JP2868506B1 - 容器構造体 - Google Patents

容器構造体

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幸秀 齋藤
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Abstract

【要約】 【課題】スパイラル巻紙管を母線方向において開閉可能
にした、スパイラル巻紙管活用容器の応用を促進せる、
新規な容器構造体を提供する。 【解決手段】スパイラル巻紙管1を管軸と交叉する方向
において切断して容器本体2を形成し、この容器本体2
の管壁を一母線上において完全切断し、同管壁の内側面
又は外面側における他の母線上において不完全切断す
る。この不完全切断部4の切り残し部5にて同管壁の外
面側又は内面側に開閉ヒンジ6を形成し、容器本体2を
該開閉ヒンジ6を支点として上記完全切断部3において
開閉可にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は複数条の帯紙をス
パイラル巻して形成された紙管を利用して成る容器構造
体に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば特開平5−270524号公報に
は、上記スパイラル巻された紙管を定長に切断して筒状
の容器本体を形成し、該容器本体の両側開口を夫々蓋体
で塞いで、一方の蓋体に設けた取り出し口より容器内の
物品を取り出すようにした筒状容器が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例は、スパイ
ラル巻紙管の強度や量産性、ひいてはコストダウンに着
目した点において有用であるが、被収納物品の出し入れ
が常に管体の両側開口部に限定され、用途や収納される
物品やデザインに制限を伴い、スパイラル巻紙管を容器
として活用する着想を有効に生かし難い現状にあり、ス
パイラル巻紙管の応用範囲を狭める問題を有している。
【0004】この発明は上記従来の如き円筒状の容器構
造とは発想を異にし、スパイラル巻紙管の有効利用を図
った新規な容器構造体を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明の容器構造体
は、スパイラル巻紙管を管軸と交叉する方向において切
断して容器本体を形成し、該容器本体の管壁を一母線上
において完全切断し、同管壁の内側面又は外面側におけ
る他の一母線上において不完全切断する。この不完全切
断部はVカット溝等にて形成され、該不完全切断部の切
り残し部にて同管壁の外面側又は内面側に開閉ヒンジを
形成し、上記容器本体を該開閉ヒンジを支点として上記
完全切断部において開閉可能とする。
【0006】上記容器本体の外面側に所定の開角を有す
るVカット溝にて不完全切断部を形成することにより、
完全切断部にて分断された各容器本体部の開角を設定す
ることができる。
【0007】又上記容器構造体にトレーから成る内容器
を内装することにより、容器構造体を堅牢にしつつ物品
収納容器が組成される。
【0008】又上記開閉ヒンジの不完全切断部とは反対
側の表面に該開閉ヒンジをバックアップする補強シート
を貼付する。この補強シートは開閉ヒンジ部分に貼付す
るほか、容器構造体の外表面及び内表面に貼付して表装
することができ、表装した容器構造体は例えば時計、宝
石類の装飾品等の容器として好適に使用でき、スパイラ
ル巻紙管を有効利用した容器構造体として収納対象品を
多種に拡大することができる。
【0009】この発明によれば、用途や収納される物品
やデザイン等に応じ、スパイラル巻紙管の応用範囲をヒ
ンジ開閉形の容器に拡大でき、強度や量産性、ひいては
コストダウンを達成するスパイラル巻紙管の特徴を同開
閉形の収納容器として有効に活用することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下この発明の実施形態例を図1
乃至図7に基づき説明する。
【0011】図1Aはスパイラル巻紙管1の製造法を示
し、スパイラル巻紙管1はペーパーロールの巻紙管とし
て既知のように、断面形状が例えば円形を呈する芯棒S
を回動しながら軸線方向に移動しつつ、芯棒Sの周面に
複数条、例えば2条又は2条以上の帯紙T(テープ)を
供給して部分的に重畳するようにスパイラル状に巻付け
し、各帯紙Tを接着剤を介してスパイラル巻し重畳する
ことにより形成される。
【0012】容器構造体を形成する上記紙管1の原紙は
段ボール、古紙を主体とする板紙である。又容器構造体
の大きさや強度、容器に入れる品物により、各種紙管が
選択できる。例えば表面の商品価値が重要な場合は、多
色印刷した紙や、着色紙、アルミ箔ラミネート紙、樹脂
フィルムラミネート紙もスパイラル巻し積層することが
可能である。又用途に応じた特殊機能を持たせるため
に、容器本体の表面又は紙管原紙として、塗工、含浸等
により、耐水、耐油、導電、抗菌処理した紙も利用する
ことができる。
【0013】上記スパイラル巻紙管1は通常円筒状に製
造されるが、上記芯棒Sの断面形状を多角形にすること
によって、四角形や六角形や八角形等の断面形状を有す
るスパイラル巻紙管1の製造が可能である。この発明は
