JP2872478B2 - アラミド研磨材料及びその製造方法 - Google Patents

アラミド研磨材料及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として金属やセラミ
ックス材料の表面を研磨加工するための新規な研磨材料
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属やセラミックス材料の表面を
研磨加工する材料としては、砥粒の集合体を無機質材料
や合成樹脂で結合した砥石、布紙等の基材の面上に砥粒
を接着固定した研磨布紙、砥粒が混合された接着剤で繊
維集合体を固化した研磨不織布、砥粒が混合された剛毛
からなるブラシ材等が知られている。ところが近年は複
雑な表面の自動研磨化傾向にあり、適度な弾性と耐久性
のある研磨材料が求められているが、これら従来の材料
ではこの要求に充分答えられなくなってきている。例え
ば、合成樹脂を結合剤としたいわゆる弾性砥石は目詰り
と耐久性との背反する問題を抱えており、研磨布紙と研
磨不織布とは耐久性そのものが問題であり、ブラシ材は
あまりにも柔らかい弾性故に研磨性能に問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
研磨材料の問題点を解決する新規な研磨材料とその製造
方法を提供しようとするものである。即ち、本発明が解
決しようとする課題は、 1)適度な弾性と耐久性とを有しかつ研磨性能の優れた
研磨材料を提供する。 2)琢磨から研削まで広い研磨領域に利用可能なる研磨
材料を提供する。 3)目詰まりが少なく研磨性能が変わらない研磨材料を
提供する。 4)耐熱性が高く、乾式研磨をしても融着しない研磨材
料を提供する。 5)上記研磨材料を製造するための簡単で効率的な製造
方法を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決するために従来の研磨材料を構成する素材や構造に
とらわれず研磨材料としての理想的な複合構造体を追及
した。その結果、砥粒を包むマトリックス樹脂として
は、融点は約420℃と高くて溶融しても相手に融着せ
ず、ガラス転移点が約270℃と高いために高温でも物
性変化が少なく、自己潤滑性があって磨耗しにくく、光
沢付与効果があり、更に硬くて切削性がよく砥粒保持性
も高いメタ系芳香族ポリアミドが素材として最適である
ことが判明した。
【0005】また、例え、このような優れた樹脂を使用
しても、砥粒と樹脂との単純な複合構造では本発明の課
題を解決することはできないことが判明した。本発明者
等の基礎的検討結果によれば、研削性能に優れかつ耐久
性にも優れた複合構造とは、気孔率が実質的に0の砥粒
混合一次構造材の多数を連結した気孔率が5〜70%の
二次構造体である。
【0006】ここで一次構造材の大きさと形はある限ら
れた範囲になければならない。例えば、一次構造材があ
まり小さすぎると砥粒が大きい場合には砥粒が脱落し易
くなるし、砥粒が小さい場合には一次構造材の研磨痕が
ワークに発生し鏡面が得られなくなる。また、一次構造
材が大きすぎるとワークへのくい込みが悪くなり性能低
下するばかりでなく研磨むらが発生しやすくなる。同様
に一次構造体の形状についても適切な範囲がある。例え
ば、大きさ(体積)としては好ましい範囲に入ったとし
ても、研磨不織布の素材のように細くて長い繊維状物で
は、実質的に小さすぎる一次構造材と変わらないので意
味がない。
【0007】以上のような基礎検討の結果、下記のよう
な本発明に至ったものである。
【0008】(請求項1)砥粒含有メタ系芳香族ポリア
ミド柱状細片が互いに固着されてなり、該柱状細片の形
状が下記(1)〜(4)式で規定されることを特徴とす
るアラミド研磨材料。
