JP2881314B2 - 永久磁石界磁型電動機 - Google Patents

永久磁石界磁型電動機

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JP2881314B2
JP2881314B2 JP1257345A JP25734589A JP2881314B2 JP 2881314 B2 JP2881314 B2 JP 2881314B2 JP 1257345 A JP1257345 A JP 1257345A JP 25734589 A JP25734589 A JP 25734589A JP 2881314 B2 JP2881314 B2 JP 2881314B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、回転子に永久磁石界磁を備えた電動機に関
する。
〔従来技術〕
回転子に永久磁石界磁を備えた電動機において、その
界磁を製作する場合、一般には永久磁石材を着磁コイル
を備えた着磁装置にセットし、この着磁コイルに通電す
ることにより永久磁石化して製作している。ところが上
記界磁を取り付けた回転子を電動機ハウジングに組み込
むまでの工程において、永久磁石化された界磁に鉄粉等
が付着して回転障害を生じる原因となったり、回転子が
磁性体の治具等に吸着して扱い難いといった問題があっ
た。また電動機の制御機器の故障等によって固定子コイ
ルに異常な大電流が流れて永久磁石が減磁した場合、電
動機が取り付けられている装置によっては、再着磁のた
めの電動機の取り外し及び分解が困難な場合も多い。
上記課題を有する電動機の場合、電動機としての組み
立て完了後に、この電動機の固定子コイルを着磁コイル
として流用することにより、この固定子に対向配置され
た回転子の界磁に着磁を施すいわゆる組み込み着磁と称
される方法が一般に採用されている。
この組み込み着磁は、例えば特開昭57−142165号公報
に開示される方法が知られている。これは第4図及び第
5図に示すように、三相Y結線された固定子コイルCu,C
v,Cwの各口出部Tu,Tv,Twを図のような結線で着磁電源E
へ接続することによりなされるものである。第4図の結
線は固定子の三相コイルのすべてを使用する場合、また
第5図の結線は特定の2相を使用する場合をそれぞれ示
しており、第4図の結線の場合は第5図のものに比べて
回路の抵抗値が減少するため、着磁電源Eの容量が軽減
されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
着磁時においては固定子コイルに強烈なインパルス電
流が通電されるため、必然的にコイルに加わる電磁的衝
撃も多大なものとなる。コイルを形成する各電線の隣接
する相互においては、相互に同一方向の電流が通電され
た場合は吸引力が作用し、反対に逆方向の電流が通電さ
れた場合は反発力となって作用する。特に上記反発力の
影響は、コイルを支える部材に乏しい固定子のコイルエ
ンド部において顕著に現れる。例えば、界磁を構成する
永久磁石材としてストロンチウムフェライト磁石を使用
した場合、その着磁に際して約12000エルステッドの磁
界を必要とし、着磁電流によるコイルエンド相間の反発
力は、1馬力クラスの電動機の場合約60Kg程度に達す
る。着磁に要する磁界の強さは、サマリウムコバルト磁
石の場合で約25000エルステッド、ネオジウム−鉄−ボ
ロン系磁石の場合で約30000エルステッド程度となり、
これら電動機の高効率化を目的とした高グレード磁石の
使用に伴って上記相間の反発力はさらに大きなものとな
る。
コイルエンドにて隣接する異相コイル間に逆方向の着
磁電流が通電されると、コイル間の反発力によってコイ
ルエンドの整形形状が崩されて、内層側のコイルエンド
は固定子の内径側へ、また外層側のコイルエンドは固定
子の外径側へそれぞれ倒れを生じる問題があった。そし
てコイルエンドが内径側へ倒れる場合はコイルが回転子
や軸受部等と接触し、外径側へ倒れる場合はコイルが電
動機ハウジング等と接触し、それぞれ耐圧不良をひき起
こすものであった。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、永久磁石化されるべき界磁を備えた回転子
に、三相Y結線されたコイルを備えた固定子を対向配置
して組み立てた後、固定子の三相コイルを流用して前記
