JP2861240B2 - 単結晶成長用るつぼ - Google Patents

単結晶成長用るつぼ

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稔 兼子
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は金属及び半導体材料の単結晶作製において単
結晶を育成するために用いる単結晶成長用るつぼに関す
るものである。
[従来の技術] 半導体材料の単結晶作製において比較的単結晶を育成
し易い縦型ブリッジマン法があり、この縦型ブリッジマ
ン法を用いた単結晶育成用るつぼは、従来、各種の形状
のものが提案されている。その一例を示すと、第2図に
示す如く、半導体材料としてPb1-XSnXTeを単結晶育成さ
せるようにしたものがある。図中、aは石英製アンプ
ル、bは石英製アンプルa内に入れられたPb1-XSnXTeの
融液、cとdは発熱体、eは電気炉本体、fは石英製ア
ンプルホルダー、gは空間部、hは大径部、iはキャピ
ラリー部、jはテーパー部である。
上記従来のるつぼで通常の単結晶育成を行わせるとき
は、石英製アンプルa内に、材料Pb1-XSnXTeを真空封入
し、発熱体cとdにより高温に加熱して材料を溶融さ
せ、次いで、電気炉本体eを引上げるか又は石英製アン
プルaを下げることによってキャピラリー部iの先端
(下端)に核を発生させ、徐々にキャピラリー部iの上
部に行くに従って多結晶を絞り込み、テーパー部jまで
に単結晶化させ、順次大径部hまで単結晶化させて行く
ようにしてある。
[発明が解決しようとする課題] ところが、上記従来のるつぼでは、キャピラリー部i
の長さが短いため、キャピラリー部iで非常に多く発生
した核を絞り込んで単結晶化させることが非常に難し
く、したがって、大径部hでの単結晶化の確立が非常に
低く、単結晶化率は10%程度であった。
上記単結晶化率を高めるために、上記キャピラリー部
をピッグテール(豚の尻尾)型にした単結晶用るつぼが
従来製作されている。このピッグテール型の単結晶用る
つぼは、ろうで型を作り、その外側に砂をつけて乾燥
し、次いで表面を濡らして砂をつけてから再び乾燥し、
以後、この操作を繰り返して行き、最後に、ろうを溶か
して、るつぼを製作するようにしているが、このるつぼ
の場合は、ろうを使ったり、砂を使ったりするので、不
純物が混入し易く、又、製作には多くの労力とコストが
必要である。
そこで、本発明は、単結晶化率が非常に低い材料でも
大幅に単結晶化率を向上させることができると共に、不
純物の混入のおそれがなく、容易に製作することができ
る単結晶用るつぼを提供しようとするものである。
[課題を解決するための手段] 本発明は、上記課題を解決するために、長手方向にわ
たり外径を同一径とした内るつぼの内側上部に材料の融
液を入れるための大径部を形成し、且つ該大径部と内る
つぼ底部との間の内るつぼ下部に、上記大径部の下部を
内るつぼ外周面に開口させる細孔と、内るつぼ底部から
内るつぼ外周面を螺旋状に立上って上端が上記細孔に連
通するようにしたスクリュー型の溝とを設け、該内るつ
ぼを、内るつぼの外径とほぼ同じか若しくは僅かに大き
い内径を有する有底の外るつぼ内に挿入して全長にわた
り二重構造となるように組み立てて、上記内るつぼ下部
外周面のスクリュー型の溝と外るつぼ内周面とにより材
料の融液を充満させる一連の流路を形成させ、上記内る
つぼの大径部に材料の融液を入れた状態で全体をアンプ
ルに入れて真空封じをするようにした構成とする。
[作用] 内るつぼ内に入れた材料を縦型ブリッジマン法により
溶融して内るつぼ底部までのスクリュー型流路に充満さ
せると、内るつぼ底部から結晶成長を開始し、成長初期
に発生した多結晶が上部に行くに従い徐々に絞り込まれ
て大径部につながる細孔の部分に来たときには完全な単
結晶に成長し、大径部まで単結晶化する。材料の融液を
充満させるための一連の流路は、内るつぼを外るつぼ内
に挿入することによって容易に形成することができ、
又、上記内るつぼは、長手方向にわたり外径を同一径と
して、上部の内側に大径部を形成し且つ下部に細孔とス
クリュー型の溝とを設けて加工が容易な構造としてある
