JP2858838B2 - アルミニウム鋳造合金及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム鋳造合金及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、改良された鋳造性を有する高強度、耐摩耗
性Al−Si合金、および斯かる合金の鋳造性を改良する方
法に関するものである。本発明合金は、一般に過剰な初
晶Siの生成を避けることが困難である複雑なパーマネン
ト・モールド鋳造および砂型鋳造に適している。本発明
は、斯かる鋳造において初晶Siの生成を制御するために
簡易に利用できる化学的手法を提供する。
我々は、CuおよびNaの少なくとも一方を好適に含み、
SrおよびNaの少なくとも一方によって改良処理されたAl
−(11−20%)Si合金(ここでは、ジェンキンソン合金
と称される)を、以前に提案した。ジェンキンソン合金
は、オーストラリア特許475116および他の国々における
下記対応特許の主題である。
英国 1437144スウェーデン 7468645 カナダ 1017601米国 4068645 フランス 2225534西独 2418389 日本 50116313 ジェンキンソン合金は、より明確には以下の重量組成
を有する。
Si 11−20% Mg 0− 4% Cu 0− 4% Fe 0−1.5% Sr 0−0.10% Na 0−0.10% 残部 不可避不純物を除きAlである。
ジェンキンソン合金を作るにあたり、前記組成の溶湯
は、固相成長速度Rが10−5000ミクロン/秒であり、か
つ固液界面における温度勾配Gが100℃ないし500℃であ
るような条件下で凝固せしめられる。Siが外径10ミクロ
ン未満、好ましくは外径1ミクロン未満の共晶粒子形状
である90%以上のAl−Si共晶相を含み、事実上初晶Alあ
るいはSiの存在しないマイクロ組織を有するジェンキン
ソン合金を製造するために、斯様な凝固条件が制御され
る。
過共晶ジェンキンソン合金に関し、十分に改良された
共晶組織を得るためにカップルド共晶成長概念が提案さ
れた。かかる組織は、上記で示唆され厳格に制御された
凝固条件、すなわち実験室用凝固リグ中で得られるよう
な、または極めて簡単な鋳造を行う際に得られるような
条件下で得られる。しかしながら、該合金をもって伝統
的な鋳造技術で製造されるシリンダ−ブロックおよびエ
ンジンブロックのような複雑な鋳造物において、事実上
初晶Siの存在しない組織を得ることは不可能であること
が判った。正しく理解されるであろうが、初晶Siの存在
は、合金の性質、とりわけ機械加工性および疲労抵抗性
を大きく減退させる。
その非常に困難なる鋳造性の結果として、ジェンキン
ソン合金は斯かる複雑なエンジン部品の製造に首尾よく
利用され得なかった。
ジェンキンソン合金の開発に続いて、我々は更に、12
−15%のより低いSi範囲の複雑なAl−Si合金(ここで
は、3HA合金と称される)を提案した。我々の3HA合金は
オーストラリア特許536976および他の国々における下記
対応特許保護の主題である。
英国 2085920ニュージーランド198294 カナダ 1175867スウェーデン 454446 フランス 2489846米国 4434014 日本 62011063西独 3135943 我々の3HA合金は、以下の重量組成を有する。
Si 12−15% Cu 1.5−5.5% Ni 1.0−3.0% Mg 1.0−1.0% Fe 0.1−1.0% Mn 0.1−0.8% Zr 0.01−0.1% Si改良剤 0.001−0.1% Ti 0.01−0.1% 残部 不純物を除きAlである。
オーストラリア特許536976および他の国々における対
応特許で規定されるように、3HA合金の提案は、前記組
成の溶湯を確立するとともに、凝固の間、Rが150ない
し1000ミクロン/秒であり、GについてはG/R比が500〜
8000℃・秒/cm2となるような条件下で、該溶湯を凝固
せしめる準備を形式として必要としている。
3HA合金は、鋳造性、摩擦特性および機械的性質に関
し、ジェンキンソン合金と比較して大いに改善されてい
る。3HA合金は、簡単な鋳物形状および複雑な鋳物形状
の両方につき、高圧ダイカスティングによって首尾よく
鋳造され得るとともに、斯様なダイカスティングは、該
合金を生産ベースで使用するのに適している。3HA合金
は、また砂型およびパーマネント・モールドをもって生
産ベースで首尾よく鋳造され得るとともに、良好な特性
を有する鋳造品が製造され得る。しかしながら、生産ベ
ースでの砂型あるいはパーマネント・モールドによる3H
A合金の鋳造は、本質的に、円筒形部材のような比較的
簡単な鋳造物に限定される。砂型あるいはパーマネント
・モールドで製造される、より複雑な鋳造物について
は、典型的には大粒子である過剰な初晶Siの生成を避け
るために厳格な制御が必要である。斯様な初晶Siの生成
はそれ自身有害であると同時に、マトリックス中のSiを
低減化し、結果として、Al−Si共晶を伴なった樹枝状ア
ルファ・アルミニウムの大領域で特徴づけられるマトリ
ックスを生ぜしめる。3HA合金における初晶Siの有害な
作用および関連する特徴は、機械加工性、疲労強度およ
び耐摩耗性の大きな低下に帰着する。
複雑な鋳造物における3HA合金の組織は、パーマネン
ト・モールドにあっては冷却ないし加熱の、砂型にあっ
ては冷し金の、好判断なる利用によって改良され得る。
しかしながら、エンジンブロックおよびシリンダヘッド
のような複雑な鋳造物の大量生産において、これらの技
術は経費高になるだろう。結果的に、簡単な鋳造物また
は高圧ダイカスティングによって製造される鋳造物にあ
っては、3HA合金によって非常に望ましい特性が得られ
るにもかかわらず、組織制御の問題が3HA合金の実際の
利用性を制限する。
本発明は、過共晶Al−Si合金の改善された鋳造方法を
提供することによって上述の問題を克服することに向け
られている。この発明は、特に、改善された鋳造性を有
するとともに、12−15%Siを含み過共晶Al−Si合金の製
造においてとりわけ有用な義通を提供する3HA型の合金
を完成することに関するものである。なお、ここで全て
の組成は重量%に基づいている。本発明合金は、ここで
詳述される限定を条件として、おおまかには我々のオー
ストラリア特許明細書536976および諸国におけるその対
応特許明細書で開示されるようなものであってよいが、
該明細書の合金に限定はされない。
本発明は、チタンとの組み合わせの下での、Al−Si合
金に対する異常に高い水準のストロンチウム(従来使用
されているストロンチウムと比較して)の添加を包含す
るものである。
亜共晶Al−Si鋳造合金(12.7%未満のSiを含む)は、
通常、共晶Si粒子を細かくするとともに球状化するため
にSr(0.03%)のような極く低い水準の改良剤を使用し
ている過共晶合金(12.7%を超えるSiを含む)では、前
記536976号明細書で開示されたように、0.1%以下のSr
のごとき改良剤の使用が、カップルド・ゾーンを超え、
したがって事実上共晶マイクロ組織が達成され得る合金
のSi含有量を超えるように提案されている。
しかしながら、本発明前には、好ましからざる影響を
避けるために改良剤がこのように極めて低い水準で使用
されている。Srの場合、0.10%を超えると機械的性質に
有害な金属間化合物を形成するが故に、その水準は0.10
%未満である。金属間化合物の粒子は、マイクロ組織に
おける弱点となって強度よび疲労抵抗の減少を招く小板
状体を形成する。改良剤としてのSrの場合に立ち戻るな
らば、このことがG.K.シグワースの報告書(詳細研究報
告83−12 1982年11月、キャボットCorp.、郵便箱1462、
PA.版、19603)およびB.クロセットとJ.E.グルズレスキ
ーの報告書(AFS会報、82/31、453−464頁)で説明され
ている。
以下に十分詳細に述べられる本発明のAl−(12−15
%)Si合金において、我々は、驚くべきことに、0.1%
を超える水準でのSrの使用が極めて有益な効果を達成す
るということを見い出した。とりわけ、我々は、Srが0.
