JP2696828B2 - インク容器 - Google Patents
インク容器Info
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- JP
- Japan
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- ink
- sodium
- ink container
- resin
- container
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Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B41—PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
- B41J—TYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
- B41J2/00—Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
- B41J2/005—Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
- B41J2/01—Ink jet
- B41J2/17—Ink jet characterised by ink handling
- B41J2/175—Ink supply systems ; Circuit parts therefor
Landscapes
- Pens And Brushes (AREA)
- Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
- Ink Jet (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、インクジエツトプリンターやインク式ワイ
ヤドツトプリンター、筆記具等に係るインク容器に関す
る。 〔従来の技術〕 インクジエツトプリンターやインク式ワイヤドツトプ
リンター、毛管チツプを用いた筆記具は、どれも共通し
たインク特性が要求されている。すなわち、どれも100
μm以下の微小流路を有しているため、該流路でインク
の流動が妨げられないようインク中に流動を妨げるよう
な異物を含まないことである。そのため、インク製造を
極力ゴミやチリの発生を抑えたクリーンルームで行った
り、さらにインクを1μm以下のメンブレンフイルター
で精密濾過を行ったりしてクリーンなインクを保ってい
るのが現状であった。 〔発明の解決しようとする問題点〕 しかし、このような技術でクリーンなインクを保てる
のも初期だけで、該インクをインク容器へ入れた状態で
温度変化や経時変化があると、該容器材料中の添加剤が
溶出してインク中の成分と化学反応を起こし、インク中
に不溶物をつくりインクの流動を妨げ、印字不良や印字
かすれをおこす問題があった。 本発明は、以上のような従来の問題点に鑑み初期状態
だけでなく温度変化や経時変化があっても、印字不良や
印字かすれを起こすことのないインク容器を提供するこ
とを目的とする。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明は、前記目的を達成するため、液体インクを格
納するインク容器において、該液体インク中のナトリウ
ムイオンの濃度が0.2重量%以下であり、該液体インク
と接する前記インク容器の材料が、少なくとも脂肪酸、
脂肪酸アマイド、脂肪酸金属塩のいずれかを含む樹脂そ
して/または合成ゴムであることを特徴とするインク容
器である。 〔実施例〕 インクジエツトプリンターやインク式ワイヤドツトプ
リンター、毛管チツプを用いた筆記具に用いるインク容
器は、一般的に入手しやすいポリオレフイン系樹脂やポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、シリコーン樹脂、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、ABS樹脂、ポリアセタ
ール、ナイロン、不飽和ポリエステル樹脂、PET、アラ
ミド樹脂等の樹脂材料やスチレンブタジエンゴム(SB
R)、ブタジエンゴム、クロロプレン、ニトリルゴム、
ブチルゴム、EPDM,ウレタンゴム、シリコーンゴム、ア
クリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、フツ素ゴム等の
合成ゴムからできている。これらの樹脂や合成ゴムは、
それ自身を構成する化学物質以外に、安定剤やUV吸収
剤、酸化防止剤など多くの添加助剤が、目的に応じて適
