JP2868923B2 - シ−ル装置 - Google Patents
シ−ル装置Info
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- JP2868923B2 JP2868923B2 JP9084791A JP9084791A JP2868923B2 JP 2868923 B2 JP2868923 B2 JP 2868923B2 JP 9084791 A JP9084791 A JP 9084791A JP 9084791 A JP9084791 A JP 9084791A JP 2868923 B2 JP2868923 B2 JP 2868923B2
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- seal
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- seal ring
- sealing
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シリンダとピストンと
の間に存在する隙間を無潤滑でシ−ルするシ−ル装置に
関する。
の間に存在する隙間を無潤滑でシ−ルするシ−ル装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】シリンダとピストンとの間に存在する隙
間をシ−ルするシ−ル装置には種々のタイプがある。こ
れらのシ−ル装置の多くは、摺動部を潤滑油で潤滑する
方式を採用している。
間をシ−ルするシ−ル装置には種々のタイプがある。こ
れらのシ−ル装置の多くは、摺動部を潤滑油で潤滑する
方式を採用している。
【0003】しかし、シリンダとピストンを必要とする
装置の中には、シ−ル装置で使われる潤滑油を好まない
ものがある。このような装置の代表的なものとして、ヘ
リウムガスを冷媒として用いる極低温用冷凍機をあげる
ことができる。この極低温用冷凍機では、シ−ル部に潤
滑油を使用すると、ヘリウムガスの汚染を招くばかり
か、凍結による動作不良を招く。したがって、このよう
な装置では潤滑油を使用できない。
装置の中には、シ−ル装置で使われる潤滑油を好まない
ものがある。このような装置の代表的なものとして、ヘ
リウムガスを冷媒として用いる極低温用冷凍機をあげる
ことができる。この極低温用冷凍機では、シ−ル部に潤
滑油を使用すると、ヘリウムガスの汚染を招くばかり
か、凍結による動作不良を招く。したがって、このよう
な装置では潤滑油を使用できない。
【0004】このため、ヘリウムガスを冷媒として用い
る極低温用冷凍機では、通常、図12に示すように、シ
リンダ101とピストン(ディスプレ−サ)102との
間に存在する隙間103を無潤滑タイプのシ−ル装置1
04でシ−ルするようにしている。
る極低温用冷凍機では、通常、図12に示すように、シ
リンダ101とピストン(ディスプレ−サ)102との
間に存在する隙間103を無潤滑タイプのシ−ル装置1
04でシ−ルするようにしている。
【0005】シ−ル装置104は、図13および図14
に示すように、ピストン102の外周面に形成された環
状溝105内に、外周面がシリンダ101の内周面に接
触するように樹脂製で、有端形のシ−ルリング106を
装着するとともに、シ−ルリング106の内側に、この
シ−ルリング106をシリンダ101の内周面へ押付け
るための有端形のばねリング107を装着したものとな
っている。シ−ルリング106の両端部には図15に示
すように、両端部相互を半径方向に重ね合わせるための
合い口部108が形成されている。
に示すように、ピストン102の外周面に形成された環
状溝105内に、外周面がシリンダ101の内周面に接
触するように樹脂製で、有端形のシ−ルリング106を
装着するとともに、シ−ルリング106の内側に、この
シ−ルリング106をシリンダ101の内周面へ押付け
るための有端形のばねリング107を装着したものとな
っている。シ−ルリング106の両端部には図15に示
すように、両端部相互を半径方向に重ね合わせるための
合い口部108が形成されている。
【0006】しかしながら、上記のように構成されたシ
−ル装置104にあっては、極低温下においてシ−ルリ
ング106が熱収縮すると、合い口部108の特に周方
向の密着度が悪化し易く、この合い口部108からのヘ
リウムガスの漏れ量が増加して冷却ステ−ジの温度上昇
を招く問題があった。また、この種のシ−ル装置、たと
えば極低温用冷凍機に組込まれるシ−ル装置にあって
は、常温下での性能試験から極低温下での性能を推定す
ることが困難であった。
−ル装置104にあっては、極低温下においてシ−ルリ
ング106が熱収縮すると、合い口部108の特に周方
向の密着度が悪化し易く、この合い口部108からのヘ
リウムガスの漏れ量が増加して冷却ステ−ジの温度上昇
を招く問題があった。また、この種のシ−ル装置、たと
えば極低温用冷凍機に組込まれるシ−ル装置にあって
は、常温下での性能試験から極低温下での性能を推定す
ることが困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、従来の無
潤滑タイプのシ−ル装置にあっては、特に極低温下で使
用しようとすると、望まれるシ−ル性能が得られず、こ
れが原因して、たとえば極低温用冷凍機に組込んだ場合
には冷凍能力を低下させる問題があった。また、極低温
用冷凍機に組込まれるものにあっては、常温下において
極低温下の性能を推定することが困難であった。そこで
本発明は、構造の複雑化を招くことなく、シ−ル性能を
大幅に向上させることができる無潤滑タイプのシ−ル装
置を提供することを目的としている。
潤滑タイプのシ−ル装置にあっては、特に極低温下で使
用しようとすると、望まれるシ−ル性能が得られず、こ
れが原因して、たとえば極低温用冷凍機に組込んだ場合
には冷凍能力を低下させる問題があった。また、極低温
用冷凍機に組込まれるものにあっては、常温下において
極低温下の性能を推定することが困難であった。そこで
本発明は、構造の複雑化を招くことなく、シ−ル性能を
大幅に向上させることができる無潤滑タイプのシ−ル装
置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明はシリンダとピストンとの間に存在する隙間
を潤滑油を使用せずにシールするためのものであって、
前記ピストンの外周面に形成された環状溝と、それぞれ
