JP2863990B2 - 赤外線ワイヤレスマイク - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電波式のワイヤレスマ
イクと同様に全方向性を有する赤外線ワイヤレスマイク
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】電波式のワイヤレスマイクにあっては、
ワイヤレスマイクから全方向性で電波が放射されるため
に、歌い手の動作に伴なってワイヤレスマイクの姿勢や
向きが変化しても、受信機側で音切れや雑音なしに受信
が可能である。しかしながら、カラオケボックス等にお
いてこの電波式のワイヤレスマイクを用いるならば、下
記のごとき不具合を生ずる。すなわち、カラオケボック
ス等にあっては、距離的に近接して多数のワイヤレスマ
イクが用いられ、そして電波法上でチャンネル数が制約
されているので、同一チャンネルで複数のワイヤレスマ
イクが近接して用いられる蓋然性が高く、各室を仕切る
壁等を電波は容易に通過し得るため、各室のカラオケシ
ステムで混信を生ずることとなる。

【０００３】かかる不具合を解決する技術として、赤外
線ワイヤレスマイクがある。従来の赤外線ワイヤレスマ
イクにあっては、１個または２個の赤外線発光ＬＥＤ
が、赤外線ワイヤレスマイクのハウジング部の下端部
に、ある一つの方向に向けて配設される。そして、マイ
クロフォンに入力された音響信号が適宜に変換された電
気信号により変調された搬送波信号により、１個または
２個の赤外線発光ＬＥＤが駆動される。各室の壁等に配
設された受光器により、赤外線発光ＬＥＤで放射された
光を受光し、再び電気信号に変換して適宜な音響装置に
入力される。

【０００４】このような赤外線ワイヤレスマイクを用い
るならば、各室の壁によって赤外線発光ＬＥＤからの光
が完全に遮断され、各室のカラオケシステムで混信を生
ずることがない。また、電波法により何んら制約される
こともない。

【０００５】ここで、前述の赤外線ワイヤレスマイクか
らはある一つの向きに配置された１個または２個の赤外
線発光ＬＥＤの指向性の範囲にしか赤外線による信号が
放射されないので、この指向性の範囲内に受光器が存在
するように、赤外線ワイヤレスマイクの向きや姿勢が制
約される。そこで、歌い手の動作によって赤外線ワイヤ
レスマイクの向きや姿勢が変化して受光器に対して指向
性の範囲が外れると、音切れを生じまた雑音を発生する
ということとなる。

【０００６】かかる不具合を解消するものとして、特開
昭６３−１０５５４０号公報には、マイクのウインドス
クリーン上に複数の赤外線発光ＬＥＤを配設して、信号
を放射する範囲を広くしたものが提案されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上述のウインドスクリ
ーン上に複数の赤外線発光ＬＥＤを配設したものにあっ
ては、歌い手がウインドスクリーンの部分を手で覆い易
いという不具合がある。

【０００８】本発明は、上述のごとき従来技術の不具合
を改善すべくなされたもので、ハウジング部の下端部に
赤外線発光ＬＥＤを複数設けて全方向に信号を放射でき
るようになし、しかもそれぞれの赤外線発光ＬＥＤを簡
単に正確な指向方向に配設できるようにした赤外線ワイ
ヤレスマイクを提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明の赤外線ワイヤレスマイクは、略円柱状の
ハウジング部の上端にウインドスクリーンで覆われたマ
イクロフォンが配置され、前記ハウジング部の下端部に
複数個の赤外線発光ＬＥＤを前記ハウジング部の軸回り
方向に均等分割位置で斜め下方に向けて配置し、前記マ
イクロフォンに入力された音響信号が変換された電気信
号で変調された搬送波信号により前記赤外線発光ＬＥＤ
を駆動する赤外線ワイヤレスマイクであって、前記ハウ
ジング部の下端に前記赤外線発光ＬＥＤの個数の斜面を
有する角錐台または角錐の台座をその底面を前記ハウジ
ング側として設け、それぞれの前記斜面に前記赤外線発
光ＬＥＤの端子用の透孔を軸方向に貫通穿設するととも
に前記斜面の裾の部分に前記赤外線発光ＬＥＤの位置を
規制する位置決め突部を設け、前記台座の前記底面に基
板を配設し、前記端子を前記透孔に挿入するとともに屈
曲させて前記赤外線発光ＬＥＤの底面を前記斜面に添わ
せるとともに前記赤外線発光ＬＥＤの側壁部を前記位置
決め突部に当接させて前記赤外線発光ＬＥＤを前記台座
に配設し、また前記端子を前記基板の配線パターンに電
気的接続して構成されている。

