JP2860088B2 - 温灸用具 - Google Patents

温灸用具

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JP2860088B2 JP33698496A JP33698496A JP2860088B2 JP 2860088 B2 JP2860088 B2 JP 2860088B2 JP 33698496 A JP33698496 A JP 33698496A JP 33698496 A JP33698496 A JP 33698496A JP 2860088 B2 JP2860088 B2 JP 2860088B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、味噌や大蒜(にん
にく)等の自然素を栄養素として用い、とくに無煙無臭
のもぐさを熱源にして温和な熱刺激を持続させながら前
記栄養素の薬効成分を人体の治療箇所に供給することの
できる簡便な温灸用具に関する。
【0002】
【従来の技術】施灸の理念は、人体の循環路の経穴(ツ
ボ)に熱刺激を与えることによって、「証を正し」なが
ら血流を潤滑にし、凝りや痛みを和らげ、ひいては健康
を回復することを主眼にしている。すなわち、人体が健
康なときは経絡や経穴は存在しないに等しい状態である
が、皮下組織や内臓諸器官に異常が発生すると、その反
応として、経絡上に点在する経穴に凝りや痛みが現れ
る。温灸は、漢方薬の外用療法として、変化した経穴に
熱刺激を与えて治療するものであり、こうした治療を通
常「証を正す」と称している。例えば、凝りや痛みの原
因の一つとして皮下における血液の沈滞が挙げられる
が、温灸を継続していると、その転調作用により「気の
流れ」がリズミカルになって障害が排除され、体質を改
善していくのである。温灸の代表例である直接灸、間接
灸、栄養灸の概要を表1に示す。
【0003】
【表1】
【0004】表1における栄養灸は、味噌、大蒜、生姜
などの薬効成分を含んだ自然素を栄養素として活用した
もので、古来から広く用いられていた方法である。こう
した栄養素は、身体を温め散寒止痛に働く成分を含有す
るから、もぐさを燃やした熱によって栄養素の薬効成分
が皮膚に浸透しやすくなり、凝りや痛みに起因する不快
症状の除去に有効に働くのである。例えば、栄養素に味
噌を用いた場合には、熱で拡げられた皮膚の孔から味噌
中の酵母菌が内部に浸透し、血流促進に作用すると考え
られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
ような方法の栄養灸では、温灸の準備が煩わしいほか、
温灸中に燃焼しているもぐさや台座的に使用した薄片状
の大蒜等が皮膚から脱落することも多く、また、もぐさ
の燃焼が栄養素として用いた大蒜等の接触面にまで達す
ると、もぐさの臭いのほかに大蒜等からも独特な臭気が
生じ、両者が混合して強い異臭を発するし、燃焼済みの
もぐさの交換も不便であるという欠点があった。そのた
め、こうした栄養灸は次第に逼塞していったのである。
【0006】現在では、従来の栄養灸に代わるものとし
て、もぐさ中に大蒜、生姜などの粉末や細片を混入した
ものも提供されているが、当然のことながら、この種の
温灸では栄養素が皮膚に与える薬効は不十分である。そ
して、栄養灸に適した簡便な温灸用具は、従来見当たら
なかった。
【0007】
【課題を解決するための手段】叙上の事情に鑑み、本発
明者らは心地よい温熱を持続させながら栄養素の薬効成
分を皮膚に十分に与えることができる簡便な温灸用具に
ついて検討した結果、本発明を完成するに至ったのであ
る。すなわち、上面が開口し底面に多数の貫通小孔を備
えた容器と、該容器上面を閉塞する上蓋と、前記容器底
面に装着される栄養素浸透シートとからなる温灸用具で
ある。