ことから、機械加工で容易に形成することができ、一
方、上記外るつぼは、長手方向にわたり外径を同一径と
した内るつぼを挿入するために、内るつぼとほぼ同一か
若しくは僅かに大きい内径を有する筒型として加工が容
易な構造としてあることから、機械加工で容易に形成す
ることができ、容易にるつぼを製作することができる。
[実 施 例] 以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
第1図は本発明のるつぼの一実施例を示すもので、内
側の上部に材料の融液8を入れるように大径部2を有す
る内るつぼ1の上記大径部2から内るつぼ底部3までの
間に、大径部2の下部のテーパー部4を外周面に開口さ
せる斜めの細孔5と、内るつぼ底部3から螺旋状に立上
って上端が上記細孔5に連通するよう外周面に加工形成
したスクリュー型流路としての一連の溝6を設ける。か
かる構成とした内るつぼ1を、該内るつぼ1の外径とほ
ぼ同じか若しくは僅かに大きい内径とした外るつぼ7内
に挿入して組み立て、内るつぼ底部3を外るつぼ7の内
底面上に当接させて、上記一連の溝6が外るつぼ7の内
周面により融液8の充満させられる流路となるように
し、上記内るつぼ1の大径部2に材料(たとえば、Pb
1-XSnXTe)の融液8を装入してるつぼ蓋9をねじ止めし
た後、石英製アンプル10の中に入れ、真空排気後に石英
製アンプル10の上部を酸素・水素バーナで真空封じをす
るようにする。11は空間部、12はるつぼ蓋9のねじ部で
ある。
外るつぼ7と内るつぼ1との間のクリアランスは、零
に近い方がよいが、クリアランスがあっても、材料の融
液8は濡れ性零で水滴のようになるものであるため、融
液8がクリアランスを通って流下するようなことはな
い。
内るつぼ1の大径部2に入れた融液8は、溶融するこ
とによりテーパー部4、細孔5、及び内るつぼ底部3ま
でのスクリュー型の溝6からなる流路内に充満し、上記
スクリュー型の流路の下部から凝固して結晶成長が開始
され、細孔5に達するまでに多結晶は絞り込まれて完全
な単結晶に成長させられる。
本発明者等は、一例として、内るつぼ1の大径部2の
内径を12mm、大径部2の下部中心から外周面に開口する
細孔5の直径を3mm、スクリュー型に機械加工により形
成した溝6を半径3mmとし、更に、上記内るつぼ1を内
径16mmの外るつぼ7の中にセットし、材料として、 Pb1-XSnXTeの融液8を内るつぼ1内に装入し、るつぼ
蓋9をし、石英製アンプル10内に入れて真空封じをし、
縦型ブリッジマン法により材料を溶融させた。その結
果、融液8は内るつぼ底部3までスクリュー型の溝6内
に充満した後、内るつぼ底部3から結晶成長が始まり、
成長初期に発生した多結晶が上部に行くに従い徐々に絞
り込まれて細孔5の部分に来たときには完全な単結晶に
成長し、その後、テーパー部4から大径部2まで単結晶
化した。この方法により直径12mm、長さ50〜60mmの単結
晶を多数本育成した。得られた結晶の単結晶化率は、10
0%であった。
本発明においては、内るつぼ1の底部から大径部2ま
での間にスクリュー型に溝6を形成し、この溝6の上端
を細孔5に連通させていることから、内るつぼ底部3に
初期に結晶がいくつ出来ても上記距離の長い溝6の途中
で結晶が1つに絞り込まれて大きな単結晶が得られるこ
とになり、従来単結晶化の難しい材料であっても画期的
に単結晶化率を向上させることができる。
なお、内るつぼ1及び外るつぼ7の材質は、材料融液
8に反応しないものであればよく、又、細孔5の直径及
び溝6の半径を2mmとしたものでは表面張力により融液
8が入って行かず、溝6に充満させることができないの
で、3mm位が望ましい。更に、本発明のるつぼは、断面
形状を円形その他任意のものとすることができる。
[発明の効果] 以上述べた如く、本発明の単結晶成長用るつぼは、長
手方向にわたり外径を同一径とした内るつぼの内側上部
に材料の融液を入れるための大径部を形成し、且つ該大
径部と内るつぼ底部との間の内るつぼ下部に、上記大径
部の下部を内るつぼ外周面に開口させる細孔と、内るつ
ぼ底部から内るつぼ外周面を螺旋状に立上って上端が上
記細孔に連通するようにしたスクリュー型の溝とを設
け、該内るつぼを、内るつぼの外径とほぼ同じか若しく