【００１０】

【作 用】請求項１記載の赤外線ワイヤレスマイクにあ
っては、ハウジング部の下端部に、複数個の赤外線発光
ＬＥＤが、軸回りに均等分割位置で斜め下方に向けて配
置されるので、ワイヤレスマイクの上方で頂点を下に向
けた円錐形状以外の広い範囲に赤外線による信号が放射
される。そして、角錐台または角錐の台座によって赤外
線発光ＬＥＤの取付け姿勢が簡単に決められるので、赤
外線発光ＬＥＤの向きが所定方向に容易かつ確実に設定
し得る。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の実施例を図１ないし図５を参
照して説明する。図１（ａ）は、本発明の赤外線ワイヤ
レスマイクの一実施例の要部の外部ケースを切り欠いた
側面図であり、図１（ｂ）は、（ａ）の外部ケースを除
いたＡ矢視図である。図２（ａ）は、広角度赤外線発光
ＬＥＤを配置する台座の側面図であり、（ｂ）は（ａ）
のＢ矢視図である。図３は、台座に広角度赤外線発光Ｌ
ＥＤが組み付けられた構造を示す断面図である。図４
は、本発明の赤外線ワイヤレスマイクから信号が放射さ
れる範囲の一例を示す図である。図５は、本発明の赤外
線ワイヤレスマイクに組み込まれる電気回路のブロック
回路図である。

【００１２】図に示す本発明の赤外線ワイヤレスマイク
の一実施例にあっては、赤外線ワイヤレスマイクのハウ
ジング部１０の下端部に６個の広角度赤外線発光ＬＥＤ
１２，１２…が配設されたものである。ハウジング部１
０は、握り易いように適宜な直径で略円柱状に形成さ
れ、その上端部にウインドスクリーン１４で覆われたマ
イクロフォン１６が配設される。そして、ハウジング部
１０には、電源としてのニッカド電池１８を収納すると
ともに広角度赤外線発光ＬＥＤ１２，１２…とマイクロ
フォン１６およびマイクとして機能させるための電気回
路等を支持ならびに固定するためのハウジングフレーム
２０が設けられ、これら全体がハウジングケース２２で
覆われる。ハウジングケース２２は、プラスチック等で
成形されており、広角度赤外線発光ＬＥＤ１２，１２…
に臨む部分は、赤外線を減衰させることなく透過させ可
視光線を減衰させるスモーク状の半透明とされる。

【００１３】ハウジングフレーム２０の下端部に、広角
度赤外線発光ＬＥＤ１２，１２…の取付け姿勢を決める
台座２４がビス等により固定され、しかもこの台座２４
とハウジングフレーム２０の下端部の間に小さな空間２
６が構成される。台座２４は、底面側がハウジングフレ
ーム２０に嵌合するように形成され、他方側に略六角錐
台２４ａが形成される。そして、六角錐台２４ａの中
心、すなわちハウジング部１０の軸心上に電極用透孔２
４ｂが貫通して穿設される。また、六角錐台２４ａのそ
れぞれの斜面２４ｃ，２４ｃ…には、広角度赤外線発光
ＬＥＤ１２，１２…の端子１２ａ，１２ａ…が挿入でき
る一対の端子用透孔２４ｄ，２４ｄ…が軸方向に貫通し
て穿設される。さらに、それぞれの斜面２４ｃ，２４ｃ
…の裾の部分に、広角度赤外線発光ＬＥＤ１２，１２…
の側壁部を受け止めて位置決めするための凹部を有する
位置決め突部２４ｅ，２４ｅ…が設けられる。

【００１４】この台座２４の、ハウジングフレーム２０
に嵌合する側の底面に添うようにして、フレキシブル基
板３４の一端部が配設される。この一端部には、電極用
透孔２４ｂおよび端子用透孔２４ｄ，２４ｄ…に臨んで
孔が穿設されるとともに、適宜な配線パターンが形成さ
れる。そして、広角度赤外線発光ＬＥＤ１２，１２…の
端子１２ａ，１２ａ…を、端子用透孔２４ｄ，２４ｄ…
に挿入してさらに屈曲し、広角度赤外線発光ＬＥＤ１
２，１２…の底面が斜面２４ｃ，２４ｃ…に添うととも
に側壁部が位置決め突部２４ｅ，２４ｅ…の凹部に当接
する状態とする。この状態で端子１２ａ，１２ａ…はフ
レキシブル基板３４に穿設された孔を貫通している。

