JP2885348B2 - 消音器 - Google Patents

消音器

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JP2885348B2
JP2885348B2 JP1249067A JP24906789A JP2885348B2 JP 2885348 B2 JP2885348 B2 JP 2885348B2 JP 1249067 A JP1249067 A JP 1249067A JP 24906789 A JP24906789 A JP 24906789A JP 2885348 B2 JP2885348 B2 JP 2885348B2
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友一 伊藤
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、自動二輪車の消音器に関する。
(従来の技術) 一般に、カーボン繊維、ガラス繊維等で強化した所謂
繊維強化プラスチックは金属に比べて比重が小さいた
め、軽量化を図る材料として好適である。このため、例
えば自動二輪車の消音器の外筒にこの繊維強化プラスチ
ックを用いる提案がなされている(特開昭55-75521号公
報参照)。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、繊維強化プラスチックの耐熱性は金属
のそれに比して劣るため、特に排気温度の高い4サイク
ルエンジンの消音器の外筒にこの種の繊維強化プラスチ
ックを用いるには問題があった。
一方、従来のように消音器の外筒に金属を用いると、
消音器の防音効果と断熱効果が劣り、軽量化が図れない
ばかりか、外筒に錆が生じたり、外筒が飛石等によって
損傷を受けるという問題がある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的
とする処は、耐熱性に富み、防音効果及び断熱効果が高
く、軽量化を図ることができるとともに、錆の発生、飛
石等による損傷等の問題が生じない自動二輪車の消音器
を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 上記目的を達成するため、本発明は、排気管に連通す
る内筒を外筒で囲繞し、内筒の前、後端部を前部端管と
後部端管で覆うとともに、内筒内を複数の仕切板で区画
して複数の膨張室を形成し、前記仕切板に入口パイプと
中間パイプ及び出口パイプを挿通支持せしめて成る自動
二輪車の消音器において、ショットピーニングにより細
かい凹凸を形成した外筒表面に、樹脂成分に金属化合物
の添加物を加えて成る塗装層を形成し、その上に熱硬化
性接着剤を付着して成るカーボン繊維の樹脂層を設けて
3層構造とし、前記塗装層の色を前記樹脂層の色と略同
一とし、外筒の前後端部に前部端板と後部端板の外周を
リベットにより結合し、前部端板の内周に前記排気管
を、後部端板の内周に前記出口パイプをそれぞれ非接触
状態で挿通したことを特徴とする。
(作用) 本発明によれば、外筒を金属層と樹脂層を含んで構成
したため、消音器は金属材料と樹脂材料が有する各々の
利点を併せ持つこととなる。即ち、耐熱性が高いという
金属材料の利点と、高い防音効果と断熱効果が得られる
とともに、軽量化を図ることができるという樹脂材料の
利点を併せ持つこととなる。
又、外筒の外側が樹脂層にて構成されるため、消音器
には錆の発生や飛石等による損傷の問題が生じず、その
外観性向上を図ることもできる。特に、金属層の表面が
耐食性の高い塗装層にて被われるため、消音器の防錆性
が更に高められる。
更に、外筒の金属層と樹脂層の間に、樹脂層と略同色
の塗装層を介在せしめたため、たとえ樹脂層が一層から
構成されて薄い場合であっても、該樹脂層から金属層が
透けて見えることがなく、消音器の外観品質が高く保た
れる。
又、消音器が排気熱と外気とにさらされるために高温
と低温の間の温度変化を繰り返し受けた場合、金属層と
樹脂層とは熱膨張係数の違いによって剥離し易くなる
が、本発明では金属層と樹脂層の間に塗装層が設けら
れ、しかも、この塗装層は前述のように樹脂成分に金属
