JP2877653B2 - リン酸型燃料電池の運転方法 - Google Patents

リン酸型燃料電池の運転方法

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JP2877653B2
JP2877653B2 JP5065596A JP6559693A JP2877653B2 JP 2877653 B2 JP2877653 B2 JP 2877653B2 JP 5065596 A JP5065596 A JP 5065596A JP 6559693 A JP6559693 A JP 6559693A JP 2877653 B2 JP2877653 B2 JP 2877653B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リン酸型燃料電池の運
転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は天然ガス,メタノール,石炭
ガス等の燃料を改質して得られる水素と,空気中の酸素
とから電気エネルギーを得る装置であり、高い発電効率
を得ることができる。したがって、宇宙用から自動車用
まで、大規模発電から小規模発電まで、種々の用途に使
用できる将来有望な新しい発電システムとして注目され
ている。
【0003】特に、近年では小型のリン酸型燃料電池
が、移動通信用,建築・土木工事用等の数100W程度
の小規模電源として注目されている。リン酸型燃料電池
は、電池本体の性能及び電池構成材料の耐久性,寿命等
の兼ね合いから、通常150℃〜200℃の運転温度で
運転を行っている。この場合、電池温度を一定に保つた
めに電池内に冷却空気を送り込んでいるが、冷却空気の
供給側は温度が低く、冷却空気の排出側は温度が高いた
め、空気の供給側から排出側にかけて電池内に温度勾配
が生じる。例えば、運転温度180℃の場合には、図4
に示すように電池内に150℃〜190℃の温度勾配が
生じることになる。
【0004】ところで、電池温度(運転温度)とリン酸
濃度との間には図6に示すような関係があるので、例え
ば電池温度150℃の領域のリン酸濃度は98wt%程
度であり、電池温度190℃の領域のリン酸濃度は10
0wt%程度である。したがって、運転温度180℃の
場合には、電池内には98wt%〜100wt%のリン
酸の濃度勾配が生じる。ここで、リン酸電解質は電極を
構成する電極触媒層と電解質マトリックスとの空隙部に
保持されており、しかもこれらの厚さは0.3〜0.4mm程
度であるので、リン酸電解質の拡散径路は非常に狭い。
したがって、このようにリン酸電解質が高濃度の状態で
はリン酸の拡散が起こりにくいため、電池の運転を停止
した場合でも、電池内には運転中と略同様の濃度勾配が
残存する。
【0005】一方、リン酸濃度とリン酸の氷結温度とは
図7〔W.H.Ross, R.M.Jones: J.ofAm.Chem.Soc., 47,21
65 (1925)〕に示すような関係があるので、例えばリン
酸濃度が100wt%,91.6wt%であると、それぞ
れ42.3℃(E点),29.3℃(C点)以下の温度でリ
ン酸が固体化しはじめ、やがて23.5℃(D点)以下の
温度で完全な固体になる。したがって、上記のように電
池内におけるリン酸濃度が98wt%〜100wt%で
あれば、電池運転停止時(保存中)の外気温度が23.5
℃以下になると、電池内のすべてのリン酸が完全な固体
状態になり、電解質抵抗が非常に大きくなるため、電池
を起動させることができないという問題がある。
【0006】この問題を解決するため、以下の2つの方
法が提案されている。第1の方法は、電池運転停止後、
再起動させるまでの間(即ち、電池保存中)におけるリ
ン酸の氷結を防止する方法であり、電池保存中に保温装
置等によって電池をリン酸の氷結温度よりも高い温度、
例えば80℃程度に保温し続ける方法である。
【0007】第2の方法は、電池運転停止後、電池温度
が外気温度まで低下しリン酸が氷結した場合に電池を再
起動させる方法であり、加熱装置等によって電池をある
温度まで昇温させることにより、リン酸を抵抗の高い固
体状態から抵抗の低い液体状態へと融解させる方法であ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記方法は
いずれも発電所等で使用する大型のリン酸型燃料電池に
おいては有効であるが、移動通信用,土木工事用等に使
用する小型のリン酸型燃料電池においては、実現性に乏
しい。即ち、保温装置や加熱装置等を設けることは装置
が大型化し重量も重たくなるので小型化には不向きであ
