JP2859046B2 - 燃料電池装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、水素吸蔵合金を充填し
たボンベ内の温度を測定する構成の燃料電池装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】近年、地球環境保護の観点から、排出ガ
スが少なく、高効率な発電ができる燃料電池の研究開発
に力が注がれている。この燃料電池は、水素吸蔵合金を
充填したボンベから供給される水素を空気中の酸素と反
応させることによって、直接電力を得ることができるも
のであり、電解質によって、リン酸型、溶融炭酸塩型、
固体電解質型の種類がある。

【０００３】ところが、上記した燃料電池は、この燃料
電池が収納されている容器の複数面に空気吸入口や反応
ガス排出口が設けられているため、非動作時にそれらの
吸排口から外気等が容器内に侵入する恐れがある、この
結果、リン酸型燃料電池の場合では、電解質であるリン
酸が外気中の水分を吸収するために、リン酸濃度が低下
して電池特性が劣化するという問題点があった。

【０００４】そこで、リン酸型燃料電池の場合、非動作
時には、この空気吸入口や反応ガス排出口を蓋体によっ
て密閉して保存する構成が採られていた。

【０００５】しかしながら、この燃料電池を停止させ、
蓋体による密閉保存させると、燃料電池装置内は、動作
時による発生熱のために温度が上昇する。この熱が、高
温状態で水素貯蔵装置の水素吸蔵合金のボンベへ伝わる
と、水素吸蔵合金から水素が異常放出され、ボンベ本体
の爆発等の障害を起こし、水素貯蔵装置が機能しなくな
る。そこで、このボンベ内の温度を検知するためにボン
ベ内に温度センサ−を設けていた。

【０００６】この温度センサ−を装着した従来例を図３
及び図４を用いて説明する。１１、１５はボンベ本体で
あって、１２、１６はボンベ本体１１、１５内に充填さ
れている水素吸蔵合金、１３、１７はボンベ本体１１、
１５内に設けられたフィルタ−であり、１４、１８はボ
ンベ１１、１５内に突設された温度センサ−で水素吸蔵
合金１２，１６の温度をセンシングする。１９は配管用
コネクタで、温度センサ−１４、１８は、それぞれボン
ベ本体１１、１５の外装に溶接されたり、あるいは配管
コネクタ１９により取り付けられている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記した温
度センサ−はボンベ本体に穴を開け、この穴に温度セン
サ−を挿入して、装着させた後、この挿脱口を溶接した
り、あるいは配管コネクタで固定しなくてはならないと
いった作業が必要であり、またボンベ本体内の水素吸蔵
合金に水素を吸蔵させる際には、ボンベ本体を燃料電池
装置から取り外す必要があるが、温度センサ−のリ−ド
線が邪魔になってボンベ本体の取り外し操作がやりにく
いといった問題点があった。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明はこのような課題
を鑑みてなされたもので、燃料電池へ供給する水素を貯
蔵する水素貯蔵装置は、水素吸蔵合金を充填したボンベ
本体と、ボンベ本体の外装から中心部にまで入り込んだ
温度センサ−挿入管と、挿入管に挿脱自在に設けられた
温度センサ−とから構成されており、またさらに本発明
に用いる水素貯蔵装置は、水素吸蔵合金を充填したボン
ベ本体と、ボンベ本体の中心部に配置された温度センサ
−と、温度センサ−からの電気信号を取り出すためにボ
ンベ本体の外装に設けられた信号取り出し端子と、端子
に着脱自在に設けられたコネクタとから構成されてい
る。

【０００９】

【作用】本発明によると、ボンベ本体に外装から中心部
にまで入り込んだ温度センサ−挿入管や着脱自在に設け
られたコネクタにより構成されているので、構造がシン
プルで、簡易に温度センサ−を設けることができると共
に、ボンベ本体の着脱にもセンサ−のリ−ド線が邪魔に
ならず、操作性が向上する。

【００１０】

【実施例】本発明の一実施例を図面を用いて詳細に説明
する。図１は本発明による燃料電池装置内の水素貯蔵装
置の拡大断面図である。この水素貯蔵装置は、燃料電池
本体へ水素を供給する水素吸蔵合金からなるもので、こ
の水素吸蔵合金が充填されたボンベを複数個連ねて構成
されており、燃料電池装置の運転時間に応じた個数のボ
ンベをカ−トリッジ型に形成させることにより、燃料電
池本体に着脱可能にしたものである。１はボンベ本体で
あって、例えばステンレスなどにて作られており、水素
吸蔵合金粉末４が充填されており、水素放出口２には水
素吸蔵合金粉末４がもれ出さないようにフィルタ３が設
けられている。この水素吸蔵合金粉末４は、燃料電池装
置の発電時に燃料電池本体に水素を供給する。５はこの
ボンベ本体１に外装から中心部にまで入り込んだ温度セ
ンサ−挿入管で、この温度センサ−挿入管５の一方は封
じられて凹形に形成されており、ボンベ本体１の水素放
出口２側の他方に取り付けられ溶接されている。６は温
度センサ−であり、ボンベ固定台７にて固定されてお
り、この温度センサ−６を温度センサ−挿入管５に挿入
することにより、挿入管５を通して水素吸蔵合金粉末４
の温度を検知することができる。

【００１１】次に、上記のように構成された燃料電池装
置の動作について説明する。

【００１２】まず、この温度センサ−６を燃料電池装置
の温度センサ−挿入管５に挿入させ、ボンベ本体１を燃
料電池装置に装着する。この燃料電池装置は水素吸蔵合
金粉末４が充填されたボンベ本体１からフィルタ３を通
して放出された水素と、燃料電池装置外から吸入された
空気中の酸素との化学反応によって発電が開始される。
この発電により燃料電池本体の温度は上昇するが、水素
吸蔵合金粉末４を充填されたボンベ本体１の温度は水素
吸蔵合金粉末４からの水素放出のため温度が低下する。
しかしながら、ボンベ本体１の周辺に発電に伴って生じ
る高温ガスを通過するよう構成することによって、ボン
ベ本体１内の水素吸蔵合金粉末４の温度はほぼ一定に維
持され、水素の供給が継続される。

