JP2874691B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JP2874691B2
JP2874691B2 JP13541697A JP13541697A JP2874691B2 JP 2874691 B2 JP2874691 B2 JP 2874691B2 JP 13541697 A JP13541697 A JP 13541697A JP 13541697 A JP13541697 A JP 13541697A JP 2874691 B2 JP2874691 B2 JP 2874691B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、記録媒体に液体イ
ンクを用いるインクジェット記録装置に関する。 【0002】 【従来の技術】インクジェットプリンターは、コンティ
ニュアスジェット、インパルスジェット、サーマルジェ
ット等、様々なインク滴噴射方式により、無騒音、高速
印刷、高品質印刷、カラー印刷を実現しているが、イン
ク滴を10〜100μm程度の微小ノズルオリフィスか
ら噴射して印刷する技術のため、インクが微小オリフィ
スや微細流路で安定して流動できるように、非常にクリ
ーンで安定した特性のインクが要求される。そのため、
インク製造を極力ゴミやチリの発生を抑えたクリーンル
ームで行ったり、さらにインクを1μm以下のメンブレ
ンフィルターで精密濾過を行ったりしてクリーンなイン
クを保っていた。一方、このような過程でクリーンにさ
れたインクを収容するインクタンクについても、インク
中へチリやゴミ、異物を混入させないように、インクを
収容する前に超純水を用いた精密洗浄がなされていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、前述の従来技
術では、インクタンク中のインクをクリーンに保てるの
は初期だけで、インクタンクが様々な環境下におかれた
場合、温度変化や経時的な変化が加わるためインクタン
クを構成する材料中の添加剤がインク中へ溶出してイン
クの組成物と化学反応をおこし、それによりインク中に
不溶物をつくり、該不溶物がインクジェットプリンター
中の微細経路やフィルター、オリフィス等につまりイン
クの流動を防げ、プリンターの印刷不良や、印刷かすれ
をおこす問題がある。 【0004】そこで、本発明はこのような問題点を解決
するもので、その持て茎とするところは、液体インクを
有するインクタンクが、初期状態だけでなく、温度変化
や経時変化が加わっても、プリンだーの印刷不良や印刷
かすれを起こさないインクジェットプリンター等のイン
クジェット記録装置を提供するところにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
記録装置は、 1) インクタンク及びインクタンク中に液体インクを
有するインクジェット記録装置において、該液体インク
のナトリウムイオン濃度が0.001〜0.2重量%で
ある。 2) インクタンク及びインクタンク中に液体インクを
有するインクジェット記録装置において、該液体インク
のナトリウムイオン濃度が、0.001〜0.2重量%
であり、該インクタンクの材料が、脂肪酸、及び/又は
脂肪酸誘導体類を含有する樹脂及び/又は合成ゴムであ
る。 3) インクタンク及びインクタンク中に液体インクを
有するインクジェット記録装置において、インクタンク
を構成する材料中の脂肪酸、もしくは脂肪酸誘導体類の
総量が10〜100ppmであることを特徴とする。 【0006】インクジェット記録装置のインク系は第1
図(a)に示すようにインク11を格納する交換可能な
インクタンク12、インク11を印刷ヘッド14へ連結
する、インク供給管13から基本的に構成され、インク
タンク12のインクが減少した場合、インクタンク12
をインク供給管13から切り離し、満たんのインクを有
するインクタンク12をインク供給管13へ連結し、再
び印刷ヘッド14へインク11が供給可能となる。 【0007】また第1図(b)のように、印刷ヘッド1
4へゴミ等、ノズルオリフィス15を詰まられる原因と
なる異物や不溶物を流さないため、インク経路中にフィ
ルタ16を設けることにより、プリンターの信頼性を向
上することができる。 【0008】さらに第2図のように、印刷ヘッド14が
一体型インクタンク21から直接インク11を供給さ
れ、インク供給管13が省略されたインク系もある。 【0009】インクジェットプリンターのインク系部材
はインクと接触するため耐インク性がなければならな
い。その要件をみたし、一般に入手しやすい材料として
ポリオレフィン系樹脂やポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニ
リデン、シリコーン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、ABS樹脂、ポリアセタール、ナイロン、不飽和ポ
リエステル樹脂、PET、アラミド樹脂等の樹脂材料や
スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム、
クロロプレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、EPDM、
ウレタンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、エピク
ロルヒドリンゴム、フッ素ゴム等の合成ゴムがある。こ
れらの樹脂や合成ゴムは、それ自身を構成する化学物質
以外に、安定剤やUV吸収剤、酸化防止剤など多くの添
加助剤が、目的に応じて適当量添加されている。 【0010】本発明者は、インクタンクを構成する樹脂
や合成ゴム中に含まれる添加剤成分がインク中へ溶出
し、該溶出成分がインクの組成分と反応して不溶物を生
成することを発見し本発明に至った。すなわち、インク
11を含有したインクタンク12が、長時間使用されな
かったり、あるいは、室温より温度の高い条件でおかれ
たりすることにより、インクタンク12を構成する樹脂
や合成ゴム中に含まれる脂肪酸や脂肪酸誘導体類がイン
クへ溶出して室温に戻った時再び析出し不溶物を作った
り、またインクに含まれているナトリウムイオンと溶出
物が反応して脂肪酸ナトリウムの不溶物を生成したりし
てフィルター16やノズルオリフィス15をつまらせ、
インクの流れを防げたのである。特に該樹脂や合成ゴム
中の添加剤がステアリン酸、ステアリン酸アマイド、ス
テアリン酸金属塩の場合、ステアリン酸ナトリウムを生
成し、この化合物は糸状や針状の細長い結晶になるた
め、フィルター15や細いインク流路に詰まりやすく、
インクの流動を防げやすい。この現象は、インクを含む
インク容器が40℃以上の高温で1日以上放置した場
合、顕著におこる。この原因としては、樹脂や合成ゴム
中のステアリン酸、ステアリン酸アマイド、ステアリン
酸金属塩が高温状態で溶けやすくなるとともに、樹脂や
合成ゴム地震のポリマーマトリクスも温度の上昇により
分子振動をおこすためマトリクス中に存在する該ステア
リン酸やその誘導体の溶出が大きくなるためであると考
えられる。さらにインクのpHが高くなると、該効果は
いっそう高くなる。 【0011】インク容器を構成する樹脂や合成ゴム中に
含まれる脂肪酸やその誘導体の添加されている量は樹脂
やゴムの種類、及び同じ種類でもグレードの違い等によ
って異なる。特に、インク容器に適当な耐薬品性が高
く、コストが安く袋状に加工できる材料としてポリエチ
レン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン樹脂
がある。該樹脂中には前記脂肪酸やその誘導体が、重合
時の安定剤として添加されたり、フィルムに加工する時
にローラーへの付着を防止するスリップ剤として添加さ
れる。安定剤やスリップ剤に用いられる樹脂酸及び脂肪
酸誘導体類は、炭素数8〜22のものが一般に使用さ
れ、その中でもステアリン酸、Ca、Al、Mg、Zn
の、ステアリン酸金属塩(以後ステアリン酸(Ca、A
l、Mg、Zn)で表す)、ステアリン酸アマイド、ペ
ヘン酸、ベヘン酸(Ca、Al、Mg、Zn)、ステア
リン酸アマイド、オレイン酸、オレイン酸(Ca、A
l、Mg、Zn)オレイン酸アマイド、エルカ酸、エル
カ酸(Ca、Al、Mg、Zn)エルカ酸アマイド等が
ある。 【0012】特にポリエチレンフィルムの場合、その重
合性によりリニア低密度、ポリエチレン(LLDPE)
低密度ポリエチレン(LDPE)中密度ポリエチレン
(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等、多
種類あり、それぞれに添加される脂肪酸やその誘導体の
量も異なる。その他インク容器として容器材料中に脂肪
酸やその誘導体類を含む材料としては塩化ビニルやナイ
ロン、ポリアセタール、エチレン−酢酸ビニル、ABS
樹脂等やほとんどの合成ゴムが挙げられる。 【0013】一方、インクジェットプリンターに用いら
れるインクは、取り扱い性がよくインク自身の乾燥によ
るノズルオリフィスの目詰りがおこらないことや、イン
ク噴射ヘッドから高速応答してインク粒を噴出するため
インクが低粘性流体といった特性が必要で、一般に水ベ
ースの水性インクが使用されている。そのため、インク
中には、水に可溶な直接染料や酸性染料、塩基性染料等
の色素成分、及び水が蒸発してもインクの乾燥を防ぐ湿
潤成分を含んでいる。特に色素成分である直接染料等
は、水の溶解度を上げるため分子内にスルホン酸ナトリ