10%を超えて本発明合金に添加されるとき、該Srは複雑
な鋳造物における初晶Siの出現をなくすほど十分にカッ
プルド・ゾーンを拡大はしないが、その代りに、生じる
初晶Si粒子の浮上を事実上妨げるということを見い出し
た。このことは予期されない結果である。
高いSrを含む本発明のAl−(12−15%)Si合金におけ
るTiの水準の有益な効果もまた予想されない。0.03−0.
05%Tiの水準は、初晶Alの該発生場所を提供する結晶微
細化剤として、Al鋳造合金で普通に使用されている。し
かしながら、本発明において我々は、高いSrを含む合金
に対する0.005%を超える水準でのTiの添加が予想せざ
る他の効果を表するということを見い出した。
とりわけ、0.005%を超えるTiが、高いSrを含む合金
に限って、初晶Si粒子の生成を大いに抑制するという第
一の有益な効果を提供すとるいうことが見い出された。
更に我々は、本発明合金におけるTiの使用が第二の有
益な効果を奏するということを見い出した。この効果
は、0.1%を超える水準のSrの使用で生じると予想され
る有害な小板状Sr金属間化合物の生成を妨げることであ
る。Sr金属間化合物粒子は依然形成されるものの、本発
明に従った0.005%を超えるTiの使用が、Sr金属間化合
物粒子が事実上等軸的な塊状体として存在する結果をも
たらすことが見い出された。すなわち、この場合のTiが
Sr金属間化合物粒子の形態を変化させることが見い出さ
れたのである。0.1%を超える水準のSrおよび0.005%を
超える水準のTiの組み合された結果は、本発明による合
金は事実上初晶Si粒子が存在せず、他方では、生じる斯
様の粒子の浮上が事実上妨げられるというようなもので
あり得る。
最も好ましくは、Tiは、硼素の過剰でないAlTiB、ま
たはAlTi母合金(これは少なくとも一つの(Al,Ti)
B2、TiB2およびTiAl3の如き化合物を含むか又は備えて
いる)として添加され得る。TiCおよびTiNのような他の
類似化合物もまた上記化合物と同様な効果を達成し得
る。各々の場合において、Ti化合物の少なくとも一つの
添加は、0.005%のTi水準が得られるような該添加であ
る。以後、Ti添加が引き合いに出されるときには常に、
上記化合物の少なくとも一つの添加を示唆しているもの
として読まれるべきである。さもなければ、他の方法で
呼ばれる。
かくて、本発明によれば、12−15%のSiを含む過共晶
Al−Si合金の鋳造物を製造するための下記(a)、
(b)を包含する方法が提供される。
(a)0.11〜0.4%のSrおよび0.005<Ti≦0.25%のTiを
含み、Tiが(Al,Ti)B2またはTiB2またはそれらの混合
物の形態で存在している場合には、Ti量が0.1%を超え
ず、さらに以下の成分: Cu: 1.5〜5.5% Ni: 1.0〜3.0% Mg: 0.1〜1.0% Fe: 0.1〜1.0% Mn: 0.1〜0.8% Zr: 0.01〜0.1% Zn: 0〜3.0%(無添加の場合を含む) Sn: 0〜0.2%(無添加の場合を含む) Pb: 0〜0.2%(無添加の場合を含む) Cr: 0〜0.1%(無添加の場合を含む) Na: 0〜0.01%(無添加の場合を含む) B(単体):最大0.05% Ca: 最大0.003% P: 最大0.003% その他: 各々最大0.05% 残部: 偶然の不純物を除きAl を含む合金の溶湯を用意する段階と、 (b)事実上Srの溶損なしにモールド内に溶湯を鋳造し
て鋳造物を形成する段階であって、Sr:0.11〜0.4%、0.
005<Ti≦0.25%の各範囲で、モールド型式および鋳造
物の複雑さによって経験される凝固条件に応じてSrとTi
の量が調整され、もって、存在する全ての初晶Siが事実
上均一に分散されるとともに事実上偏析がなく、さらに
事実上均一に分散したSr金属間化合物粒子が存在するも
のの小板形態での該粒子は事実上存在せず、圧倒的に共
晶マトリックスを含むマイクロ組織が結果として得られ
る改善された鋳造性を溶湯が有することになる前記鋳造
物形成段階。
本発明はまた、12〜15%Siを含む下記過共晶Al−Si鋳
造合金を提供する。
良好な摩耗抵抗および機械加工性と、改善された疲労
強度と、環境温度および上昇温度における良好なその他
の機械的特性を有する、Si:12〜15%を含む過共晶Al−S
i鋳造合金であって、0.11〜0.4%のSrおよび0.005<Ti
≦0.25%のTiを含み、Tiが(Al,Ti)B2またはTiB2また
はそれらの混合物の形態で存在している場合には、Ti量
が0.1%を超えず、さらに以下の成分: Cu: 1.5〜5.5% Ni: 1.0〜3.0% Mg: 0.1〜1.0% Fe: 0.1〜1.0% Mn: 0.1〜0.8% Zr: 0.01〜0.1% Zn: 0〜3.0%(無添加の場合を含む) Sn: 0〜0.2%(無添加の場合を含む) Pb: 0〜0.2%(無添加の場合を含む) Cr: 0〜0.1%(無添加の場合を含む) Na: 0〜0.01%(無添加の場合を含む) B(単体):最大0.05% Ca: 最大0.003% P: 最大0.003% その他: 各々最大0.05% 残部: 偶然の不純物を除きAl を含み、 さらに、該過共晶Al−Si鋳造合金における0.11〜0.4%
のSrおよび0.005<Ti≦0.25%のTiによれば、形成され
る全ての初晶Siが事実上均一に分散されるとともに事実
上偏析がなく、さらに事実上均一に分散したSr金属間化
合物粒子が存在するものの小板形態での該粒子は事実上
存在せず、圧倒的に共晶マトリックスを含むマイクロ組
織を有する過共晶Al−Si鋳造合金。
略述すれば、本発明は、0.005%を超えるTiを伴う0.1
%を超える水準のSrの使用によって、Al−(12−15%)
Si合金における有益な結果が得られるという予期せざる
発見の組合わせに基づいている。したがって、結果とし
ての満足できるマイクロ組織が、化学的な手法によって
獲得されるところ、片や従来では、金属および型温度の
厳格なる制御を包含する厳格に制御された凝固技術によ
って同様な結果が獲得されるように試みられていたので
ある。その場合、従来試みられていた注意深く厳格に制
御された凝固技術は、また鋳造物の複雑さが増すことに
よっても要求されていた。換言すれば、特別な凝固条件
が、複雑さの異なる鋳造物毎に要求されていたのであ
る。
0.005%を超えるTiを伴う0.10%を超えるSrの使用
は、鋳造物の商業生産における12−15%Srを有する過共
晶アルミニウム合金の有用さを事実上増大させる能力を
与える。すなわち、SrとTiの上記適切な組合わせ使用に
より、初晶Siが抑えられるとともに小板状Si金属間化合
物が事実上除去された鋳造物を製造することが可能にな
るのである。しかしながら、初晶Siの抑制が必要である
その程度は、凝固条件の可変性の故に、したがって鋳造
物の複雑さに応じて変動する。同様に、初晶Siが形成さ
れる傾向は、パーマネント・モールドと比較して砂型で
作られる所定の鋳造物の方が大きい。しかしながら、こ
れらの各事項は、0.1%を超える低い水準のSrの適切な
調整添加、および初晶Siの更なる制御とSr金属間化合物
の制御のための対応するTiの添加によって補償され得
る。
