JP2859601B2 - ガスセンサおよびその製造方法 - Google Patents

ガスセンサおよびその製造方法

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JP2859601B2 JP9119354A JP11935497A JP2859601B2 JP 2859601 B2 JP2859601 B2 JP 2859601B2 JP 9119354 A JP9119354 A JP 9119354A JP 11935497 A JP11935497 A JP 11935497A JP 2859601 B2 JP2859601 B2 JP 2859601B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスセンサおよび
その製造法方に関する。詳細には本発明は、混合物中の
ガスを検出するための金属酸化物ベースのガスセンサに
関する。金属酸化物ベースのガスセンサは基本的に、周
囲ガスに依存してその導電性を変化させるものである。
【0002】
【従来の技術】これまで、金属酸化物のガス感応特性は
動作温度を変えることで制御し、それにより特定のガス
に対する感度を増大させ他のガスに対する感度を低減さ
せることしかできなかった。これについてはヨーロッパ
特許出願公開第0527258号明細書およびヨーロッ
パ特許出願公開第0464243号明細書を参照のこ
と。後者の文献には、半導体の酸化ガリウムを備えた酸
素センサについて記載されている。この場合、ガスセン
サの動作温度が850゜を超えると、物質の酸素含有量
が周囲空気の酸素含有量と相互作用し、その結果、物質
の特有の導電性が目下の酸素分圧に対する尺度となる。
還元されたガスのためのガスセンサを得るには、ヨーロ
ッパ特許出願公開第0527258号明細書によればG
23の薄層に対する動作温度を約600゜C付近で固
定する必要がある。
【0003】さらにアメリカ合衆国特許第434773
2号による従来技術によれば、特定の可燃性有毒性のガ
スを検出するためのガスセンサが知られている。このガ
スセンサはガス感応性の層を有しており、この層には酸
化ガリウムのドーピングされた酸化亜鉛が含まれてい
る。さらにこの層はゼオライトたとえばゼオライト3A
から成るフィルタ層で覆われている。このガスセンサは
200゜Cの温度で駆動される。600〜1000゜C
の温度にはこのガスセンサは適しておらず、それはその
ような温度領域ではゼオライト層が気化することになる
からである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、被測
定ガスに関する選択度および感度の高められたガスセン
サを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によればこの課題
は、請求項1および請求項5に記載のガスセンサにより
解決される。この場合、二酸化珪素(SiO2 )を有す
るフィルタ層により、侵食性のガスに対して不感である
という利点が得られる。
【0006】従属請求項には本発明の有利な実施形態が
示されている。
【0007】請求項2に記載されているように、フィル
タ層の厚さは300〜500nmを選ぶのが有利であ
る。それというのは、フィルタ層が薄すぎると選択性が
なくなってしまい、フィルタ層が厚すぎると感度が過度
に強く抑えられてしまうからである。
【0008】H2 に対するガスセンサの感度を改善する
ため、請求項3によれば動作温度は600゜C〜700
゜Cの間におかれる。これよりも温度が低くなると、ガ
ス感応層の電気抵抗が過度に高くなってしまう。また、
これよりも温度が高くなると、H2 に対する感度が下が
ってしまう。
【0009】次に、図面を参照しながら本発明について
詳細に説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態:図1の左側にはセンサの平面図が示さ
れている。基板SUB上に金属の接触平面KFが設けら
れており、それらの間に交互配置形(交差指形ないしイ
ンタディジタル)構造体Iが配置されている。図1の下
方には、この交互配置形構造体Iの一部分が拡大されて
示されている。交互配置形構造体Iの上にGa23から
成るガス感応層が設けられている。図1の右側に示され
ている基板SUBの裏面には、加熱装置Hが取り付けら
れている。
【0011】図2には、センサが著しく簡略されたかた
ちの横断面で示されている。基板SUBの上に2μmの
厚さのGa23層が取り付けられている。さらにこの層
