JP2889020B2 - 被削性の優れた高Mn非磁性鋼 - Google Patents
被削性の優れた高Mn非磁性鋼Info
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Description
タカー軌道、各種発電機などに使用される非磁性鋼に関
し、さらに詳しくは、多くの機械加工を必要とする部材
に好適な、被削性に優れ且つ高強度、高靱性を有する高
Mn非磁性鋼に関するものである。
来、非磁性が要求される構造材料としての用途に種々の
鋼が用いられている。かかる鋼の一つとして、例えば、
SUS 304 鋼(18Cr− 8Ni)等のオーステナイト系ス
テンレス鋼が知られている。
有して、製造費用が高いので、構造材料として用いるに
は適当でない。さらに、オーステナイトの安定性が良好
でないために、例えば、冷間加工等によって透磁率が上
昇する等、磁気特性が不安定である点からも、非磁性鋼
として用いるには適さない。
1.0C−13Mn鋼等の高Mn非磁性鋼は、製造費用も低
廉であり、高強度で磁気特性にも優れているが、被削
性、特にドリル加工性が劣るために、その適用が限定さ
れざるを得ない。さらに、かかる高Mn非磁性鋼にS,
Ca,Se,Te等の合金元素を添加して、被削性の改
善を図ることも提案されているが、尚、十分ではない。
Mn非磁性鋼における問題、特に被削性を改善すべく鋭
意研究を行って来た。その結果、オーステナイト組織中
に炭窒化物を微細分散させると、被削性が大幅に改善さ
れ、且つ高強度、高靱性を有する高Mn非磁性鋼が得ら
れることが知見され、本発明に至ったものである。
非磁性鋼を提供することを目的とするものである。
めに、本発明に係わる高Mn非磁性鋼は、C:0.15〜0.
35wt%,Si: 2.0wt%以下, Mn:18〜30wt%,P:
0.040wt%以下, S:0.020wt%以下, N:0.0050〜0.1
0wt%を基本成分として含み、且つ、粒子径が10〜 250n
m,粒子数が 1×105 〜 1×109 個/mm2 のCrの炭窒
化物またはVの炭窒化物あるいはそれらの複合物を含有
するものである。
上記成分組成に加えて、Cu: 2.0wt%以下, Ni:
2.0wt%以下,Mo: 2.0wt%以下の中から1種または
2種以上を、Nb: 1.0wt%以下, Ti: 1.0wt%以
下, Al: 1.0wt%以下の中から1種または2種以上
を、Se:0.20wt%以下, Te:0.20wt%以下,Pb:
0.20wt%以下,Ca:0.01wt%以下の中から1種または
2種以上を、それぞれ単独もしくは複合して含有するも
のであってもよい。
とVの炭窒化物の粒子径,粒子数の限定理由について説
明する。
上に極めて有効な元素であり、また後述するCrとVの
微細な炭窒化物を有効に得るために必要な元素である。
しかし、その含有量が0.15wt%未満では、強度の向上が
期待できないこと、またオーステナイトが不安定とな
り、磁気特性が損なわれる。さらに、後述するCr、V
との炭窒化物の数を確保することが困難となる。一方、
その含有量が0.35wt%を超えると、オーステナイト地の
加工硬化性を増大させ被削性が大幅に低下する。またC
rとVの炭窒化物の量が必要以上に増加し、且つ大きさ
も粗大化するため特に靱性の劣化をまねくことになる。
従って、C含有量は0.15〜0.35wt%の範囲とする。
つ、強度の向上に有効であるが、 2.0を超えて添加する
と熱間加工性を損なうことになる。従って、Si含有量
は 2.0wt%以下とする。
あり、非磁性を安定化させるためには、18wt%以上の添
加が必要である。しかし、30wt%を超えて含有すると熱
間加工性が著しく劣化する。従って、Mn含有量は18〜
30wt%の範囲とする。
純物元素であり、極力低減することが望ましいが、経済
性を考慮して 0.040wt%以下とする。
熱間加工性および溶接性を損なう元素である。本発明
は、このS添加が無くとも大幅な被削性の改善が図られ
るものであり、極力低減することが望ましいが、経済性
を考慮して 0.020wt%以下とする。
化、高強度化に有効な元素であり、また後述するCrと
