JP2867431B2 - 半凝固金属スラリー製造装置 - Google Patents

半凝固金属スラリー製造装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は半凝固金属スラリー製造装置に関するもので
ある。
[従来の技術] 固液共存温度域で溶解金属中に微細球状結晶粒をでき
るだけ多く存在させた半凝固金属スラリーを得る手法と
して、凝固開始点から溶融金属に撹拌棒によって撹拌剪
断力を与え、成長するデンドライト結晶組織を破砕して
溶融金属中に均一に微細球状結晶粒を混在させる方法が
ある。
この方法を実現するための手段として特公昭51−4301
9号公報、特公昭56−20944号公報、特開昭55−73445号
公報に開示された装置があるが、溶解金属の温度は極め
て高いので撹拌棒を冷却して熱応力から保護する必要が
ある。
そこで、第6図に示す如く、内部に環状に延びる冷却
媒体流路aを形成した金属もしくはセラミックスよりな
る撹拌棒本体bに、同じく金属もしくはセラミックスよ
りなる筒状体cを嵌合して撹拌棒dを形成し、溶融金属
の撹拌時には前記撹拌棒本体b内部に穿設した冷却媒体
供給路e及び冷却媒体回収路fを介して冷却媒体流路a
に冷却媒体を流通させ、熱応力から保護するものが考え
られる。
[発明が解決しようとする課題] しかし前述した撹拌棒dにおいては、例えば鋼の如く
極めて溶融温度の高い金属を撹拌する場合、撹拌棒dの
温度分布は第7図に示す如く、100℃以下である冷却水
(冷却媒体)の温度TW(通常50〜60℃)に対して鋼の溶
融温度TMは1560℃であるので、筒状体cの外周面近傍の
温度と冷却水の温度差は1500℃前後にもなり、筒状体c
における熱降下量ΔT1及び撹拌棒本体bにおける熱降下
量ΔT2はきわめて大きくなる。
特に高温側に位置する筒状体cにおける熱降下量ΔT1
は金属もしくはセラミックスの許容熱応力範囲を超えて
しまうので筒状体cが破損したり、2〜3回の撹拌作業
で使用に耐えなくなってしまう。
本発明は上述の問題点を解決するもので、溶解温度の
高い金属を撹拌しても破損しない半凝固金属スラリー製
造装置を提供することを目的としている。
[課題を解決するための手段] 本発明は内部に冷却媒体流路を有する撹拌棒本体に、
それぞれ一箇以上の多孔質よりなる筒状体と金属あるい
はセラミックスよりなる筒状体とを、金属あるいはセラ
ミックスよりなる筒状体が最外層に位置するように順次
嵌合するとともに、最外層に位置する筒状体の外周面に
多数箇の突起部を設けて撹拌棒を形成し、溶融金属を貯
留可能な容器内に前記撹拌棒を回動可能に支持したもの
である。
[作用] 容器内に溶融金属を流入させるとともに撹拌棒を回転
させて半凝固金属スラリーを製造する際に、冷却媒体流
路に冷却媒体を流通させて撹拌棒を冷却する。
撹拌時には最外層に位置する筒状体に設けた突起部間
に凝固殻が付着して撹拌棒を被覆するので熱伝達率が低
下する。撹拌棒は複数箇の筒状体を順次嵌合した構成を
有しているので、各部材における熱降下量が小さくな
り、また多孔質体よりなる筒状体は隣接する他の筒状体
の熱応力を吸収するので撹拌棒の破損を防止することが
できる。
[実 施 例] 以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。
第1図から第5図は本発明の一実施例であり、下端部
外周面に周方向に延びる冷却媒体流路22を形成した金属
よりなる柱状体23に、前記冷却媒体流路22を被覆するよ
うに金属よりなるスリーブ24を嵌合して撹拌棒本体25を
形成する。
撹拌棒本体25内部には、外部より冷却媒体流路22に冷
却媒体を導く冷却媒体供給路26と、昇温した冷却媒体を
外部へ導く冷却媒体回収路27とが穿設されている。
前記スリーブ24を被覆するようにジルコニアイットリ
アよりなる第1の筒状体28を嵌合し、外周面に多数箇の
突起部29を有するモリブデンよりなる第2の筒状体30
を、前記第1の筒状体28を被覆するように嵌合して撹拌
棒17を形成する。
外部を鉄皮1により被覆され内部に耐火材2を設けた
中空円筒状の容器3をケーシング4に装着すると共に、
容器3上側部に、外方から溶融金属を容器3内に供給す
る溶融金属供給管5を固着し、容器3の鉄皮1と耐火材
2との間に、溶融金属加熱用の熱媒体を循環させる熱媒
体供給管6と溶融金属冷却用の冷却媒体を循環させる冷
却媒体供給管7を配設する。
容器3の下部に、鉄皮8及び耐火材9から成り、中空
円筒部の径が容器3の中空円筒部よりも小径の半凝固金
属スラリー排出用の容器10を取付け、鉄皮8と耐火材9
との間に半凝固金属スラリー加熱用の熱媒体を循環させ
る熱媒体供給管11を配設し、容器10の下部に、水平方向
へ移動する開閉可能なストッパ12を配設する。
ケーシング4の上部に別のケーシング13を設置し、該
ケーシング13に取付けた軸受14に、駆動装置により回転
させ得るようにした竪軸15を嵌合、支持させ、該竪軸15
の下端フランジ部15aに竪向きの流体圧シリンダ16を配
設し、竪軸15の下端に前述した撹拌棒17を配設して前記
流体圧シリンダ16のピストンロッド16a下端を撹拌棒17
の上端フランジ部17aに係合させ、又竪軸15から撹拌棒1
7に動力の伝達が可能になるよう、フランジ部15aと17a
の間にキー18を介在せしめ、撹拌棒17より小径で容器10
内に位置するセラミック製の案内部材19を、前記撹拌棒