が樹脂系の材料で形成されて前記環状溝内に軸方向に2
段積み重ね状態に装着された有端形の第1,第2のシ−
ルリングおよび上記第1,第2のシ−ルリングの内側に
装着された有端形の第3のシ−ルリングと、帯状の金属
板を螺旋状に巻回して形成されるととも前記第3のシ−
ルリングの内側に装着されて上記第3のシールリングを
介して前記第1,第2のシールリングを前記シリンダの
内周面に押付けるコイルばねリングとを備えている。
に、本発明はシリンダとピストンとの間に存在する隙間
を潤滑油を使用せずにシールするためのものであって、
前記ピストンの外周面に形成された環状溝と、それぞれ
が樹脂系の材料で形成されて前記環状溝内に軸方向に2
段積み重ね状態に装着された有端形の第1,第2のシ−
ルリングおよび上記第1,第2のシ−ルリングの内側に
装着された有端形の第3のシ−ルリングと、帯状の金属
板を螺旋状に巻回して形成されるととも前記第3のシ−
ルリングの内側に装着されて上記第3のシールリングを
介して前記第1,第2のシールリングを前記シリンダの
内周面に押付けるコイルばねリングとを備えている。
【0009】
【作用】3つのシ−ルリングを前記関係に配置している
ので、各シ−ルリングの切れ目を周方向に、たとえば12
0 度離すとともに環状溝内で各シ−ルリングが軸方向に
移動しない寸法関係を選択しておけば、たとえ熱収縮で
各シ−ルリングの切れ目の幅が変化した場合であって
も、各切れ目を各シ−ルリングで完全に塞ぐことがで
き、あたかも切れ目のないシ−ルリングを使用している
が如き形態となる。このとき、帯状の金属板を螺旋状に
巻回して形成されたコイルばねリングは、3つのシ−ル
リングを一体に、かつ均一にシリンダの内周面に押付け
るように機能する。したがって、シ−ル装置を介しての
ガス漏れを大幅に減らすことができ、たとえば極低温用
冷凍機に組込んだときには冷凍能力向上に寄与する。
ので、各シ−ルリングの切れ目を周方向に、たとえば12
0 度離すとともに環状溝内で各シ−ルリングが軸方向に
移動しない寸法関係を選択しておけば、たとえ熱収縮で
各シ−ルリングの切れ目の幅が変化した場合であって
も、各切れ目を各シ−ルリングで完全に塞ぐことがで
き、あたかも切れ目のないシ−ルリングを使用している
が如き形態となる。このとき、帯状の金属板を螺旋状に
巻回して形成されたコイルばねリングは、3つのシ−ル
リングを一体に、かつ均一にシリンダの内周面に押付け
るように機能する。したがって、シ−ル装置を介しての
ガス漏れを大幅に減らすことができ、たとえば極低温用
冷凍機に組込んだときには冷凍能力向上に寄与する。
【0010】
【実施例】以下、図面を参照しながら実施例を説明す
る。図1には本発明の一実施例に係るシ−ル装置を組込
んだギホ−ド・マクマホン形冷凍機が示されている。
る。図1には本発明の一実施例に係るシ−ル装置を組込
んだギホ−ド・マクマホン形冷凍機が示されている。
【0011】この冷凍機は、大きく別けて、コ−ルドヘ
ッド1と、冷媒ガス導排出系2とで構成されている。コ
−ルドヘッド1は、閉じられたシリンダ11と、このシ
リンダ11内に往復動自在に収容されたピストン、すな
わちディスプレ−サ12と、このディスプレ−サ12に
対して往復動に必要な動力を与えるモ−タ13とで構成
されている。
ッド1と、冷媒ガス導排出系2とで構成されている。コ
−ルドヘッド1は、閉じられたシリンダ11と、このシ
リンダ11内に往復動自在に収容されたピストン、すな
わちディスプレ−サ12と、このディスプレ−サ12に
対して往復動に必要な動力を与えるモ−タ13とで構成
されている。
【0012】シリンダ11は、大径の第1シリンダ14
と、この第1シリンダ14に同軸的に接続された小径の
第2シリンダ15とで構成されている。そして、第1シ
リンダ14と第2シリンダ15との境界壁部分で第1段
冷却ステ−ジ16が構成され、また第2シリンダ15の
先端壁部分で第1段冷却ステ−ジ16より低温の第2段
冷却ステ−ジ17が構成されている。
と、この第1シリンダ14に同軸的に接続された小径の
第2シリンダ15とで構成されている。そして、第1シ
リンダ14と第2シリンダ15との境界壁部分で第1段
冷却ステ−ジ16が構成され、また第2シリンダ15の
先端壁部分で第1段冷却ステ−ジ16より低温の第2段
冷却ステ−ジ17が構成されている。
【0013】第1シリンダ14および第2シリンダ15
は、ステンレス鋼系の材料で形成されている。この実施
例に場合、第1および第2シリンダ14,15の内周面
で、後述するシ−ル装置25,26のシ−ルリングに摺
接する部分にはイオン窒化処理が施されており、また上
記摺接する部分は面精度が3.2μm以下に仕上げられ
ている。
は、ステンレス鋼系の材料で形成されている。この実施
例に場合、第1および第2シリンダ14,15の内周面
で、後述するシ−ル装置25,26のシ−ルリングに摺
接する部分にはイオン窒化処理が施されており、また上
記摺接する部分は面精度が3.2μm以下に仕上げられ
ている。
【0014】ディスプレ−サ12は、第1シリンダ14
内を往復動する第1ディスプレ−サ18と、第2シリン
ダ15内を往復動する第2ディスプレ−サ19とで構成
されている。これら第1、第2ディスプレ−サ18,1
9は、それぞれ四弗化エチレンにポリイミド樹脂を添加
した材料で形成されている。そして、第1ディスプレ−
サ18と第2ディスプレ−サ19とは、連結機構20に
よって軸方向に連結されている。第1ディスプレ−サ1
8の内部には、軸方向に延びる流体通路21が形成され
ており、この流体通路21には銅メッシュ等で形成され
た蓄冷材22が収容されている。同様に、第2ディスプ
レ−サ19の内部にも軸方向に延びる流体通路23が形
成されており、この流体通路23には鉛の球などで形成
された蓄冷材24が収容されている。
内を往復動する第1ディスプレ−サ18と、第2シリン
ダ15内を往復動する第2ディスプレ−サ19とで構成
されている。これら第1、第2ディスプレ−サ18,1
9は、それぞれ四弗化エチレンにポリイミド樹脂を添加
した材料で形成されている。そして、第1ディスプレ−
サ18と第2ディスプレ−サ19とは、連結機構20に
よって軸方向に連結されている。第1ディスプレ−サ1
8の内部には、軸方向に延びる流体通路21が形成され
ており、この流体通路21には銅メッシュ等で形成され
た蓄冷材22が収容されている。同様に、第2ディスプ
レ−サ19の内部にも軸方向に延びる流体通路23が形
