JP2867279B2 - 毒素で修飾された抗体 - Google Patents

毒素で修飾された抗体

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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、エイズや白血病ウイルスのような慢性的ウ
イルス感染症の処理に有用な、毒素で修飾された抗体に
関する。
背景技術 後天的免疫不全症候群(エイズ)、エイズ関連症候群
(ARC)および成人T細胞白血病ウイルス感染症のよう
な、ウイルスが宿主の体内で慢性的に増殖する疾患は、
今日世界的に問題とされている。これらの疾患の原因ウ
イルスは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)などのヒトレ
トロウイルスである。
よく知られているように、HIVのプロトタイプは、ヒ
トT細胞向性ウイルスIII型(HTLV−III)およびリンパ
腫症関連ウイルス(LAV)であり、また白血病および関
連疾患の原因ウイルスは、ヒトT細胞白血病ウイルスI
型(HILV−I)である。
例えば、エイズに関連する最も特徴的な血液学的異常
は、細胞表面にCD4抗原をもつヘルパー/インジューサ
ーTリンパ球の機能的および量的欠損である。この結
果、感染しているヒト宿主の生体防御にさまざまな障害
が起きる。HIVによる免疫不全は、進行性で非可逆的
で、死亡率はきわめて高い。
HIVがT細胞に感染する第1段階において、一方で
は、ウイルスのリセプターであるCD4抗原に対するウイ
ルス粒子の結合が起きる。他方では、HIVの細胞間感染
によって、感染が拡がる。すなわち、既に感染している
細胞と非感染細胞とが細胞融合を行こし、特に脳やリン
パ節等の臓器において合胞体(多核巨大細胞)形成を起
こす。CD4陽性の細胞が欠損する原因は、HIVの感染した
T細胞がHIVの起こす細胞障害効果を受けやすいことに
よると言われている。
これらの慢性ウイルス感染症の他の一つの特徴は、感
染から発症までに長期間を要することである。HIVは、
このヘルパー/インジューサーT細胞群のみに感染する
のではなく、単球/マクロファージ群にも感染すること
が知られている。その際、殆どの単球/マクロファージ
群と一部のT細胞とは、HIVの起こす細胞障害効果に対
して抵抗性を示し、長期間ウイルスを保有し、ウイルス
を産生し続けることも知られている。
弱いHIV中和能をもつ抗体がHIVに感染したヒトの血液
中に存在している。従って、感染初期には、ウイルスに
感染した細胞を殺すメカニズムが体内で働いているが、
次第に働らかなくなる。HIVに感染した宿主は、CD4抗原
陽性のT細胞を徐々に失い免疫不全状態となり、やがて
死亡する。
HIVの構造蛋白抗原として、コア(gag)抗原と外被膜
(envelope)抗原との存在がよく知られている。HIVの
外被膜は、160キロダルトンの前駆体糖蛋白(gp160)と
それが切断されてできる120キロダルトン(gp120)と41
キロダルトン(gp41)とのウイルス粒子に存在する膜糖
蛋白とを含んでいる。その中でgp120は、次の観点か
ら、もっとも重要である。
(1) gp120またはgp120由来の或る種の断片で実験動
物を免疫すると、多クローン性中和抗体が得られる。こ
のことは、gp120が少なくともウイルス中和能力をもつ
抗体の標的分子の一つのであることを意味する。例え
ば、サイエンス[Lasky et al.,Science,233,209−212
(1986)],プロシーデイング・オブ・ザ・ナショナル
・アケデミー・オブ・サイエンス[Robbey W.G.et al.,
Proc.Natl.Acad.Sc.U.S.A.,83.7023−7027,1986)]お
よびサイエンス[Puney S.D.et al.,Science,234,1329
−1395(1987)]。
(2) HIVの感染の第一段階において、gp120はウイル
スリセプターであるCD4分子と結合する。このことは、g
p120がHIVの感染にとって最も重要な分子であることを
意味している。例えば、サイエンス[McDougal et al.,
Science,231,382−385(1986)]。
(3) HIVによる合胞体形成、すなわちHIVの細胞間
(cell−to−cell)感染は、gp120と非感染細胞のCD4分
子との直接的相互作用によって起きる。例えば、ネイチ
ャー[Lifson et al.,Nature,323,725−728(198
6)]。
T細胞白血病の場合にもHIVのgp120に相当するHTLV−
Iの外被膜蛋白抗原gp46が需要な役割を果たしているこ
とが知られている。
HTLV−IIIやLAVの構成蛋白に対する種々の単クローン
抗体、例えば、ウイルスの内部にあるコア抗原の一つで
あるp24に対するもの[プロシーデイング・オブ・ザ・
ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス[Verones
e,F.D.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,82,5199−5202(19
85)]、ウイルスの逆転写酵素をコードしているpol遺
伝子産物に対するもの[サイエンス,Veronese,F.D.,Sci
ence,231,1289−1291,(1986)]および外被膜の他の構