本発明によれば、0.1%をほんの僅かに超える水準のS
rは、概して、パーマネント・モールドで製造される比
較的簡単な又は薄い壁断面の鋳造物にのみ適当である。
一般的には、Srは少なくとも0.11%の水準で存在してお
り、これは複雑さの程度が低いか、又はパーマネント・
モールドで製造される比較的に薄壁断面の鋳造物である
か、あるいは砂型で製造される比較的簡単な又は薄い壁
断面の鋳造物に適している。0.4%を超えるSrの添加
は、初晶Siの生成を抑えるという点に関して、いかなる
利益増大も得られず、単にSr金属間化合物が生成する傾
向およびその制御の困難さが増すだけであるため、Srの
水準が0.4%を超える必要はない。前述したとおり、鋳
造物の複雑さ又は壁断面の厚さに関係して、代表的なSr
添加範囲は0.11−0.4%であり、0.15−0.4%が好まし
い。0.18−0.4%水準でのSrはさらに好ましく、0.25−
0.35%が最も好ましい。
指摘したとおり、本発明によれば、高Sr含有合金にお
いて要求されるTiの水準は0.005%を超える。Al−Ti−
B母合金としてTiが添加されるとき、Ti水準は好ましく
は0.1%を超えるべきではない、何故なら、この水準を
超えると、それは否定的な結果をもたらし、初晶Siの生
成を増すように見えるからである。Al−Ti−B母合金以
外の型でTiが添加されるとき、最も好ましい水準は相違
し得るのであり、例えば、Al−Ti母合金としてのTiAl3
では、Ti水準は好ましくは0.25%を超えるべきでない。
要求されるTiの水準は、0.10%を超えるSr水準によって
一部支配され、概して該Sr水準とともに増大する。好ま
しくは、Tiは0.01−0.06%水準で供給され、最も好まし
くは0.02−0.06%、例えば0.03−0.05%である。
Ti化合物は、ワッフル(煎餅状体)、ブリケット、棒
または粉末としての母合金、あるいは粉末形態での個個
の化合物としての母合金を包含する異なる形態および方
法で添加され得る。粉末は溶剤注入技術によって添加さ
れ得る。
0.10%を超える水準でのSrの使用は、初晶Si粒子の数
を減少させること、および初晶Si粒子の浮上を防ぐこと
に加えて、既知の改良剤効果をも本発明の合金に与える
ことができる。すなわち、Srは共晶Si粒子の形状を改良
し(微細化および球状化)、また事実上完全な共晶マイ
クロ組織を有する合金のSi含有量範囲を拡大することが
できる。このことにもかかわらず、必要とあれば本発明
の合金は、後者の目的のために既知の改良剤であるNaを
含有することもできる。しかしながら、斯様な既知の改
良剤が存在する場合には、それは上限0.01%までの通常
の範囲内で使用され、しかも該改良剤は0.10%を超える
水準でのSrの使用に対して追加的である。過剰な水準の
Naは、それ自身望ましい効果を持たないだろう。
前述のとおり、本発明による合金および鋳造方法が、
存在する他の合金添加物のほかに、そのSi、SrおよびTi
含有量によって定義された。Cu、Ni、Mg、Fe、Mnおよび
Zrの添加は、金属間化合物の強化と硬化を与えるための
ものである。
上述の元素に加えて、本発明の溶湯および合金はZn、
Sn、PbおよびCrを含有することができる。一般に、これ
らの元素は著しく有益な効果を与えないが、また前述さ
れたそれぞれの限定未満で使用される限り、好ましくな
い結果をもたらすことはない。もし存在しても、それら
は好ましくない結果を避けるための前記限定を超えるべ
きではない。
Zn、Sn、PbおよびCrは著しく有益な効果を与えない
が、これらの各々が考慮に入れられることが必要であ
る。この主な理由は、スクラップ材から製造される本発
明による二次合金またはスクラップ材を含む二次合金に
これらの元素が存在し得るからである。
他の元素が存在してもよく、概してこれらは各々0.05
%を超えないのが好ましい。このことについての例外
が、CaおよびPの場合に存在する、というのはこれらは
マイクロ組織の共晶についての改良に逆の影響を及ぼす
からである、そしてCaおよびPの各々は0.003%を超え
ないのが好ましい。
上述の我がオーストラリア特許明細書536976および諸
国におけるその対応特許において、3HA合金の製造のた
めに該明細書中で開示されたプロセスが、合金溶湯の凝
固を含む下記のような特殊な冷却条件の使用を必要とし
ている。
(a)凝固の間の固相の成長速度Rが150−1000ミクロ
ン/秒である。
(b)固液界面での℃/cmで表される温度勾配Gが、比G
/Rが500−8000℃・秒/cm2であるような値である。
大きな初晶Si粒子の生成と浮上の問題がより積極的に
克服されるように、本発明は、このプロセスとの組み合
わせで利用され得る。かくて、本発明の一つの好ましい
形態において、改善された種類の3HA合金、およびかか
る特殊な冷却条件に基づくその製造プロセスが提供され
る。該明細書536976の全開示事項は、この引照によって
本明細書のこの箇所に編入され、したがって本明細書の
一部として読まれるべきである。
斯様な本発明の好ましい形態において、Tiを伴う高い
水準のSrは、またその上に初晶Si粒子の数を減少させ、
事実上初晶Si粒子の浮上を抑制する。この好ましい形態
は、勿論、比較的複雑な鋳造物以外に利用され得る。し
かしながら、その適用は、主として、他の方法では初晶
Si粒子の除去、および仮に該初晶Si粒子が出現したなら
ばその浮上を阻止することが実際に不可能であるような
複雑な鋳造物に関連している。何故なら、かかる鋳造
物、例えば非常に薄い断面部と非常に厚い断面部とを兼
備する鋳造物においては、凝固条件の変動が起こり得る
からである。
発明の好ましい形態についての上の記述では、引照
は、単に前記明細書536976に開示された3HA合金それ自
体に対するよりもむしろ改善された種類の3HA合金に対
してなされている。このことは、使用される高い水準の
Srに帰因する組成における変化を幾分反映しており、同
時にそれはSrに加えて該Sr以外の改良剤を使用し得るこ
とを反映してもいる。さらに、ここで説明されるように
Ti量は変化することができ、しかもB(硼素)が存在で
きる。CaおよびPの水準を超える任意の合金添加と抑制
も許容される。
0.10%またはそれより少ないSrの水準では、初晶Si粒
子の生成を制御し、浮上を妨げることは困難である。ま
た、表示されたように、0.4%を超える水準でのSrは追
加の利益を達成しないことが見い出されている。0.4%
よりも多いSrの使用は、むしろ、コストを増し、小板状
Sr金属間化合物粒子の生成を抑制することをより困難に
する。0.005%またはそれよりも少ないTiは、初晶Si量
を更に減少させること、および小板状Sr金属間化合物粒
子の生成を抑制することについての有益な効果を達成し
ないということが見い出されている。Al−Ti−B母合金
として添加されるときには0.1%、そしてTiAl3またはそ
の他の形態でのAl−Ti母合金として添加されるときには
0.25%である上記の対応するTi限界でのTiは、金属間化
合物の形態を変えるという追加の利益を達成せず、逆に
初晶Siの生成を増大させる傾向を有するということが見
い出されている。
合金元素Cu、Ni、Mg、Fe、MnおよびZrの場合には、合