界磁に着磁を施して構成する永久磁石界磁型電動機にお
いて、次のような特徴を具備させて構成する。
即ち、第4図に示すように三相コイルの各相口出部を
着磁電源へ接続するものにおいては、コイルCwの着磁電
流値が大きくなるため、このコイルCwのコイルエンドを
他のコイルエンドに比べて多重に結束して構成する。ま
た第5図に示すように三相コイルのうち特定の2相の口
出部を着磁電源へ接続するものにおいては、コイルCvと
Cwに着磁電流が通電されるため、このコイルCvとCwのコ
イルエンドが相互に重なる部分を他のコイルエンドに比
べて多重に結束して構成するものである。
〔作用〕
コイルエンドにおいて、隣接する異相コイルの相互に
逆方向の着磁電流が流れて相間に反発力が生じる箇所
が、結束によって補強されて、コイルエンドの倒れ等の
変形が抑止される。
〔実施例〕
第2図は圧縮機用同期電動機等に代表される永久磁石
界磁型電動機の一般的構成を示す断面図であり、30は固
定子、40は回転子を示している。回転子40は、厚肉円筒
状の鉄製ヨーク41の外周部に単数乃至複数の永久磁石よ
りなるリング状の界磁41を取り付け、軸方向両端に界磁
保護用の端板43,43を装着して構成されている。また必
要に応じて、界磁42の外周部に筒状キャン又はバインド
等の保護部材を装着する場合もある。ヨーク41は内径部
がシャフト44に圧入固着され、シャフト44は軸受部45に
支持されて、これにより回転子40が回動自在に支持され
ている。
固定子30は、鉄心31の内径部に環状に配設された複数
のスロットに絶縁紙を介してコイル32を装着して構成さ
れており、鉄心31の外径部が図示しないハウジングに圧
入固着されて、回転子40との間に所定のエアギャップを
形成して対向配置されている。鉄心31の両端から突出す
るコイルエンド33,33は内外径部で出っ張ることのない
ように整形されて、それぞれ縛り紐によって結束固定さ
れている。
第3図は上記固定子コイル32の巻装構成の一例を示
し、1〜24はスロット番号を示している。図の構成は三
相4極の同心巻であり、コイルCu1とCu2によってU相コ
イルCuを、コイルCv1とCv2によってV相コイルCvを、ま
たコイルCw1とCw2によってW相コイルCwをそれぞれ形成
しており、各相コイルの一端をY接続して中性点とし、
他端を口出部Tu,Tv,Twとして形成されている。
上記のように組み立てられた電動機は、その固定子コ
イル32の各口出部から引き出された口出線34を着磁電源
に接続し、固定子コイルにインパルス電流を通電するこ
とにより回転子界磁42に着磁が施される。この場合の結
線は第4図又は第5図に示す通りであり、これらの図に
おいてCu、Cv及びCwの各コイルは、第3図におけるコイ
ルCu1とCu2の並列回路、コイルCv1とCv2の並列回路及び
コイルCw1とCw2の並列回路をそれぞれ示すものとする。
いま各口出部Tu,Tv,Twを第4図に示すように接続した
場合、コイルCw1とCw2に流れる電流は、コイルCu1とCu2
及びコイルCv1とCv2に流れる電流の2倍となり、この結
果、着磁電流通電時にコイルCw1とCw2に加わる力は特に
大きなものとなる。特に第3図に符号P1,P2,P3,P4で示
すコイルエンド部分においては、着磁時の電流方向が相
間で逆方向となるため、相間に強い反発力が作用するこ
とになる。従って上記P1,P2,P3,P4の各箇所でコイルエ
ンドを多重に結束することにより、コイルエンドは補強
され、その変形が抑止される。
第1図は本発明による電動機固定子の概略を示す平面
図であり、第3図に示したコイル構成を有する固定子を
反口出線側から見た状態を示している。口出線側に関し
ては、口出線が存在する以外は鉄心31を挟んで略対称な
均等構成となっている。固定子30の各コイルは、Cu2,Cv
2,Cw2を外層に、またCu1,Cv1,Cw1を内層にそれぞれ配置
してあり、それらのコイルエンド33は、ポリエステル等
の縛り紐35によって亀裂縛り等の方法で結束されてい
る。そして着磁時にコイルエンドに加わる力が特に大き
な箇所であるP3とP4の両箇所のコイルエンドは、他の部
分に比べてコイルエンドが多重に結束されて、縛り紐の
多重部分36,36が形成されて補強されている。図に示す
ように、コイルエンドの縛り紐35を利用して特定の箇所
を単に多重に結束する構成であるため、製作は容易であ