成蛋白であるgp41に対するもの[サイエンス,Veronese,
F.D.,Science,229,1402−1405(1985)]が知られてい
る。
しかし、これらの公知の単クローン抗体の中には、HI
Vの処理や感染防御にとって重要なgp120抗原に反応し、
これを中和するものはない。
要するに、HIVの感染の効果的な抑制、感染予防や診
断に役立つワクチンや抗体はまだ提供されていない。実
際に、例えば、動物を精製さたLAVで免疫してもgp120抗
原を効果的に中和する能力を持つ単クローン抗体が得ら
れなかったと報告されている[ジャーナル・オブ・イム
ノロジー、Chassagne J、et al.,J.Immunol.,vol.136,1
442−1445(1986)]。
他方において、従来のHIV感染防御または治療のため
に提案された抗ウイルス剤は、おもに、HIVに特異的に
酵素に対する阻害剤(インヒビター)である。例えば、
アジドチミシンやダデオキシンは逆転写酵素阻害剤で、
カスタノスペルミンはウイルス蛋白の修飾阻害剤であ
る。これらは、体内で新たに産生されたウイルスの新し
い細胞への感染を阻害する能力をもつが、すでに感染し
た細胞を能動的に殺すことはできない。
さて、癌細胞に対して毒性を持つ物質と共有結合され
た抗体(いわゆるイムノトキシン)を用いて、癌細胞を
特異的に殺す方法が試みられている[例、セル、E.S.Vi
tetta et al.,Cell.vol.41.653−654,July 1986;I.Past
an et al.,Cell,vol.47,641−648,December 1986]。
また、癌細胞に対して毒性を持つα線放射能をもつ粒
子、例えば212ビスマスを結合した単クローン抗体を用
いることも提案されている[サイエンス、R.M.Macklis
et al.,Science,vol.240,1024−1027(20 May 1988]。
しかし、例えば、抗体と特異的に反応する抗原が存在す
るかどうかさえも解明されていない等の未解決の問題が
ある。
慢性ウイルス感染症に対する、この種のイムノトキシ
ンはまだ知られていないが、その主な原因は、効果的な
抗ウイルス抗体が存在しなかったからである。従って、
この目的のために有用な毒素が存在するかどうか解明さ
れたこともなかった。
さきに本発明者は(a)ヒト免疫不全ウイルス(HI
V)の外被膜にある分子量約12万ダルトンの糖蛋白抗原
と結合して上記ウイルスを実質的に中和する能力を有し
(b)IgG1に分類され、(c)ヒトT細胞向性ウイルス
III型に感染された細胞の表面に結合することによっ
て、感染された細胞と感染されないT細胞とにより誘発
される合胞体の形成を阻止する能力を有し(d)HIVの
分子量16万ダルトンの糖蛋白質抗原の前駆体と結合する
能力を有し、(e)HIVのgp120のアミノ酸配列の第308
−331番目以内にある一つのエピトープ[ただしネイチ
ャー、Ratner et al.,Nature,313,277−284(1985)記
載の方法で測定]を認識する能力を有する単クローン抗
体を提案し、これを0.5β抗体と命名した特開昭−1−6
3393号公報(特願昭62−133909号を優先権主張して昭和
63年5月28日に出願した特願昭63−131226号)]。この
単クローン抗体は、HIVのgp120抗原と反応して、効果的
にウイルスを中和することができるが、ウイルスに感染
された細胞、即ちウイルス産生能力をもつ細胞の増殖を
効果的に抑制することが困難である。
本発明は、0.5β抗体を或る種の物質で修飾すると、
効果的にウイルスを中和しかつ感染された細胞の増殖を
抑制する能力をもつ抗体を得ることが出来るという知見
に基ずいている。
本発明の目的は、エイズやウイルス性白血病等の、ウ
イルス感染による慢性的疾患を効果的に抑制し得る、毒
素で修飾された抗体またはその断片およびその用法を提
供することにある。
発明の開示 本発明により、ウイルスに感染されたヒト細胞に対す
る細胞毒性を化学的及び/または物理的に誘発する能力
をもつ物質を、薬学的に不活性な物質を担体として用い
ることによって、上記ウイルスの一つ以上の抗原と特異
的に反応する能力をもつ抗体またはその断片と共有結合
する工程によって製造され、上記ウイルスに感染した細
胞の増殖を実質的に抑制する能力を有する抗体またはそ
の断片が提供される。
本発明による抗体またはその断片の有効量を用いるこ
とによって、ウイルスに感染した細胞の増殖を少なくと
も効果的に抑制し、あるいはこれを殺すことができる。
その結果、ウイルスは増殖(replication)のための居
所を失ない死滅する。
本発明により抗体またはその断片は、さらにウイルス
を中和する能力を有することができる。
本発明の次の特徴により、ヒト免疫不全ウイルス(HI
V)に感染された細胞に対する細胞毒性を化学的及び/
または物理的に誘発する能力をもつ物質を、薬学的に不
活性な物質を担体として用いることによって、単クロー
ン抗体と共有結合する工程によって製造される。その際
上記単クローン抗体として(a)ヒト免疫不全ウイルス
の外被膜にある分子量約12万ダルトンの糖蛋白抗原と特
異的に結合して上記ウイルスを実質的に中和する能力を
有し(b)IgG1に分類され(c)ヒトT細胞向性ウイル
スIII型に感染された細胞の表面に結合することによっ
て、感染された細胞と感染されないT細胞とにより誘発
される合胞体の形成を阻止する能力を有し(d)分子量