金の組成は、最も好ましい利益を達成するために、これ
ら合金元素の注意深い選択および各々の正しい割合を必
要とする。通常、本発明の合金として明記された最大値
を超えるこれら合金元素の水準は、過剰な粗い初晶金属
間化合物を増大させる。明記された最小値未満の水準
は、通常、次に説明される実際の有益な効果を達成しな
い。
本発明の合金では、Cu、Ni、Mg、Fe、MnおよびZrは、
共晶マイクロ組織の一部を形成するとともに、主として
Al−Si−Cu−Ni系に基づく金属間化合物を供給する。共
晶金属間化合物粒子は主としてSiであるが、Cu−Ni−A
l、Cu−Fe−Ni−Alおよび他の複雑な金属間化合物相も
存在し得る。当然、粒子サイズが増す程、荷重印加状態
での割れ傾向が増す。この理由のために、共晶を構成す
る金属間化合物粒子は微細でなければならず(径で10ミ
クロンより小さい)、好ましくは均一に分散し、かつ好
ましくは5ミクロンよりも大きくない粒子間隔を有して
いなければならない。
共晶金属間化合物粒子に加えて、本発明の合金は共晶
アルファ・アルミニウム相内に金属間化合物析出物の分
散を含んでいる。その様な分散は、マトリックスを補強
し、荷重が共晶粒子に伝達されるのを助け、また仮にい
ずれかの共晶粒子が割れた場合の荷重分担能力を増す。
本発明合金においては、我々は、元素MgとCuは析出硬化
および(または)固溶体の形成によるマトリックスの強
化に責任を負うていると考える。Cu対Mgの比は、3:1−
8:1の限界内にあるのが好ましい。この比未満では好ま
しいからざる析出物が生じ得る。規定の限界を超える水
準のCuは、或る用途での合金の腐食抵抗を減退させ得
る。
強化は、分散粒子を含む安定したMnおよび(または)
Zrの存在によって更に高められる。我々は又これらの元
素を、高温抵抗を改善するためのもののうちに含める。
Ni、FeおよびMnは、昇温度特性を改善するために特に
有効であり、互いに一群の化合物を形成する。これらの
元素は、以下に示されるように或る程度まで互換性があ
る。
0.2<Fe+Mn<1.5 1.1<Fe+Ni<3.0 1.2<Fe+Ni+Mn<4.0 したがって、発明の合金は、Fe含有量の低い一次合金
であってもよく、またFe水準が仕様の最大値に達し得る
二次合金であってもよい。MnおよびNiは上記のとおりに
調整されねばならない。
形成されいる初晶Si粒子の数をさらに減らすこと、お
よび小板状体が形成されないように、どのSr金属間化合
物粒子の形態をも変えることにつき、ここで説明される
その役割に加えて、Tiは周知の結晶粒微細化剤であり、
その結果として合金の機械的性質を改善できる。
一方、本発明の合金は鋳放し状態で優れた特性を有し
ており、その組成は、最大の特性が熱処理によって改善
され得るような該組成である。しかしながら、熱処理は
任意であることが理解される。例えば、鋳造合金は160
−220℃、2−16時間の安定化人工時効処理に直接委ね
られ得る。
種々のその他の熱処理計画が採用され得るのであり、
480−530℃、5−20時間の溶体化処理を包含し得る。こ
れらの溶体化処理は、金属間化合物粒子を強化する容認
できない成長を依然として避けながら、Al中に元素の適
当なる過飽和溶液を作って、共晶粒子の好ましい分散が
残るように、すなわち、共晶粒子が径において10ミクロ
ンよりも小さく、好ましくは等軸的であり、好ましくは
均一に分散しており、かつ好ましくは粒子間隔が5ミク
ロンよりも大きくないマイクロ組織になるように、選択
される。
溶体化処理に引き続き、焼入れ後、140−250℃、2−
30時間の人工時効を行ってもよい。典型的な熱処理計画
は次のとおりであってよい。
500℃で8時間、 熱水中に焼入れ、 160℃で16時間の人工時効。
明細書536976のプロセスとの組み合わせで使用される
本発明の好ましい形態についての上の記述において、明
細書536976で開示された範囲の度合の値を有する成長速
度R、および比G/Rを達成する温度勾配Gに対して引照
がなされる。それらの範囲は、その組み合わせのための
凝固条件の設定において使用され得る。しかしかしなが
ら、Tiと組み合わせた0.11%から0.4%に至る0.10%を
超える水準でのSrの使用は、凝固条件の緩和(例えば、
低成長速度または低温度勾配)を可能にする。前記明細
書536976中で開示された3HA合金のためのプロセスは、
温度勾配Gが7。5℃/cm−800℃/cmなる範囲にあり、
成長速度Rが150ミクロン/秒−1000ミクロン/秒なる
範囲にあって、500−8000℃・秒/cm2なるG/R範囲を与
えることを必要とする。本発明の合金は、7.5℃/cmより
も小さい温度勾配および150ミクロン/秒よりも小さい
成長速度の下で凝固する鋳造物のために適している。本
発明合金に適用し得るGおよびRの下限値は、Gについ
ては極めて0℃/cmに近く、Rについてはほぼ15ミクロ
ン/秒である。
かくて、本発明によれば、Tiと組み合わせたSrの必要
な追添加を含むAl−(12−15%)Si合金により、著しく
広い範囲の凝固条件の利用を許容し、もって凝固条件に
ついての厳格な制御に依存する必要性を排除する化学的
手段によって、マイクロ組織が本質的に制御される鋳造
物が製造される。例えば、著しく変化する断面厚さの特
徴を示す鋳造物の場合であっても、所望のマイクロ組織
を有する鋳造物が従来の砂型を用いて製造され得る。
Tiの使用と関連して、Al−Si合金においては、゛微細
な粒組織が得られるように、凝固の間Al粒のための核と
して働く粒子を作るべく″TiおよびBが普通に使用さ
れ、それらはAl−Ti−B合金の形態で添加されるという
ことが認識されている。大方の合金使用は、0.2%まで
の水準のTiを容認しているが、過剰のTiB2が鋳造物に硬
質スポット(TiB2粒子の集団)をもたらし得るが故に、
実際には、その水準は0.05%未満に維持されるのが普通
である。斯様な硬質スポットすなわち集団は機械加工上
の問題を生み出す。予想に反して本発明の合金では、斯
様な手段は、好ましからざる程度のものとしては存在し
ない。Al−Si合金におけるボロンの水準は、通常、特定
されない。むしろ、その水準は添加物としてのAl−Ti−
B合金のB含有量によって決定される。しかし、一般に
は、0.05%を超えない。
更に上述されたように、本発明によれば、高Sr含有合
金における0.005%を超えるTiの使用は、形成される初
晶Si粒子の数を更に減少させること、およびSr金属間化
合物小板状体の形成を阻止することの両方において、全
く予想されない態様で作用するように見える。すなわ
ち、従来のTiの役割はAl粒の核生成にある。これと対照
的に本発明では、Tiは、単に更により微細な板状粒子の
核を形成するというよりはむしろ、初晶Si粒子の形成を
妨げ、Sr金属間化合物粒子の形態を変えるものである。
したがって、Tiについては、Sr金属間化合小板状体が生
じるためのより多くの核生成場所を与えるという単純な
ケースではなく、むしろ初晶Siの形成を妨げるととも
に、Sr金属間化合物粒子の結晶学的成長の動力学を変え
得る何らかのより複雑な作用メカニズムを有するケース
である。
Srは、発明に係わる合金の鋳塊を形成するために、0.