の上には、SiO2 から成り表面被覆層とも称するフィ
ルタ層が配置されている。フィルタ層の厚さは約300
nmである。みやすくするため、図1の交互配置形構造
体Iおよび加熱装置Hはここには示されていない。
【0012】図3には、本発明によるガスセンサがGa
23ベースの慣用のセンサと対比されて示されている。
図3の一番下には、センサがどの程度の期間、どのよう
なガスに晒されているのかが時間t(分)に基づき示さ
れている。これら両方の対比されたダイアグラムには、
そのつど生じている測定ガスにおける慣用の酸化ガリウ
ムセンサの反応とSiO2 により変態されたセンサ(=
本発明によるセンサ)の反応が示されている。両方のダ
イアグラムの縦座標には、抵抗RがKΩの単位で示され
ている。図3の一番下において個々の測定ガスの下に書
き込まれているバーは互いに正しい割合で示されている
ものではなく、ガス流が存在しかつ一定であったかをみ
るためのものにすぎない。この場合、時点t=350分
までは同じ湿度に保たれている。時点t=350分から
は、相対的な湿度(=H2Oの濃度) が約20分間、2
6%から13%へと減少する。酸素濃度は時点t=19
0分において約20分間、20%から1%へと減少す
る。つまりこのとき、検査すべきガス混合物中には98
%の窒素と1%のH2O と1%の酸素が存在しているこ
とになる。ここでは、工業上の適用において予期し得る
濃度を選んだ。このダイアグラムからわかるように、従
来のガスセンサと比べて本発明によるガスセンサの場合
には水素(H2) に対し感度Sが著しく高く、つまり本
発明によるガスセンサではS=53であるのに対し、従
来のガスセンサではS=5.5である。さらに両方のダ
イアグラムを比較すれば、従来のガスセンサの選択性の
欠如もわかる。酸素(O2)、アンモニア(NH3)、メ
タン(CH4)およびイソブテンの場合に著しい横感度
を有している。この場合、感度Sは、合成空気中のセン
サの電気抵抗と被検ガス中のセンサの電気抵抗との商に
より求められる。
【0013】図4にも同様に感度の変化が書き込まれて
いるが、図3とは異なりここではエタノールとアセトン
に関して示されている。
【0014】本発明によるセンサと従来のガスセンサと
の比較からわかるのは、SiO2 表面被覆層によりメタ
ンとエタノールとイソブテンに対する感度を低減でき、
これに対して水素の感度が著しく高められていることで
ある。 SiO2 層は水素に対してのみ浸透性である。
つまり、ガス感応層により大気中の湿度が遮られ、これ
により本発明によるセンサの抵抗は従来技術のセンサよ
りも5倍大きいものとなる(図3参照、従来のガスセン
サでは1MΩであり本発明によるガスセンサでは5MΩ
である)。したがって本発明によるセンサでは水素に対
しても感度が増している。なお、両方のセンサは700
゜Cの動作温度で駆動された。
【0015】有利なことに、本発明によるセンサはマイ
クロシステム互換のプレーナ技術により安価に実現でき
る。製造技術における再現性の見地からすれば、バルク
・セラミック構造よりもプレーナ技術のほうが有利であ
る。
【0016】製造において以下のステップを注目された
い:Ga23センサは、たとえば析出により周知のよう
にして製造される。Ga23層の結晶度ならびに化学量
論は、700〜1200゜Cの温度において第1の熱処
理により改善される。SiO2 から成る付加的な層は、
数nm〜μmの厚さでGa23の表面に付着される。こ
の表面変態は、スパッタリング、CVD、電子ビーム蒸
着、分子線手法あるいは湿式化学法(ゾル・ゲル法)に
より行うことができる。適切な第2の熱処理によりこの
表面が安定化される。
【0017】表面被覆によりガス感度を高度に制御する
ことができる。特定のガスに対する感度を高め、妨害と
なるガスに対する横感度を減少させるかまたは部分的に
全く取り除くことができる。
【0018】SiO2 のフィルタ効果は2つの作用に因
るものである:一方では層における孔径により、いずれ
のガス粒子がガス感応物質へ到達するのかが決定され
る。他方、ガスをろ過する層およびガスの極性(親水
性、疎水性)が決定要因となる。したがって、有極性ガ
ス分子だけまたは無極性ガス分子だけがフィルタ層の極
性状態に依存してそこを通過できるというようなことが
考えられる(たとえば疎水性の膜による湿気遮断)。つ
まり、ガスとフィルタ層がそれぞれ異なる極性状態を有
していれば、ガスはフィルタ層を通過できない。
【0019】SiO2 から成るフィルタ層によって、選
択度だけでなく特定のガスに対する感度も改善される。