成されており、この流体通路23には鉛の球などで形成
された蓄冷材24が収容されている。
【0015】第1ディスプレ−サ18の外周面と第1シ
リンダ14の内周面との間および第2ディスプレ−サ1
9の外周面と第2シリンダ15の内周面との間には、そ
れぞれシ−ル装置25、26が装着されている。
リンダ14の内周面との間および第2ディスプレ−サ1
9の外周面と第2シリンダ15の内周面との間には、そ
れぞれシ−ル装置25、26が装着されている。
【0016】シ−ル装置25、26は、たとえばシ−ル
装置26を代表して示すと、図2から図6に示すように
構成されている。すなわち、シ−ル装置26は、第2デ
ィスプレ−サ19の外周面に形成された環状溝27と、
この環状溝27内に軸方向に2段構成に、かつ外周面を
第2シリンダ15の内周面に接触させて装着された有端
形のアウタ−シ−ルリング28,29と、このアウタ−
シ−ルリング28,29の内側に装着された有端形のイ
ンナ−シ−ルリング30と、このインナ−シ−ルリング
30の内側に装着されてインナ−シ−ルリング30を介
してアウタ−シ−ルリング28、29を第2シリンダ1
5の内周面へ押付ける有端形のコイルばねリング31
と、このコイルばねリング31の内側に、コイルばねリ
ング31と接触状態に装着された受けリング32と構成
されている。
装置26を代表して示すと、図2から図6に示すように
構成されている。すなわち、シ−ル装置26は、第2デ
ィスプレ−サ19の外周面に形成された環状溝27と、
この環状溝27内に軸方向に2段構成に、かつ外周面を
第2シリンダ15の内周面に接触させて装着された有端
形のアウタ−シ−ルリング28,29と、このアウタ−
シ−ルリング28,29の内側に装着された有端形のイ
ンナ−シ−ルリング30と、このインナ−シ−ルリング
30の内側に装着されてインナ−シ−ルリング30を介
してアウタ−シ−ルリング28、29を第2シリンダ1
5の内周面へ押付ける有端形のコイルばねリング31
と、このコイルばねリング31の内側に、コイルばねリ
ング31と接触状態に装着された受けリング32と構成
されている。
【0017】アウタ−シ−ルリング28,29およびイ
ンナ−シ−ルリング30は、第1、第2ディスプレ−サ
18,19を構成している材料と同じ材料、すなわち四
弗化エチレンにポリイミド樹脂を添加した材料で形成さ
れている。アウタ−シ−ルリング28,29およびイン
ナ−シ−ルリング30は、外周面、内周面および軸方向
の両端面の面精度が30μm以下に仕上げられている。
アウタ−シ−ルリング28,29は、軸方向の厚みがそ
れぞれ等しく、半径方向の厚みもそれぞれ等しく形成さ
れている。インナ−シ−ルリング30は、アウタ−シ−
ルリング28,29の軸方向の厚みの和と等しい軸方向
の厚みに形成されている。そして、アウタ−シ−ルリン
グ28,29の軸方向の厚みの和の厚みは、環状溝27
の軸方向の幅に対して、±50μmの寸法精度に設定され
ている。上記のように形成されたアウタ−シ−ルリング
28,29およびインナ−シ−ルリング30は、図6に
示すように、両端間に僅かの距離Rの切れ目33(3
4,35)を設けた状態で、かつ各切れ目33,34,
35が図2に示すように周方向にほぼ120 度離れるよう
にして環状溝27内に装着されている。
ンナ−シ−ルリング30は、第1、第2ディスプレ−サ
18,19を構成している材料と同じ材料、すなわち四
弗化エチレンにポリイミド樹脂を添加した材料で形成さ
れている。アウタ−シ−ルリング28,29およびイン
ナ−シ−ルリング30は、外周面、内周面および軸方向
の両端面の面精度が30μm以下に仕上げられている。
アウタ−シ−ルリング28,29は、軸方向の厚みがそ
れぞれ等しく、半径方向の厚みもそれぞれ等しく形成さ
れている。インナ−シ−ルリング30は、アウタ−シ−
ルリング28,29の軸方向の厚みの和と等しい軸方向
の厚みに形成されている。そして、アウタ−シ−ルリン
グ28,29の軸方向の厚みの和の厚みは、環状溝27
の軸方向の幅に対して、±50μmの寸法精度に設定され
ている。上記のように形成されたアウタ−シ−ルリング
28,29およびインナ−シ−ルリング30は、図6に
示すように、両端間に僅かの距離Rの切れ目33(3
4,35)を設けた状態で、かつ各切れ目33,34,
35が図2に示すように周方向にほぼ120 度離れるよう
にして環状溝27内に装着されている。
【0018】コイルばねリング31は、図4に示すよう
に、ステンレス鋼製の薄い帯状部材36を螺旋状に巻回
して形成されている。このコイルばねリング31は、5
〜60kgf/cm2 の力でインナ−シ−ルリング30を介し
てアウタ−シ−ルリング28,29を対応するシリンダ
の内周面に押付けている。受けリング32は、図5に示
すように、シリンダと同じ材料、つまりステンレス鋼製
の半円環状部材37a,37bの突合わせによって形成
されている。
に、ステンレス鋼製の薄い帯状部材36を螺旋状に巻回
して形成されている。このコイルばねリング31は、5
〜60kgf/cm2 の力でインナ−シ−ルリング30を介し
てアウタ−シ−ルリング28,29を対応するシリンダ
の内周面に押付けている。受けリング32は、図5に示
すように、シリンダと同じ材料、つまりステンレス鋼製
の半円環状部材37a,37bの突合わせによって形成
されている。
【0019】第1ディスプレ−サ18の図中上端は、連
結ロッド38、スコッチヨ−クあるいはクランク軸39
を介してモ−タ13の回転軸に連結されている。したが
って、モ−タ13の回転軸が回転すると、この回転に同
期してディスプレ−サ12が図中実線矢印40で示すよ
うに往復動する。
結ロッド38、スコッチヨ−クあるいはクランク軸39
を介してモ−タ13の回転軸に連結されている。したが
って、モ−タ13の回転軸が回転すると、この回転に同
期してディスプレ−サ12が図中実線矢印40で示すよ
うに往復動する。
【0020】第1シリンダ14の側壁上部には冷媒ガス
の導入口41と排出口42とが設けてあり、これら導入
口41と排出口42は冷媒ガス導排出系2に接続されて
いる。 冷媒ガス導排出系2は、シリンダ11を経由す
るヘリウムガス循環系を構成するもので、排出口42を
低圧弁43、圧縮機44、高圧弁45を介して導入口4
1に接続したものとなっている。すなわち、この冷媒ガ
ス導排出系2は、低圧(約5atm )のヘリウムガスを圧
縮機44で高圧(約18atm )に圧縮してシリンダ11