【0009】 S1/2≧0.2mm (1) L≦20mm (2) L/S1/2≧1.5 (3) LS1/2≦30mm2 (4) (ただし、(1)〜(4)においてSとLとは、それぞ
れ柱状細片の断面積(mm 2 )と長さ(mm)とを表す。) (請求項2)下記(5)式で定義する気孔率Pが5〜7
0%である請求項1のアラミド研磨材料。
【0010】 P=100(W−W)/(W−W)(5) (ただし、(5)式においてW,W,Wは、それ
ぞれアラミド研磨材料の乾燥重量、飽和含水重量、水中
重量を表す。) (請求項3)その形状が下記(1)〜(4)式で規定さ
れる多数の砥粒含有メタ系芳香族ポリアミド柱状細片の
表面に結合剤を付着させたのち、隣接する柱状細片相互
を固着させることを特徴とするアラミド研磨材料の製造
方法。
【0011】 S1/2≧0.2mm (1) L≦20mm (2) L/S1/2≧1.5 (3) LS1/2≦30mm2 (4) (ただし、(1)〜(4)においてSとLとは、それぞ
れ柱状細片の断面積(mm 2 )と長さ(mm)とを表す。) (請求項4)結合剤がメタ系芳香族ポリアミドを溶解し
うる非プロトン系極性溶剤である請求項3のアラミド研
磨材料の製造方法。
【0012】以下本発明を図面とともに詳細に説明す
る。
【0013】図1は本発明のアラミド研磨材料を構成す
る砥粒含有メタ系芳香族ポリアミド柱状細片(以下単に
柱状細片と略称する)の1例を示す斜視図である。
【0014】図1においてメタ系芳香族ポリアミド1の
内部に、0.1〜70重量%含有される砥粒2は炭化珪
素、溶融アルミナ、ジルコニア、金剛砂、ダイヤモン
ド、窒化ボロン等の研磨用の粒子であり、その平均粒径
は0.1ミクロン〜2ミリの範囲である。
【0015】尚、柱状細片の長さとは、図1に示される
ように柱状体の側面に垂直な断面の重心を通る垂線の長
さLであらわす。柱状体の側面に垂直な断面(以下単に
柱状細片の断面と称する)の形状は、図1のような円形
は勿論、四角形、三角形、いずれでも良いがT字型断面
のような異型断面体は角のある側面が研磨効果を増進
し、気孔率を増大させて目詰りを防止する効果が大き
い。
【0016】本発明における砥粒含有芳香族ポリアミド
柱状細片は、その断面積Sの平方根S1/2が少なくとも
0.2mm、好ましくは0.3〜4mmである。S1/2
0.2mm未満になると、粗い砥粒に対しては、それを芳
香族ポリアミドの柱状細片内部に含有させることが困難
になるばかりでなく、砥粒の保持性が低下し耐久性が失
われて本発明の課題が解決できなくなるし、細かい砥粒
に対しては、研磨ワークに直接接触する柱状細片の接触
面積が小さすぎて集中圧下力がかかるため研磨痕跡がの
こり、綺麗な研磨が困難となる。
【0017】本発明における砥粒含有芳香族ポリアミド
柱状細片は、その長さL(mm)が20mm未満、好ましく
は3〜10mmの範囲である。柱状細片の長さLが20mm
を超えると、柱状細片の集合構造密度が上がり難く、か
つ均一な構造になり難いばかりでなく、研磨材料として
の研磨面の凹凸構造も不均一になって、均一な研磨効果
が得られ難くなる。
【0018】本発明における砥粒含有芳香族ポリアミド
柱状細片は、その長さLと断面積Sとの関係L/S1/2
が少なくとも1.5、好ましくは2〜20の範囲であ
る。L/S1/2が1.5未満の場合は、アラミド研磨材
料の構造が単純な粒子の結合体となり、充分な気孔率を
保持しつつ構造体としての強度を保持することが困難と
なり、また柱状細片の意図的な配向化が困難となる。柱
状細片の意図的な配向としては、例えば本発明のアラミ
ド研磨材料を円盤状に成形してロール状の研磨工具とす
る場合に柱状細片の長さ方向を出来るだけ円盤面に平行
にすれば円盤面に平行な方向の強度は増大しかつ柱状細
片の断面が研磨面となる確率が高くなるので、回転研磨
工具としての強度と研磨性が増大することになる。