当量添加されている。 本発明者は、インク容器を構成する樹脂や合成ゴム中
に含まれる添加剤成分がインク中へ溶出し、該溶出成分
がインクの組成分と反応して不溶物を生成することを発
見し本発明に至った。すなわちインクを含有したインク
容器が、長時間使用されなかったりあるいは、室温より
温度の高い条件でおかれたりすることにより、インク容
器を構成する樹脂や合成ゴム中に含まれる樹脂酸、脂肪
酸アマイドや脂肪酸金属塩がインク中へ溶出し、インク
に含まれているナトリウムイオンと反応して脂肪酸ナト
リウムの不溶物を生成し、インクの流れを防げたのであ
る。特に該樹脂や合成ゴム中の添加剤がスチアリン酸、
ステアリン酸アマイド、ステアリン酸金属塩の場合、ス
テアリン酸ナトリウムを生成し、この化合物は糸状や針
状の細長い結晶になるため、細いインク流路に詰まりや
すく、インクの流動を防げやすい。この現象は、インク
を含むインク容器が40℃以上の高温で1日以上放置した
場合、顕著におこる。この原因としては、樹脂や合成ゴ
ム中のステアリン酸、ステアリン酸アマイド、ステアリ
ン酸金属塩が高温状態で溶けやすくなるとともに、樹脂
や合成ゴム自身のポリマーマトリクスも温度の上昇によ
り分子振動をおこすためマトリクス中に存在する該ステ
アリン酸やその誘導体の溶出が大きくなるためであると
考えられる。さらにインクのpHが高くなると、該効果は
いっそう高くなる。 一方、ナトリウイオン以外の金属イオン、例えばカリ
ウムイオンもステアリン酸のような脂肪酸やその誘導体
と反応して塩をつくるが、これらの塩の結晶は板状で、
インクジエツトやインク式ワイヤドツトプリンタ及び毛
管チツプを用いた筆記具の微小流路(およよ30μm,80μ
m)を通過できる程度に小さいため、問題にならないと
考えられる。 インク容器を構成する樹脂や合成ゴム中に含まれる脂
肪酸やその誘導体の添加されている量は樹脂やゴムの種
類、及び同じ種類でもグレードの違い等によって異な
り、多いもので1%以上を含有する材料もある。インク
容器に適当な耐薬品性が高く、コストが安く、袋状に加
工できる材料としてポリエチレン、ポリプロピレンに代
表されるポリオレフイン樹脂がある。該樹脂中には前記
脂肪酸やその誘導体が、重合時の安定剤として添加され
たり、フイルムに加工する時にローラーへの付着を防止
するスリツプ剤として添加される。 特にポリエチレンフイルムの場合、その重合性により
リニア低密度ポリエチレン(LLDPE)低密度ポリエチレ
ン(LDPE)中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエ
チレン(HDPE)等、多種類あり、それぞれに添加される
脂肪酸やその誘導体の量も異なる。 その他、インク容器として容器材料中に脂肪酸や脂肪
酸アマイド、脂肪酸金属塩を含む材料としては塩化ビニ
ルや、ナイロン、ポリアセタール、エチレン−酢酸ビニ
ル、ABS樹脂等やほとんどの合成ゴムが挙げられる。 一方、インクジエツトプリンターやインク式ワイヤド
ツトプリンター、毛管チツプを用いた筆記具等に用いる
インクは、取り扱い性がよく、インク自身の乾燥による
目詰り(ドライアツプ)がおこりにくいことや、低粘度
流体といった特性が必要で、一般に水ベースの水性イン
クが使用されている。そのため、インク中には、水に可
溶な直接染料や酸性染料、塩化性染料等の色素成分、及
び水が蒸発してもインクの乾燥を防ぐ湿潤成分を含んで
いる。特に色素成分である直接染料等は、水の溶解度を
上げるため分子内にスルホン酸ナトリウムを多く有し、
さらに染料工程中での塩折工程で使用される塩化ナトリ
ウム、ジアゾ化工程での亜硝酸ナトリウム、その他酢酸
ナトリウムや炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸
ナトリウムが染料中に含まれる。 従って、インク中に含まれるナトリウムイオンとイン
ク容器に含まれる脂肪酸やその誘導体が温度等によりイ
ンク中に溶出して脂肪酸ナトリウムをつくり、インクの
流動性を防げる原因となるのである。 本発明者は、ポリオレフイン樹脂の中でもよく用いら
れる低密度ポリエチレンのフイルムで作った袋に、ナト
リウムイオン濃度の異なる水溶液を入れ、密閉した後、
70℃の環境下で約10日間放置して、その後溶液中の生成
物について観察を行った。条件として60μm厚みの低密
度ポリエチレン袋を用い、カリウム量が0.1wt%,0.15wt
%,0.2wt%,0.25wt%,0.3wt%となるようなNaCl水溶液
を、それぞれ袋中に気泡が残らないよう液中ヒートシー
ルを行い、放置後、0.25wt%,0.3wt%のNaClを含む袋で
