JP2869303B2 - 歩行型田植機の操作構造 - Google Patents

歩行型田植機の操作構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、歩行型田植機における
操向操作と植付けクラッチ操作を行うための操作構造に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、左右一対の推進車輪を備えた歩
行型田植機の操向構造としては、左右の推進車輪への動
力伝達を左右の操向クラッチで独立的に断続する形態が
採られており、又、植付けクラッチの入り切り操作は専
用の植付けクラッチレバーの揺動操作で行うようにして
いた。この操作構造によると、一行程の植付け走行ガ終
了して畦際などで機体方向転換を行う場合、植付けクラ
ッチレバーで植付けクラッチを切り操作するとともに、
操縦ハンドルの左右に設けた操向クラッチレバーの一方
を握り操作して左あるいは右の操向クラッチを切り操作
することになり、操向クラッチレバーと植付けクラッチ
レバーの持ち替えを伴うことになって、このレバー持ち
替えの際に片手が操縦ハンドルから離れることとなり、
機体が不安定になることがあった。このような不具合を
解消するために、近年では、左右いずれかの操向クラッ
チレバーをクラッチ切り操作すると、これに連動して植
付けクラッチを切り操作するように構成するとともに、
クラッチ切り操作された植付けクラッチをクラッチ切り
状態で保持するロック機構と、このロック機構をロック
解除作動させる指操作式の植付けクラッチ入り操作具と
を導入することで、左右の両手で操縦ハンドルを保持し
たままで機体の操向と植付けクラッチの入り切り操作を
行えるようにしたものが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記提案構成による
と、左右の両手で操縦ハンドルを保持したままで操向ク
ラッチおよび植付けクラッチの操作を行うことができる
とともに、機体方向転換を終えて直進走行に復帰しても
植付けクラッチが切り状態に保持されているので、次行
程の条合わせを容易に行うことができて便利ではある
が、機体方向転換を行った後、直ちに植付けを開始する
ような圃場においては、機体方向転換が終了して操向ク
ラッチを入り操作した後、植付けクラッチを切り状態に
ロックしているロック機構を植付けクラッチ入り操作具
の指操作でロック解除して、植付けクラッチを入り状態
に付勢復帰させる必要があり、この際に指操作が遅れ気
味となって次行程の植付け開始位置がずれるおそれがあ
った。
【0004】本発明はこのような実情に着目してなされ
たものであって、圃場状況に応じた操向クラッチ操作お
よび植付けクラッチ操作を行えるようにして、作業性の
向上を図れるようにすることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、操縦ハンドルに備えた左右の操向クラッ
チレバーの少なくとも一方のクラッチ切り操作に伴っ
て、クラッチ入り付勢された植付けクラッチを切り操作
する連係機構とを備えた歩行型田植機の操作構造におい
て、次のような構成を採る。つまり、本第1発明は、ク
ラッチ切り操作された植付けクラッチをクラッチ切り状
態で保持するロック機構と、このロック機構をロック解
除作動させる指操作式の植付けクラッチ入り操作具と、
前記ロック機構のロック作動を許す植付けクラッチ保持
モードと、ロック機構のロック作動を牽制阻止する植付
けクラッチ保持解除モードとに切換え可能なロック作動
選択機構とを装備した構成とした。
【0006】又、本第2発明は、前記ロック作動選択機
構を、前記植付けクラッチ入り操作具の移動軌跡から離
れた牽制解除位置と、ロック解除位置まで操作された植
付けクラッチ入り操作具の復帰移動軌跡内に突入する牽
制位置とに変位可能な係合部材と、この係合部材を牽制
解除位置に復帰付勢する付勢手段とで構成した。
【0007】
【作用】上記第1発明の構成によると、ロック作動選択
機構を植付けクラッチ保持モードに選択した場合には、
操向クラッチレバーの切り操作に連動してクラッチ切り
操作された植付けクラッチを、ロック機構を介してクラ
ッチ切り状態で保持することができ、畦際において機体
方向転換の後、直ちに植付け走行を行わないような圃場
において利用できる。又、ロック作動選択機構を植付け
クラッチ保持解除モードに選択した場合には、操向クラ
ッチレバーを切り操作している間だけ植付けクラッチを
クラッチ切り状態にでき、操向クラッチレバーを戻して
直進走行に復帰すると直ちに植付けクラッチはクラッチ
入り状態に復帰し、畦際において機体方向転換の後、直