内に送り込む。そして、低圧弁43、高圧弁45はディ
スプレ−サ12の往復動との関連において後述する関係
に開閉制御される。このように構成された冷凍機の動作
を説明する。
の導入口41と排出口42とが設けてあり、これら導入
口41と排出口42は冷媒ガス導排出系2に接続されて
いる。 冷媒ガス導排出系2は、シリンダ11を経由す
るヘリウムガス循環系を構成するもので、排出口42を
低圧弁43、圧縮機44、高圧弁45を介して導入口4
1に接続したものとなっている。すなわち、この冷媒ガ
ス導排出系2は、低圧(約5atm )のヘリウムガスを圧
縮機44で高圧(約18atm )に圧縮してシリンダ11
内に送り込む。そして、低圧弁43、高圧弁45はディ
スプレ−サ12の往復動との関連において後述する関係
に開閉制御される。このように構成された冷凍機の動作
を説明する。
【0021】この冷凍機において、寒冷を発生する部
分、つまり冷却面に供される部分は第1段冷却ステ−ジ
16と第2段冷却ステ−ジ17とである。これらは熱負
荷のない場合にそれぞれ30K 、8K程度まで冷える。この
ため、第1ディスプレ−サ18の図中上下端間には常温
(300K)から30K までの温度勾配がつき、また第2ディ
スプレ−サ19の図中上下端間には30K から8Kまでの温
度勾配がつく。ただし、この温度は各段冷却ステ−ジの
熱負荷によって変化し、通常、第1段冷却ステ−ジ16
では30〜80K 、第2段冷却ステ−ジ17では8 〜20K の
間となる。
分、つまり冷却面に供される部分は第1段冷却ステ−ジ
16と第2段冷却ステ−ジ17とである。これらは熱負
荷のない場合にそれぞれ30K 、8K程度まで冷える。この
ため、第1ディスプレ−サ18の図中上下端間には常温
(300K)から30K までの温度勾配がつき、また第2ディ
スプレ−サ19の図中上下端間には30K から8Kまでの温
度勾配がつく。ただし、この温度は各段冷却ステ−ジの
熱負荷によって変化し、通常、第1段冷却ステ−ジ16
では30〜80K 、第2段冷却ステ−ジ17では8 〜20K の
間となる。
【0022】モ−タ13が回転を開始すると、ディスプ
レ−サ12が下死点と上死点との間を往復動する。ディ
スプレ−サ12が下死点にあるとき、高圧弁45が開い
て高圧ヘリウムガスがコ−ルドヘッド1内に流入する。
次に、ディスプレ−サ12が上死点へと移動する。前述
の如く、第1ディスプレ−サ18の外周面と第1シリン
ダ14の内周面との間および第2ディスプレ−サ19の
外周面と第2シリンダ15の内周面との間にはそれぞれ
シ−ル装置25、26が装着されている。このため、デ
ィスプレ−サ12が上死点へと向かうと、高圧ヘリウム
ガスは第1ディスプレ−サ18に形成された流体通路2
1および第2ディスプレ−サ19に形成された流体通路
23を通って、第1ディスプレ−サ18と第2ディスプ
レ−サ19との間に形成された1段膨張室46および第
2ディスプレ−サ19と第2シリンダ15の先端壁との
間に形成された2段膨張室47へと流れる。この流れに
伴って、高圧ヘリウムガスは蓄冷材22、24によって
冷却され、結局、1段膨張室46に流れ込んだ高圧ヘリ
ウムガスは30K 程度に、また2段膨張室47に流れ込ん
だ高圧ヘリウムガスは8K程度に冷却される。
レ−サ12が下死点と上死点との間を往復動する。ディ
スプレ−サ12が下死点にあるとき、高圧弁45が開い
て高圧ヘリウムガスがコ−ルドヘッド1内に流入する。
次に、ディスプレ−サ12が上死点へと移動する。前述
の如く、第1ディスプレ−サ18の外周面と第1シリン
ダ14の内周面との間および第2ディスプレ−サ19の
外周面と第2シリンダ15の内周面との間にはそれぞれ
シ−ル装置25、26が装着されている。このため、デ
ィスプレ−サ12が上死点へと向かうと、高圧ヘリウム
ガスは第1ディスプレ−サ18に形成された流体通路2
1および第2ディスプレ−サ19に形成された流体通路
23を通って、第1ディスプレ−サ18と第2ディスプ
レ−サ19との間に形成された1段膨張室46および第
2ディスプレ−サ19と第2シリンダ15の先端壁との
間に形成された2段膨張室47へと流れる。この流れに
伴って、高圧ヘリウムガスは蓄冷材22、24によって
冷却され、結局、1段膨張室46に流れ込んだ高圧ヘリ
ウムガスは30K 程度に、また2段膨張室47に流れ込ん
だ高圧ヘリウムガスは8K程度に冷却される。
【0023】ここで、高圧弁45が閉じ、低圧弁43が
開く。このように低圧弁43が開くと、1段膨張室46
内および2段膨張室47内の高圧ヘリウムガスが膨張し
て寒冷を発生し、第1段冷却ステ−ジ16および第2段
冷却ステ−ジ17が吸熱する。そして、ディスプレ−サ
12が再び下死点へ移動すると、これに伴って1段膨張
室46内および2段膨張室47内のヘリウムガスが排除
される。膨張したヘリウムガスは流体通路21、23内
を通る間に蓄冷材22、24を冷却し、常温となって排
出される。以下、上述したサイクルが繰返されて冷凍運
転が行なわれる。
開く。このように低圧弁43が開くと、1段膨張室46
内および2段膨張室47内の高圧ヘリウムガスが膨張し
て寒冷を発生し、第1段冷却ステ−ジ16および第2段
冷却ステ−ジ17が吸熱する。そして、ディスプレ−サ
12が再び下死点へ移動すると、これに伴って1段膨張
室46内および2段膨張室47内のヘリウムガスが排除
される。膨張したヘリウムガスは流体通路21、23内
を通る間に蓄冷材22、24を冷却し、常温となって排
出される。以下、上述したサイクルが繰返されて冷凍運
転が行なわれる。
【0024】このタイプの冷凍機では、到達最低温度お
よび冷凍効率がシ−ル装置25、26のシ−ル性能によ
って大きく左右される。今、1段膨張室46内の温度が
30K、2段膨張室47内の温度が10K である場合を例に
とると、シ−ル装置26の部分で漏れが生じると、30K
のヘリウムガスが第2ディスプレ−サ19内の蓄冷材2
4に接触することなく2段膨張室47内に入り、また逆
に10K のヘリウムガスが1段膨張室46内に入ることに
なる。この結果、第1段冷却ステ−ジ16の温度が下降
し、第2段冷却ステ−ジ17の温度が上昇してしまうこ
とになる。
よび冷凍効率がシ−ル装置25、26のシ−ル性能によ
って大きく左右される。今、1段膨張室46内の温度が
30K、2段膨張室47内の温度が10K である場合を例に
とると、シ−ル装置26の部分で漏れが生じると、30K
のヘリウムガスが第2ディスプレ−サ19内の蓄冷材2