16万ダルトンのHIV糖蛋白質抗原の前駆体と結合する能
力を有し(e)HIVのgp120のアミノ酸配列の第308−331
番目以内にある一つのエピトープを認識する能力を有す
る単クローン抗体を用いることができ、これによって、
上記ウイルスに感染した細胞の増殖を実質的に抑制する
能力と上記ウイルスを中和する能力とを有する、ヒト免
疫不全ウイルス感染症処理用抗体またはその断片が提供
される。この抗体またはその断片は、HIVウイルスに感
染した細胞の増殖を実質的に抑制し、かつこのウイルス
を中和することができるので、ヒト免疫不全ウイルス感
染症(エイズ)及び関連疾患処理用に有用である。
図面の簡単な説明 第1図はHTLV−IIIBに感染した細胞H9/HTLV−IIIB
よび非感染細胞H9に対する、本発明によるRAC−0.5β抗
体の抑制効果を示す図である。第2図は感染細胞H9/HTL
V−IIIBに対する、本発明によるRAC−0.5β抗体の抑制
効果を間接蛍光抗体で測定した結果を示す図である。第
3図はLAVに感染したCEM細胞および非感染のCEM細胞に
対する、本発明によるPE−0.5抗体の抑制効果を示す図
である。第4図はHIVに感染した血友病疾患者の末梢血
単核球に対する、本発明による抗体の反応を示す図であ
る。第5図は本発明によるRAC−0.5抗体がHIVに感染し
たヒトの末梢血中のHIV産生細胞に対する抑制効果を示
す図である。
発明を実施するための最良の形態 次に本発明を詳しく説明する。
本発明の対象とされるウイルスは、例えば、ヒトT細
胞向性ウイルスIII型(HTLV−III)またはリンパ腫症関
連ウイルス(LAV)のようなヒト免疫不全ウイルス(HI
V)である。
この明細書において、修飾とは、抗体と細胞毒性を誘
発する能力をもつ物質(以下毒性物質という)とを、薬
学的に不活性な物質によって共有結合することである、
次に中和とは、ウイルス粒子の感染(cell−free infec
tion)の阻止および/または例えば、gp120とCD4との相
互作用によりHIV感染細胞と非感染細胞との間で起きる
合胞体形成のような、細胞間感染(cell−to−cellinfe
ction)を阻止することである。処理とは、診断、予防
及び治療のことである。
本発明による抗体は、ウイルスに感染された細胞の増
殖を、少なくとも特異的に抑制して、最終的にこれを殺
すことができるが、非感染の細胞の増殖を抑制しない。
さらにウイルスを効果的に中和することができる。従っ
てウイルス感染症を効果的に処置することができる。
本発明の目的に用いられる毒性物質は、人体に対する
抗原性、毒性等の副作用を考慮して選定されねばならな
い。好適な毒性物質は、微生物または植物由来のもの、
例えば、ジフテリアトキシン、細菌由来のエキソトキシ
ン、リシン、アブリン、ポークウイード抗ウイルス蛋
白、サポニンまたはゲロニンである。[セル、I.Pastan
et al.Cell,vol.47,641−648,(1968)]。そのほか、
癌のイムノトキシンの分野において提案された各種の毒
素や、ある種の抗癌剤などを用いることができる。
さらに、毒性物質として、癌抑制用イムノトキシンに
関して提案されたα線放射性粒子、例えば212ビスマス
[サイエンス、R.G.Mackelis et al.,Science,vol.240,
1024.20 May 1988]を用いることができる。
本発明により、毒性物質と共有結合される抗体は、多
クローン性でも単クローン性でもよいが、毒性物質の効
率から見て、単クローン抗体が実用的である。前記の0.
5β単クローン抗体は、本発明の目的にとくに適してい
る。本発明者は、この0.5β単クローン抗体産生能をも
つハイブリドーマ細胞54′CB1を作り、1987年5月14日
に英国、ヨーロピアン・コレクション・オブ・アニマル
・セル・カルチャーにブダペスト条約の規定により寄託
した(54/C B1,ECACC No.87051401)。
抗体を毒性物質で修飾するために、例えば、両側に活
性結合基をもつ、薬学的に不活性の試薬を単体として用
いることができる。その際、試薬は、抗体や毒性物質の
種類等によって選ばれる。例えば、N−サクシニミジル
−3−(ピリジルチオ)プロピオネート[スエーデン、
ファルマシア・ファイン・ケミカルス製、両側に活性結
合基をもつ試薬]を用いて、0.5β抗体をリシンA鎖
(米国E,Y,Laboratories製、Ricin A chain)または緑
膿菌由来のエキソトキシン(exotoxin)とを結合させる
ことによって、優れた性状をもつ、本発明による修飾さ
れた抗体を得ることができる。0.5β抗体を用いる場
合、例えば1−2分子の毒性物質を0.5β抗体と共有結
合することができる。
修飾された抗体の活性測定法は、例えば、次のとおり
である。
HIVに感染した細胞と感染しない細胞、例えばHTLV−I
IIBの感染したH9細胞であるH9/HTLV−IIIB(特表昭61−
500767号公報記載、ATCC CRL 8543)と非感染のH9株と
を、それぞれ、毒性物質を含む培地で培養して、増殖の
程度とウイルス抗原発現の程度とを調べる。有効な毒性
物質の場合は、その濃度に依存して細胞の増殖が抑制さ
れるが、H9細胞は死滅しない。その際、非感染細胞は有
意義な抑制を受けない。
さらに、感染細胞のウイルス抗原発現率が高ければ高
いほど、先にかつ高度に抑制され、やがて死滅し、ウイ
ルス抗原発現率の低い感染細胞が後に残ることが分かっ