ちに植付け走行を行うような圃場において利用できる。
【0008】上記第2発明の構成によると、ロック機構
のロック作動を牽制阻止する植付けクラッチ保持解除モ
ードに選択するのに、ロック機構をロック解除作動させ
る状態に植付けクラッチ入り操作具を操作して、この植
付けクラッチ入り操作具の復帰を阻止する牽制位置にま
で係合部材を移動操作しておく。このようにして植付け
クラッチ入り操作具と係合部材を互いに干渉する状態に
しておくと、それぞれの復帰付勢力で互いが係合状態に
維持され、植付けクラッチ入り操作具を再び指操作して
係合部材と干渉しない位置まで変位させると、係合から
外れた係合部材は自らの復帰付勢力で後退移動して牽制
解除位置に戻り、植付けクラッチ保持モードが現出され
ることになる。
【0009】
【発明の効果】その結果、本第1発明によれば、植付け
クラッチの切りロックが利く状態と利かない状態を圃場
に応じて選択でき、作業性の高い植付けを行うことが可
能となった。又、本第2発明によれば、植付けクラッチ
保持解除モードから植付けクラッチ保持モードへの切換
えが、植付けクラッチ入り操作具の操作で簡単に行うこ
とができ、取扱性に優れたものに構成できる。
【0010】
【実施例】図1に、本発明に係る歩行型田植機が示され
ている。図において、1は機体前部に搭載したエンジ
ン、2はミッシヨンケース、3はミッシヨンケース2の
左右に装備した左右一対の車輪伝動ケース、4は各車輪
伝動ケース3の遊端に軸支した推進車輪、5は機体後部
に配備した苗植付け装置、6は機体下部に配備された整
地フロート、7は後方に延出された操縦ハンドル、8は
機体上部に設けた予備苗のせ枠、9は施肥装置である。
【0011】前記苗植付け装置5は、後傾斜姿勢の苗の
せ台10を一定ストロークで往復横移動させながらその
下端部から植付け爪11で苗を切り出し、整地フロート
6で整地された田面に植え付けるように構成されたもの
であって、ミッシヨンケース2に内装した植付けクラッ
チ12を介して動力伝達を受けている。
【0012】前記施肥装置9は、粉粒状の肥料を貯留し
た肥料ホッパー13、植付け爪11に連動してホッパー
下部から設定量づつ肥料を送り出す繰り出し機構14、
繰り出された肥料の流下ホース15、整地フロート6の
整地部下面に取り付けられた溝切り板16、その後部に
取付けられた作溝器17、等からなり、流下ホース15
で案内されてきた肥料を、溝切り板16および作溝器1
7で田面に形成した施肥溝に供給するように構成されて
いる。尚、前記溝切り板16は、図8に示すように、ブ
ロー成形された整地フロート6の下面の溝6a内に嵌め
込まれた状態で、溝切り板16の後部と整地フロート6
とがタッピングネジ18で連結固定されるとともに、溝
切り板16の前部と整地フロート6とが溝切り板下方か
ら挿通された頭付きピン19、座がね20、および、ベ
ータピン21で連結されている。そして、タッピングネ
ジ18による後部連結部位を基準連結位置とし、頭付き
ピン19による前部連結部位におけるフロート側のピン
挿通孔をバカ孔や前後長孔にすることで無理なく溝切り
板16をフロート下面に取付けられるようになってい
る。
【0013】左右の前記車輪伝動ケース3は左右一体昇
降および独立昇降して耕盤深さの変動に対応できるとと
もに、各車輪伝動ケース3への伝動系に介在した操向ク
ラッチ22の一方を選択的に切り操作することで、片方
の推進車輪4のみを駆動して機体の操向を行うように構
成されている。
【0014】図示しないが、左右の操向クラッチ22は
それぞれクラッチ入り方向にバネ付勢されており、操縦
ハンドル7の左右グリップ7aに備えた操向クラッチレ
バー23にワイヤ24を介して左右独立系として連係さ
れ、操向クラッチレバー23の上方への握り込み操作に
伴うワイヤ24の引張によってクラッチ切り操作され、
操向クラッチレバー23の握り込みを解除することで操
向クラッチ22がクラッチ入り復帰するようになってい
る。
【0015】前記植付けクラッチ12は専用の操作レバ
ー25で入り切り操作される他に、上記操向クラッチレ
バー23の操作に連動して切り操作されるようになって
おり、その連係構造を図2〜図4に基づいて以下に説明
する。
【0016】左右一対のパイプフレームからなる操縦ハ
ンドル7には、支点Pを中心に上下揺動可能な連係アー
ム30が枢支連結され、この連係アーム30の端部金具
30aに左右の操向クラッチレバー23各々から導出さ
れた2本のワイヤ24が挿通されるとともに、各ワイヤ
24にカシメ固着した接当部材31が上記端部金具30
aに下方より接当可能となっている。又、連係アーム3