【0019】本発明における砥粒含有芳香族ポリアミド
柱状細片は、その長さLと断面積Sとの関係LS1/2
30mm2 未満、好ましくは20mm2 未満であり、さらに
好ましくは1.5〜5mm2 の範囲である。LS1/2が3
0mm2 を越えると柱状細片の集合密度が上がり難くな
り、かつ不均一な構造になるので本発明の課題が達成で
きなくなる。
【0020】本発明のアラミド研磨材料を構成する柱状
細片の個々の形状は必ずしも同一である必要はなく、数
種類を混合して構造密度や強度を上げたりすることがで
きる。またさらに、柱状細片の集合体に若干の他の普通
の細い短繊維、例えば1〜50de程度のポリエステ
ル、ナイロン、パラ系芳香族ポリアミド、ガラス繊維、
カーボン繊維等5〜10mm程度の短繊維を混合して構造
強度を上げることも可能である。
【0021】本発明におけるメタ系芳香族ポリアミドと
は、全繰り返し単位の85モル%以上がメタフェニレン
イソフタルアミド単位であるホモポリアミド又はコポリ
アミドである。
【0022】このメタ系芳香族ポリアミド(PMIA)
の具体的製造方法は特公昭47―10863号公報記載
の界面重合法が好ましい。また、砥粒含有芳香族ポリア
ミド柱状細片は、本発明者等による特開平2―3845
8号公報記載の方法により、剛毛状あるいは棒状の砥粒
含有アラミド組成物を成形し、これを一定長に切断して
製造することができる。尚、特開平2―38458号公
報記載のアラミド組成物は、フィブリル状の四フッ化エ
チレンが砥粒とともに芳香族ポリアミド樹脂に分散され
ているが、同号記載の通りフィブリル状四フッ化エチレ
ンは基本的に耐摩耗性や静電気の発生、異物の付着等に
大きな効果を表すので、このような組成で柱状細片を作
製して本発明のアラミド研磨材料を成形すると本発明の
効果が一層増大する。
【0023】本発明のアラミド研磨材料は上記の柱状細
片の集合体であるが、図2の一部拡大模式図に示される
ように、隣接する柱状細片相互が互いの接触点において
固着されて強固な多孔体となっている。本発明者等はこ
のような多孔体の製造方法について鋭意検討した結果、
極めて簡単で効率的な方法を見出した。即ち本発明で
は、上記の多数の柱状細片の表面に結合剤を付着させて
隣接する柱状細片相互を結合剤を介して接触させてから
接触部を固着させる。この方法によれば一般によく知ら
れている不織布の接着法のように繊維集合体を接着液に
浸漬する方法に比べ必要かつ充分な結合剤を個々の柱状
細片に付着させてから結合するので、不要な結合剤は極
めて少なくてよいから、多孔構造は保持されかつ結合剤
そのものによる研磨性能の低下が防げる。個々の柱状細
片に必要充分な結合剤を付着することができるのは、柱
状細片の形状が上記のような条件に規定されているから
である。即ち、このように規定された柱状細片の集合体
には粉末あるいは液状の結合剤を外部から添加し、攪拌
混合することができるからである。このことは本発明の
柱状細片の形状と異なる繊維状物例えば、従来の研磨不
織布に用いる太さが数10ミクロン、長さが数センチ程
度の繊維集合体に粉末あるいは液状の結合剤を添加して
攪拌混合することが可能かどうか試みれば明らかであろ
う。
【0024】本発明法において好ましいのは、結合剤が
メタ系芳香族ポリアミドを溶解し得る非プロトン極性溶
剤を液体成分とする液状結合剤であって、柱状細片相互
を該極性溶剤を介して可塑化接触させてから該極性溶剤
を拡散減少させて該接触部を固着させる方法である。こ
こで、メタ系芳香族ポリアミドを溶解しうる非プロトン
極性溶剤とは、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド、N―メチルピロリドン等である。また、非プロ
トン極性溶剤を液体成分とする液状結合剤とは、該非プ