【0008】また、栄養素浸透シートを挟んで底蓋を容
器底面に装着した前記温灸用具である。
【0009】さらに、あらかじめ容器内に栄養素を封入
したことを特徴とする前記温灸用具である。
【0010】以上のような構成の温灸用具としたこと
で、底蓋を取り外した容器を栄養素浸透シートを介して
皮膚上の経穴位置に載置し、さらに上蓋に載せたもぐさ
の先端に着火すると、もぐさの燃焼熱が上蓋を経て容器
内に収容された栄養素に伝達され、熱により徐々に流動
化した栄養素が容器底面の貫通小孔から栄養素浸透シー
トに滲み出て、温熱効果により皮膚に十分浸透するので
ある。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面にもとづいて本発明に
係る温灸用具を詳細に説明する。図1は、本発明に係る
温灸用具の一例を示す断面図である。この図に示される
ように、本発明に係る温灸用具は、容器1と、上蓋2
と、栄養素浸透シート3及び底蓋4とから構成されてお
り、あらかじめ又は使用時において容器1内部に栄養素
5が封入され、熱源として上蓋2にもぐさ6が載置され
る。
【0012】容器1は、上面のみが開口した有底筒状に
形成される。人体の表面は無数の曲面から構成されてい
るから、大面積の容器とするよりも小面積の容器とした
方が容器1底面と皮膚との隙間が少なくなって載置した
容器1の安定度が増すのであり、また、同じ容積の容器
であれば高さを高くするより底面積を広くした方が安定
する。したがって、容器1の形状は、上面のみが開口し
ていれば特定の形状に限定されるものではないが、熱源
として使用するもぐさ6の大きさとの関係で、できるだ
け小さく、かつ、高さより底面が広い比較的薄型の容器
に形成するのが望ましく、また、もぐさ6の燃焼熱が容
器1内に収容される栄養素5の全体に行き渡るように、
円筒形状又はこれに近い多角形状に形成するのが望まし
い。図1に示される例では、容器1を内径30mm、高さ11
mmの有底円筒形状に形成した肉厚0.6mmのプラスチック
製としている。
【0013】温灸用具を使用する部位によっては、容器
1の底面を凹面状に形成することによって、皮膚への密
着度を高め、栄養素の効果的な浸透を図ることができ
る。例えば、底面を一方向にのみ湾曲させた形状とする
(図2(a),(b))ほか、周縁部から底面中央部へかけて
全体的に凹面を形成することによって肩の突端部等に適
応させたり(図3(a),(b))、極端に湾曲している部位
用には底面を傾斜させてもよく(図4(a),(b))、さら
に複数の曲面を組み合わせて複雑な凹面状に形成しても
よい(図5(a),(b)及び図6(a),(b))。なお、このよう
に容器1の底面を凹面状に形成することで、皮膚上に貼
付した場合に容器1の上面が水平を保ちやすくなるの
で、傾いた容器1から燃焼中のもぐさが転落して皮膚や
衣服に損傷を与えることも防止できる。
【0014】図1及び図7に示されるように、容器1の
底面には多数の貫通小孔11が設けられる。本発明に係る
温灸用具では、容器1内に収容された栄養素5が、もぐ
さ6の燃焼熱により流動化し、貫通小孔11から栄養素浸
透シート3へと滲み出すことになるから、この貫通小孔
11の数が多ければ多いほど栄養素浸透シート3への供給
が円滑に行われることになる。したがって、貫通小孔11
は、容器1の底面全体にできるだけ満遍なく多数個設け
るのが望ましい。なお、図7は図1の例における容器1
のみの平面図であり、この例では、中心部に直径4mmの
ものを1つ、その周囲に直径3mmのものを8つ、さらに
外周に直径4mmのものを8つ、計17個の貫通小孔11を形
成している。
【0015】図1に示されるように、容器1には、その
上面を閉塞するように上蓋2が装着される。上蓋2は、
金属等の不燃性の薄板を用いて、容器1の内面形状に対
応する大きさに形成される。なお、この例では、肉厚0.