このような反応は、検出すべきガスが実際には湿気を伴
って生じることから説明がつく。この場合、フィルタ層
により湿気を抑えることができる。そしてこれによって
感度が増す。なぜならば感度というのは、合成空気中の
センサの電気抵抗と検出すべきガス中のセンサの電気抵
抗の商として計算されるからである。付加的に、従来の
ガスセンサでは乾燥した空気において強い測定作用をも
つNH3 に対する感度も下がる。湿気を通さない層はG
23表面がOH基により覆われるのを阻止するので、
NH3 に対し高い測定感度をもつセンサを製造できる。
【0020】フィルタ層として使用すべき物質は、ガス
感応層よりも少なくとも10倍は小さい導電性を有して
いる必要がある。さらにこの物質はガス感応層と反応す
るものであってはならず、また、ガスの接触反応を有す
るものであってはならない。無孔性であり非晶質のSi
2 は上記の特性を備えた物質である。
【0021】たとえば Fullerene のように過度に高い
導電性を有するフィルタ特性をもつ物質や、たとえば相
互拡散または固体化学反応によってガス感応層と反応す
る物質の場合には、ガス感応層とフィルタ層との間に約
30nmまでの厚さの非導電性のSiO2 層を付着させ
ることができる。
【0022】ガスセンサの動作温度は600゜C〜70
0゜Cの間にあるようにする。これよりも低い温度であ
ると、Ga23のガス感応層における電気抵抗が高くな
りすぎる。また、これよりも高い温度であると、H2
対する感度が失われてしまう。
【0023】基板SUBの上には一方の面に加熱装置H
が設けられており、他方の面にはGa23のガス感応層
およびフィルタ層と共働する交互配置形構造体Iのかた
ちの測定電極が設けられているが、この基板SUBはA
23(酸化アルミニウム)層およびその上に配置され
た非導電性のSiO2 (二酸化珪素)層により構成でき
る。 SiO2 層は同時に拡散阻止層を成す。
【0024】第2の実施形態:第2の実施形態によれ
ば、基板SUBの上に2μmの厚さのGa23層が取り
付けられる(図2参照)。さらにこの層の上にはガス感
応性の金属酸化物層が付着される。ガス感応性の金属酸
化物層(第2の層とも称する)の厚さは、用いられる金
属酸化物に依存する。一般にはこれは30nm〜300
nmである。
【0025】このガスセンサは次のようにして製造され
る:一方の面が加熱電極構造体Hにより被覆され他方の
面が測定電極構造体Iにより被覆されている基板SUB
の上に、2μmの厚さの酸化ガリウム層が付着される。
この付着はたとえばスパッタリングにより行われる。次
に、700゜C〜1200゜Cの熱処理温度θで第1
の熱処理が行われる。これにより酸化ガリウム層の結晶
度および化学量論が改善される。そして次のステップに
おいて酸化ガリウムの表面に、3〜300nmの層厚の
ガス感応性金属酸化物層が付着される。このような表面
変態は、陰極スパッタリング、CVD、電子ビーム蒸
着、分子線手法あるいは湿式化学法により施すことがで
きる。第2の層に関しては、酸化チタン(TiO2 )、
バナジン酸アルミニウム(AlVO4 )、V25、酸化
タングステン(WO3 )または酸化タンタル(TaO)
のようなガス感応性の金属酸化物が用いられる。これに
続いて、約15時間にわたる第2の熱処理が行われ、こ
の場合の熱処理温度θは動作温度θに応じて850
゜C〜1100゜Cの間にある。熱処理温度θは基本
的に、所期の動作温度θよりも高く選ぶようにする。
以下の表には、個々のガス感応性の金属酸化物に関して
対応する層厚、熱処理温度θ、動作温度θならびに
センサの個々のガス感度が記載されている。
【0026】
【表1】
【0027】第1の熱処理後に付着されたバナジン酸ア
ルミニウムの第2の層は、第2の熱処理により五酸化バ
ナジウム(V25)になる。
【0028】導電性の変化に寄与する電子は、ガス感応
性の金属酸化物層(第2の層)によるものであって酸化
ガリウムによるものではない。電子ないし電界はガス感
応性の金属酸化物から酸化ガリウムへ移動し、そこにお
いて導電性の変化をもたらす。この場合、酸化ガリウム
のガス感応特性ではなく、第2の層として付着された金
属酸化物のガス感応特性ないしは第2の層と酸化ガリウ
ムの組み合わせ体のガス感応特性が利用される。
【0029】従来の酸化ガリウムセンサでは、測定すべ
きガスが酸化ガリウム層の表面に化学的に収着し、ある
いは半導電性の酸化ガリウム層において表面反応が生
じ、吸着媒体およびセンサ物質からの電子移動が引き起
こされ、ひいては導電性が高まることになる。
【0030】他のガス感応性金属酸化物を原子状態にす
