JP2874739B2 - 2−ピロリドン重合体の製法 - Google Patents

2−ピロリドン重合体の製法

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JP2874739B2 JP26330991A JP26330991A JP2874739B2 JP 2874739 B2 JP2874739 B2 JP 2874739B2 JP 26330991 A JP26330991 A JP 26330991A JP 26330991 A JP26330991 A JP 26330991A JP 2874739 B2 JP2874739 B2 JP 2874739B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は繊維、プラスチック材料
として有用な2−ピロリドン重合体の製法に関する。
【0002】
【従来の技術および課題】2−ピロリドンの重合体はナ
イロン4として知られており、木綿や絹などの天然繊維
と類似した特性を持つことから特に繊維材料として注目
されていた。しかし、2−ピロリドン重合体は高温度で
の熱安定性が極端に悪く、繊維材料の経済的な製造法で
ある溶融紡糸法での繊維製造が困難という欠点があっ
た。この欠点改良を目的に多くの検討が行われた結果、
2−ピロリドン重合体の分子量が高くなるほど熱安定性
が良くなることがわかり、高分子量2−ピロリドン重合
体製造に関する方法が多く提案されている。
【0003】例えば、特公昭39−19571号特許公
報では五酸化燐などで処理後、蒸溜した2−ピロリドン
を塩基性重合触媒および公知の重合開始剤の作用で重合
する方法が開示されている。この方法によりやや高い分
子量の2−ピロリドン重合体を得ることができるが、未
だ不十分であり、また重合収率が低いという欠点もあ
り、実用化にいたっていない。
【0004】特公昭47−26678号特許公報では塩
基性重合触媒および重合開始剤炭酸ガスと必要に応じて
添加される他の重合開始剤の作用により2−ピロリドン
重合体を得る方法が開示されている。この方法で比較的
高分子量の2−ピロリドン重合体を得ることができる
が、未だ不十分であり、重合収率が低いという欠点があ
り、実用化にいたっていない。
【0005】特開昭54−33280号明細書では塩基
性重合触媒、重合開始剤として炭酸ガスとアゼチジノン
の併用により2−ピロリドンを製造する方法が開示され
ている。この方法でも2−ピロリドン重合体の分子量は
それほど大きくなく、また、重合収率が低いという欠点
があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は重合収率
が高く、高分子量の2−ピロリドン重合体の製法を提供
することにある。すなわち、本発明の目的は2−ピロリ
ドンを塩基性重合触媒および炭酸ガスの作用により重合
する際に、(1)〔化1〕であらわされるアミノ酸を塩
基性重合触媒1molに対して0.001〜0.3mo
l存在させること
【化1】 (ここでnは1〜11の整数)および(2)〔化2〕で
あらわされる化合物を塩基性重合触媒1molに対して
0.0002〜0.01mol存在させること
【化2】 (ここでx,yはそれぞれ3〜11の範囲の整数)によ
り達成できる。
【0007】本発明で使用するアミノ酸は〔化1〕であ
らわされる化合物であり、例えばグリシン、β−アラニ
ン、γ−アミノ酪酸、ε−アミノカプロン酸、アミノウ
ンデカン酸、アミノドデカン酸などがある。アミノ酸の
使用量は塩基性触媒1molに対して0.001〜0.