るし、また保温装置等を駆動するためのエネルギー源を
確保するのも困難である。
【0009】その結果、小型のリン酸型燃料電池におい
ては、運転停止後電池温度が外気温まで低下しリン酸が
氷結した場合に電池の再起動ができなくなるという問題
が依然として残されている。本発明は上記課題に鑑みて
なされたものであり、電池の保存中におけるリン酸の氷
結を抑制することによって、運転停止後電池温度が外気
温度まで低下しても、起動可能であるリン酸型燃料電池
の運転方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するため、以下のことを特徴とする。 正極と負極との間にリン酸電解質を保持した電解質
マトリックスを介在させた単電池を複数積層させて成る
リン酸型燃料電池の運転方法において、外気温度に応じ
て電池の運転温度を変化させることを特徴とする。 正極と負極との間にリン酸電解質を保持した電解質
マトリックスを介在させた単電池を複数積層させて成る
リン酸型燃料電池の運転方法において、前記電池の運転
停止後、電池内のリン酸電解質が少なくとも液相領域を
有するように、外気温度に応じて電池の運転温度を変化
させることを特徴とする。 所定濃度のリン酸電解質が、液体から完全な固体に
変化する温度に対して、外気温度が高い場合にはリン酸
電解質が所定濃度よりも高い濃度となる第1の運転温度
で運転し、外気温度が低い場合にはリン酸電解質が所定
濃度よりも低い濃度となる第2の運転温度で運転するこ
とを特徴とする。
【0011】
【作用】電池温度(運転温度)はリン酸濃度と密接に関
係しており、例えば図6に示すように、電池温度(運転
温度)が高くなるとリン酸濃度も高くなり、電池温度
(運転温度)が低くなるとリン酸濃度も低くなる。した
がって、運転温度を下げるとリン酸の濃度勾配も低濃度
側にシフトし、運転温度を上げるとリン酸の濃度勾配も
高濃度側にシフトする。例えば、運転温度180℃の場
合には、図4に示すように電池内に150℃〜190℃
の温度勾配が生じるため、電池内には98wt%〜10
0wt%程度のリン酸の濃度勾配が生じる。一方、運転
温度を180℃から100℃に下げると、電池内の温度
勾配も図5に示すように70℃〜110℃と低温側にシ
フトするので、電池内のリン酸の濃度勾配も83wt%
〜95wt%程度と低濃度側にシフトする。
【0012】一方、リン酸濃度は外気温度とも密接に関
係しており、例えば図7に示すように、リン酸濃度が9
1.6wt%以上であれば23.5℃以下の温度でリン酸が
完全な固体状態になるが、リン酸濃度が91.6wt%未
満であれば23.5℃以下の温度でリン酸が固体と液体と
の混合状態になることはあっても、−85℃以下になる
までは完全な固体状態になることはない。
【0013】これらを考慮して、外気温度が23.5℃以
下の場合には、リン酸濃度が91.6%未満の領域が電池
内に少なくとも存在するような運転温度で運転を行え
ば、運転停止時に電池温度が外気温度まで低下したとし
ても、電池内のリン酸が固体と液体との混合状態になる
ことはあっても、−85℃以下になるまでは完全な固体
状態になることはない。したがって、電池内のすべての
リン酸が抵抗の大きい固体状態になるのを抑制できるの
で、抵抗の小さい液相領域において発電を行うことがで
きる。この場合、発電によって反応の過電圧に相当する
熱が発生するので、この熱によって電池を昇温すること
ができる。その結果、固体化したリン酸領域を融解させ
て液相領域にすることができるので、電池を起動させる
ことができる。一方、外気温度が23.5℃よりも高い場
合には、リン酸濃度が91.6%以上の領域が電池内に少
なくとも存在するような運転温度で運転を行えば、前記
と同様に、運転停止時に電池温度が外気温度まで低下し
たとしても、電池内のリン酸が固体と液体との混合状態
になることはあっても、完全な固体状態になることはな
い。ここで、電池特性は電池の運転温度に依存し、運転
温度の低下と共に電池特性も低下するため、運転温度は
電池温度が運転停止後外気温度まで低下しても、起動が
可能な範囲で高く設定することが望ましい。本願発明に
よれば、起動可能な範囲で高い運転温度で運転を行うこ
とが可能である。
【0014】具体的には、外気温度が23.5℃よりも高
い場合には、電池内に180℃以下の領域が存在するよ
うな運転温度で運転を行い、外気温度が23.5℃以下の
場合には、電池内に100℃以下の領域が存在するよう
に運転を行わせることができる。
【0015】
【実施例】図1は本発明の一実施例に係るリン酸型燃料
電池を用いたポータブル電源の斜視図(一部断面)、図
2は図1のポータブル電源のX−X線断面図であり、ア