は、糸状の結晶の生成が認められた。該糸状結晶を赤外
線分光光度計とX線マイクロアナライザーにより分析し
た結果、ステアリン酸ナトリウムであることが判明し
た。従ってインク容器としては、容器を構成する樹脂や
合成ゴム中に脂肪酸やその誘導体を含んでいても、容器
中のインクのナトリウムイオン濃度が0.2wt%以下であ
ればインク容器から流動性を防げる原因となる脂肪酸ナ
トリウムを出さずに済むのである。 本発明のインク容器にかかるインクは、ナトリウムイ
オン濃度が0.2wt%以下でなければならない。そのた
め、ナトリウムを多く含有する染料成分について、ナト
リウムを除去する必要がある。本発明のインク容器にか
かるインクとして用いるためにナトリウム化合物を製造
段階で使用を減らし、他のアルカリ金属化合物、例えば
塩化カリウム等を使用することによりナトリウムを低減
できる。また、前述のナトリウム化合物を使用した場合
でも、イオン交換樹脂、例えばアンバーライト120系
(オルカノ(株)商標)やダウエツクス50W(ダウケミ
カル商標)等の強酸性陽イオン交換樹脂をH型にして、
染料水溶液を該交換樹脂に通すことによりナトリウムを
低減できる。 〔実施例1〕 市販のリニア低密度ポリエチレン袋に、下記組成1に
示すインクを200cc入れ、液中ヒートシールにより、気
泡を残さないようにインクを密閉シールした。該インク
容器を70℃で10日間放置した後、室温で3日間放置して
からIP−130Kインクジエツトプリンタ(セイカーエプソ
ン(株)製)へ該インクを充てんして印字を行ったとこ
ろ、インクの流動は、さまたげられず、200cc印字後、
プリンター流路中のナイロン30μmフイルターを調べた
ところフイルターには何も詰まっておらず良好であっ
た。 組成1 組成1のイオンクロストによる分析データーを示す。 ナトリウムイオン 0.1% カリウムイオン 0.4% 塩素イオン 0.5% 比較例 市販の低密度ポリエチレン袋に、下記組成2に示すイ
ンクを200cc入れたインク容器をつくり、実施例1と同
様の試験を行った。その結果、200cc印字前に印字不良
がおこり、プリンターの流路中のナイロン30μmフイル
ターには、膜状のものが目詰まりしていた。分析の結
果、ステアリン酸ナトリウムの糸状物の集合体であるこ
とが判明した。 組成2 実施例1と同様にイオンクロマトによる分析データーを
示す。 ナトリウムイオン 0.5% カリウム 0.4% 塩素イオン 0.5% 実施例2 市販のポリプロピレン袋に、下記組成3に示すインク
を200cc入れたインク容器をつくり実施例1と同様の試
験を行った。その結果、200cc印字後、フイルターには
何も詰まっておらず良好であった。 組成3イオンクロスト分析データー ナトリウムイオン 0.03% カリウムイオン 0.6 % 塩素イオン 0.3 % 実施例3 実施例1あるいは2と同様の処理でナトリウムを0.2w
t%以下に低減した実施例3−1〜3−8のインクを用
いて実施例4−1〜4−8のインク容器をつくった。ま
た比較例として3−10〜3−13に市販の染料をそのまま
使用したインクを用いて、実施例4−10〜4−13のイン
ク容器をつくった。 実施例4−1〜4−8のインク容器と比較例4−10〜
4−13のインク容器を70℃で10日間放置した後、室温で
3日間放置してからIP−BOKインクジエツトプリンター
(セイコーエプソン(株)製)へ該インクを充てんし
て、それぞれのインク容器の200ccのインクを印字し
た。印字後、流路中のフイルターの詰まり具合を調べ
た。その結果を表−1に示す。尚フイルターは30μナイ
ロンメツシユからなり面積は約3cm2ある。 実施例インク容器4−1〜4−8は、全くフイルター
詰まりはなく、容器からの溶出成分とインクの析出物が
あったとしても、すべてのフイルターを通過したものと
考えられ実用上全く問題ない。一方4−10〜4−13のイ
ンク容器では糸状物の集合体が膜状に形成され、フイル
ターに詰まっており、4−10,4−12,4−13については印
字不良もおこしていた。4−11については、同じような
インク容器を使い続ければやはり同様にフイルターをつ
まらせ、印字不良をおこすと思われた。 〔発明の効果〕 本発明では、インク容器に含まれるインクのナトリウ
ムイオン濃度が0.2wt%以下のため、インク容器を高温
下や長期間に渡り放置しても、インク容器からの溶出物
とナトリウムが反応して流動を妨げる不溶物を生成する
ことがなく、印字不良や印字かすれを起こすことのない
信頼性の高いインク容器を提供できた。
ヤドツトプリンター、筆記具等に係るインク容器に関す
る。 〔従来の技術〕 インクジエツトプリンターやインク式ワイヤドツトプ
リンター、毛管チツプを用いた筆記具は、どれも共通し