3mol、より好ましく0.005〜0.2molであ
る。使用量が上記範囲以外では重合収率、生成ポリマー
の分子量が低くなり好ましくない。
【0008】〔化2〕であらわされる化合物は特公昭3
8−24377号特許公報に記載の方法で合成できる。
具体例としては1−(1−ピロリン−2−イル)−2−
ピロリドン(〔化2〕のxが3、yが3の化合物)、1
−(1−アザシクロヘブター1−エン−2−イル)−2
−ピロリドン(〔化2〕のxが5、yが3の化合物)、
6−カプロラクタム−1−(1−アザシクロペンタ−1
−エン−2−イル)−1−アザ−2−オキソシクロペン
タン(〔化2〕のxが5、yが5の化合物)などがあ
る。
【0009】〔化2〕であらわされる化合物の使用量は
塩基性重合触媒1molに対して0.002〜0.01
mol、好ましくは0.0005〜0.005molで
ある。使用量がこれら範囲以外の場合、重合収率、分子
量共に低くなり好ましくない。
【0010】〔化2〕であらわされる化合物は2−ピロ
リドン塩基性重合法の重合開始剤として公知の化合物で
あるが、〔化1〕であらわされるアミノ酸と併用するこ
とにより始めて本発明の効果を有する。
【0011】本発明で使用する塩基性重合触媒としては
ラクタム類のアニオン重合法で一般的に用いられる化合
物が使用でき、アルカリ金属例えばナトリウム、カリウ
ム、リチウム;アルカリ金属の水酸化物、水素化物、ア
ルコラート、酸化物および塩、例えば水酸化カリウム、
水系化ナトリウム、カリウムメチラート、ナトリウムメ
チラート、ナトリウムピロリドン、カリウムピロリド
ン;塩基性の有機金属化合物例えばリチウムアルキル、
カリウムアルキル、ナトリウムアルキル、アルミニウム
アルキル;アルカリ金属のアリール例えばナトリウムフ
ェニル、ナトリウムナフタレン;グリニヤ試薬、例えば
ブチルマグネシウムブロマイドなどや〔化3〕で表され
る第4級塩基などがある。
【化3】 (ここにR,RおよびRは低級アルキルであり、
はアルキル基、アリール基又はアラルキル基であ
る。)
【0012】これらの中では水酸化カリウム、カリウム
メチラート、ナトリウムメチラート、ナトリウムピロリ
ドン、カリウムピロリドンが特に好ましい。水酸化カリ
ウム、カリウムメチラート、ナトリウムメチラートなど
を使用するときは、重合に先立ち2−ピロリドンとこれ
らの化合物を反応させ、副生する水やアルコール類を除
去後、使用することが好ましい。
【0013】本発明での塩基性重合触媒の使用量は2−
ピロリドン1molに対して0.005〜0.03mo
l、好ましくは0.03〜0.2molである。使用量
が上記下限より少なくても、上限よりも多くても重合収
率が低くなり好ましくない。
【0014】本発明で使用する重合開始剤炭酸ガスは純
度の高いものが好ましいが、特に重合を阻害しないかぎ
り工業的に入手可能なものが使用できる。炭酸ガスの使
用量は塩基性重合触媒1molに対して0.1〜0.9
mol、好ましくは0.2〜0.6molである。炭酸
ガスの使用量が上記範囲以外では重合速度が遅く、得ら
れるポリマーの分子量が低くなり好ましくない。
【0015】本発明では更に公知のアチセルピロリド
ン、アセチルカプロラクタム、酸クロライド、酸無水
物、イソシアナート、カルバミド化合物などの重合開始
剤を使用することも可能である。使用量は〔化2〕であ
らわされる化合物より少ない量が好ましい。
【0016】又、通常入手可能な2−ピロリドンは水分
や原料残渣などの不純物を含んでいるため、本発明では
蒸溜などの方法により精製した2−ピロリドンを使用す