05ないし0.08mmのアルミニウム製としている。
【0016】もぐさ6を容器1内に収容される栄養素5
上に直接載置することとした場合、もぐさ6の燃焼が進
んで栄養素5に達すると、栄養素5の含有成分に応じた
独特な臭気が発生したり、もぐさ6が吸湿して燃焼が立
ち消えになってしまう弊害があるから、上蓋2は、この
ような弊害を防止するべく栄養素5ともぐさ6とを完全
に分離するとともに、もぐさ6の燃焼熱を栄養素5に均
等に伝達するために必要とされる。また、本発明に係る
温灸用具を、容器1内にあらかじめ栄養素5を収容した
状態で市場に提供する場合には、上蓋2が栄養素5を容
器1内に完全に封入することによって、転倒等による栄
養素5の漏出を防止するとともに、栄養素5の長期保存
を可能にする役割も果たす。こうした上蓋2の機能をよ
り高めるため、例えば、図1に示されるように、あらか
じめ裏面にポリエチレン熱溶着フィルムを貼付しておい
た上蓋2の周縁を容器1の上面開口部端に沿うように形
成して、上蓋2と容器1との係合部を熱シールにより密
着接合するほか、上蓋2の周縁を容器1の内面形状と一
致させて、容器1の内面に密着するように嵌入したり、
上蓋2を容器1の上面より大きくして周縁を下方に折り
曲げ、容器1の上面に被せるキャップ状の構造としても
よい。
【0017】なお、温灸時において燃焼中のもぐさが転
落することを防止するために、上蓋2の中央部を周縁よ
り陥没させて皿状に形成して、中央凹部にもぐさ6を載
置することとするのが望ましい。中央部に凹部を設けた
上蓋2の一例を図8(a),(b)に示す。例えば、先述のよ
うに容器1を内径30mm、高さ11mmの有底円筒形状に形成
した場合、上蓋2中央凹部は直径15mm程度に形成する。
【0018】前記表1における間接灸の場合には、皮膚
上に台座を直接付着させるためにアラビアゴムや化学糊
等の粘着材が用いられるのであるが、本発明に係る温灸
用具では、栄養素5中から滲み出る糊成分によって湿潤
化した栄養素浸透シート3が容器1を皮膚上に固定する
役割を果たすので、こうした粘着材は不要である。すな
わち、栄養素浸透シート3は、もぐさ6の燃焼熱による
温熱効果により栄養素5を皮膚に浸透させる機能を奏す
るとともに、収容した容器1を皮膚上に固定する機能も
有するのである。加えて、栄養素浸透シート3は、上蓋
2や栄養素5と相俟って、相当程度の高温となるもぐさ
6の燃焼熱を温和な熱刺激にまで緩和する機能も有す
る。
【0019】こうした機能を担保すべく、栄養素浸透シ
ート3は、吸湿・保湿性、水分透過性、断熱性に優れた
素材を用いて形成するのが望ましい。具体的には、天然
繊維若しくは化学繊維又はこれらの混在した和紙や洋
紙、不織布、スポンジ、コルクのごとく木皮を積層した
もの、湿分・水分の透過性に優れたフィルム等が挙げら
れるが、とりわけインク吸取紙として汎用されているよ
うな厚手の和紙が好適に用いられる。図1に示された例
では、0.4mm厚の和紙を使用している。
【0020】本発明に係る温灸用具を、あらかじめ容器
1内に栄養素5を封入した状態で市場に提供する場合、
栄養素浸透シート3が露出したままにしておくと、栄養
素5自体や栄養素5中の水分が流出・蒸散したり、湿潤
化した栄養素浸透シート3が治療箇所とは無関係な部位
等に付着したりする。したがって、こうした弊害を防止
し、栄養素5の長期保存を可能とするため、栄養素浸透
シート3を挟んで容器1の底面に底蓋4を装着してお
く。底蓋4は、上蓋2と相俟って容器1の密封性を高め
るべく、図1に示されるような軟質プラスチック製のキ
ャップ状に形成されるほか、アルミ製やプラスチック製
のシート材を用いて容器1の底面周縁等に熱シールによ
り固着しておき、シート材端部に延設した舌片を指で摘
んでを引き剥がすこととしたり、容器1の底面より広面
積のアルミ箔で形成して容器1底面部を包み込む方式と
してもよい。
【0021】なお、使用者が任意の栄養素5を使用時に
適宜詰めることとして、容器1内に栄養素5を封入しな
い状態で本発明に係る温灸用具を市場に提供する場合に