た。
例えば、リシンA鎖と共有結合された0.5β抗体(以
下RAC−0.5抗体という)0.16μg/ml15%牛胎児血清を含
むRPMI−1640培地に添加すると、HTV−IIIBの感染したH
9細胞は、10日後にすべて死滅したが、非感染細胞の増
殖抑制は認められなかった。0.16μg/mlの1/5〜1/10の
低濃度でも感染細胞の殆どの死滅が認められた場合があ
った。全体として、抑制の程度は、抗体の濃度におよそ
比例したことが認められた。従って、例えば0.16μg/ml
の数百分の1ないし数千分の1の低濃度でも、有意義な
増殖抑制が可能であろうと思われる。緑膿菌由来のエキ
ソトキシンと共有結合させた0.5β抗体(以下PE−0.5β
抗体という)の場合にも、優れた抑制効果が見られた。
HTLV−IIIBの感染したH9細胞を、本発明によるRAC−
0.5β抗体を添加した培地で培養し、HTLV−IIIBの特異
コア抗原p24及その前駆体に対するVAK5単クローン抗体
[ガン、Jpn.J.Cancer Res.78.235−241(1987)]を用
いてp24陽性細胞の数を調べたところ、培養の進行とと
もに、ウイルス蛋白を多量に産生する細胞数の減少が見
られた。
次に、HIVに感染した患者の末梢血中に0.5β抗体に反
応する抗原をもつ場合がある[末梢血をレーザーフロー
サイトメトリーで調べると,単球/マクロファージ分画
に見出される]が、この場合にも、本発明による修飾さ
れた抗体を用いると、他の細胞を殺さずに、感染した細
胞を殺し得ることが分かった。
これらの結果から、本発明による修飾された抗体の有
効量をもちいることによって、慢性ウイルス感染患者の
体内のHIVウイルス感染細胞を特異的に攻撃し、その増
殖を少なくとも効果的に抑制し、または殺す能力をもつ
と共に、場合によりHIVウイルスを効果的に中和する能
力をもつことが明らかである。
本発明による修飾された抗体は、HIVに感染された細
胞の増殖を抑制し、これを殺すことができるので、慢性
ウイルス感染症の診断、予防および治療等の処置に有用
である。
下記の非限定的実施例におよび試験例によって本発明
を説明する。そこでは、特記しない限り、処理温度は室
温であり、燐酸緩衝液のpHは、約7.0−7.4、例えば7.2
であった。
実施例1 毒性物質としてリシンAチェイン(米国E.Y.ラボラト
リース社製、以下RACという)を用いた。原料抗体とし
て、参考例記載の0.5β単クローン抗体を用いた。毒性
物質と原料抗体とを共有結合するために、二つの活性結
合基を持つN−サクシニミジル−3−(2−ピリジルヂ
チオ)プロピオネート[スエーデン、ファルマシア・フ
ァイン・ケミカルス社製、以下SPDPという)を用いた。
SPDP(30mM)を含むジメチルホルムアミド(5μl)
を精製された0.5β単クローン抗体液(1mg/ml)1mlに加
え、よく撹拌してから、30分間保温した。反応液を0.15
M塩化ナトリウムと0.05M酢酸ナトリウムとを含む緩衝液
(pH4.5、1)で60分間透析することにより、SPDPと
0.5β抗体との結合体(SPDP−0.5β抗体という)を得
た。
精製され、予めジチオスライトールで還元されたRAC
水溶液(1mg/ml;1ml)を、4℃に冷却した。前記と同様
の酢酸緩衝液(pH4.5;2)で1時間透析した。0.7mlの
RAC液にSPDP−0.5β抗体(1ml)を加えて撹拌し、燐酸
緩衝液(pH7.8;1)で18時間透析することにより、RAC
と共有結合された0.5β抗体液(以下RAC−0.5β抗体と
いう)を得た。この抗体液に含まれる未結合のRACを除
くために、セファクリル200(スエーデン、ファルマシ
ア・ファイン・ケミカルス社製)を充填した1X50cmのカ
ラムと燐酸緩衝液とを用いてゲル濾過した。
1) 溶出された活性分画(以下特記しない限り各約0.
8ml)中の0.5β抗体の濃度とRACの濃度とを次の方法で
調べた。
100μlの抗マウスIgG[米国シグマ社製、炭酸緩衝液
(pH9.6;0.1M)で1000倍希釈]をイムロンI[米国ダイ
ナテック製、96穴のELISAプレート]の穴に塗布し、こ
れを18時間4℃に保った後に、燐酸緩衝液で2回洗浄し
た。次に、各分画の試料および対照品(各0.1ml)を別
々の穴に入れて、2時間保った。マウスIgGスタンダー
ド[米国メロイ社製]を対照として用いた。
穴を燐酸緩衝液で2回洗浄した後、2次抗体としての
アルカリホスファターゼで標識された抗マウスIgG[米
国シグマ社製、1%の牛胎児血清を含む燐酸緩衝液(0.
1M)を用いて1000倍希釈]100μlと反応させた。次に
プレートをの酸緩衝液で3回洗浄した後、材料を100μ
lのアルカリホスファターゼ基質(米国シグマ社製)で
発色させ、IgGの溶出分画を調べた。
2) 次に前記と同様にして、2次抗体の代りに、抗ウ
サギRAC抗体[米国E.Y.ラボラトリース社製]と反応さ
せた後、アルカリホスファターゼで標識さた抗ウサギ抗
体[米国シグマ社製]とアルカリホスファターゼ基質
[米国シグマ社製](各100μl)とを用いて発色させ
ることにより、RAC−0.5β抗体として結合されたリシン
A鎖の溶出した分画を調べた。
3) 試料の一部(各10μl)を前記のプレートの穴に
塗布後、各穴に各90μlの炭酸緩衝液(pH9.6;0.1M)を
加えて18時間4℃に保った。プレートを燐酸緩衝液で2
回洗浄した後、各100μlの抗ウサギRAC抗体[米国E.Y.