ることは重要である。特に、水分による重合反応への影
響は大きく、含有水分量が0.1wt%以下の2−ピロ
リドンを使用することが好ましい。
【0017】本発明での2−ピロリドン重合体は所定量
の塩基性重合触媒を含有する2−ピロリドンに炭酸ガ
ス、アミノ酸および〔化2〕の化合物を添加し、100
℃以下、好ましくは15〜70℃の温度で2−ピロリド
ンを開環重合させることにより得ることができる。10
0℃以上の温度では重合速度が極端に遅くなり好ましく
ない。塩基性重合触媒を含有する2−ピロリドン中への
炭酸ガス添加は塩基性重合触媒を含有する2−ピロリド
ンへ炭酸ガスを150℃以下、好ましくは15〜100
℃の温度範囲で吹込むことにより実施できる。炭酸ガス
の添加は常圧でも加圧下でも良い。
【0018】アミノ酸および〔化2〕の化合物の添加は
炭酸ガスを吹込む前後のいずれでも良い。また、全重合
組成物中の20wt%以内であればγ−ブチロラクト
ン、α−ピペリドン、ε−カプロラクタム、ラウロラク
タムなどと共重合させることも可能である。
【0019】重合操作としては、バッチ法、連続法、こ
れらの中間的方法などが適用でき、重合反応方式として
は塊状重合法やテトラヒドロフラン、ジオキサン、へキ
サン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、N
−メチルピロリドン等の溶剤を使用した溶液重合法、懸
濁重合法、乳化重合などの方法も利用できる。
【0020】
【発明の効果】2−ピロリドンを塩基性重合触媒および
重合開始剤炭酸ガスの作用により重合する際に (1)〔化1〕であらわされるアミノ酸を塩基性重合触
媒1mol対して0.001〜0.3molと (2)〔化2〕であらわされる化合物を塩基性重合触媒
1mol対して0.0002〜0.01molとを存在
させて、重合することにより高分子量の2−ピロリドン
重合体を高重合収率で得ることができる。
【0021】以下に本発明を実施例により具体的に説明
する。実施例、比較例において使用する重合収率、分子
量の尺度であるηr(相対粘度)は下記の方法で測定し
た値である。
【0022】(1)重合収率 所定時間重合した重合体混合物を粉砕し、その粉砕物を
10倍量以上の温水(50〜60℃)に入れ、約3時間
撹拌洗浄する。温水を除去した後、新しい温水を入れ同
様の操作を繰返えす。この操作を再度行い、残った生成
重合体を減圧乾燥(約70℃、24時間以上)した後、
秤量し、以下の式により計算する。
【0023】
【数1】
【0024】(2)ηr(相対粘度) 乾燥した2−ピロリドン重合体0.5gをm−クレゾー
ル100ccに室温で完全に溶解した後、オストワルド
粘度計を用い、30℃の温度で流下時間(単位秒)を測
定し、以下の式で計算される値。
【0025】
【数2】
【0026】実施例1 減圧装置のついたフラスコに精製した実質的に無水の2
−ピロリドン220g(2.58mol)を入れ、65
℃に加熱した後、純度85%の水酸化カリウム15.5
2g(水酸化カリウム換算0.235mol)を加えて
昇温しながら反応させ、このフラスコ内を減圧(115
℃、約5mmHg)し、副生する水と2−ピロリドンの
混合物24gを留去し、カリウムピロリドン0.1mo
lを含有する2−ピロリドン液を調整した。この系内に
乾燥窒素を導入して常圧とし、液の温度を25℃に下げ
た後、γ−アミノ酪酸1.21g(0.012mol,
塩基性重合触媒カリウムピロリドン1molに対して
0.05mol)および1−(1−ピロリン−2−イ
ル)−2−ピロリドン(以下PDPDであらわす)0.