Vの微細な炭窒化物を有効に得るために必要な元素であ
る。しかし、その含有量が0.0050wt%未満では、オース
テナイトの安定化、高強度化に不十分であり、且つ後述
するCr、Vの炭窒化物の数を確保できなくなる。一
方、その含有量が0.10wt%を超えると、オーステナイト
地の加工硬化性を増大させ被削性が大幅に低下する。ま
たCrとVの炭窒化物の量が必要以上に増加すると同時
に、粒子が粗大化するため特に靱性の劣化をまねくこと
になる。従って、N含有量は0.0050〜0.10wt%の範囲と
する。
CrとVの炭窒化物の大きさおよび数を限定することに
大きな特徴がある。本発明者等は、この新しい知見を得
るため、以下の実験を行った。
n− 0.015%Nを基本成分とし、Crを最大 9wt%,V
を最大 1.2wt%まで単独あるいは両方を添加した7種の
40kgインゴットを溶製し、板厚16mmの鋼板に熱間圧延し
た。それらの鋼板において、引張り試験、シャルピー衝
撃試験および表1に示す条件でドリル加工性試験を実施
すると同時に、抽出レプリカ法による析出物の電子顕微
鏡観察を行った。
に及ぼすCr炭窒化物,V炭窒化物およびその複合物の
平均粒径の影響を示す。
未満においては、vEO は高い値を示すものの 0.2%YSが
低く、またドリル穴あけ個数も少ない。一方、平均粒径
が増大するにつれて、vEO はやや低下するが、 0.2%YS
およびドリル穴あけ個数は増大していることが分かる。
しかし、平均粒径が 250nmを超えると、析出物が増大
し、 0.2%YS、ドリル加工性は高位にあるもののvEO が
大幅に劣化していることが分かる。従って、Cr炭窒化
>物,V炭窒化物およびそれらの複合物の大きさは粒子
径で10〜 250nmに制限する。
化物,V炭窒化物およびその複合物の析出物数(粒子
数)が、機械的性質およびドリル穴あけ個数に及ぼす影
響を示した。この図によれば、析出物の数が105 個/mm
2 未満においては、vEO は高い値を示すものの、 0.2%
YSが低く、且つ、ドリル穴あけ個数も少ない。一方、析
出物の数が109 個/mm2 を超えると、vEO が非常に低い
値となることが分かる。従って、粒子径が10〜 250nmの
Cr炭窒化物,V炭窒化物およびその複合物の粒子数を
1×105 〜 1×109 個/mm2 に制限する。
9.0wt%、V:0.10〜0.90wt%が望ましい。CrとVの
含有量の下限値は、上述のCr、Vの炭窒化物の数、大
きさを規定値に入れるために必要である。また、Crを
9.0wt%を超えて過多に添加すると、δフェライトを生
成し易くなり、磁性と靱性を損なうことになる。一方、
Vについては0.90wt%を超えて添加すると、延性、靱性
を損なうことになる。
化学成分の限定理由を説明する。Cu,NiおよびMo
は、オーステナイトの安定化および靱性の向上に有効で
ある。しかし、いずれの元素も過多に添加すると、オー
ステナイト地の加工硬化を大きくし、鋼の被削性を損な
うばかりでなく、経済性をも損なう。従って、その含有
量はいずれの元素もその上限を 2.0wt%とする。
有効であり、必要に応じて添加される。しかし、いずれ
の元素も過多に添加すると、鋼の靱性を損なうことにな
るため、その含有量の上限を 1.0wt%とする。
性向上に有効であり、必要に応じて添加される。しか
し、いずれの元素も過多に添加すると、鋼の靱性を損な
うことになるため、Se, Te,Pbについては、いず
れも0.20wt%以下に、またCaは0.01wt%以下に制限す
る。
は、特に限定されるものではなく、熱間圧延のままでも
よいし、圧延後の加速冷却、溶体化熱処理、時効処理な
どのいずれを用いてもよい。
試鋼は、表2に示す化学成分を有する鋼を40kg大気溶解
し、板厚16mmまで熱間圧延した。これらの鋼板につい
て、引張り試験、シャルピー衝撃試験および前記表1に
示す条件でドリル加工性試験を実施すると同時に、抽出
レプリカ法による析出物の電子顕微鏡観察を行った。こ
れらの結果を表3に併せて示す。
1〜10は、本発明による鋼であり、いずれも、 0.2%YS
が400N/mm2 以上、vEO が100J以上、ドリル穴あけ個数