4に接触することなく2段膨張室47内に入り、また逆
に10K のヘリウムガスが1段膨張室46内に入ることに
なる。この結果、第1段冷却ステ−ジ16の温度が下降
し、第2段冷却ステ−ジ17の温度が上昇してしまうこ
とになる。
【0025】図7にはシ−ル装置26でのヘリウムガス
の漏れ量割合(2段膨張室47へ流れ込むヘリウムガス
の総量に対するシ−ル装置26を通して流れ込むヘリウ
ムガスの割合)と各段冷却ステ−ジの温度との関係を計
算で求めた結果が示されている。この図から判かるよう
に、シ−ル装置26の部分での漏れが各段冷却ステ−ジ
の温度に大きい影響を与える。これはシ−ル装置26に
限らず、シ−ル装置25にも言えることである。
の漏れ量割合(2段膨張室47へ流れ込むヘリウムガス
の総量に対するシ−ル装置26を通して流れ込むヘリウ
ムガスの割合)と各段冷却ステ−ジの温度との関係を計
算で求めた結果が示されている。この図から判かるよう
に、シ−ル装置26の部分での漏れが各段冷却ステ−ジ
の温度に大きい影響を与える。これはシ−ル装置26に
限らず、シ−ル装置25にも言えることである。
【0026】しかし、本実施例の構造のシ−ル装置2
5,26が組込まれていると、漏れ量を大幅に減少させ
ることできる。シ−ル装置25、26は、前述の如く、
アウタ−シ−ルリング28,29およびインナ−シ−ル
リング30からなる3個のシ−ルリングを用いているの
で、その切れ目33,34,35も合計3個となる。し
かし、これらの切れ目33,34,35の位置を周方向
にずらすことによって、実質的に切れ目がなく、しかも
シリンダの内周面に押付け可能な1つのシ−ルリングを
装着したと等価な形態が形成される。そして、環状溝2
7の軸方向幅の選択等によって運転中にアウタ−シ−ル
リング28,29およびインナ−シ−ルリング30が軸
方向に移動するのを防止することも容易であり、しかも
帯状部材36を螺旋状に巻回して形成されたコイルばね
リング31で3つのシ−ルリングをシリンダ内面へ押付
けるようにしているので、線材で形成されたコイルばね
リングとは違って、容易に5kg/cm2 以上の力で、
しかも各部を均一に押付けることができ、結局、シ−ル
装置25,26でのガス漏れを大幅に減少させることが
できる。したがって、第2段冷却ステ−ジ17の温度上
昇を抑制でき、冷凍能力を向上させることができる。
5,26が組込まれていると、漏れ量を大幅に減少させ
ることできる。シ−ル装置25、26は、前述の如く、
アウタ−シ−ルリング28,29およびインナ−シ−ル
リング30からなる3個のシ−ルリングを用いているの
で、その切れ目33,34,35も合計3個となる。し
かし、これらの切れ目33,34,35の位置を周方向
にずらすことによって、実質的に切れ目がなく、しかも
シリンダの内周面に押付け可能な1つのシ−ルリングを
装着したと等価な形態が形成される。そして、環状溝2
7の軸方向幅の選択等によって運転中にアウタ−シ−ル
リング28,29およびインナ−シ−ルリング30が軸
方向に移動するのを防止することも容易であり、しかも
帯状部材36を螺旋状に巻回して形成されたコイルばね
リング31で3つのシ−ルリングをシリンダ内面へ押付
けるようにしているので、線材で形成されたコイルばね
リングとは違って、容易に5kg/cm2 以上の力で、
しかも各部を均一に押付けることができ、結局、シ−ル
装置25,26でのガス漏れを大幅に減少させることが
できる。したがって、第2段冷却ステ−ジ17の温度上
昇を抑制でき、冷凍能力を向上させることができる。
【0027】図8には、アウタ−シ−ルリング28,2
9およびインナ−シ−ルリング30をシリンダの内周面
に押付けるばねリングとして、本実施例のように帯状部
材36を螺旋状に巻回して形成されたコイルばねリング
31を組込んだ場合R1 と、線状部材を螺旋状に巻回し
て形成されたコイルばねリングを組込んだ場合R2 と、
従来装置のようなばねリングを組込んだ場合R3 との漏
れ量の比較が示されている。これは3つのシ−ルリング
の面精度条件、装着条件およびシリンダの面精度条件を
等しくして常温下で測定されたものである。
9およびインナ−シ−ルリング30をシリンダの内周面
に押付けるばねリングとして、本実施例のように帯状部
材36を螺旋状に巻回して形成されたコイルばねリング
31を組込んだ場合R1 と、線状部材を螺旋状に巻回し
て形成されたコイルばねリングを組込んだ場合R2 と、
従来装置のようなばねリングを組込んだ場合R3 との漏
れ量の比較が示されている。これは3つのシ−ルリング
の面精度条件、装着条件およびシリンダの面精度条件を
等しくして常温下で測定されたものである。
【0028】この図から判るように、帯状部材36を螺
旋状に巻回して形成されたコイルばねリング31を組込
んだ場合R1 は、漏れ量が際だって少ない。これは、実
際にインナ−シ−ルリング30の内周面に接触する部分
の面積が広いこと、コイル部分の変形に伴う反力のほと
んどが軸心線方向に向いていること、などによってシ−
ルリングの軸方向各部および周方向各部を均一に押圧で
きることによる。したがって、コイルばねリング31は
漏れ量の減少に大きく寄与している。
旋状に巻回して形成されたコイルばねリング31を組込
んだ場合R1 は、漏れ量が際だって少ない。これは、実
際にインナ−シ−ルリング30の内周面に接触する部分
の面積が広いこと、コイル部分の変形に伴う反力のほと
んどが軸心線方向に向いていること、などによってシ−
ルリングの軸方向各部および周方向各部を均一に押圧で
きることによる。したがって、コイルばねリング31は
漏れ量の減少に大きく寄与している。
【0029】図9には、図14に示すシ−ル装置を組込
んだ従来の冷凍機と図3に示すシ−ル装置25(26)
を組込んだ冷凍機との冷凍曲線が示されている。横軸は
第2段冷却ステ−ジ17の温度(K) を示し、縦軸は第2
段冷却ステ−ジ17に加えた熱負荷(W) を示している。
この図から判かるように、同じ温度で冷凍し得る能力は
本実施例のシ−ル装置25(26)を組込んだ冷凍機の
方が大きい。したがって、上記構成のシ−ル装置25
(26)を組込むことによって冷凍能力を向上させ得る
ことが理解される。
んだ従来の冷凍機と図3に示すシ−ル装置25(26)
を組込んだ冷凍機との冷凍曲線が示されている。横軸は
第2段冷却ステ−ジ17の温度(K) を示し、縦軸は第2
段冷却ステ−ジ17に加えた熱負荷(W) を示している。
この図から判かるように、同じ温度で冷凍し得る能力は