036g(0.00024mol,塩基性重合触媒カリ
ウムピロリドン1molに対して0.001mol)を
添加した。続いて炭酸ガス3.0g(0.068mo
l,塩基性触媒カリウムピロリドン1molに対して
0.29mol)を導入した後、窒素ガス雰囲気下、4
0℃で24時間重合した。生成した重合物を粉砕し、水
で十分に洗浄して未反応モノマー、カリウムなどを除
き、70℃で24時間減圧乾燥した。重合収率は60
%、ηrは16.0であった。
【0027】比較例1 PDPDを使用しない以外は実施例1と同様の方法で実
施した。重合収率、ηrの測定結果を表1に示した。
【0028】比較例2 PDPDの使用量0.43g(0.0028mol,塩
基性触媒カリウムピロリドン1molに対して0.01
2mol)を代えた以外は実施例1と同様の方法で実施
した。重合収率、ηrの測定結果を表1に示した。
【0029】比較例3 γ−アミノ酪酸を使用しない以外は実施例1と同様の方
法で実施した。重合収率、ηrの測定結果を表1に示し
た。
【0030】比較例4 γ−アミノ酪酸の使用量を8.5g(0.082mo
l,塩基性触媒カリウムピロリドン1molに対して
0.35mol)に代えた以外は実施例1と同様の方法
で実施した。重合収率、ηrの測定結果を表1に示し
た。
【0031】
【表1】
【0032】比較例5 PDPDの代わりにアセチルカプロラクタム0.034
g(0.00024mol)を使用した以外は実施例1
と同様の方法で実施した。重合収率は34%、ηrは
9.6であった。
【0033】実施例2〜5 PDPD、炭酸ガスの使用量及び重合温度を表2の数値
に代えた以外は実施例1と同様の方法で実施した。重合
収率、ηrの測定結果を表2に示した。
【0034】
【表2】
【0035】実施例6 2−ピロリドン220gに純度85%の水酸化カリウム
の使用量を31.04g(水酸化カリウム換算で0.4
7mol)を添加後、実施例1と同様の方法で反応さ
せ、副生する水と2−ピロリドンの混合物28gを留去
して作成したカリウムピロリドン0.2molを含有す
る2−ピロリドン液を使用することとγ−アミノ酪酸の
代わりにε−アミノカプロン酸を1.54g(0.01
18mol,塩基性触媒カリウムピロリドン1molに
対して0.025mol)使用した以外は実施例1と同
様の方法で実施した。重合収率は63.4%、ηrは1
3.8であった。
【0036】実施例7 減圧装置のついたフラスコに精製した実質的に無水の2
−ピロリドン200g(2.35mol)を入れ、90
℃に加熱した後、純度95%のナトリウムメチラート8
g(0.148mol)を加えて反応させ、このフラス
コ内を減圧(115℃、約5mmHg)にし、副生する
メタノールを留去し、ナトリウムピロリドン0.06m
olを含有する2−ピロリドン液をつくった。このフラ
スコに窒素ガスを入れて常圧に戻し、液の温度を25℃
に下げた後、γ−アミノ酪酸2.29g(0.022m
ol,塩基性触媒ナトリウムピロリドン1molに対し
て0.15mol)、PDPD0.045g(0.00
03mol,塩基性触媒ナトリウムピロリドン1mol
に対して0.002mol)を添加した。続いて炭酸ガ
ス1.3g(0.03mol,塩基性触媒ナトリウムピ
ロリドン1molに対して0.2mol)を導入した
後、窒素ガス雰囲気下、50℃で24時間重合した。生
成した固形物を粉砕し、水で十分に洗浄し、未反応モノ
マー、ナトリウムを除去し、70℃で24時間減圧乾燥
した。重合収率は53%、ηrは10.5であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特公 昭38−24377(JP,B1) Polymer Bulletin 14,p.527−534(1985) Acta Polymerica 34 (11−12)p.715−719(1983) Makromol.Chem.189, p.9−16(1988) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 69/00 - 69/50 D01F 6/60 CA(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2−ピロリドンを塩基性重合触媒および
    重合開始剤炭酸ガスの作用により重合する際に (1)化学式(I)であらわされるアミノ酸を塩基性重
    合触媒1molに対して0.001〜0.3mol存在
    させること 【化1】 (ここでnは1〜11の整数)および (2)化学式(II)であらわされる化合物を塩基性重
    合触媒1molに対して0.0002〜0.01mol
    存在させること 【化2】 (ここでx,yはそれぞれ3〜11の範囲の整数)を特
    徴とする2−ピロリドン重合体の製法
JP26330991A 1991-07-09 1991-07-09 2−ピロリドン重合体の製法 Expired - Lifetime JP2874739B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR102287634B1 (ko) * 2017-11-08 2021-08-10 한화솔루션 주식회사 음이온 개환 중합에 의한 폴리아마이드의 제조 방법 및 이에 의해 제조된 폴리아마이드

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Acta Polymerica 34(11−12)p.715−719(1983)
Makromol.Chem.189,p.9−16(1988)
Polymer Bulletin 14,p.527−534(1985)

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