化合物の添加物を加えたものから成っているためにその
熱膨張係数等の物性値は金属層と樹脂層のそれの中間の
値となり、該塗装層が金属層と樹脂層との間一種の緩衝
材として機能し、これにより金属層と樹脂層との剥離が
有効に防止される。
(実施例) 以下に本発明の実施例を添付図面に基づいて説明す
る。
第1図は本発明に係る自動二輪車の消音器の縦断側面
図、第2図は第1図A部の拡大詳細図である。
第1図に示す自動二輪車の消音器1は、不図示のエン
ジンの排気系から導出する排気管2に連通する内筒3
と、該内筒3を囲繞する外筒4を含んで構成され、内筒
3の前、後端部はテーパ管状の前部端管5と後部端管7
によって覆われ、外筒4の前、後端部をこれにリベット
によって結合された前部端板6と後部端板8で覆われて
いる。
上記内筒3は多数の円孔3a…を穿設して成る所謂パン
チングメタルにて構成され、該内筒3と外筒4との管に
形成される空間部にはグラスウール等の吸音材9が充填
されている。
又、内筒3の内部は仕切板10,11にて3つの膨張室S1,
S2,S3に区画されており、両仕切板10,11には膨張室S1
膨張室S3とを連通せしめる入口パイプ12が挿通支持され
ており、仕切板11には膨張室S2と膨張室S3とを連通せし
める中間パイプ13が挿通支持されている。そして、仕切
板11と後部端管7には膨張室S2を大気に連通せしめる出
口パイプ14が挿通支持されている。更に、前記後部端板
8にはテイルパイプ15が結着されている。
而して、本実施の形態に係る消音器1においては、排
気管2に前部端管5、内筒3、後部端管7及び出口パイ
プ14が順次溶着されている。
ところで、前記外筒4は、第2図に詳細に示すよう
に、内側の金属層4aと外側の樹脂層4bとの間に塗装層4c
を介在せしめて3重層構造を成しており、塗装層4cとし
ては樹脂成分に金属化合物の添加物を加えたものが用い
られ、その色は樹脂層4bの色と略同一とされる。尚、本
実施例においては、金属層4aには鋼板が用いられ、樹脂
層4bにはカーボン繊維で強化された繊維強化プラスチッ
クが用いられている。
実際の製造工程においては、金属層4aの外表面に樹脂
層4bを形成する前に、金属層4aの表面に予め塗装を施す
ことによって塗装層4cを形成する。即ち、第1図に示す
消音器1において、外筒4(金属層4aのみから成る)に
前記前部端管5のみを溶接した状態でショットピーニン
グを施して外筒4(金属層4a)の表面に細かい凹凸を形
成し、該表面に塗装を施して塗装層4cを形成する。
次に、熱硬化性の接着剤を付着して成るカーボンクロ
ス等の樹脂層4bを外筒4(塗装層4c)に巻き、更にその
上から熱収縮性のテープを巻いてこれらを加熱する。樹
脂層4bが硬化した後、これに巻いたテープを取り除く
と、第2図に示すように金属層4aと樹脂層4bの間に塗装
層4cを介在せしめて成る外筒4が得られる。
次に、仕切板10,11、パイプ12,13,14及び後部端管7
が溶接された内筒3を外筒4内に組み込み、これを前部
端管5に溶接固定し、排気管2を前部端管5に溶接固定
する。そして、最後に前部端板6と後部端板8(テイル
パイプ15が結着されたもの)をリベットで外筒4に結合
すれば、本発明に係る消音器1が得られる。
而して、エンジンの排気系から排出された排気ガスは
排気管2を通って当該消音器1に入り、ここで騒音エネ
ルギーを減衰せしめられて消音された後にテイルパイプ
15から大気中に排出される。即ち、消音器1において、
先ず排気ガスは排気管2から膨張室S1に入って膨張せし
められた後、入口パイプ12を経て膨張室S3に流入してこ
こで更に膨張せしめられ、該膨張室S3から中間パイプ13
を経て膨張室S2に流入し、最後に出口パイプ14を経てテ
イルパイプ15から大気中に排出される。そして、排気ガ
スはこの消音器1を流れる間に吸音材9にて騒音エネル
ギーを吸収されるとともに、膨張の繰り返しと流れ方向
の急激な変化によって騒音エネルギーを減衰せしめら
れ、斯くて、消音器1はその消音機能を発揮する。
以上において、本実施例においては、前述のように外
筒4を金属層4aと樹脂層4bを含んで構成したため、当該
消音器1は金属材料と樹脂材料が有する各々の利点を併
せ持つこととなる。即ち、耐熱性が高いという金属材料