10%を超えて必要とされる水準まで、溶湯中に又は溶湯
から製品を鋳造する直前に添加もしくは調合され得る。
Srの添加は、溶解炉内、保持炉(ホールディング炉)内
または樋内になされ得る。Ti化合物もまた、これ等の段
階のうちの或る段階または他の段階で、Tiが0.005%を
超えるような必要水準まで添加され得る。
発明の合金は、幾つかの有益な特性によって特徴づけ
られる。これらの特徴は、初晶Si粒子および浮上しない
初晶Si粒子が事実上存在せず、かつSr金属間化合物小板
状体を事実上含まない、その特殊なマイクロ組織のため
である。
本発明合金は、正しいマイクロ組織を与えるように鋳
造され得る場合の特許536976合金の機械加工性に類似す
る良好な機械加工性を有すると同時に、本発明合金の機
械加工性は、その、より終始一貫したマイクロ組織の結
果と同様に終始一貫している。勿論、このことは初晶Si
粒子の形成に関する化学的手段による制御と調和してい
る。しかしながら、Sr金属間化合物粒子の増大した水準
が0.1%を超えるSrの使用によって生じることも驚くべ
きことである。しかし、本発明によれば、存在するSr金
属間化合物粒子はおおよそ等軸的塊形状で、均一に分散
した微細粒子である。
初晶Sr粒子の偏析が起こる合金では、例えばそれらが
浮上後に出っ張り部分の下で捕えられるとき、斯様な偏
析は典型的には鋳造物の表面にある。斯様な偏析の回避
が本発明の合金で得られ、もってその概略良好な機械加
工性を更に高める。かくして、発明による鋳造物を機械
加工し、穴あけし、またはねじ切りを行う必要がある場
合、そのような作業は、存在するかもしれない初晶Si粒
子の均一な分布によって、該初晶Si粒子の偏析によるよ
りも、促進される。
本発明の合金は、特許536976の合金に比べて著しく高
められた疲労強度を示す。また、引っ張り強度は、特許
536976の合金に比べて、顕著ではなく、僅かに減少し得
る。硬度および摩耗抵抗のような他の物理的特性は、本
質的に該特許合金のそれと同等である。
かくて全体として、本発明の合金は、特許536976の合
金に対し或る点で同等であるが、鋳造性における重要な
改善(これは終始一貫したマイクロ組織を与え、もって
優れた機械加工性と疲労強度を与える)によって特徴づ
けられるということにおいて優れている。これらの改善
は、生産ベースでの、より実際的な高容積鋳造を可能に
し、それによって生産ベースで鋳造され得る製品の範囲
を拡大するとともに、またより広い実用範囲を有する製
品を得ることをも可能にする。
前述のとおり、マイクロ組織が圧倒的に共晶である合
金に引照がなされた。斯様なマイクロ組織は、10%まで
の初晶アルファ・アルミニウム樹枝状晶を含み得るとい
うことが留意されるべきである。我々は、斯様な水準ま
での樹枝状晶が、合金特性における過度な減少なく許さ
れ得るということを見い出した。金属間化合物粒子を作
る他の合金添加物の漸進的増大によって、依然として共
晶が圧倒的であるものの、マトリックスは斯様な金属間
化合物によって境界づけられた共晶胞(セル)を示す。
ここで、付帯図面に参照がなされる。
第1(a)図および第1(b)図は、特許536976によ
る3HA合金の最適マイクロ組織を示す顕微鏡写真であ
る。
第2(a)図および第2(b)図および第3(a)図
および第3(b)図は、特許536976による3HA合金の代
表的な劣ったマイクロ組織を示す顕微鏡写真である。
第4図は、特許536976による3HA合金の機械加工性に
及ぼす初晶Siの有害な影響を説明するグラフである。
第5図は、特許536976による3HA合金の疲労強度に及
ぼす初晶Siの有害な影響を説明する棒図表画である。
第6(a)図および第6(b)図は、特許536976によ
る3HA合金で作られた一鋳造物の顕微鏡写真である。
第7(a)図および第7(b)図は、本発明による一
鋳造物の顕微鏡写真である。
第8図は、本発明による一鋳造物の破断表面の走査電
子顕微鏡写真およびX線解析である。
第9図は、本発明による合金の一点(多数回の試験の
平均値)を伴った。3HA基合金中のSr含有量に対する引
っ張り強度のグラフである。
第10(a)図および第10(b)図は、本発明による鋳
造物のマイクロ組織を示す顕微鏡写真である。
第11(a)図および第11(b)図は、本発明による鋳
造物のマイクロ組織を示す別の顕微鏡写真である。
第12(a)図および第12(b)図は、本発明による鋳
造物のマイクロ組織を示す更に別の顕微鏡写真である。
第14図は、特許536976および本発明による3HA合金の
各S−N曲線を示すグラフである。
第15図は、特許536976および本発明による3HA合金の
各機械加工性曲線を示すグラフである。
第16(a)図および第16(b)図は、それぞれ従来水
準および高い水準での改良剤としてのNaを有する3HA合
金のマイクロ組織を示す各顕微鏡写真である。
第17図は、明細書536976による3HA合金、および本発
明によりSrとTiの添加を伴った3HA合金のGとR間の関
係の部分を示す図である。
第1図ないし第3図は、それぞれの顕微鏡写真(a)
×50、(b)×100において、オーストラリア特許53697
6で開示された合金および方法における拘束を明確に説
明している。その顕微鏡写真は、該特許による典型的な
3HA合金であって0.1%未満の水準での改良剤としてのSr
を含み、変化する条件下で鋳造された3HA合金で作られ
た鋳造物から撮られている。第1図における鋳造物のG
およびR値は3HA合金のために特定された該パラメータ
範囲内にあり、他方、第2図および第3図における鋳造
物のGおよびR値は3HA合金のために特定された該パラ
メータの下限未満にある。明確には、Gは範囲1−5℃
/cm内にあり、Rは範囲10−30ミクロン/秒内ある。第
1図は該代表的合金の比較的簡単な鋳造物の最適組織を
示している。第2および3図は、該代表的合金の砂型鋳
造されたフィン付きシリンダおよびエンジンブロックの
各好ましからざる組織を示している。その組織が第2図
および第3図に示されている鋳造物の各々はかなりの数
の大きなSi粒子を含んでいる。加え、第2図および第3
図で明らかな初晶Siの形成がマトリックスのSiを空虚に
したため、各場合のマトリックスが、樹枝状形態でのア
ルファ・アルミニウムおよび未改良Al−Si共晶の大領域
を特徴づけている。
第2図の顕微鏡写真(a)および(b)に隣接して、
フィン付きシリンダの壁断面の概略図が示されている。
その図面の指示(a)および(b)は、それぞれの顕微
鏡写真が撮られた領域を示している。シリンダは、次第
にモールドを満たすように、その頂部から3HA合金を注
ぐことによって鋳造された。相対的に急速な冷却が得ら
れることにより、比較的良好なマイクロ組織がフィンの
ない主壁底部およびフィン外端部で得られた。しかしな
がら、マイクロ組織は主壁の高い水準およびフィンの放
射内側部分で次第に悪化した。
同様に、第3図の顕微鏡写真(a)ないし(c)に隣
接して、同じ関連を有する図面の指示(a)ないし
(c)を伴うエンジンブロックの壁断面が示されてい
る。エンジンブロックは示される方向にてモールド中で
下から上へ流れる溶湯をもって鋳造され、その後、モー
ルドは溶湯の凝固のために上下逆転された。壁断面厚の
各部分は、断面の全領域に亙って劣ったマイクロ組織が
えられた、そのようなものであった。
初晶Siと、第2図および第3図の組織によって代表さ
れる樹枝状晶のような関連するマトリックス特徴との有
害な効果が、第4図および第5図で説明されている。第