【００１３】一方、何らかの原因でボンベ本体１の温度
が異常に上昇すると、上述したように最悪の場合、ボン
ベ本体１の爆発事故に至る。ところが、ボンベ本体１の
温度を温度センサ−６にて、モニターすることによっ
て、このような事故を未然に防止できる。即ち、温度セ
ンサ−６がボンベ本体１の異常高温を検知した場合は、
直ちに燃料電池の発電動作を停止せしめ、それ以上の温
度上昇を防止する。

【００１４】また、上記したように、ボンベ本体１の水
素吸蔵合金粉末４に吸蔵されている水素が消費され、空
になった場合は水素吸蔵合金粉末４に水素を吸蔵させる
必要がある。その時は、ボンベ本体１をボンベ固定台７
から温度センサ−６の挿入方向にスライドさせて取り外
し、水素吸蔵装置（図示せず）で吸蔵操作を行わしめ
る。また、水素吸蔵が完了したボンベ本体１は先とは逆
方向にボンベ固定台７に沿ってスライドして燃料電池装
置に装着される。

【００１５】図２は本発明による燃料電池装置の他の実
施例を示した水素貯蔵装置の拡大断面図であり、上記実
施例１と同様の機能を有する構成部分については同一番
号を付して説明を省略する。

【００１６】この実施例において、温度センサ−６をあ
らかじめボンベ本体１内に挿入させ、この温度センサ−
６を挿入させたボンベ本体１の外装に温度センサ−６か
らの電気信号を取り出すための信号取り出し端子８を設
け、この信号取り出し端子８には、この信号取り出し端
子８に着脱自在に設けられたコネクタ９をボンベ固定台
１０によって設置させ、ボンベ本体１内の温度を検知し
たい場合に信号取り出し端子８とコネクタ９を接続させ
ることにより、簡易に温度センサ−６を設けることが可
能で、ボンベ本体１内の水素吸蔵合金の温度を検知させ
ることができるものである。

【００１７】この実施例においても、ボンベ本体１の着
脱はボンベ固定台１０に沿って行うことによって、ボン
ベ本体１の着脱と温度センサ−６のコネクト動作が同時
に行われ、ボンベ装着の操作性が向上する。

【００１８】

【発明の効果】本発明は以上の説明から明らかなよう
に、燃料電池へ供給する水素を貯蔵する水素貯蔵装置
は、水素吸蔵合金を充填したボンベ本体と、ボンベ本体
の外装から中心部にまで入り込んだ温度センサ−挿入管
と、挿入管に挿脱自在に設けられた温度センサ−とから
構成されており、またさらに本発明に用いる水素貯蔵装
置は、水素吸蔵合金を充填したボンベ本体と、ボンベ本
体の中心部に配置された温度センサ−と、温度センサ−
からの電気信号を取り出すためにボンベ本体の外装に設
けられた信号取り出し端子と、端子に着脱自在に設けら
れたコネクタとから構成されているので、構造がシンプ
ルで簡易に温度センサ−を設けることができると共に、
燃料電池装置に対するボンベ本体の着脱のための操作性
を向上せしめることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による燃料電池装置の水素貯蔵装置の拡
大断面図である。

【図２】本発明による燃料電池装置の水素貯蔵装置の他
の実施例を示した拡大断面図である。

【図３】従来例を示した燃料電池装置の水素貯蔵装置の
拡大断面図である。

【図４】従来例を示した燃料電池装置の水素貯蔵装置の
他の拡大断面図である。

【符号の説明】

１ ボンベ本体 ４ 水素吸蔵合金粉末 ５ 温度センサ−挿入管 ６ 温度センサ− ８ 信号取り出し端子 ９ コネクタ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤田 昌士 大阪府守口市京阪本通２丁目18番地 三 洋電機株式会社内 (56)参考文献 特開 昭51−4714（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−114071（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−47967（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) H01M 8/00 - 8/24

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水素を燃料として発電動作をする燃料電
   池本体と、この燃料電池本体へ水素を供給する水素吸蔵
   合金からなる水素貯蔵装置と、これら燃料電池本体と水
   素貯蔵装置とを収納する容器本体と、この容器本体を覆
   蓋する蓋体とからなる燃料電池装置において、上記水素
   貯蔵装置は、水素吸蔵合金を充填したボンベ本体と、該
   ボンベ本体の外装から中心部にまで入り込んだ温度セン
   サ−挿入管と、該挿入管に挿脱自在に設けられた温度セ
   ンサ−と、から構成されていることを特徴とした燃料電
   池装置。
2. 【請求項２】 水素を燃料として発電動作をする燃料電
   池本体と、この燃料電池本体へ水素を供給する水素吸蔵
   合金からなる水素貯蔵装置と、これら燃料電池本体と水
   素貯蔵装置とを収納する容器本体と、この容器本体を覆
   蓋する蓋体とからなる燃料電池装置において、上記水素
   貯蔵装置は、水素吸蔵合金を充填したボンベ本体と、該
   ボンベ本体の中心部に配置された温度センサ−と、該温
   度センサ−からの電気信号を取り出すためにボンベ本体
   の外装に設けられた信号取り出し端子と、該端子に着脱
   自在に設けられたコネクタと、から構成されていること
   を特徴とした燃料電池装置。