ルミニウムやジュラルミン等の軽金属製であって、上方
に行くにつれて先細り状の角錐体をなしたケース1内に
は、リン酸型の燃料電池本体2が配置され、この燃料電
池本体2から排出される排ガスの通路である排気側側方
には、前記燃料電池本体2に燃料である水素を供給する
水素吸蔵合金を充填した複数本(図示例では5本)の水
素吸蔵合金ボンベ3を備えた水素貯蔵装置4が配置され
ている。ここで、前記水素貯蔵装置4を燃料電池本体2
の排気側側方に配置したのは、燃料電池本体2から排出
される高温の排ガスを有効利用して各ボンベ3内に充填
されている水素吸蔵合金を加熱するためであり、この加
熱によって水素貯蔵装置4から燃料電池本体2への水素
の供給が円滑に行われることになる。尚、前記燃料電池
本体2の温度が最も高くなる部分(即ち、燃料電池本体
2の空気排出側側面の中央部)には、後述する温度セン
サが設けられている。
【0016】前記ケース1内であって、燃料電池本体2
への空気通路である空気供給側側方(即ち、前記水素貯
蔵装置4と反対側の側方)には、種々の制御系やその他
の設備類が配置されている。例えば、後述する空気供給
孔5の近傍には、燃料電池本体2の発電によって駆動さ
れ燃料電池本体2に空気を供給する空気供給ファン6が
配置され、この空気供給ファン6の下方であって空気供
給ファン6によってケース1内に取り入れられた空気の
通路には、この空気を加熱して供給し燃料電池本体2を
運転温度まで上昇させる起動用ヒータ7が配置されてお
り、この起動用ヒータ7は燃料電池本体2の発電によっ
て駆動する。この起動用ヒータ7の下方には、水素貯蔵
装置4から燃料電池本体2に供給された水素のうち反応
に寄与しなかった未反応水素と、後述する空気供給ファ
ン8から供給される空気とを触媒燃焼により処理し、ケ
ース1外に水素が排出されるのを防止する触媒燃焼器9
が配置され、この触媒燃焼器9には例えば、白金等の触
媒が充填されている。この触媒燃焼器9によって燃焼処
理された燃焼排ガス(即ち、水蒸気)は燃料電池本体2
を加熱した後、排ガス排気孔13からケース1外に排出
される。また、この触媒燃焼器9の側方には、触媒燃焼
の際に必要な空気を供給する空気供給ファン8が配置さ
れ、この空気供給ファン8の側方には電源の出力電圧が
一定になるように制御するDC−DCコンバータ10が
配置されている。このDC−DCコンバータ10の側方
には、空気供給ファン6の回転数を制御して運転温度を
上下させたり,空気供給ファン8の回転数を制御して触
媒燃焼器9に供給する空気量を調整したり,燃料電池本
体2が運転温度まで達した時に起動用ヒータ7を停止さ
せる等の制御を司る制御装置11が配置されており、こ
の制御装置11には、燃料電池本体2に設けた温度セン
サからの運転温度検出信号や,電源の外部に設けた外気
温度センサからの外気温度検出信号等が入力される。ま
た、この制御装置11の上方にはヒューズリレーボック
ス12が配置されている。
【0017】前記ケース1上方の角錐体の側面傾斜部の
一方には、燃料電池本体2からの排ガス等を排出する排
ガス排気孔13が設けられ、この排ガス排気孔13と反
対側の側面傾斜部には燃料電池本体2にて発電された電
力を取り出す数個のコネクタ14が設けられている。ま
た、前記ケース1上方の角錐体の正面傾斜部,及び背面
傾斜部であって、前記排ガス排気孔13から遠い位置に
は、ケース1内に空気を取り入れる空気吸入孔5(図で
は正面傾斜部側のみを示す)がそれぞれ設けられてい
る。
【0018】前記ケース1上方の角錐体上面の平坦部分
には、水素吸蔵合金ボンベ3内の水素残圧を表示するラ
ンプや,前記水素吸蔵合金ボンベ3内の水素圧力を調整
する圧力スイッチや,水素供給弁等の弁の開閉を行う弁
開閉スイッチ等(いずれも図示せず)を備えた操作パネ
ル15が設けられている。前記空気吸入孔5,排ガス排
気孔13,コネクタ14,操作パネル15等が設けられ
るケース1上方の角錐体部分は、ケース1と同様の材料
で構成された蓋体16で覆蓋される構成となっており、
蓋体16でケース1の上面を覆蓋後、止め具17によっ
て蓋体16とケース1とを固定できる構成となってい
る。尚、図中18は蓋体16の上部に取り付けた把手
で、ケース1を覆蓋して電源を持ち運ぶ際に用いられ
る。また、前記ケース1と蓋体16とが接する部分に
は、ケース1内の密閉性を高めるため、パッキン19が
設けられている。
【0019】上記空気供給ファン6の駆動によって空気
吸入孔5からケース1内に取り込まれた空気は、大部分
が発電用として燃料電池本体2に直接供給される一方、
残余の空気は制御装置11やDC−DCコンバータ10
等の周辺を経由してこれら制御装置11やDC−DCコ