ラボラトリース社製]を各穴の材料と反応させた。反応
液を上記の試験の場合と同様にして発色させることによ
り、0.5β抗体と未結合のRACの溶出した分画を調べた。
4) こうして得られたRACと0.5β抗体との結合物と認
められた試料を、LKBファルマシア(スエーデン)製の
スーパーロース(Superose)12カラムと燐酸緩衝液とを
用いる高速液体クロマトグラフィーに付して、RACと0.5
β抗体との比率を調べた。その結果、RACの1分子が0.5
β抗体1分子と共有結合していることが観察された。
実施例2 毒性物質としてとして緑膿菌エキソトキシン(生化学
工業製、以下PEという)を用い、これを酢酸緩衝液1
で透析したほか、実施例1に準じて、1対1の比でPEと
共有結合された0.5β抗体(PE−0.5β抗体という)1.6m
lを得た。
試験例1 ウイルス感染細胞H9/HTLV−IIIB(ATCC CRL 8643)に
対するRAC−0.5β抗体の特異的抑制効果を次の通り試験
した。
95%以上の生細胞が、指数関数的に増殖するように調
整された感染細胞または非感染細胞H9を、96穴平底培養
板[マイクロタイター・プレート、米国ファルコン社
製]を用いて、それぞれRPMI−1640培地(15%牛胎児血
清を含む)0.2mlを用いて、温度37℃で炭酸ガス5%を
含む培養器で、種々の濃度のRAC−0.5β抗体を加えた培
地で培養した。第1図に示した抗体濃度は、各4.0μg/m
l(●)、0.8μg/ml(△)、0.16μg/ml(□)および0
μg/ml(○)であった。
48時間培養後、生き残った細胞を24穴の平底培養皿に
移し、同濃度の抗体を含む培地(各2ml)でさらに培養
した。
感染細胞の増殖抑制は、試験された各濃度の抗体添加
から、遅くとも12時間後に観察された。感染細胞の死滅
は、抗体添加から、遅くとも48時間後に認められた。各
濃度において、添加から10日後までに、全部の感染細胞
は死滅した。これに対して、非感染細胞の増殖は、濃度
4μg/mlにおいて、有意義でない抑制を受けたのみで、
その他の濃度では抑制は認められなかった。
この結果、ウイルス産生能の高い細胞、すなわちp24
抗原出現の多い細胞は早く死滅するが、ウイルス産生能
の低い細胞、すなわちp24抗原出現の少ない細胞は、あ
る程度生き延びて増殖を繰り返すものと考えられる。
ある場合、16μg/mlの抗体を約1/5〜1/10の濃度に希
釈しでも、有意義な感染細胞の死滅が見られた。全体と
して、濃度におよそ比例した抑制が見られた。従って、
例えば、16μg/mlの約数百分の1ないし数千分の以下の
低い濃度でも、HIV感染細胞に対して有意義な抑制効果
を持つと考えられる。
試験例2 感染細胞H9/HTLV−IIIBおよび非感染細H9を試験例1
と同様の条件で、異なった時間培養した。第2図におい
て、培養期間中の培地へのRAC−0.5β抗体の添加濃度
は、それぞれ、(A)4.0μg/ml,(B)0.8μg/ml,
(C)0.16μg/ml及び(D)0μg/mlであった。
感染細胞を燐酸緩衝液で2回洗浄した後、トキソプラ
スマ用ガラススライドに移し、風乾し、メタノール/ア
セトン(1:1v/v)で固定した。次に固定された細胞と30
分間反応させるために、スライドの各穴に、10μg/mlの
VAK5抗体(HIVのp24コア抗原に対する単クローン抗体)
を加えた。その後、スライドを燐酸緩衝液で洗浄し、蛍
光で標識された抗マウスIgG(米国シグマ社製、50倍希
釈)と30分間反応させた。
スライドを燐酸緩衝液で洗浄後、蛍光顕微鏡でp24陽
性細胞の比率を調べた。この方法は、ガン[Jpn.J.Canc
er Res.,78,235−241(1987)]を参照して行なった。
第2図から分かるように、培養時間の進行とともに、
p24陽性細胞の比率は低下した。このことは、HIV抗原産
生能の高い細胞ほど、早く死滅することを示している。
試験されたRAC−0.5β抗体の各濃度において、感染細胞
は、10日の試験期間内にすべて死滅した。
試験例3 LAV−1感染細胞CEM/LAV−1と非感染細胞CEMとを、9
6穴の培養板を用いて、試験例1と同様の条件で培養
し、生きた細胞の数をトリパンブルー法で調べた。
第3図に示すように、培養中、培地へのPE−0.5βの
添加濃度は、それぞれ、1.0μg/ml(●)、0.1μg/ml
(△)および0μg/ml(○)であった。48時間の培養終
了後、培養物を各穴から24穴の培養板に移し、同じ条件
で72時間培養後、細胞の数を調べた。第3図に示すよう
に、本発明によるPE−0.5βは、感染細胞の増殖を強く