前記着想に基づき各種断面形状を有するスパイラル巻紙
管を活用した容器の製造が可能である。
【0014】上記スパイラル巻紙管1は帯紙Tを多重に
スパイラル巻することにより剛性強度が優れて、しかも
量産が容易であり、且つ安価なる特徴を有する。
【0015】図1Bは一例として断面形状を蒲鉾形にし
て例えば略2m程度の長さに形成されたスパイラル巻紙
管1を示す。このスパイラル巻紙管1を管軸と交叉する
方向、例えば直交する方向において切断線Xに沿い定長
に分断(輪切り)して、両側において開口する分断スパ
イラル巻紙管1′から成る容器本体2を形成する。
【0016】上記分断スパイラル巻紙管1′から成る容
器本体2の管壁を一母線上において該容器本体2の管軸
方向の一端から他端に亘り完全切断する。詳しくは図1
に示すように、管軸と平行な切断線Yに沿い管壁を完全
切断して容器本体2を割構造とする。3は完全切断部を
示している。
【0017】他方図2に示すように、上記管壁の内面側
における他の一母線上において容器本体2の管軸方向の
一端から他端に亘り直線状に不完全切断し、該不完全切
断部4の切り残し部5にて管壁の外面側に開閉ヒンジ6
を形成する。
【0018】上記不完全切断は容器本体2の外面側に達
しない深さ、例えば管壁の厚みの略2分の1乃至略4分
の3の深さで切断して切り残し部5を残存し、これを上
記開閉ヒンジ6とする。この不完全切断部4は線状にカ
ットするか、溝状にカットする。図4Aは、線状カット
9を施した場合を示す。又溝状カットとして図4Bに示
すように、既知のVカット溝10を施すか、或いは図4
Cに示すように、凹カット溝11を施してを夫々形成
し、その切り残し部5にて開閉ヒンジ6を形成する。
【0019】上記不完全切断部4は前記完全切断部3と
相対して形成し、好ましくは両切断部3,4を略180
度反対側に形成する。これにより上記開閉ヒンジ6を支
点に上記完全切断部3を開口端として分断された一方又
は双方の容器本体部7,8を開閉可能にする。この場合
一方の容器本体部7又は8を蓋体と称する容器を含む。
【0020】図5は上記不完全切断部4の他の実施形態
例を示し、前記完全切断を施した容器本体2の管壁の外
面側における他の一母線上において該容器本体2の管壁
を管軸方向の一端から他端に亘り直線状に不完全切断す
る。
【0021】上記不完全切断部4は管壁の内面側に達し
ない深さで直線状に形成し、詳しくは前記と同様に紙管
1′の厚みの略2分の1乃至略4分の3の深さで不完全
切断し、該不完全切断部4の切り残し部5にて管壁の内
面側に開閉ヒンジ6を形成する。
【0022】上記不完全切断部4は図5Aに示すよう
に、完全切断部3と相対向して形成し、好ましくは両切
断部3,4を180度反対側に形成し、容器本体2の一
端から他端に亘る外面側に前記Vカット溝10にて形成
する。
【0023】このVカット溝10は図5Cに示すよう
に、カット面10a,10bが成す開角α1を有し、こ
の開角α1により図5Dに示すように、上記開閉ヒンジ
6を支点として前記完全切断3により分断された一方又
は双方の容器本体部7,8を開角α2を以って開き可能
とする。
【0024】つまり上記不完全切断部4において、容器
本体部7,8を開閉ヒンジ6を支点として拡開した時、
該Vカット溝10を画成する一方のカット面10aが他
方のカット面10bに衝合して容器本体部7,8の開き
を終端する。これにより図5B,図5Dに示すように、
例えば一方のカット面10aを他方のカット面10bで
支持して容器本体部部7,8の開角が設定される。
【0025】図8はこの発明の基本思想に法り、上記ス
パイラル巻紙管1′から成る容器本体2を観音開き構造
にした容器構造体13を示す。
【0026】図示のように、容器本体2の対向する左右
側壁に母線上に沿い前記Vカット溝10等から成る不完
全切断部4を形成し、上壁に上記一母線上に沿う完全切
断部3を形成する。この完全切断部3は左右不完全切断
部4間の管壁中央部に配する。上記不完全切断部4を線
状カット9や凹カット溝11により形成したり、これを
管壁の内面側又は外面側に配することは前記の通りであ
る。
【0027】又上記何れの実施形態例においても、不完
全切断部4を容器本体2の管軸方向の一端から他端にお
ける中央又は両側に形成しこれを除く箇所を完全切断し
て、上記開閉ヒンジ6を中央又は両側にだけ形成するこ
とも可能である。
【0028】以上のように、スパイラル巻紙管1′から
成る容器本体2に完全切断部3と不完全切断部4を形成
することによって容器構造体13が形成される。
【0029】上記容器構造体13は容器本体部7,8に
て画成される内部スペース14を有し、該内部スペース
14にトレーから成る紙製又は合成樹脂製等の内容器1
5を内装する。
【0030】図6Aは内容器15の展開図を示し、該内
容器15は底壁15aと該底壁15aの四辺に連設した
側壁15bから成り、この側壁15bを底壁15aの四
辺に沿い折曲して立ち上げてトレーを形成し、該トレー
から成る内容器15にて物品を収容するようにする。
【0031】上記内容器15は容器構造体13に接着す
るか、又は接着せずに単に嵌装し、図6Bに示すよう
に、容器構造体13の軸線方向に沿う内容器15の側壁