たインク特性が要求されている。すなわち、どれも100
μm以下の微小流路を有しているため、該流路でインク
の流動が妨げられないようインク中に流動を妨げるよう
な異物を含まないことである。そのため、インク製造を
極力ゴミやチリの発生を抑えたクリーンルームで行った
り、さらにインクを1μm以下のメンブレンフイルター
で精密濾過を行ったりしてクリーンなインクを保ってい
るのが現状であった。 〔発明の解決しようとする問題点〕 しかし、このような技術でクリーンなインクを保てる
のも初期だけで、該インクをインク容器へ入れた状態で
温度変化や経時変化があると、該容器材料中の添加剤が
溶出してインク中の成分と化学反応を起こし、インク中
に不溶物をつくりインクの流動を妨げ、印字不良や印字
かすれをおこす問題があった。 本発明は、以上のような従来の問題点に鑑み初期状態
だけでなく温度変化や経時変化があっても、印字不良や
印字かすれを起こすことのないインク容器を提供するこ
とを目的とする。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明は、前記目的を達成するため、液体インクを格
納するインク容器において、該液体インク中のナトリウ
ムイオンの濃度が0.2重量%以下であり、該液体インク
と接する前記インク容器の材料が、少なくとも脂肪酸、
脂肪酸アマイド、脂肪酸金属塩のいずれかを含む樹脂そ
して/または合成ゴムであることを特徴とするインク容
器である。 〔実施例〕 インクジエツトプリンターやインク式ワイヤドツトプ
リンター、毛管チツプを用いた筆記具に用いるインク容
器は、一般的に入手しやすいポリオレフイン系樹脂やポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、シリコーン樹脂、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、ABS樹脂、ポリアセタ
ール、ナイロン、不飽和ポリエステル樹脂、PET、アラ
ミド樹脂等の樹脂材料やスチレンブタジエンゴム(SB
R)、ブタジエンゴム、クロロプレン、ニトリルゴム、
ブチルゴム、EPDM,ウレタンゴム、シリコーンゴム、ア
クリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、フツ素ゴム等の
合成ゴムからできている。これらの樹脂や合成ゴムは、
それ自身を構成する化学物質以外に、安定剤やUV吸収
剤、酸化防止剤など多くの添加助剤が、目的に応じて適
当量添加されている。 本発明者は、インク容器を構成する樹脂や合成ゴム中
に含まれる添加剤成分がインク中へ溶出し、該溶出成分
がインクの組成分と反応して不溶物を生成することを発
見し本発明に至った。すなわちインクを含有したインク
容器が、長時間使用されなかったりあるいは、室温より
温度の高い条件でおかれたりすることにより、インク容
器を構成する樹脂や合成ゴム中に含まれる樹脂酸、脂肪
酸アマイドや脂肪酸金属塩がインク中へ溶出し、インク
に含まれているナトリウムイオンと反応して脂肪酸ナト
リウムの不溶物を生成し、インクの流れを防げたのであ
る。特に該樹脂や合成ゴム中の添加剤がスチアリン酸、
ステアリン酸アマイド、ステアリン酸金属塩の場合、ス
テアリン酸ナトリウムを生成し、この化合物は糸状や針
状の細長い結晶になるため、細いインク流路に詰まりや
すく、インクの流動を防げやすい。この現象は、インク
を含むインク容器が40℃以上の高温で1日以上放置した
場合、顕著におこる。この原因としては、樹脂や合成ゴ
ム中のステアリン酸、ステアリン酸アマイド、ステアリ
ン酸金属塩が高温状態で溶けやすくなるとともに、樹脂
や合成ゴム自身のポリマーマトリクスも温度の上昇によ
り分子振動をおこすためマトリクス中に存在する該ステ
アリン酸やその誘導体の溶出が大きくなるためであると
考えられる。さらにインクのpHが高くなると、該効果は
いっそう高くなる。 一方、ナトリウイオン以外の金属イオン、例えばカリ
ウムイオンもステアリン酸のような脂肪酸やその誘導体
と反応して塩をつくるが、これらの塩の結晶は板状で、
インクジエツトやインク式ワイヤドツトプリンタ及び毛
管チツプを用いた筆記具の微小流路(およよ30μm,80μ
m)を通過できる程度に小さいため、問題にならないと
考えられる。 インク容器を構成する樹脂や合成ゴム中に含まれる脂
肪酸やその誘導体の添加されている量は樹脂やゴムの種
類、及び同じ種類でもグレードの違い等によって異な
り、多いもので1%以上を含有する材料もある。インク
容器に適当な耐薬品性が高く、コストが安く、袋状に加
工できる材料としてポリエチレン、ポリプロピレンに代
表されるポリオレフイン樹脂がある。該樹脂中には前記