【００１５】さらに、六角錐台２４ａの頂部に絶縁部材
２８が設けられる。この絶縁部材２８に環状電極部材３
０が配設され、環状電極部材３０から突出される帯状導
体３０ａ，３０ａの遊端が、台座２４およびフレキシブ
ル基板３４を貫通するよう挿入される。また、電極用透
孔２４ｂに電極部材３２が挿入される。この電極部材３
２は、絶縁部材２８の円柱状部により環状電極部材３０
と電気的絶縁される。また、電極部材３２は、一端に膨
大部を有し他端部にネジが刻設され、これがフレキシブ
ル基板３４に貫通され、適宜なワッシャおよびナットが
螺合されて台座２４にフレキシブル基板３４の一端部を
固定するとともに、電極部材３２自体も固定される。そ
して、広角度赤外線発光ＬＥＤ１２，１２…の端子１２
ａ，１２ａ…および環状電極部材３０の帯状導体３０
ａ，３０ａ…がフレキシブル基板３４の配線パターンに
半田付け等により固定されるとともに電気的に接続され
る。

【００１６】フレキシブル基板３４は、一端部が台座２
４に固定され、空間２６内を略Ｕ字状に屈曲して収納さ
れ、Ｕ字状の両辺部分に回路素子が適宜に配設されてＬ
ＥＤドライバ３６等が回路形成されている。なお、電極
部材３２および環状電極部材３０の帯状導体３０ａ，３
０ａが電気的接続された配線パターンは、ニッカド電池
１８の電極に充電用回路として電気的に接続される。

【００１７】ところで、本発明における広角度赤外線発
光ＬＥＤ１２は、一例として、光の放射角度がＬＥＤが
向く軸に対してプラス側とマイナス側に半値角で４５度
であり最大値で約７０度である。そこで、６箇の広角度
赤外線発光ＬＥＤ１２，１２…は、ハウジング部１０の
軸回りに６０度の均等分割位置で、軸と直交する面に対
して約２０度斜め下方に向けて配置される。すると、軸
回りに対して、６箇の広角度赤外線発光ＬＥＤ１２，１
２…は、半値角で放射角度が互いにほぼ隣接し、最大値
の放射角度では互いにその一部が重なる。また、最大値
の放射角度で、軸方向に下側は互いに隣接する。したが
って、軸方向の上側で、下に頂点を向けた円錐状以外の
範囲に、広角度赤外線発光ＬＥＤ１２，１２…からの赤
外線による信号が放射されることとなる。そこで、図４
に示すごとく、赤外線による信号が放射される壁面３８
等に１つまたは２つの受光器４０を設置すれば、本発明
の赤外線ワイヤレスマイクが通常の使用においてその向
きや姿勢が変化しても、受光器４０側で常に信号を受信
することができる。なお、複数の受光器４０を設置する
ならば、それらの信号の和が受信側の音響装置に与えら
れる。また、複数の受光器のうち、受光強度の強いいず
れか１つの信号を選択するようにしても良い。

【００１８】本発明の赤外線ワイヤレスマイクにおい
て、６箇の広角度赤外線発光ＬＥＤ１２，１２…は、Ｌ
ＥＤドライバ３６により同時に駆動されるが、この駆動
制御は従来のこの種の装置と同様である。簡単に説明す
るならば、マイクロフォン１６に入力された音響信号が
電気信号として出力され、これが低周波増幅器４２で適
宜に増幅され、さらに変調度調整器４４により過変調が
生じない範囲に調整され、この信号により搬送波発生器
４６から出力される搬送波信号が変調器４８にてＦＭ変
調される。搬送波信号は、例えば２０６０ＫＨｚと２５
６０ＫＨｚの２波が適宜に選択できるように設定され
る。そして、変調された搬送波信号が高周波増幅器５０
にて増幅されてＬＥＤドライバ３６に与えられる。この
ＬＥＤドライバ３６は、変調された搬送波信号に応じて
広角度赤外線発光ＬＥＤ１２，１２…の発光強度を制御
して駆動させる。