本実施例のシ−ル装置25(26)を組込んだ冷凍機の
方が大きい。したがって、上記構成のシ−ル装置25
(26)を組込むことによって冷凍能力を向上させ得る
ことが理解される。
【0030】なお、本実施例では、第1シリンダ14
(第2シリンダ15)を構成している材質と同じ材質で
形成された受けリング32をコイルばねリング31の内
側に装着しているので、常温下でのシ−ル性能から極低
温下でのシ−ル性能をほぼ正確に推定することができ
る。すなわち、極低温下においても受けリング32とシ
リンダとの相対的な熱収縮は変わらない。したがって、
常温下での組立てに際してコイルばねリング31に与え
た歪量を極低温においても保持させることができ、結
局、常温下において確認された性能と同じ性能を極低温
下で発揮させることができる。
(第2シリンダ15)を構成している材質と同じ材質で
形成された受けリング32をコイルばねリング31の内
側に装着しているので、常温下でのシ−ル性能から極低
温下でのシ−ル性能をほぼ正確に推定することができ
る。すなわち、極低温下においても受けリング32とシ
リンダとの相対的な熱収縮は変わらない。したがって、
常温下での組立てに際してコイルばねリング31に与え
た歪量を極低温においても保持させることができ、結
局、常温下において確認された性能と同じ性能を極低温
下で発揮させることができる。
【0031】また、本実施例では、ポリイミド樹脂を添
加した四弗化エチレン樹脂でアウタ−シ−ルリング2
8,29およびインナ−シ−ルリング30をそれぞれで
形成している。ポリイミド樹脂の添加は耐摩耗性の向上
に極めて有効で、運転経過時間とともにシ−ル装置25
(26)での漏れ量が急速に増加するようなことはな
い。図10にはポリイミド樹脂を添加した四弗化エチレ
ンで形成されたシ−ルリングを用いた場合S1 と、カ−
ボンの添加された四弗化エチレンで形成されたシ−ルリ
ングを用いた場合S2 と、四弗化エチレンのみで形成さ
れたシ−ルリングを用いた場合S3 との運転経過時間に
対する漏れ量の増加割合が示されている。この図から判
るように、ポリイミド樹脂添加の四弗化エチレンで形成
されたシ−ルリングを用いた場合S1 においては、運転
経過時間に対す漏れ量の変化割合がきわめて小さい。こ
れはポリイミド樹脂の添加によって耐摩耗性が向上した
ことによる。
加した四弗化エチレン樹脂でアウタ−シ−ルリング2
8,29およびインナ−シ−ルリング30をそれぞれで
形成している。ポリイミド樹脂の添加は耐摩耗性の向上
に極めて有効で、運転経過時間とともにシ−ル装置25
(26)での漏れ量が急速に増加するようなことはな
い。図10にはポリイミド樹脂を添加した四弗化エチレ
ンで形成されたシ−ルリングを用いた場合S1 と、カ−
ボンの添加された四弗化エチレンで形成されたシ−ルリ
ングを用いた場合S2 と、四弗化エチレンのみで形成さ
れたシ−ルリングを用いた場合S3 との運転経過時間に
対する漏れ量の増加割合が示されている。この図から判
るように、ポリイミド樹脂添加の四弗化エチレンで形成
されたシ−ルリングを用いた場合S1 においては、運転
経過時間に対す漏れ量の変化割合がきわめて小さい。こ
れはポリイミド樹脂の添加によって耐摩耗性が向上した
ことによる。
【0032】また、本実施例では、ステンレス鋼で形成
された第1シリンダ14および第2シリンダ15の内周
面で、シ−ル装置25(26)を構成しているアウタ−
シ−ルリング28,29と接触する部分にイオン窒化処
理を施し、しかもその面制度が3.2μm以下になるよ
うに仕上げている。このイオン窒化処理層の存在は、ア
ウタ−シ−ルリング28,29の耐摩耗性向上に寄与す
る。
された第1シリンダ14および第2シリンダ15の内周
面で、シ−ル装置25(26)を構成しているアウタ−
シ−ルリング28,29と接触する部分にイオン窒化処
理を施し、しかもその面制度が3.2μm以下になるよ
うに仕上げている。このイオン窒化処理層の存在は、ア
ウタ−シ−ルリング28,29の耐摩耗性向上に寄与す
る。
【0033】図11には、ステンレス鋼製シリンダの内
周面にセラミックコ−ティング層の設けられたものを用
いた場合T1 と、ステンレス鋼製シリンダの内周面にイ
オン窒化処理を施したものを用いた場合T2 と、ステン
レス鋼のみで形成されたシリンダを用いた場合T3 との
運転経過時間に対する漏れ量の増加割合が示されてい
る。この図から判るように、セラミックコ−ティング層
の設けられたシリンダを用いた場合T1 およびイオン窒
化処理の施されたシリンダを用いた場合T2 には、漏れ
量の増加割合がきわめて小さい。これは、セラミックコ
−ティング層やイオン窒化処理層がシ−ルリングの摩耗
抑制に寄与していることによる。
周面にセラミックコ−ティング層の設けられたものを用
いた場合T1 と、ステンレス鋼製シリンダの内周面にイ
オン窒化処理を施したものを用いた場合T2 と、ステン
レス鋼のみで形成されたシリンダを用いた場合T3 との
運転経過時間に対する漏れ量の増加割合が示されてい
る。この図から判るように、セラミックコ−ティング層
の設けられたシリンダを用いた場合T1 およびイオン窒
化処理の施されたシリンダを用いた場合T2 には、漏れ
量の増加割合がきわめて小さい。これは、セラミックコ
−ティング層やイオン窒化処理層がシ−ルリングの摩耗
抑制に寄与していることによる。
【0034】また、本実施例では、シ−ル装置25(2
6)を構成しているアウタ−シ−ルリング28,29お
よびインナ−シ−ルリング30の外周面、内周面および
軸方向両端面の面精度を30μm以下に仕上げており、
しかも第1シリンダ14および第2シリンダ15の上記
アウタ−シ−ルリング28,29に接触する部分の面精
度を3.2μm以下に仕上げている。したがって、これ
らの関係によっても、運転中にアウタ−シ−ルリング2
8,29とシリンダ内周面との間、アウタ−シ−ルリン
グ28,29およびインナ−シ−ルリング30の両端面
と環状溝27の端面との間からの漏れ量を十分少なくで
きる。
6)を構成しているアウタ−シ−ルリング28,29お
よびインナ−シ−ルリング30の外周面、内周面および
軸方向両端面の面精度を30μm以下に仕上げており、
しかも第1シリンダ14および第2シリンダ15の上記
アウタ−シ−ルリング28,29に接触する部分の面精
度を3.2μm以下に仕上げている。したがって、これ
らの関係によっても、運転中にアウタ−シ−ルリング2
8,29とシリンダ内周面との間、アウタ−シ−ルリン