抑制し、またこれを殺したが、非感染細胞を抑制しなか
った。
試験例4 常法により、HIVに感染したヒトおよび感染しないヒ
トから採取した末梢静脈血(20ml)にヘパリン[小玉
(株)製、ノボヘパリン・ナトリウム、1000単位/mlの
0.2ml]を加え、密度勾配遠心分離法で、末梢血単核球
(Peripheralblood mononuclear cells)(PBMC)を回
収した。これをRPMI−1640培地で2回洗浄し、次に、20
0μg/mlのヒトIgG[ヒトAB型血清より、プロラインAセ
ファロース(スエーデン、ファルマシア・ファイン・ケ
ミカルス社製)を用いて精製したもの]と10%牛胎児血
清とを含むRPMI−1640培地に濃度5X106個/mlで浮遊させ
た。これを温度4℃で60分間保温することによって、細
胞表面にある免疫グロブリンのFc受容体をブロックし
た。浮遊液(200μl)を遠心処理(1000r.p.m./3分
間)して細胞を集めた。
これを2分して、第1試料には0.5β抗体100μg/ml;2
0μl)を加えた。第2試料にはMOPC21[0.5β抗体の対
照品。マウスIgG G抗体,米国リットン・バイオネチッ
ク・ベデスダ社(Litton Bionetics Bethesda)200μg/
ml;20μlを加えたもの]を加えた。
各試料をよく撹拌した後、60分間保温した。各試料を
2%の牛血清アルブミン(米国シグマ社製)と0.1%の
アジ化ナトリウムとを含む燐酸緩衝液(PH7.2;以下PBS
−BSA−Azという)2mlで2回洗浄した。次にフルオレッ
セイン・イソシアネート(FITC)で標識した抗マウスIg
Gの断片[F(ab)′](米国シグマ社製)PBS−BSA
−Azで40倍希釈。100μl]を加えて、4℃で60分間保
温した。PBS−BSA−Azでよく洗浄した試料を蛍光抗体法
により、レイザー・フローサイトメトリー・スペクトラ
ムIII(米国Ortho社)で調べた。結果を示す第1表から
分かるように、HIV感染者7人中2人において、おもに
多量の単球/マクロファージの存在する分画に、0.5β
抗体と反応する細胞の存在が認められた。
レイザー・フローサイトメトリーによる解析結果を示
す第4図において、単球/マクロファージを多く含む区
分(B)に明らかに0.5β抗体とのみ反応する細胞の存
在が認められた。一方リンパ球を主とする区分(A)に
はこの種の細胞は認められなかった。
区分(B)及ぶ区分(A)をそれぞれ、0.5β抗体
(実線)またはMOCP21抗体(点線)で染色すると、区分
Bに0.5β抗体に反応する抗体があったことが認められ
た。
第1表の宿主1号では、0.5β抗体に反応する細胞の
存在が認められたが、p24抗原が血清から検出された。
残りの5人と非感染者2人において、リンパ球を含む分
画にも、単球/マクロファージの存在する分画にも、0.
5β抗体と有意義に反応する細胞の存在は認められなか
った。
試験例5 0.5β抗体との反応性をもつ末梢血単核球(PBMC)がR
AC−0.5β抗体によって殺されるかどうかを調べるため
に、第1表の第1例のヒトから採取した末梢血単核球
[1×106個]を24穴培養板と5%炭酸ガスを含む培養
器とを用いて、0.1mlのRPMI−1640培地(15%牛胎児血
清を含む)で37℃で培養した。
培養開始前に各培地に次の材料の一つを添加した。
正常人IgG(200μg/ml)およびMOCP21抗体(10μg/
ml)(試験例4参照) と同じ 正常人IgG(200μg/ml)および0.5β抗体(10μg/m
l) 正常人IgG(200μg/ml)およびRAC−0.5β抗体(1
μg/ml) 40時間培養後、各培養細胞を遠心処理してペレット化
した。各ペレットを次の対応する試料と反応させた。
試料 MOCP21抗体(20μl) 0.5β抗体(20μl) 0.5β抗体(20μl) 0.5β抗体(20μl) ただしMOCP21抗体と0.5β抗体とはBSA−PBS−Azで希
釈(200μg/ml)したものを用いた。
試料と60分反応させた各産物をBSA−PBS−Azで2回洗
浄し、試験例4記載のように処理し、染色された試料を
レイザー・フロー・サイトメトリー[米国ファクスター
・ベクトン・デイクソン社製]で解析した。この結果を
第5図に示す。
第5図の単核球/マクロファージを主とする区分Bに
おいて、試料にMOCP21抗体を加えた場合(線)に比
べて、同様の条件で培養し0.5β抗体を反応させた場合
(線)のほうが、有意義に蛍光が強く、0.5β陽性細
胞の存在を示していた。また、0.5β陽性細胞をRAC−0.