0の中間部と前記操作レバー25とがロッド32を介し
て連動連結されるとともに、連係アーム30と植付けク
ラッチ12とがワイヤ33で連動連結されている。従っ
て、操作レバー25が自由動可能な位置(植付けクラッ
チ入り位置)に操作されると、図2に示すように、連係
アーム30が下方に自由揺動可能となって、植付けクラ
ッチ12がその付勢力で「クラッチ入り」となり、操作
レバー25が操作されて連係アーム30が強制的に上方
に揺動されると、ワイヤ33が引張されて植付けクラッ
チ12が「クラッチ切り」となる。又、この「クラッチ
切り」状態で操向クラッチ用のワイヤ24が引張されて
左右いずれかの操向クラッチ22が切り操作されても、
図3に示すように、連係アーム30が強制的に上方に揺
動されて、植付けクラッチ12が「クラッチ切り」とな
る。
【0017】前記連係アーム30の基部には、この連係
アーム30を「クラッチ切り」位置に係合固定するロッ
ク機構34が配備されている。このロック機構34は、
連係アーム30から延出された係合アーム部30bと、
その先端に設けた係合ピン30cと、操縦ハンドル7に
支点Qを中心に回動可能に枢支したロックレバー35、
および、ロックレバー35を係合ピン30cに係合作用
する方向に回動付勢するバネ36とから構成されてお
り、図3に示すように、連係アーム30が「クラッチ切
り」位置まで揺動されると、ロックレバー35の段部3
5aが係合ピン30cに係合し、連係アーム30の「ク
ラッチ入り」位置への復帰を阻止するように構成されて
いる。従って、植付け走行を行っている際に、左右いず
れかの操向クラッチレバー23を握り操作して機体操向
を行うと、これに連動して植付けクラッチ12が切り操
作され、かつ、ロック機構34によって植付けクラッチ
12の切り状態が上記のようにして保持され、以後、操
向クラッチレバー23の握りを放して直進走行に復帰し
ても植付けクラッチ12は切り状態のままとなる。
【0018】このようにロック機構34によってクラッ
チ切り状態に保持された植付けクラッチ12を入り操作
するための植付けクラッチ入り操作具37が、操縦ハン
ドル7における一方のグリップ7a(実施例では左側)
に備えたブラケット38に支点Rを中心に上下回動可能
に枢支されている。そして、この植付けクラッチ入り操
作具37と前記ロック機構34のロックレバー35とが
ワイヤ39で連係されている。この植付けクラッチ入り
操作具37は、グリップ7aを握った手(左手)の親指
で下方に押し込み操作可能となっており、ロックレバー
35が図3に示すロック位置rにあるときに植付けクラ
ッチ入り操作具37は、図7(イ)に示すように、上方
のロック可能位置Rにあり、この状態から植付けクラッ
チ入り操作具37をロック解除位置Fまで押し込み操作
してワイヤ39を引張することによって、ロック位置r
にあるロックレバー35をバネ36に抗してロック解除
位置fに強制回動させることができ、ロック解除された
連係アーム30は自由となり、植付けクラッチ12の付
勢入り作動を許して「クラッチ入り」位置へ移動する。
【0019】前記植付けクラッチ入り操作具37には、
ロック機構34のロック作動を許す「植付けクラッチ保
持モード」と、ロック機構34のロック作動を牽制阻止
する「植付けクラッチ保持解除モード」とに切換え可能
なロック作動選択機構40が作用するよう構成されてい
る。
【0020】このロック作動選択機構40は、図6に示
すように、前記ブラケット38の側面に横移動可能に支
持した係合部材41と、これをスライド付勢するコイル
バネ42と、係合部材41を人為操作するゴム製のノブ
43とで構成され、コイルバネ42およびスライド部を
覆う蛇腹状カバー43aがノブ42に一体形成されてい
る。そして、係合部材41が横移動限界までスライド付
勢された状態では、図6および図7(イ)に示すよう
に、係合部材41の先端大径部41aが前記植付けクラ
ッチ入り操作具37の移動軌跡から側方に離れた牽制解
除位置aに後退しており、この状態がロック機構34の
ロック作動を許す「植付けクラッチ保持モード」となっ
ている。又、図7(ロ)に示すように、植付けクラッチ
入り操作具37をロック解除位置Fに押し込み操作した
状態で係合部材41をコイルバネ42に抗して押し込み
スライドさせて、植付けクラッチ入り操作具37の復帰
移動軌跡内に突入する牽制位置bに移動させると、植付
けクラッチ入り操作具37の端辺に形成した凹部37a
に係合部材41の先端大径部41aが引掛かって、互い
の復帰移動が阻止されることになり、この状態がロック
機構34のロック作動を牽制阻止する「植付けクラッチ
保持解除モード」となる。
【0021】つまり、図6および図7(イ)に示す「植