ンバータ10等を冷却した後、燃料電池本体2に供給さ
れる。そして、燃料電池本体2での発電によって加熱さ
れた高温の排ガスは、水素貯蔵装置4の周辺を経由して
水素貯蔵装置4を加熱した後、排ガス排出孔13からケ
ース1外に排出される。尚、前記空気吸入孔5から取り
込まれた空気は燃料電池本体2に供給されるが、空気吸
入孔5から燃料電池本体2までの吸入空気が通過する吸
気ダクトの一部は、上記ケース1の内周面の一部が構成
している。また、反応後の排ガスは水素貯蔵装置4の周
辺を経由して排ガス排出孔13から排出されるが、この
燃料電池本体2から排ガス排出孔13までの排ガスが通
過する排気ダクトの一部も、上記ケース1の内周面の一
部が構成している。
【0020】図3は本発明の一実施例に係るポータブル
電源の概略構成を示すブロック図であり、ケース1外部
に設けられた外気温度センサ21,及び燃料電池本体2
の内部に設けられた温度センサ20からの温度検出信号
はともに制御装置11に送信される。そして、制御装置
11が、これら温度検出信号に基づいて、運転温度を設
定する。燃料電池本体2の運転温度は空気供給ファン6
の回転数を変えることにより制御される。
【0021】以下、上記の如く構成されたポータブル電
源の運転方法について、具体的に説明する。起動時に外
気温度が23.5℃よりも高い場合は、例えば運転温度を
180℃にして運転すると電池内では、図4に示すよう
に150℃〜190℃の温度分布を示す。図6からこの
時の電池内のリン酸濃度は98wt%〜100wt%程
度となる。この場合、外気温が23.5℃よりも高いた
め、運転停止後電池温度が外気温度まで低下しても、電
池内にリン酸濃度が91.6wt%以上の領域が存在す
る。したがって、電池内のリン酸が完全に固体状態にな
ることはないので、起動が可能である。
【0022】一方、外気温度が23.5℃以下の場合は、
運転温度を180℃にして運転すると運転停止後電池温
度が外気温度まで低下した時に、リン酸が完全に固体状
態になる可能性が非常に高まり起動が困難になる。よっ
て、この場合は、例えば運転温度を100℃にして運転
すると電池内の温度分布は低温側にシフトして70℃〜
110℃となる。電池内のリン酸濃度も低濃度側にシフ
トし図7から83wt%〜95wt%程度となることが
わかる。したがって、運転停止後電池温度が外気温度ま
で低下しても、電池内にリン酸濃度が91.6%未満の領
域が存在するため、この領域のリン酸は完全に固体状態
になることはなく、液体状態の部分が存在する。よっ
て、この部分において発電し起動を行うことが可能であ
る。
【0023】尚、リン酸の抵抗は液体状態においても温
度と共に上昇し、電池の起動性が低下するため、外気温
度が23.5℃以下の場合において、外気温度に応じて運
転温度を変え、例えば外気温度が10℃よりも低い場合
は運転温度を90℃としてリン酸濃度を更に低濃度側に
シフトさせ、リン酸濃度91.6%未満の領域を広げるこ
とにより液体状態で存在するリン酸の比率を高めること
により起動性を向上させることも可能である。また、当
然のことながら、外気温度が23.5℃以上の場合でも、
運転温度を180℃以上に設定しても何ら問題はない。
【0024】以上の例では電源の起動時の外気温度に応
じて予め運転温度を設定した。このようにした場合は、
外気温度によって運転温度も変化するため、特に外気温
度が低く運転温度が低い場合には電池の発電効率が低下
する。そこで、例えば以下のように起動後は定められた
運転温度で運転し、運転停止直前の外気温度に応じて運
転温度を変化させることも勿論可能である。
【0025】先ず、電源の運転を停止したい場合にスト
ップボタン(図示せず)をONにすると、外気温度セン
サ21によってその時の外気温度が検出されると共に、
燃料電池本体2に設けた温度センサ20によって、電源
の運転温度が検出される。そして、この外気温度に応じ
た運転温度に制御され、一定時間運転した後停止するこ
とにより、リン酸の濃度を下げ電池温度が外気温度まで
低下しても、リン酸氷結による起動性の低下を抑制可能
である。尚、運転温度を下げる方法としては、空気供給
ファン6の回転数を増加し、燃料電池本体2に供給する
空気の量を増加させる等の方法が採られている。
【0026】また、運転時に電源がおかれる環境と、運
転停止時から再度運転する時までに電源がおかれる環境
とが異なる場合は、その環境の温度に応じた運転温度で
運転するよう人為的に設定することができる。例えば、
現在の運転時における外気温度よりも、低い温度の環境
で次回に運転させる場合には、現在の運転停止時から次
回に運転するまでの間で、最も外気温度が低くなる温度