4図では、工具寿命が、第1図(実線)におけるような
組織を有する一鋳造物、および第2図または第3図(破
線)におけるような組織を有する一鋳造物の機械加工に
おける切削表面速度に対してプロットされている。工具
寿命によって示されるような機械加工性における非常に
大きな減少は、最適組織と比較されるように、明らかに
初晶Siの存在による好ましくない組織のためである。典
型的な実際の切削(表面)速度である500m/分(対数値
2.69)での工具寿命は、事実上の初晶Siの存在によって
ほとんど半減化される。
第5図は、第1図に示されるような事実上初晶Siの存
在しない最適組織を有する一試験鋳造物の印加応力300M
Paでの停止に到るサイクルを、第2図または第3図にお
けるような好ましくない組織おび関連する水準の初晶Si
を有する試験鋳造物と比較して、示している。各場合に
おいて、鋳造物は、鋳造の間、1000−2000℃・秒/cm2
のG/R比を与えるように試みた条件下で鋳造された。第
5図の低サイクル疲労データは、初晶Siに帰せられる疲
労強度の劇的な減少を明示している。初晶Siの存否を包
含する組織の重要性は、特許明細書536976の実施例3の
表5および実施例4の表7によって更に際立たせられて
いる。最適組織からの僅かな逸脱は、圧縮疲労および摺
動摩耗に対する抵抗の事実上の減少に帰着する。本発明
によって獲得され得るような終始一貫したマイクロ組織
は、それ故難しいのである。
第2図および第3図で明示された組織は、砂型におけ
る冷やし金の賢明なる利用によるような熱勾配の制御に
よって改良され得る。しかしながら、これは複雑な鋳造
物を製造するための商用作業で容易に使用され得る技術
ではない。かくして、斯様な技術は第1図におけるよう
な組織を有する複雑な3HA合金鋳造物の商業的鋳造生産
を困難にする。
特許明細書536976に関連して上で概略したように、ど
のような初晶Si粒子の偏析も、機械的性質に非常に大き
な不利益な影響を与え得る。該説明書による合金では、
断面厚さが変化する特徴を有し、凝固条件が制御困難で
あるより複雑な鋳造物において特に、凝固の間に大きな
初晶Si粒子が形成され、これらが往々にして浮上し、モ
ールドにおける出っ張り部分の下で捉えられるか、また
は他の方法で偏析するようになる。斯様な偏析が、0.05
%のSrを含む特許536976による3HA合金のものである第
6図の顕微鏡写真(a)および(b)(それぞれ13倍、
60倍である)で明示されている。第6図に示されるよう
に、初晶Srが凝固の間に浮上して出っ張り部分の下に集
まった。
本発明は、必要な凝固条件の範囲を広げるとともに、
マイクロ組織を制御し、もって斯様な凝固条件の厳格な
制御の必要性を排除するための化学的方法を提供する。
明確には、0.005%を超えるTiを伴う0.1%を超える水準
のSrが、事実上十分な共晶マイクロ組織の形成を確保す
るために、新規な方法で使用される。
本発明において、0.11%−0.4%のような高水準のSr
の添加が、Al−(12−15%)Si合金の組織に有益な効果
を有することが見い出された。とりわけ、0.3%を超え
る水準で、Srは凝固の間に形成される初晶Si粒子を取り
除きはしないが、その浮上を妨げ、数を減らすという効
能を有する。これは、比較的粗いSi粒子の、鋳造物全体
に亘る均一な分散に帰着する。このことは、0.3%Srを
含みTi添加のない3HA型合金についての第7(a)図の
顕微鏡写真(×50)に明示されている。発明による高水
準のSrの使用は、初晶Si粒子の浮上を妨げ、かつその数
を減らした。それらの粒子は比較的粗いが、事実上充分
な共晶マトリックスの全体に均一に分散している。しか
しながら、第7(b)図の顕微鏡写真(×200)により
明確に示されるように、同じ組織が又小板形態でのSr金
属間化合物を特徴づけている。
第8図の走査電子顕微鏡写真(×150)およびX線解
析は、第7(a)図および第7(b)図に示されたもの
と同一合金の破断表面について得たものである。第8図
の顕微鏡写真は、破断表面における小板状Sr金属間化合
物を示しており、他方X線スペクトルは、それらの粒子
が主としてAl、SiおよびSrから成ることを示している。
第9図は0.1%未満である従来水準から本発明によっ
て要求される0.4%に至る範囲の3HA型合金における増大
するSr量の影響を示している。引っ張り強度は、小板形
態でのSr金属間化合物の増大する含有量の有害な影響に
よって、該範囲に亙って約370MPaから約26MPaまで次第
に低下する。しかしながら、この好ましからざる影響に
は、前述したように、初晶Siの均一な分散を達成すると
いう有益な効果(この効果は多くの応用目的のために著
しい改良を与える)が付随している。すなわち、0.10を
超えて0.4%に到る水準でのSrの使用は、あらゆる応用
のための全ての問題に対する解答ではないが、機械加工
性に関して期待される有益な結果を伴なって、初晶Siの
数を減らし、浮上を妨げるという著しい利益を与える。
第9図の引っ張り強度曲線は、事実上Tiの存在しない
合金につき、米印(アスタリスク)点によって描かれて
いる。しかしながら、第9図にはまた多数の試験の平均
値である円によって示される一点が示されている。その
点は、本発明によってAl−5%Ti−1%Bとして添加さ
れた0.05%Tiを伴う0.30%Srについてのものである。初
晶Siの量をより減少させるとともに、とりわけSr金属間
化合物粒子の形態を変え、その小板状体の形成を妨げて
引っ張り強度の回復を達成することにおいて、その点は
高い水準のSrを伴うTi添加の有益な効能を明示してい
る。示されたTiの添加は、(Al,Ti)B2、TiB2、TiAl3
たは同様な化合物であって良い。同様な効能が、TiB2
TiAl3またはここで説明されたその他の形態での添加と
同じくTiのみの添加によっても得られる。他方、そのよ
うな効能はTi不在のBによっては得られない。単に一点
が第9図に示されているに過ぎないが、これによって示
される利点が、本発明によって要求されるその他の高い
水準でのSrを伴う0.005%を超えるTiによって得られる
ことが判る。
Al−(12−15%)Si合金において、0.10%を超えるSr
と特定水準のTiとの組み合わせが、特に複雑な形状寸法
の鋳造物のマイクロ組織に有益な効能を有することが見
い出された。本発明のこの好ましい観点の利益が、第10
図および第11図に示されている。第10図の顕微鏡写真
(×20)は、0.3%SrおよびAl−Ti−Bとして添加され
た0。03%Tiを含む本発明による合金をもってジルコン
砂型で鋳造された複雑なフィン付きシリンダにおいて得
られた典型的な改良組織を示している。第10図に図示さ
れた部品は、低いG(約3℃/cm)および低いR(約25
ミクロン/秒)の条件下で、760℃で注湯される次の組
成の溶湯から鋳造された。
Si 13.7% Sr 0.30% Ti 0.03%(TiB2およびTiAl3として) Cu 2.0% Ni 2.0% Mg 0.66% Fe 0.24% Mn 0.38% Zr 0.04% 各々0.02%未満であるZn、Sn、Pb、Cr、Ti(単体)、Na
およびB(TiB2以外の)、および各々0.003%未満であ
るCaおよびP、偶然の不純物を除きAlから成る残部を伴
う。
第10図の顕微鏡写真に隣接する図およびその指示
(a)および(b)は、第2図のそれらと同一の関連を
有する。第10図の顕微鏡写真は、第2図のそれらと比較
されるべきである。第2図の組織は大きな初晶Siを示し