ウムを多く有し、さらに染料工程中での塩折工程で使用
される塩化ナトリウム、ジアゾ化工程での亜硝酸ナトリ
ウム、その他酢酸ナトリウムや炭酸ナトリウム、水酸ナ
トリウム、硫酸ナトリウムが染料中に含まれる。従っ
て、インク中に含まれるナトリウムイオンとインクタン
クに含まれる脂肪酸やその誘導体が温度等によりインク
中に溶出して脂肪酸ナトリウムをつくり、インクの流動
性を防げる原因となるのである。 【0014】本発明者は、ポリオレフィン樹脂の中でも
よく用いられる低密度ポリエチレンのフィルムで作った
袋に、袋からの溶出を加速するため1%KOHを含むナ
トリウムイオン濃度の異なる水溶液を入れ、密閉した
後、70℃の環境下で約10日間放置して、その後常温
に5日おいてから溶液中の生成物について観察を行っ
た。条件として60μm厚みの低密度ポリエチレン袋を
用い、ナトリウムイオン量が0.1wt%、0.15w
t%、0.2wt%、0.25wt%、0.3wt%と
なるようなNaCl水溶液を、それぞれ袋中に気泡が残
らないよう液中ヒートシールを行い、放置後、0.25
wt%、0.3wt%のNaClを含む袋では、糸状の
結晶の生成が認められた。該糸状結晶を赤外線分光光度
計とX線マイクロアナライザーにより分析した結果、ス
テアリン酸ナトリウムであることが判明した。従ってイ
ンク容器としては、容器を構成する樹脂や合成ゴム中に
脂肪酸やその誘導体を含んでいても、容器中のインクの
ナトリウムイオン濃度が0.2wt%以下であればイン
ク容器から流動性を防げる原因となる脂肪酸ナトリウム
を出さずに済むのである。 【0015】一方、インク中のナトリウムイオン濃度が
下がりすぎると、水溶液中で染料が会合しやすくなり、
また原因は明らかでないが、染料の会合性の高いインク
は連続インク噴出安定性に欠き好ましくない。そのた
め、インク中のナトリウムイオン濃度としては0.00
1〜0.2wt%が適当である。 【0016】本発明のインクジェットプリンターに係る
記録用インクは、水、水溶性染料、湿潤剤を主成分とす
るが、各組成物中に含まれるナトリウムイオンの濃度の
総和がインク全量の0.001〜0.2wt%でなけれ
ばならない。 【0017】水については、ナトリウムイオン濃度を極
力下げるために、超純水を用いる。超純水を得るには通
常の水道水を逆浸透膜やイオン交換樹脂等、公知の手法
により処理することにより得ることができる。 【0018】水溶性染料は、一般に多くのナトリウムを
含んでいる。その原因として、染料の塩析工程で使用さ
れる塩化ナトリウムや、ジアゾ化工程での亜硝酸ナトリ
ウム、その他の工程中での酢酸ナトリウムや炭酸ナトリ
ウム、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウムが、製造され
た染料中に含まれるからである。また水溶性染料自身に
も、多くの場合、分子内にスルホン酸ナトリウム基を含
んでおり、一般に入手できる水溶性染料をほとんどは、
染料中にナトリウムとして5%以上は含まれる。従って
本発明の記録用インクに用いるためには、これらのナト
リウム化合物を製造段階で使用を減らし、他のアルカリ
金属化合物、例えば塩化カリウム等を使用することによ
りナトリウムイオンを低減できる。また、前述のナトリ
ウム化合物を使用した場合でも、陽イオン交換樹脂、例
えばアンバーライト120系(オルガノ(株)商標)や
ダウエックス50W(ダウケミカル商標)等の強酸性陽
イオン交換樹脂をH型にして、染料水溶液を該交換樹脂
に通すことによりナトリウムイオンを低減できる。 【0019】本発明に用いる水溶性染料は、カラーイン
デックスにある直接染料、酸性染料、塩基性染料が使用
でき、該染料の前述のナトリウム化合物を低減かる製造
法や、精製法で本発明の所望のナトリウムイオン濃度に
調整することができる。染料は記録用インクの着色成分
であるので、被記録媒体へ印刷された時、十分なコント
ラストが必要であり、また染料濃度が高すぎるとインク
ジェットヘッドのノズル部で乾燥析出による目詰りが起
こるため、0.5〜10重量部が最適である。 【0020】湿潤剤は、インクジェットヘッドのノズル
部で記録用インクの乾燥を防止するための重要な成分で
ある。本発明の記録用インクでは、水溶性有機溶剤が使
用でき、その内でも多価アルコール類、及び該多価アル
コール類のエーテル誘導体、エステル誘導体、水溶性ア
ミン、含窒素環状化合物等が適している。具体的には、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレン
グリコール、グリセリン等の多価アルコール類、エチレ
ングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール
モノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチル
エーテル、ジエチレングリコールモノプチルエーテル、
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレング
リコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコー
ルモノメチルエーテル等の多価アルコール類のアルキル
エーテル誘導体類、エチレングリコールモノメチルエー
テルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエー
テルアセテート、グリセリルモノアセテート、グリセル
ジアセテート等の多価アルコールのエステル誘導体、
(モノ・ジ・トリ)エタノールアミン、ポリオキシエチ
レンアミン等の水溶性アミン、N−メチル−2−ピロリ
ドン等の含窒素環状化合物がある。これら水溶性有機溶
剤は、ナトリウムイオンを含まないため特に精製する必
要はないが、合成過程でナトリウム化合物を使用しなけ
ればならない水溶性有機溶剤については精製すべきであ
る。該有機溶剤の添加量としては、記録用インクの乾燥
防止のため、量が多い程効果はあがるが、一方記録用イ
ンクの粘度も上昇するため多量の添加は好ましくない。
一般に、インク粘度はインク粒の噴出サイクルに大きく
影響を及ぼし、粘度が高くなると噴出サイクルは上がら
ず噴出特性も不安定になる。そのためインク粘度は50
mPa・s以下が好ましく、この粘度範囲を考慮する
と、水溶性有機溶剤は5〜80重量部、添加することが
できる。 【0021】また、本発明のインクジェットプリンタに
用いる記録用インクは、記録紙への浸透を速くするた
め、日本特開昭56−57862に本発明者等が提案し
ているようにインクpH値を12〜14に調整できる。
この場合、pH値を上げるためアルカリ金属の水酸化物
を用いるが、本発明の場合、水酸化リチウムや水酸化カ
リウムが適当で、水酸化ナトリウムは使用できない。 【0022】その他の添加剤として、防腐剤や防カビ
剤、キレート剤、PH調整剤等、必要に応じ添加できる
が、該添加剤はナトリウム系化合物が多く、少量の添加
が好ましい。 【0023】さらに本発明者は、この脂肪酸及びその誘
導体とインクのナトリウムイオンの反応に着目しインク
タンクを構成する樹脂や合成ゴムに含まれる脂肪酸及び
その誘導体類を減少させることにより、インク中にナト
リウムイオンを0.2wt%以上含んでいても、不溶物
の生成が抑制できることを確認した。実験として、1w
t%のKOHを含むナトリウムイオン濃度で0.5wt
%のNaCl水溶液に、ステアリン酸Caがそれぞれ
5、10、50、100、200ppmを含むポリエチ
レン製の袋を用いて、前記NaCl水溶液100ccを
気泡が残らないように液中熱シールを行い、70℃の環
境下で10日間放置して、その後室温に3日おいてから
袋を破り液体をとり出して10μmの孔径をもつ金属製
フィルターで濾過した。その結果、200ppmのステ
アリン酸Caを含む袋のみ不溶物が発生していた。また
5ppmを含む袋は熱シール部から液体がたれており、
この濃度ではシール強度が弱いため、10〜100pp
mのステアリン酸Ca濃度のポリエチレン袋を用いれ
ば、ナトリウムイオンを0.2wt%以上含んでいて
も、不溶物の生成が抑制でき、シール強度も実用的であ
ることがわかった。すなわち、インクタンク内のインク
の組成やナトリウム濃度によっても不溶物の発生は変化
するがインクタンクを構成する脂肪やゴム材中のステア
リン酸Caのような脂肪酸やその誘導体類の総量が10
〜100ppmであれば、インクジェットプリンターの
インク系の流動を防げる不溶物生成はなく実用上問題な
い。 【0024】 【実施例】 例1(参考例) C.I.Direct Black38 10重量% 超純水 90重量% 上記水溶液100gをH型強酸性用イオン交換樹脂アン
バーライト120Bの充てんされたイオン交換塔に通
し、ナトリウムイオンの除去を行ない、C.I.Dir
ect Black38の精製10%水溶液を得た。該
水溶液は、NaがHに交換されてPHが低く、KOH水
溶液でpH10にになるように調整した。この液を用い
て下記の組成に示すインクを調合した。このインクをイ
オンクロマトで測定した結晶、ナトリウム0.1%、カ
リウム0.4%、塩素0.5%であった。 【0025】 C.I.Direct Black38の精製10% 水溶液 12重量部 グリセリン 20重量部 超純水 68重量部 調合後、1μmのミリポアメンブレンフィルターで濾過
を行なった後、減圧脱気して、ポリエチレンフィルムか
らなるインク袋へ該インクを150g入れ、袋中に空気
が入らないよう液中熱シールを行いインクタンクを得