は、底蓋4は必ずしも必要とはならない。この場合は、
容器1と、上蓋2と、栄養素浸透シート3のみを提供す
れば足りる。
【0022】あらかじめ容器1内に収容して提供される
栄養素5としては、前述の味噌、大蒜、生姜、塩を単独
又は適宜混合したものを用いるほか、枇杷葉、山椒、紫
蘇葉等をさらに混合したり、漢方生薬末の紅花、浜防
風、山梔子、独活、黄柏、桂皮、びゃくし、細辛等を配
合したりしたものを用いる。こうした自然素を適宜下ろ
し金で摺り下ろしたり、細粒化しり、スライスしたりし
たものを基材として、さらに糊剤、ゲル剤、水を適宜混
入し、撹拌・混練して適度な粘度を有する栄養素5に調
製される。
【0023】糊剤としては、植物や海草から抽出した、
液体状や粉末状のものを用いる。例えば、植物から抽出
したものとしては、α化澱粉やデキストリン、エーテル
化澱粉、エステル化澱粉などの澱粉誘導体やセルロース
パウダー、リグニン、カルボキシメチルセルロース(CM
C)などが用いられ、海草から抽出したものとしては、
アルギン酸ナトリウムを主成分にした糊剤が用いられ
る。
【0024】また、ゲル剤としては、シリカゲルのほ
か、非結晶性で靭質である天然水溶性高分子の寒天、ゼ
ラチン、セルロースエーテル系水溶性ポリマー、ポリア
クリル酸系水溶性ポリマーやポリビニルアルコール系水
溶性ポリマーなどの保水性ポリマー等が用いられる。と
くに水分を吸収した保水性ポリマーやシリカゲルは、加
熱すると水分を放出する性質があるから、糊剤の補助剤
としても有効である。
【0025】栄養素5が収容された容器1は、上面開口
部に上蓋2が装着され、底面に栄養素浸透シート3を挟
んで底蓋4が装着されたのち、ポリエチレン製やアルミ
製の袋等で包装されて市場に提供される。前述のよう
に、栄養素5は自然素からなるため、空気に触れるとカ
ビが生えたり腐敗したりするおそれがあるのであるが、
栄養素5中に防腐剤を入れると皮膚に悪影響を及ぼす危
険性が高い。したがって、あらかじめ栄養素5を容器1
内に封入して提供する場合は、長期保存を可能とするた
めに、真空包装とするのが望ましい。
【0026】本発明に係る温灸用具では、前述のよう
に、熱源となるもぐさ6と栄養素5とを上蓋4によって
完全に分離しているので、もぐさ6の燃焼が栄養素5に
達しても栄養素5に配合した物質独自の臭気が発生する
ことがないのであるが、さらにもぐさ6に無煙無臭もぐ
さを使用することによって、温灸中にほとんど臭いが生
じない、したがって気軽に使用できる温灸用具とするこ
とができる。この無煙無臭もぐさとしては、本発明者ら
が先に特開平5-152号「灸組成物及びその成形物」にお
いて提案した燻蒸処理もぐさの成形体が好適に用いられ
る。以下、この燻蒸処理もぐさの成形体を用いたもぐさ
6について説明する。
【0027】もぐさや燻蒸もぐさ、木炭・無煙炭・やし
がら等の炭化物の粉末などに糊剤を混入して成形する
と、燃焼終了後も燠火(おきび)となってある程度の時
間は発熱を継続するから、上蓋2への投熱時間は長くな
る。研究の結果、燠火は、もぐさ成形体の外形にかかわ
らず、内部に設けた空間の形状に沿って残留する性質が
あることがわかったので、もぐさ成形体の内部空間形状
を調製すれば、燠火の形状をコントロールすることがで
き、結果的に発熱量の管理をすることができる。
【0028】すなわち、例えば、もぐさ成形体の外形を
円錐台形に形成しても、内部に半球状の空間を形成して
おくと、燃焼終了後も燠火が半球状になって残り、この
燠火が最終的には半球状の頂点部分で立ち消える。これ
に対して、同じ外形をしたもぐさ成形体であっても、内
部に空間を設けない場合は、燠火は塊状になって残り、
最終的に塊状の底部分で立ち消えるのである。したがっ
て、本発明に係る温灸用具の熱源として内部に空間を設
けたもぐさ成形体を使用する場合、内部空間形状の異な
るもぐさ成形体を用いることによって、上蓋2から燠火
の立ち消え位置までの距離を簡単に調節できる。もぐさ
成形体が燃焼することにより発する熱は、燠火が立ち消