【００１９】なお、上記実施例にあっては、６箇の広角
度赤外線発光ＬＥＤ１２，１２…を用いているが、赤外
線発光ＬＥＤの放射角度に応じて適宜な箇数で構成すれ
ば良い。また、台座２４の略六角錐台２４ａに代えて、
略六角錐であっても良い。そして、赤外線発光ＬＥＤ
は、広角度のものに限られるものでない。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の赤外線ワ
イヤレスマイクは構成されているので、以下のごとき格
別な効果を奏する。

【００２１】請求項１記載の赤外線ワイヤレスマイクに
あっては、複数個の赤外線発光ＬＥＤが、ハウジング部
の下端部に軸回りに均等分割位置で斜め下方に向けて配
置されたので、赤外線ワイヤレスマイクの上方部以外の
広い範囲に赤外線による信号が放射され、ワイヤレスマ
イクの向きや姿勢が変化しても、壁等に設けられた受光
器で確実に信号を受光できる。そこで、ワイヤレスマイ
クの使用向き等に大幅な規制がないとともに、赤外線ワ
イヤレスマイクの向きと姿勢の変化により音切れや雑音
等を生じることがない。この結果、特に、業務用のカラ
オケ装置用の赤外線ワイヤレスマイクとして好適であ
る。そして、台座を用いて複数個の赤外線発光ＬＥＤの
取付け姿勢が決められるので、それぞれの赤外線発光Ｌ
ＥＤの向きが所定方向に正確かつ容易に設定され、組み
立て作業等が容易である。しかも、台座の透孔に赤外線
発光ＬＥＤの端子を挿入することで、台座の底面に設け
た基板に電気的に接続することができ、電気的配線も容
易である。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）は、本発明の赤外線ワイヤレスマイクの
一実施例の要部の外部ケースを切り欠いた側面図であ
り、（ｂ）は、（ａ）の外部ケースを除いたＡ矢視図で
ある。

【図２】（ａ）は、広角度赤外線発光ＬＥＤを配置する
台座の側面図であり、（ｂ）は（ａ）のＢ矢視図であ
る。

【図３】台座に広角度赤外線発光ＬＥＤが組み付けられ
た構造を示す断面図である。

【図４】本発明の赤外線ワイヤレスマイクから信号が放
射される範囲の一例を示す図である。

【図５】本発明の赤外線ワイヤレスマイクに組み込まれ
る電気回路のブロック回路図である。

【符号の説明】

１０ ハウジング部 １２ 広角度赤外線発光ＬＥＤ １２ａ 端子 １４ ウインドスクリーン １６ マイクロフォン ２４ 台座 ２４ａ 略六角錐台 ２４ｃ 斜面 ２４ｄ 端子用透孔 ２４ｅ 位置決め突部 ３４ フレキシブル基板

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平 照雄 東京都調布市布田４丁目２番地１ 株式 会社ユニトロン内 (72)発明者 高杉 智充 東京都調布市布田４丁目２番地１ 株式 会社ユニトロン内 (56)参考文献 特開 昭63−105540（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−49088（ＪＰ，Ａ) 特開 平８−18509（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) H04B 10/10 H04B 10/22 H04R 1/04

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 略円柱状のハウジング部の上端にウイン
   ドスクリーンで覆われたマイクロフォンが配置され、前
   記ハウジング部の下端部に複数個の赤外線発光ＬＥＤを
   前記ハウジング部の軸回り方向に均等分割位置で斜め下
   方に向けて配置し、前記マイクロフォンに入力された音
   響信号が変換された電気信号で変調された搬送波信号に
   より前記赤外線発光ＬＥＤを駆動する赤外線ワイヤレス
   マイクであって、前記ハウジング部の下端に前記赤外線
   発光ＬＥＤの個数の斜面を有する角錐台または角錐の台
   座をその底面を前記ハウジング側として設け、それぞれ
   の前記斜面に前記赤外線発光ＬＥＤの端子用の透孔を軸
   方向に貫通穿設するとともに前記斜面の裾の部分に前記
   赤外線発光ＬＥＤの位置を規制する位置決め突部を設
   け、前記台座の前記底面に基板を配設し、前記端子を前
   記透孔に挿入するとともに屈曲させて前記赤外線発光Ｌ
   ＥＤの底面を前記斜面に添わせるとともに前記赤外線発
   光ＬＥＤの側壁部を前記位置決め突部に当接させて前記
   赤外線発光ＬＥＤを前記台座に配設し、また前記端子を
   前記基板の配線パターンに電気的接続して構成したこと
   を特徴とする赤外線ワイヤレスマイク。