ロトン極性溶剤に溶解しうる重合体の溶液(具体的には
本発明の柱状細片と同じメタ系芳香族ポリアミドの溶
液)もしくは非プロトン極性溶剤そのものである。この
ような液状結合剤を多数の柱状細片の表面に付着させる
ためには、本発明のアラミド研磨材料の作成に必要な柱
状細片をホイッパー式ミキサーに入れ、更に必要な液状
結合剤を入れてから攪拌すればよい。本発明の柱状細片
の形状はこのような簡単な攪拌操作によって液状結合剤
が個々の柱状細片表面にまんべんなく付着され易くする
効果を有する。
【0025】本発明者等の検討結果によれば、メタ系芳
香族ポリアミド樹脂にジメチルアセトアミドのような非
プロトン極性溶剤を接触させるとメタ系芳香族ポリアミ
ド樹脂の表面から該溶剤を吸着しはじめ、吸着部が膨潤
軟化するとともに溶剤は内部に拡散して行く。この表面
が膨潤軟化した二つの樹脂を接触させたまま溶剤の供給
を停止すると、接触部の溶剤は樹脂の内部及び外部に拡
散しやがて接触部が強固に固着する。内部に拡散した溶
剤は約10%程度で安定化し水や空気に触れる一般の環
境ではもはや外部に放散しなくなる。このことは、結合
剤として使用する溶剤の量をメタ系芳香族ポリアミドの
重量に対して10%未満にすれば特別な脱溶媒操作をせ
ずとも柱状細片相互を固着することができることを意味
している。この際柱状細片の体積が表面積に対してでき
るだけ大きいことが望ましいから、表面積の平方根S
1/2が少なくとも0.2mmとの条件は極めて重要であ
る。尚、溶剤の量を10%以上にして表面を素早く処理
をし、温水等による脱溶媒操作をすることも可能である
が、この際も柱状細片の形状が重要であることに変わり
はない。
【0026】多数の柱状細片相互を固着させるには、一
般によく知られている樹脂砥石に使用される結合剤、例
えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニールアル
コール樹脂あるいは弾性接着剤として知られるシリコー
ン変成エポキシ樹脂等の液状体あるいは粉体を柱状細片
の表面に付着させて隣接する柱状細片相互を該結合剤を
介して接触させてから、結合剤の固化処理を行い接触部
を固着させる手段を採用してもよい。
【0027】本発明のアラミド研磨材料は、上記のよう
に砥粒を含有するメタ系芳香族ポリアミドを主成分とす
る多数の柱状細片が、柱状細片の主成分であるメタ系芳
香族ポリアミド自身の軟化接合あるいは必要最少の樹脂
結合剤で固着されたものであるから、本質的な多孔体で
あり、その気孔率Pは柱状細片の形状、結合剤の添加
量、結合剤が付着された柱状細片集合体の圧縮成形法等
によって5〜70%の望ましい範囲に設定が可能であ
る。従来の樹脂砥石の場合はこの気孔率の制御が非常に
困難であり、目詰り、研磨性及び耐久性三者のバランス
をとることが困難であった。尚、気孔率Pに関し最も望
ましい値は、ワークの材質、仕上げの要求程度等によっ
て5〜70%の範囲で変わるが、この際重要なことはこ
の範囲のものを自在に作成できるということと、どのよ
うな気孔率にしてもワークに接触する基本単位が柱状細
片そのものであり、単位面積あたりの砥粒保持性、研磨
性、磨耗性等が本質的に変わらないことである。
【0028】本発明のアラミド研磨材料は、図3のよう
な平形、図4のようなリング形、図5のような片テーパ
ー形、図6のようなシート形等用途に応じた形に成形し
て研磨工具に取りつけ使用できる。この際、図6―3の
ように布状物やネット状物を貼り合わせたり、内部に封
入したりして高速回転に充分耐えるよう補強してもよ
い。
【0029】またさらに、結合剤を多く使用したい場合
には、砥粒を結合剤に混合してもよい。
【0030】
【発明の効果】本発明のアラミド研磨材料は、前記本発
明の課題を極めて効果的に解決するものである。以下、
その効果について詳細に説明する。