える寸前で最高となるから、容器1の大きさや収容する
栄養素5の量等の関係で適切な内部空間を形成したもぐ
さ成形体を使用することで、過分な熱量を上蓋2に伝え
ることなく、必要な熱量だけを伝導熱や輻射熱として利
用することができるのである。
【0029】具体的には、腰部や背腹部等のなだらかに
湾曲した部位に適応させて容器1の内径を30mm程度に形
成した場合には、図9(a),(b)に示される形状のもぐさ
成形体が好適に用いられるし、肩部や腕部、脚部等の強
く湾曲した部位に適応させて容器1の内径を20mm程度に
形成した場合には、図10(a),(b)に示される形状の比較
的小さいもぐさ成形体が好適に用いられる。その他、図
11(a)ないし(d)に示されるような形状のもぐさ成形体も
適宜利用しうる。
【0030】
【実施例】
[実施例1]底面直径が13mmの、図9(a),(b)に示した形
状をした燻蒸もぐさ成形体をもぐさ6として用い、図1
に示される形状で肉厚0.6mmのプラスチック製容器1の
内径と栄養素5の量の組合せを変えて臨床試験を行っ
た。上蓋2は図1に示される形状のアルミ箔製のもの
を、栄養素浸透シート3には0.4mm厚の和紙を、栄養素
5には味噌とCMCとシリカゲルを3:1:0.5の割合で混合
したものに水を適量加えて粘土状に混練したものを用
い、栄養素浸透シート3を介して容器1底面を肩に貼着
した。なお、栄養素5は、内径30mmの容器1に8mm厚に
収容すると、約4グラム程度になる。この臨床試験の結
果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】皮膚上の赤斑の残留は、滞っていた血流が
温灸により活発化してきた証明である。内径30mmの容器
1を使用した場合、3壮ないし4壮の温灸によって60mm
ないし70mm程度の大きさの赤斑が生じる。この赤斑は、
温灸温度が高くなるにつれて紅色から赤色へと色が濃く
なり、50℃を超える強い温熱が与えられると赤黒色に変
化して、皮膚はもはや軽い火傷状態となる。したがっ
て、上記臨床試験では、赤斑の残留度合いと皮膚に感じ
る温熱の程度からすれば、試験番号3の例が最も実用的
であるといえる。
【0033】この試験番号3において、もぐさ6を4壮
(4回)燃焼させたときの皮膚への投与熱の推移を図12
に示す。この投与熱の測定は、栄養素浸透シート3と皮
膚の間に温度センサを置いて10秒毎に行ったが、図12の
グラフでは20秒毎に計測点を記録している。なお、もぐ
さ6として用いた燻蒸もぐさ成形体が完全に燃焼した
後、体温近くまで温度が下がってから次の燻蒸もぐさ成
形体と交換して再着火している。
【0034】このグラフより、栄養素5が帯熱して栄養
素浸透シート3に体温より高めの適温が伝わるまでに第
一壮目では4〜5分を要するが、第二壮目ないし第四壮
目では当初から適温状態となっていることがわかる。こ
れは、栄養素5がすでに帯熱していることによるものと
考えられる。また、第一壮目では最高温度が41℃程度ま
で上昇するにとどまったが、第二壮目では着火より6分
少々で最高温度50℃に達し、第三壮目では着火より4分
半で、第四4壮目では着火より5分少々で、それぞれ最
高温度50℃を記録している。
【0035】各壮においては、最高温度を記録する寸前
に燻蒸もぐさ成形体の燠火が立ち消えているのである
が、いずれの壮においても、最高温度を記録した後体温
程度に至るまで、きわめてなだらかに温度が下降してお
り、燠火が立ち消えた後も温和な熱刺激が約6〜8分程
度も持続していることがわかる。従来の温灸用具では、
もぐさの燃焼が完了すると急激に温度が下がるので、こ
のような長時間の温和な熱刺激は全く得られなかった。
これは栄養素5に蓄積されていた熱が徐々に放出された
ことによるものと考えられるが、結果的に本発明に係る
温灸用具の最大の特徴となっている。
【0036】[実施例2]底面直径が9mm3mmの、図10
(a),(b)に示した燻蒸もぐさ成形体をもぐさ6として用
い、図1に示される形状で内径20mm、高さ8mm、肉厚0.