グ28,29およびインナ−シ−ルリング30の両端面
と環状溝27の端面との間からの漏れ量を十分少なくで
きる。
【0035】また、本実施例では、インナ−シ−ルリン
グ30の軸方向の幅がアウタ−シ−ルリング28,29
の軸方向の幅を足した値に設定されており、この幅が環
状溝27の軸方向の幅に対して±50μmの寸法精度に
設定されている。したがって、アウタ−シ−ルリング2
8,29およびインナ−シ−ルリング30の両端面と環
状溝27の端面との間からの漏れ量を十分少なくでき
る。加えて、第1および第2ディスプレ−サ18,19
を構成している材料と同じ材料でアウタ−シ−ルリング
28,29およびインナ−シ−ルリング30を形成して
いるので、アウタ−シ−ルリング28,29およびイン
ナ−シ−ルリング30の軸方向の熱収縮と環状溝27の
それとを等しくでき、常温で装着された際の上記寸法精
度を極低温下においても維持で、熱収縮の差に起因する
漏れ量の増加を防止することができる。
グ30の軸方向の幅がアウタ−シ−ルリング28,29
の軸方向の幅を足した値に設定されており、この幅が環
状溝27の軸方向の幅に対して±50μmの寸法精度に
設定されている。したがって、アウタ−シ−ルリング2
8,29およびインナ−シ−ルリング30の両端面と環
状溝27の端面との間からの漏れ量を十分少なくでき
る。加えて、第1および第2ディスプレ−サ18,19
を構成している材料と同じ材料でアウタ−シ−ルリング
28,29およびインナ−シ−ルリング30を形成して
いるので、アウタ−シ−ルリング28,29およびイン
ナ−シ−ルリング30の軸方向の熱収縮と環状溝27の
それとを等しくでき、常温で装着された際の上記寸法精
度を極低温下においても維持で、熱収縮の差に起因する
漏れ量の増加を防止することができる。
【0036】なお、本発明は上述した実施例に限定され
るものではない。すなわち、上記実施例では、第1およ
び第2ディスプレ−サ18,19をアウタ−シ−ルリン
グ28,29およびインナ−シ−ルリング30と同じ材
料、つまりポリミイド樹脂添加の四弗化エチレンで形成
しているが、これとほぼ同程度の熱収縮率を持った材
料、たとえば、四弗化エチレンや、カ−ボンあるいはグ
ラスファイバ−の添加された四弗化エチレンで形成して
もよい。また、これらでディスプレ−サの全部を形成す
る必要はなく、これらで環状溝27が形成される部分だ
けを形成してもよい。同様に、受けリング32もシリン
ダと同じ材料である必要はなく、シリンダ構成材料と同
程度の熱収縮率を持った材料であればよい。また、上述
した実施例では第1および第2シリンダ14,15の内
周面にイオン窒化処理を施しているが、ガス漏れの影響
が大きいシ−ル装置側、つまり第2シリンダ15だけに
イオン窒化処理を施すようにしてもよい。そして、シリ
ンダ構成材料もステンレス鋼に限らず、チタン系の材料
を用い、これにイオン窒化処理を施したり、セラミック
をコ−ティングしたりしたものを使用しても同様の効果
が得られる。また、シリンダの内周面部分でシ−ル装置
に摺接する部分をセラミックで構成することも効果的で
ある。また、本発明に係るシ−ル装置は、極低温用冷凍
機に限らず、無潤滑が要求される類似した装置全般に適
用できることは勿論である。
るものではない。すなわち、上記実施例では、第1およ
び第2ディスプレ−サ18,19をアウタ−シ−ルリン
グ28,29およびインナ−シ−ルリング30と同じ材
料、つまりポリミイド樹脂添加の四弗化エチレンで形成
しているが、これとほぼ同程度の熱収縮率を持った材
料、たとえば、四弗化エチレンや、カ−ボンあるいはグ
ラスファイバ−の添加された四弗化エチレンで形成して
もよい。また、これらでディスプレ−サの全部を形成す
る必要はなく、これらで環状溝27が形成される部分だ
けを形成してもよい。同様に、受けリング32もシリン
ダと同じ材料である必要はなく、シリンダ構成材料と同
程度の熱収縮率を持った材料であればよい。また、上述
した実施例では第1および第2シリンダ14,15の内
周面にイオン窒化処理を施しているが、ガス漏れの影響
が大きいシ−ル装置側、つまり第2シリンダ15だけに
イオン窒化処理を施すようにしてもよい。そして、シリ
ンダ構成材料もステンレス鋼に限らず、チタン系の材料
を用い、これにイオン窒化処理を施したり、セラミック
をコ−ティングしたりしたものを使用しても同様の効果
が得られる。また、シリンダの内周面部分でシ−ル装置
に摺接する部分をセラミックで構成することも効果的で
ある。また、本発明に係るシ−ル装置は、極低温用冷凍
機に限らず、無潤滑が要求される類似した装置全般に適
用できることは勿論である。
【0037】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、簡
単な構成であるにも拘らず、広い温度範囲に亘って良好
なシ−ル機能を発揮させることができる。特に、帯状部
材を螺旋状に巻回して形成されたコイルばねリングの使
用によってシ−ルリングをシリンダの内周面に、強い力
で、しかも均一に押付けることができ、シ−ル機能を一
層向上させることができる。
単な構成であるにも拘らず、広い温度範囲に亘って良好
なシ−ル機能を発揮させることができる。特に、帯状部
材を螺旋状に巻回して形成されたコイルばねリングの使
用によってシ−ルリングをシリンダの内周面に、強い力
で、しかも均一に押付けることができ、シ−ル機能を一
層向上させることができる。
【図1】本発明の一実施例に係るシ−ル装置を組込んだ
ギホ−ド・マクマホン形冷凍機の概略縦断面図
ギホ−ド・マクマホン形冷凍機の概略縦断面図
【図2】同冷凍機を図1におけるC−C線に沿って切断
し、矢印方向に見た図
し、矢印方向に見た図
【図3】図2におけるD−Dに沿って切断し、矢印方向
に見た図
に見た図
【図4】シ−ル装置に組込まれたコイルばねリングを局
部的に取出して示す平面図
部的に取出して示す平面図
【図5】シ−ル装置に組込まれた受けリングの平面図
【図6】シ−ル装置に組込まれたシ−ルリングの端部を
取出して示す側面図
取出して示す側面図
【図7】シ−ル装置に漏れが存在しているときに起こる
各冷却ステ−ジの温度変化の計算例を示す図
各冷却ステ−ジの温度変化の計算例を示す図
【図8】シ−ル装置に各種ばねリングを組込んだときに
押圧力と漏れ量との関係を示す図
押圧力と漏れ量との関係を示す図
【図9】本発明に係るシ−ル装置を組込んだ冷凍機と従
来のシ−ル装置を組込んだ冷凍機との冷凍能力特性を比