【0031】1)本発明のアラミド研磨材料は適度な弾
性と耐久性とを有しかつ研磨性にも優れた効果がある。
この弾性はメタ系芳香族ポリアミド自身のもつ優れた粘
弾性的性質に加え柱状細片の集合構造的要因に基づくも
のである。また、耐久性はメタ系芳香族ポリアミドの耐
磨耗性と耐熱性さらには柱状細片の内部にしっかりと混
入された砥粒の耐脱落性によるものである。さらに研磨
性はワークと接触して研磨作用をするための理想的な接
触面積が柱状細片の形から得られかつ研磨粉を排除して
目詰りを防ぐ空間が柱状細片間の隙間から得られるから
である。
【0032】2)本発明のアラミド研磨材料は、琢磨か
ら研削まで広い研磨領域に利用可能である。一口に研磨
といってもワークの表面を鏡面化する琢磨から、金属材
料の黒皮を削りとるような重研削まであるが、琢磨から
重研削まで広い範囲に利用できる研磨材料は殆んどな
い。
【0033】一般に、広い研磨領域で使用できる研磨材
料を提供するには、0.1ミクロン程度の細かい砥粒か
ら2ミリ程度の粗い砥粒を含む材料を用意する必要があ
るが、材料としては、それらを単に含むだけでは不十分
である。例えば、細かい砥粒を用いて琢磨の領域に使用
するには、砥粒が2次粒子を形成しないことと砥粒を含
む材料の研磨面の凹凸が細かすぎずかつ研磨時に振動し
ないことが重要である。例えば、細い繊維を砥粒を混合
した樹脂で結合した従来不織布の場合は、砥粒が細い繊
維を中心に2次粒子的な凹凸を形成するため、その凹凸
の影響がでていくら細かい砥粒を用いても鏡面研磨の役
割を果たせない。また、砥粒を内部に混合した剛毛で作
成したブラシは、研磨工具として非常に柔らかい利点が
あるが、ブラッシング時に剛毛が激しく振動するため、
いくら砥粒が均一に混合され剛毛の直径が太くても打痕
が発生し鏡面は得られない。本発明の研磨材料は、砥粒
がアラミド柱状細片の内部に均一に分散されていると同
時に、柱状細片の断面積が少なくとも0.04mm2 ある
し、結合剤によってまわりを固定されているので研磨時
に振動することもなく、しかも、多孔構造を呈するので
目詰まりすることなく琢磨(鏡面研磨)ができる。
【0034】また、研削(粗削)の領域では、直径が2
mmにも達する砥粒をしっかり保持するだけの土台と目詰
りを防ぐ多孔構造が必要であるが、耐熱性と硬さに優れ
たPMIAをマトリックスとし、適度な大きさを有する
アラミド柱状細片の結合剤で固着した本発明の研磨材料
構造こそ理想的といえる。
【0035】3)本発明のアラミド研磨材料は、目詰り
が少なくかつ研磨性能が変わらない効果を有する。目詰
りの少ない理由の一つは、前記のように本発明の研磨材
料は本質的に多孔構造体であることによることは勿論で
あるが、その構造が最も磨耗しにくい砥粒を熱的に安定
で硬くかつ異物の付着しにくいメタ系芳香族ポリアミド
がしっかり保持しており、材料の磨耗過程における砥粒
の突出状態が常に変わらないためである。尚、メタ系芳
香族ポリアミドの柱状細片への異物付着防止性や砥粒保
持性をさらに向上させるために、特開平2―38458
号公報記載のように四フッ化エチレンを数%混合する手
段も有効である。
【0036】4)本発明のアラミド研磨材料は、乾式研
磨を行っても砥粒を保持し得るメタ系芳香族ポリアミド
の抜群の耐熱性と非粘着性とによって、乾式研磨を行っ
ても融着しない効果を有する。尚、この際、接合材とし
ては非プロトン極性溶剤系かフェノール樹脂のような熱
硬化性のものが望ましい。
【0037】5)上記研磨材料を製造するための簡単で
効率的な製造方法を提供する。
【0038】本発明の方法によれば、例えば特開平2―
38458号公報記載の微粉末含有アラミド組成物の製
造方法を活用して砥粒含有アラミドのモノフィラメント
を製造し、ついでこれを長さLに切断することによって
容易に本発明の砥粒含有芳香族ポリアミド柱状細片を用