17に設けた下端フランジ31に固着し、案内部材19の外周
に螺旋状の案内溝19aを刻設する。
なお、図中20はケーシング13に設けたガス排出管、21
は溶融金属、32は突起部29間の凹部、33は凝固殻であ
る。
半凝固金属スラリー製造時には、ストッパ12により容
器10の下部を閉塞させ、流体圧シリンダ16により撹拌棒
17を下降させ、撹拌棒17下端と容器10の耐火材9上面と
の間の隙間を極く小さくし、竪軸15を駆動して撹拌棒17
を回転させ、ガス排出管より容器3内のガスを吸引、排
気し、熱媒体供給管6,11に熱媒体を循環させる。
このため、容器3,10の耐火材2,9壁面は熱媒体によ
り、夫々所望の温度まで加熱される。
耐火材2,9が所定の温度まで加熱されたら、溶融金属
供給管5より容器3内に溶融金属21を供給し、必要に応
じ熱媒体供給管6に熱媒体を、又は冷却媒体供給管7に
冷却媒体を供給し、更に冷却媒体供給路26、冷却媒体流
路22、冷却媒体回収路27に冷却媒体を循環させて、溶融
金属の温度制御を行いつつ撹拌棒17を冷却保護し、溶融
金属に撹拌剪断力を与えて成長するデントライト結晶組
織を破砕し、溶融金属中に均一な微細球状結晶粒を混在
させ、半凝固金属スラリーを製造する。
このとき、撹拌棒17の最外層をなす第2の筒状体30の
突起部29間の凹部32に第2図及び第3図に示す如く凝固
殻33が付着する。
この突起部29間の凹部32に付着する凝固殻33は第3図
に示す凹部底面に完全には密着せず、凝固殻33と凹部32
底面との間に間隔が形成され、突起部29に比べて凹部32
では熱伝達率が低くなり、第2の筒状体30全体の熱伝達
率も低下する。
本発明においては、第2の筒状体30の外周面に多数箇
の突起部29を有しているので、凝固殻33が付着しやす
く、第4図に示す如く付着する凝固殻33の厚くなるほど
熱伝達率αは低くなる。
また、第1の筒状体28をなすジルコニアイットリアは
多孔質体であるので、溶融金属21を撹拌する時に入熱に
より、第2の筒状体30が膨張しても、その体積変化を吸
収し、熱応力によって破損することがない。
従って溶融金属21を撹拌するときには、撹拌棒17は凝
固殻33によって被覆された状態となり、更に第5図に示
す如く撹拌棒17をなす各層の熱降下量ΔT0、ΔT11、ΔT
12、ΔT20は第7図に示す熱降下量ΔT1、ΔT2よりも小
さくなるので、撹拌棒17が熱応力によって破壊すること
がない。
所定の半凝固金属スラリーが形成されたら、流体圧シ
リンダ16により撹拌棒17を上昇させ、下端フランジ31と
容器10の耐火材9の上面との間に略Xの隙間を形成さ
せ、ストッパ12を横移動させて容器10の下端を開き、半
凝固金属スラリーを容器3から容器10を経て外部へ排出
させる。この際、半凝固金属スラリーは回転している案
内部材19の案内溝19aに沿い案内されて排出されるた
め、半凝固金属スラリーは容器10下部から円滑に排出さ
れる。
なお、本発明の半凝固金属スラリー製造装置は、上述
の実施例にのみ限定されるものではなく、撹拌棒本体、
第1、第2の筒状体を他の物質にて作ってもよいこと、
筒状体の数を適宜増加させてもよいことなど本発明の要
旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ること
は勿論である。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明の半凝固金属スラリー製
造装置によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得
る。
(1) 撹拌棒の外周面に凝固殻が付着しやすいので、
凝固殻にて撹拌棒を熱から保護することができる。
(2) 撹拌棒本体に、すくなくとも1箇の多孔質体よ
りなる筒状部材を含む複数箇の筒状部材を嵌合した構成
を有しているので、各部材の熱降下量が小さくなり、熱
応力を吸収して撹拌棒の損傷を防止し、撹拌棒の寿命を
長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の断面図、第2図は撹拌棒の
詳細を示す断面図、第3図は凝固殻の付着状態を示す
図、第4図は熱伝達率と凝固殻付着厚さの関係を示すグ
ラフ、第5図は撹拌棒各部における熱降下量を示すグラ
フ、第6図は従来の撹拌棒の詳細を示す断面図、第7図
は従来の撹拌棒各部における熱降下量を示すグラフであ
る。 図中、3は容器、17は撹拌棒、22は冷却媒体流路、25は
撹拌棒本体、28は第1の筒状体(多孔質体よりなる筒状
体)、29は突起部、30は第2の筒状体(金属あるいはセ
ラミックスよりなる筒状体)を示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部に冷却媒体流路を有する撹拌棒本体
    に、それぞれ一箇以上の多孔質よりなる筒状体と金属あ
    るいはセラミックスよりなる筒状体とを、金属あるいは
    セラミックスよりなる筒状体が最外層に位置するように
    順次嵌合するとともに、最外層に位置する筒状体の外周
    面に多数箇の突起部を設けて撹拌棒を形成し、溶融金属
    を貯留可能な容器内に前記撹拌棒を回動可能に支持した
    ことを特徴とする半凝固金属スラリー製造装置。
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