ている。しかしながら対照的に、第10図に図示された鋳
造物の組織は、本質的に初晶Siが存在しないだけでなく
小板形態でのSr金属間化合物を特徴としてもいない。代
わりに、Sr金属間化合物は等軸的な塊状粒子として存在
している。さらに、組織におけるこれらの変化を達成す
るためにTiが必要であるということが明らかである。初
晶SiとSr金属間化合物粒子に対するこのTiの影響は、全
く新規で予想されないものであり、しかも我々の知って
いる限りでは、以前に報告されていない。
さらに、第11図は本発明に従ってTiと組み合わせたSr
の使用か得られる著しく高められた効用を示している。
第11図の顕微鏡写真(×20)は、0.30%SrおよびAl−Ti
−Bとして添加された0.04%Tiを含むが、その他につい
ては第3図の合金と同じである本発明合金をもってジル
コン砂型で鋳造されたエンジンブロックにおける典型的
な組織を示している。第11図に図示された合金は、低い
G(約3℃/cm)および低いR(約10〜30ミクロン/
秒)の条件下で、780℃で注湯される次の組成の溶湯か
ら鋳造された。
Si 13.6% Sr 0.30% Ti 0.04%(TiB2およびTiAl3として) Cu 2.0% Ni 2.1% Mg 0.64% Fe 0.22% Mn 0.4% Zr 0.05% 各々0.02%未満であるZn、Sn、Pb、Cr、Ti(単体)、Na
およびB(TiB2以外の)、および各々0.003%未満であ
るCaおよびP、偶然の不純物を除きAlから成る残部を伴
う。
第11図の顕微鏡写真に隣接する図およびその指示
(a)および(c)は、第3図のそれらと同一の関連を
有する。第3図における組織は大きな初晶Si粒子を示し
ており、他方第11図の組織は事実上かかる粒子が存在せ
ず、等軸的な塊状粒子として存在するSr金属間化合物粒
子を有している。
第12図の顕微鏡写真(a)および(b)(それぞれ×
50および×200である)は、0.30%SrおよびAl−Ti−B
として添加された0.05%Tiを含む3HA型鋳造合金の組織
を示している。また、その組織は等軸的な塊状Sr金属間
化合物粒子によって特徴づけられている。第12図の合金
は、更に第13図の鋳造物の破断面で撮られた走査電子顕
微鏡写真(×150)で説明されている。この顕微鏡写真
はSr金属間化合物の変化した形態を際立たせている。
例えば、少なくとも(Al、Ti)B2、TiB2、TiAl3また
は同様な形態のものの少なくとも一つとしてのTiとSrの
新しい組み合わせ使用は、広い範囲の鋳造物において及
び複雑な凝固制御を要することなく、明細書536976で特
定されたユニークな圧倒的共晶マイクロ組織を作りだ
す。斯様な組み合わせを用いることの更に重要な結果
は、第9図で明らかなとおり強度特性の回復である。
引っ張り強度の事実上の回復に加えて、疲労強度が高
められることが見い出されている。第14図は、0.10%未
満のSrを含む3HA合金(旧3HAとして示されている)およ
び本発明に従ってSrとTiの組み合わせを含む−3HA型合
金(改良された3HAとして示されている)のS−N曲線
を示している。第14図から明らかなように、本発明によ
る合金は事実上旧3HAよりも高い疲労強度を示す。改良
された3HAの曲線では、Tiが(Al、Ti)B2、TiB2およびT
iAl3を与えるAl−Ti−Bとして溶湯中に添加されている
が、(Al、Ti)B2、TiB2またはTiAl3のみによって、或
はここで説明されたTiのその他の形態で本質的に同じ結
果が得られる。
第15図は、同様に指示された旧3HAおよび改良された3
HAの機械加工性を工具寿命に関して示している。該旧3H
Aは、第1図に示されるような理想組織を有するものの
一つである。第15図から明らかなように、各合金の機械
加工性は本質的に同等であり、所与の切削速度のいずれ
においても極めて類似した工具寿命が得られる。したが
って改良された3HAの機械加工性は、第4図および第15
図の比較から明らかなように、初晶Siを含む代表的な劣
った組織の範囲から成る旧3HAのそれよりも遥かに良好
である。
本発明により改良された3HA合金が良好な組織を有す
るときの旧3HAよりも多くの硬質化合物粒子を含むこと
を考慮するならば、該改良された3HA合金の良好な機械
加工性を確保する能力は驚異的である。しかしながら、
これは本発明による合金における金属間化合物粒子の微
細さおよび組織中での均一な分散によると考えられる。
繰り返して言うが、改良された3HAでは、Tiは(Al、T
i)B2、TiB2およびTiAl3を与えるAl−Ti−Bとして添加
されているが、(Al、Ti)B2、TiB2またはTiAl3のみに
よって、或はここで説明されたTiのその他の形態で本質
的に同じ結果が得られる。
本発明を特徴づけるSrの有益な効能は、Srにとってユ
ニークであると信ぜられる。このことは、周知のよう
に、NaおよびSrが従来水準であるAl−Si合金において改
良剤としてSrと同様に働くNaを引用して部分的に説明さ
れ得る。かくて、そのような従来の関係において3HA合
金中での約0.003%水準のNaは改良剤として働き、かか
る合金における約0.05%Srの使用と同様な改良を達成す
る。しかしながら、本発明におけるSrによって象徴され
るような約10倍までのNa水準の増加は、合金の過改良を
招くに過ぎない。
第16(a)図の顕微鏡写真(×50)は、0.003%のNa
を有するがSrの添加はない砂型鋳造された3HA合金製ソ
リッド・シリンダの組織を示している。この組織は従来
の改良形態であり、0.05%Srを含むがNaの添加はない同
じ合金によって得られた組織に類似している(第1図参
照)。第16(b)図の顕微鏡写真(×50)は、Na水準が
0.05%まで増加せられている点でのみ相違する合金を用
いた第16(a)図のものと同じ鋳造物の組織を示してい
る。第16(b)図は、共晶胞(セル)の間の粗いアルフ
ァ・アルミニウム領域(これは特許明細書536976で報告
されたように急速なるクラック伝播を招くであろう)を
特徴づける不規則な過改良組織を示している。さらに、
初晶Si粒子の浮上の程度が、Na添加の水準によって影響
されないということが見い出された。従来水準の少なく
とも10倍のNaを含む合金で作られた全ての鋳造物が、鋳
造物の頂部における浮上初晶Siの帯を示した。また、Ti
との組み合わせでSrを使用する本発明による鋳造物と違
って、Tiと組み合わせて斯様な高水準のNaを使用した鋳
造物は、浮上初晶Siの集中におけるどのような減少をも
示さなかった。
本発明の要(かなめ)となる特徴は、SrおよびTi(Ti
は好ましくは(Al、Ti)B2、TiB2およびTiAl3の少なく
とも一つとして添加される)の組み合わされた効能によ
って得られる組織の改良、および最も好ましくはSrおよ
びTiB2として添加されるTiの組み合わされた効能によっ
て得られる組織の改良である。これらの元素が組織を制
御するメカニズムは、Al−(12−15%)Si合金範囲の鋳
造物におけるSrおよびTiの影響を示唆する程度には理解
されている。しかしながら、そのメカニズムは、現段階
で十分な説明を可能にするほど十分に良くは理解されて
いない。はっきりしているのは、共晶Siを改良し及び
(または)カップルド・ゾーンを広げるために0.1%未
満の水準のSrを添加することが知られているということ
である。本発明に先立って知られていなかったこと、お
よび予想され得なかったことは、0.11%以上のような0.