ることにより酸化ガリウム層の表面を変えると、2つの
有利な作用が得られる。
【0031】1.ガス作用により表面から発生した電子
はGa23層に達する。低い温度(600゜C)の場
合、そこには著しく僅かな電子(10-13/cm3 )し
か存在しておらず、大きなデバイ距離が存在する。した
がって、酸化ガリウム層に達した電子により導電性の大
きな変化(約10倍)がもたらされる。
【0032】2.特別に選ばれたガス感応性金属酸化物
(第2の層)により、たとえばNOまたはNH3 のよう
な特定のガスの化学的収着が促進されるかないしは阻止
されるようにもなる。これによって、所期のように特定
のガスに対する感度(選択度)を高めることができる。
図5〜図16には、表面の変態されたセンサと被覆の施
されていないGa23センサ(=従来のセンサ)とが対
比されて示されている。これらの測定ダイアグラムの表
示は、図3と図4に示した測定ダイアグラムの表示に相
応するものである。
【0033】図17と図9の場合、被検ガスにおけるセ
ンサの抵抗は合成空気中のセンサの抵抗よりも高い。そ
の個所における感度をいっそう良好に比較できるように
する目的で、感度Sの逆数が示されている。
【0034】次に、ガス感応性の金属酸化物層を有する
選択的なセンサの実例について説明する。
【0035】a)溶媒センサ:図5には、酸化チタン層
(層厚300nm)の設けられたガスセンサのガス感応
特性が従来の(被覆されていない)Ga23センサと比
較されて示されている。この場合、第2の熱処理は熱処
理温度θ=650゜Cで実施された。動作温度はθ
=600゜C付近にある。本発明によるセンサは溶媒に
適している。エタノールに対する感度は17、アセトン
に対する感度は12、イソブテンに対する感度は4.2
のところにある。測定された他のすべてのガスにおい
て、感度は1.5よりも小さい。合成空気中のセンサの
電気抵抗は、従来の酸化ガリウムセンサよりも約10倍
小さい。また、本発明によるガスセンサの応答時間を従
来の酸化ガリウムセンサよりも減らすことができた。
【0036】b)エタノールセンサ:図7および図8に
は、酸化タンタルにより被覆されたガスセンサ(層厚3
00nm)のガス感応特性が被覆されていないGa23
センサと比較されて示されている。この場合、第2の熱
処理はθ=750゜Cで行われた。動作温度はθ
700゜C付近にある。両方のセンサはエタノールに対
し感度S=19で優位に反応している。他のすべての測
定ガスにおいて、本発明によるセンサの感度は1.7よ
りも小さい。合成空気中の本発明によるセンサの電気抵
抗は、従来のガスセンサよりも約5倍小さい。
【0037】c)酸素センサ:図9および図10には、
バナジン酸アルミニウムにより被覆されたガスセンサ
(層厚300nm)のガス感応特性が被覆されていない
Ga23センサと比較されて示されている。第2の熱処
理はθ=750゜Cで行われた。動作温度はθ=7
00゜C付近にある。本発明によるセンサは、酸素(O
2 )に対し逆数の感度1/S=2.1で反応し、アンモ
ニアに対し感度S=1.1で反応する。ここで挙げた他
の測定ガスに対する本発明によるガスセンサの感度は著
しく低い。合成空気における本発明によるセンサの電気
抵抗は、従来のガスセンサよりも約100倍小さい。し
かも、本発明によるガスセンサのセンサ信号はきわめて
安定しており、その応答時間は短い。
【0038】d)アンモニアセンサ:図11および図1
2には、バナジン酸アルミニウムにより被覆されたガス
センサ(層厚300nm)のガス感応特性が従来のGa
23センサと比較されて示されている。熱処理温度はθ
=750゜Cであり、動作温度は(上記cで挙げた酸
素センサとは異なり)θ=500゜Cのところにあ
る。本発明によるセンサはアンモニア(NH3 )に対し
S=2.1の感度を示し、水素(H2 )に対しては著し
く低い感度を示している。この場合、合成空気中の本発
明によるセンサの電気抵抗は、従来のGa23センサよ
りも著しく小さい。また、本発明によるセンサのセンサ
信号はきわめて安定している。
【0039】e)基準センサ:図13および図14に
は、バナジン酸アルミニウム層の設けられたガスセンサ
(層厚300nm)のガス感応特性が従来のGa23
ンサと比較されて示されている。熱処理温度はθ=9
50゜Cである。この場合、700゜C〜900゜Cの
動作温度θにおいて、本発明によるセンサは酸素含有
量の変化に対し感度S=1.2でしか反応していない。
他の測定ガスに対する感度は著しく小さい。ここで挙げ
た本発明によるセンサは、ガス不感性基準素子として使
