさ
れていることから、コンタクトレンズにおけるプリズム
バラスト機構の偏心方向の設定が可能となる。即ち、例
えば、内面がトーリック面(乱視矯正面)をしたコンタ
クトレンズの外面にプリズムバラスト機構を有させる場
合、レンズ材の内側面が押え金具94側となる状態で、
チャック16にてレンズ材を保持せしめるが、該レンズ
材の内面に付されたトーリック面とチャック16および
押え金具94との位置関係は、常に一定となるように組
み付けられる。従って、偏心方向が上下にしか移動しな
い場合(リング金具102のみ回転可能で、チャック保
持金具70を回転不能とした場合)には、トーリック面
の乱視軸に対して、常に決まった方向にしか偏心機能を
有させることができなくなってしまうが、本実施例で
は、リング金具102とチャック保持金具70との両者
が、何れも回転可能とされていることから、トーリック
面に対して、プリズムバラスト機構の中心点の偏心方向
が、任意に設定可能となるのである。
【0050】以上、本発明の実施例について詳述してき
たが、これは文字通りの例示であって、本発明は、かか
る具体例にのみ限定して解釈されるものではない。
【0051】例えば、前記実施例では、旋回手段が保持
装置10側に、また移動手段が切削装置22側に、それ
ぞれ設けられていたが、これらの手段を何れの側の装置
に設けるべきかは、適宜決定されるものであって、限定
されるものではなく、各手段を、実施例とは逆の装置に
設けたり、或いは両手段を、保持装置10側乃至は切削
装置22側に設けるようにしても良い。
【0052】また、前記実施例では、チャック16を保
持するチャック保持金具70(チャック取付金具64)
と、リング金具102とが、何れも、主軸38回りに回
動可能とされていたが、かかるチャック保持金具70
を、ハウジング42に対して回動不能と為すと共に、該
チャック保持金具70を、主軸38を通り、旋回面に垂
直な直線上で変位可能に支持せしめる一方、リング金具
102を、主軸38回りに回動可能とすることにより、
該リング金具102を、チャック保持金具70に対して
相対的回動可能に構成することも可能である。
【0053】更にまた、チャック保持金具70における
突出片78を、リング金具102の案内孔106内周面
に対する当接状態に維持せしめる構造は、前記実施例の
如き、対向ブロック85とコイルスプリング87とによ
る付勢機構に限定されるものではない。例えば、チャッ
ク保持金具70とチャック取付金具64との間に介装せ
しめた付勢手段により、かかる突出片78をリング金具
102の案内孔106内周面に対して当接せしめるよう
にすることも可能である。
【0054】また、前記実施例では、本発明を、コンタ
クトレンズの切削用保持装置に対して適用したものの具
体例を示したが、本発明は、その他、コンタクトレンズ
以外の偏心したレンズ面を有する各種眼用レンズの切削
用保持装置に対しても、有利に適用され得ることは、勿
論である。
【0055】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等
を加えた態様において実施され得るものであり、また、
そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限
り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであること
は、言うまでもないところである。
【0056】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた眼用レンズの切削用保持装置におい
ては、リング部材とチャック保持部材とを、主軸回りに
相対回動せしめることにより、チャックの主軸に対する
偏心量が、連続的に変化せしめられ得るのであり、それ
故、プリズムバラスト構造のコンタクトレンズ等、偏心
したレンズ面を備えた眼用レンズを、任意の偏心量をも
って、有利に且つ容易に切削形成することが可能となる
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う構造とされた保持装置を備えたコ
ンタクトレンズの旋盤装置の全体構成を示す概略図であ
る。
【図2】図1に示された旋盤装置を構成する切削装置に
おいて用いられる切削工具の具体例を示す縦断面図であ
る。
【図3】図2に示された切削工具の正面図である。
【図4】図1に示された旋盤装置を構成する、本発明に
従う構造とされた保持装置を示す縦断面図である。
【図5】図4における右側面図である。
【図6】図4におけるVI−VI断面図である。
【図7】図4における VII−VII 断面図である。
【図8】図4に示された保持装置におけるチャックの偏
心機構を説明するための説明図である。
【図9】図4に示された保持装置におけるチャックの偏
心機構を説明するための説明図である。
【図10】図4に示された保持装置におけるチャックの
偏心機構を説明するための説明図である。
【図11】図4に示された保持装置におけるチャックの
偏心機構を説明するための説明図である。
【図面の簡単な説明】
10 保持装置 14 レンズ材 16 チャック 18 旋回中心軸 22 切削装置 26 回転中心軸 32 切削工具 36 移動装置 38 主軸 40 加工軸 42 ハウジング 64 チャック取付金具 70 チャック保持金具 78 突出片 85 対向ブロック 87 コイルスプリング 102 リング金具 106 案内孔 108 係止孔 112 係止ロッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23B 31/36 B23B 5/40 B23B 13/005

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一軸回りに回転する切削工具により、所
    定のレンズ材料を切削せしめて、眼用レンズを形成する
    に際し、かかるレンズ材料を保持する眼用レンズの切削
    用保持装置であって、 前記レンズ材料を保持するチャック部材と、 該チャック部材の外側に配された、円形の案内孔を備え
    たリング部材と、 該リング部材の案内孔内において、該案内孔の中心軸か
    ら所定距離偏心した主軸回りに相対回動可能に、且つ該
    主軸に直交する直線上で相対変位可能に配設されると共
    に、その変位方向の一端側において前記案内孔の内周面
    に当接、案内せしめられることにより、かかるリング部
    材に対する相対回動に伴い、該主軸に直交する直線上で
    変位せしめられる、前記チャック部材を前記主軸に対し
    て偏心可能に支持せしめるチャック保持部材と、 前記リング部材と前記チャック保持部材とを、前記主軸
    回りに相対回動せしめる駆動手段とを、有することを特
    徴とする眼用レンズの切削用保持装置。
  2. 【請求項2】 前記リング部材および前記チャック保持
    部材が、何れも、前記主軸回りに回動可能とされると共
    に、それらリング部材およびチャック保持部材におけ
    る、何れか一方の側に、前記駆動手段による回動駆動力
    が及ぼされることにより、それらリング部材とチャック
    保持部材とが一体的に回動可能とされている一方、かか
    るリング部材およびチャック保持部材における、何れか
    他方を、所定の固定部材に対して固定せしめることによ
    り、それらリング部材とチャック保持部材との相対回動
    を生ぜしめる固定手段が設けられている請求項1に記載
    の眼用レンズの切削用保持装置。
  3. 【請求項3】前記リング部材の案内孔内において、前記
    主軸に直交する直線上で変位可能に配設された前記チャ
    ック保持部材に対して、かかる変位方向で相対的に接
    近、離隔変位可能に、対向部材を配すると共に、該チャ
    ック保持部材と該対向部材との間に、それらを離隔方向
    に付勢する付勢手段を介装せしめることにより、該チャ
    ック保持部材と該対向部材とを、前記リング部材の案内
    孔の内周面における、それらチャック保持部材および対
    向部材の変位方向で対向位置する点に対して、それぞれ
    押し付けて当接せしめるようにしたことを特徴とする請
    求項1又は2に記載の眼用レンズの切削用保持装置。
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