5β抗体の存在下に培養すると(線)、陽性細胞集団
のかなりの部分が死滅したことが認められた。
リンパ球を主とする区分Aにおいては、RAC−0.5β抗
体の作用による影響は見られなかった。
第5図区分A、Bともに、試料を0.5β抗体で処理
したもの(線)は、試料を0.5β抗体で処理したも
の(線)と重なりあって判別できなかった。
試験例5によって、ヒトの血から採取した試料でも、
本発明の抗体が有効であることが認められた。
上記の各種試験の結果から、本発明による毒素で修飾
された抗体がウイルス産生細胞の増殖を有意義に抑制す
ることが明らかとなった。
参考例 1) 抗原の製造 H9/HTLV−IIIBすなわちHTLV−IIIBの感染したH9細胞
[サイエンス(Scince),224,497−500,(1984)]を1
0%牛胎児血清(FCS)MI−1640培地を用いて温度37℃で
5%炭酸ガスを含む培養器中で24時間培養した後、上記
文献記載の方法に準じて、培養上清からウイルスを精製
し、温度56℃で1時間加熱して不活化して、初回免疫の
抗原として用いた。強化免疫の抗原は、次の方法で得ら
れた。
上記の方法で培養された細胞を3回PBSで洗浄し、遠
心処理(2000r.p.m./5分)によってペレット化した。2
×108個の細胞をpH7.2の燐酸緩衝液で3回洗浄して、pH
7.2のRIPA緩衝液[1%トリトンX−100、0.5%デオキ
シコール酸ナトリウム塩、0.1%SDS、0.15M NaCl及び0.
05Mトリス−HClを含む]からデオキシコール酸ナトリウ
ム塩を除いた液5mlに細胞を入れて、4℃に60分間保
ち、溶菌液をえた。これを遠心処理(3000r.p.m./10
分)して、その上清を56℃で1時間加熱することによっ
て、溶菌液を不活化した。この液をFCSセファロース[2
0mg/mlのFCS(牛胎児血清)をセファロース4B(1ml)に
結合させたもの]に加え、温度4℃で約12時間反応させ
た。反応液を遠心(3000r.p.m./10分)することによっ
て得た上清を試験に用いた。試料(1ml)をConA−Sepha
rose(シグマ社製)0.5mlに加え、温度4℃に約18時間
保ち、反応させた。このConA−Sepharoseをカラムに充
填し、PBSで洗浄した後、3mlのα−メチル−D−グルコ
シドで溶出した。溶出液を各0.5mlに分けた。
HIVの健康な保菌者である血友病患者から得た血清か
ら、外被膜に対して最高の対向力価を持つものを、ウエ
スタン・ブロッチング法で選び、精製してIgG画分を得
た。精製IgGと結合されたセファロース4B(5mg/ml)に
各溶菌液を加え、(以下抗HIVセファロースという)温
度4℃で約4時間以上反応させた。これをカラムに充填
し、PBSで洗浄し、0.2Mのグリシン緩衝液(pH2.7)で溶
出した。溶出液は、0.1mg/mlの抗原を含んでいた。これ
を免疫のブースターとして用いた。
2) ハイゴリドーマの作業 精製ウイルスを加熱(56℃、1時間)して不活化し
た。0.1mlのウイルスを0.1mlのフロイントの完全アジュ
バントと混合して、Balb/cマウス(黒田動物より購入し
た)の初回免疫に用いた。次に、0.1mlのフロイントの
完全アジュバントと混合した0.1mlの精製ウイルス糖蛋
白質抗原液をブースターとして2週間おきに3回腹腔内
に投与した。最終免疫の3日後に、常法によりマウスか
ら脾細胞を採取した。脾細胞をP3−X63−Ag8(X63)細
胞[ネイチャー(Nature),256,495−497,(1975)]
と細胞数1対5の割合で混合して、遠心(1200r.p.m./5
分)し、上清を除き、沈殿した細胞塊をよくほぐした
後、撹拌しながら、103個の細胞について0.2−1mlの混
合液[ポリエチレングリコール−4000(2g),MEM(2m
l),ジメチルスルホキシド(0.7ml)]を細胞に加え
た。その後、液の全量が50mlになるようにMEMを加え
た。遠心分離(900r.p.m./5分)後、上清を除き、ゆる
やかに細胞をほぐした。これに正常培地[RPMI−1640培
地に牛胎児血清10%を加えたもの]100mlを加え、メス
ピペットを用いてゆるやかに細胞を懸濁した。懸濁液を
24穴の培養板に分注し(1ml/穴)5%炭酸ガスを含む培
養器中で、温度37℃で24時間培養した。つぎに1ml/穴の
HAT培地[正常培地にヒポキサンチン(10-4M),チミジ
ン(1.5X10-5M)およびアミノプテリン(4X10-7M)を加
え、さらに24時間培養した。その後2日間、24時間ごと
に、1mlの培養上清を同量のHAT培地[HAT培地からアミ
ノプテリンを除く]を交換し、前記と同様にして10−14
日培養した。コロニー状に生育した融合細胞(約300)
の認められたそれぞれの穴について、1mlの培養上清を
同量のHT培地と交換し、その後2日間、24時間ごとに、
同様の交換を行なった。HT培地で3−4日培養した後、
培養上清の一部を取り、前記の蛍光抗体法で、H9/HTLV
−IIIBの表面に対する結合性を調べ、最高の結合能をも
つクローンを選び、54′Cと命名した。これをサブクロ
ーニングして、最高の増殖能と抗体産生能とをもつサブ
クローン54′CB1を選んだ。
3)54′CB1による単クローン抗体の製造 プリスタン処理した8週令のBalb/c雌マウスに(2)
で得られたハイブリドーマ54′CB1株の4X106個/匹を腹
腔投与した。10−21日後に、腹水癌が誘発された。マウ
スから腹水(5−10ml/匹)を取り、3000r.p.m./5分の
遠心処理により固形分を除いた後、40%硫酸アンモニウ
ムで塩析した。0.03MのNaClを含む0.04Mリン酸緩衝液
(pH8.0)で透析後、陰イオン交換樹脂DE52(米国ワッ
トマン社製)(ベットボリューム50ml)のカラムに流速
20−30ml/時で通塔してIgG画分を集めた。これを精製単