が 500個以上と優れた特性を有している。
ては、 No.11は、C量が上限を外れているため、ドリル
穴あけ加工性が極めて悪い。
析出物の径が大きいため、靱性が低く、且つドリル加工
性も悪い。
限を外れているため、 0.2%YSが低く、且つ、ドリル加
工性もよくない。
限を外れているため、靱性が悪い。
て、このため析出物が観察されず、また 0.2%YSが低
く、且つ、ドリル加工性もよくない。
磁性鋼は、高強度、高靱性を有すると同時に、特に被削
性に優れており、核融合炉、リニアモータカー軌道、各
種発電機などに好適に使用し得るとともに、多くの機械
加工を必要とする部材に好適に使用し得る。
リル穴あけ個数との関係を示すグラフ図である。
リル穴あけ個数との関係を示すグラフ図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 C:0.15〜0.35wt%,Si: 2.0wt%以
下, Mn:18〜30wt%,P: 0.040wt%以下, S: 0.0
20wt%以下, N:0.0050〜0.10wt%を基本成分として含
み、且つ、粒子径が10〜 250nm,粒子数が 1×105 〜 1
×109 個/mm 2 のCrの炭窒化物またはVの炭窒化物あ
るいはそれらの複合物を含有することを特徴とする被削
性の優れた高Mn非磁性鋼。 - 【請求項2】 Cu: 2.0wt%以下, Ni: 2.0wt%以
下,Mo: 2.0wt%以下の中から1種または2種以上を
含有してなる請求項1記載の被削性の優れた高Mn非磁
性鋼。 - 【請求項3】 Nb: 1.0wt%以下, Ti: 1.0wt%以
下, Al: 1.0wt%以下の中から1種または2種以上を
含有してなる請求項1または2記載の被削性の優れた高
Mn非磁性鋼。 - 【請求項4】 Se:0.20wt%以下, Te:0.20wt%以
下,Pb:0.20wt%以下,Ca:0.01wt%以下の中から
1種または2種以上を含有してなる請求項1または2ま
たは3記載の被削性の優れた高Mn非磁性鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3196843A JP2889020B2 (ja) | 1991-08-06 | 1991-08-06 | 被削性の優れた高Mn非磁性鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3196843A JP2889020B2 (ja) | 1991-08-06 | 1991-08-06 | 被削性の優れた高Mn非磁性鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0539544A JPH0539544A (ja) | 1993-02-19 |
JP2889020B2 true JP2889020B2 (ja) | 1999-05-10 |
Family
ID=16364588
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3196843A Expired - Lifetime JP2889020B2 (ja) | 1991-08-06 | 1991-08-06 | 被削性の優れた高Mn非磁性鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2889020B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103361563B (zh) * | 2013-08-01 | 2016-01-20 | 上海材料研究所 | 一种易切削高硬度奥氏体无磁模具钢及其制造方法 |
-
1991
- 1991-08-06 JP JP3196843A patent/JP2889020B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0539544A (ja) | 1993-02-19 |
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