1%を超える水準のSrが、初晶Siを除去するほど十分に
はカップルド・ゾーンを広げないが、代わりに形成され
得る初晶Siの浮上を止めるということである。さらに、
TiB2またはTiAl3としてのTiが初晶アルミニウムの核を
作ることが知られている一方、存在する初晶Siの量を更
に減らし、Sr金属間化合物粒子の形態を小板状から事実
上等軸的な塊状粒子に変えるだろうということは、全く
予期されなかった。後者に関して、Tiの添加が単に微細
な板状Sr粒子の核を形成するだろうということが予想さ
れたかも知れないが、この場合はそうではない。
発明によって与えられる改善についての評価が第17図
によって得られる。第17図において、得られたデータに
基づくGおよびRに関する鋳造条件の窓が図示されてい
る。示されるとおり、影線の領域は特許536976による旧
3HAに適用可能な条件の一部を指示している、他方黒色
領域は発明の合金に適用可能な条件の拡張を指示してい
る。これは、改良された共晶マイクロ組織が得られるG
およびR値の低減化を示す。該窓の拡張は、ゼロに近く
低減化された最小G値とともに、ほぼ15ミクロン/秒の
最小R値を与えるように示されている。拡張された領域
は小さいが、それは、パーマネント・モールドおよび砂
型により生産ベースで鋳造される合金に要求される鋳造
性に関連する窓の臨界領域にある。すなわち、本発明の
合金で得られるGおよびR値は、鋳造物の断面厚さに依
存するものの、砂型構造で現れる凝固条件(G値が典型
的には5℃/cm未満であり、R値が15ミクロン/秒と同
程度に低いと見積もられる)を包含している。
ところで、本明細書で説明されたSrおよびTi添加の効
能に基づき、特許536976で定義された合金の全特徴を示
す合金組成が定義され得るが、加えて、本発明の合金組
成は複雑な凝固制御を必ずしも必要とせずに、より広範
な種類の鋳造物で使用され得るという改善を特徴づけ
る。
本発明の合金は、パーマネント・モールドおよび砂型
を用いた生産ベースでの反復的な鋳造に全く適してい
る。該合金は、複雑な形状の鋳造物および事実上の断面
厚さが30mmまでの及びそれ以上の鋳造物を含む広範な種
類の鋳造物が斯様なモールドを用いて生産ベースで鋳造
されることを可能にする。本発明の合金は、良好な摩耗
抵抗および機械加工性、高い水準の疲労強度、および硬
度、引っ張り強度の如き良好な環境温度および昇温度特
性に対する要求がある鋳造物の生産において非常に有用
である。これらの鋳造物は、シリンダブロック、シリン
ダヘッド(伝統的な弁ガイド、吸気弁座インサートの必
要のないもの)、伝動装置およびブレーキ部品、および
ピストン、ロッカー・アームのような他のエンジン部品
を含む。非自動車または定置エンジンでの適用は、ドア
閉成静止シリンダ、タイヤおよびタイルのような物品用
のモールド・コンプレッサ用のピストンおよびシリン
ダ、スラリー・ポンプのようなポンプのハウジングを含
む。
一般的見地における本発明が上記の特別なる説明に限
定されないということは、明確に理解されるだろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 キーン,ピーター,ロウレンサー イギリス国ウオーセスター,ドロイトウ イッチ,レディウッド,レディウッド ハウス (番地なし) (72)発明者 ロジャーズ,ケビン,フィリップ オーストラリア国3134 ビクトリア,リ ングウッド,グレンベイル ロード 34 (72)発明者 レギェー,ロドニイ,アラン イギリス国ジーエル2 8エイビー グ ロウセスター,チャーチヤム,プリオリ イ ヘイ (番地なし) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 1/02,21/00 - 21/18 B22D 21/04

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Si:12〜15%を含む過共晶Al−Si合金の鋳
    造物を製造する方法であって、 (a)0.11〜0.4%のSrおよび0.005<Ti≦0.25%のTiを
    含み、Tiが(Al,Ti)B2またはTiB2またはそれらの混合
    物の形態で存在している場合には、Ti量が0.1%を超え
    ず、さらに以下の成分: Cu: 1.5〜5.5% Ni: 1.0〜3.0% Mg: 0.1〜1.0% Fe: 0.1〜1.0% Mn: 0.1〜0.8% Zr: 0.01〜0.1% Zn: 0〜3.0%(無添加の場合を含む) Sn: 0〜0.2%(無添加の場合を含む) Pb: 0〜0.2%(無添加の場合を含む) Cr: 0〜0.1%(無添加の場合を含む) Na: 0〜0.01%(無添加の場合を含む) B(単体):最大0.05% Ca: 最大0.003% P: 最大0.003% その他: 各々最大0.05% 残部: 偶然の不純物を除きAl を含む合金の溶湯を用意する段階と、 (b)事実上Srの溶損なしにモールド内に溶湯を鋳造し
    て鋳造物を形成する段階であって、Sr:0.11〜0.4%、T
    i:0.005〜0.25%の各範囲で、モールド型式および鋳造
    物の複雑さによって経験される凝固条件に応じて、Srと
    Tiの量が調整され、もって、存在する全ての初晶Siが事
    実上均一に分散されるとともに事実上偏析がなく、さら
    に事実上均一に分散したSr金属間化合物粒子が存在する
    ものの小板形態での該粒子は事実上存在せず、圧倒的に
    共晶マトリックスを含むマイクロ組織が結果として得ら
    れる改善された鋳造性を溶湯が有することになる前記鋳
    造物形成段階とを含む過共晶Al−Si合金の鋳造物を製造
    する方法。
  2. 【請求項2】前記Sr量が0.18%〜0.4%である請求項1
    に記載された過共晶Al−Si合金の鋳造物を製造する方
    法。
  3. 【請求項3】前記SrおよびTiの量が、前記マイクロ組織
    が事実上初晶Si粒子を免れる水準である請求項1または
    請求項2に記載された過共晶Al−Si合金の鋳造物を製造
    する方法。
  4. 【請求項4】Ti量が0.01〜0.06%であり、該Tiが、(A
    l、Ti)B2、TiB2、TiAl3、TiCおよびTiNの少なくとも一
    つとして与えられ、0.1%以下のTiが(Al、Ti)B2、TiB
    2およびそれらの混合物のいずれかとして与えられる請
    求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された過
    共晶Al−Si合金の鋳造物を製造する方法。
  5. 【請求項5】前記Tiが0.02%〜0.06%量で与えられる請
    求項4に記載された過共晶Al−Si合金の鋳造物を製造す
    る方法。
  6. 【請求項6】前記合金の溶湯がSrおよびTiに加えて、 Cu 1.5〜5.5% Ni 1.0〜3.0% Mg 0.1〜1.0% Fe 0.1〜1.0% Mn 0.1〜0.8% Zr 0.01〜0.1% 残部 不純物を除きAl を含む請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載
    された過共晶Al−Si合金の鋳造物を製造する方法。
  7. 【請求項7】前記合金の溶湯が、150ミクロン/秒未満
    の固相成長速度Rおよび固液界面における15℃/cm未満
    の温度勾配Gを与える凝固条件の下で鋳造される請求項
    1から請求項6までのいずれか1項に記載された過共晶
    Al−Si合金の鋳造物を製造する方法。
  8. 【請求項8】良好な摩耗抵抗および機械加工性と、改善
    された疲労強度と、環境温度および上昇温度における良
    好なその他の機械的特性を有する、Si:12〜15%を含む
    過共晶Al−Si鋳造合金であって、0.11〜0.4%のSrおよ
    び0.005<Ti≦0.25%のTiを含み、Tiが(Al,Ti)B2また
    はTiB2またはそれらの混合物の形態で存在している場合
    には、Ti量が0.1%を超えず、さらに以下の成分: Cu: 1.5〜5.5% Ni: 1.0〜3.0% Mg: 0.1〜1.0% Fe: 0.1〜1.0% Mn: 0.1〜0.8% Zr: 0.01〜0.1% Zn: 0〜3.0%(無添加の場合を含む) Sn: 0〜0.2%(無添加の場合を含む) Pb: 0〜0.2%(無添加の場合を含む) Cr: 0〜0.1%(無添加の場合を含む) Na: 0〜0.01%(無添加の場合を含む) B(単体):最大0.05% Ca: 最大0.003% P: 最大0.003% その他: 各々最大0.05% 残部: 偶然の不純物を除きAl を含み、 さらに、該過共晶Al−Si合金における0.11〜0.4%のSr
    および0.005<Ti≦0.25%のTiによれば、形成される全
    ての初晶Siが事実上均一に分散されるとともに事実上偏
    析がなく、さらに事実上均一に分散したSr金属間化合物
    粒子が存在するものの小板形態での該粒子は事実上存在
    せず、圧倒的に共晶マトリックスを含むマイクロ組織を
    有する過共晶Al−Si鋳造合金。
  9. 【請求項9】前記Sr量が0.18%〜0.4%である請求項8
    に記載された過共晶Al−Si鋳造合金。
  10. 【請求項10】前記マイクロ組織中に事実上初晶Siが存
    在しない請求項8または請求項9に記載された過共晶Al
    −Si鋳造合金。
  11. 【請求項11】前記Tiが、(Al、Ti)B2、TiB2、TiA
    l3、TiCおよびTiNの少なくとも一つとして存在し、0.1
    %以下のTiが(Al、Ti)B2、TiB2およびそれらの混合物
    のいずれかとして存在し、該Tiの量が0.25%以下である
    請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載された
    過共晶Al−Si鋳造合金。
  12. 【請求項12】前記Ti量が0.01%〜0.06%である請求項
    11に記載された過共晶Al−Si鋳造合金。
  13. 【請求項13】前記合金がSrおよびTiに加えて、次の成
    分: Cu 1.5〜5.5% Ni 1.0〜3.0% Mg 0.1〜1.0% Fe 0.1〜1.0% Mn 0.1〜0.8% Zr 0.01〜0.1% 残部 不純物を除きAl を含む請求項8から請求項12までのいずれか1項に記載
    された過共晶Al−Si鋳造合金。
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