脂肪酸やその誘導体が、重合時の安定剤として添加され
たり、フイルムに加工する時にローラーへの付着を防止
するスリツプ剤として添加される。 特にポリエチレンフイルムの場合、その重合性により
リニア低密度ポリエチレン(LLDPE)低密度ポリエチレ
ン(LDPE)中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエ
チレン(HDPE)等、多種類あり、それぞれに添加される
脂肪酸やその誘導体の量も異なる。 その他、インク容器として容器材料中に脂肪酸や脂肪
酸アマイド、脂肪酸金属塩を含む材料としては塩化ビニ
ルや、ナイロン、ポリアセタール、エチレン−酢酸ビニ
ル、ABS樹脂等やほとんどの合成ゴムが挙げられる。 一方、インクジエツトプリンターやインク式ワイヤド
ツトプリンター、毛管チツプを用いた筆記具等に用いる
インクは、取り扱い性がよく、インク自身の乾燥による
目詰り(ドライアツプ)がおこりにくいことや、低粘度
流体といった特性が必要で、一般に水ベースの水性イン
クが使用されている。そのため、インク中には、水に可
溶な直接染料や酸性染料、塩化性染料等の色素成分、及
び水が蒸発してもインクの乾燥を防ぐ湿潤成分を含んで
いる。特に色素成分である直接染料等は、水の溶解度を
上げるため分子内にスルホン酸ナトリウムを多く有し、
さらに染料工程中での塩折工程で使用される塩化ナトリ
ウム、ジアゾ化工程での亜硝酸ナトリウム、その他酢酸
ナトリウムや炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸
ナトリウムが染料中に含まれる。 従って、インク中に含まれるナトリウムイオンとイン
ク容器に含まれる脂肪酸やその誘導体が温度等によりイ
ンク中に溶出して脂肪酸ナトリウムをつくり、インクの
流動性を防げる原因となるのである。 本発明者は、ポリオレフイン樹脂の中でもよく用いら
れる低密度ポリエチレンのフイルムで作った袋に、ナト
リウムイオン濃度の異なる水溶液を入れ、密閉した後、
70℃の環境下で約10日間放置して、その後溶液中の生成
物について観察を行った。条件として60μm厚みの低密
度ポリエチレン袋を用い、カリウム量が0.1wt%,0.15wt
%,0.2wt%,0.25wt%,0.3wt%となるようなNaCl水溶液
を、それぞれ袋中に気泡が残らないよう液中ヒートシー
ルを行い、放置後、0.25wt%,0.3wt%のNaClを含む袋で
は、糸状の結晶の生成が認められた。該糸状結晶を赤外
線分光光度計とX線マイクロアナライザーにより分析し
た結果、ステアリン酸ナトリウムであることが判明し
た。従ってインク容器としては、容器を構成する樹脂や
合成ゴム中に脂肪酸やその誘導体を含んでいても、容器
中のインクのナトリウムイオン濃度が0.2wt%以下であ
ればインク容器から流動性を防げる原因となる脂肪酸ナ
トリウムを出さずに済むのである。 本発明のインク容器にかかるインクは、ナトリウムイ
オン濃度が0.2wt%以下でなければならない。そのた
め、ナトリウムを多く含有する染料成分について、ナト
リウムを除去する必要がある。本発明のインク容器にか
かるインクとして用いるためにナトリウム化合物を製造
段階で使用を減らし、他のアルカリ金属化合物、例えば
塩化カリウム等を使用することによりナトリウムを低減
できる。また、前述のナトリウム化合物を使用した場合
でも、イオン交換樹脂、例えばアンバーライト120系
(オルカノ(株)商標)やダウエツクス50W(ダウケミ
カル商標)等の強酸性陽イオン交換樹脂をH型にして、
染料水溶液を該交換樹脂に通すことによりナトリウムを
低減できる。 〔実施例1〕 市販のリニア低密度ポリエチレン袋に、下記組成1に
示すインクを200cc入れ、液中ヒートシールにより、気
泡を残さないようにインクを密閉シールした。該インク
容器を70℃で10日間放置した後、室温で3日間放置して
からIP−130Kインクジエツトプリンタ(セイカーエプソ
ン(株)製)へ該インクを充てんして印字を行ったとこ
ろ、インクの流動は、さまたげられず、200cc印字後、
プリンター流路中のナイロン30μmフイルターを調べた
ところフイルターには何も詰まっておらず良好であっ
た。 組成1 組成1のイオンクロストによる分析データーを示す。 ナトリウムイオン 0.1% カリウムイオン 0.4% 塩素イオン 0.5% 比較例 市販の低密度ポリエチレン袋に、下記組成2に示すイ
ンクを200cc入れたインク容器をつくり、実施例1と同
様の試験を行った。その結果、200cc印字前に印字不良
がおこり、プリンターの流路中のナイロン30μmフイル
ターには、膜状のものが目詰まりしていた。分析の結