り、また縛り紐の多重部分36,36のうちの一つを縛りの
起点とすることにより、この部分に関しては従来製法に
おいて必然的に多重結束がなされるため、工数増加を最
小限にとどめることができ、さらには縛り紐の端末処理
において紐の締め上げがなされるため、多重部分36の結
束効果が促進される利点がある。
特定の箇所を多重に結束する手段としては、この他に
例えば結束バンドや熱収縮率の大きな紐等の別部品を用
いてコイルエンドを締め付ける構成としてもよく、この
場合は結束効果がさらに促進される。
尚、第1図の実施例においては、着磁時にコイルエン
ドに加わる力が特に大きなP1,P2,P3,P4の各箇所のう
ち、P3とP4の2箇所のみ多重結束して補強を施してある
が、これは一般にコイルエンドが外径側へ拡げて整形し
てあるために外径側よりも内径側へ倒れ易く、さらに第
2図に示した電動機のように、反口出線側のコイルエン
ド33の内径側に近接して鉄製の軸受部45が存在する場
合、着磁時にこの軸受部45とコイルエンド33との間に生
じる吸引力によってコイルエンド33が内径側へ倒れ易く
なるため、着磁電流値の大きなCw1とCw2の両コイルエン
ドのうち内層に配置されるCw1の方が変形し易く、且つ
回転子40と近接しているために回転子40との接触等致命
的な影響が発生し易いためである。従ってコイルエンド
33の外径部にハウジング等が近接して存在する場合は、
P1とP2の両箇所も多重に結束して補強すべきことは勿論
である。つまり電動機の構成上の特徴から、多重結束す
る箇所は、P1とP2の2箇所、又はP3とP4の2箇所、又は
P1,P2,P3,P4の4箇所より適宜選択して構成する。
次に三相コイルの各口出部Tu,Tv,Twを第5図に示すよ
うに接続した場合、コイルCu1とCu2には通電されず、コ
イルCv1とCv2及びコイルCw1とCw2に各々同一値の電流が
流れる。この場合はこれら通電されるコイルであるV相
とW相のコイルエンドにおいて電流方向が相間で逆方向
となるため、第1図及び第3図において符号P1及びP3で
示す部分、即ちV相とW相が相互に重なる相間において
強い反発力が作用する。従ってこの場合は、第1図にお
けるP1とP3の2箇所のみ多重結束してコイルエンドを補
強して構成するものである。
〔発明の効果〕
本発明によれば、着磁電流によって特に大きな力を受
ける固定子コイルエンドの特定の箇所を予め補強して構
成するため、着磁時にコイルエンドの倒れ等の変形が生
じることなくその整形形状が維持されて、製作又は修理
に際して有益な組み込み着磁法を用いた永久磁石界磁型
電動機の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例を示す電動機の平面図、第2図
は永久磁石界磁型電動機の一般的構成を示す正面断面
図、第3図は第1図の固定子コイルの巻装構成を示す展
開接続図、第4図及び第5図はそれぞれ異なる例を示す
着磁時の固定子コイルの結線図である。 1〜24……スロット、30……固定子、32……コイル、33
……コイルエンド、35……縛り紐、40……回転子、42…
…界磁、44……シャフト、Tu,Tv,Tw……口出部、E……
着磁電源。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】永久磁石化されるべき界磁を備えた回転子
    に、三相Y結線されたコイルを備えた固定子を対向配置
    して組み立てた後、前記固定子の三相コイルの各相口出
    部を着磁電源へ接続することにより前記界磁に着磁を施
    して構成する電動機において、着磁電流値の大きな特定
    のコイルエンドを他のコイルエンドに比べて多重に結束
    したことを特徴とする永久磁石界磁型電動機。
  2. 【請求項2】永久磁石化されるべき界磁を備えた回転子
    に、三相Y結線されたコイルを備えた固定子を対向配置
    して組み立てた後、前記固定子の三相コイルのうち特定
    の2相の口出部を着磁電源へ接続することにより前記界
    磁に着磁を施して構成する電動機において、前記特定の
    2相のコイルエンドが相互に重なる部分を他のコイルエ
    ンドに比べて多重に結束したことを特徴とする永久磁石
    界磁型電動機。
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