クローン抗体として用いた。本抗体を以下0.5β抗体と
いう。
産業上の利用可能性 本発明による抗体は、ウイルス産生細胞の増殖を抑制
し、これを殺すことができるので、慢性ウイルス感染症
の診断、予防、治療等に有用である。
規則第13規則の2の寄託された微生物への言及 寄託機関:ヨーロピアン・コレクション・オブ・アニ
マル・セル・カルチャー(European Collection of Ani
mal Cell Culture) あて名:英国ウイルトシャー,ソールズベリ,ポート
ン・ダウン,パブリック・ヘルス・ラボラトリイ・サー
ビス・センター・フォー・アプライド・マイクロバイオ
ロジイ・アンド・リサーチ(PHLS CAMR.Porton Down,Sa
lisbury,Wilts) 受託番号及び寄託した日付: 第87051401号 1987年5月14日
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12P 21/08 C12R 1:91) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 39/395 A61K 45/00 A61K 43/00 C07K 16/10 C12P 21/08 CA(STN) BIOTECABS(STN)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒト免疫不全ウイルスに感染されたヒト細
    胞に対する細胞毒性を化学的及び/又は物理的に誘発す
    る能力をもつ物質を、薬学的に不活性な物質を担体とし
    て用いることによって、上記ウイルスの一つ以上の抗原
    と特異的に反応する能力をもつハイブリドーマ細胞54′
    CB1(54/C B1 ECACC No.87051401)から産生された単ク
    ローン抗体又はその断片と共有結合する方法によって製
    造され、これによって上記ウイルスに感染した細胞の増
    殖を実質的に抑制する能力を有する、抗体またはその断
    片。
  2. 【請求項2】ウイルスがヒトT細胞向性ウイルスIII型
    又はリンパ腫症関連ウイルスである請求項1記載の抗体
    又はその断片。
  3. 【請求項3】細胞毒性誘発能をもつ物質が、微生物又は
    植物由来の物質である請求項1又は2記載の抗体又はそ
    の断片。
  4. 【請求項4】細胞毒性誘発能をもつ物質が、ジフテリア
    トキシン、緑膿菌のエキソトキシン、リシン、アブリ
    ン、ポークウイード抗ウイルス蛋白、サポニン又はゲロ
    ニンである請求項3記載の抗体又はその断片。
  5. 【請求項5】細胞毒性誘発能をもつ物質が、α線またβ
    線を放射する粒子である請求項1又は2に記載の抗体又
    はその断片。
  6. 【請求項6】細胞毒性誘発能をもつ物質が、212ビスマ
    スである請求項5記載の抗体又はその断片。
  7. 【請求項7】抗体1分子と細胞毒性誘発能をもつ物質1
    又は2分子とが共有結合されている請求項1から6まで
    のいずれかに記載の抗体又はその断片。
  8. 【請求項8】さらにウイルスを中和する能力をもつ請求
    項1から7までのいずれかに記載の抗体又はその断片。
  9. 【請求項9】単クローン抗体が、(a)ヒト免疫不全ウ
    イルスの外被膜にある分子量約12万ダルトンの糖蛋白抗
    原と特異的に結合し、(b)IgG1に分類され、(c)ヒ
    ト免疫不全ウイルスに感染された細胞の表面に結合する
    ことによって、感染された細胞と感染されないT細胞と
    により誘発される合胞体の形成を阻止する能力を有し、
    (d)ヒト免疫不全ウイルスの分子量16万ダルトンの糖
    蛋白質抗原の前駆体と結合する能力を有し、(e)ヒト
    免疫不全ウイルスの抗原gp120のアミノ酸配列の第308−
    331番目以内にある一つのエピトープを認識する能力を
    有し、これによって上記ウイルスを実質的に中和する能
    力を有する請求項1から8までのいずれかに記載の抗体
    又はその断片。
  10. 【請求項10】ヒト免疫不全ウイルスに感染された細胞
    に対する細胞毒性を化学的及び/又は物理的に誘発する
    能力をもつ物質を、薬学的に不活性な物質を担体として
    用いることによって、上記ウイルスの一つ以上の抗原と
    特異的に反応する能力をもつハイブリドーマ細胞54′CB
    1(54/C B1 BCACC No.87051401)から産生された単クロ
    ーン抗体又はその断片と共有結合する方法によって製造
    され、その際上記単クローン抗体が(a)ヒト免疫不全
    ウイルスの外被膜にある分子量約12万ダルトンの糖蛋白
    抗原と特異的に結合して上記ウイルスを実質的に中和す
    る能力を有し、(b)IgG1に分類され、(c)ヒト免疫
    不全ウイルスに感染された細胞の表面に結合することに
    よって、感染された細胞と感染されないT細胞とにより
    誘発される合胞体の形成を阻止する能力を有し、(d)
    ヒト免疫不全ウイルスの分子量16万ダルトンの糖蛋白質
    抗原の前駆体と結合する能力を有し、(e)ヒト免疫不
    全ウイルスの抗原gp120のアミノ酸配列の第308−331番
    目以内にある一つのエピトープを認識する能力を有する
    単クローン抗体であり、これによって、上記ウイルスに
    感染した細胞の増殖を実質的に抑制する能力とヒト免疫
    不全ウイルスを中和する能力とを有する、ヒト免疫不全
    ウイルス感染症治療用抗体又はその断片。
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