を予想して、この温度の下で電池を起動することができ
る範囲でできるだけ高い温度に設定して電池の運転を行
わせることもできる。
【0027】以上説明したように、外気温度に応じて運
転温度を変化させれば、運転停止後、電池温度が外気温
度まで低下しても、リン酸の少なくとも一部は液体状態
で存在するため、電源の起動性が向上する。尚、運転温
度を下げると電圧が低下するため、当然出力も低下する
ことになるが、水素の消費量を増大させて電流値を上げ
ることにより、運転温度を下げる前と略同等の出力を得
ることができる。 〔実験〕従来のように外気温度の変化に係わらず常に運
転温度を180℃として運転する場合(運転方法X)
と、外気温度に応じて運転温度を変化させる、即ち起動
時の外気温度が23.5℃以下の場合は運転温度110℃
で運転を行い,また外気温度が23.5℃よりも高い場合
は運転温度180℃で運転を行う場合(運転方法A)と
において、一旦運転を停止した後、24時間電源を保存
し、再び電源を起動させる実験を行った。
【0028】その結果は、外気温度25℃の場合は運転
方法A,運転方法Xともに起動可能であったが、外気温
度10℃の場合は運転方法Aでは起動可能であったが、
運転方法Xでは電池に負荷を接続すると電池電圧が急激
に低下してしまい起動することができなかった。これ
は、本発明の運転方法Aでは、電源の運転停止後、保存
中にリン酸の少なくとも一部は液体状態で存在するのに
対して、従来の運転方法Xでは、電源の運転停止後、保
存中にすべてのリン酸が氷結し固体状態となるためであ
ると思われる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように外気温度に応じて電
池運転温度を変化させれば、外気温度が23.5℃以下の
場合は電池スタックを構成するすべての単電池において
リン酸濃度が91.6wt%未満の部分を有するように運
転温度を制御して運転すれば、電池の運転停止後、電池
温度が外気温度まで低下してもリン酸の少なくとも一部
は液体状態で存在する。その結果、電解質抵抗の増大を
抑制することができるため、起動が可能となるといった
優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るリン酸型燃料電池を用
いたポータブル電源の概略斜視図である。
【図2】本発明の一実施例に係るポータブル電源のX−
X線断面図である。
【図3】本発明の一実施例に係るポータブル電源の概略
構成を示すブロック図である。
【図4】運転温度180℃における電池面内温度分布を
示す図である。
【図5】運転温度100℃における電池面内温度分布を
示す図である。
【図6】電池温度と平衡リン酸濃度との関係を示すグラ
フである。
【図7】リン酸濃度と温度との関係を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 忠継 守口市京阪本通2丁目18番地 三洋電機 株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−308662(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01M 8/00 - 8/24

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極と負極との間にリン酸電解質を保持
    した電解質マトリックスを介在させた単電池を複数積層
    させて成るリン酸型燃料電池の運転方法において、 外気温度に応じて電池の運転温度を変化させることを特
    徴とするリン酸型燃料電池の運転方法。
  2. 【請求項2】 正極と負極との間にリン酸電解質を保持
    した電解質マトリックスを介在させた単電池を複数積層
    させて成るリン酸型燃料電池の運転方法において、 前記電池の運転停止後、電池内のリン酸電解質が少なく
    とも液相領域を有するように、外気温度に応じて電池の
    運転温度を変化させることを特徴とするリン酸型燃料電
    池の運転方法。
  3. 【請求項3】 所定濃度のリン酸電解質が、液体から完
    全な固体に変化する温度に対して、外気温度が高い場合
    にはリン酸電解質が所定濃度よりも高い濃度となる第1
    の運転温度で運転し、外気温度が低い場合にはリン酸電
    解質が所定濃度よりも低い濃度となる第2の運転温度で
    運転することを特徴とするリン酸型燃料電池の運転方
    法。
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