15bを、容器本体部8の開口端から上方に突出させて
容器本体部7の同本体部8に対する嵌合部15b′を形
成する。他方容器構造体13の軸線方向の両側開口16
を同軸線方向と交叉する側壁15bにて塞いで物品収納
容器が組成される。
【0032】又図7に示すように、前記開閉ヒンジ6に
より開閉可能とした容器構造体13は容器本体部7と8
の開口端(閉合面)において接合するマグネット吸着材
17を夫々設けて両者を吸着させ、容器本体部7,8の
閉合状態を確保するようにする。
【0033】実施に応じて上記のように形成した容器構
造体13には図3に示すように、上記開閉ヒンジ6の不
完全切断部4とは反対側の表面に補強シート18を貼付
して、該開閉ヒンジ部6をバックアップし補強するよう
にする。
【0034】上記補強シート18は図3に示すように、
容器構造体13の外面側全体に貼付して開閉ヒンジ6を
補強し、該補強シート18にて容器構造体13を表装す
る。又この補強シート18を容器構造体13の内面側に
貼付してもよい。
【0035】又図5に示すように、上記補強シート18
を容器構造体13の内面側に開閉ヒンジ6に沿い限定し
て貼付し該開閉ヒンジ6を補強する。又この極部に貼付
した補強シート18を覆うように表面化粧を兼ねる補強
シート18を内面側全体に貼付してもよい。又この補強
シート18を外面側に貼付することも可能である。
【0036】又図5に示す補強シート18を図3に示す
容器構造体13の外面側に開閉ヒンジ6に限定しこれに
沿って貼付して該開閉ヒンジ6を補強することも可能で
あり、更にこの極部に貼付した補強シート18を覆うよ
うに表面化粧を兼ねる補強シート18を容器構造体13
の外面側全体に貼付するとができる。
【0037】
【発明の効果】この発明によれば、容器本体に形成した
不完全切断部の開閉ヒンジを支点として完全切断部にお
いて開閉可能にしたスパイラル巻紙管から成る新規な開
閉形の容器構造体を提供でき、用途や収納される物品や
デザイン等に応じ、スパイラル巻紙管の応用範囲を拡大
でき、強度や量産性、ひいてはコストダウンを達成でき
るスパイラル巻紙管の収納容器としての特徴を有効に活
用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は長尺スパイラル巻紙管を形成する状態
を示す側面図、(B)長尺スパイラル巻紙管を示す要部
斜視図。
【図2】上記スパイラル巻紙管から形成される容器構造
体の一例を示す斜視図。
【図3】同断面図。
【図4】(A)は線状カットを施して形成された不完全
切断部を示す拡大断面図、(B)はVカット溝を施して
形成された不完全切断部を示す拡大断面図、(C)は凹
カット溝を施して形成された不完全切断部を示す拡大断
面図。
【図5】(A)は容器構造体の他例を示す断面図、
(B)は同容器構造体を開いた状態を以って示す断面
図、(C)は同容器構造体の不完全切断部を閉状態を以
って示す拡大断面図、(D)は同開状態を以って示す拡
大断面図。
【図6】(A)は内容器の展開図、(B)は容器構造体
に内容器を内装した状態を示す斜視図。
【図7】完全切断により分断された各容器本体部の閉合
保持状態を例示する拡大断面図。
【図8】この発明に従い観音開き構造の容器構造体を示
す断面図。
【符号の説明】
1 スパイラル巻紙管 1′ 分断スパイラル巻紙管 2 容器本体 3 完全切断部 4 不完全切断部 5 切り残し部 6 開閉ヒンジ 7,8 容器本体部 10 Vカット溝 13 容器構造体 15 内容器 17 マグネット吸着材 18 補強シート

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スパイラル巻紙管を管軸と交叉する方向に
    おいて切断し形成された容器本体から成り、該容器本体
    はその管壁が一母線上において完全切断され、同管壁が
    その内側面における他の母線上において不完全切断さ
    れ、該不完全切断部の切り残し部にて同管壁の外面側に
    開閉ヒンジを形成し、上記容器本体を該開閉ヒンジを支
    点として上記完全切断部において開閉可にしたことを特
    徴とする容器構造体。
  2. 【請求項2】スパイラル巻紙管を管軸と交叉する方向に
    おいて切断し形成された容器本体から成り、該容器本体
    はその管壁が一母線上において完全切断され、同管壁が
    その外側面における他の母線上において不完全切断さ
    れ、該不完全切断部の切り残し部にて同管壁の内面側に
    開閉ヒンジを形成し、上記容器本体を該開閉ヒンジを支
    点として上記完全切断部において開閉可にしたことを特
    徴とする容器構造体。
  3. 【請求項3】上記不完全切断部をVカット溝にて形成し
    たことを特徴とする請求項1又は2記載の容器構造体。
  4. 【請求項4】上記容器本体に内容器を内装したことを特
    徴とする請求項1又は2記載の容器構造体。
  5. 【請求項5】上記開閉ヒンジの不完全切断部とは反対側
    の表面に補強シートを貼付したことを特徴とする請求項
    1又は2記載の容器構造体。
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