意することができる。この柱状細片と前記の結合剤とを
原料としてこれを混合攪拌してこれを所望の金型に入れ
て固着することによって所望の形態の研磨材料を得るこ
とができる。
【0039】
【実施例1】特開平2―38458号公報記載の実施例
2と同じ方法で、2重量%の四フッ化エチレンと7重量
%の#3000炭化珪素砥粒が含有されたメタ系芳香族
ポリアミドの円形断面モノフィラメントを製造し、これ
を長さ8mmに切断してS1/2=0.3mm。L=8mm、L
/S1/2=27、LS1/2=2.4mm2 の平均寸法を有す
る柱状細片の集合体を用意した。つぎに、上記柱状細片
40grをホイッパー式攪拌機に入れ、さらに結合剤とし
て非プロトン極性溶剤の1つであるジメチルアセトアミ
ドを柱状細片を構成するメタ系芳香族ポリアミドの成分
量37.2grの7%即ち2.6grを攪拌機に入れて5分
間攪拌し、柱状細片の表面に結合剤を均一に付着させ
た。これを内径174mmの金型に入れて40kgf /cm2
で圧縮したまま60分間放置し、金型から取り出したと
ころ、図3のような平形成形体(D=174mm、T=1
3mm、H=25.4mm)が得られた。
【0040】この成形体を構成する柱状細片相互の接触
部は、結合剤であるジメチルアセトアミドによって可塑
化され密着された状態で結合剤の拡散とともに固着され
ているが、この時点では柱状細片の表面におけるジメチ
ルアセトアミドの残留濃度はまだ高いので、これを3日
間放置し、さらに水中に1日入れて完全に拡散させてか
らダイヤモンド砥石で直径170mmに研磨仕上げし、気
孔率P=58%の琢磨用アラミド研磨材料を作成した。
【0041】得られた研磨材料を円筒研磨鏡面仕上機に
取りつけ、表面粗度3.5Sの鉄ロールを研磨試験した
ところ、表面粗度0.03Sの鏡面が得られた。試験者
のコメントによれば、普通の砥石にくらべ柔らかいので
研磨し易くまたスクラッチ傷も全く発生しないばかりか
磨耗が非常に少ないので非常に経済的であるとのことで
あった。
【0042】
【実施例2】実施例1と同様な手段で粒度が270/3
25のダイヤモンド砥粒を15重量%混入したメタ系芳
香族ポリアミドのT字形断面モノフィラメントを製造
し、これを長さ8mmに切断してS1/2=0.3mm、L=
8mmの平均寸法を有する柱状細片の集合体を用意した。
【0043】次に、上記柱状細片40grをホイッパー式
攪拌機に入れ、さらに結合剤としてメタ系芳香族ポリア
ミドのN―メチルピロリドン溶液(20重量%)4grを
加え、5分間攪拌して柱状細片の表面に結合剤を均一に
付着させた。これを内径102mmの金型に入れて50kg
f /cm2 で圧縮したまま180分間放置し、金型から取
り出したところ、直径102mm、厚さ10mmの円盤型成
形体が得られた。この成形体を実施例1と同様にして溶
剤拡散処理をし、気孔率P=54%のアラミド研磨材料
を作成した。
【0044】この研磨材料を平面研削機に取りつけ、酸
化皮膜で硬化したチタン材やステンレス鋼板の表面の研
磨テストを行った結果、従来のカップ型ブラシや不織布
砥石あるいは樹脂砥石等に比べて10〜100倍の研磨
能力を発揮し、数倍の耐久性が在ることが判明した。
【0045】
【実施例3】紡糸手段については実施例1と同様に特開
平2―38458号公報記載の実施例2と同様である
が、延伸加工をしない方法でメタ系芳香族ポリアミドの
モノフィラメント(粒度が#120の炭化珪素砥粒を5
0重量%含有)を製造し、これを長さ6mmに切断してS
1/2=1.3mm、L=3mm、L/S1/2=2.3、LS1/
2=3.9mm2 の四角断面柱状細片の集合体を用意し
た。
【0046】次に、上記柱状細片とジメチルアセトアミ
ド及びメタ系芳香族ポリアミドの粉末(平均粒径0.2
mm)の粉末を50対5対3の重量割合で用意し、これら
