JP2860406B2 - ディスクブレーキ用ピストンキャップ - Google Patents

ディスクブレーキ用ピストンキャップ

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明はピストンキャップ、特にディスクブレーキに
装着されるピストンキャップに関するものである。
この種のピストンキャップはディスクブレーキの分野
において周知であり、ブレーキ作動中ブレーキモータの
ピストンの摺動を阻害し得る外部物体あるいは塵埃の侵
入を防止するためにブレーキモータのシリンダの密封を
確保するものである。従来では、これらのキャップは一
方において摺動ピストンに、また他方においてディスク
ブレーキのキャリパに締着されており、ピストンの移動
中に変形できるように可撓性材料で作られている。
ディスクブレーキの組立時、特にシリンダ内へのピス
トンの設置及びそれらの間の密封を確保するキャップの
設置時、いくらかの空気をこれら２つの要素間に封入す
ることが起こり得る。ブレーキ作動中熱の放射があり、
この熱はブレーキモータのピストンに伝えられた場合に
この空気を加熱することとなり、従ってピストンの頭
部、シリンダ及びキャップによって画成された容積の圧
力を増大させ得る。ピストンキャップは可撓性材料で作
られているために外側へ膨張せしめられ、相当高く加熱
された場合には、キャップが高温になっている摩擦材料
の支持体に接触することが起こり得る。このため、キャ
ップが摩擦材料支持体との接触区域で焼き焦げて損傷
し、キャップを交換して所望の密封を回復させるために
ブレーキを完全に分解することが必要となってしまう。
従って、本発明の目的は、一方においてブレーキモー
タの組立時ピストンの頭部とシリンダとによって画成さ
れた容積に多量の空気が封入されるのを回避するととも
に、他方においてブレーキ全体の加熱を生じさせるよう
なブレーキ作動中この容積から空気を逃がすことができ
るようにしたディスクブレーキ用ピストンキャップを提
供することにある。
この目的を達成するために、本発明は、シリンダ内を
摺動するピストンから成るブレーキモータを備えたディ
スクブレーキに用いられるものであって、ピストンの頭
部に形成された環状溝に嵌合する内周部のビード及びシ
リンダの端部に形成されたソケット部の内壁に接触する
外周部の保持部分を介してピストンとシリンダとの間の
密封を確保する可撓性材料から成り、保持部分に円筒状
リングの形状の金属インサートを備えているピストンキ
ャップにおいて、ピストンとシリンダとで画成された容
積内に収容される空気を逃がすとともにこの容積内への
外部物体あるいは腐食剤の侵入を防止する通気口を設
け、この通気口が、ソケット部の最も外側に位置する保
持部分の側に舌部を形成するように保持部分にその外周
部の高さの大部分にわたって形成された薄肉部分から成
ることを特徴とするディスクブレーキ用ピストンキャッ
プを提供している。
以下、本発明の実施例について添付図面を参照して詳
細に説明する。
第１図は、キャリパ10と、支持板16と18にそれぞれ装
着されブレーキモータ22の作動時に回転ディスク20に摩
擦係合し得る摩擦部材12と14とを備えた型式のディスク
ブレーキを断面で示している。このブレーキモータ22
は、ブレーキ作動中摩擦部材14の支持板18に作用するよ
うにシリンダ26内を摺動するピストン24を備えている。
可撓性材料で作られたピストンキャップ30は、ピストン
24の摺動を妨げ得る外部物体あるいは腐食剤の侵入を防
止するためにブレーキモータのシリンダの密封を確保し
ており、一方においてピストン24の頭部に形成された環
状溝34に嵌合する内周部のビード32を介してピストンに
保持されるとともに、他方において保持部分を形成する
外周部によりシリンダ26の開口部の端縁に保持される。
キャップ30の保持部分は、シリンダ24の端部に設けら
れた該シリンダよりも大径の孔から成るソケット部の内
壁に対してキャップの外方端縁を接触させる円筒状リン
グの形状の金属インサート36を備えている。このように
して、ピストン24とシリンダ26との間の密封が周知の方
法で確保される。
本発明によると、キャップの取付時にそのソケット部
に封入されていた空気を確実に逃がすと同時に、外部物