た。該インクタンクを70℃中に120時間放置して、
さらに室温で3日間放置してから、IP−130Kイン
クジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製)へ
該インクタンクを接続して、印字を行った。該インクタ
ンクを10パック使用氏したところで、インク経路中の
ナイロン30μmフィルターを調べたところ、フィルタ
ーには何も詰まっておらず良好であった。 【0026】 比較例1(参考例比較例) 例1の10%染料水溶液をインク交換塔に通さず、例1
と同僚のKOH水溶液で調整した。該調整液を用いて、
例1と同様の組成でインクを得た。イオンクロマトで測
定の結果、ナトリウム0.5%、カリウム0.4%、塩
素0.5%であ 【0027】調整後、例1と同様にしてインクタンクを
作り、同条件で放置後、印字したところ3パック目で印
字不良をおこした。インク経路中のフィルターを調べた
ところ、フィルターは、大部分が詰まっており、赤外分
光計と電子顕微鏡で拡大して調べた結果、ステアリン酸
ナトリウムの結晶であった。印字不良は、このフィルタ
ー詰りにより、インクの流動が妨げられ、インクの供給
不良によるものであった。 【0028】 例2(参考例) C.I.Direct Black 154を合成する
に当り亜硝酸ナトリウムを用いてカップリングを行い、
その他の工程では一切ナトリウム化合物を使用せずに合
成を行った。合成後、塩酸で染料を酸析してから、KO
H水溶液に溶かし、その10%水溶液で下記インクを調
合した。 【0029】このインクをイオンクロマトで測定した結
果、ナトリウム0.03%、カリウム0.6%、塩素
0.3%であった。 【0030】 前記のC.I.Direct Black 154 10%水溶液 15重量部 ポリエチレングリコール#300 30重量部 超純水 55重量部 例1と同様の評価を行った結果、インク経路のフィルタ
ーは詰まることなく、印字状態も良好であった。 【0031】 例3(参考例) 例1あるいは2と同様の処理でナトリウムを低減した例
3−1〜3−8中の染料を用いて3−1〜3−8に示す
インクを調合した。比較例として3−10〜3−13に
市販の染料をそのままインクとして調合した。ナトリウ
ム、カリウム、塩素はイオンクロマトで測定を行った。 【0032】 【表1】【0033】 【表2】 【0034】 【表3】【0035】 【表4】 例1と同様の評価を行った結果を表−1に示す。 【0036】 【表5】 表−1の結果の通り、インク中のナトリウムイオン濃度
が0.2%以下であれば、フィルター目詰りは全くおこ
らなかった。またカリウムイオン濃度、塩素イオン濃度
はほとんどフィルター目詰りには関与しなかった。 【0037】 例4(参考例) 例1で評価に用いたインク袋を表−2の材料に変えて同
様の実験を行った。インクは例1のインク、及び比較例
1のインクを用いて行い表−2の結果を得た。 【0038】 【表6】 ○…10パックの印字でも印字状態は良好 ×…10パックの印字以前に印字状態が不良でフィルタ
ー詰り ナトリウムイオン濃度が0.2%以下のインクでは表−
2のどの材料に対してもフィルター目詰りさせなかった
が、ナトリウムイオン濃度が0.5wt%のインクはす
べてフィルター目詰りをおこした。 【0039】 例5(参考例) 前記例3−1〜3−8、比較例3−10〜3−13に示
したインクを表−3に示す例5−1〜5−8のインクタ
ンク、また比較例として5−10〜5−13のインクタ
ンクにそれぞれ入れ密閉して、70℃の環境に10日間
放置した後、室温で3日間放置してから、IP−130
Kインクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)
製)へ該インクを充てんして、それぞれのインクタンク
中のインク150ccすべてを印刷した。印刷後インク
系流路中のフィルターの詰まり具合を調べた結果を表−
4に示す。尚、フィルターは30μm孔を有するナイロ
ンメッシュからなり、面積は約3cmである。 【0040】 【表7】【0041】 【表8】 例インクタンク5−1〜5−8は、全くフィルター詰ま
りはなく、容器からの溶出成分とインクの析出物があっ
たとしても、すべてフィルターを通過したものと考えら
れ実用上全く問題ない。一方、5−10〜5−13のイ
ンクタンクでは糸状物の集合体が膜状に形成され、フィ
ルターに詰まっており、5−10、5−12、5−13
については印字不良もおこしていた。5−11について
は、同じようなインクタンクを使い続ければやはり同様
にフィルターをつまらせ、印字不良をおこすと思われ
た。 【0042】 例6(実施例) 脂肪酸系の安定剤に、スリップ剤50ppmを含むポリ
エチレン袋に、下記組成に示すインクを200cc入