をホイッパー式攪拌機で5分間混合した後、金型に圧入
し24時間放置してから取り出してこれを水溶性研削液
(クレノートン(株)製クレカットW101を10倍に
薄めた液)に24時間浸漬してから遠心脱水後乾燥して
図5のような片テーパー形アラミド研磨材料を作成し
た。この研磨材料の気孔率Pを測定したところ34%で
あった。
【0047】動工具に取りつけバリ取り用としてテスト
したところ、普通の砥石に比べて柔らかいので手に伝わ
る振動が少なく、オーバー研磨等のミスも少ないので非
常に使いやすいとの評価を得た。また、従来の樹脂砥石
や研磨布紙に比べて目詰りが少なく、耐久性もよいばか
りでなく仕上がりが綺麗との評価を得た。
【0048】
【実施例4】紡糸手段については実施例1と同様に特開
平2―38458号公報記載の実施例2と同様である
が、延伸加工をしない方法でメタ系芳香族ポリアミドの
モノフィラメント(粒度が#240の炭化珪素砥粒を3
0重量%含有)を製造し、これを長さ6mmに切断してS
1/2=0.45mm、L=6mm、L/S1/2=13、LS1/
2=2.7mm2 の四角断面柱状細片の集合体を用意し
た。さらに、補強材としてパラ系芳香族ポリアミドのフ
ィラメントヤーン(帝人(株)製テクノーラ、2250
de/1000fil)の3mmカット品、さらにポリビ
ニールアルコール系結合剤(信越化学(株)製C―1
7,20%溶液)を用意した。
【0049】次に、上記柱状細片90gとポリビニール
アルコール溶液0.05リットルを攪拌機に入れ、5分
間混合し、これを内外径170mm、内内径76.4mmの
金型に入れ、50kgf /cm2 で加圧後、金型より取り出
してから熱風乾燥機で乾燥し、気孔率42%のアラミド
研磨材料を作成した。この材料は柔らかく弾性に富むの
で機械部品の乾式研磨用として有用であることがわかっ
た。
【0050】
【実施例5】実施例3と同じ方法で#80の炭化珪素砥
粒が50重量%の含有された未延伸のメタ系芳香族ポリ
アミドの円形断面モノフィラメントを製造し、これを長
さ4mmに切断してS1/2=0.9mm、L=4mm、L/S
1/2=4.4、LS1/2=3.6mm2 の平均寸法を有する
柱状細片の集合体とフェノール系結合剤(住友デュレズ
(株)製スミライトレジン PR―217、PR―94
0)を用意した。
【0051】次に、上記の材料を下記の配合割合でホイ
ッパー式攪拌機に入れ、5分間混合してから実施例1と
同じ金型に入れ、200kgf /cm2 で加圧後、金型より
取り出して180℃で6時間キュアリングし、さらに直
径を170mmに仕上げて気孔率38%の平形研磨材を作
成した。
【0052】柱状細片 88g PR940 6g PR217 18g。
【0053】この平形研磨材を研磨試験機に取りつけ、
黒皮付ステンレスの研磨を行った(回転数1500rp
m、板速20m/分)ところ、70gr/m2 の研磨性性
能が得られた。
【0054】
【実施例6】実施例3と同じ方法で#120の炭化珪素
砥粒を45重量%含有するメタ系芳香族ポリアミドの未
延伸円形断面モノフィラメントを製造し、これを長さ5
mmに切断して、S1/2=0.6mm、L=5mm、L/S1/2
=8.3、LS1/2=3.0mm2 の平均寸法を有する柱
状細片と、実施例1と同じ方法で#240の炭化珪素砥
粒を10重量%含有するメタ系芳香族ポリアミド延伸円
形断面モノフィラメントを製造し、これを切断して実施
例1と同じ平均寸法を有する柱状細片の集合体を2種用
意した。
【0055】次に、結合剤としてシリコーン変成のエポ
キシ系弾性接着剤(セメダイン(株)製、セメダイン
EP―001)、さらに補強シートとしてパラ系芳香族
ポリアミド繊維(帝人(株)製、テクノーラ)の織物を
用意した。
【0056】次に上記2種の柱状細片集合体を35部づ