の利点と、高い防音効果と断熱効果が得られるととも
に、軽量化を図ることができるという樹脂材料の利点を
併せ持つこととなる。
又、外筒4の外側が特に樹脂層4bにて構成されるた
め、当該消音器1には錆の発生や飛石等による損傷の問
題が生じず、その外観性向上を図ることもできる。特
に、本実施例では、金属層4aの表面が耐食性の高い塗装
層4cにて被われるため、消音器1の防錆性が更に高めら
れる。
ところで、樹脂層4bが例えば一層のカーボンクロスか
ら成る場合、これが薄いため、塗装層4cを設けなけれ
ば、金属層4aが該樹脂層4bから多少透けて見えてしま
い、消音器1の外観品質が悪くなる。
然るに、本実施例では金属層4aと樹脂層4bの間に、樹
脂層4bと略同色の塗装層4cを介在せしめたため、たとえ
樹脂層4bが一層から構成されて薄い場合であっても、該
樹脂層4bから金属層4aが透けて見えることがなく、消音
器1の外観品質が高く保たれる。
又、消音器1が排気熱と外気とにさらされるために高
温と低温の間の温度変化を繰り返し受けた場合、金属層
4aと樹脂層4bとは熱膨張係数の違いによって剥離し易く
なるが、本実施例では金属層4aと樹脂層4bの間に塗装層
4cが設けられ、しかも、この塗装層4cは前述のように樹
脂成分に金属化合物の添加物を加えたものから成ってい
るためにその熱膨張係数等の物性値は金属層4aと樹脂層
4bのそれの中間の値となり、該塗装層4cが金属層4aと樹
脂層4bとの間で一種の緩衝材として機能し、これにより
金属層4aと樹脂層4bとの剥離が有効に防止される。
(発明の効果) 以上の説明で明らかなように、本発明によれば、排気
管に連通する内筒を外筒で囲繞し、内筒の前、後端部を
前部端管と後部端管で覆うとともに、内筒内を複数の仕
切板で区画して複数の膨張室を形成し、前記仕切板に入
口パイプと中間パイプ及び出口パイプを挿通支持せしめ
て成る自動二輪車の消音器において、ショットピーニン
グにより細かい凹凸を形成した外筒表面に、樹脂成分に
金属化合物の添加物を加えて成る塗装層を形成し、その
上に熱硬化性接着剤を付着して成るカーボン繊維の樹脂
層を設けて3層構造とし、前記塗装層の色を前記樹脂層
の色と略同一とし、外筒の前後端部に前部端板の外周を
リベットにより結合し、前部端板の内周に前記排気管
を、後部端板の内周に前記出口パイプをそれぞれ非接触
状態で挿通したため、耐熱性に富み、防音効果及び断熱
効果が高く、軽量化を図ることができるとともに、錆の
発生、飛石等による損傷等の問題を解消することができ
るという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る自動二輪車の消音器の縦断側面
図、第2図は第1図A部の拡大詳細図である。 1……消音器、2……排気管、3……内筒、4……外
筒、4a……金属層、4b……樹脂層、4c……塗装層、5…
…前部端管、6……前部端板、7……後部端管、8……
後部板、10,11……仕切板、12……入口パイプ、13……
中間パイプ、14……出口パイプ、S1〜S3……膨張室。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】排気管に連通する内筒を外筒で囲繞し、内
    筒の前、後端部を前部端管と後部端管で覆うとともに、
    内筒内を複数の仕切板で区画して複数の膨張室を形成
    し、前記仕切板に入口パイプと中間パイプ及び出口パイ
    プを挿通支持せしめて成る自動二輪車の消音器におい
    て、 ショットピーニングにより細かい凹凸を形成した外筒表
    面に、樹脂成分に金属化合物の添加物を加えて成る塗装
    層を形成し、その上に熱硬化性接着剤を付着して成るカ
    ーボ繊維の樹脂層を設けて3層構造とし、前記塗装層の
    色を前記樹脂層の色と略同一とし、外筒の前後端部に前
    部端板と後部端板の外周をリベットにより結合し、前部
    端板の内周に前記排気管を、後部端板の内周に前記出口
    パイプをそれぞれ非接触状態で挿通したことを特徴とす
    る自動二輪車の消音器。
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