れ、液中ヒートシールにより、気泡を残さないようイン
クを密閉シールした。該インク容器を10℃で10日間
放置した後、室温で3日おいてから、IP−130Kイ
ンクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製)
へ該インクを充てんして印字を行ったところ、インクの
流動は防げられず、200cc印字後、プリンター流路
中のナイロン30μmフィルターを調べたところフィル
ターには何も詰まっておらず良好であった。 【0043】 組成 C.I.Direct Black 154 3wt% ポリエチレングリコール#400 20wt% ジエチレングリコール 10wt% 超純水 67wt% 【0044】 比較例6(実施例比較例) 脂肪酸系の安定剤スリップ剤200ppmを含むポリエ
チレン袋に例6に示した組成のインクを200cc入
れ、例6と同様の実験を行った。その結果、200cc
印字前に印字不良がおこり、プリンターの流路中のナイ
ロン30μmフィルターには膜状のものが目詰まりして
いた。分析の結果、エルカ酸アミドとオレイン酸アミド
の混合物であることが判明し、表面のスリップ剤が剥離
したものと推定された。 【0045】 例7(実施例) 脂肪酸系の安定剤、スリップ剤100ppmを含むポリ
エチレン袋に、下記組成を示すインクを200cc入
れ、例6と同様の実験を行った。その結果、200cc
印字後もフィルターの詰まりがなく良好であった。 【0046】 C.I.Direct Black 154 2wt% グリセリン 20wt% トリエチレングリコール 5wt% 水酸化カリウム 1wt% 超純水 72wt% 【0047】 比較例7(実施例比較例) 脂肪酸系の安定剤、スリップ剤200ppmを含むポリ
エチレン袋に、例7で示した組成のインクを200cc
入れ例7と同様の実験を行った。その結果、200cc
印字前に印字不良がおこり、プリンター流路中のナイロ
ン30μmフィルターには膜状のものが目詰まりしてい
た。分析の結果、ステアリン酸ナトリウムが主成分であ
ることが判明し、ポリエチレン中の安定剤が溶出しイン
クの染料中(C.I.Direct Black 5
4)に含まれるNaと反応して生成したものと推定され
た。 【0048】 【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、イン
クタンクを高温下や長期間に渡り放置された時、インク
タンク部材に含まれる脂肪酸及びその誘導体が、インク
タンク中のインクへ溶出してインク中で再析出したり、
インク成分中のナトリウムイオンと反応して不溶物を生
成したりすることがないため、インクジェット記録装置
のインク系でインクの流動が安定でありインクジェット
プリンター等のインクジェット記録装置が印字不良が印
字かすれを起こさず、インクジェット記録装置の信頼性
を向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】 【図1】図1(a)はインクジェットプリンターのイン
ク系を示す簡略図。(b)は、インク系にフィルターを
もつインクジェットプリンターのインク系を示す簡略
図。 【図2】図2は印刷ヘッドとインクタンクが一体型のイ
ンク系を示す簡略図。 【符号の説明】 11 インク 13 インク供給管 14 印刷ヘッド

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.インクタンク中にインクを貯蔵するインクジェット
    記録装置であって、 前記インクと接触する前記インクタンクの材料が、10
    〜100ppmの脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体類を含
    有してなる樹脂及び/又は合成ゴムからなることを特徴
    とする、インクジェット記録装置。 2.前記脂肪酸がステアリン酸、ベヘン酸、オレイン
    酸、およびエルカ酸からなる群から選択される少なくと
    も一つである、請求項1に記載のインクジェット記録装
    置。 3.前記脂肪酸誘導体類が、ステアリン酸のCa、A
    l、Mg、Zn塩、ステアリン酸アマイド、ベヘン酸の
    Ca、Al、Mg、Zn塩、ベヘン酸アマイド、オレイ
    ン酸のCa、Al、Mg、Zn塩、オレイン酸アマイ
    ド、エルカ酸のCa、Al、Mg、Zn塩、およびエル
    カ酸アマイドからなる群から選択される少なくとも一つ
    である、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
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