は僅かに大きい内径を有する有底の外るつぼ内に挿入し
て全長にわたり二重構造となるように組み立てて、上記
内るつぼ下部外周面のスクリュー型の溝と外るつぼ内周
面とにより材料の融液を充満させる一連の流路を形成さ
せ、上記内るつぼの大径部に材料の融液を入れてるつぼ
を閉じ、全体をアンプルの中に入れて真空排気して真空
封じするようにしてあるので、単結晶を育成させる流路
を長く形成できて、内るつぼの底部で発生した多結晶が
上部に行くに従い徐々に絞り込まれて完全な単結晶に成
長させることができ、従来において単結晶化率が非常に
低い材料でもほぼ100%の単結晶化率が得られ、又、本
発明のるつぼは、材料の融液を充満させるための一連の
流路を、内るつぼを外るつぼ内に挿入することによって
容易に形成することができ、更に、上記内るつぼは、長
手方向にわたり外径を同一径として、上部の内側に大径
部を形成し、且つ下部に上記大径部の下部を内るつぼ外
周面に開口させる細孔と、外周面を底部から螺旋状に立
上って上記細孔に連通するスクリュー型の溝とを設けて
加工が容易な構造としてあることから、機械加工で容易
に形成することができ、一方、上記外るつぼは、長手方
向にわたり外径を同一径とした内るつぼを挿入するため
に内るつぼの外径とはほぼ同じか若しくは僅かに大きい
内径を有する筒型として加工が容易な構造としてあるこ
とから、機械加工で容易に形成することができ、上記材
料の融液を充満させるための一連の流路の加工精度を向
上させて流路を途中からの核発生を極力抑えることがで
きると共に、上記内るつぼ及び外るつぼはいずれも非常
に純度の高い棒状材料からでも不純物を混入させること
なく機械加工により製作することができ、従来のピッグ
テール型単結晶用るつぼ製作に比して労力、コストの低
減が図れ、且つ汚染がない、等の優れた効果を奏し得
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の単結晶成長用るつぼの断面図、第2図
は従来の一例を示す図である。 1……内るつぼ、2……大径部、3……内るつぼ底部、
5……細孔、6……溝(流路)、7……外るつぼ、8…
…材料の融液、9……るつぼ蓋、10……石英製アンプ
ル。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】長手方向にわたり外径を同一径とした内る
    つぼの内側上部に材料の融液を入れるための大径部を形
    成し、且つ該大径部と内るつぼ底部との間の内るつぼ下
    部に、上記大径部の下部を内るつぼ外周面に開口させる
    細孔と、内るつぼ底部から内るつぼ外周面を螺旋状に立
    上って上端が上記細孔に連通するようにしたスクリュー
    型の溝とを設け、該内るつぼを、内るつぼの外径とほぼ
    同じか若しくは僅かに大きい内径を有する有底の外るつ
    ぼ内に挿入して全長にわたり二重構造となるように組み
    立てて、上記内るつぼ下部外周面のスクリュー型の溝と
    外るつぼ内周面とにより材料の融液を充満させる一連の
    流路を形成させ、上記内るつぼの大径部に材料の融液を
    入れた状態で全体をアンプルに入れて真空封じするよう
    にしてなることを特徴とする単結晶成長用るつぼ。
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FR2869327A1 (fr) * 2004-04-22 2005-10-28 Univ Claude Bernard Lyon Creuset et procede de croissance de cristaux massifs et, en particulier, de monocristaux du type caf2
KR100847263B1 (ko) * 2007-04-17 2008-07-18 엑스탈테크놀로지 주식회사 잉곳 생산을 위한 도가니
CN117702275B (zh) * 2024-02-05 2024-04-19 浙江康鹏半导体有限公司 基于双层坩埚的磷化铟单晶生长方法

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