6mmのプラスチック製容器1に実施例1と同じ調製をし
た栄養素5を7mm厚に入れ、栄養素透過シート3として
0.4mm厚の和紙を介して皮膚上に貼付し、適温が持続す
る時間を複数回測定した。ある日の10時00分に第1壮目
を着火して温灸を行い、もぐさ6が完全に燃焼して皮膚
が温度を感じなくなってから次のもぐさに取り替えて着
火し、着火時間と、皮膚上で感熱しはじめた時間と、適
温を感じた時間と、もぐさの燠火が立ち消えて温熱を感
じなくなり、温灸が完了した時間とを記録した。第一壮
目と第二壮目の間は15分間、第二壮目と第三壮目の間は
18分間あけている。なお、上蓋2には図1に示されるア
ルミ箔製のものを、栄養素浸透シート3には0.4mm厚の
和紙を使用した。測定結果を表3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】この測定結果から、この実施例の温灸用具
では、着火した燻蒸もぐさ成形体の熱が栄養素5を経て
栄養素透過シート3に伝わり、皮膚に温熱を感じはじめ
てから熱を感じなくなるまでの時間は約11分程度であ
り、燠火が立ち消えた後においても約6〜8分間は皮膚
が温感していることがわかる。
【0039】
【発明の効果】本発明に係る温灸用具は、あらかじめ容
器内に栄養素を封入して市場に提供すれば、底蓋を取り
除いて上蓋にもぐさを載置するだけで直ちに使用可能と
なるので、煩雑な温灸の準備が一切不要となる。また、
栄養素を封入することなく提供すれば、使用者が任意の
栄養素を選択して使用することができ、多様な個人的嗜
好にも対処しうる。さらに、容器や上蓋等は再利用が可
能である。
【0040】また、本発明に係る温灸用具は、栄養素か
ら滲み出た糊成分等によって湿潤化した栄養素浸透シー
トを介して皮膚上に確実に固定されるので、温灸中に温
灸用具が皮膚から脱落するおそれがない。そして、温灸
用具の固定のために化学性粘着剤等を使用する必要がな
いので、肌荒れや皮膚障害等を誘発することがない。
【0041】さらに、本発明に係る温灸用具の使用時に
は、もぐさが燃焼して栄養素が減少するにつれて、もぐ
さの周囲が容器の上縁で取り囲まれるようになるため、
燃焼しているもぐさが容器から脱落するおそれもない。
【0042】また、もぐさと栄養素とが上蓋によって完
全に分離されているため、栄養素として用いた味噌等の
自然素の独特の臭気が発生することがない。とくに、も
ぐさに無煙無臭の燻蒸もぐさ成形体を使用した場合に
は、煙や臭いがほとんど発生しないので、壁やカーテン
等の変色させたり、衣服や調度品等に臭気が染み込むと
いったおそれがない。
【0043】本発明に係る温灸用具によれば、もぐさの
燠火が消滅して完全に灰になった後においても温和な熱
刺激をきわめて長時間持続することができ、また、栄養
素が容器内に残留している限り、治療箇所に温灸用具を
貼付したままでもぐさを幾壮も交換して温灸を継続する
ことができる。このように、約35℃〜50℃の間で持続す
る温熱によって血流を活発化させ、新陳代謝を促進させ
ながら、栄養素となる自然素が含有している薬効成分を
皮膚から浸透させて凝りや痛みを取り除く、きわめて有
用で簡便な温灸用具である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る温灸用具の一例を示す断面図であ
る。
【図2】底面を一方向にのみ湾曲させた形状とした容器
の正面図(a)及び左側面図(b)である。
【図3】底面の周縁部から中央部へかけて全体的に凹面
を形成した容器の正面図(a)及び縦断面図(b)である。
【図4】底面を傾斜させた容器の左側面図(a)及び正面
図(b)である。
【図5】底面形状を複数の曲面を組み合わせた複雑な凹
面状に形成した容器の一例を示す左側面図(a)及び正面
図(b)である。
【図6】底面形状を複数の曲面を組み合わせた複雑な凹
面状に形成した容器の他の一例を示す左側面図(a)及び
正面図(b)である。
【図7】図1の例における容器のみの平面図である。
【図8】中央部に凹部を設けた上蓋の一例を示す平面図
(a)及び正面図(b)である。
【図9】もぐさ成形体の一例を示す断面図(a)及び平面
図(b)である。
【図10】もぐさ成形体の他の一例を示す断面図(a)及
び平面図(b)である。
【図11】もぐさ成形体のその他の例を示す断面図であ
る。
【図12】試験番号3において、燻蒸もぐさ成形体を4
壮燃焼させたときの各壮毎の皮膚への投与熱の推移を示
すグラフである。
【符号の説明】
1 容器 2 上蓋 3 栄養素浸透シート 4 底蓋 5 栄養素 6 もぐさ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61H 39/06 312 A61H 39/06 316

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上面が開口し底面に多数の貫通小孔を備
    えた容器と、該容器上面を閉塞する上蓋と、前記容器底
    面に装着される栄養素浸透シートからなる温灸用具。
  2. 【請求項2】 上面が開口し底面に多数の貫通小孔を備
    えた容器と、該容器上面を閉塞する上蓋と、前記容器底
    面に栄養素浸透シートを挟んで装着される底蓋からなる
    温灸用具。
  3. 【請求項3】 上面が開口し底面に多数の貫通小孔を備
    えた容器と、該容器上面を閉塞する上蓋と、前記容器底
    面に栄養素浸透シートを挟んで装着される底蓋からな
    り、あらかじめ容器内に栄養素を封入したことを特徴と
    する温灸用具。
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