つ、これに対して上記接合剤を30部加えて混合し、こ
の混合体を深さ10mm、幅100mm、長さ10mの溝型
成形機に圧入し、その上に同じ結合剤をコーティングし
た上記補強シートを被せ25℃で5時間放置後成形機か
ら取り出し、厚さ10mm、幅100mm、長さ10mのシ
ート状アラミド研磨材料を得た。尚、この材料の気孔率
Pは25%であった。この材料は結合剤がまだ完全に固
化しておらずまた本来弾性体であるため、簡単に曲げる
ことができるので、直径300mm、幅1mの金属ロール
表面に、螺旋巻きし、同じ結合剤で貼り合わせてから3
日間放置し、結合剤を完全に硬化させて研磨ロールをつ
くった。
【0057】この研磨ロールは材料の使用量が少ないの
で経済的であり、適度な弾性と強度を有しつつ研磨性と
耐久性に優れるので、鋼板製造工程におけるデスケーリ
ングに有用であることが実証された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアラミド研磨材料を構成する砥粒含有
芳香族ポリアミド柱状細片の1例を示す斜視図。
【図2】本発明のアラミド研磨材料の構造の一部を拡大
した模式図。
【図3】本発明のアラミド研磨材料からなる平形成形体
の断面図。
【図4】本発明のアラミド研磨材料からなるリング形成
形体の断面図。
【図5】本発明のアラミド研磨材料からなる片テーパー
形成形体の断面図。
【図6】本発明のアラミド研磨材料からなるベルト形成
形体の断面図。
【符号の説明】
1 メタ系芳香族ポリアミド 2 砥粒 3 布状物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安達 弘行 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株 式会社 岩国事業所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09K 3/14 B24D 3/00 B24D 3/32 WPI/L(QUESTEL)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 砥粒含有メタ系芳香族ポリアミド柱状細
    片が互いに固着されてなり、該柱状細片の形状が下記
    (1)〜(4)式で規定されることを特徴とするアラミ
    ド研磨材料。 S1/2≧0.2mm (1) L≦20mm (2) L/S1/2≧1.5 (3) LS1/2≦30mm2 (4) (ただし、(1)〜(4)においてSとLとは、それぞ
    れ柱状細片の断面積(mm 2 )と長さ(mm)とを表す。)
  2. 【請求項2】 下記(5)式で定義する気孔率Pが5〜
    70%である請求項1のアラミド研磨材料。 P=100(W−W)/(W−W)(5) (ただし、(5)式においてW,W,Wは、それ
    ぞれアラミド研磨材料の乾燥重量、飽和含水重量、水中
    重量を表す。)
  3. 【請求項3】 その形状が下記(1)〜(4)式で規定
    される多数の砥粒含有メタ系芳香族ポリアミド柱状細片
    の表面に結合剤を付着させたのち、隣接する柱状細片相
    互を固着させることを特徴とするアラミド研磨材料の製
    造方法。 S1/2≧0.2mm (1) L≦20mm (2) L/S1/2≧1.5 (3) LS1/2≦30mm2 (4) (ただし、(1)〜(4)においてSとLとは、それぞ
    れ柱状細片の断面積(mm 2 )と長さ(mm)とを表す。)
  4. 【請求項4】 結合剤がメタ系芳香族ポリアミドを溶解
    しうる非プロトン系極性溶剤である請求項3のアラミド
    研磨材料の製造方法。
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