果、ステアリン酸ナトリウムの糸状物の集合体であるこ
とが判明した。 組成2 実施例1と同様にイオンクロマトによる分析データーを
示す。 ナトリウムイオン 0.5% カリウム 0.4% 塩素イオン 0.5% 実施例2 市販のポリプロピレン袋に、下記組成3に示すインク
を200cc入れたインク容器をつくり実施例1と同様の試
験を行った。その結果、200cc印字後、フイルターには
何も詰まっておらず良好であった。 組成3イオンクロスト分析データー ナトリウムイオン 0.03% カリウムイオン 0.6 % 塩素イオン 0.3 % 実施例3 実施例1あるいは2と同様の処理でナトリウムを0.2w
t%以下に低減した実施例3−1〜3−8のインクを用
いて実施例4−1〜4−8のインク容器をつくった。ま
た比較例として3−10〜3−13に市販の染料をそのまま
使用したインクを用いて、実施例4−10〜4−13のイン
ク容器をつくった。 実施例4−1〜4−8のインク容器と比較例4−10〜
4−13のインク容器を70℃で10日間放置した後、室温で
3日間放置してからIP−BOKインクジエツトプリンター
(セイコーエプソン(株)製)へ該インクを充てんし
て、それぞれのインク容器の200ccのインクを印字し
た。印字後、流路中のフイルターの詰まり具合を調べ
た。その結果を表−1に示す。尚フイルターは30μナイ
ロンメツシユからなり面積は約3cm2ある。 実施例インク容器4−1〜4−8は、全くフイルター
詰まりはなく、容器からの溶出成分とインクの析出物が
あったとしても、すべてのフイルターを通過したものと
考えられ実用上全く問題ない。一方4−10〜4−13のイ
ンク容器では糸状物の集合体が膜状に形成され、フイル
ターに詰まっており、4−10,4−12,4−13については印
字不良もおこしていた。4−11については、同じような
インク容器を使い続ければやはり同様にフイルターをつ
まらせ、印字不良をおこすと思われた。 〔発明の効果〕 本発明では、インク容器に含まれるインクのナトリウ
ムイオン濃度が0.2wt%以下のため、インク容器を高温
下や長期間に渡り放置しても、インク容器からの溶出物
とナトリウムが反応して流動を妨げる不溶物を生成する
ことがなく、印字不良や印字かすれを起こすことのない
信頼性の高いインク容器を提供できた。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.液体インクを格納するインク容器であって、 収納されるインク中のナトリウムイオンの濃度が0.2重
量%以下であり、該インクと接する前記インク容器の材
料が、脂肪酸、脂肪酸アマイド、および脂肪酸金属塩か
ら選択されるものを少なくとも一つ含んでなる樹脂また
は合成ゴムであることを特徴とする、インク容器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4963287A JP2696828B2 (ja) | 1987-03-04 | 1987-03-04 | インク容器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4963287A JP2696828B2 (ja) | 1987-03-04 | 1987-03-04 | インク容器 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63216753A JPS63216753A (ja) | 1988-09-09 |
JP2696828B2 true JP2696828B2 (ja) | 1998-01-14 |
Family
ID=12836591
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4963287A Expired - Lifetime JP2696828B2 (ja) | 1987-03-04 | 1987-03-04 | インク容器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2696828B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7673963B2 (en) | 2005-09-12 | 2010-03-09 | Fujifilm Corporation | Ink unit including ink and ink-wetted member |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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