体あるいは腐食剤がこのソケット部内に侵入するのを防
止するための手段が設けられている。このため、部分的
な薄肉部分40がキャップの保持部分にその外周部の高さ
の大部分にわたってキャップの軸線に平行に形成されて
いて、ソケット部の最も外側に位置する保持部分の端部
に舌部42を形成する。また、本発明によると、切欠部44
が、これらの薄肉部分10を形成している区域におけるソ
ケット部の底部に当接する保持部分の端部に設けられて
いる。
従って、ピストン24の周りのソケット部内にキャップ
を設置する際、このソケット部内の余分な空気は切欠部
44及びキャップの保持部分の薄肉部分40とソケット部の
内壁との間の空気を通る通路に至る。この空気が取付時
あるいはブレーキの加熱時に過大な圧力を受けた場合、
空気は弁又は通気口のように働く舌部42を持ち上げて外
部へ逃げる。逆に、キャップ30は金属インサート36によ
ってソケット部内に圧力嵌めされているので、舌部42は
ソケット部の外部に向けて幾分傾斜状態に保持されてい
る。従って、ソケット部への外部物体あるいは腐食剤の
侵入が防止される。
上述の説明から明らかなように、本発明によると、ブ
レーキの加熱時、キャップ内の余分な空気は外部への通
路に至り、キャップが摩擦部材の支持板18に接触して焼
け焦げ損傷する程にキャップを膨出させることがなくな
る。
薄肉部分40を平らな部分として図示し説明したが、こ
れらの部分を適宜の形状及び大きさにできることは明ら
かである。切欠部44についても同様である。キャップの
保持部分の外周部における薄肉部分40の数は重要なもの
ではない。この数は、保持部分の剛性を低下させること
なしで余分な空気を逃すのに十分な通路を得るように、
ピストンの径に応じて選択されてよい。
更に、通気口を保持部分の外周部に形成して示してあ
るが、当業者には本発明の範囲から逸脱することなく、
この通気口を内周部に設けるとともにビード32に少なく
とも１つの切欠部を形成できることが明らかである。
【図面の簡単な説明】 第１図は本発明によるピストンキャップを組込んだディ
スクブレーキの断面図、第２図は本発明によるピストン
キャップの軸方向断面図、第３図は本発明によるピスト
ンキャップの保持部分の正面図、第４図は本発明による
ピストンキャップの側面図である。 10……キャリパ、22……ブレーキモータ、24……ピスト
ン、26……シリンダ、30……ピストンキャップ、32……
ビード、34……環状溝、36……金属インサート、40……
薄肉部分、42……舌部、44……切欠部。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) F16D 65/20 F16J 15/52

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】シリンダ（26）内を摺動するピストン（2
    4）から成るブレーキモータ（22）を備えたディスクブ
    レーキに用いられるものであって、ピストン（24）の頭
    部に形成された環状溝（34）に嵌合する内周部のビード
    （32）及びシリンダの端部に形成されたソケット部の内
    壁に接触する外周部の保持部分を介してピストン（24）
    とシリンダ（26）との間の密封を確保する可撓性材料か
    ら成り、保持部分に円筒状リングの形状の金属インサー
    ト（36）を備えているピストンキャップにおいて、ピス
    トン（24）とシリンダ（26）とで画成された容積内に収
    容される空気を逃がすとともにこの容積内への外部物体
    あるいは腐食剤の侵入を防止する通気口を設け、この通
    気口が、ソケット部の最も外側に位置する保持部分の側
    に舌部（42）を形成するように保持部分にその外周部の
    高さの大部分にわたって形成された薄肉部分（40）から
    成ることを特徴とするディスクブレーキ用ピストンキャ
    ップ。
  2. 【請求項２】薄肉部分（40）を形成している区域におけ
    るソケット部の底部に当接する保持部分の端縁に切欠部
    （44）が設けられていることを特徴とする請求項１記載
    のピストンキャップ。
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