用できる。
【0040】f)メタンセンサ:図15および図16に
は、バナジン酸アルミニウムにより被覆されたガスセン
サのガス感応特性(層厚30nm)が従来のGa23
ンサと比較されて示されている。熱処理温度θは10
50゜付近であり、動作温度θは1000゜Cのとこ
ろにある。本発明によるこのセンサの利点は、メタンに
対する選択性にあるのではなく、ある種の適用事例に関
してとりわけ妨害を及ぼすおそれのあるエタノールに対
する感度が低減されることにある。同じ応答時間に基づ
くならば、エタノールに対する感度は2倍、メタンに対
する感度は4倍まで減った。この場合、メタンに対する
感度は著しく減少した。安定度の少ないエタノールにお
いて濃度が著しく高まったとしても感度が高まるような
ことはほとんど発生せず、これに対してメタンの場合に
は、センサを工業的に適用したときにも検出されるよう
な濃度がすでに存在している。
【0041】g)一酸化窒素センサ:図15および図1
6には、酸化タングステンにより被覆されたガスセンサ
(層厚30nm)のガス感応特性が未処理のGa23
ンサと比較されて示されている。熱処理温度θは35
0゜Cのところにあり、動作温度θは300゜Cのと
ころにある。従来の酸化ガリウムセンサは、感応層の電
気抵抗が高いことから600゜C以下では作動させるこ
とができない。600゜C付近で最大のNO感度が得ら
れるので、この動作温度が比較のために利用される。こ
の場合、本発明によるガスセンサの感度はNOに対して
著しく高いことがわかり、これは約100倍大きいもの
である(S/1とSとの比較)。空気中における本発明
によるセンサの電気抵抗は約1MΩ付近にあり、したが
ってこれは従来の酸化ガリウムガスセンサよりもやはり
100倍小さい。
【0042】有利なことに、本発明によるセンサはマイ
クロシステム互換の安価なプレーナ技術で製造される。
この技術は製造技術の再現性の面で、バルク・セラミッ
ク構造よりも有利であるといえる。
【0043】ガス感応性の金属酸化物層を付着させるこ
とによって、ガスに対する感度を高度に制御することが
できた。特定のターゲットガスに対する感度を高めるこ
とができたし、干渉を及ぼすガスに対する横感度を低減
させることができ、あるいは部分的にまったく除去する
ことができた。従来の酸化ガリウムガスセンサにおける
エタノールに対する著しく高い感度は、本発明によるセ
ンサによれば著しく低減させることができ、その際、メ
タンに対する感度はほとんど減少しなかった(図16参
照)。
【0044】図13および図14によるガス不感性の基
準素子は、温度変動を除去するために利用できる。これ
によってセンサの温度調整はもはや不要になる。これに
ついては特許出願P 44 32 729.3 を参照のこ
と。そこでは、ガスと温度に依存する装置とそのすぐ近
くに配置された温度にのみ依存する装置を有するガスセ
ンサについて記載されている。これら両方の装置の出力
信号の差または比を形成することにより、温度変動に依
存せずガスだけに依存する測定量を得ることができる。
Ga23から成る第1の層は、安定した基本導電性を有
するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】センサ構造を上および下から見た図である。
【図2】センサを断面からみた概略図である。
【図3】従来のGa23センサと本発明によるガスセン
サとを比較した測定ダイアグラムである。
【図4】やはり従来のGa23センサと本発明によるガ
スセンサとを比較した測定ダイアグラムであるが、この
場合には別の測定ガスにおける様子を示す図である。
【図5】600゜Cで駆動した従来のガスセンサと、や
はり600゜Cで駆動し酸化チタン層で被覆された本発
明によるガスセンサとを比較した測定ダイアグラムであ
る。
【図6】やはり従来の酸化ガリウムセンサと酸化チタン
層で被覆された本発明によるガスセンサとを比較した測
定ダイアグラムであるが、図5とは異なり別の測定ガス
における様子を示す図である。
【図7】700゜Cの動作温度における従来の酸化ガリ
ウムセンサと、同じく700゜Cで駆動され酸化タンタ
ルで被覆された本発明によるガスセンサとを比較した測
定ダイアグラムである。
【図8】従来の酸化ガリウムセンサと酸化タンタルで被
覆された本発明によるガスセンサとを比較した測定ダイ
アグラムであるが、図7とは異なり別の測定ガスにおけ
る様子を示す図である。
【図9】700゜Cの動作温度における従来の酸化ガリ
ウムセンサと、同じく700゜Cで駆動され第2の熱処
理前にバナジン酸アルミニウムで被覆された本発明によ