付けクラッチ保持モード」では、上記したように、操向
クラッチレバー23を握り操作に連動して植付けクラッ
チ12が切り操作され、かつ、ロック機構34によって
植付けクラッチ12の切り状態が保持され、以後、操向
クラッチレバー23の握りを放して直進走行に復帰して
も植付けクラッチ12は切り状態のままとなり、植付け
クラッチ入り操作具37の押し込み操作によるロック解
除操作が行われてはじめて植付けクラッチ12が入れら
れる。
【0022】又、図7(ロ)に示す「植付けクラッチ保
持解除モード」では、操向クラッチレバー23を握り操
作に連動して植付けクラッチ12が切り操作されるが、
ロック機構34が作動解除されているために植付けクラ
ッチ12の切り保持機能がなく、操向クラッチレバー2
3の握りを放して直進走行に戻ると、直ちに植付けクラ
ッチ12がその付勢作用で入り状態になる。そして、こ
の「植付けクラッチ保持解除モード」において、植付け
クラッチ入り操作具37を図7(ロ)に示す状態から少
し押し下げ操作すると、係合部材41の先端大径部41
aと植付けクラッチ入り操作具37との引掛かりが外
れ、係合部材41がコイルバネ42によって牽制解除位
置aに後退移動する。
【0023】〔別実施例〕 前記係合部材41を牽制解除位置aに後退付勢する
手段として、前記ノブ43に一体形成された蛇腹状カバ
ー43aの弾性を強く設定すれば、前記コイルバネ42
を省略することができる。 前記ロック作動選択機構40をロック機構34の設
置箇所に配備して、ロックレバー35の作動を牽制する
ように構成することもでき、ロック作動選択機構40の
設置箇所は任意に設定可能である。
【0024】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】歩行型田植機の全体側面図
【図2】操向クラッチと植付けクラッチとの連係構造を
示す正面図
【図3】ロック機構のロック作動状態を示す正面図
【図4】ロック機構の平面図
【図5】操向クラッチレバー部分の側面図
【図6】植付けクラッチ入り操作具とロック作動選択機
構を示す一部切欠き平面図
【図7】植付けクラッチ入り操作具とロック作動選択機
構を示す側面図 (イ)「植付けクラッチ保持モード」 (ロ)「植付けクラッチ保持解除モード」
【図8】整地フロート取付け構造を示す一部切欠き側面
【符号の説明】
7 操縦ハンドル 12 植付けクラッチ 23 操向クラッチレバー 34 ロック機構 37 植付けクラッチ入り操作具 40 ロック作動選択機構 41 係合部材 a 牽制解除位置 b 牽制位置 F ロック解除位置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 眞幸 大阪府堺市石津北町64番地 株式会社ク ボタ 堺製造所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A01C 11/02 331 A01C 11/02 313 A01C 11/02 330

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 操縦ハンドル(7)に備えた左右の操向
    クラッチレバー(23)の少なくとも一方のクラッチ切
    り操作に伴って、クラッチ入り付勢された植付けクラッ
    チ(12)を切り操作する連係機構を備えた歩行型田植
    機の操作構造において、 クラッチ切り操作された植付けクラッチ(12)をクラ
    ッチ切り状態で保持するロック機構(34)と、このロ
    ック機構(34)をロック解除作動させる指操作式の植
    付けクラッチ入り操作具(37)と、前記ロック機構
    (34)のロック作動を許す「植付けクラッチ保持モー
    ド」と、ロック機構(34)のロック作動を牽制阻止す
    る「植付けクラッチ保持解除モード」とに切換え可能な
    ロック作動選択機構(40)とを装備してある歩行型田
    植機の操作構造。
  2. 【請求項2】 前記ロック作動選択機構(40)を、前
    記植付けクラッチ入り操作具(37)の移動軌跡から離
    れた牽制解除位置(a)と、ロック解除位置(F)まで
    操作された植付けクラッチ入り操作具(37)の復帰移
    動軌跡内に突入する牽制位置(b)とに変位可能な係合
    部材(41)と、この係合部材(41)を牽制解除位置
    (b)に復帰付勢する付勢手段とで構成してある請求項
    1記載の歩行型田植機の操作構造。
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