較して示す図
来のシ−ル装置を組込んだ冷凍機との冷凍能力特性を比
較して示す図
【図10】シ−ル装置に各種シ−ルリングを組込んだと
きの運転経過時間と漏れ量との関係を示す図
きの運転経過時間と漏れ量との関係を示す図
【図11】シリンダの内面処理とシ−ル装置での漏れ量
との関係を示す図
との関係を示す図
【図12】シリンダとピストンとの間に装着されるシ−
ル装置を示す図
ル装置を示す図
【図13】図12におけるA−A線に沿って切断し、矢
印方向に見た図
印方向に見た図
【図14】図13におけるB−B線に沿って切断し、矢
印方向に見た図
印方向に見た図
【図15】従来のシ−ル装置に組込まれたシ−ルリング
の端部を取出して示す断面図。
の端部を取出して示す断面図。
1…コ−ルドヘッド、 2…冷媒ガス導
排出系、11…シリンダ、 12…
ディスプレ−サ、13…モ−タ、 14…
第1シリンダ、15…第2シリンダ、
16…第1段冷却ステ−ジ、17…第2段冷却ステ−
ジ、 18…第1ディスプレ−サ、19…第2
ディスプレ−サ、 22,24…蓄冷材、2
5,26…シ−ル装置、 27…環状溝、2
8,29…アウタ−シ−ルリング、 30…インナ−シ
−ルリング、31…コイルばねリング、 3
2…受けリング、33,34,35…切れ目、
36…帯状部材、46…1段膨張室、
47…2段膨張室。
排出系、11…シリンダ、 12…
ディスプレ−サ、13…モ−タ、 14…
第1シリンダ、15…第2シリンダ、
16…第1段冷却ステ−ジ、17…第2段冷却ステ−
ジ、 18…第1ディスプレ−サ、19…第2
ディスプレ−サ、 22,24…蓄冷材、2
5,26…シ−ル装置、 27…環状溝、2
8,29…アウタ−シ−ルリング、 30…インナ−シ
−ルリング、31…コイルばねリング、 3
2…受けリング、33,34,35…切れ目、
36…帯状部材、46…1段膨張室、
47…2段膨張室。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F23B 9/14 510
Claims (5)
- 【請求項1】シリンダとピストンとの間に存在する隙間
を潤滑油を使用せずにシールするためのものであって、
前記ピストンの外周面に形成された環状溝と、それぞれ
が樹脂系の材料で形成されて前記環状溝内に軸方向に2
段積み重ね状態に装着された有端形の第1,第2のシ−
ルリングおよび上記第1,第2のシ−ルリングの内側に
装着された有端形の第3のシ−ルリングと、帯状の金属
板を螺旋状に巻回して形成されるととも前記第3のシ−
ルリングの内側に装着されて上記第3のシールリングを
介して前記第1,第2のシールリングを前記シリンダの
内周面に押し付けるコイルばねリングとを具備してなる
ことを特徴とするシ−ル装置。 - 【請求項2】シリンダとピストンとの間に存在する隙間
を潤滑油を使用せずにシールするためのものであって、
前記ピストンの外周面に形成された環状溝と、それぞれ
が樹脂系の材料で形成されて前記環状溝内に軸方向に2
段積み重ね状態に装着された有端形の第1,第2のシ−
ルリングおよび上記第1,第2のシ−ルリングの内側に
装着された有端形の第3のシ−ルリングと、帯状の金属
板を螺旋状に巻回して形成されるととも前記第3のシ−
ルリングの内側に装着されて上記第3のシールリングを
介して前記第1,第2のシールリングを前記シリンダの
内周面に押し付けるコイルばねリングと、このコイルば
ねリングの内側に上記コイルばねリングに接触状態に装
着された受けリングとを具備してなることを特徴とする
シール装置。 - 【請求項3】前記受けリングは、前記シリンダを構成し
ている材質と同じ、もしくはそれに近い熱収縮率の材質
で形成されていることを特徴とする請求項2に記載のシ
−ル装置。 - 【請求項4】前記第1、第2、第3のシ−ルリングは、
ポリイミド系樹脂を添加した樹脂で形成されていること
を特徴とする請求項1または2に記載のシ−ル装置。 - 【請求項5】前記シリンダは、ステンレス鋼またはチタ
ンで形成されており、少なくとも前記第1、第2のシ−
ルリングに接触する部分に、イオン窒化処理またはセラ
ミックコ−ティングが施されていることを特徴とする請
求項1または2に記載にシ−ル装置。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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EP19920303261 EP0508830B1 (en) | 1991-04-11 | 1992-04-10 | Cryogenic refrigerator |
DE1992607801 DE69207801T2 (de) | 1991-04-11 | 1992-04-10 | Tiefsttemperaturkälteanlage |
US08/146,735 US5447034A (en) | 1991-04-11 | 1993-11-04 | Cryogenic refrigerator and regenerative heat exchange material |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9084791A JP2868923B2 (ja) | 1991-04-22 | 1991-04-22 | シ−ル装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH04320766A JPH04320766A (ja) | 1992-11-11 |
JP2868923B2 true JP2868923B2 (ja) | 1999-03-10 |
Family
ID=14009980
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Country | Link |
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Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
1991
- 1991-04-22 JP JP9084791A patent/JP2868923B2/ja not_active Expired - Fee Related
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