るガスセンサとを比較した測定ダイアグラムである。
【図10】やはり従来の酸化ガリウムセンサと第2の熱
処理前にバナジン酸アルミニウムで被覆された本発明に
よるガスセンサとを比較した測定ダイアグラムである
が、図9とは異なり別の測定ガスにおける様子を示す図
である。
【図11】600゜Cの動作温度における従来の酸化ガ
リウムセンサと、第2の熱処理前にバナジン酸アルミニ
ウムで被覆された500゜Cの動作温度における本発明
によるガスセンサとを比較した測定ダイアグラムであ
る。
【図12】やはり従来の酸化ガリウムセンサと第2の熱
処理前にバナジン酸アルミニウムで被覆された本発明に
よるガスセンサとを比較した測定ダイアグラムである
が、図11とは異なり別の測定ガスにおける様子を示す
図である。
【図13】第2の熱処理前にバナジン酸アルミニウムで
被覆された本発明によるガスセンサの感度を、種々の動
作温度(700゜C,800゜C,900゜C)および
種々の測定ガスにおいて示す測定ダイアグラムである。
【図14】900゜Cの動作温度における従来の酸化ガ
リウムセンサと第2の熱処理前にバナジン酸アルミニウ
ムで被覆された本発明によるガスセンサとを比較した測
定ダイアグラムである。
【図15】1000゜Cの動作温度における従来の酸化
ガリウムセンサと、同じく1000゜Cで駆動され第2
の熱処理前にバナジン酸アルミニウムで被覆された本発
明によるガスセンサとを比較した測定ダイアグラムであ
る。
【図16】やはり従来の酸化ガリウムセンサと第2の熱
処理前にバナジン酸アルミニウムで被覆された本発明に
よるガスセンサとを比較した測定ダイアグラムである
が、図15とは異なり他の測定ガスにおける様子を示す
図である。
【図17】酸化タングステンで被覆された本発明による
ガスセンサの感度を示す測定ダイアグラムである。
【図18】図15で示したものと同じ測定条件におかれ
た600゜Cの動作温度における従来の酸化ガリウムセ
ンサの感度を示す測定ダイアグラムである。
【符号の説明】
SUB 基板 I 交互配置形構造体 H 加熱装置 KF 接触平面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ハンス マイクスナー ドイツ連邦共和国 ハール マックス− プランク−シュトラーセ 5 (56)参考文献 特開 昭58−169052(JP,A) 特開 昭57−36811(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 27/12

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガスセンサにおいて、 Ga23を有するガス感応性の層が設けられており、該
    ガス感応性の層の上にSiO2 を有するフィルタ層が設
    けられていることを特徴とするガスセンサ。
  2. 【請求項2】 前記フィルタ層は300nm〜500n
    mの厚さである、請求項1記載のガスセンサ。
  3. 【請求項3】 動作温度は600゜C〜700゜Cにあ
    る、請求項1または2記載のガスセンサ。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項記載のガス
    センサの製造方法において、 フィルタ層を陰極スパッタリング、CVD、電子ビーム
    蒸着、分子線蒸着または湿式化学法により付着すること
    を特徴とする、ガスセンサの製造方法。
  5. 【請求項5】 ガスセンサにおいて、 Ga23を有する第1の金属酸化物層が設けられてお
    り、該第1の層の上にガス感応性の金属酸化物を有する
    第2の層が設けられていることを特徴とするガスセン
    サ。
  6. 【請求項6】 前記第2の層におけるガス感応性の金属
    酸化物はTiO2 ,V25 ,WO3 またはTaOであ
    る、請求項5記載のガスセンサ。
  7. 【請求項7】 前記第2の層にはMgO,ZrO2 およ
    び/またはBeOが含まれている、請求項5記載のガス
    センサ。
  8. 【請求項8】 請求項5記載のガスセンサの製造方法に
    おいて、 電極構造体の設けられた基板(SUB)上にGa23
    付着し、 第1の熱処理を実行し、 Ga23にTiO2 ,WO3 ,TaOまたはAlVO4
    から成る層を付着し、 第2の熱処理を実行することを特徴とする、ガスセンサ
    の製造方法。
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